最新の観てきた!クチコミ一覧

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ハムレット×AI

ハムレット×AI

半畳の宇宙

日本福音ルーテル蒲田教会 礼拝堂(東京都)

2026/06/11 (木) ~ 2026/06/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

昨年は一人芝居三昧をやった半畳の宇宙の俳優陣を前面に、些か翻案を施した「ハムレット」を、一度一人芝居を観た会場でもあったルーテル蒲田教会で拝見。終演後挨拶にて「山の手事情社発・半畳の宇宙」と名乗っていたのが印象に残る。芝居のテイストは身体表現を駆使した山の手事情社流域のもので、よく練られていた。少々近過ぎな席(桟敷)で観たせいか動きの幅が目まぐるしく、今少し俯瞰で舞台を眺めたかった。様々な創意が感じられるも「半畳の宇宙とはこれ也」とまでの像が浮かぶには至らず。だが体一つで舞台に立ち、異形を醸す集団、今後が楽しみ。

長生炭鉱――生きたかった

長生炭鉱――生きたかった

温泉ドラゴン

座・高円寺1(東京都)

2026/06/05 (金) ~ 2026/06/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

この題材をやると聞けば観るっきゃないか、と自分に言い訳しつつ劇場へ。
シライケイタ氏は事故後の坑内を舞台上に再現。そこからドラマが始まる。
現代の場面は歴史事実としての長生炭鉱(事故も含め)を発掘し、遺骨問題の解決を模索する人たち。両者が最後に出会う。
事故のことを詳しく知らない自分は、事故後に坑内で会話をしたり救出を待つことができたのかどうか、についてあまり疑問を持たなかった(海底炭鉱での事故ならアッという間に海水で穴は埋まったのでないか)。従って彼らが「死者である」予感も特に抱かず、日本人と朝鮮人のやり取りを興味深く見た。
しかし史実上彼らが助からない運命にあることは知れており、物語の展開的にワクドキは無い。韓国人俳優四名(炭鉱夫三名、潜水夫一名)のネイティブ韓国語と日本語が行き交い、中央上部に映される字幕は見やすかった。この字幕を追いながら物語を追うテンポは観劇としてちょうど良かったという事かな。
ドキュメントの要素を帯びる演劇は、とりわけそれが現在進行形のイシューである場合、観る者をある使命へと動かす圧を持ち得るが、それは事実のディテールの持つ説得力も手伝う。本作は坑内でのドラマの比重がどちらかといえば大きく、現代の発掘取り組みの部分は不足感を覚えるほどではなかったが、「事実」のインパクトという面ではもう少し描けたのでは・・と思わなくもない(欲張りな注文の類とは思うが)。
日韓関係そして国内の外国人差別、戦争そして植民地という「時代のせい」にできそうだがそれだけで終らせられないテーマが、交錯して熱を発するスポットでもある。だからこそ現代における日韓協力の側面を「事実」として描いたのが、本作の攻め処であったかも知れないが。

カッコーの巣の上で

カッコーの巣の上で

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2026/06/07 (日) ~ 2026/06/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

早々に予約した公演。で、予定の日に行ったら、初日だった。そうだっけ?
雨っぽい空の下渋谷から歩いて会場へ着くと、8階だ、そうだった。若干余裕を持って来て良かった、と安堵しつつも雨の湿気にやられて腹が痛い。持つかな..。
PARCO劇場でやる芝居は高いので滅多に来られないが、今日は上流階級の御仁達の間に入ってあちきもいっぱしの「一級品」を味わうこともあるんだわさ、と靴音のならない上流階級が通うサロンのフカフカの床を歩く。劇場としては観客とステージの距離感が収容人数にしては良い。なぜ見やすいと感じるのかは不明だが。
この作品と松尾スズキ演出というので馳せ参じたが、初日ハプニングが。動いちゃいかん物が動いてしまい、先々の展開の一つが知れてしまい・・結構痛かった。が、「知らず」に見たとしてどうだったかな?というのも一抹過ったが。休憩時に自分の前の席の女性のところへ、見た感じ演出と思しい帽子の人がやってきて一言二言。ざわめきで声は聞こえんが女性は相手の背中をポンポンと叩く。「まあ初日だし仕方ないよ元気出しな」的な光景。このハプニングによって、終盤一つ盛り上がりを作る場面が「予想された瞬間がやってきた」という心の声に迎えられ、展開するのだが、ギミック的になかなかの仕掛けであるものの、その瞬間を「盛り上げる所」としなくて良い気はした。怪力が、よくぞやった!と胸がすく出来事でなくてはならんが、本当なら蹴ったり左右に揺らしたり「おりゃ、おりゃ、どりゃ~~~!!」と目いっぱいの力で「それ」を果たすのに、借り物の装置を使ってでは、らしい演技にも限界がある、という所は別の何かでクリアしたかった(といっても方法は今思い浮かばないが)。
しかし観客の想像力というものがある。自分もそのように「あるべき筋書き」をなぞり、芝居に付いて行く。
時代的な制約、という事をやはり考えた。
自分は映画版しか見ておらず、舞台版で恐らくはフィーチャーされたインディアン出身の男の存在感が舞台を神秘的な哲学的な空間にした、という事だろうと推察。だが強調点やテイストの違いはあるにせよ、自由を求める源である「管理・抑圧」の存在が意識された時代と、管理をむしろ望んでるとしか思えない風土の現代日本では、主人公のハチャメチャ振りの根っこに横たわる抵抗精神や、自由をどこまでも希求してやまない精神を理解する人は実はえらく少ないのではないか・・と想像する。
コールガールを呼び込んでの深夜のパーティだのに、天晴れ!と溜飲を下げる空気が流れない。かと言って、観客の許容力以上に人物らが走ってしまうと観客を置いてってしまう。
主人公の造形は「できる男」としては見事であったが、ある部分で不器用さ、あるいは脇の甘さ(正直な分)が良きところで見えるといった事があると、感情移入の度合いも違ったかも知れない。(これは脚本の問題になるだろうか。)
主人公の魂に呼応するのが先のインディアン出身の大男であり、彼を悼む収容者たちが部族の踊りを踊る展開に、伝えたい趣旨を汲み取り、終幕手を握りしめた。残酷な現実が社会にはある・・映画を観たとき突き付けられた事実は、そこから持つべき希望を、彼が我々に託したと思えたことで胸の内で消化されたのであった。ただ芝居では彼を現実世界が許容できなかった犠牲者として、明瞭に位置づけるまでには至らなかった、かも知れない。それをかの「ミス」のせいと私は思っていたが、そうではない側面もあったかも知れない。
役者の弾け振りが、あるいは松尾演出の真骨頂であろうか。切れ味鋭い演技を繰り出す役者たち。江口のりこ演じる看護婦長が管理主義の権化であり、憎まれ役であったが、彼女の背後に彼女をそうさせている大きな影を想像せねばならない。
ロボトミー手術とは実際のところ個人の趣味志向によるおぞましい支配の具現形で、趣味志向を普遍的正義と言い換える吐き気のする欺瞞、虚偽。
代用監獄、人質司法も、メンツのための拘留を正義と抗弁する「欺瞞」かも知れぬ。

塔の上の

塔の上の

くによし組

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2026/06/18 (木) ~ 2026/06/21 (日)公演終了

実演鑑賞

公演チラシなどから「寓話的な作品?」と思いつつ観劇しました。とある田舎町にある正体不明の高い塔と、その塔に住む謎の人物、そして、田舎町に住む人々にまつわる、少し可笑しくて、少し不思議な物語。中盤から、観客に「…おや?」と思わせるトリッキーな台詞やシーンが含まれ、終盤にそれらを伏線回収する展開。こういう過剰すぎない工夫や見せ方から、國吉さんの演劇創作経験の豊富さを感じます。大小の劇場、劇団公演、外部公演への参加など、様々な作品で作・演出を手掛ける國吉さんらしい一作でした。

ネタバレBOX

劇中の台詞や俳優たちの演技体は、寓話や絵本のような可愛らしさがあります。時代設定は(おそらく)現代のため、そこへUber EATSなどが交差する、リアルとファンシーが混ざったくによし組独特の世界観と言えるかもしれません。高い塔に住む人物は長髪の白髪を下界?へ垂らしており、その白髪の近くで人々は暮らしています。父親が亡くなり、久しぶりに実家へ戻ってきた美大生の青年は、卒業制作と称して、その塔の絵を描き続け、青年を慕う人々が彼のもとへやってきます。日常的であり、かつちょっと不思議な会話を交わしつつ、塔に住む人物の謎、街の人々の近況、青年の恋物語など、劇全体が少しずつ描かれていきます。

終盤に、劇中で感じた違和感が伏線回収され、人間の悲喜や人生の残酷さを感じさせる物語として終演。全編通してキャッチーな雰囲気をまとっており、観客の観やすさを伴う上演だと思います。その上で、「人生のうまくいかなさ」のような、切実な物語でもある。このあたりに、國吉さんの筆の力・魅力を感じる公演でした。
A Perfect Family

A Perfect Family

果報プロデュース

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

キャラメルボックスの俳優・山本沙羅が立ち上げた個人企画。 脚本 米内山陽子+演出 須貝英も楽しみにワタシは初見です。5月24日まで北とぴあ ペガサスホール。100分。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2026/06/post-9d69be.html

現代韓国演劇上演「四番目の人」

現代韓国演劇上演「四番目の人」

名取事務所

「劇」小劇場(東京都)

2026/06/19 (金) ~ 2026/06/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

お昼の回、観劇しました。
韓国のお話がすんなりと入ってくるかな、と心配でしたが、開始から引き込まれ、
アッという間に時が過ぎました。
静かな流れの中に各々の感情というか、個性がきらりと光ってどの方も素晴らしかったです。
冤罪を覆せない理由に「面倒くさい」があることが悲しかったです。

ゾロアスター 

ゾロアスター 

カプセル兵団

三鷹Ri劇場(旧 三鷹RIスタジオ)(東京都)

2026/06/18 (木) ~ 2026/06/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

如何にもな小劇場らしいハコで
演者さんらは逆Vの字型に置かれた椅子に
座って朗読時に立ったり動いたりしての
熱演 約2時間の作品 全席自由で飲食も自由
ドリンクチケットが500円

善神マズダさんが
ノリノリで客席に移動しての芝居は
とても受けたデス
アドリブでの一発芸大会も差し込まれ
自分はテッカマンが刺さりました♪

罠

日本テレビ

よみうり大手町ホール(東京都)

2026/06/06 (土) ~ 2026/06/26 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/06/22 (月) 14:00

120分。休憩なし。

舞台 つむぱぱ

舞台 つむぱぱ

劇団TEAM-ODAC

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2026/06/17 (水) ~ 2026/06/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。
登場人物が多いせいか、前半は少し混乱しましたが、背景を理解した後は、すごく良かったです。
自分自身との葛藤、家族の愛や人との繋がりなど、思う所が多かったです。
笑いあり涙ありの素敵な舞台でした。

優しい劇団の大恋愛 Volume11『もっと愛してくれよ節』

優しい劇団の大恋愛 Volume11『もっと愛してくれよ節』

優しい劇団

吉祥寺シアター(東京都)

2026/05/10 (日) ~ 2026/05/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

名古屋を拠点に活動する優しい劇団による大恋愛シリーズ第11弾。普段は別の土地で活動する俳優が公演当日の朝に初めて顔を合わせ、稽古、そして本番と“1日限りの演劇”を上演する試みです。
今回は「優しい劇団の浅草演劇祭」から1年を経て「優しい劇団の武蔵野演劇」と題し、一人芝居に大恋愛2本という怒涛のラインナップを3日間吉祥寺シアターで上演。本作『もっと愛してくれよ節』はその最終日に上演されました。

ネタバレBOX

まず、名古屋を拠点に据えつつも地域を横断してこの壮大な企画を立ち上げ、連日大盛況でやり遂げられた気概とエネルギーに拍手を送りたい思いです。

前日に上演された『夕焼け色のダイダラボッチ』は同窓会を巡るお話で、過去を懐かしみながら今を生きる人々の姿が描かれていました。それに対して、『もっと愛してくれよ節』は初の時代劇。キャラクターの名前や役職、流れているムードこそ時代劇のそれなのですが、内容はむしろ未来的、未来への願い、平和への祈りが強く込められた作品であると感じました。
優しい劇団の持ち味である、ペアによる愛の言葉の応酬、愛が積もり、愛が重なり、それによって世界は変わるのではないかという願い、未来をよくしたいという祈り…。

チラシに描かれているように、本作は「花火」がモチーフとなっており、冒頭からキャスト陣が口々に「たまやー」と叫びます。それに対し、綺麗な星があるのに花火なんていらない!と言う者が現れ、いや、花火は消えてほしくない!という者が現れ、いつの世も人は自分の信じる愛や正義に向かって突き進むわけで…。そんな愛らしくも偏屈なキャラクターたちが、今この瞬間に舞い上がる花火の如く熱烈に生きる姿を、文字通り見上げていました。

物語のラスト、時を越え、国を越え、星まで越えて、軌跡が一つの愛へと帰結していく。その音を、始まり同様に俳優らの生声に託していたこと。それらに私は平和への強い祈り、反戦への思いを感じ取りました。1日で出会い、別れる俳優への手紙でもある台本、その手紙に全力で応答する俳優たち。そして、それらによって紡がれた風景の集積が、やがて舞台と客席を越境して、人々を同じ場所へ、同じ歌へ、同じ空の下へと誘っていく。そんな時間や空間が1日で叶えられるということ。そのこともまた、演劇という営みにおける一つの希望であると私は思います。
京王

京王

D地区

SCOOL(東京都)

2026/05/08 (金) ~ 2026/05/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

かつて投資情報商材マルチに手を染めていた、リリーとブラックのカップルの会話劇から浮かび上がる「宗教二世問題」。

ネタバレBOX

5年の同棲生活の間に二人に起きた変化が、越してきた日と家を出る日の会話のみで生々しく立ち上げられていました。単なる「関係の経年劣化」ではなく「5年かけても分かり合えなかった」という絶望や痛みが滲んでいて、私はそのことに強く惹かれました。
二人は、窓からスカイツリーがギリギリ見える(京王沿線の)マンションに暮らしており、越してきた日に「スカイツリーが見える」とはしゃいだリリーが、去る時に「スカイツリーからこの家は見えなかった」といった旨のセリフを言う。それは互いの、もっと言うならば他者との分かり合えなさや見えている景色の違いをざらざらと伝える一言で、劇全体に大きな効果をもたらしていました。同時に、ややセリフ(≒俳優)に託され過ぎている面もあり、照明などをもう少し活用して心象風景をより効果的に立ち上げることもできたかも、という感触も残りました。おそらくあのシーンは文字で読んだ時にも相応の体感に導かれると思うので、上演でその体感をどう増幅できるか、シーンの強度を上げられるか、その可能性を見てみたかったのだと思います。

本作にはリリーとブラックの他に、ブラックの後輩・へドウィグが出てきます。
外からの来訪者によって、内向きな会話や物語にうねりが生じる、というのはよくある展開ですが、本作はその手法は取らず、ブラック不在の中でリリーとヘドウィグは真新しく会話を重ねます。その会話にブラックとリリーの関係やリリーが抱える宗教二世の問題がまぶされていく様が興味深かったです。3人を描くことよりも、2人を2パターン描くことに注力することで、それぞれの人物造形を具に、露わにしていく。それは自己と他者、その分かり合えなさ、そして分かり合いたさを描いた本作において非常に意味のあることだと感じました。

シリアスな題材ながら絶妙な間合いやリアクションで観客を笑わせたり、俳優も三者三様に見事でした(CoRich舞台芸術まつり!の審査においても、演技賞の議論では出演者3名の名前が挙げられました)。
リリーとブラックがパチパチわたあめを口にして、パチパチ音の余韻を残しながら会話をするシーンは極めて斬新。演劇を観続けてきて良かった。そう思うのは、こうした想像しなかった演出に立ち会った時でもあるのかもしれません。
ベガスペガサス

ベガスペガサス

やみ・あがりシアター

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2026/04/25 (土) ~ 2026/05/06 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

書いて字の如くペガサスホールにラスベガスを召喚し、さらに劇中にペガサスも出すという抜かりのなさ。会場だけでなく、北とぴあの建物、もっと言えば東京都北区そのものも巻き込んでの劇作も没入感を手伝い、劇場、いや、会場を大いに盛り上げていました。

ネタバレBOX

タイトルに始まり、舞台セット、シークレットゲストに、マルチエンディングと、まさにギャンブルの如く観客の射幸心を煽りに煽るエンタメ力抜群のステージ。勝つか負けるか。当たりか外れか。回さなくては勝てるかわからない数字と観てみなくては当たるかわからない演劇。「ギャンブル」というテーマが演劇の内外を横断し、どこを切っても薄まることなく貫通しており、清々しい観劇でした。

物語として興味深かったのが、カジノの客を盛り上げるためにうだつの上がらなかった劇団が利用され、イマーシブシアターとしてカジノ向けの劇作と芝居を依頼される、という設定。劇場の中に劇場、演劇の中に演劇という入れ子構造になっており、観客もまた一人の当事者として世界観にグッと引き込まれるような力強いストーリーでした。
大所帯の群像劇ながら、ペアやコンビがきっちり整理され、全員の個性が等しく輝く配役とそれを余すことなく体現するキャスト陣には毎度ながら脱帽です。

もう一つ特筆すべきは、音楽。一度聴いたらたちまち耳から離れない楽曲(小山優梨)に合わせて、自らもルーレットに扮しながら数字を回す俳優たち(=数字に振り回される登場人物たち)の姿が鮮烈で、音楽の力強さが支柱となって観劇の記憶を色濃く彩っていました。スタッフ賞が存在するならば、私は小山さんを推薦したい。そんな風に思いました。

欲を言えば、もう少しドラマ部分が見たかった気もしました。中でも、カジノによって生活が一変してしまった夫婦の姿は物語の主軸でもあるのですが、シンパシーやエンパシーを抱くには展開が速く、ドラマへの没入には及ばなかった感触がありました。とはいえ、押し並べて俳優の表現力が高く、どのキャラもそれぞれスピンオフができそうな味わいがあるので、「もっと見たかった」という感触はそれはそれで正解のような気もしています。
ガラパゴス

ガラパゴス

キルハトッテ

水性(東京都)

2026/03/10 (火) ~ 2026/03/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「中絶手術を終えた主人公・サチコの下半身がイグアナに変身しているところから始まる」というあらすじからも「女性の身体における意思決定がどう紐解かれていくのか」に期待を寄せて観劇に向かいました。

ネタバレBOX

「変身」というものは、カフカの同名小説しかり、様々なカンパニーや作家によって創作の題材とされているものですが、本作における「変身」は、そこに「意思」を伴うか否かということが常にセットで描かれているように感じました。もう少し踏み込んで言うと、セックスに始まり、妊娠、出産、そして中絶といった極めて私的で守られるべきはずの女性の意思決定が、公的な規範を揺るがすような論調で軽んじられることについて明確に「怒り」と「抵抗」を示していると感じました。そして、私はそのことに強い共感と好感を寄せました。

サチコだけでなく、サチコの姉で家族のケアを余儀なくされているアキコや、男性社会の中でその医師(であり意思)に従わねばならない看護師のナスノ、シングルマザーのウオズミと社会で消費される様々な女性の姿に対し、私は等しく共感を寄せながら物語を追っていたように思います。
前作ではあらゆる物語の中で希求され、消費される少女性に対する抵抗を感じましたが、本作ではその先に待ち受ける抑圧や消費にスポットが当てられていて、カンパニーや劇作家の「これを描かずして」という一貫した覚悟を感じる観劇でした。

女性たちが車に相乗りをしてドライブする束の間の解放。そのシーンでJUDY AND MARY『Over Drive』が流れ、「夜に堕ちたら夢においで 宝物を見つけられるよ 信じてるの」の歌詞が重なった瞬間は思わず涙が溢れてしまいました。一方で、冷静になって振り返ると、パートナーであるユキオがサチコの車に轢かれてあっけなく死んでしまう展開や男性医師であるイシダのやや記号的な配置などを含めてどうしても男女の二項対立の構図になってしまう節もあり、もう少し希望を見出したいという思いもありました。

しかしながら身体の構造的にも侵入される側であり、妊娠、出産、そして中絶を経験し得る身体を持ちながら生きていく中で、私個人はどうしても女性たちの怒りに肩入れしてしまう部分もあり、男性の死や記号化を軽んじている自分にも気付かされました。20代の若手劇団にとって本作が果敢な挑戦であることは言うまでもありません。それを全力で讃えつつ、今後の発展に期待を寄せたいと思います。
一万円おじさん

一万円おじさん

株式劇団マエカブ

絵本の劇場カメレオン(香川県)

2026/03/07 (土) ~ 2026/03/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

香川県・高松市の田町商店街に新しくできた小劇場「絵本の劇場カメレオン」。本作『1万円おじさん』はそのこけら落とし公演でした。

ネタバレBOX

開演前から地元の観客たちで会場は賑わい、地域の演劇シーンの、ささやかながらもたしかな一つの転機のような場に立ち会えたことをまずとても嬉しく思いました。

おかださえによる絵本『しごとってなあに?』(渋沢栄一の『論語と算盤』を元にした絵本で渋沢栄一の玄孫である渋澤健が監修を務めている)を題材に、子どから大人まで誰もがわかるやさしい言葉とストーリーで「お金」と「仕事」の仕組みを紐解くコメディ。
やりたいことに向かって突き進む情熱家のカナコと将来を見据えて慎重に動く理論派のハル、そして突如公園に現れた1万円おじさんこと渋沢栄一を自称する男。対照的な性格で揉めがちな二人に謎の男が文字通り“金言”を告げる、というストーリー展開なのですが、「需要」や「供給」や「経営」と「協働」などについての教訓も盛り込まれていて、たしかに絵本的であるなと思ったりしました。

一方で、若い女性二人に対しおじさんがああだこうだと言って、それに女性たちが納得したり感化されていく、という構図も相まって、ユーモアよりやや説教くささが先行してしまっている印象も受けました。とはいえ、1万円おじさんがあまりにダメおじなので、「いや、あなたに言われても!」というツッコミの余地は確保されているとも感じました。

会場では、渋沢栄一にちなんで、劇中でも重要なアイテムとして出てくるサッポロ黒ラベルが売られていて、「これは飲みながら観るのがいいはずだ!」と思いつつ、審査観劇であることもあり我慢をしました。(今となっては、あれはカナコやおじさんと同じタイミングで缶をプシュッと出来る絶好のイマーシブ演出で、もはや飲酒も1セットの観劇という捉え方で良かったのでは!と後悔しています。飲めば良かった!)
われらの血がしょうたい

われらの血がしょうたい

範宙遊泳

シアタートラム(東京都)

2026/02/21 (土) ~ 2026/03/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「AI」という題材や設定だけでなく、それによって人間の深部が揺らいだり、輪郭が解けていくような感覚が随所に忍ばされていることの“超”今日性。あまりに「今」に迫り来るストーリーと上演で、11年前の戯曲であることに改めて唸りました。

ネタバレBOX

(作品に)時代が追いついた感というか、身近にある実体を持たない知能や知性、生命が終わってもSNSアカウントなどで人格や経験がデータとして残り続けることなど、手触りある体験なども想起しながら生々しく受け取りました。

失踪した母親が人工知能の家電(ザマと呼ばれている)として現れるという設定もとても引き込まれるもので、ザマとのあらゆる関わりや共存や乖離を、俳優らが複数の役を演じ分けながら魅せる姿もある種では撹乱的な効果を生んでいて、またある種では散らばったピースが揃っていくような実感にも繋がり、奥行きのある観劇となりました。
AI/人工知能は「人間の経験や知能によって学習させられている」だけあって、当然人間の様々な影響を与える。そして、奇しくもそのことに人間らしい寂しさや物悲しさが宿っていて、その情緒をまざまざと伝える目の前の人間、その集結による総合芸術の凄みに圧倒されました。すごく陳腐な表現かもしれないのですが、人間ってすごいな、と。素晴らしくて、恐ろしい、と感じ入りました。

音楽と空間の持つ可能性を引き上げる額田演出の妙も素晴らしく、リクリエーションとして強度の高い仕上がりでした。これはほとんど好みのようなものなのですが、引きの画の美しさに息を飲むような瞬間もあったのですが、やや余白が多いようにも感じられ、欲を言えば、もうちょっとギュッとした空間で観てみたかった、という気持ちも少し残りました。
塔の上の

塔の上の

くによし組

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2026/06/18 (木) ~ 2026/06/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

結局、3回観ました。で、個人的な評価を一段上げたので、もう一回投稿。
最初見たときは、ああ、凄いよく出来てる……けど、くによし組としては、綺麗にまとまり過ぎてないかしら?みたいな思いあったんだけど、リピートして。いや、そんな、やわい芝居じゃないって思いました。
見やすさが確保されてるけど、平易では無い。
観る人の立ち位置で、いくらでも深まる懐の深さある芝居だと思います。

舞台 つむぱぱ

舞台 つむぱぱ

劇団TEAM-ODAC

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2026/06/17 (水) ~ 2026/06/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

タイトルの「つむぱぱ」さんは入院中、要所要所で登場
前面に描かれているのは彼の家族や周辺の人達
軽快なコミカルさの中に哀しみの予感

ほぼ2公演を休憩はさんで観たのと同等、約3時間
2幕目が1幕目の「その後」的な内容で(当たり前だけれど)馴染みの登場人物にいろいろ意味が積み重なって俄然面白い
終盤にかけて周りからすすり泣きが聞こえてきたので、これ幸い
思い切りポロポロ泣けました

せかいをみてくる

せかいをみてくる

アンティークス

小劇場 楽園(東京都)

2026/06/17 (水) ~ 2026/06/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Team Sky観ました。日常のワンシーンを切り取ったようなものからファンタジックなものまで、バラエティーに富んだ短編集、感情移入し易くて、大いに楽しめました。

シャープさんフラットさん

シャープさんフラットさん

キューブ

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2026/06/19 (金) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ケラ氏の自叙伝的作品とのことだが、狂気と正気、妄想と現実の入り混じった世界、大いに笑えましたけど、結構深刻な内容は色々と考えさせられますね。

仁義なきストライク

仁義なきストライク

熱海五郎一座

新橋演舞場(東京都)

2026/05/31 (日) ~ 2026/06/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

第一幕75分、休憩30分を挟んで第二幕85分。東MAXの前説は快調だったし、本編も相変わらずくだらなくて(=褒め言葉)良いのだが、第一幕はギャグがあまり弾まず、第二幕で持ち直した印象。野呂佳代は動きのキレが良い。

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