最新の観てきた!クチコミ一覧

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うちやまつり

うちやまつり

オイスターズ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2017/04/20 (木) ~ 2017/04/25 (火)公演終了

満足度★★★★★

とある団地で起きた未解決の連続殺人とその容疑者だった青年。彼の周りを行き交う団地の住人たちとその噂話。ありふれた苗字のみを使い、説明要素を省いて繰り広げられる会話等、様々なカモフラージュですんなり頭に入らない背景と関係性。
そんな私の当惑の中、表面上は他愛もない会話に紛れて、ふっと出てくる「住人たちのイレギュラーな関係性」を匂わせる言葉たち…

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ネタバレBOX

更に、役者の視線や仕草で…全ての言葉が意味深に伝わってきて、混乱の波紋が更に広がっていく。登場人物の誰も彼もが、その発する言葉を額面通り受け取れぬ雰囲気があるから尚更。

おそらくは誰が犯人でも辻褄を合わせられる曖昧さを孕む。一見どこにでもいそうな人たちなのに、その実、誰もが心の内に深い闇を抱えている様に感じさせる… 
当初、同一犯による限定された猟奇殺人のイメージだったのに、実はそれは氷山の一角で、団地の住人全体が病んでいるのだという印象が浸透してくる。

現代的に共存意識が薄く見える集団なのに、無意識に共有化されていく「後ろめたい意識」の繋がりは、ある種のムラ社会にも見えた。

誰の身にも… 誰の周りにも起こりうる異常性。気づかぬ間に、自分もその一員となっていてもおかしくない。

犯人は…観ていた私でした… アレコレ考えた今となっては、そんな結末もアリかもしれないと妄想に耽る。
それにしても、演出もさることながら、役者さん方の思わせぶりは、どなたも見事でしたね。
藤さん、川上さんが演じる田中姉妹が、想像がつかないという意味で一番ミステリアスだったな。
そして藤島さんは、今度は前髪演技で私を恐怖に突き落としてった(笑)
あ、カッコンの竹

あ、カッコンの竹

コトリ会議

ナンジャーレ(愛知県)

2017/04/21 (金) ~ 2017/04/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

心地良い混乱に身を委ねる素敵なひととき。他じゃあ観れない種類のお話を堪能。
役者も美術等々も、本当に見どころ多かったです。

私の青空!

私の青空!

MICRO SHAYS

千種文化小劇場(愛知県)

2017/04/07 (金) ~ 2017/04/09 (日)公演終了

満足度★★★

戦中を思わせる不穏な空気を背景に、生きる活力を失いつつある人々、テロリストを彷彿とさせる不気味な秘密結社。昭和テイストだけど、ああ…これは今なんだな…だから今、演るんだなと思える。
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ネタバレBOX

世の中が推す「耳障りの良い前向きな価値観」。それが導いた結果と対比させ、その価値観をぼんやりと…でも強烈に皮肉る言葉と空気の数々。人の感動の裏に潜む「心の闇」をも引き摺り出す。フミエの「感動的でしょ?」という嘲笑が印象的。
「永久に始まらない明日サーカス」も皮肉的で良かったなぁ。

一方で「世の中が切り捨てがちな価値観」との共存をいとおしむ。印象的なのは考古学者と同じと評された「読めない文字の本」を楽しむ梅子。今なら「多様性の受容」というところ。まぁ、それすらも今はポピュラーに使われ、都合の良いように置き換えられる。これもまた「耳障りの良い価値観」と見做される時代かも。所詮、人は都合よく思想を取り込むものだから、本当に皮肉られるのは思想よりも、多数派の心理なのかも。な~んとなく皮肉が強すぎて、ラストで素直に「心の中の青空」を感じられない私でした。

でも、序盤で使われた「想像でモノが生まれる仕組み」なんかは新鮮で好きだった。人の生き方も、自分の考え方次第ということなのだろうか。

役者。

ゲタムラ・うえっていさんの0.1tonアタック、痛快(笑)
そして冒頭の客入れ芝居でみせた、ゲタ等の小道具を様々に使った謎の所作は、良い角度でもっと見たかった。

真田・藤島さん。善意のキャラで通すのかと思いきや、フミエとの口論で表出する本音の芝居が熱かった。藤島さん得意(?)の毒のある感じの芝居が刺さる。

フミエ・しんかさん。先述の芝居はもちろん、陰を持って佇む芝居を真ん前で観れるタイミングもあって、重苦しい雰囲気を堪能しました。
「風車の街、はこ舟の少女」

「風車の街、はこ舟の少女」

劇団ひとひらり

ユースクエア(名古屋市青少年交流プラザ) (愛知県)

2017/03/31 (金) ~ 2017/04/02 (日)公演終了

満足度★★★

想像以上に不条理劇。個々の事象はさほど不自然ではないが、…繋がらない、躱される、積み重なる意味ありげな台詞。理解出来ぬまま、頭に残らず流れていく言葉。不十分なピースで妄想の世界に舟を漕ぎ出した私です。そう、これは感想でなく妄想。
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ネタバレBOX

汲み取れた状況…
・発言は必ずしも正しくない? 言動不一致?
・みんな、人間関係を忘れていく?
・対人関係の設定が変わっていく?

気になった言葉…
・いつも勝手に決められる人生
・明かされぬ「いつか気付く日が来ます」
・他人から教えられるのでは意味がない結論とは?
・この街、ある人は昼に賑わうと言い、ある人は、夜にこそ盛り上がるという。
・風が無くても回る風車の暗示とは?
・風車を破壊しょうとすることが意味するものとは?

(私の脳内の)混乱の中…
…解釈の鍵になったのは「風車」

いや、もっと明確に言うと、
「(裏方的に)風車を回している人」でした。

この風車、舞台装置としては、軸を役者が人力で回す仕組みですが、もっと隠せばよいものを、風車構造の中に照明が届いて顔が丸見えだわ、装置への入りとハケでも役者が身を隠す気配が無い…

こんな目立つ行為に演出意図が無いはずはない!

…と辿り着いた結論が、

これが「この世界が作り物である暗示」だろうということ。

そう考え出したら、
・もしかしたら、ここはネットゲームかSNSの世界?
・一部の人はNPCでは?
  あるいは、虚構の世界に取り込まれた(取り憑かれた)人々か?

と発想が繋がっていく。

そんな仮想空間を想像しつつも、一方で、人力風車は「人が歯車と化した現代社会」への皮肉… 無限/不滅/永遠と思っていた社会が、人々に延々と課される苦役の礎に立っていることの暗示?…虚構になぞらえた実社会の暗喩なのかもしれんな…とか

…妄想が浮かんで来る来る。

そういう世界への懐疑と同調圧力と抵抗と諦めと…一艘の希望が描かれている…

なんてな​(°_°)

作り手の意図とはあさっての方向に舟を漕いでる自覚はある(笑)
解釈は纏まらなかったが、人一倍この作品を楽しんだ自信はあるよ。

解釈ばっか書いてしまったけど、
役者では、主演女優…井上直美さんか…の、台詞を言った後の表情がすっごく意味ありげで、私の混乱に拍車を掛けました(笑)
絶妙​( ´ ▽ ` )ノ
月いちリーディング / 17年5月

月いちリーディング / 17年5月

日本劇作家協会

座・高円寺稽古場(B3F)(東京都)

2017/05/27 (土) ~ 2017/05/27 (土)公演終了

満足度★★

対象作品に対し、意見を出し合ってブラッシュアップするという企画。
作品自体は?な部分も多く、俳優陣の演技に随分と助けられていた印象。
初参加でいろいろ面白かったし勉強にもなったんだけど、
どうしてか今いちばん印象に残ってるのがゲストの前田司郎さんでした。

山笑う

山笑う

小松台東

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2017/05/19 (金) ~ 2017/05/28 (日)公演終了

満足度★★★

壮大に革命を描くのも演劇なら、ひとつの家族の葛藤を描くのも演劇。
いちばん身近な人に素直になれないって切ないなぁ。
小松台東は初観劇でしたが、宮崎弁がやさしい、しみじみとした良い作品でした。
座る位置を変えてもう一度観てみたかったです。
劇場の受付から葬儀の設えで、お香の香りもしていたような。
開演前のアナウンスも葬儀のご案内みたいだったし、いろいろ拘ってるなぁ。

天の敵

天の敵

イキウメ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2017/05/16 (火) ~ 2017/06/04 (日)公演終了

満足度★★★

毎度思うのだけど、一体どこからこの発想がでるのだろうか。
今回も奇想天外でありながらラストシーンの余韻が切ない作品でした。
しばらくトマトジュースは飲みたくないかな(笑)
シアターイーストは客席と舞台が近くて、今回のような作品では表情がよく見えて良かったと思う。

60'sエレジー

60'sエレジー

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2017/05/03 (水) ~ 2017/05/21 (日)公演終了

満足度★★★

このクオリティのお芝居をこの距離でこのお値段で観られることに感謝。
長さを感じさせない良い作品でした。
1964年、東京オリンピック前後の東京で、地方からの集団就職の少年を迎えた蚊帳工場、
この劇団には珍しく市井の人々の物語。
「蚊帳」と聞いただけで切ない話になるのだろうなぁとは思っていたけれど、やはり最後は涙。
持たない者たちが助け合っていた時代だとしても清と悦子の愛情深さは心に響いた。
集団就職、町工場で「梅ちゃん先生」の野村周平くんを思い出した。
確かあちらは時代の波に乗った結末だったよね。
確かに生活はより便利により豊かになっているし、わたし自身もそれを享受している。
でもそれが良いことばかりではないことも薄々気が付いている。
気が重くなるようなニュースが多い昨今、30年後のわたしたちは一体どんな暮らしをしているのか。
選択を誤らずにいられると良いなぁと感じた。
相変わらず俳優さんたちは素晴らしい出来。
ただ、西尾さんは町工場の跡取りにしては品が良すぎるかも(笑)
上演中にアラームが2回鳴ったのが残念至極。

スキップ

スキップ

ナッポス・ユナイテッド

サンシャイン劇場(東京都)

2017/04/26 (水) ~ 2017/05/05 (金)公演終了

満足度★★★★

原作を損なうことなく舞台に載せてあり、改めて名作だと感じた。
17歳真理子は台詞の硬さが却って清潔感を感じさせ、42歳真理子は意志の強さの中に可愛らしさが見え隠れしていた。
初演とは違う場面で涙が出て、自分の年の重ね方にも思いを馳たり。
10代の心はとても鋭利で自分も周囲も傷つけがちだ。
年を重ねると入れ物と一緒に心にもいろんな物がくっついてくるのはある意味自衛手段だよな、と思う。
くっついた物がクッションになって、わたしは少しだけ楽になれている気がするのだ。
そう思うと真理子の状況の過酷さは想像して余りある。
「思った程酷くない」という台詞で笑った人たちも、いつか時の残酷さを身を以て感じることがあるのだろうか。
それとも、我が身は埒外と思い続けるのだろうか。
自分は新田くんのように魂を見つめられる目を持ちたいなぁと思わずにいられない。

ダズリング=デビュタント

ダズリング=デビュタント

あやめ十八番

座・高円寺1(東京都)

2017/04/19 (水) ~ 2017/04/23 (日)公演終了

満足度★★★★

西洋画版のみ観劇。あやめ十八番は初見。
全てがハイクオリティで、演劇としてとても良いものを見せてもらった気がする。
引き込まれてあっという間の2時間半でした。
またチェックする団体が増えちゃった。
本当に1バージョンだけでも観られて良かったです。

新しい生活の提案

新しい生活の提案

壱劇屋

千種文化小劇場(愛知県)

2017/06/03 (土) ~ 2017/06/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

観ましたよ、思わず2回も。仮に人間の欲望が全て叶うとあーなるんだろうなぁなんて。と同時に限りが無いなぁとも。まるで食っても食っても決して満腹にならない餓鬼でも観ている気分でした。また見様によっては口寂しさで惰性的に食ってる様にも。見方は人それぞれと思いますが自分の鏡写し的な作品という印象が強かったですね。

グリーン・マーダー・ケース

グリーン・マーダー・ケース

monophonic orchestra

Geki地下Liberty(東京都)

2017/04/11 (火) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★

原作未読。本格ミステリーってトリックありきな印象だけど、ちゃんと人間ドラマとして描かれていた。
このクオリティの芝居を至近距離で観劇できたのは幸せな事。
上演時間の長さと椅子だけなんとかなれば言うこと無しなんだけど。
かじもんは本当に安定してたし、須貝くんが良い声だった。
ホチキスの時とは違うシリアスな陽ちゃんも新鮮だったし、小玉さん、ざんさんと大好きな女優さんも堪能しました。
次再演するならレッドシアターとか椅子の快適な所が良いなぁ。膝が辛すぎて最後集中力を欠いちゃってすごく悔しかったのよね。

夜と夜

夜と夜

mizhen

Yoga&Kidsdance スタジオ RireRire (東京都世田谷区玉川台2-1-15 3F)(東京都)

2017/04/01 (土) ~ 2017/04/02 (日)公演終了

満足度★★★

女性二人の気持ちの機敏を描いた小品。
ああいう感覚は身に覚えがありすぎてちと痛い。
身体表現、歌、ラップetc. 実験企画の名に違わずチャレンジングな感じでした。
この企画が次の本公演にどう生きてくるのか楽しみです。

NICE STALKER 短編演劇見本市

NICE STALKER 短編演劇見本市

NICE STALKER

cafe&bar 木星劇場(東京都)

2017/12/27 (水) ~ 2017/12/31 (日)公演終了

満足度★★★★

Nice ver.
1話はくだらねぇな~って笑いながら観ているとオチが絶妙で素晴らしい。
2話は2019年公演予定よいうことでどう膨らむのか楽しみ。
3話は女子と算数は好きな話だったので好き。

鍵泥棒のメソッド

鍵泥棒のメソッド

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2017/03/02 (木) ~ 2017/03/12 (日)公演終了

満足度★★★

岡田×畑中コンビは安定の面白さ。そしてじっきーが可愛い!
初演の細かい演出は覚えていないんだけど、オープニングのあのシーンはスッキリ観やすくなりいい感じ。
逆にラストの車がクラッシュする場面はもうちょっと盛ってもいい気が。
個人的には編集部のシーンが大好き。あんな個人的なこと仕事みたいに振って、普通に「了解です」って本当に笑える。
今日は一番下手での観劇だったが、映像の文字が三分の一しか見えなかったのが残念。

新人抜擢ステージ>劇団初の試みだそうだが、抜擢された二人の緊張感がこちらにも伝わってくるような舞台だった。
山崎くんが小銭を2度3度と落とした時は客席が固唾を飲んで見守っていたと思う。お客さんが育ててるなぁという感じがひしひしと。
コンドウ役の面白さって入れ替わったときの強烈な違和感だと思うんだけど、石橋さんのコンドウは、割と普通に居そう。
香川さんとか岡田さんの「チェックのシャツとチノパン」の似合わなさはハンパないから。
そして山崎くんの服だったらズボン丈で自分のではないとわかりそうだ(笑)
岡田さんの工藤は、わたしには「楽しそう」に演じているように見えたのだが、
アフタートークで「初日なので緊張した」と話されていた。
緊張感も一生懸命さも見せないのがベテランの凄いところなんだなぁと感心。新人の皆さんも頑張れ!

ミラクル祭’17(ミラフェス’17)

ミラクル祭’17(ミラフェス’17)

新宿シアター・ミラクル

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/02/18 (土) ~ 2017/02/26 (日)公演終了

満足度★★★

Bversionのみ観劇。随分と振れ幅の大きな取り合わせでした。
こうなるとAがどんなだったかが非常に気になります。

ハセガワアユムグループ『CANDY CITY』>相変わらずアユムさんの短編は秀逸。
特に今回のような軽やかだけどなんかいろいろ深いぞってやつは大好物です。
反芻してニヤニヤが止まらない。次回のMUも楽しみです!

劇団ミックスドックス『やねうらコスモス』>初見の劇団でしたが、妙に既視感があるなぁと思ったら凄くキャラメルっぽい!
後で調べたら、ここって山根翼くんが以前所属してた劇団だったのね。
全体のこなれ感はともかくSFファンタジーとしてなかなか楽しかったです。

淵、そこで立ち止まり、またあるいは引き返すための具体的な方策について

淵、そこで立ち止まり、またあるいは引き返すための具体的な方策について

カムヰヤッセン

ワテラスコモンホール(東京都)

2017/02/16 (木) ~ 2017/02/19 (日)公演終了

満足度★★★

カムヰヤッセンはいつ以来かな?と思って調べてみたら2010年に観たのが最後らしい。
随分と間が空いた、というか観たことあるというレベルですね。
それはちょっと勿体なかったな、と思うくらいの良いお芝居でした。
深刻な内容なのに過激な言葉も過激な演出も一切無く、ただ染み渡ってゆきました。
俳優としての北川さんが良いなぁ。
昨日観た作品との地続きな部分とか、これからグルグル考えます。

ヒカリノ国

ヒカリノ国

劇団星めぐり

ナンジャーレ(愛知県)

2017/03/24 (金) ~ 2017/03/26 (日)公演終了

満足度★★★

星にアカリを灯す水配達人… 

たぶん、これだけ聞くと何のことを言っているのかサッパリだと思いますが、絵本から飛び出したような設定の世界を、可愛い中に妙な現実味を漂わせる女の子たちが演じる舞台が、不思議に調和していました。
無理に辻褄を合わせたり、説明的なことをせず、「だって、実際にそうなんだもん。そういう世界だもん。」と臆することなく、堂々と世界を創造した空気が味わえました。

それでいて、メルヘン一辺倒ではない風刺の精神が仕込まれていたのがオツで、「童話」と言うより「寓話」の色が強いです。

また、星を掻き消すほどの…煌々と照る街灯り(=科学?)を嘆く空気に浸りつつ…、「星にアカリを灯す」方がむしろ超科学じゃ~んと思わせちゃうあたり、面白いバランスしてる作品だな~と思いました。

「どうか闇を、きみに」

「どうか闇を、きみに」

空想組曲

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2017/02/16 (木) ~ 2017/02/19 (日)公演終了

満足度★★★

ほさかさんらしい、ダークな作品。
覚悟はしていたのですが、いつになく刺さりました。
三浦涼介くんの舞台は初めてだったのですが、
これからが楽しみだなと思いました。

胎内

胎内

刈馬演劇設計社

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2017/03/23 (木) ~ 2017/03/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

刈馬作品をここ3年観続け、当初は緻密な戯曲に痺れていましたが、前作「猫がいない」の演出がかなり秀でていたので、演出専念・2種演出という好機にかなり期待していました。そして、期待を裏切りませんでした。

話の筋としては、極限状況の恐怖の中で、反芻される人間の思考が激しくぶつかり合い、自己正当化、責任転嫁、駆け引きとを繰り返しながら、いつしか懺悔や退行や自己肯定などに陥っていき、徐々に壊れていく過程がつぶさに描かれる感じ。

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ネタバレBOX

(続き)
それをカルマ・ストレートでは、奇をてらうことなく、役者3名の表現力に全てを注ぎ込んだ感じで、まさしくストレート真っ向勝負でグイグイ押してくる。3名ともが「見えないものを見せてくる」迫力は圧巻。
今津さんは、喉の掠れ声からして凄い存在感。それが佐山の置かれた過去・現在を体現するようで、全身全霊を注ぎ込んでいる印象がすごく伝わってきます。
岡本さんは、導入部で何かいつもと違う声色で入るのが印象的で、その後、延々と連なる生々しさが半端なかったです。初めて芝居を拝見した頃の影響で、すごく無感情のドール的な印象が個人的には根強かったのですが、遥か昔の話になりましたね。俳優A賞女優やし。
いちぢくさんには、もう何も言えないっていうか、やはり見えないものを見せる感は一番強力で、もがき、のたうちまわる様は圧巻という他はありません。

全般で一番好きなのは、佐山と村子が互いの想い人の幻影を…互いに投影して、二重に妄想の芝居を重ねるシーン…心の内面を吐露しながらも、根本的に食い違わざるを得ない切なさを見せながら、何か共通する要素が漂って、二乗で利いてきました。

さて、一方のカオス・ハイミックス。
アンサンブル・キャスト…すなわちコロスですかね、それを使うということで、…先述の「見えないもの」を視覚的に表現するのを予想していましたが、それだけに留まりませんでした。

「メインキャストの代弁」にまで及ぶ演技演出は、解釈の拡がりを感じさせてくれる…。個人の内面の吐露のみならず、「世の中の苦悩の代弁」にも見えました。本戯曲が戦後の苦悩を表わした社会派の作品にも見えることから、この表現は秀でてアリですよね。まるで怨霊の様なメイクと所作が、戦争で積み重ねられた闇を良く感じさせてくれる。
そういえば、音響も戦争を強く意識させる効果が追加されていたような気がします。総じて、ストレートが「人の闇と業」にフォーカスしたのに対し、ハイミックスには「暗澹たる世情」を見た気がしますね。

役者的には、
にへいさんの暗黒面の芝居は…少なくともよこしまブロッコリーでは絶対観れない気がして、すっごい貴重な機会でした。
元山さんは、やっぱり(?)こういう役どころにはピッタリの空気を醸し出してきますよね。

中村さんは、狂人めいた芝居が似合いそうな方で、佐山もハマりますが、もっと歳を取ったら花岡の方がよりイケるような予感を感じつつ観てました。

最後に共通の演出ですが、エンディングで使われる某歌が、すっごいインパクトありましたよね。
終演の空気との対照さが、切なさと皮肉感をいや増して、なんとも凄い後味となりました。

あ~、それにつけても、2演出という本企画はホント至福でしたね~。

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