最新の観てきた!クチコミ一覧

501-520件 / 192567件中
ネザー(Su)ポット

ネザー(Su)ポット

劇団しようよ

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2026/05/28 (木) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「電車内を観察する演劇」

 劇場に入ると客席と平行に組まれた電車内を模した舞台美術にまず驚く。そこでは出演者が目を閉じたり、スマートフォンを見たりと思い思いの格好で席に着いている。観客である己が作品に参加しているかのような感覚になる本作は、いわば「観察する演劇」であった。

ネタバレBOX

 最高気温が30度以上に達しようとする日の始発の地下鉄に、ぼそぼそと乗客が集いはじめる。ホームのベンチでサンドイッチを頬張るなおこ(信國ひろみ)は、友人の友人であるみほりん(福原瑞穂)に誘われ車内に座り、彼女のディズニーうんちくを戸惑いながら聞いている。金髪の青年リュウト(杉田一起)は、酩酊している朝帰りのニナ(花純)にあからさまに不機嫌な態度を示す。ベビーカーを押して入ってきたさなえ(池田きくの)の顔は暗く、我が子の泣き声が周囲に迷惑でないかとオドオドしている。自宅に帰る愛梨(小林瑠衣)と見送りに来たケイタ(沼田亮平)のカップルには、やや不穏な空気が流れている。車内で朝マックを食べ始め白眼視された高木(公社流体力学)は、ニナが生真面目そうな羽田(穂積宏和)の眼の前で戻す様子を見てしまい、思わずホームに走りつられて戻す。そこで発車ベルが鳴ると奥にいた木村(田中サキロウ)が手に持ったライトを上に挙げる。するとそこで時間が止まり、出演者たちは一度舞台奥へ消えていく。

 以降同じ場面が繰り返し上演されるのだが、一巡目とはややニュアンスが異なる。二巡目では、一巡目で愛梨が話題に挙げていたもり子(山本祐太)という人物に焦点があたる。もり子は電車の一両目に頻繁に現れる人物で、電車に「けんとくん」と親しく話しかける。もり子は、一巡目の終了時に車内に放置されたままだったベビーカーの子どもをまるで我が子であるかのようにあやすのだった。そして発車ベルの音とともに木村の合図で時間が止まり三巡目、ここではこの子の母親であるさなえの心の内が吐露される。この繰り返しを木村と、一巡目から車内にいる人物たちを終始不安そうに見つめ、ときに撮影している田中さん(筒井詩菜)が共に過ごしている。最後まで観続けるとこの二人の正体が観客に明かされることになる。

 20分弱の同じ場面を繰り返しながらそこで展開される人間模様をつぶさに見せる本作は、刺激的な試みに満ちていて興味が尽きない。公共空間で居合わせた他人の来し方に思いを馳せる、という誰しも口には出さないが日常的にやってしまう行為を舞台上に出現させた光景を私は初めて観た。時間の都合か焦点を当てる人物が限られてしまうのは残念だったが、もり子やさなえ以外の人物の内的独白も聞いてみたかった。上演台本に記された各登場人物の説明をほとんど実際の舞台にあげない姿勢は奥ゆかしいが、内容を刈り込み登場人物を絞って盛り込んでもよかったのでは、という気にもなった。

 圧巻の舞台美術はもとより控えめな照明変化や、タイムループの合間に挟まるユーロビートなどメリハリが効いたスタッフワークが、俳優の芝居を浮き立たせていた。
じべた

じべた

椿組

小劇場B1(東京都)

2026/05/25 (月) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観終わった後は「いろんな人が出てきて楽しかった」という単純な感想だったがそれでは味気ないので少し考察してみたい。

ネタバレBOX

当日パンフの作・演出、鳥越氏のご挨拶に“「ニンゲンどもの喧騒」の「音」を舞台上に鳴り響かせることが出来たらいいなぁ...”というフレーズがある。そう考えるとこの芝居には人間の持つあらゆる感情や性質が詰め込まれているように思えてくる。
観客は自分自身やあの時の誰かを思い浮かべたかもしれない。なんだか懐かしく身近に感じるのもそのためかもしれない。

またこの芝居には印象的なシーンがいくつもあった。舞台上で二つの家族の風景が交錯したり、一糸乱れぬ群舞の様な工場の作業風景。登場人物たちがゆっくりと体を傾けながら地べたに耳を近づけていくシーン、穴倉から出てくる人々、等々。きわめて演劇に特有の表現が私たちの脳裏に焼き付いていく。

新たな生命の誕生に、胎動を感じようと地べたに耳を当てる人々。そう、大地(=地べた)こそあらゆる生命の源泉であることを高らかに謳いあげているようだ。

コミカルなシーンも大いに笑えたし、山崎ハコさんの音楽も沁みた。

絵空事の空

絵空事の空

空の驛舎

ウイングフィールド(大阪府)

2026/05/29 (金) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

オムニバスとしていたが、めちゃくちゃ繋がりがあって、最後はSFチックに
この不安の世の中、本当に地球はどうなるのか トランプに支配されるのか・・・
考えさせられる作品でした

ブン/ダン

ブン/ダン

劇団チャリT企画

新宿シアタートップス(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

(良い意味で)笑えない。
これが近未来の日本の姿か。
あり得る話だ。
センハラを訴える側の理論武装がもっとあれば、さらに面白かったかもしれない

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.30

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.30

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

世田谷区民会館(東京都)

2026/05/30 (土) ~ 2026/05/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/05/30 (土) 19:00

強烈なリズムに躍動的なダンスと響き渡るCanta.興奮の時空をいただき感謝申しあげます。中里さんの歌と小野寺さんのダンスに友人共々魅了されました。

正義の血が騒ぐ

正義の血が騒ぐ

ライオン・パーマ

テアトルBONBON(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

何なんだ、この物語は、この街は。外部からは推して測るしかない「掟」を、登場人物の動きから追体験できるのが演劇の素晴らしさである。
サスペンスのようでいてサスペンスではない。輪郭を辿るように、真相が浮かんでは消えていく。それが我々の手に汗握らせる。あぁ、『ライオンパーマー』、あぁ加藤さん、今年一番笑いました。

東京物語(横浜公演)

東京物語(横浜公演)

チームラヴ・ガン

WAKABACHO WHARF 若葉町ウォーフ(神奈川県)

2026/05/29 (金) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

作、演出、演者、会場すべて初めましての舞台。いつも観劇は事前に下調べせず観に行くことが多いです。ブレーキとオリーブの会話がテンポ良く進んで行くのが好きな舞台でした。アフタートークもほぼ毎公演あるのも楽しみの一つになっていいですね。

ツイスト・アンド・対話

ツイスト・アンド・対話

南京豆NAMENAME

シアター風姿花伝(東京都)

2026/05/27 (水) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

オムニバス?と思ったら2つのストーリーが絶妙に絡んで。台詞が秀逸!めっちゃ面白かった。

帰還不能点

帰還不能点

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2026/05/28 (木) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/05/31 (日) 12:00

「過去は変えられない、前を向いて生きるしかない」という、“立ち直りに前向きな”言葉が
ほとんど“反省の無さ”に聞こえる手痛い指摘。
この延長線上に、戦後日本があるのだと言う再認識に打ちのめされる。
同じ事象を、国のトップから一般庶民まで複眼で見せるような構成、
この複雑な再現ドラマをわかりやすく展開する演出、怒涛の台詞、役者陣のエネルギーに圧倒された2時間10分。

母

劇団文化座

あうるすぽっと(東京都)

2026/05/19 (火) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

佐々木愛さんの優しい語りの素晴らしさが存分に味わえました。愛する息子を殺されるのは、痛ましすぎる

アカデミック・チェインソウズ

アカデミック・チェインソウズ

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2026/05/27 (水) ~ 2026/06/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かった。
もし副題つけるなら、十四少女漂流記かも……MCRなのに、ガールズ演劇的な味わいがある……だと!?
ジュブナイルな感じもあって。でもやっぱり会話のセンスや哲学的というか、独特の論理展開は、MCRの芝居で。
そして2時間の大作でもある。おじさんたちも輝いてた。
よく、これだけ面白い役者が集うね、とも思う。
青春の濃縮、ゆらぎ。

サイキック・サイファー

サイキック・サイファー

劇団不労社

調布市せんがわ劇場(東京都)

2026/05/29 (金) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

こちら初見です。
チラシやタイトルから自分が思ってたものとは、違ったかな。
派手な照明(プロジェクター)とラップ。
でも、割とそれだけじゃなくて、二人芝居三人芝居もやる。
ただ、なんか、個人的には尖がってるというより、既視感が勝っちゃったのよね。
ラップやこういう照明での演劇も割と自分は観てて、斬新さや突出した印象は無かった。

美術。面白いと思ったけど、何故と思った、折り畳み式のテント?ブース?
色々な工夫で使われていたけど、せっかくのステージがなんかせせこましいなって。
ただ、これ、実は現在、研究開発中の屋外での公演用のテントらしくて。
へー、面白いアイデアだと思いました。
京都での公演は屋外のようでして、そうすると見え方や印象かなり変わるかも。

ネタバレBOX

自分が観た回は、アフタートークがありまして。
そこで。陰謀論やラップは、偶然が一致して意味が見える気がする場合があって、そういう偶然に出会うと入り込んでしまう。
演劇もそういう部分がある。それは良し悪しじゃなくて、こういう傾向ってあるんだって。
なるほど、そういう部分も描いていたんだなとは、思いました。
ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.30

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.30

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

世田谷区民会館(東京都)

2026/05/30 (土) ~ 2026/05/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

フラメンコを初めて観ましたが、衣装の華やかさや迫力のある音楽とリズム、キレのあるダンスとステップで非常に楽しめました。

The Freak

The Freak

劇団カルタ

RAFT(東京都)

2026/05/29 (金) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

オープニングまでのボブ・ディランのBGMいいですね。ディランの世界観と舞台の世界がちょっとシンクロしているようでもあり「オープニングまでのディランの曲ってもしかして伏線?」と深読みしてしまいました。あと、舞台と客席が完全にフラットであの至近距離で演じるのは演じる側はかなりのプレッシャーでしょうね。そのプレッシャーを感じさせないすばらしい演技でした。この先ますます期待されちゃう劇団に成長していますね^^ 

THE GAME OF POLYAMORY LIFE

THE GAME OF POLYAMORY LIFE

趣向

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2026/05/30 (土) ~ 2026/06/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「パートナーシップのかたちを模索する人々」

 合意のうえ二人以上のパートナーと親密な関係を構築している「ポリアモリー」について丹念に描いた2016年の作品の再演である。Bチームの初回を鑑賞した。

ネタバレBOX

 高校教員のエンジェル(豊田エリー)は医師のムーン(笠木泉)とタイガーという青年(小川ゲン)の三人で共同生活を送っている。三名は互いを恋人と認めているが、学生時代にエンジェルに焦がれていたアリス(阿岐之将一)や、同じくエンジェルに恋するガンダム(笹川幹太)は強い拒否反応を示す。将来は子どもを持ちたいと盛り上がる三人の日々は順調そのものだが、アリスがタイガーと交際をはじめたときから少しずつ変化が生じていくのだった。

 日本に馴染みがあるとはいえないパートナーシップを結ぶ登場人物たちを観ていて、愛情と所有の違いや、互いを認め寛容であることの困難さについてなど、さまざまに思いを巡らせることになった。説明しすぎない照明と音響が、俳優のイキイキした芝居を浮き立たせることに成功していたように思う。ポリアモリーを実践する三名とそれ以外の二名の討論劇のようになった感はあり、やや教条的で図式的になった向きは否めない。各登場人物を掘り下げた内容を観てみたいとも思った。
光る

光る

玉田企画

シアタートラム(東京都)

2026/05/22 (金) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/05/29 (金) 14:00

玉田企画『光る』

5月29日の昼公演での玉田さんのアフタートークがある回(チケットを予約した後、公演日の数日前に設定された)を拝見した。
そのアフタートークで玉田さんが観客の質問に答える形で、演出やキャスティングについて説明しておられた。

能島瑞穂さん vs. 井上向日葵さんのシーンが象徴的だった。そして秀悦だった。能島瑞穂さんの青年団の『日本文学盛衰史』での喪主の四変化で素晴らしい俳優だなとの意を強くしていたけど、玉田企画のこの『光る』ではまた新たな、でも能島さんなら当たり前か、だろうけど、それでも凄かった。怪演だった。

そして初めましての浦井のりひろさん!この方も凄い俳優だなと思った。玉田さんによると、浦井さんの欠点をまだ見つけられてないそうだ 笑。そして優しい方の様だ。

最後になるけど上演作品としては最高だった。これぞ正調玉田節!滅茶苦茶面白かった。玉田真也の定期補給が必要なんだと強く思った。

そらさかさまに

そらさかさまに

早稲田大学劇団木霊

劇団木霊アトリエ(東京都)

2026/05/22 (金) ~ 2026/05/25 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2026/05/25 (月) 13:00

劇団木霊『そらさかさまに』
空逆さまに、悲しみを帯びたファンタジー。

作中に、村で育った若者が連れと一緒に村の中で近道を探すという台詞があったが、村で育っていれば、その状況は無いのではと思ってしまったがどうだろう、ここではそうじゃあないのかも知れないけど、そう思うことがおかしいのかも知れないが。

アカデミック・チェインソウズ

アカデミック・チェインソウズ

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2026/05/27 (水) ~ 2026/06/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

選曲にセンスある。開演前SEなんか良かった。レッチリの次の曲が凄く気になった。

全員、ほぼ実名が役名。メタ的な構造を狙っているのか。

美人の璃音(りのん)さん、表情がアニメチックな梶川七海さん、キツイ若月海里(みさと)さんは海岸ではしゃいでいる。

陰キャの市島琳香さんはスクールカースト一軍に入りたがる唯一の友人・桑田佳澄さんに忠告をする。そこに居合わせる体育教師の日栄洋祐氏。

いつも破天荒な有馬ゆかさんを支える親友二人、米田ひかりさんと荒波タテオ氏。彼女の悪戯に巻き込まれる教師の加賀美秀明氏。

教師の澤唯氏から修学旅行実行委員に選ばれた田中優笑(ゆみ)さん169cm。彼女はイマジナリーフレンドであるおがわじゅんや氏と櫻井智也氏に不満をぶちまける。そこに通り掛かるみしゃむーそさん。

教師の堀靖明氏はパパ活の疑いがある井澤佳奈さんを呼び出す。彼女の親友の川久保三子さんが抗議に乗り込む。やたら落ち着き貫禄のある上田房子さん、伊達香苗さんを従えて。

女子校である私立みつばち坂まつぼっくり高校の修学旅行先は南洋!ホエールウォッチング・ツアーも楽しめる!
船長は北島広貴氏。

堀靖明氏はインパルスの堤下敦っぽい。もうお笑い芸人としか見えない程のツッコミ力。
梶川七海さんは表情が『らき☆すた』っぽい。(観たことないが)。
桑田佳澄さんにメチャクチャ見覚えがあるのに作品が思い出せない。ガチ小学生のルックスで29歳、有吉弘行のように芯を食った毒舌。MVP。

ネタバレBOX

ラストはRadiohead の「Creep」で決める。美しく天使のような“君”にまるで信仰のように夢中になっている自分。“君”は綺麗な世界で真っ白な羽根のように舞っている。でもそれを見つめている自分は出来損ないで醜い。自分の存在が“君”の世界を汚してしまう。

だけど俺はキモい。頭も変。
一体ここで何をしているんだろうな?
ここにいるべきじゃないのに。

波打ち際で踊る少女達の躍動的なダンス。それを遠くから眺める市島琳香さんと田中優笑さんの表情。これは彼女達の物語だったんだと判明する。そこにはみんながいるが自分だけがいない。

押井守に『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』という1984年の映画がある。ずっと「学園祭の前日」が果てしなく続く世界に閉じ込められた面々。実は「ずっとこのままでいたい」と願う少女の夢の中だった。日本のモラトリアム文化の一つの象徴。今作に影響を受け、社会学者・宮台真司が『終わりなき日常を生きろ』を執筆した。

劇団活動こそが永遠の「学園祭の前日」なのか。
亀と潜水艦

亀と潜水艦

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2026/05/22 (金) ~ 2026/06/04 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/05/31 (日) 13:00

座席1階

今回の桟敷童子は、いつもに比べると質素な舞台美術だった。それだけに目を奪われたのは、役者たちの躍動ぶりだ。今作では、老婆役を演じた鈴木めぐみ、板垣桃子、藤吉久美子(客演)の演技がすさまじい迫力だった。

桟敷童子の舞台は、九州を舞台にした重たいテーマが多い。今作は終戦直後の1946年、博多港に中国大陸から引き揚げてきた人たちと受け入れ先の人たちの物語。命からがら逃げてきた女たちの中には、レイプした外国人の子を宿した人が多かった。祖国を目の前にして引揚船から身を投げた人も少なくない。外国人との混血児と母親に対する祖国の人たちの差別的感情・視線から守ろうと、秘密裏に不法である堕胎手術が行われた。現地の「二日市保養所」跡地には石碑があり、400~500人もの胎児がそこに眠っているのだという。

戦死しなくても、生きて帰ってきても辛酸をなめつくした大量の引き揚げ者たち。上陸した直後の一時的な投宿場所が今作の舞台だ。そこには片腕を失うなどした男性ら登場するが、主役は女性たちだ。なかでも「二日市保養所」から来て、ショックのあまり精神的に不安定になった若い女性を演じた大手忍の演技はすばらしかった。この女優さんは桟敷童子や外部出演でもメンタルに深く傷を負った女性を見事に演じている。この物語でこの役を演じるのは「この人しかいない」という評価は揺るぎないだろう。

「亀と潜水艦」というタイトルは、ストレートにこの舞台を表しているわけではない。もっと他に考えられる言葉があったかもしれないが、物語があまりにも壮絶なだけに、舞台を見終えるとタイトルに何だか少しホッとするような印象も受けた。また、悲劇的な結びになっていないのが、何より本当によかった。

『ZOO』

『ZOO』

ウテン結構

インディペンデントシアターOji(東京都)

2026/05/28 (木) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

リアルと虚構が混ざり合ったファンタジー、共感できる世界観で大いに楽しめました。色んなオマージュ的なエピソードには、デジャブ感ありましたね。芝居人変人説は同感。観る側もそんな気がします。発達障害自己申告は自分もよくやる免罪符なので、ちょっと反省。

このページのQRコードです。

拡大