
秘密
劇団普通
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2025/05/30 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
「感染症下で暴かれたこと」
2020年公演が中止となりようやく2022年に初演された作品の再演である。ポストコロナの時代に感染症について描かれた作品を観られたことに深い感興を覚えた。

リア
劇団うつり座
上野ストアハウス(東京都)
2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/31 (土) 17:00
岸田理生作『リア』を観た。これはW.シェイクスピアの戯曲『リア王』を基にしながら女性の視点から捉え直した作品といったようなことがCoRichのあらすじに書かれており、一体どうやってW.シェイクスピアの『リア王』を題材にしながら、それを換骨奪胎してどんな劇が私の眼前に立ち現れてくるのだろうと、期待と不安が入り混じった感じで観に行った。
実際に観てみると、岸田理生版では、劇中前提条件となる老王リアが幽玄の時間から歩み出てきて琵琶法師に、自分が何者であったかを聞くといったところ、老王リアには、3人姉妹でなく、2人の姉妹がいることになっていること、登場人物たちが明確な名前を持たず、現代演劇でありがちな具体性を持たない名前になっているところも含めて、物語の根幹にある部分が大きく改変されていて、それでいて観ている観客側に違和感を感じさせず、父であるリアと娘の長女との対立や葛藤に焦点を合わせて丁寧に描いていて、今においても色褪せない、謂わば家族の葛藤や対立と言ったテーマは時代を越えて、国や民族を越えて、永遠に考えさせられるものだと感じた。
大抵の場合、最初父の老王リアが王位を退くに当たって、3人の娘の内で孝行な者に領地を与えるとの約束に、領地欲しさから父王に聞こえの良い、都合の良いことを言って父王に気に入られ、領地を与えられる。それに対して、素直な物言いをした三女は、父王に怒りのあまり追放されるといった展開になり、その後話が進行するに従って、上の娘たちが如何に薄情で、裏切り者で、嫉妬深く、謀略に長けてるかが分かる展開となり、上の娘たちが嫌な徹底した悪女として描かれがちだ。
しかし今回の岸田理生版『リア』では、リアが王位を退くと、長女は今までの態度を急に手のひらを返したかのごとくに硬化させ、自分の時代が来たとばかりに、今まで父親に縛られ自由に身動き出来ず、封建的、閉鎖的社会に外においても家においてもがんじがらめになっていたところからようやく開放されたという感じから、父王が座っていた玉座に座り、若いうちにという感じで、闘剣で家来の男たちを戦わせて、勝った物には褒美として装飾がされた美しい剣や黄金を与えるのではなく、王宮に仕える高貴な女性や自分との性的な関係を結ぶことを褒美の代わりとするような放埒振り、さらにリア王を可愛そうな老人と吐き捨てるように言うようになる上、リア王の忠義者の老人を自分の家来に指示して両眼を潰させたり、リア王の象徴だった王冠を奪って長女が被り、元王の老人には木の枝で結わえた粗末な王冠被せ、王宮から追放した上、時々娘の顔見たさに帰ってくることも許さず、道化たちを伴って荒野を着の身着のままで彷徨わせる。さらにお金に困っても支援せず、親子の縁はこれで切れたとばかりに絶縁を宣言する。さらに心優しいが口数少なくほとんど喋らない次女も、時々元リア王だった身寄りのない老人を不憫に思って自分の家に招いたことを快く思ない長女は、いくら自分の妹とはいえ、このまま生かしておいたら、元父王リア、また私のことを快く思わない諸外国の王たちといつか結託して反乱を起こして、成功させるんじゃないかと言うような疑惑から妹の次女を、自分の忠実な家来に宮殿の中で首を絞めて殺させる。しかしそれでも飽き足りない長女は、自分の忠実な家来で、自分と性的な関係にある男を、実は密かに反乱を企ててるのではないかと疑い、寝室で情事に耽る最中、短刀で突いて殺すと言ったように、元になったW.シェイクスピアの『リア王』よりも一見救いがなく、W.シェイクスピアの『マクベス』よりも凶悪で冷徹で、残忍で非道、手段を選ばず、共感、同情の余地さえ見受けられないここまでのピカレスクぶりは、むしろ天晴と言っても良い。
しかし当然のことながら、長女もやはり人間なのか。劇の終盤が近づくにつれ、今まで殺したり追放し、自分の周りにはイエスマンしかいなくなったが、元リア王の気狂いになった哀れで薄汚くてかつての威厳や栄光はどこへやらの弱々しい老人を自分の手で殺し、これで封建制や閉鎖的社会、父権的といったものに全て勝ち得て、全ての事柄から開放され、これからは父の幻影を見る必要もなく、今まで以上に自由に生きることができ、自身が完全に自立できたと確信するが、父を殺した後、寧ろ父や家来を殺した幻に悩まされ、今までよりももっと不安と恐怖に怯え、誰も信用出来なくなって塞ぎ込み、不眠に悩まされ、身体を壊し、徐々に精神も壊れて、気が狂っていき、気付くと長女自身も幽霊になって彷徨っているという、何処か因果応報的だが、この岸田理生版『リア』がせめてもの救いがあるとするなら、長女が死してようやっと自分が殺したリアに許されるといった展開が用意されてるところぐらいか。
元々、シェイクスピア悲喜劇の中でも『リア王』は、コミカルだったり笑いやユーモアが極端に少なく、登場人物たち誰一人として幸せになれない、救いようがない作品だったが、岸田理生版『リア』はよりコミカルだったり、笑いやユーモアと言ったものが殆んど無く、独白も多くて、実験演劇的で、深刻で残虐で緊迫して、何処か生々しさが目立つ場面が多かったが、それこそが今を生きる私たちの現実でもあり、なかなか変わらない世の中、生き辛い世の中、未だに多様性とは言い切れないこの日本、ジェンダー問題一つとっても、女性の首相どころか、会社の部長かそれ以上のクラスで女性が殆どそういった責任ある役職に付いておらず、そもそも未だに男性と女性とで給料に格差が生じたりと言ったこともこの日本では全然解決されていない。そんな時代だからこそ、岸田理生版『リア』の長女のような、男社会の中で野心と野望で持って手段を選ばず成り上がり、しかし忠実な家来や実の妹を殺し、父を殺したことから、長女自身鋼のメンタルとは言えず、気が狂い亡くなって幽霊となるまでの過程が、ただの大悪人や、闇を抱えた異常な人物として描くのでは無く、傍から見たらそういうふうに見えつつも、その実どこか人間味が完全には消えない生身の等身大の人間、思い悩み、葛藤する複雑な感じに描いているところが、非現実的なまでに誇張して描き過ぎるよりも、リアル味があって共感できた。
長女は、ついつい弱音を吐きそうになる自分を、自分自身で牽制し、父権的、封建制、閉鎖的なるものと孤軍奮闘し続ける姿勢が、今を生きる人たちにとって多少の励みとなるのかもしれないと感じた。

メイクコンタクト
劇団ゼロイチ
雑遊(東京都)
2025/06/04 (水) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/06/04 (水) 14:00
明るく、前向きで楽しい舞台でした!
登場人物一人ひとりのキャラがきわだっていて皆さん愛らしいキャラでしたね。
ドタバタファンタジーな内容なのにホロリとする部分もあり前向きになり元気もらいました!

『パンとバラで退屈を飾って、わたしが明日も生きることを耐える。』再々演ツアー2025
趣向
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2025/05/09 (金) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
021年初演(未見)、2022年の再演を経ての再々演は、長野、大阪のツアーを経て、初演と同じ神奈川県立青少年センタースタジオHIKARI。5月11日まで130分。三演とも同じキャスト、作演というのも珍しい。
https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/06/post-04d85f.html

ヘンリー四世 第一部
イエローヘルメッツ(Produced by GMBH)
ROCK JOINT GB(東京都)
2025/05/29 (木) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

尾﨑優人一人芝居 北極星のがなりマイク
優しい劇団
浅草九劇(東京都)
2025/06/03 (火) ~ 2025/06/03 (火)公演終了

琴弾鳥の嘘 ~探偵 御手洗泰親 登場~
演劇企画戯舎
「劇」小劇場(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/22 (木) 19:00
太平洋戦争のインパール作戦で重傷を負い記憶も喪失して復員した男をめぐるミステリー。(以下ネタバレBOXへ)

来訪者
劇団未来
未来ワークスタジオ(大阪府)
2025/05/30 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とても良くできた作品と言う印象です。テーマも分かりやすく、とても面白かったです。セットもしっかりしていて、演者の演技も安定しており、見ごたえがありました。また機会があれば是非とも拝見したいです。

『流浪樹~The Wanderer Tree~』
ゴツプロ!
本多劇場(東京都)
2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
戦争ものは辛くなるので避けていたのですが、中津留さんが体調不良で降板と聞いてこれは応援しなければと急遽観に行きました。行って良かったです。中津留さんの作品をいくつか観ていますが、今回はいつになく優しさを感じました。
初日ということで帰りに花束をいただきましたが、包装紙の中にお花について説明があってそれも素敵でした。

『流浪樹~The Wanderer Tree~』
ゴツプロ!
本多劇場(東京都)
2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
俳優さん達の演技が見事でした
台湾の俳優のお二人の母国語は北京語で
このお芝居の為に今は使われることない昔の台湾語と日本語を覚えたんだそうです
外国の方々が結構来てましたが
こんなに良く出来た良い芝居なのに
客席が半分くらいしか埋まって無かったのが勿体なかったです
お薦め
帰りにチャーハン食べました

尾﨑優人一人芝居 北極星のがなりマイク
優しい劇団
浅草九劇(東京都)
2025/06/03 (火) ~ 2025/06/03 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
舞台にはパイプ椅子1つ。スマホで音響操作もしながら登場人物50人以上を演じる、演劇愛に溢れた一人芝居。終盤には何とも言い難い妙な感動が。

ガマ
劇団チョコレートケーキ
吉祥寺シアター(東京都)
2025/05/31 (土) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
幕開けから度肝抜かれる演出です。悲惨なシーンは真っ暗な中で声だけが聞こえるのですが、これがいいですね。ミニマルな演出ですが、最大限の効果を発揮してますね。ガマで起きたことがかなりリアルに伝わる舞台です。舞台の最後では私の周りではすすり泣く声がいっぱいでした。すばらしい時間をありがとうございました。

『流浪樹~The Wanderer Tree~』
ゴツプロ!
本多劇場(東京都)
2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
さすがゴツプロ!です。『たかが十年の祭り』を観劇したとき「この劇団はただものじゃないしプロ意識が半端ないな…」と思いましたが、今回『流浪樹~The Wanderer Tree~』を観てその思いをさらに強くしました。とにかくすごいレベルです。何もかもレベチです。脚本もすばらしいですが、キャスティングが最高です。もちろん演技も申し分ないです。今回は台湾の俳優さん2名参加のスタイルですが、これがたまらなくいいです。アフタートークに参加させてもらい台湾の俳優さんの苦労だけでなくスペックの高さに感服した次第です。この舞台はマジで観ないと損です。

ガマ
劇団チョコレートケーキ
吉祥寺シアター(東京都)
2025/05/31 (土) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/06/03 (火) 19:00
読売演劇大賞 最優秀作品賞の作品ということで、納得です。
役者さんが役に見えず、当時の方々がその場にいるようでした。
憑依している感じが迫力がありあっという間の時間でした。

「夜行万葉録・巳」
Jungle Bell Theater
参宮橋トランスミッション(東京都)
2025/06/03 (火) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/06/03 (火) 19:00
良くも悪くも初日らしい緊張感がありつつも作品は過去作同様「骨のある優しいお話」という感じで好みでした。最前よりも2列目が上席。

蝉追い
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/05/27 (火) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/06/03 (火) 14:00
座席1階
舞台のタイトルになっている「蝉追い」は、セミを夏の神様に見立てて手作り灯籠で行うお祭り。福岡地方の習俗なのかどうかは分からないが、ずっと地面に潜っていて地上で生きるのはわずか1週間。セミは、地中で作業する炭坑のメタファーであり、地元で起きた悲惨な炭鉱事故がモチーフとなっている。炭坑三部作と称される作品の一つ「オバケの太陽」や「泳ぐ機関車」を思い出した。
今作の舞台美術。開演前、客席の階段まで劇場は夏らしく青々とした木々、葉っぱで埋め尽くされている。物語の中心となる家族は夏ミカンの農家をしていたということで、登場する夏ミカンの色が緑に映えた。桟敷童子の舞台はこうした作り込みが魅力であり毎回楽しみにして元・倉庫の劇場に出かけていくのだが、今回も期待を裏切らない。
先人も書いていたが、今作のMVPは鈴木めぐみ。3人の幼い姉妹を捨てて駆け落ちをし、30数年ぶりにちゃっかり戻ってきたおばあちゃんを演じている。その夫役は客演の山本亘。ミカン農園主だったが、今や農園は荒れ果て、3人の娘も寄り付かない。そして、舞台が進むに連れて出てくる認知症状。この描写が実にリアルだ。
3人姉妹は桟敷童子の看板である板垣桃子、もりちえ、大手忍だが、今作でもその実力を遺憾なく発揮している。東憲司の世界観を体の底からよく理解しているからだろう。「お父さんが不審な女を連れ込んでいる」と耳にして3人そろって帰ってきてそっと状況を伺うという場面からスタートするが、両親への思い、特に自分たちを捨てた母親への複雑な胸の内の変化を涙が出るほどうまく表現している。また、3姉妹それぞれに苦悩を重ねた人生の物語があって、これが家族の群像劇として深みを与えている。
お約束のラストシーンは派手さはないものの、桟敷童子ならではの終幕だ。3姉妹が使っていたというミカンの図柄の茶わんなど、細部にもきちんと目をかけた演出だ。
あまりにスキがない感じもするが、今回も秀作だ。見逃さないようにしたい。

『流浪樹~The Wanderer Tree~』
ゴツプロ!
本多劇場(東京都)
2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
当初演出もする予定だった作者の中津留氐が降板したと聞いて心配したが、胸にガツンとくる骨太のいい舞台だった。

ヘンリー四世 第一部
イエローヘルメッツ(Produced by GMBH)
ROCK JOINT GB(東京都)
2025/05/29 (木) ~ 2025/06/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/06/01 (日) 18:00
前にも、ライブハウスで劇を観たことは1回はあったが、それは古典劇ではなく、疾走感、臨場感があって、俳優が舞台を所狭しと使って、爆音で音楽が流れる中、ロックな歌を叫んだり、台詞を叫んだりと言ったパンク精神に溢れた、良くも悪くも演劇というよりかLIVE感強めな劇だったので、ライブハウスで演るのに適していた。
しかし、今回は普段子ども〜大人まで幅広い年代が楽しめて、肩肘張らず気軽にW.シェイクスピアの戯曲に親しむことができることを標榜して、実践している劇団イエローヘルメッツによる劇、W.シェイクスピア作『ヘンリー四世』とあって、正直ライブハウスでの公演、この組み合わせは上手くいくものなのか不安だった。
しかし、実際に観てみると、そんな一抹の不安など、一瞬で吹き飛んだ。
本来客席を置かないライブハウスの特性を活かして、仮設の右側、左側の座席の真ん中に花道を設け、役者が花道と舞台上とで同時に会話をするような場面もあったりして、普通の座席が固定化した小劇場ではあまり無い演出もあったりして、臨場感があって良かった。
『ヘンリー四世』は歴史劇だが、普通どこか荘厳な部分や緊迫して息が詰まるような要素、笑える場面もありつつ、全体としては重苦しく、どこか権威的な作品になりがちな気がするが、今回は違って、勿論緊迫した場面もあるのだが、その中にさえ大酒飲みでごろつき騎士、大洞吹きだがどこか憎めない感じで演じられたフォールスタッフ、訛りすぎてるゆえ過去の武勲を誇張して話したり、あり得ない大洞を兵器でまくし立てたりするグレンダワーなど一癖も二癖もある連中が出てきたりすることで、場の空気が一気に愉快になったりと、馬鹿らしさと緊迫した場面とのバランスが非常に上手くて、観ていて飽きさせず、大いに楽しめた。
劇中、役者は黒子のように全身無地の黒づくめの衣装で出てきて、舞台上には役者の数分の5つのパイプ椅子が置いてあるだけで、客席側にもなにもセットらしきものは見えず、至ってシンプルだった。
ここが居酒屋なのか、王宮の中の大広間なのか、ホットスパーたちが密約を練る場所なのか、森の中なのかといったことは役者たちが喋る台詞の中でさり気なく説明されるといったことで、今どの場面が展開されているのかが、舞台セットがなくとも、人物に合った服装をしていなくても、自然と想像しやすい工夫がなされていて、大変興味深かった。
昔新国立劇場中劇場で観た『ヘンリー四世』などと違い、フォールスタッフが大酒飲みで、女好きの追い剥ぎを糧とするごろつき騎士で、大洞吹きといったようなただの救いようのないクズとして描ききるのではなく、しかも上原奈美さんという女性の役者が演じたからかどうかは分からないが、女好きの要素を排し、ただの大酒飲みの大洞吹き、しかしどこか憎めない愛すべきキャラとして描いており、その上下世話な要素を控えめで演じていたので、こういうユニークなフォールスタッフも良いなと魅力を感じた。
大抵ハル王子が演じられる場合、救いようがない不良な感じで描かれ、途中から、戦争場面において本領発揮といった感じで演じられがちだが、萬家江美さん演じるハル王子の場合は、前半から中盤にかけては不良というよりは親にただ反抗的な思春期のティーンエイジャーと言った形で演じていて、共感できた。但し、後半の戦争場面での心を入れ替え父親のヘンリー四世と共に戦う際、また戦場でフォールスタッフたちにあった際のやり取りがそんなにケジメを付けている感じには見えなかったので、人間味があって感情移入しやすかった。
小山あずささん演じるヘンリー四世も、時に威厳があって権威的に振る舞いつつも、子どものことで悩んだり、英国の貴族たちとの関係で悩んで一人自室に籠もったりと、どこか非常に現代にも共通の親の悩みや部下との関わり方の悩みなどといったことはいつの時代も似たようなものかと共感しやすかった。決して、冷徹で頑固な感じで、融通が効かないだけな感じに描かれておらず、新鮮だった。
役者5人とも女性だったが、宝塚的な型式的な型に嵌った感じじゃなく、自由闊達で、アドリブも飛んでいたりして、全員が男役を演じていたが、違和感が全く感じられなかった。

『流浪樹~The Wanderer Tree~』
ゴツプロ!
本多劇場(東京都)
2025/06/02 (月) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

2025年度団内公演『リバーサル・フィルム』
Seiren Musical Project
牛込箪笥区民ホール(東京都)
2025/06/01 (日) ~ 2025/06/02 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
今年入団した学生がメインの公演ということで、フレッシュさに溢れ、元気で勢いがあった。
まだ荒削りながら、中にはダンスに秀でた演者、歌唱が得意そうな演者さんが何人かいて、これからの成長が楽しみだ。応援していきたい。