ブルーシート
演劇研究会はちの巣座
イカロスの森(兵庫県)
2023/09/09 (土) ~ 2023/09/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
千秋楽観劇。
東北大震災…
生きる事、産まれる事、死んでしまう事、これからの事…
高校生目線の普段の会話、とても新鮮で、考えさせられた。
”はちの巣座”さんらしい演目で、とても良かった!
そして新人さん8人入部🎊
新人の皆さん、とてもよい演技でした。
次作がメッチャ楽しみです!
人生、君とサステナブル
劇団それどころじゃない
神戸三宮シアター・エートー(兵庫県)
2023/09/09 (土) ~ 2023/09/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
千秋楽観劇。
サステナブルが叫ばれる現代、
だが500年未来は滅亡のカウントダウンが!?
どの役者さんもしっかり場を作り笑いを産み、1本筋が通った演技をされていて…
お話も超ド級エンタメ本格SFで、級どストライクで、愉しすぎ!
無茶苦茶、面白かった!
是非是非是非是非、またの復活願う!
リトルワンダー
MEHEM
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2023/09/09 (土) ~ 2023/09/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
楽日観劇。
十周年おめでとうございます。
大樹を信仰する白の民と
信仰しない黒の民。
恵みの大樹を巡る戦争、
停戦後の留学生…
白黒どちらの民にもドラマがあり、
大樹から始まる壮大な物語。
リトワン舞台、137分、むちゃくちゃ良かった。
で、イズミやリュウゴの出生は?
特異体質?
まだ秘密が隠されてる?
気になる!
MARIONNETTE(東京公演)
劇団The Timeless Letter
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/10/01 (日)公演終了
【香梅】Braggart cards 〜乱れ咲き誇る〜
天華楽喜
新宿スターフィールド(東京都)
2023/09/27 (水) ~ 2023/10/01 (日)公演終了
Letter2023
FREE(S)
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/09/30 (土)公演終了
柔らかく搖れる
ぱぷりか
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/09/20 (水) ~ 2023/10/04 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
役者の実力は太鼓判を押す。
これだけの演技力があると違和感なく物語の世界に没入することができて心地よかった。
但し、観終わって心に引っかかるのは、ある種の戸惑いだ。人様の家庭内事情を根掘り葉掘り覗き見ただけの罪悪感。所謂、田舎の強烈な"おやじ"が亡くなった後の家族模様を過去や現在を織り成しながら話は展開するが、"おやじ"への憎しみや愛が語られるのでもなく、同性愛やギャンブル依存症にある種の姿勢を示すでもなく、なんだか皆さんそれぞれ大変ですね、に感想が留まる戸惑い。なんだろ、覗きをしてしまったと警察に出頭しようかな(苦笑)
代わりの男のその代わり
アマヤドリ
スタジオ空洞(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/10/06 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/09/30 (土) 15:00
座席1階
非常におもしろい会話劇だった。劇が進むにつれて解き明かされる物語もあって、謎解きの要素もある。ドメスティックバイオレンス(DV)による離婚を扱っているが、一方的に男性側に非があるわけでもなさそうだ。さまざまな要素を3人だけの登場人物で編んでいく高等戦術。ワープロ書きのパンフレットには「定食屋さんがお米を炊いてそれだけを出してみました」という作品だそうだ。コメ(俳優)の旨さ、炊き方(脚本)の旨さだけで客席に迫ってくる。
アマヤドリが本拠とする池袋の小劇場で、客席と俳優の距離が圧倒的に近い。冒頭、開幕前から長いすに喪服の女性が座ってあくびをしたり、寝転んだり。別れた夫の三回忌だということがまもなく分かる。客席のすぐ脇を通って入ってきたのは彼女の弟。彼女は弟の運転で田舎にある元夫の実家に来たようだが、最初に話題になったのは弟が会社を首になりそう、という話だ。女性には元夫との間の息子、再婚した夫との間に娘がいることも会話の中身から分かってくる。
もう一人の登場人物は亡くなった元夫の弟で弁護士。この弁護士が女性に意外な提案をするところから、話は回り始める。
おもしろいのは、会話のキャッチボールを通して相手がどんな感情を持っているか、また、それがどう変化していくのかを丁寧に描いているところだ。女性の口調も七変化。離婚した元夫やその家族に対する微妙な感情の揺れが、波のように客席に伝わってきた。
アマヤドリを主宰する劇作家の広田淳一は、役者との対話を通して台本を練り上げていくという手法を採るという。このような絡み合った家族関係、人間の心の動きをけいこに参加した俳優たちと作り上げたとすれば、どのような会話がけいこ場で交わされたのか。そんなメイキング映像があったらおもしろいのではと想像した。
けいこ場のような小さなスペースなので仕方がないかもしれないが、もう少し舞台美術に手をかけてもよかったと思う。
雨の終わりかけに怒鳴りたて
劇団東京座
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/10/01 (日)公演終了
Letter2023
FREE(S)
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/09/30 (土)公演終了
Letter2023
FREE(S)
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/09/30 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
終戦直前にタイムスリップするお話。
抗えない時代の無言の圧力と自己で変えられない「死」に向かう心の表現に、涙しました。
つくづく、平和な時代に生まれた幸運をかみしめました。
Letterというよりも、手段はどうであれ真の「心の声」を伝えあうことの重要性を再認識しました。
女性の方のセリフが早口でキーが高くて聞き取りづらく、また、戦闘機のプロペラ音等にセリフが重なるところは役者さんの声が負けてしまっていて、肝心のセリフが聞き取れなかったのが、残念でした。
世代によっていろいろと思うところがある作品だとは思いますが、観てよかったと思いました。
最悪の場合は
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2023/09/27 (水) ~ 2023/10/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
タイトル「最悪の場合は」は、説明の世間と宇宙、本音と建前、不正と隠蔽、そして希望と現実を表している。そして前作「星の果てまで7人で」と繋がるような物語。少しネタバレするが、日本宇宙開発機構-JSA(ジェイサ)が舞台というのが妙。表層の面白さ、その奥には職場愛と人間愛が詰まった人間関係・仕事群像活劇、観応え十分。
そこで起きたであろう不祥事にどう対処するか。初演(2018年)時は日大アメフト部が不祥事を起こしていたが、再び日大アメフト部が不祥事を起こした時期に再演する偶然。またジャニーズ事務所の性加害問題を始め不祥事に係る記者会見が開かれている。なんとタイムリーな内容(公演)であろうか。公演では、宇宙という夢と希望を担う職場における悪夢と現実(最悪)を上手く繋ぎ、勤め人(組織人)の共感を誘う。立ち位置の違いによって不祥事への対処方針が異なる、その濃密な激論が見どころの1つであろう。
前作が宇宙での出来事(地球への思い)を描いているとすれば、本作は地球(地上)において宇宙への思いを馳せる。しかし現実に目を向ければ危機回避に追われる姿。そこには不祥事をどのように収拾するかといったドタバタの裏に 生活という のっぴきならない事情を垣間見せる凄(惨)さ。
会見をする組織の内幕だけではなく、それを報道する機関の在り方にも 一石を投じる幅広さ。冒頭、社外から招聘したリスクマネージメント・コンサルタントが謝罪会見の目的などの蘊蓄を語るが、実際 謝罪会見を行うのは人であるから思惑通りにならない可笑しみが…。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)
MARIONNETTE(東京公演)
劇団The Timeless Letter
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/10/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
大阪公演も観ましたが、観たからこそ?!どうしてもまた観たくて東京まで来てしまいました!!
まずは09/29(金)TRUTHを観れたのですが、かっこよさも面白さも切なさも哀しさも驚きも、ダンサーさんの妖艶さや不気味さ綺麗さも、全てがパワーアップしていて素晴らしかったです!
客席の傾斜のおかげかG列(前ブロック最後列)でもとても観やすかったです!!
今日も観劇出来るのでとてもワクワクしています。
ヒトラーを画家にする話
タカハ劇団
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/10/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★
ヒトラーが画家になっていればユダヤ人虐殺は起きなかった、それなら、タイムスリップしてウイーンに行き美術学校に合格しなかったヒトラーを上手な絵描きにして画家にしてしまおう。それで世界は救われる、ト現代の画学生三人が、タイムスリップする話である。
こんなハナシを作者が思いついたのは、今の若者(といっても高羽もまだアラフォーティのはず)があまりにも第二次大戦中のナチの暴走を知らないから、知らせないと、ということで自分も勉強してこの本を書いたという。客席はほとんど、三十歳前後の男女の客で埋まっていて、この劇団としては満席の盛況である。
満席はめでたいが、戦前生まれで昭和反省の時代を生き抜いたこちらとしては、こんな安易な取り組みで若者に戦争を理解されてもかえって逆効果ではないかと思う。
600万のユダヤ人の命を救う、ト一口言っただけで話は始まってしまう。タイムスリップした画学生たちも志がまるで見えない。志がないのは良いとしても(よくはないが)それに代わる600万の命に対抗できるようなモノがないと、ただのおふざけになってしまう。ヨーロッパで上演したら、小劇場でも、批判を浴びるに違いない。もちろん遠い日本でやってみるというのも表現の一つとしていいのだが、表現者の責任もある。高羽彩は若い女性たちの本音をうまくすくい上げる作家で、こんな素材には向いていない。ヒトラーが絵を捨てて、得意な演説に向かっていった本音はこれでは誤解されるだけで、まるでうかがえない。それにしても、現代のシーンに出てくる若者たちはみんなこんなにチャラいのだろうか。ドタバタ喜劇にしてもこの設定もちょっと偏見のような気がする。
Letter2023
FREE(S)
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/09/30 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
昨日拝見しました。ありがとうございました。とても心に染み入りました。戦争、説くに特攻隊ものは本当に心が痛みますが、この時期に拝見して、いろいろ、現代の状況が本当に幸せなのかも含めて考えさせられました。皆さんの演技も熱演で良かったです。できればラストは起きた歴史は仕方ありませんが、主人公を含めた現代は幸せになってほしかっかな、と思いました。
「HATTORI半蔵‐零‐」
SPIRAL CHARIOTS
シアターサンモール(東京都)
2023/09/27 (水) ~ 2023/10/01 (日)公演終了
MARIONNETTE(東京公演)
劇団The Timeless Letter
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/10/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
『team TRUTH』
「OK、それじゃあ、えー、お前等が日本で一番にしてくれた、最高のRock ’n’ Rollを贈ります!Marionette!」
今作のタイトルの綴りにNが一つ多いのはフランス語の為。
教会のステンドグラスをイメージした舞台美術。上手はスコットランドヤードの殺人捜査課、下手は製薬会社の社長室。雰囲気があるセット。西本卓也氏は良い仕事をした。
女性の絞殺死体、傍らに数本の薔薇。連続殺人事件の捜査に当たる三浦求氏と船橋輝人氏。三浦求氏はシャーロック・ホームズに憧れているようで観察眼に味がある。第一の現場となった教会の、怪しい雰囲気を持つ牧師は吉田恭平氏。(ステンドグラスなどの装飾はカトリック教会なので、神父と呼ばれることが多い。牧師はプロテスタント)。後ろ暗い過去を持つ製薬会社社長の野田裕(ひろし)氏。その息子の大学生(高畑昇汰氏)は新任講師の林里栄さんに夢中。
特筆すべきは池内得裕氏の照明と羽田兎桃(はたともも)さんの振付。PERFORMERの5人が抜群に良い。(高尾静奈さんは体調不良で降板)。もっと彼女達を警部達が戦う“見えない敵”の象徴として作品内に活用した方が良かった。第二次UWFを彷彿とさせるスモークのレーザーショー。あやつり人形の視覚化。古き良き80年代。
凄く丁寧に作られているので好感。
Letter2023
FREE(S)
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/09/30 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2023/09/29 (金) 19:00
2023年から1945年にタイムスリップしてしまった青年。 そして1945年から2023年へ届いた一通の手紙・・・。 そこには、ある人に宛てた切ない恋心が書かれていた。 その手紙と現代から太平洋戦争末期にタイムスリップした青年の成長していく姿が核となっていく物語。
劇中において、特攻隊員や予備員たち、それから隊長含めの恋人や奥さんにかける愛情、ハーフの特攻隊員が社会から差別され蔑まれながらも、妹を愛おしく思う気持ちなどが丁寧に描かれ、最初は奇妙がられていた現代からタイムスリップした青年も段々と特攻隊員たちと打ち解けたり、友情を育んだりと、特攻隊員たちの日常を丁寧に描き、タイムスリップした青年の眼を通して現代と比較して描いているところは良いと思った。
だが、まず、衣装に関して言わせてもらえば、第二次世界大戦中の日本において、富国強兵と同時に、貧富の差に関わらず、贅沢は敵だといったスローガンが出回るきっかけとなった贅沢品の製造·販売の制限七·七禁令が1940年(昭和15年)には出され、さらに米の供出と配給が始まっている事実から考えて、きらびやかな着物や色が派手なもんぺ、また中流かそれ以上の家庭であっても、とにかく物資が不足している訳だから、ご飯ももちろんのことながら、一汁三菜食べれたとは到底思えないところからもリアリティーに欠けると感じた。
また、特攻隊のなかから志願した特攻隊員や特攻隊長が覚悟を決める場面において、表面上は家族や恋人、仲間を心配させまいと思って平静を装ったり、ワザと冗談をいったりして場を和やかにさせていても、心の奥底では、不安と恐怖に苛まれいても立ってもいられないといった一見矛盾しているかのように見えるが、実は一番人間らしい心の機微を、演劇なんだから、独白という形で表すべきだった。独白場面を入れずに、表面上の部分だけを切り取っていたのは非常に残念。特攻隊長や隊員の特攻しに行く覚悟や、特攻前夜の奥さんや恋人、妹との温もりあり、悲しみありな所に重きをおくのも良いが、それ以上に特攻隊長や隊員の心の奥底の声を拾い上げたほうが、簡単に切り替えて自分の命を軽んじているように、さらには、特攻という行為を劇全体として美化しているような在り方に、違和感を感じた。
劇の最後の方で、2023年からタイムスリップした青年が、結局自分は特攻の人たちを助けることができない、どうしたらと思った時に、自分も特攻隊員として志願し、敵機に突っ込む覚悟を決める。それがおじいちゃんになる予定の人を救う唯一の方法でもあると思い決行する。でもこれは、この青年が散々言っていた、お国のため、家族を守るため、奥さんや彼女を守るためといくら美辞麗句を並べたところで犬死に、無駄死にするだけだ、命を粗末にするなと言っていたこととも矛盾する。友達になり、脱走を図り殺された特攻隊員に夢を諦めるなと言われ、一回持った信念は曲げるなと激励されたにも関わらず、どう考えても道理に叶わず、腑に落ちない終わり方に疑問を抱いた。そして青年がどう言おうが自殺行為に他ならない特攻隊員として敵機に突っ込むことが、夢を諦めないこと、信念を曲げないことに無理やり繋げて、皮肉にも、美辞麗句、特攻礼賛、靖国礼賛といった終わり方に、むしろ腹が煮えくり返りそうなほどの激しい憤りと悲しさを覚えた。
特攻という題材が難しいのは分かるが、もうちょっとちゃんと向き合って欲しいと感じた。最低でも、命は何者にも変え難いものだと思うので、主人公の青年は周りに流されず、ほだされず、生きることを選択すべきだった。一人でも多く生き残ることが、10代後半で散っていった人たちも多い特攻隊員たちの無念を晴らすことにもつながると感じた。あと何度でも言うが、特攻に行くことはたとえどんな理由を当てつけようとも、正当化されて良いはずがない。ましてや、特攻に行ったことが現代になっても英雄しされるような描き方は前代未聞だと感じた。
燕のいる駅
ニッポン放送
紀伊國屋ホール(東京都)
2023/09/23 (土) ~ 2023/10/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
のどかな駅舎の風景、思わずこぼれる笑いに溢れているのだけれど描かれているのは世界の終わりの日
心地良い波長、豊かな人間描写、のどかなやり取りの中に忍び寄る異常と悲劇の匂い
とにかく観る側の想像力をかき立ててくれる演技・演出力が凄い
会話の端々から今何が起こっているのか、何故こんな事態になってしまったのか、そして今目の前にいない(舞台から捌けている)登場人物の姿など、余白の部分もイマジネーションで肉付けされていくのだから
かなり昔に同作品を観ており「おだやかなのにインパクトの凄い公演を観たぞ!」という記憶はしっかり刻まれていたのですが、今回の観劇で 間違いなく名作!と再認識
むしろ時代が作品世界に近づいてきている様で、当時以上に感慨深く観ることができたかもしれない
アナトミー・オブ・ア・スーサイド【9月11日~20日公演中止】
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2023/09/11 (月) ~ 2023/09/29 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
華やかな実験劇である。
三世代、三人の女性がそれぞれの人生まっただ中の三十歳代を生きる数年を並行してみせる。ノーセットの舞台にドアの枠が三つ。それぞれの室内でドラマは進行する。シネマスコープの三分割画面を一挙に見ている感じである。15分の休憩を挟んで一時間づつの二幕。各幕に前半4シーン後半は6シーンだったか。
三組のドラマは時に同じ台詞が重なったりして時代が変わっても変わらぬところもあると、暗示したり、、三つの枠で展開する一つ一つのプロットのスジは追い切れないが、起きている事件がほぼ人間の誕生に関することだったりして、現代の暮らしの中で男も女も生きづらい人生を送っていることはよく解る。二三十年前に日本の劇作家が、得意げに台詞を重ねて見せて新趣向と喧伝したのとはワケが違う。こちらは時代も重なっているし、休憩10分を挟んで2時間、全編、ドラマは並行している。三組の俳優はどうやら血縁関係もあるらしく、時に交錯することもあるが、ほぼ独立している。スジはほとんどつかめない。それでいて、スジのつかめないもどかしさはあまり感じない。
文学座の中堅の俳優が、役を生き生きと演じていて、みな適役にみえる。冒頭、一組の男女がチェルフィッチュ風の芝居をやって見せたり、結構賑やかにいろいろな趣向が取り込んでいる。それが、全体としては重苦しい話なのに、人生花盛りのお祭りのはなや傘につながっていく。人間捨てたモノではない。
しかし、ここまでやるなら、見る方にも、三回くらいは見るという前提で興行するという新手もあったのではないかと思う。もちろんコストもチケット代も上がるだろうが回を重ねるたびに面白さは大きくなると思う。(もちろん、そんな興行は出来ないという現状を踏まえた上での公演ではあるのだが、劇団ならやれるのではないか)
文学座は女性演出家の逸材が続々出てくる不思議な劇団だ。生田みゆきもまだ十本もやっていないと思うがもう4本見ている。これは「ガールズ・イン・クライシス」(20)のような前衛性の強い作品だが、昨年評価の高かったアラバールの「アッシリア皇帝」のような作品もスター性のある俳優をうまく使ってエンタメとして楽しめる作品も作る。った今年の小劇場作品の「海戦」も、この作品を仲間内の素人の俳優も混ぜながら芸大の同級生でやる、という趣向が面白かった。華やかで、手が多い。一つ世代を上げると、森新太郎が出てきたときのような感じである。どんどん活躍の場を拡げて欲しい。商業演劇だって軽ーく出来てしまうと思うが才女、才に溺れないよう