最新の観てきた!クチコミ一覧

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ベラスケスとルーベンス

ベラスケスとルーベンス

やみ・あがりシアター

Paperback Studio(東京都)

2024/09/21 (土) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ルネサンス〜近現代の美術史にちょうど関心を寄せていたタイミングだったので、公演を2日前に知って急遽出かけた。久々の千歳烏山周辺を懐かしく歩き、当時は無かったpaperback studioへ初訪問。
「観客に読ませる」とあったそれは予想以上に大きな部分を占め(実験公演と謳っていた事は当日知った)、これはこれで一つの要素であるが、観劇者としてはそんなアレコレを経ながら二人の画家の物語が骨太に着地していた事を喜んでいる。
「実験」についてはまた別途考察してみたい。

『ミネムラさん』

『ミネムラさん』

劇壇ガルバ

新宿シアタートップス(東京都)

2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

劇壇ガルバは山崎一が主宰する個人劇団で面白いプロデュースをする。集まった者の賛同さえ得られれば、何をやってもいいと言う自由さがある。主演者は峯村リエで、彼女を当てて三人の作者が短編を書く。当て書きをする。できあがった三編の短編は細川洋平「フメイの家」、笠木泉「世界一周サークルゲーム」、山崎元晴「眠い」。できあがったところで、三編を混ぜ合わせて(並べてではない)一本の作品をつくる。まとめ役は演出の文学座の西本由香(気がつけば今週は文学座女性演出家の三連投だ!)が一本にする。普通考えれば、こういう企画は大方の作者は嫌がる。上手くいくはずがないし、結局後味の悪いことになる。そこをよってたかって面白がりながら一本にしてしまったところがこの珍しい企画の手柄である。作者でもなく制作者でもない山崎一にしか出来ない芸である。
テーマは「女性」で峯村リエに当てたわけではない(ことはないだろうが)が、演者が峯村リエになったので、ついでに?タイトルも「峯村さん」にした??ホントかどうかは解らないがパンフレットを読めばそういうことだ。現実に俳優としては、正体不明な魅力のある峯村リエがそういう芝居の主役を演じるところも良い。
作者はそれぞれ一癖ある中年前期の世代の作者たちである。皆それぞれシーン作りが上手い。だが、最初から一本にしようという強い縛りはなかったようである。パンフレットを見れば、出来た後でどのようにバラバラにして、スジをつけて再構成したのか書いてある。やはり一本の作品としてはどこか、いびつな出来で、ファンタジーなのか、現代ホンネ女性ものなのか、フラつく。不条理劇の極みでもあるが、でも、こんな女いるよね、げんに峯村リエが演じると結構魅力的でもある。こうして「誰かであり、誰でもない」峯村さんができあがった。演出者はこのドラマは「不在」がテーマだと難しいことを言う。そういえば、最初、峯村さん宛に書かれ、郵便で送られた手紙は「宛先フメイ」で届かない。
舞台の半ばを過ぎたあたりで、突然30年ほど時間が飛ぶ。ここが良い。このドラマに実際の時間がはいったことで、現実は過去と今のとの交差点であり、そこにしか人間は存在できないことを示すことが出来た。そこでミネムラさんが実在する、このあたりから、彼女の半生を彩ったさまざまな人々との過去は精彩を持ってロンド(輪舞)して現代のドラマになった。愉快な一夜のユニークなエンタテイメントでもあった。

三人吉三廓初買

三人吉三廓初買

木ノ下歌舞伎

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2024/09/15 (日) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

良い意味で、キノカブ初見の方を含め、様々な観客を招こうとし、実際に招いている公演ではないかと感じました。休憩込みで5時間20分の三幕もの。食事や軽食の機会を設け、丁寧かつ内容充実の観劇パンフレットを配布し、幕見席チケットも用意。そして、目や耳の不自由な方へ向けた音声ガイドやポータブル字幕機の提供など、あらゆる点で観劇環境が整備され、「今日は1日プレイハウスで歌舞伎鑑賞に浸ろう」という気持ちになります。上演も、現代演劇や小劇場が好きな方も、歌舞伎が好きな方も、共に没入できる内容に仕上がっていたと思います。

ネタバレBOX

他のキノカブレパートリーと比べて際立っていたのは、台詞の響きや美しさを届けることに細心の注意が払われていたこと。細やかな抑揚や、原文のままか、現代語に翻訳するか、等々、シーンにおいて「台詞を届ける」ことにこだわりを感じました。和装や洋装の混合やラップ音楽の導入、シンプルながらスタイリッシュな舞台美術など、キノカブらしい見せ方も健在。歌舞伎がもつ魅力を間引くことなく残しつつ、極力現代人に届けやすくバランス調整する手腕も見事です。

三幕ものでありつつ、それぞれの幕に違った魅力があり、演出上も幕ごとの違いを意識しているように感じられました。幕見席チケットの意味はここにあると思います。「あの幕をもう一度観たい!」というニーズもあるでしょうし、それもまた歌舞伎鑑賞の楽しみのひとつと言えます。
リビングルームのメタモルフォーシス

リビングルームのメタモルフォーシス

Precog

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/09/20 (金) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

今年6月に観劇した『消しゴム山』に通じるコンセプチュアルな一作に感じられました。ロジカルかつ未来志向的な演劇実験作。この「実験(実証)」要素が、観客である受け手によって評価の分かれるところだと思います。当日パンフレットやホームページなどに記載されたテキストを読み、創作プロセスなどをある程度頭に入れた上で「…なるほど」と理解の手掛かりを得られる。その難解さが存在することは事実でしょう。ただ、モチーフとして描かれる物語はロジカルに構成され合点のいくものだし、俳優が紡ぎ出すシーンからも大いに刺激を受ける。今作は音楽劇なので、もちろん音楽そのものや、劇中での存在の仕方も興味深い。結果的に演劇的なカタルシスというか、観劇後の満足感が観客の心身にしっかり残る。難解だけどある意味明瞭でもある、でも一人で読み解き理解するのはハードルが高い。だからこそ誰かと語り合いたい作品と言えるかもしれません。

もうひとつイメージしたのは、近年の岡田さんの創作への興味・関心が、これからの社会基盤にフィットする「新しい価値規範」の模索にあるのではないか?ということ。短期間で解答を導き出せる取り組みではないからこそ、岡田さんの作品には常に実験が組み込まれていると感じます。

九州戦風カミカゼバイト

九州戦風カミカゼバイト

劇団ジグザグバイト

インディペンデントシアターOji(東京都)

2024/09/20 (金) ~ 2024/09/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

土曜日にマチソワしました。
何か月も前から東京公演、登紀子さんが制作って言ってましたからこれは期待大だと。
若い子たちのガンバリが尊い。
福岡といえば「ドゲンジャーズ」共通するものも!?
「SUGOCAとSuicaにぃ!」というセリフで、九州の交通系ICカードのことを知りました!(笑)
東京の劇団より気取りが無くて気持ちよさアップ!
ただ、会場受けがいいのは東京のお客さんは優しんですよ。
(というか、ノリに来る人が多いかなと思います)

アフタートークでふれられていましたが、遠征しての公演の大変さ。
コロナ前には池袋演劇祭に関西から2-3団体の参加が普通でしたし、
あまり気に留めませんでしたが、劇団側の大変さは相当なのですね。
それと、東京にも「ヒーロー劇団」と呼ばれるところはあるし、
何なら東京制作の登紀子さんプロデュースの団体なんか超絶フィジカル団体。
設立10年になる(今、世代入れ替わったところとかでの}若手劇団もガンバってください!!

来てけつかるべき新世界

来てけつかるべき新世界

ヨーロッパ企画

本多劇場(東京都)

2024/09/19 (木) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

2016年初演で岸田國士戯曲賞受賞作品を8年ぶりに再演。ヨーロッパ企画は再演する演目を厳選している印象があるので、この再演も団体にとって意味あるものと推測できます。出演者に変更はあるものの、舞台セットや劇構造は初演を継承しており、良い意味で「メモリアルな演目を再び上演する」ツアー公演なのかも。客席の受け方は、さすがヨーロッパ企画という安定感がありました。

ネタバレBOX

舞台は大阪で、新喜劇×デジタルテクノロジー×ヨーロッパコメディ、という印象。とある串かつ屋さんを中心に、その近隣と串かつ屋を訪れる客たちによる群像コメディ。ドローンが出前をしたり、警備ロボットが活躍したり、下町文化とデジタルの融合による「新世界」をコメディとして描いている。笑いへのアプローチが、やはりヨーロッパ企画特有の手付きで、ファンは安心して観られるし、初見のお客さんにも親しみやすい世界観だと感じました。
ラバーマスク・ラバーハート

ラバーマスク・ラバーハート

劇団東京座

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2024/09/20 (金) ~ 2024/09/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 フライヤーからはチャラけた芝居との印象を受けていたのだが、極めてまともなストレートプレイである。

ネタバレBOX

 舞台美術も如何にも明治から大正にかけてのし上がった炭鉱成金の屋敷に相応しい調度が並び、なり上がり者の定見の無さを象徴している。例えばリモージュ焼きと思われる磁器の向こう側に洋画、その隣奥に信楽焼きと思われる陶器、その更に奥には、朝顔型の蓄音機、更に奥に家長の後妻である可奈子の居室があり、ベッドには天蓋から映画・クレオパトラの寝台に掛かっている幕のような、西アフリカで用いられる蚊帳のような天蓋部分に円形釣り具を付けそれに細かい目の布をあしらったような物が取り付けられており、ベッドの奥は布で仕切られ袖のように機能するが、劇中この袖は大変重要な役割を果たす。上手奥には中国や李氏朝鮮時代に多く作られたような形の一輪挿しの花瓶、ホリゾント中央には両開きの襖。その手前は畳敷きで平台で一段上げてある。更に客席側は洋間になっており洋式の椅子、ソファを始め中央に使用人を呼ぶ為のベルが載ったラウンドテーブルが真ん中に置かれている他洋間から和室に上がるのには上手に階段が設けられているものの、これも洋式。おまけに和室には木製屏風が上手・下手それぞれに置かれているという塩梅。まあ、日本は和洋中朝折衷文化が基本で我々は慣れ切っているので恐らく外国人が感じる程の奇異感は持たぬ者が殆どと思われるが。物語が展開する舞台美術は台詞だけでは表せない意味をも時に象徴しているので一応指摘しておく。
 さて本筋について少し書いておこう。家長の名は伊藤 正久、長男・慎二(実は養子、甥)次男・兼次(正久の実子、使用人・ふゆが実母である)その他実勢は無いものの華族出身の比佐子(東京帝国大学学生慎二の婚約者)、そして先に挙げた可奈子(後妻に収まるまでは慎二の紹介でこの家の女中をしており、その後正久の妾となっていた)
 ジェンダーレベルで見ると男性VS女性では女性の完全勝利である。というのも正久は女遊びに長けた積りの金持ちだが、女性達の心理を見抜くことに掛けては少年のようにプリミティブな思考しか持っていないのに対して、可奈子は慎二とはずっと恋仲であり後妻と決まって妾宅からこの家に移ってきた後もずっと隙をみて同衾しており、バレていない。また、正久の見立てでは古風な倫理観に縛られその倫理からは外れないと判断された比佐子は慎二が何をしているかを偶然知って後、その秘密を教えた頭は悪く無いものの同世代の悪童仲間どころか友人も持たない為精神的には幼稚な金次を唆し、褒美に同衾を約して兄銃撃事件を惹起する。而も事件で死んだのは金次の方で慎二は生き残ったのだが、貞淑だとか婚約の約束だとかを守るフリをして婚約解消は敢えて否定した。
 このような状態の中、ラスト部分で可奈子は妊娠を告げる。(無論、どちらの子かは分からない)。この後事件の後片付けが終わったあとの展開がどうなるのか? 当然慎二と比佐子は結婚し子供も生まれよう、そうなると遺産相続争いが起きるに決まっている。女性陣で唯一昔風の倫理に生きているのはふゆのみであり、彼女は3人の女性の中で最も年上だから遺産象族争いが起きる頃にはリタイアしているか、亡くなっているかであろう。こんな続編を期待させる面白い作品であった。
とある病室

とある病室

マイストーリー★KING

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2024/09/21 (土) ~ 2024/09/21 (土)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

秀山祭九月大歌舞伎

秀山祭九月大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2024/09/01 (日) ~ 2024/09/25 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「播磨屋二代の当たり役」

 九月歌舞伎座は初代吉右衛門の功績を称える恒例の秀山祭である。夜の部に二代の吉右衛門が得意とした「妹背山」より「太宰館」と「山の段」、そして二代目が80歳になったらまた演じたいと生前語っていた「勧進帳」が出た。

ネタバレBOX

 朝廷の転覆を企む蘇我入鹿(吉之丞)は太宰後室定高(玉三郎)の屋敷に大判事清澄(松緑)を呼び出し、帝が寵愛する采女の局の行方を詮議する。領地争いで敵対している定高と大判事だったが、二人が結託して采女の局を匿っていると疑う入鹿は、もし潔白ならば定高の娘雛鳥(左近)を入内させ、大判事の息子久我之助(染五郎)を出仕させろ、従わなければ子どもの首を打てと命じ、手にかけたら両家の間に流れる吉野川に流せと桜の枝を渡す。

 短い幕だが観ておくと続く「山の段」の筋の理解が深まる。定高と大判事の不仲ぶりが玉三郎と松緑の競り合いでよくわかる。吉之丞の入鹿の芝居は堂々としているが、あまり暴君めいてないうえに時々声が割れるところが気になった。ちょっと出るだけだが荒五郎の早見藤太が入鹿から両家の監視のために遠見を渡されて花道に引っ込む、その姿形がきれいである。

 続く「山の段」では吉野川を挟んだ下手側の妹山の館にいる雛鳥が背山にいる久我之助に思いを向け、それに呼応して久我之助もまた愛する雛鳥に応えるという若い二人の芝居がまずある。左近も染五郎も、役の年齢に近いうえに健闘してはいるものの、もっとあふれるばかりの情愛を感じたかった。続いて上手側の仮花道から大判事が、少し遅れて本花道から定高が入ってくる。玉三郎の定高は過去二回とも二代目吉右衛門を相手にした気迫に満ちたものであったが、後輩の松緑が相手の今回はその大きさが際立つ。昨年の初役から間もなく二演目となる松緑の大判事は玉三郎に果敢に挑んでいるが、より屈強で巌のような大きさがほしいと思った。

 前回の玉三郎の定高は雛鳥に対し「貞女の立てよう、見たい見たい」の鋭い気迫が強烈だったが、今回はむしろ娘への情愛により強いニュアンスがあるように見えた。松緑の大判事も「侍の綺羅を飾り、いかめしく横たえし大小、倅が首切る刀とは、五十年来知らざりし」のところが情愛溢れんばかりであった。互いの子どもに果てようとしているところで二人の親が川を挟んで向かい合う仕方話は玉三郎と松緑の気持ちが通じ合っていて胸が熱くなる。妹山の腰元小菊の京妙、桔梗の玉朗がともにいい仕事をしている。

 続く「勧進帳」では、まず菊之助の富樫が明瞭な台詞回しと、何としてでも朝敵義経一行を取り逃がさんとする大きさで圧倒された。続いて花道から入ってきた染五郎の義経の美しさに目を取られると、やがて今回三回目となる幸四郎の弁慶が、二代目吉右衛門を彷彿とさせる滋味ある口跡と大きさで客席を魅了する。菊之助と幸四郎による背丈の合った火花の散らし合いがいいので、勧進帳の読み上げと山伏問答は特に盛り上がった。真相を慮った菊之助の富樫の「今は疑い晴れ候」は万感の思いに溢れていた。染五郎の義経の「判官御手を取り給い」はもう少し柔らかさがほしい。そのあとの弁慶による戦物語は幸四郎の体のキレの良さもさることながら、ここまでの芝居がいいため特に印象に残った。
メタ・クセナキス

メタ・クセナキス

NPO法人芸術文化ワークス

神奈川県立音楽堂 ホール(神奈川県)

2024/09/21 (土) ~ 2024/09/21 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「力強い演奏と舞のコラボレーション」

 パーカッション奏者の加藤訓子がギリシャの現代音楽家であるヤニス・クセナキスの打楽器作品を演奏し、それに合わせて能楽師とコンテンポラリーダンサーが踊る。2022年に彩の国さいたま芸術劇場で初演した「クセナキスと舞」の一部再演である。

ネタバレBOX

 第一部では「ルボンa」「ルボンb」に合わせ、観世流シテ方の中所宜夫が舞った。跳ね返るという意味のある曲名通りにゆっくりとしかし激しく弾く加藤の演奏を背景に、中村は四角く照明が当てられた空間で舞っていく。ドラムのタッチはじょじょに激しくなるが中村は揺るがない。いつもの能楽堂で謡や笛、鼓で観ている能楽師の身体が、西洋の太鼓を背景に観るとより土臭く大陸的に見えて面白い。せっかくなので前シテが後ジテにヅカッと、なにかに取り憑かれたように変わる振りも観てみたかった。

 第二部は12名の若手演奏家による「プレイアデス」である。第一楽章のみ加藤が指揮に入り、あとは各楽章ごとに演奏家が入れ替わる。特に印象的だったのは第二楽章冒頭の鉄琴の合奏がうねりような倍音を生み、あたかも眼前に水の流れを見るが如くであったところである。また第四楽章で主旋律が聞こえなくなったあとにまた別の旋律が生まれては消えていくくだりを繰り返したところは、先月京都で聴いた同じパフォーマーたちによるスティーヴ・ライヒ作曲の「ドラミング ライヴ」を想起した。

 第三部は加藤演奏による「プサッファ」に合わせコンテンポラリーダンサーの中村恩恵が踊った。アジア的に聴こえる冒頭の三拍子の太鼓の音色に呼応するかのように、左右の手先を広げ拍子に合わせ左右の膝を落とす鋭角的な動きがまず目に付く。そのうち急に地響きのような大太鼓の音がすると、落雷に撃たれたかのように中村の身体は崩れ落ち、そこからまた胎児が成長するかのようにゆっくり動き始めて、また冒頭の鋭角的な動きに戻る。気がつくと第一部で中所宜夫が舞っていたのと同じ四角い照明の縁を動いていき、やがて普通の二足歩行になると、美しいガラスの装飾のコンパクトに収められていた化粧をし、ガラスの椅子に戯れると、美しい玉に頬ずりをして幕となる。胎児が少女となり、やがて女王になるまでのひとときを観たかのような心地がした。
バード・バーダー・バーデスト

バード・バーダー・バーデスト

南極

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/09/19 (木) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

素直に「いい狙いどころだなぁ」と感じました。生演奏ありの学園青春群像劇。けれど登場するのは肉食、草食など各種恐竜たち。学園ものなので、生徒たちの日常、冒険(修学旅行)、感情のすれ違い、未来、等々を描いていて、内容盛り沢山。全体を整えるバランス感覚もよく、演出家が各所へ目を光らせているのだろうなぁ、と想像しました。

ネタバレBOX

学園青春もので、音楽劇でもある。恐竜モチーフにしたことで、戯画的に表現されることが強みになっており、ちょっと強引なフィクションや描写もスッと飲み込むことができる。リアルを表現する非リアル。「演劇的な嘘の付き方」が上手いと感じました。登場人物たちがそれぞれ楽器を持ち、全員で生演奏するシーンが美しかったので、あのシーンをもう少し長く見たかったのが残念。(パッと切り替えて次のシーンに移ってしまう)。演劇としての魅力を多く含んだ上演で、全体的に好印象でした。
chill moratorium(チルモラトリアム)

chill moratorium(チルモラトリアム)

「chill moratorium」2024製作委員会

シアターH(東京都)

2024/09/14 (土) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「覚えておいて 私があなたなんだとしたら あなたは、私よ」
精神世界の深淵に潜り込んだような後味
後で朗読劇だったという事を忘れてしまうくらいに練り込まれた演技
これでキャストが公演回ごとに異なっているというのだから驚きの完成度
光溢れる舞台世界とこちら(客席)が繋がり一体化する事が幾度もあり、この演出がかなり独特で強く印象に残りました

かげきなデイリープレイス

かげきなデイリープレイス

演劇集団イヌッコロ

ザ・ポケット(東京都)

2024/09/18 (水) ~ 2024/09/22 (日)公演終了

実演鑑賞

「ヤクザが演劇」という設定が充分に納得できる内容かどうか、がこの作品のポイントだと思って観劇に臨んだが、やはり違和感が残った。結局、最後までそのモヤモヤ感が払拭できず、皆さんのように笑えなかったというのが正直なところです。ひたすら「笑い」が主だからか、物語自体にも魅力を感じなかった。(中途半端な終わり方だし)ただ、これだけ次から次に笑いを繰り出してくる発想力と役者の表現力には心から拍手を送りたい。

リビングルームのメタモルフォーシス

リビングルームのメタモルフォーシス

Precog

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/09/20 (金) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

チェルフィッチュはだんだん難しくなって、「三月の五日間」のようなパンチの効いた平明さがなくなった。しかし、不思議なことに、難しくなっても、最後には、フーンこういうことか、と納得させられてしまう。今回の物語は家主から突然退居を迫られた借家人のリビングルームから始まる。借主は借家人の方に法的権利はあると主張して家主をやり込める。ここまで第一部、だがその見晴らしのいい岡の上にある借家の部屋の空気はなんだか知らないがすこしづつ変わっていく。(第二部)どうやら、ここには穴が開いていて、ここの空気は少しづつ抜けていくようだ。こうしてリビングルームはメタモルフォーゼ(変態)する。
結果、整理整頓されたモダンリビングは、怪獣めいたかぶり物が跋扈するガラクタ家具の置き場のようになってしまう(第三部)。作者演出家・岡田利規の劇場パンフによれば「フィクションを帯びた身体を媒介にして、空間にフィクショナルな変容を施してみる」と言うことになり、その空間を音楽が注ぎ込まれる容器にすることで、新しい音楽劇にした、と言うことになる。
変貌していくリビングルームが下手奥にあり上手は何もない空間。その前面に室内楽演奏の楽員(V2.Vla Cello。Fg. Cl。Tuba.Pf>が横に並び演奏が続く。観客は楽員越しに舞台度芝居を見ることになるが、東芸のイーストではあまり煩わしくはない。音楽は俳優(役も含めて)の内面の感情と結びつく者ではなく、俳優によって生み出された空間と結びつく。いまある一般的なミュージカルから見れば「根本的新しい音楽劇」である。要するに一そこにあるスジや役者の感情で見ないで、チェルフィッチュが作り出したここにある空間の感情を読み取ってくれ、と言うわけであるが。さらに解りよく言えば、気候温暖化時代の地球環境とか、都市空間とかの問題を、文化ツールである演劇や音楽の舞台を通してみるとこうなる、どう?という世界の出来事の一つである。それは「わたしの世界の出来事・宇宙の事象を捉える際の人間的・人間中心的な態度に態度の変容を施したい」という理由からくるもので、これからも「その努力をコツコツ積み重ねたい」という。次も見たくなるではないか。
西ドイツでの招聘制作。90分。休憩なし。場内シーンとして名演奏家名演を拝聴する感じ。そんなに堅くならなくても良いのに。もちろん満席である。もちろん、つまらなくはない。

プリティ・ウーマン

プリティ・ウーマン

TBS / Vis A Vision / ぴあ

立川ステージガーデン TACHIKAWA STAGE GARDEN(東京都)

2024/09/18 (水) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

大好きな映画のミュージカル。華やかで、ちょっとセンチで、実に楽しい。あのテーマ曲はやっぱり盛り上がりますね。

大渋滞2024

大渋滞2024

山田ジャパン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2024/09/19 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

意外な展開。ユニークな設定のサスペンスコメディ群像劇と思いきや、かなりヒューマンなドラマになるとは。グッときましたね。しかしながら、車のボディのセット、実にイイ。

リベルテ Vol.28

リベルテ Vol.28

END es PRODUCE

本所松坂亭(東京都)

2024/09/20 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高!めちゃくちゃ楽しめました。まず、MCの重要性というのを痛感しました。仕込みとアドリブの割合が正直わかりませんが、その按分率がどうであれ最高のパフォーマンスでした。というか、みなさん、頭の回転はやいですね。みなさん地頭いいからあのようなテンポのいいことばのキャッチボールができるのだと思いました。今度は2時間まるまるふつうの(←ゲームなしの^^)演劇の舞台を観てみたいです。なにはともあれ、劇団によるエンタメのある種の完成形を観させてもらった気がしました。最高の時間をありがとうございます。

別役実・原作 「カンガルー」を経て

別役実・原作 「カンガルー」を経て

有機事務所 / 劇団有機座

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2024/09/20 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すばらしかったです。牧場のシーンになってから不条理さがわかりやすく、かつぶっとんでいてとくに楽しめました。あと、グリーンのタイツを履いていた女優さん、めっちゃうまいですね。逸材ですね。それと、最後のあいさつで団長さんが涙ぐんでいるところ観てぐっときました。最高の舞台をありがとうございます!

別役実・原作 「カンガルー」を経て

別役実・原作 「カンガルー」を経て

有機事務所 / 劇団有機座

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2024/09/20 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

入り時間が遅れたのもあり、終演まで2時間40分程。
不条理劇とはどんなものなのかと観劇したのですが、やはり分からないところが多かった。
何故、どうなったが多々あったが自分的解釈で何となく理解できたのではと思う。

ネタバレBOX

カンガルーとは何ですか。
新宿万丁目物語

新宿万丁目物語

劇団ドラハ

新宿スターフィールド(東京都)

2024/05/24 (金) ~ 2024/05/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

超高速回転アングラ演劇。

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