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あきらめて明日

あきらめて明日

青春事情

新宿眼科画廊(東京都)

2026/07/17 (金) ~ 2026/07/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 タイゼツベシミル! 華5つ☆。前説から凄い。この劇団の力を見せつける。尺は80分。

ネタバレBOX


 板を挟んで鰻の寝床の両サイドが客席。床の色と対照的な白い箱馬が適当な間隔を開け9~10個ほど置かれている。ファーストシーンに登場するのは20歳くらいの息子とその父。父は息子の寝坊を詰るが、“あんたにそんなこと言えた義理か?” という態度を取る息子、グレて問題行動を取っているというより、父が迷惑を掛けてきたことに対する反発のような感じである。あれやこれや細々と息子を心配する父に対しバイト先で人出が足りない為あてにされている息子にとっては兎に角バイト先に迷惑を掛けられないという事情がある。実際バイト先ではバイトの女子大生が、ゼミが忙しいだの何だので年中、シフトを変わって暮れだの急な休みを取って自分のシフト以外の仕事を引き受けさせられる。或いは遅刻で迷惑を掛けられる等の事態が発生してクタクタにされていたのである。彼のバイト先はコンビニ、従業員は店長、彼、女子大世の3名。店長は年中夜間も人出不足で勤務せざるを得ず単に精神のみならず殆ど肉体的にも限界状態だ。こんな状況の中、奇妙な女性が現れた。彼女は棚からパンを2つ取り、これを食べようとしていた。店長が気付いて「買っても居ない物を食べてしまっては万引きだ」と注意するが、彼女は「私はこれを食べないと死ぬ」と主張、然し店長は万引きを認める訳に行かない為押し問答、そこへ若者が来る、日本語が分かるようだし仕事をして貰えば万引きしなくてもバイト代でペイできるとあって、彼女はこのコンビニで働くこととなった。然し彼女が述べるディスクールは論理的に正しいものの、余りに正当で本質的即ち哲学的なので日常生活で用いられる対話表現としては難があった。無論、これには尤もな理由があった。彼女は宇宙人だった。
 一方父の霊は息子の前に何度も現れ父が自死するに至った経緯、その事情にある男が相談役として関与していたことが分かって来る。息子は父に上手いことを言って金を巻き上げ遂には己が利益の為に自死に迄追いやったこの男を追求したいと願った。そんな折、バイト先の女子大生が見て貰っていた占い師に、自分も占われることとなった。この占い師、可成り当たると評判で彼ら以外にも偶々見て貰った女性が居た。彼女は自分の彼の件で訪れていたのである。ある日息子がシフトに入ろうとするとカウンタ上に宅配便が置かれており、何気なく依頼人の名を見た息子は父の手帳に書かれた相談者と苗字が同じことに気付き記されていた依頼人の住いを訪ねた。チャイムに応えて出てきたのは若い女性であった。怪訝な表情で息子の訪問に対する彼女に、息子は彼女の彼が息子のバイト先に宅配便を頼みに来、住所を宅配物の住所欄に書き込んでいたこと、父が世話になった人物と同じ苗字であったためその住いを訊ねた結果であったことを説明して誤解を解いた。彼女自身が体調の異変から病院で診察を受け妊娠していることを初めて知ったが、同棲相手が一体何を生業としているかについて一切を知らされていなかったことに懸念を持っていた彼女は彼との直接対決に及んだ。
 一方この不思議な同棲カップルの子の誕生に連なる本質的な命の命脈問題を梃子に、様々な縁が日本のコンビニで働く人々と宇宙人とを繋ぎ日常のちまちました生活に宇宙の壮大な時空を繋げることで観客の知の領域、想像力の広がりを検見してでもいるかのような展開を見せる。日本人の悪習である余りにちまちまとしたことにかまけて自らの知的想像の時空迄狭める傾向に対する極めてラディカルな視座を提示する傑作だ。
パール食堂のマリア

パール食堂のマリア

青☆組

吉祥寺シアター(東京都)

2026/07/17 (金) ~ 2026/07/20 (月)公演終了

実演鑑賞

冒頭数分ほどのシーンで、物語の舞台となる街に住む人々が次々と登場し、「これから群像劇が始まるぞ…!」という期待感・高揚感が一気に高まります。と同時に、この作品の主役は「街そのもの」というメッセージが発せられているような気がして、僕の中で、この作品との向き合い方がしっかり定まりました。僕固有の捉え方かもしれませんが、今作における冒頭数分は、とても意味深いものでした。

初演から15年の月日が流れて、今もなお同じ役を担い、青☆組作品をしっかり支える劇団員の藤川さん、福寿さんが、とても頼もしい存在に見えました。そして、同じく劇団員の大西さんが演じられた、一人息子と暮らすシングルマザーの役が、全体の世界観を支える重要なキャラになっており、この大西さんも素晴らしかった。土屋さん、箕輪さんも、それぞれ鍵となるキャラを好演していて、今回が劇団化15周年記念公演ということもあり、劇団の総合力・団結力を一層感じられる上演でした。

『嘘つきは、漂流のはじまり』

『嘘つきは、漂流のはじまり』

劇団Q+

シアター711(東京都)

2026/07/18 (土) ~ 2026/07/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

[teamC]

船員・光永勇輝氏が開演前からステージを甲板に見立てモップ掛けしている。ロカビリー調の髪型。立ち姿が絵になる。
伊豆諸島北部の伊豆大島、活火山三原山を擁する観光地。横浜市会議員(フミヤ氏)の当選を祝して後援者とのフェリーによる二泊三日のツアーが組まれる。

傲慢な議員(フミヤ氏)、尊大なその妻(三月モナさん)、秘書(瑤寺姫乃〈たまでらぴの〉さん)、人語を解するペットの猫(新谷亮介氏)、お付きの獣医(斎藤ゆうさん)。

特別ゲストにアイドルグループYKM99のメンバー(河本百華さん)、追っ掛けのファン(一条文葉〈あやは〉さん)。

ろう学校の教師(はるさん)、生徒(さといさん)。

オープニング、YKM99の曲を皆で踊るのだが、その曲の出来が良い。

夜中、ダビット(クレーン)に吊られた救命ボートに偶然集まった者達。突然、フックが外れ艇ごと海に落とされてしまう。まさかの漂流。

高取英の『帝国月光写真館』は1933年(昭和8年)三原山火口投身自殺事件が題材。今作に似たものを感じた。

ネタバレBOX

前半はつまらない。笑いのセンスなのか全てが空虚。こりゃ失敗した···と自責の念。だが高橋たか子の『誘惑者』を愛するアイドルとオリキ(追っ掛け)の黒魔術のような展開から俄然面白くなる。女なのに男性アイドルとして生きる嘘を母親から背負わされ、啓示を受けたかのように三原山の火口を目指す河本百華さん。漂流した艇はいつしか火口の中心に向かっている。その先は地獄。全てを知る幼馴染、一条文葉さんのキャラが良い。篠原哲雄の『命』のラストなんかこんな風景だった。

殆どの登場人物が嘘を背負いその嘘と向き合って生きている。ここをもっと練るべき。生きる為に皆があさましく争う類型的な流れよりも、正義を信じ尊ぶ誇り高き者達を河本百華さんが一人ずつ破滅させる展開の方が物語としての筋は通ると思う。

※暑過ぎてもう演劇どころじゃない。どっこいガンガンに押し寄せる観客。確かにこういう時こそガッチガチに観劇かも。これが人間心理の妙。クーラーの効いた涼しい部屋で寝っ転がっていたって同じこと。時間は等しく過ぎていくだけ。
20の物語 -週末を、劇場で-

20の物語 -週末を、劇場で-

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2026/07/16 (木) ~ 2026/08/02 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

ラッツォクの灯
途中でまったく別の劇が挿入されることもあり、短編では少々もったいないテーマとも言えるが、ショックからなかなか立ち直れずネガティブになりがちな主人公の不安定な心の有り様を永嶋氏が巧く演じていて、短編でも心情と雰囲気が良く伝わる。ところでランナーが登場するのはあの場面だけ?

20の物語 -週末を、劇場で-

20の物語 -週末を、劇場で-

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2026/07/16 (木) ~ 2026/08/02 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

トイレはこちら
不条理劇というよりはコントに近い感じだが、演者が本職の俳優なので舞台作品として手堅く纏まっている。ロープがはるか上空から垂らされている、という感じで面白かった。

或日の一休和尚
武者小路実篤がこんな戯曲を書いていたとは知らなかった。前劇に続きコント風のストーリーと演出なのかなと最初は思ったが、なかなかの佳作で唸らされた。

パール食堂のマリア

パール食堂のマリア

青☆組

吉祥寺シアター(東京都)

2026/07/17 (金) ~ 2026/07/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/07/18 (土) 18:30

再々演で静かに沁み入るいい話。心が洗われる。(前説等で3分押し)123分。
 劇団化した2011年に初演、その後2016年に再演した作品を再々演。初演も再演も観ている。作・演出の吉田小夏の出身地である横浜で、伝説の街娼をモデルに、昭和30年代、歓楽街の外れにあるパール食堂とその周辺の人々の群像劇。それぞれが心に寂しい所を抱えた人々が、互いにかばい、ある時は傷つけ合いながらの物語は、切なく温かい。初演と同じ役で、ストリッパーの役を演じる小瀧万梨子のすがすがしさが気持ちよい。この所注目してる蓑輪みきの演じ方が素敵。

再演・どんな顔すればいいの@焼跡

再演・どんな顔すればいいの@焼跡

チリアクターズ

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2026/07/16 (木) ~ 2026/07/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/07/17 (金) 19:00

価格3,000円

荒唐無稽でファンタジーなのに苦悩や哀しさがそこかしこに見え隠れする。おそろしく切ないシーンの先に衝撃の結末。主人公の破壊願望の現れであろうか。
主役のmiggyさんの気迫の演技がしっかりしており、芝居全体を引き締めていた

ネタバレBOX

メタ演劇部分は減らしたほうがよいのでは
この景色ぜんぶアクスタにするよ、アリーナ

この景色ぜんぶアクスタにするよ、アリーナ

端栞里と高熱

浅草九劇(東京都)

2026/07/17 (金) ~ 2026/07/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いくつかの場面は、アクスタにして持ち帰りたいと思う。もう少し、長くてもいい。大変だと思うけど。カセット予約した!

フランケンシュタイン対地底童子(クラボッコ)

フランケンシュタイン対地底童子(クラボッコ)

劇団 枕返し

小劇場 楽園(東京都)

2026/07/16 (木) ~ 2026/07/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/07/16 (木) 19:00

価格3,800円

初日を観劇
小劇場演劇。よりアングラ味が増えた。
尺は長いが、ところどころ良いシーンがある

ネタバレBOX

芝居がかみ合うともっと良くなると思う
再演・どんな顔すればいいの@焼跡

再演・どんな顔すればいいの@焼跡

チリアクターズ

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2026/07/16 (木) ~ 2026/07/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一見すると、忍者や天狗が登場する自由奔放でコミカルな世界。でも、空想と現実が溶け合うような物語の中で、主人公の心の揺れや葛藤が丁寧に描かれ、作品の見え方が少しずつ変わっていきました。
神奈川の劇団さんらしく、神奈川を感じられる小ネタも随所に散りばめられ、地元愛が伝わってくるのも魅力の一つ。
コミカルさと温かさが絶妙に同居した、不思議な余韻を味わえる作品でした。

あきらめて明日

あきらめて明日

青春事情

新宿眼科画廊(東京都)

2026/07/17 (金) ~ 2026/07/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

何となく生き、時だけが流れていくような、そんな惰性の暮らしに意味を見つけようとする物語。そこに緩いSFファンタジーといった要素を纏わせ、意味なんてそんなに重要ではない、生きていることが大切だと。「青春事情 Presents 群青劇シリーズ vol.1」…どこにでも居そうな人 ありそうな様相を坦々と描いているが、観ている人の心を満たしてくれる好公演。

明日こそは充実した日を過ごそう、そう願い足掻いている姿に微笑む。それは人の不幸を見て喜んで というよりは立ち止まり、彷徨いながら必死に生きていることへエールを送るような気持ち。どんなに悲しく辛く、そして挫折しても時は流れていく。過去に囚われていては…タイトル「あきらめて明日」は、拘りを捨てることによって 前を向く といった応援歌のよう。
(上演時間1時間20分)

ネタバレBOX

対面客席、中央に白い箱馬がいくつかあるだけ。その箱馬の配置を変え、積み重ねることによってリビングやコンビニのカウンターに見立てる。パンフにある登場人物も「青年」「父」「同僚」といった普通名詞で、人の名前ではない。そこにどこにでもありそうな(一般的な)物語といったことが読み取れる。情景や状況は箱馬の配置だけではなく照明の微妙な明滅/諧調によって表す。

リストラされた父が或るセミナーに通い、コンサルに儚い夢物語を聞かされた挙句 自死し、今 幽霊となって青年(息子)と話している。父亡き後、大学を辞めコンビニでバイトで生計を立てている。コンビニは人手不足、店長は気の休まる時がない。女子大生の同僚は遅刻や欠勤が多く、シフトの変更が大変。そんな時起きた万引き、その犯人の独特の雰囲気や嚙み合わない会話が妙。

人は少し先の未来が知りたい、この先 自分はどうなるのか。セミナーのコンサルがコンビニ店長の諸々の相談に乗っているシーン、一方コンサルの彼女が占い師に占ってもらっているシーンがシンクロする。この2組の会話が物語の肝で、相手を騙すか寄り添うかといった違いが鮮明になる。足元を見つめたリアルな光景、そこに万引き犯の達観したような言動が違う意味合いをもって響く。宇宙(出来事)から見れば店長の悩みなんて という壮大な世界観へ。

物語には、スマートフォンやインターネットといった利器は使わず、対話・会話で紡いでいく。声はあふれているが本当に相手に届いているのか。物語には不器用な人々が語り合う といった生きていく上で大切なことが描かれている。
青年の頑なさ、バイト同僚の陽気さ、占い師の妖しさ、コンサルの怪しげさ、店長の焦燥、父の見守り、コンサルの彼女の不安そして万引き犯の不思議 といった各々の人物像が世間の誰かと結びついているよう。そこに普遍性ある物語を感じる。
次回公演も楽しみにしております。
フランケンシュタイン対地底童子(クラボッコ)

フランケンシュタイン対地底童子(クラボッコ)

劇団 枕返し

小劇場 楽園(東京都)

2026/07/16 (木) ~ 2026/07/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです 引き込まれました

ネタバレBOX

110分たっぷり楽しませて頂きました 
フランケンシュタイン対地底童子(クラボッコ)

フランケンシュタイン対地底童子(クラボッコ)

劇団 枕返し

小劇場 楽園(東京都)

2026/07/16 (木) ~ 2026/07/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

前説でお詫びの言葉。上演時間90分の予定が休憩無しの110分になってしまったということ。脚本家って表現したいことが多いのですね。登場人物は見た目にもそれぞれ個性があって面白い。怪しげな病院の地下室が舞台、小劇場にピッタリの雰囲気です。
作風は
 テーマはシンプル なのに話はやこしい 寝ている時に見る夢 真面目にふざける 必ず妖怪が登場する なぜか漂う昭和感

確かにそうでした。とは言え、内容は意外と難しい。予備知識が要りますね。生物学、医学、妖怪学?ほか色々。私には手に負えない範疇ですよ。でも深く考えないで楽しみました。こんな芝居もあるんだ!

ハムレット

ハムレット

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2026/06/22 (月) ~ 2026/07/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

序破急(公演の序盤中盤終盤)のシステムには見覚えがあるな...と思えば風姿花伝プロデュースであった。鬼才ニシサトシ演出なる「ハムレット」は三年前の滋企画「オセロ」以来で楽しみでしかなかったが、ふと気づけば完売。いや、辛うじて一箇所残っておる。速攻で予約したが後で聞けば追加公演の回であった。
約三時間のハムレットは、端折る箇所は端折りつつ西氏こだわりの演出部分は台詞・ムーブの繰り返しであったりちょっとした喋くりコーナーであったりが追加されているため恐らくストレートにやるより若干長めか。手を変え品を変え、戯曲論演劇論に接続するアプローチをあれこれとぶち込んでいる。私などにとっては美味なる皿が並んだ食卓であったが、一食分のメニューとしては太鼓腹になる量。腹八分目と行きたかったがどの場面も削り難かっただろう。
成河(主にハムレット)、永井茉里奈(主にガートルード)、矢野昌幸と林田航平(ローゼンクランツとギルデンスターのコンビから他の友人、ハムレットの分身からポローニアスにレアティーズ、クローディアス等々八面六臂)ら精鋭が、演出の要求通りの身体処理をこなし切り、客と対面しての前説ならぬ中説をテキパキこなしたり、一瞬よぎるニュアンスをきっちり表現したり、とにかく場面の意図が明確でその都度その場面のルールが明確に示され、感心しきりであった。俳優では初の若手古川路(主にオフィーリア)が不思議チャン的存在感、終盤のみ登場する墓掘り人の佐藤友も秀逸。
場面の処理が合目的的である事に舌を巻くが、最終的にこのハムレットに込めたかったもの、コンセプトは終幕に集約して一つ手渡される形では提示されず、既に忘れてしまった中盤のあれこれまで自らの記憶で遡り、総括する事を求められる。いや単純に楽しめた、で良いのかも知れぬが西氏だけに形而上的な何かに達せんとしただろうと想定してしまう。という前提で言えば、やはり「沢山ありすぎ」なハムレットであった。
が、疲労度を差し引いても面白い。

NORA

NORA

東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2026/07/15 (水) ~ 2026/07/26 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★

スマホを使った会話劇っていう点では新しくて挑戦的なのかもしれない。でも、観ている側としてはその“新しさ”が魅力につながらず、ただただ焦れったかった。話の進み方は遅くてイライラするし、画面の文字ばかり追う時間が長くて、俳優の演技をちゃんと味わうこともできない。正直、「これ、何を観に来たんだっけ?」って気持ちになった。しかも、物語の内容や展開もどこかで見たような既視感が強くて、新鮮さはほとんど感じられなかった。挑戦的な形式を使っているわりに、作品としての手応えは薄く、満足度の低い観劇になってしまった。

パール食堂のマリア

パール食堂のマリア

青☆組

吉祥寺シアター(東京都)

2026/07/17 (金) ~ 2026/07/20 (月)公演終了

実演鑑賞

良作、佳作という言葉が相応しい良くできた作品。

群像劇とはこういうものだ、と教えられた気がします。

ネタバレBOX

寿町辺りかなと予想をしていたけど、伊勢佐木町のあたりがモデルだそうです。
パール食堂のマリア

パール食堂のマリア

青☆組

吉祥寺シアター(東京都)

2026/07/17 (金) ~ 2026/07/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

戦後、連合国軍将兵と娼婦(を含む日本人女性)との間に「GIベビー」と呼ばれる混血児が多数誕生した。連合国軍40万人の内、約10万人が横浜に駐留、土地と施設を大規模に接収した為、横浜出生の割合は大きかった。育てられない赤ん坊が横浜外国人墓地に毎夜棄てられ、当時の墓守りが個人で根岸外国人墓地に埋葬していたという。その嬰児の数、ざっと900体。運良く育てられても白人や黒人、一目で日本人でない容貌はずっと差別の対象とされ、「あいのこ」と蔑まれ生まれながらに不幸を背負わされた。

舞台美術の濱崎賢二氏は凄いな。まるで童話の挿絵、しかも薄っぺらく嘘臭くない。この世界を成立させている。紙風船みたいな幾つもの外灯も美しい。

テーマは「痛みと美しさ」。

ネタバレBOX

前回、『星降る教室』を観たが世界が綺麗過ぎた。優しい善人達の思い遣りに満ち溢れた透き通った世界。自分の世界ではなかった。今回もヨコハマメリーをモデルにしていると知ってちょっと不安。彼女について自分が知るのはほぼドキュメンタリー映画を観ただけだが。(ラストに老人ホームに入居中の本人の映像が映る衝撃。実は無許可の隠し撮りだったらしい)。かつて西浅草周辺のラブホにも老婆の立ちん坊が複数いて常連らしき老人客とホテルに入るのをよく見かけた。とても美しい話なんかではない。心の病んだ頭の壊れた浮浪者なんかそこらここらにいた。とてもメルヘンには成り得ない。自分もいつかこんな境遇に陥るのではないかとの漠然とした不安。他人事のような気がしない。痛みと恐怖。孤独な浮浪者の発するあの臭い。あてもなく西友の食品売場をうろつき、電話ボックスや公園のトイレに閉じ籠もり、嫌われ罵られ追い払われ一日中逃げ回っている。それは野良猫ともよく似ている。この暑さで野良猫が駐車場の車の下で鳴き声を上げて助けを呼んでいた。身動き出来ないようだ。エナジーちゅ~るを4本あげたが無事だったろうか?もっと何かするべきだったか?(※後日、無事を確認)。

だが今作は好き。松本紀保さんの存在も大きいと思う。(開演前から立っていたが本人とは思わず、なんか似てるなと思ってた)。ああ成程、メリーの痛みが伝わってくる。

一条さゆりをもじったストリッパー、小瀧万梨子さんが綺麗過ぎて恐い程。杉本彩にさえ見えた。何か魔法がかった感じ。
ストリップ劇場の支配人、代田(しろた)正彦氏はヘタウマな味。この役作りは独特で癖になる。
黒人の血が入っているのだろう紫音琉花さんも魅力的なキャラ。

「パール食堂」の店主、藤川修二氏。亡き妻、松本紀保さん。店に全てを捧げ自分を犠牲にしてきた長女の福寿奈央さん。次女の土屋杏文(あずみ)さんは大学まで行かせて貰い教師になった。もう一人、死産した弟がいる。米兵に輪姦されて孕んだ子供。死産で外国人墓地に藤川修二氏が埋めた。松本紀保さんはずっとその子のことを夢に見る。どんな子だったのか?本当に死産だったのか?墓参りに行きたい。例え夫婦の間の子供ではなくても育てたかった。この痛みこそが今作を貫くテーマ。誰にも益しない産まれてくるべきではなかった存在について。彼等は悲鳴を上げる心の傷でずっと後を引くトラウマでどうしようもない罪悪感で···、その痛みはもう自分自身そのものだ。自分自身をどうにかして救いたい。抱きしめてやりたい。

イタリア人ハーフの川尻アンジェロ氏は昔の知人に似ている。その彼もモデルだった。クレモンティーヌから習ったトマトを使った惚れ薬レシピ、賄いとして福寿奈央さんにそっと提供し続ける。

野良猫のノワを演じる蓑輪みきさんがMVP。ゲイバーを経営するクレモンティーヌがノワール(フランス語の黒)を縮めて名付けた。冒頭、ふと魂を抜かれたように死んでしまったノワ。死んだ彼女がこの街について思い返す構造。(『焼肉ドラゴン』もそうだった)。ナナシの猫や福寿奈央さんと紫音琉花さんの少女時代他も兼ねて演じる。

シャンソン歌手・永登元次郎をモデルにしたのか、エスムラルダ氏演ずるクレモンティーヌ。彼が死んでいった猫達の名前を一匹ずつ確かめるように口にするシーン。一匹思い返す度にその猫が確かにこの世に存在していたことを知らしめる。記憶の蝋燭が灯る。

土屋杏文さんの受け持つ生徒、高校生の百武宏洋(ひゃくたけ・こうよう)氏は帰っても家に誰もいないので時間を持て余している。絵が好きでメリーや死んだノワをデッサンしたいと思う。世界は痛みと美しさで作られた結晶。とても残酷でとても痛く、それが故に涙が出る程美しくもある。ステッドラーの高級鉛筆、「マルス・ルモグラフ」(?)に憧れる。その母・大西玲子さんは女手一つで美容院を経営。何とか息子を大学まで行かせてやりたい。立ちん坊を罵倒し追い払う剣幕。だがこの態度こそが普通。弱い立場の者に優しく接してやる住民の方が変わり者。それがこの世界。

同僚の教師・吉田智則氏と土屋杏文さんとが仄かに心寄せ合う日々の描写。

メリーと猫の描き方に好感。断片を提示して物語を垣間見せ観客の頭の中で想像完成させる方法論。凄く良いと思う。逆に後半、水島家の物語ばかりが続き、比重が傾き過ぎたのは全体のバランスとしては勿体無い。ラストの佐賀県(?)から送られてきたクレモンティーヌの香りを嗅ぐ福寿奈央さんの表情はパーフェクト。他の終わり方がない。

リュシエンヌ・ボワイエの「聞かせてよ愛の言葉を」やジャコモ・プッチーニのオペラ『ジャンニ・スキッキ』からアリア「私のお父さん」が使用されているようだが、何故か自分は映画『慕情』のサントラだと勘違いしていた。記憶の混同?

夏に咲くピンクや白の花、芙蓉(フヨウ)。朝に咲いて夕に萎む一日花。生まれては死んでを繰り返す輪廻の花。また巡り逢おう。

BLANKEY JET CITY 「ダンデライオン」

夕焼けを見た 憶えているかい?
屋上に座りオレンジ色を見た
二人の間を流れてたあの風は
今は何処を旅しているのか 空の下で
喫茶ポローニア

喫茶ポローニア

こぬかーめ

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2026/07/17 (金) ~ 2026/07/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2026/07/18 (土) 13:00

人間や事件の接点が徐々に判明していく複雑系ステージ。最後の最後の種明かしが「ああ!」 暗転&机と椅子の出したり引っ込めたりの回数がもうちょっと少なくなるよう要工夫か。

この劇場に最後に行ったのはコロナ禍前なので数年ぶり。存続しててよかった。

フランケンシュタイン対地底童子(クラボッコ)

フランケンシュタイン対地底童子(クラボッコ)

劇団 枕返し

小劇場 楽園(東京都)

2026/07/16 (木) ~ 2026/07/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

こちら初見です。
今日はどこを観に足を運ぼうか迷ってたけど、好きな劇場(楽園)であったこと、以前から少し気になっていた団体だったこと、フライヤーが大変好みだったこと。以上の要素から、当日券で飛び込みました。
結果、すごい好みな要素ばかりの芝居で、リピーター割を利用して、マチソワしちゃいました。

フライヤーを見る限り、良くも悪くも怪奇趣味の子供騙しのような、大げさな芝居を想定しそうだけど。
OPあたりは、その辺りの趣味大歓喜だけど。実際には、ミステリー要素が強いかな。
おバカな要素や、衒学的な、あるいは哲学的な、生硬なセリフパートとかもあって。
人間って何?みたいな部分も触れられます。
妖怪が実在し、医学科学も現代より進んでる世界でのミステリーって感じ。

OPは、白黒の怪奇映画テイスト、序盤はB級ホラー映画テイスト、そこから個人的には、夢野久作の怪作ドグラ・マグラのような、立ち位置の不安定さをおぼえるミステリーで。最後は綺麗に回収されて、リリカルに情緒に持っていかれる感じ。

ファンタジーやオカルトってだけでダメな人がいるってのも知ってますが。
そうじゃなければ、観たら刺さる人、確実にいる芝居だと思う。
美術や衣装も公演の規模にしては、頑張ってるし。
役者も、みんなハマっていて安心して観られました。熱量も心地よかった。

荒唐無稽な設定ではあるけど、枝葉までよく出来てると思います。
2回観たので、2回目できちんと拾えるなって思えました。
フライヤー見て気になったら、ぜひ、観に行って欲しいな。

ネタバレBOX

もし、ネタバレを気にしないでタイトルをつけるなら、”恋する座敷童”だと思います。
朗読劇『紫苑のもみじ』

朗読劇『紫苑のもみじ』

AOI Pro. サンライズプロモーション東京

日本青年館ホール(東京都)

2026/07/17 (金) ~ 2026/07/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ちょいとファンタジーで恋バナ入った家族ドラマの朗読劇、なかなかに楽しめました。有名な声優さん達を生で見れたのはいいですね。ピアノトリオの演奏も効果的でした。

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