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ナマリの銅像

ナマリの銅像

劇団身体ゲンゴロウ

新宿スターフィールド(東京都)

2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/30 (土) 13:00

 実は、今回観た劇の『ナマリの銅像』は、2022年にも観ているのですが、前回観たさいは確か観客側ではマスク着用とか体温を測ったりなどの色々な制約が多い中での、更にかなり小さな会場での公演だったと思う。
 なので今年の公演では、会場も大きくなったうえ、マスク着用がどちらでも良くなったり、だいぶコロナ前の状況にようやっとなってきて、前回の公演よりも観る側もだいぶ自由になってきたので、前よりもより没入感が強くなるかと思い、更に前回の天草四郎の物語よりも今回のあらすじの解説を読んだ感じだと進化するか、物語が拡がっているものとすごい期待しておりましたが、良くも悪くも前回と変わらない内容、没入感もいい意味で前回と同様だった。

 ただし、前回劇公演の料金が投げ銭制だったのが、今年の公演では普通の小劇場公演で取る料金設定になっていたところが、変わっているとしたら、そういう所だと思う。
 前回よりパチンコ店のマイクパフォーマンス場面での益田四郎(天草四郎)役の初鹿野海雄さんによるマイクパフォーマンスを通した人旋回術というか、そのマイクパフォーマンスの言霊が、最終的に第二次大戦以前や第二次大戦時における天皇の御言葉など、天皇を現人神へと昇華させていった。戦後も天皇という存在自体は日本において存在し、ほとんどの国民が疑問を持っていないこの危機的状況をも内包させているふうに感じ、前回以上の迫力と怖ろしさが滲み出ていて良かった。

 前回より広い会場ということもあってから、所々現実に引き戻されたり、何よりも集中力が続かなかったので、やはりかなり小さい会場やまたは工場跡とかのほうが絶対に合うと感じた。あと、前回観たときと違って、劇の後半で裏切る武将の山田役がいかにも怪しい感じがでているイケオジな男性が演じていましたが、見た目からは何を考えてるか分からない感じで、しかし見るからに怪しいというか、どうせ裏切るといった感じが出ていなかったので、やはり山田役は前回のように女性が演じたほうが良いと感じた。

ミュージカル版 『五色ロケットえんぴつ』〜気がつけば恋の話〜

ミュージカル版 『五色ロケットえんぴつ』〜気がつけば恋の話〜

劇団帰燕

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2024/04/04 (木) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/04/04 (木) 16:00

価格3,500円

脚本家の園田英樹氏が手掛けるミュージカルプレ公演。
五色ロケットえんぴつ…略して「ロケミュ2024」を観劇してきました。
エンタメ性が全面に出ている本作品は、若い役者たちのパフォーマンスから
衣装チェンジまでの視覚的要素が大きく、今どきの「きゅん」ポイントが沢山詰まった
可愛さ溢れるステージ。お芝居と言うより、歌と台詞付きのライヴを見ている感覚かな。
4チームの内、今回はBチームの舞台を楽しませて頂きました。

ネタバレBOX

このパンフレットの挿絵がグッと期待感を膨らませています。
会場に入ると前説の勉強でしょうか…各チーム開演までトークがハラハラw
エキサイティングシートに興味あったけど、ペアで座った方が良いよね…見送りましたw

肝心のお芝居ですが、内容は単純且つパフォーマンス要素が強いので
物語へ引き込まれるというより、歌やダンス、ネタや衣装で客観的に楽しむコメディ作。
若さ全開でぶつかっていく姿勢は良いのですが、どれも中途半端という印象が否めません。
例えばどの楽曲も割合低音から入るので、歌詞がこもりやすく観客からすると聞き取りにくい。演技も台詞や動作の間、役者同士の距離間など粗削りな感じがします。衣装替えはアヒルやメイドスタイルなど面白かったですが、全体を通して着替えが多いかな。分かりやすい色の服装を使って5色カラーを強調しても良かった様に思います。場展時も黒子とは言え、どうしても目立ってしまう所が気になりました。

今後どういう風に劇団帰燕が旗揚げ本公演に繋がっていくのか、楽しみにしています。
また、急な時間変更にも関わらず丁寧に対応して下さりありがとうございました。
漸近線、重なれ

漸近線、重なれ

EPOCH MAN〈エポックマン〉

新宿シアタートップス(東京都)

2024/04/01 (月) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/01 (月) 19:00

90分。休憩なし。

朝日と夕日の出会う国

朝日と夕日の出会う国

劇団ミックスドッグス

上野ストアハウス(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/03/31 (日) 16:00

115分。休憩なし。

(あたらしい)ジュラシックパーク

(あたらしい)ジュラシックパーク

南極ゴジラ

王子小劇場(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/31 (日) 13:00

140分。休憩なし。

新ハムレット

新ハムレット

早坂彩 トレモロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/03/22 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/27 (水) 14:00

事前に青空文庫で「はしがき」を読んで臨んだので太宰による「あの人物/設定なら自分だったらこうする」的な二次創作(=薄い本?(爆))として観てあれこれ得心。
先入観もあってかいかにも日本的で太宰らしい(いや、そんなに太宰作品に接した訳ではないが)気がする。
また、その感覚は紋付やインバネスコートに山高帽という古き日本を思わせる衣裳による部分も少なからずあるな。そしてその衣裳がそれでなくとも的確な配役に更なる説得力を持たせて印象的。
更にシンプルながら造形美を感じさせ盆のように回る装置もセンスが良くて好き♪

花に嵐

花に嵐

東京タンバリン

東京国立博物館九条館(東京都)

2024/04/04 (木) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/04 (木) 13:00

座席1階

東京タンバリンがかつてより行っている、和をモチーフとした舞台「わのわ」。今回は講談とのコラボだが、演劇と講談は実は相性が非常によいことが分かる。観劇後はそのまま座って、出演した俳優さんたちがおいしい抹茶と香川県坂出市の「名物かまど」の和菓子を振る舞ってくれる。このような演劇体験は初めてだ。

「わのわ」を見るのは自分は初めて。今回は東京国立博物館の敷地内にある茶室を舞台にして上演された。茶室だから畳敷きで、床の間の絵画も何やら由緒ありそうなものだ(ひょっとして文化財?)。窓から見る桜は満開。いす席と座布団の席を一列ずつ、舞台を挟んで両側に配置し、かたわらには茶の湯を沸かす茶釜が湯気を立てていた。始まる前からこれまでの小劇場観劇とは違ったムードが漂う。
講談を見たことのないお客さんのために、皮切りは講談師の一龍斎貞寿による、易しい解説からスタート。目尻の下がった笑顔がとてもチャーミングな貞寿だが、いざ講釈台を張扇でパパンとたたくと座がキュッと引き締まる。実は今回、舞台の導入部や舞台転換で貞寿がパパンとたたき、舞台の背景を講談調でしゃべるのだ。お客さんはこの軽快な話術に引き込まれ、舞台をしっかり理解することができる。実にいいコラボレーションだ。
物語は由緒ある日本料理店。茶道のたしなみのある主人公の女性は、同窓生の日本料理店社長に請われて従業員に茶道を教えに招かれる。ところが行ってみると、生徒である従業員は一人も来ない。この社長は女性関係が派手で、奥さんが不義を疑い、意地悪をしていたとみられるのだ。
茶室が舞台だから、茶道を教えるというシチュエーションにはぴったり。だが、おもしろいのはやはり、東京タンバリンが得意とする日常的な人間関係が織りなす会話劇だ。驚いたことに畳の上で和服の女性が取っ組み合いのけんかをするシーンも登場する。

俳優は全員が和服。茶室が舞台なのでこれがすごく美しく映る。何の小道具もいらない。お客さんは「日本料理店にある茶室」との設定に違和感なく溶け込んでいく。
講談とのコラボも奏功し、貴重な演劇体験を味わうことができる。もちろん、物語自体も面白い。終演後にお抹茶をいただいたから言うのではないが、見ないと損するかも。

ネタバレBOX

最終盤、「次回作に続く」とにおわせるようなせりふも出た。この物語の続きがあるのかも。
新ハムレット

新ハムレット

早坂彩 トレモロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/03/22 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

原作を知らないのが
ただただお恥ずかしい限りなのだが、
美術も衣装もオシャレだったし、
抽象的な美術の使い方が凄く上手だった。

何より俳優さんが達者‼️
個人的に感嘆したのは、クローヂヤス役の
太田さんと、ポローニアス役のたむらさん。
特にたむらさんのお父さんは「目から鱗‼️」
でした。女性は、女性のままでもお父さんに
なれるのだなぁ(びっくり)

観る前に原作を読む余裕があると
作品は倍楽しめたと思います。
(そこは自分に対して残念です)

天の秤

天の秤

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

史実に基づく舞台 演劇作品で
ハイジャック事件の流れを
忠実に再現しながら 人間ドラマが
見事に描かれ
それぞれの立場だけでなく
素性や内面も 会話や振る舞いで
描かれていたので
それぞれの気持ちに寄り添ったり
後ろから頭をバシッとしたくなるような
苛立ちを感じたり
地上から奮戦する空港関係者に
エールを送って、と
再観劇でストーリーはわかっているけど
その場面場面に集中して
共に闘う気持ちで
最前列で観た時は 役者さんと
擦り合うくらいの距離感で
でも ふれあう事のない
こちらは当然ながら安全な場所いる事が
自分が飛行機本体で
機内や地上で起きている事を
見守っている そんな思いも感じました


観劇 ではなく
搭乗 という言葉で
機内アナウンスのような前説も
気持ちを高めてくれて
飛行機が飛び立つ爆音で 本当に
Gがかかったような感覚がありゾクゾクしました!
事件の実話ですし 
乗り越えたから幸せになる
という話ではないですが
すごく面白くて 観れて良かったです!

正夢

正夢

星歌オムニバスひとりしばい公演

北池袋 新生館シアター(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

頑張っていた。
・・というコメントは一番無粋な類だとは思うが、見たそのままの感想が出た。五名の劇作家のラインナップは目を惹くが、書き下ろしとなると贅沢な反面「出来」も気にかかる。もう一つ別の舞台と散々迷ってこちらを観た。どっちが良かったとは判定できないが、結果的に良かった。北池袋駅周辺の長閑な地区に降り立ってすぐの新生館という空間も駅も初めての場所で、昼下がりに池袋駅方面へ歩く道行きも新鮮で久々に旅気分込みの観劇であった。
演目の方はそれぞれの劇作家らしさのある作品、10〜15分程度の、と当初書いたらしい宣伝文句の中にあったが、前説で115分と案内される(とすると一作15〜20分の勘定)。テーマ設定がない分、この星歌なる若輩のパフォーマーにインスパイアされて書いたと思しい作品が多い。手作り感のある劇場には星を誂えた美術が、最後の演目(柴幸男)に寄せたのかとも思ったが、「星歌」に寄せたのだな。ムシラセ・保坂萌の作はゾンビがいるディストピアな未来に、一人でやってるラジオ放送を聴きながら「読まれる」はがきを書こうと頭を捻る少女の話、笑いを好む作者らしい内容。続くMCR櫻井智也は先頃別れた彼氏の悪態をつきつつ想念から離れない二律背反に悶える女性の話、オノマリコの作品が最もスケール感とスピード感があったのは意外だった。続く鈴江敏郎は友達から聞いて作った物神との対話(自己問答)、柴幸男のは宇宙を旅する者の語り。「他者」が出て来ないほぼ独白は詩の朗読の域で、ラスト2つ抽象的舞台が続いて体力もそろそろで眠気が襲ってしまった。見て判りやすいものが三つ続いた後でもあり、順番的にどうだったかな、と。体力さえあれば終盤に抽象度の高い世界に入るのも悪くはないが・・。
しかし全体として中々なレベルであった。

花田少年史

花田少年史

人形劇団ひとみ座

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2024/03/26 (火) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ひとみ座を見始めたきっかけが同じ劇場で観た70周年記念と力の入った「どろろ」。今回も劇団総出の力の入った公演、観るしかないと足を運んだ。
終演後、自分には意外だったのが今回が75周年だった事。つまりひとみ座観劇歴史は5年。えーもっと前かと思った。。やはりコロナ禍が時間感覚にかなり影響している。
作品は所謂「人形劇=子ども対象」の範疇。そこが「どろろ」と大きく違う。題材がこれなのでそうなるかという所ではあるご。。
面白い演出ではあった。いや存分に趣向を凝らしこのコミックのドラマ世界を具現していた。ただ、ドラマの強度が気になった。同じ筋書きで別の色合いは出せた、かも知れないが、脚本かな・・。
冒頭とラストでロック調のテーマソングが
生演奏で披露されるが、この曲は悪くないが、ラストではオープニングにはなかった歌詞、あるいはCメロが欲しかった。カーテンコールで同じ曲のサビ〜ラストを一クサリやったのもお腹一杯であった。音楽監修が入ったらそこは意識してアレンジを施したのではないか、と想像をしてしまう。終わり良ければ、なのである。

アンドーラ

アンドーラ

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2024/03/11 (月) ~ 2024/03/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

隣国「黒い国」と緊張関係を持つ架空の国アンドーラを舞台とし、ユダヤ人差別を軸に展開する不思議な味わいのドラマだった。文学座のアトリエ公演は濃い。秀逸。

文学座の勢いある女性演出陣の若手の一人とされる西本由香の演出舞台は初めてであった。その視点で反芻していなかったが、アトリエ公演らしい実験精神も見られた。架空の世界を描く際には、確かに、その世界を統べる法則や人々のふるまい方、習慣が戯曲に即して特徴的に描かれたい。
ただこの作品では「ユダヤ」という固有名詞は現在用いられるそれそのものとして使われ、迫害の熾烈な隣国の好戦的ファシズムの脅威にさらされた国、を舞台に、平和主義を貫いているとは言いつつそこここに欺瞞が満ち、ユダヤ差別も屈折した形で存在する哀れな弱小国の現実が浮かび上がる。この作品のメタファーがどこへ向かっているのか、どの現実を特に意識して書かれたものなのか、知りたく思うが舞台のみでは思い至らなかった。

天の秤

天の秤

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

テレビの再現で取り上げているので分かっているが、映像では伝えられない生の緊迫感を観ることができました。そして、正面のない楽園の使い方が見事でした。

船を待つ

船を待つ

ミクニヤナイハラプロジェクト

吉祥寺シアター(東京都)

2024/03/23 (土) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

“現代版ゴドーを待つ人々”。その言葉とスヌーヌー主宰で劇作家でもある笠木泉さんの俳優としての久しぶりの出演に惹かれて観劇を決めていました。

ネタバレBOX

入ってまず驚いたのが吉祥シアターの使い方。岸辺から水辺を臨むように客席と舞台が配置されていて、舞台の「長さ」がそのまま物語における時の「永さ」に接続しているようで、不思議な感覚に導かれました。目に見えぬ時空を掘り下げ、扱う戯曲ならではの演劇の魔法に感嘆。
生と死のあわいにも、夢と現の瀬戸際にも思える船着き場で巡りあったり、あえなかったり、重なったり、重ならなかったり、おそらくは人の実体はない魂のような、精神のようなものが水辺で交錯してゆく様を3名の俳優の身体が豊かに伝えていました。終わりを待っているようにも、始まりを待っているようにも見える人々を前に「待つ」という言葉、行為が含むあらゆることに思いを馳せました。それは今起きているたくさんの出来事、出来事なんて言葉では足らない事件や戦争にも繋がっていて苦しくなる部分も。死んだ後と生まれる前、その二つはこんな風に船着き場のようになっているのかもしれない。対岸にいる人々を見つめ、自分もまた相手にとっては対岸であること、そこからこちらはどんな風にも見えているのだろうかと。そんな風にふと魂の行方についても考えを巡らせました。ラストの笠木さんの涙が生命を讃えているようで、同時にその透き通る水分そのものを讃えたい気持ちにも駆られて胸がギュッと。哀切と歓喜が同じ分だけ染み込んだ美しい横顔でした。観劇後、外に出る時に劇場は虚構と現実のエントランスであり交点なのだ、としみじみ。そんなことを改めて噛み締める観劇は久しぶりでした。
三人姉妹

三人姉妹

ハツビロコウ

小劇場B1(東京都)

2024/04/02 (火) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

暗めの照明、出番でない俳優が舞台奥の壁際のベンチシートに座って劇を見ている趣向。台詞はかなりカットされているようだがエッセンスは失われておらず、むしろシンプルでわかりやすくなっている。反面、すんなり流れすぎていて、例えば「わたし、わかっていた」の有名な台詞が意味を与えられずにあっさり通り過ぎてしまったような印象がある。
それにしても、3人はうまくいかない人生に終始イライラしていてほぼその姿しかない。

漸近線、重なれ

漸近線、重なれ

EPOCH MAN〈エポックマン〉

新宿シアタートップス(東京都)

2024/04/01 (月) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

みずみずしい少年愛回顧青春劇である。内容は何度も繰り返されたドラマではあるが、表現が新しく、今風の風俗・会話も取り入れ、歌やパペットを上手く使うという小技も冴えて、新宿の夜を楽しめるスタイリッシュな小劇場作品となった。1時間半。
劇団主宰の小沢道成と、ゲスト俳優の一色洋平の二人芝居。地方から出てきた「僕」を一色洋平、僕が越してきたアパートの住人たち、家主の老婆(時にパペットで登場する)、跡継ぎの長男、部屋を斡旋した不動産屋、地元を離れず、結婚を知らせてくる高校時代の親友、隣に住む売れない漫画家志望の青年。いつも二番手までのホスト、なんかというと騒ぎの下になるインド人、そういう住人たちを小沢道成が一人で演じ、家主や地下に住むという珍獣のパッペト操作も担う。パペットを使い曲者俳優たちを揃えた昨夏の「我ら宇宙の塵」もよくできていたが、今回は二人芝居にしただけ引き締まった作品になった。
ヤオヤに組んだ板張りの壁に、形の違う窓が開いている。中央の一つだけは二人が窓顔を出せる大きさで、不動産屋が僕にアパートの部屋を見せているシーンから始まる。次々に窓が開いて住人たちが登場するが、一人一人よく工夫されていて面白く見られる。前半は地方から東京に出てきた二十歳過ぎの少年の一人住まいのドラマだが、現実とファンタジーを巧みに見せる。後半は結構す結婚すると知らせてきた「僕」の高校時代の親友の結婚式にどう対処するかを通して、青春後期のほろ苦い心情ドラマになる。帰郷すべきかどうか?
ストーリーそのものは奇をてらってはいないが、子供の頃ピアノを習っていた、等の小ネタを上手く使って音楽も効果を上げる。
場面の大道具に顕わされているように非常にスタイリッシュで、それが嫌みではなく、すっきりまとまっている。欲を言えば後半の締めが緩いところだろう。さらに言えば、これだけの技量があるなら、結局心地良い世界だけでなくもう一歩踏み出してみたらどうだ。
時代をリードする演劇人は、井上ひさしと蜷川幸雄。野田秀樹とKERA。新しいリアル派ではチョコレートケーキにIAKUとしばしば対抗組となって時代を作っていくものだが、いま新進の一方の雄、加藤拓也にはカップリングできる才能が見当たらなかった。小沢道成にはその役が担えそうなところも見える。須貝英を作者に迎えているところもいい。加藤拓也に三人がかりになってしまうが相手にとって不足はない。

第79回「a・la・ALA・Live」(ア・ラ・アラ・ライブ)

第79回「a・la・ALA・Live」(ア・ラ・アラ・ライブ)

a・la・ALA・Live

座・高円寺2(東京都)

2024/04/03 (水) ~ 2024/04/03 (水)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

新ハムレット

新ハムレット

早坂彩 トレモロ

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観劇歴は長くありませんが、これまで観た中でも最高の舞台の一つでした。

第79回「a・la・ALA・Live」

第79回「a・la・ALA・Live」

a・la・ALA・Live

座・高円寺2(東京都)

2024/04/03 (水) ~ 2024/04/03 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すごい楽しめました!昭和のかくし芸大会みたいでよかったです^^ 座長さん、今度は声の調子のいいときに観劇してみたいです。

かぞくのわ

かぞくのわ

道楽息子

アルネ543(東京都)

2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いや観に来て正解、才能あるわ。『マグノリア』だよね、全くハッピーではないけれど。
開幕早々、寺園七海さんがぶちかます。成程、役者の調理法をよく判っている。寺園七海さんは武器を手に入れた。

家族、若しくは家族という概念に苦しんでいる人間の群像劇。産んだ子供を愛せない人妻デリヘル嬢。幼年期に受けた虐待の経験から恐怖のトラウマが常にフラッシュ・バック、それを克服しようと過剰に自分を偽り残酷に振る舞うもう一つの人格。

優しいお母さん、青海(おうみ)アキさんがMVP。母であり妻であり女である。
その夫、村山新(あらた)氏も好演。笑顔で「しゃぶって」。ゼットンとキングジョー(?)のフィギュアを握ってブチ切れる演出は最高だった。
長女、斎藤茜理さんは平均的な女子。
次女、蟹江煎さんは漫画家の才能があるトランスジェンダー。

売れっ子漫画家の羽田敬之氏は妻に先立たれ、娘の育児を含む家事を学生時代からの友人、久間健裕氏に任せている。久間健裕氏は本業がお笑いで、相方は寺尾みなみさん。まだペエペエのコンビ。
漫画雑誌の編集者、小林桜子さんの感情のこもらないボイロ風会話が面白い。

明知広樹氏は半グレのような生活で弟・古賀紘汰氏の大学の学費を賄っている。この明知広樹氏がガチの犯罪者の臭いをプンプンさせている為、兼ねているABEMAのお笑い番組の司会役の時に心底ホッとした。古賀紘汰氏は蛍原徹の髪型ですぐにパニックを起こすボーダーを好演。

陽キャ女子高生、清水未来さん。
眼帯をするシーンもある五月女(そうとめ)泉さん。
金髪のららしえら!さん。
青木理歩さんは義父の性的虐待に怯えている。

お茶を挽く人妻デリヘル嬢、冬野泉さん。
巨乳の雪月彩瑛さん。
今作の光である、福谷まるさん。

こういう鬱話の連打なのだが、退屈させない技量が凄い。キャラが皆立っている。人妻デリヘル店の待機している風俗嬢なんか、今作で一番解放されて見える。

鬱話でげんなりさせてオシマイの、その手の作品かと思い、当初観ようとは思わなかった。不幸の共有なんてもう腹一杯食い尽くした。だがいざ観てみると、驚く程希望に溢れている。痛みと優しさの共存。

『今度はオレらの番さ』The ピーズ

絶望なんか気のせいさ、全くよ
死んだ方がマシなんて、勘違いよ
Hey,Baby 冴えないまんまでも笑えるよ
相棒がいれば勘違いもしねえ

ネタバレBOX

子供を愛せず虐待を繰り返してしまう寺園七海さんの吐露に、福谷まるさんはその痛みを全部抱きしめてあげる。「それが普通だよ。」

一番の名シーンは狂った母親に殺されかかる程の虐待を受けてきた明知広樹氏が、ボロボロ涙を流し洟を垂らし同じ境遇の寺園七海さんの息子に語り掛けるところ。「お前がいるせいで母ちゃんはああなっちゃったんだぞ。」時空を超えて久間健裕氏も同じ場所にいる。二人がまるで会話をしているように心の痛みを決壊させていく。

浮気を繰り返す妻を奴隷契約で縛り付け、虐待し続けてきた村山新氏。そんなに歪ませてまで自尊心を保ち、家族ごっこを演じてきた自分自身の悲鳴に気付く。「離婚しよう。」どんなに嘘を重ねても心の傷は癒せない。諦めよう。

ドラマ的な悲痛な告白をタフな登場人物達は軽くいなす。「いや、家族なんてそんなもんだよ。」泣いたり喚いたりそんな特別なもんでもないよ。小説漫画TVドラマ映画、虚構に毒され過ぎなんだ。人間なんてそんな高尚なもんでもない。ちょっと知恵のついた猿。ほんのちょっとだけ。

『スーパーソニックジェットボーイ』THE HIGH-LOWS

俺には不安なんかない TVの馬鹿が煽ってる
トラウマの大安売りだ そんなに大したものかよ

どうでもいいじゃないか そんなことはどうでも
どうでもいいじゃないか そんなことはどうでも

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