最新の観てきた!クチコミ一覧

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フェイス

フェイス

リーディングドラマ『フェイス』製作委員会

よみうり大手町ホール(東京都)

2024/12/16 (月) ~ 2024/12/18 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ランズベリー・アーサー&坂元健児の回を観劇
大劇場仕様のリーディング公演は大体クオリティーが安定しているので、楽しめるか否かは脚本にかかっている…というイメージ
二人芝居でありながら二人芝居じゃあない
引き出しの多さや瞬発力を遺憾なく発揮できる内容なので役者さんもやりがいがありそう
今時のリーディング公演は単なる朗読ではなく、動きのある(演じる)見せ方、客席に迫ってくる様な迫力まであって充実しているなぁと思う

昭和歌謡コメディVol.20

昭和歌謡コメディVol.20

昭和歌謡コメディ事務局

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「江藤博利プロデュース『昭和歌謡コメディVol.20』笑い続けて丸10年!遂に最終回」…観てきた。いつも通り 1部は芝居、2部は歌謡ショーという二部構成で、最終回だからと言って気負うところはない。観(魅)せて笑わせる いつものスタイルにホッとする。

これも いつもの光景であるが、コアなファンが熱心に応援している。お揃いの法被もしくはTシャツを着込んで 声援を送り、紙テープを投げ サイリウムライトスティックを振る。自分も2014年3月の旗揚げ公演から断続的(今回含め12公演)に観ており、ずいぶんと楽しませてもらい 癒されたものである。理屈ではなく 如何に楽しむか、そして演者と観客が一体となって会場を盛り上げる。そんな公演が見納めになるとは残念だ。
感謝を込めて★5つ。

(上演時間2時間20分 途中休憩15分含む) 

ネタバレBOX

1部(芝居)の舞台美術は、上手/下手に白壁を思わせる衝立、舞台が 築地の老舗すし店「ひろ寿司」という設定であるから、カウンターとテーブル席、そして新聞があるだけのシンプルなもの。

今回はレギュラーキャストの山下若菜さんが脚本を担当。物語は、ひろ寿司二代目のヒロトシ(江藤博利サン)と妹まるみ(白石まるみサン)の兄妹喧嘩から始まる。ヒロトシと妻ゆみこ(田中由美子サン)は結婚35年、それを祝って何かサプライズがあるのか。ヒロトシは、ゆみこを始め 娘みゆ(小松みゆサン) や まるみといった家族、そして近所の人たちからも煩がられている。そんな彼をさり気なくサポートしてきたのが妻である。その彼女を蔑ろにするヒロトシを まるみは許せない。そこで一計を案じ、ゆみこが急逝したと。そして巻き起こる騒動を笑いと滋味をもって描く。勿論 奇想天外ながら大団円である。ラストの歌「蒲田行進曲」が実に印象的だ。

2部の昭和歌謡ショーは、入り口で配布された多色彩のサイリウムライトスティックが美しく輝き出演者を応援する。また紙テープが乱舞するように空を飛ぶ。昭和歌謡を始め、アイドル歌謡、アニソン、演歌など多彩な曲目。コントやパロディ、客弄りをしながらのモノマネ、バルーンアート等で笑わせる。隣席の人は口遊むように一緒に歌っていた。本当に残念だ!
BACK FIRE WARS

BACK FIRE WARS

KOTH

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

12月15日観劇。

ネタバレBOX

隣のおじさんが開演して間もなく寝はじめて、私は面白くなるまで頑張るぞと思ってたんだけど、ずっと我慢できず、きっと凄く面白かっただろうところを見逃してしまった。ごめんなさい。
イヨネスコ『授業』

イヨネスコ『授業』

楽園王

サブテレニアン(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/21 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 元々20年前に利賀演出家コンクールで優秀演出家賞を受賞したメンバーでの再演。

ネタバレBOX

 今作、不条理劇の代表的作品の一つとして名高いこともあり実に多くの演出家が独自の解釈で自分なりの捻りを加え随分印象の異なる作品に仕上げて舞台化してきた作品だから舞台を実際に観た人は多かろう。然し利賀演出家コンクールの規定で戯曲自体(今回作は翻訳)を基本的に変更できない、という縛りがある為、今作では教授の狂気を可成りストレートに表現している点が逆に極めて新鮮に映った。然し大きな工夫は無論ある。起承転結を入れ替え転結を前半で演じ、起承を後半で演じるということをして惨劇が永遠に続くことを示唆しているのだ。而も被害を受ける女生徒たちは何れも手錠を長めの鎖で繋いだ手枷をはめられているのである。この辺り何を象徴させているか? を考えさせ、多様な解釈を観客に任せている点が実に上手い。更に教室の壁には3つも掛け時計が掛かっており、それぞれ示す時刻が異なっている。このことの意味を考えるのも面白かろう。教室入口脇には書籍が詰まった書棚が二つ。如何にも全博士課程を修了した教授という実績を物語っている。近在の人々の間で極めて著名な教授であるが、実際に行っていることは殺人でありそれも大量の連続殺人であるのに、訪れる生徒たちが絶えないことも不条理だが、それはおいても登場する人物5人の中で何度も教授に危険だと忠告することで唯一正常な人間であると思わせる家政婦のマリーが、とりわけ危険な数学の授業だと分かり切っているにも関わらず教授の凶器であるナイフをテーブル上に置くのは、目立たぬ様で正常らしき人の持つ性質の悪い狂気を現わしている点で最も怖い。
穏やかな人と機

穏やかな人と機

劇団青年座

新宿シアタートップス(東京都)

2024/12/12 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/12/17 (火) 19:00

小劇場系の作家の戯曲を青年座が上演。シビアな内容の、企業モノと呼ぶべき作品。120分。
 介護用品会社を舞台に、開発と営業の狭間で悩む男と取り巻く人々…、の物語。劇団「かわいいコンビニ店員飯田さん」の主宰・作・演出の池内風が書いたのだけれど、青年座が新たなものを求めているのだと思うと、面白い。事象を淡々と、膨大なセリフで提示するスタイルで、独特の感触を生み出してはいる。ちょっと過剰に見えるし、エンディングにはいろいろ意見があるとは思うが(私はアリだと思うが)、これも池内のスタイルということか。役者陣の巧さは流石、だが、セリフを噛む場面がいくつかあったのは残念。

桜の園

桜の園

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2024/12/08 (日) ~ 2024/12/27 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

チケットの抽選に次々と落選。最後に立ち見席に辛うじて当選。85分、休憩15分、75分。計3時間の立ち見の「桜の園」である。
世の中の動きに目を瞑り、異郷の大都市で放埒に生きてきた女性が、一族共々時代の流れの中で故郷から放逐されるふるさと物語り。19世紀から20世紀にかけて世界の各地でさまざまな形で起きた近代から現代への社会変動を背景にした20世紀演劇で最も広く上演された作品の一つだ。だが、その「桜の園」も随分変わった。それが如実に現われたのがラネーフスカヤを演じる女優の年齢である。今は東山千栄子のラネーフスカヤを実際に見た人は少なくなっているだろうが、見た世代では、この女主人公は60才過ぎの老人としてすり込まれている。かつて新劇の代表作とされたこの作品の女主人公を演じた名優たち、細川ちか子、杉村春子も老年になってからの主役であった。
昨年パルコ劇場での上演では原田美枝子(演出はイギリス人)、今回は天海祐希。ちょっと昔になるが、2003年の蜷川演出では麻美れい。一つ。いのちある俳優によってしか表現できない演劇では、俳優も又同時代の顔になる。観客も又共に時代を生きなければならない。
今回の演出はケラリーノサンドロヴィッチ。彼の舞台としては静かな舞台だが、今の時代と併走する円熟の舞台だった。ケラも歳をとる。コロナで上演寸前に上演中止になってから5年。多作のKERAの作品のなかでもあまり本をいじらず「演出」の代表作のひとつだ。
ラネーフスカヤを演じる女優が若くなったのに従って、戯曲の読み方が大きく変わった。
二つ。没落貴族の哀切のドラマから、新時代を拓く若者の解放のドラマへ。戯曲の中で重点の置き方が創る側でも見る側でもほとんど180度変わった。それが、ドラマの構造から各登場人物のキャラ作りにも及んでいる。KERAの演出は細部にまで細かく手がはいっている。中止になった舞台からはキャストが替わった役もあるが、みな過去に見なかった役の演じ方をしている。しかも、理に落ちた芝居をしていない。荒川良々、山崎一、緒川たまき、さらに藤田秀世(ピーシチク)、鈴木浩介。だからこそ、役者たちもラストの名台詞も生きている、ケラはかつて「若者は常に正しい」と言い切ったことがある。ここが三つ。
故郷へ帰る汽車の汽笛から始まり、全く意外にも軽かった幕切れの時代が変わる音で締めた音響設計。さらに保守的だがまとまりの良い美術をも良かった。ここが四つ。
年末に「ヴェニス」と共に「桜」も本年屈指の作品だった。





BACK FIRE WARS

BACK FIRE WARS

KOTH

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

リフレクション

リフレクション

レイジーボーンズ

小劇場 楽園(東京都)

2024/12/03 (火) ~ 2024/12/11 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/12/10 (火) 14:00

【内容に具体的に触れています】
劇作家と演出家の「道学兄弟」とあらすじにあるドラマ脚本家と原作小説家の話が併走して入れ子構造かと思うがどちらが本筋でどちらが劇中劇か尻尾を掴ませないのは胡蝶の夢かウロボロスの二匹版か?
そうしてしばらく経って思い当たったのはM.C.エッシャーの作品群。エッシャーがお好きな方はこれもお気に召すのでは?
さらにメタ部分もありまさに「迷宮演劇」?(笑) タマラン!

ガラ版 エデンの花

ガラ版 エデンの花

ガラ劇

シアター風姿花伝(東京都)

2024/12/11 (水) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

Aチーム観劇
火の鳥はよく知らないけど、3つの世界が自然に繋がり1つの世界観を構築していく展開に美しさを感じた。
素舞台、小道具は傘のみ、役者の演技だけで情景を変化させるところが凄い。
これからも注目していきたい団体。
面白かった!

十二人の怒れる男

十二人の怒れる男

日本の劇団

駅前劇場(東京都)

2024/12/11 (水) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

安定、安心の戯曲。
映画は何度も見ているが舞台では2度目。展開は分かっていても理性とエゴと論理の交錯を楽しんだ。
ただ何となく綺麗過ぎた、と言うか落ち着いた印象がある。
3号はもっともっと感情ぐじゅぐじゅな姿が見たかったかな。
とは言え、面白かった。

蒲田行進曲

蒲田行進曲

“STRAYDOG”

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/12/11 (水) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

遅くなりましたがとても、良かったです。みなさんの声の張り方は、素晴らしかったですしなにより情熱が伝わって来ました。涙しました。

蒲田行進曲

蒲田行進曲

“STRAYDOG”

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/12/11 (水) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

優組 観劇。
熱い演技、殺陣…本当に良かったです。

ネタバレBOX

蒲田行進曲は、映画版をテレビで35年以上前に見て、風間杜夫と平田満の熱演の強烈な印象を今でも覚えているので、舞台を楽しみにしていました。
アフタートークで、舞台セットが全くなく、俳優の身一つでの公演なので、同じ本なのに、優組と朋組…全然違う!!と、おっしゃっていましたので、朋組のも見たかったな〜と思いました。
随分前に、北区つかこうへい劇団を観劇しましたが、蒲田行進曲は観劇できないままでしたので、本当に感動の舞台を観ることができて良かったです。
こんばんは、父さん

こんばんは、父さん

ニ兎社

俳優座劇場(東京都)

2024/12/06 (金) ~ 2024/12/26 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

二兎社『こんばんは、父さん』を観劇。

息子に小さな工場を継がせたくない父と父親のような職人になりたいと憧れを持つ息子。
互いの思いは通じず、息子は父の期待通りの職業に就き成功者になるが、投資で失敗し借金を重ねて逃げ待っている。
工場経営は順調だったが、時代に取り残されてしまい、借金を重ねて夜逃げしてしまった父。
互いに借金取りから逃れた先は以前の住んでいた工場。そこに借金取りが現れ、父と息子の確執が暴かれていく。
最近では描く事が少なくなった父と息子の物語。終わりの見えない親子の罵り合いにうんざりしながら、亡くなった母の存在が浮き上がってくると、分かり合えなかった家族間の原因と物語の本筋が見え始めてくる。
闇金を借りてしまった古い昭和世代の父とその息子。金が簡単に稼げるから取り立て屋になった現代の若者。互いの世代感と価値観は違えども、『幸せイコール金を稼ぐ』という定義に翻弄されてしまった登場人物たち、いや我々へのメッセージは痛烈だ。
永井愛の戯曲は政治や社会の不正を描くことが多く、ついつい他人の出来事の様に見てしまいがちだが、先ずは己の足下を見る事が一番大事なのだという思いが切実に感じられる。
病室

病室

劇団普通

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2024/12/06 (金) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「会話の反復が紡ぐ生々しい寓話」

ネタバレBOX

 山と畑に囲まれた脳神経外科専門病院の一室に4人の患者が入院している。救急車で搬送されてきた片岡(武谷公雄)を見舞う妻(松本みゆき)と娘のあみ(上田遥)のところへ、車椅子で近寄った同室の佐竹(用松亮)は根掘り葉掘り質問を浴びせ喧しい。2週間で退院できる片岡とは異なり、下肢が麻痺している佐竹はがんも患っているそうだ。佐竹の隣のベッドの小林(渡辺裕也)も片岡一家に興味津々だが、内気な性格のようで佐竹越しに片岡への質問を投げかけて要領を得ない。もう一人の患者である橋本(浅井浩介)はベッドに横たわったままだ。

 劇が進むにつれて患者たちの背景が浮び上がってくる。度重なる発作に見舞われてきた片岡は、家族に促されなければ担当医師(浅井浩介・二役)に治療方針の変更を言い出せないほど物静かだが、息子の広也(重岡漠)に「お前は病気の俺の面倒を見ろ」と言い放っていた。橋本は娘(青柳美希)が夫のもとを離れ幼い子どもを二人連れ帰省していることに戸惑いを隠せない。家族と軋轢のあった小林は娘(上田遥・二役)くらいしか見舞いに来てくれないようだ。他人の事情にズケズケ入り込んでくる佐竹も、泣いてばかりの妻(石黒麻衣)に頭を抱えているようだ。やがて片岡が退院し、佐竹が転院する日がやってくるのだった。

 効果音やBGMのない静かな空間で展開する何気ない会話の応酬に定評のある劇団普通の作風が、病院の相部屋での人間関係を描く本作では見事にハマっていた。誇張された台詞を極力廃し極めてリアルなやり取りの俳優の芝居とは異なり、舞台面に沿った天井の白枠や簡素なベッド、舞台奥の閉まったままのカーテンなど、美術は極めて抽象性が高い。いわば生々しい寓話ともいうべき独自の作風を成立させていた。ややパターン化しているようには見えたが、言葉の反復と噛み合わない論点がコミュニケーション不全を起こしている様子に会場からは度々微苦笑がこぼれていた。小津映画に出てくる笠智衆のように朴訥とした片岡を演じた武谷公雄、ギョロリとした目で声を張りあげる不躾さと、反面自身の病後や妻の嘆きに心を痛める佐竹を演じた用松亮の芝居が特に印象に残った。青柳美希と石黒麻衣が二役で演じた看護師による介助が芝居の流れを切り替える役割を担っていた。

 他方で登場人物と家庭環境の描写が多く、説明的で散漫になった印象は否定できない。理学療法士の遠藤タケル(重岡漠・二役)と青柳美希演じる看護師の仕事終わりの逢引から、昼間病室で起きた出来事に外部の視点を入れるという企みもあまり効果を上げているようには思えなかった。いっそ病室の描写に絞ることで患者たちの会話から見えてくる病院という社会の仕組みを立ち上げていったほうが広がりがあったように思う。
ぬけがらの街

ぬけがらの街

ハコトバコ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2024/12/13 (金) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

映像もうまく取り入れて、なかなか面白かった。

ぬけがらの街

ぬけがらの街

ハコトバコ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2024/12/13 (金) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

相変わらずの掘建て小屋の会場、久々に行ってきました。
会場は小さいながもま、うまいこと映像も使って、なかなか面白い作品になってました。
ちょっと考えさせられるところもあったかな?

荒野に咲け

荒野に咲け

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/12/15 (日) ~ 2024/12/24 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い。
或る事件や伝承的な出来事といった題材ではなく、身近な家族・親戚 いや人間の心に蠢く羨望や嫉妬といった思いを描く。それを家族崩壊と街の衰退を重ねるように紡いだ群像劇。本作は劇団創立25周年記念ということもあり、あえて劇団員のみの公演にしたと。

この劇団の特長である仕掛けのある舞台装置、本作でも その迫力と印象付けといった効果は十分に発揮している。それが 新作公演とはなっているが、過去公演からの繋がりのようで 地続きの光景を思わせる。物語の中心人物 篠塚香苗役を大手忍さんが演じているから、なおさら その思いを強くした。話としては、ありふれた と言っては語弊があるかもしれないが、桟敷童子公演としては実にリアルだ。当日パンフに「オリジナルの物語であるが、モデルはある」と。ただ、話の肝になるであろう父親の行為、その動機なり理由の描き方が足りないような気がする。

ちなみに 少しネタバレするが、タイトル「荒野に咲け」の「荒野」とは「この世」の意、まさに地に足をつけたような公演。社会(派)的なダイナミックさはないが、人それぞれの感情が弾け飛ぶ。観応え十分。
(上演時間1時間55分 休憩なし) 12.20追記

ネタバレBOX

舞台美術は、両側に階段を設え 奥で渡り廊下の様に繋ぐ。その中間に 大きなヒマワリのモノクロ絵が天井から吊るされている。シンプルなシンメトリー。

舞台は 九州 玄界灘近くの田舎町。かつては炭鉱で栄えた町であったが、今は人口が減少し鉄道は廃線、駅舎は郷土資料館になるなど すっかり衰退している。そこに機関車IKIRUが展示されている。往時を偲ばせる巨大な煙突が数本残っているだけ。この舞台、炭鉱三部作を連想し 地続きの今を描いているよう。巨大な煙突は炭鉱町のシンボル、そしてヒマワリ畑(色彩の違い、原色・モノクロ)や機関車(大きさの大・小)といった 往時と現在を比べた象徴的なもの。

物語は、3姉妹が嫁いだ先の家族のそれぞれの様子、暮らしぶりを点描していく。長女 澄江は町で食堂(今は弁当屋)を営む古橋家へ嫁ぐ。町の衰退とともに経営は縮小したが子供たちを大学へ進学 卒業させた。また数人の従業員も雇ってそれなりの暮らしぶり。次女 孝子は、篠塚家へ嫁ぎ 貧しいながらも一家で登山やキャンプに行ったり平穏な暮らしぶり。息子が学校で苛められていたこともあり、無理やり進学校へ行かせようと。三女 勝代は離婚し、今(稲森姓)の夫と再婚したが、夫は働かず勝代がパートを掛け持ちして生計を支えている。夫の先妻の娘とは折り合いが悪い。3者三様の暮らしの断片を切り取り<家族とは?>を考えさせるよう。冒頭、孝子の娘 香苗が詐欺に騙され多額の借金を背負う。一家で夜逃げ同然のように町を出るが…。

時は流れ、香苗の父は自殺(気が弱かった?)をし、母は壊れ荒れた生活をしていた。篠塚家はバラバラになり音信不通状態が何年も続いていた。3姉妹が嫁ぎ先で築いた生活、その家族の幸福度の比較や確執などが切ない。家族という他者との関りが 蟠りをもって描かれている。浮浪者同然で探し出された香苗は、古橋食堂で働き始め 自身のトラウマを克服しようとする。しかし複雑化されたトラウマ、町の閉塞感など、この環境に馴染めず また町を出て行こうとするが…。

ラスト、産業廃棄と書かれた機関車IKIRUが、炭鉱最盛期に活躍した機関車DOROBANA51号に立ち向かうような。そこに「荒野」という「世の中」で生きていこうとする逞しさを感じる。自分が観てきた公演すべてについて、どんなことがあっても「生きる」といった根本が描かれており、それは劇団の一貫した思いのようだ。
次回公演も楽しみにしております。
『人間狩り』+『改札口』

『人間狩り』+『改札口』

T-PROJECT

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/05/16 (火) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/16 (火) 18:30

戯曲を読んだときはあまりの展開に「え?これをやるの?」と思いましたが、舞台で観るとその緊張感と息遣いに飲まれました。それぞれ1時間程度のショートでしたが、満足度は高かったです。不条理劇というジャンルを堪能しました。

穏やかな人と機

穏やかな人と機

劇団青年座

新宿シアタートップス(東京都)

2024/12/12 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/12/16 (月) 14:00

座席1階

青年座創立70周年記念公演の一つ。ユニット「かわいいコンビニ店員飯田さん」主宰の池内風が青年座に書き下ろすのは初めて。劇団に書いてくれる新たな作家を発掘する取り組みだと思う。

舞台は介護用品製造販売会社という一風変わった設定だ。褥瘡の発生を抑える介護ベッドの開発を担当していた技術者が、ある出来事の責任を取らされた形で営業部に異動となる。技術者は、販売が好調のAI画像分析を搭載したベッドの動作不良を感じて再検査を求めているが、同期の営業部員は検査に後ろ向きで販売促進を続ける。「何かあったら命に関わる」と、技術者の良心にかけて検査を求めるが、部内では孤立していく。

会社の中の群像劇。掃除のおばあちゃんも含めてユニークなキャラクターがたくさん登場し、それぞれに脚光を当てるという面白い筋立てだ。物語のメーンは、機器の不良にほおかむりして新バージョンの製品の開発を急ぎ、仮に不良だったとしてもそれをなかったことにしてしまうというもくろみとの戦い。AI画像分析というのも今風でいい。
機器の不良を疑わせる事例は、施設でこのベッドを使っている利用者の離床をセンサーが感知できなかったというできごとだ。離床が感知できないと、徘徊傾向がある認知症の人が勝手に施設の外に出て行ってしまう危険性がある、とのことだった。
自分が感じたのは、施設側もこうしたハイテク機器に頼らず、離床が感知できなくても利用者に危険が及ばないような対策を取るべきだと思ったのだが、そのような点には言及はなし。また、今作で登場する離床センサーがどのような形のものなのかははっきり示されないが、アナログ的なものだと、センサーマットを利用者の足がつくところに敷いておけば、マットのセンサーが壊れない限りは離床を覚知できる。こんな細かいところが気になってしまった。

群像劇として、会話劇としては抜群に面白い。だが、ラストの幕切れがいけない。このような終わり方はとても欲求不満だ。まるで、続編がありますよといわんばかりの終わり方に、私は拍子抜けと感じたし、周囲の拍手の状況から、私と同じように感じた人も少なからずいたと思われる。

S(さりげなく)F(fiction)~知る由もない彼らの人生~

S(さりげなく)F(fiction)~知る由もない彼らの人生~

藤一色

中野スタジオあくとれ(東京都)

2024/12/14 (土) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

白つくもと夢の中で〜を観劇
60分と30分でしたね
どちらも一人芝居であり
被った感あったかなぁ
夢の方を先に短めで
白の方を後にして長めの方が
よい感じがしました

ネタバレBOX

◆「白(つくも)」 社会との距離感
出演:藤束遊一(藤一色)
工藤一は始まらない。
東京に出てきて11年、
親に友達に甘え続け
何も生み出さないまま29歳になった。
目指すものもやりたい事も特にない男がある日、家賃3万2000円のアパートで
剥がさいない様に言われてた紙を剥がすと
それは九十九神であり。
一人と一枚の生活を
白い紙で作った家電や小道具等を用いて
黒子さん交えての
コメディ調のやり取りが楽しめた〜♬
紙製なら何にでも変化出来るので
頑張って高額配当五億円の
宝くじに化けようとする付喪神と
別れを躊躇って悩むハジメ君が
最後に選ぶ行動はー
仕送りを止めてくれと
愛情豊かな両親に送る便箋に変化してもらい
誤字だらけの手紙を送り別離とする決断でした

紙幣に化けて
使っても紙飛行機になって
戻ってくる付喪神とか
発想は面白く
実際に舞台上に紙飛行機が
飛んでくるのが楽しめた
自分なら本とか新聞に変化してもらって
読んでくことに特化するかなぁって思えたさ
R.O.D.のザ・ペーパーごっこ出来るよなぁとか

◆「夢の中で生きている夢の中では生きられない獣」 夢との距離感 出演:藤屋安実(藤一色)

江藤樹里。英語にすると、ジュリエット。
小学生の頃からずっとその名で呼ばれるのが嫌で逃げ回ってきた彼女は、やがて俳優になり。
"本物"を目指し始める。
にっちもさっちもいかなくなった、
とある獣の独擅場。というマイクパフォーマンス
しながらの一人語り芝居デス
関わった男性の
フジワラ君四人の四天王テイストは
なかなか楽しかった
も少し サクッと短め方が
自分的には良かったように思えたデス

2つ合わせてーまぁ
星数は3.6ぐらいかしらねと感想

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