花に嵐 公演情報 東京タンバリン「花に嵐」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/04/04 (木) 13:00

    座席1階

    東京タンバリンがかつてより行っている、和をモチーフとした舞台「わのわ」。今回は講談とのコラボだが、演劇と講談は実は相性が非常によいことが分かる。観劇後はそのまま座って、出演した俳優さんたちがおいしい抹茶と香川県坂出市の「名物かまど」の和菓子を振る舞ってくれる。このような演劇体験は初めてだ。

    「わのわ」を見るのは自分は初めて。今回は東京国立博物館の敷地内にある茶室を舞台にして上演された。茶室だから畳敷きで、床の間の絵画も何やら由緒ありそうなものだ(ひょっとして文化財?)。窓から見る桜は満開。いす席と座布団の席を一列ずつ、舞台を挟んで両側に配置し、かたわらには茶の湯を沸かす茶釜が湯気を立てていた。始まる前からこれまでの小劇場観劇とは違ったムードが漂う。
    講談を見たことのないお客さんのために、皮切りは講談師の一龍斎貞寿による、易しい解説からスタート。目尻の下がった笑顔がとてもチャーミングな貞寿だが、いざ講釈台を張扇でパパンとたたくと座がキュッと引き締まる。実は今回、舞台の導入部や舞台転換で貞寿がパパンとたたき、舞台の背景を講談調でしゃべるのだ。お客さんはこの軽快な話術に引き込まれ、舞台をしっかり理解することができる。実にいいコラボレーションだ。
    物語は由緒ある日本料理店。茶道のたしなみのある主人公の女性は、同窓生の日本料理店社長に請われて従業員に茶道を教えに招かれる。ところが行ってみると、生徒である従業員は一人も来ない。この社長は女性関係が派手で、奥さんが不義を疑い、意地悪をしていたとみられるのだ。
    茶室が舞台だから、茶道を教えるというシチュエーションにはぴったり。だが、おもしろいのはやはり、東京タンバリンが得意とする日常的な人間関係が織りなす会話劇だ。驚いたことに畳の上で和服の女性が取っ組み合いのけんかをするシーンも登場する。

    俳優は全員が和服。茶室が舞台なのでこれがすごく美しく映る。何の小道具もいらない。お客さんは「日本料理店にある茶室」との設定に違和感なく溶け込んでいく。
    講談とのコラボも奏功し、貴重な演劇体験を味わうことができる。もちろん、物語自体も面白い。終演後にお抹茶をいただいたから言うのではないが、見ないと損するかも。

    ネタバレBOX

    最終盤、「次回作に続く」とにおわせるようなせりふも出た。この物語の続きがあるのかも。

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    2024/04/04 20:40

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