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鍵泥棒のメソッド→リブート

鍵泥棒のメソッド→リブート

ニッポン放送

本多劇場(東京都)

2024/01/11 (木) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです。どこら辺が「リブート」なのか、なぜ「リブート」がついているのか分かりませんでしたが(調べたらいくつか意味があったので)再起もしくは再起動と思っていいのかな。
ちょっとしつこい(私には)ギャグみたいなものもあったのですが、許せるギリギリのあたりをついてくるので、面白いほうが勝って、最後までハラハラドキドキでした。
「昔は赤坂の方で刑事さんが・・・」とか「朝7時新宿郵便局前」とか知っている人なら笑えるネタもあって、もっと色々詳しい人ならもっと笑えたのかもしれません。

ウィキッド

ウィキッド

劇団四季

JR東日本四季劇場[秋](東京都)

2023/10/19 (木) ~ 2024/01/27 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

オズの魔法使いの前日譚ということだが、途中からオズ本編の裏話になっていく。そしてすべてが最後はつながる。すべての伏線を回収して見せるストーリーが非常に巧み。西の「悪い」魔女の親友だった、南の良い魔女が、けんか別れや憎しみもないのに、なぜ西の悪い魔女の「死」を祝福しているのだろう?と、見ながらずっと疑問だったが、その疑問も最後にはほどけた。

オデッサ

オデッサ

ホリプロ

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2024/01/08 (月) ~ 2024/01/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

笑いに次ぐ笑いのうえに、ミステリーは意外な展開を見せる。それで終わったかと思うと、最後にどんでん返し。100分、十分に楽しめる。ただ三谷幸喜は今回もメッセージをこめることには非常に禁欲的である。ニール・サイモンのように。

殺人事件の取り調べ。互いに話の通じないアメリカ人警部(宮澤エマ)と日本人容疑者(迫田孝也)、日英両語ができる青年(柿澤勇人)が、日本人を救おうと間に立って悪戦苦闘する。数十年前の最初の思い付きは、日中戦争中の中国での、日本人と中国人の話だったそうだ。間に立った通訳が、戦闘を避けようと嘘の通訳を繰り広げて、爆笑コメディーになる。この設定なら、笑いだけではなく、戦争回避という大きな目的を背景にした、奥行きのある話になったと思うのだが。「笑いの大学」のように。

ネタバレBOX

開幕10分後、取り調べが始まるや否や、日本人旅行者(迫田孝也)は米国人警部(宮澤エマ)に「私が殺しました」と突然告白する。客席はびっくり。通訳の日本人青年(柿澤勇人)もそれ以前の彼とのやり取りで、無実を確信しているから、思わず「He says he didn't kill him」と、嘘の通訳をしてしまう。ここから、旅行者が演じる殺人の状況の再現を、そば打ちの様子に変えて訳したり、あの手この手の爆笑場面が続く。最後のどんでん返しの伏線が、最初からはっきり示されているのはさすがである。まさか、そうなるとは。観客も騙されても腹が立たない。
みえないくに

みえないくに

公益社団法人日本劇団協議会

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/01/18 (木) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ケストナーやスターリンなどの評伝劇で、近年急速に頭角を現した鈴木アツト氏が、評伝劇とは違う、現代の世界と翻訳の問題に切り込んだ。日本の敵どころか「世界の敵」になった国の言葉を広める辞書を作ることは、日本国民を敵に回し、会社もつぶれるのではないか。ロシア語・ロシア文学をめぐる現在のジレンマを、架空の小国の話に置き換えて、敵とみなしたら、その国に関わる全てが否定されてしまう現代の極端な風潮を見つめ直させる。なかなか難しい課題に取り組んだ意欲作である。グラゴニアが隣国に侵攻した、というところで、舞台三方の大きな本棚が倒れて、どばーッと本が散乱する演出は、ダイナミックだった。

架空のグラゴニア語をいろいろ肉付けして、舞台に乗せたのは面白かった。日本語は、雨に関する言葉がたくさんあるが、グラゴニア語は物のにおいについての単語が豊富なのが特徴とか。「ムルケアス」ということばは、「老木の香おり」の意味で、同時に「老人の生きた時間」という意味があるとか。このマイナーな言語を学ぼうと、べてらん編集者(土居裕子)が、家じゅうの物に、グラゴニア語を買いたポストイットをつけていた、というのは「なるほど!」と思った。モノになりそうな学習法だ。

一方ストレートな議論中心で、遊びというか、芝居にゆとりがないのが残念。人物の生活と感情にもう少し厚みが欲しかった。

ネタバレBOX

いろいろ、突っ込みたいところはある。グラゴニアは人口60万の認知度の低い小国という設定だが、そういう国の話題が急にニュースになったら、グラゴニア関連書は売れるのではないか? 今こそ出版しようとなっておかしくない。大国ロシアへのバッシングをそのまま小国に当てはめたためにズレを感じた。それをいえば、そもそも小国は、戦争を仕掛けたりしない。反撃されて、負けるのは自分たちと分かっているから。実際、グラゴニアは、空爆を受けて国連?に占領統治される。独裁政権で人権抑圧をしている、世界の孤児(北朝鮮やミャンマーのような)という設定がよかったのではないか?
スピーカーズ・コーナー(仮)

スピーカーズ・コーナー(仮)

Gesu◎

アンダースロー(京都府)

2024/01/13 (土) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

満足度

隣のスーパーが潰れていたことから始まり、開演時間もレイト…
始まった内容も五人(女性4男性1)が各々に福音(キリストの歌)?を歌ったり、憲法の条文を読み上げたり、刑法の条文を読み上げたり、天皇制反対の意見を読み上げたり、死刑執行までの気持ちを読み上げることを、永遠と70分間繰り返すのみ
当パンを読んでいたので、表現したいことは分かるんだけど…
この劇場でやる演劇は、かなり特殊というか、パンピーには難し過ぎるというか、波長が合わない
観客11名で、劇団は9名で運営 ゲネはもっと…

バケモノの子

バケモノの子

劇団四季

大阪四季劇場(大阪府)

2023/12/10 (日) ~ 2024/05/25 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/01/18 (木)

あの「バケモノの子」がミュージカルになったのです。ストーリーは映画とほぼ同じですが、目の前で繰り広げられる歌、踊り、立ち回りが加わったのですから面白くないわけがありません。この国産ミュージカルが海外にも広まってほしいです。いや、きっと広がることでしょう。

性と生の迫間で

性と生の迫間で

Lumeto

高田馬場ラビネスト(東京都)

2024/01/17 (水) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/01/18 (木) 15:00

座席1階

デリバリーヘルスの風俗嬢とお客さんの会話劇。オムニバスのようでもあるが、舞台後半でつながっていく。つまり風俗嬢とお客さんの群像劇だ。

子づくりのためのセックスに疲れ果てて勃起不全となった男性など、さまざまな性の悩みを抱えた人が登場する。一方の風俗嬢も、身体は女性、心は男性のままで仕事をするトランスジェンダーなど、やはり胸の内に秘めた葛藤を抱えていることが舞台の進行で明らかにされる。共通しているのはどの人ももがきながらも懸命に生きているということだ。こうした通底音があるから、どんな苦難が吐露されても、舞台は一貫して前向きで明るい。

風俗嬢とそのお客さんにあるあるのような、細かな業界ネタが散りばめられていて奥が深い。お客さんのタイプも多様で、思わず引き込まれてしまう。性と生の迫間に何があるか。それは、なんだかんだといろんなことがありながらも前を向いていくという確かな思いではないか。

やむを得ないところでもあるけど、舞台転換にやや難がある。
だが、風俗での会話劇という異色な舞台を楽しむ一見の価値はある。

ネタバレBOX

事故で両まひとなった男性が車いすでラブホに入り、デリヘル嬢を呼ぶ場面がある。車いすでも入れるラブホがどれだけあるかは不明だが、これからの時代、そんなホテルがたくさんできてほしい。障害者の性を描いた舞台も見てみたいと思った。
ストレンジャーズ イン ザ ナイト

ストレンジャーズ イン ザ ナイト

スラステslatstick

駅前劇場(東京都)

2024/01/16 (火) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

劇団初見。レトロなB級SFモノとスポ根人情劇のミックスですかね。ちょっとユルメだけど、ノリノリで、大いに楽しめました。

「売春捜査官」

「売春捜査官」

Last Stage

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2024/01/17 (水) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

部長刑事・木村伝兵衛を女性に据えた『熱海殺人事件/売春捜査官』。長崎県五島出身の在日朝鮮人・李大全が、上京した地元の娘達を集めて売春グループを組織している。そこで働いていた女性・山口アイ子が熱海の海岸で首を絞められて殺される。容疑者として逮捕されたのは五島から上京してきた大山金太郎、被害者の幼馴染。

木村伝兵衛に花奈澪さん。
彼女の昔の恋人、熊田留吉刑事に丸山正吾氏。
大山金太郎に吉田翔吾氏、飛び蹴り連発汗だくだく。
ホモ刑事・水野朋蔵に青柳尊哉氏。
ゲストに高田淳氏、この人もヤバかった。

前半は吉田翔吾氏の爆発的エネルギーに圧倒される。その猛スピードに振り落とされそうだ。
そして『熱海殺人事件』と言えば、浜辺の絞殺シーンの再現。勿論今回も凄まじい。花奈澪さんの表情の繊細な構築は文学だ。更に青柳尊哉氏の慟哭も鮮烈。観てるだけでくたくたになる魂の殴り合い。
中邑真輔の名言、「K-1とかPRIDEとかよく分かんねえけど・・・、一番凄えのはプロレスなんだよ!」何かそんな気分。この空間を体感できる喜び。
「我、孤立を恐れず、孤高に陥らず、その孤独を友とせん!」
「私に出逢って下さった全ての皆様、有難うございました!」

ネタバレBOX

演出のカガミ想馬(a.k.a.石部雄一氏)プロデュースでは、『熱海殺人事件 /ザ・ロンゲスト・スプリング』を観たことがある。浜辺のシーンの那海さんがまた凄かった。

※エンディングはYOASOBIの『祝福』。
アンネの日

アンネの日

serial number(風琴工房改め)

ザ・スズナリ(東京都)

2024/01/12 (金) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/01/17 (水) 19:00

座席1階

生理用ナプキンの開発に取り組む会社での女性8人の群像劇。詩森ろばの名作の再演だ。扱いにくいテーマだったかもしれないが、それぞれ8人の初潮体験から幕が開き、次世代の製品開発に向かっていくという物語の流れがとても印象的。それぞれの個性が丁寧に描かれ、分かりやすい。8人の熱演も光る。価値ある2時間を体験すべきだ。

特徴的なのは、8人の中に性同一性障害の女性がいることだ。彼女は子どものころ、「神様、私にも生理をください」とお祈りをし、「女の子としての欠陥がある」と悩んでいた。その彼女が入社した経緯や、配属先の理由、部局横断の開発チームに加わるかどうかなどの展開は、その背景にいる会社の男性らの思考も含めて理不尽さや差別的扱いも浮き彫りにする。
生理の体験ができない男性には、女性がどのような身体的、精神的な苦労を重ねて生きているかを想像するきっかけになる。男女が共に活躍する社会を目指すのであれば、この劇作は政治家や行政の人たちにぜひ見てほしい。多くのヒントが詰まっている。

これは見ないと損するぞ、皆に言おうと思いながら夜の下北沢を後にした。

ビバ!小町さん

ビバ!小町さん

劇団ドラマ館

多摩市立関戸公民館・ヴィータホール(東京都)

2024/01/13 (土) ~ 2024/01/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

説明通りですが
ネコちゃんは擬人化してて
しゃべります(^-^)
ほんわかとした人情噺であり
良作だったなぁ~と感想

トーキョー奇譚 ~感覚強化産業Vol.2~

トーキョー奇譚 ~感覚強化産業Vol.2~

Sun-mallstudio produce

サンモールスタジオ(東京都)

2024/01/17 (水) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

どれも馬鹿げた話の、気楽に眺めて楽しむ短編3本だが、たった40分の中でもストーリー構成の妙が感じられて興味深い。

ストレンジャーズ イン ザ ナイト

ストレンジャーズ イン ザ ナイト

スラステslatstick

駅前劇場(東京都)

2024/01/16 (火) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです!
最初から最後まで、役者さん達の全力の演技が素晴らしかったです。
リアクションが面白過ぎて、涙が出るほどでした。
ストーリーも面白くて、子供の頃に見たような話というか、何だか懐かしさを感じました。
小劇場の楽しさを再認識しました。大満足の舞台でした!

オデッサ

オデッサ

ホリプロ

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2024/01/08 (月) ~ 2024/01/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

三谷幸喜らしいコメディで、そつはないがひねっただけのコクはない。
テキサスのオデッサという町の警察署が舞台の事件捜査の話である。アメリカ生まれの日系二世の女性警部(宮沢エマ)が取り調べを任された旅行者(柿沢英人)は日本人で英語が話せない。やむなく、アメリカ滞在中の日本人が臨時の通訳(迫田孝也)として雇われる。三人芝居で、日系二世の女性警部は日本語は話せない設定だから、苦しいが、全員日本人キャストでアメリカの田舎の話が不自然ではなくで舞台が進む。その苦し紛れも前半はずいぶん笑いにネタに使っているし、言葉のディスコミュニケーションのテーマも平易に伝わっては来る。
後半はストーリー設定に使われている、事件のミステリードラマ的な展開が主筋になって、田舎町の警察の事件を使いまわして笑わせながらサスペンスドラマの味も加えながら1時間45分飽きさせない。休憩なし。
細かい工夫もあって、舞台下手袖にピアノが一台、作曲者(萩野清子)が自分で弾き、劇伴もするし、柿沢、宮沢のミュージカルもどきの場もある。アメリカの話で言葉は一人は英語は話せるが、日本語はだめ。逆の人物もいるし、日英どちらもいけるという設定の人物もいる。聞き違えるとこんがらかるところだが、広く正面壁にスクリーンを張ってそこに字幕を出す。壁を押し抱いたり引いたりしたり、字幕の字を人物に寄せたり、説明に使ったり単なる字幕以上の効果を担っている。
笑いに加えて、サスペンス、謎解きをあの手この手と展開するのは間違いなく今一番人気の劇作家の腕ではあるが、全体としてはひねりすぎでおおらかに笑えない。人種差別問題や、言葉の問題も扱ってはいるが話の背景の一つになってしまって押しが足りない。正月早々野暮を言うようだが、三谷も喜劇とかエンタティメントの言い訳衣装を脱いで、奇想天外新境地の演劇を見せてもらいたいものだ。それはオデッサのように場所のひねりなどからは生まれないような気がする。

ストレンジャーズ イン ザ ナイト

ストレンジャーズ イン ザ ナイト

スラステslatstick

駅前劇場(東京都)

2024/01/16 (火) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

元・女子プロレスラー3人組vs粗忽スナッチャーズ。野口さんの独壇場、ピザあるいはポップコーン片手に見たかったなぁ。あと、誰か、ロビーに紫のバラを!

すいません、どうかしてました。

すいません、どうかしてました。

大人の麦茶

新宿シアタートップス(東京都)

2024/01/12 (金) ~ 2024/01/17 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

初日観劇。
初日だからだろうか、全体的にしっくりこず消化不良気味。
伝えたい事は分かるし終盤の展開は結構心に沁みた。
だからこそ、あの設定からの繋がりにチグハグな感覚も…
今川さん最後の麦茶だが、今後の活躍に期待!

すいません、どうかしてました。

すいません、どうかしてました。

大人の麦茶

新宿シアタートップス(東京都)

2024/01/12 (金) ~ 2024/01/17 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

テイストが高取英の『帝国月光写真館』。月蝕歌劇団の新宿スターフィールドの気分。80年代ソフト・アングラのガチャガチャしたムード。

堀江鈴(れい)さんと今川宇宙さんの親友女子の絡みは美しい。オープニングの歌も良かった。美声。東京ドリームユートピアに一緒に遊びに行く約束、大切なチケット。
「全部ある感じ!!」

華道家女子高生タレント役、川原美咲さんのファンが結構来ていて、調べたら元AKBだった。
寮母役、千代延(ちよのぶ)果穂さんのクライマックスでの熱演が光った。(寮母である彼女のことを「先生」と呼ぶのは変な気がした)。
クビになったスナックのママ役、わかばやしめぐみさんはやっぱジョウキゲンだよね。左耳のイヤリングが飛んでしまい、拾えないままシーンは進み、蹴られたり踏まれたり。ずっと注視していたが到頭拾えた時はホッとした。
校長先生役、若林美保さんのエアリアルシルクが炸裂。「ストレートプレイでも充分見せられる女優だな」と思っていたがここでこれを捩じ込むとは!初見の人はぶっ飛んだだろう。
デレデレ女刑事役、望月麻里さんも印象に残る。

奥谷知弘氏の夢の中、6枚のイラストの鯉が泳いでいる。裏返すと合体して一匹の巨大な鯉になる。このシーンが好き。

全体的に作風は好きじゃないんだが、不思議になんか後味が良かった。今作で退団する作演出の今川宇宙さんの好き放題にベテラン連中がノリまくっている熱気。今川宇宙さんはどこまで創造力のアンテナを伸ばせるのか試している感じ。若き才能、情熱を全肯定する姿勢が皆の原初衝動を呼び醒ましているのか。今川宇宙さんが皆にメチャクチャ愛されていることがよく分かった。

ネタバレBOX

山奥の全寮制女子高が舞台。40年前、永遠の友情を誓い合った堀江鈴さんと今川宇宙さん。だが堀江鈴さんは帰省すると一家無理心中に巻き込まれて死んでしまう。
そして現在、現実の陰惨な事件の無惨絵を描くことでバズっている死体画家「Quiet.」(奥谷知弘〈ちひろ〉氏)。両肩が重く色覚異常と線を引けない症状に悩まされ、今は絵が描けない。

華道家女子高生タレントとして活躍している川原美咲さんは学校を自分を憎み、降霊術を使って堀江鈴さんの霊を呼び出す。彼女を騙し、校長先生(若林美保さん)に乗り移らせて生徒一人ひとりの名前を呼ばせる。それに返事をした者は皆、異空間に飛ばされてしまう。捜査に来た県警も、果ては非通知で日本中無差別に掛かってくる電話に返事をした者達さえも消えていく。最終的には自分も異空間に消える無理心中的な霊的テロ行為だったのだが···。
(この呼ばれて答えてしまうネタは『恐怖新聞』の最終話を連想させる)。

自分の死体の絵を描いた「Quiet.」に興味を持ち、奥谷知弘氏の夢の中に会いに行く堀江鈴さん。親友と再会して自分の似顔絵を渡したいと考え、奥谷知弘氏に依頼する。

何でチンピラが数千万円持っているのか?何故県警の車まで消えたのか?日本中に電話を掛けたのは誰か?何で初心者霊能者(五味未知子さん)の説得で簡単に川原美咲さんは改心したのか?突っ込みどころは無限にある。だが亡霊とおばちゃんとなって再会した親友二人の会話がオープニングにループする辺りが素晴らしくてどうでもよくなる。東京ドリームユートピアに行くのは来世でもいいんだ。絶対二人で行こう。
「全部ある感じ!!」
チョークで描く夢

チョークで描く夢

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

映像配信を鑑賞。これもレビュー未記入であった。
だいぶ忘れているが、二つの時代を描いている、というのが(当時こんな議論したのかなー、といった疑問を乗り越えて)徐々に見えて来た。中津留節と言える議論劇だが、極めて大事な、しかしあまり表面化されない議論が舞台上で繰り広げられた事それ自体に心を揺さぶられる。差別について、人権について、日本は未だ発展途上どころか退行の様相すら見えるが、少々飛躍した考えを述べれば「彼ら」はその事を私たちに考えさせるために「こそ」存在するのであり、生まれ来たのだ、と考えると、健常者のカテゴリーに安閑としている自分たちも病気を抱え偏屈さ暢気さ優先順位の奇妙さそれぞれに程度の差はあれ「異常」と共に生きている生き物ではないか・・。その「栄誉」は私たちの中にもあるのだ。
昨今、改めてこう問いたくなる場面が多々ある。「自分が真っ当であると考えている理由は何か。その根拠は・・?」皆がそうしているから・・そう言っているから・・。それは、理由になっていないのである。

犬と独裁者

犬と独裁者

劇団印象-indian elephant-

駅前劇場(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

こちらも未記入だった。劇団印象のこのかんの舞台(テーマ:芸術と戦争の連作)全て配信で見ている。広い舞台で上演したチャペックを題材にした「水のあしおと」の次か。小さな劇場に戻り、今度はロシア文学者ミハイル・ブルガーコフという小説家が題材である。ロシア・ウクライナの文学者である事から掘り下げたものだろうか・・。帝政ロシア時代のウクライナ・キエフに生まれ、ソ連時代を生きた文学者だが、作品が発禁処分となる長い期間が今作の舞台になっている。来歴を見ると興味深いので調べてみるのはお勧め。

老いらくの恋

老いらくの恋

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

紀伊國屋ホール(東京都)

2023/05/24 (水) ~ 2023/05/31 (水)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

感想が未記入だった。こちらは配信で鑑賞。ほぼ正面からの撮影で寄りの距離は切り替えているが凡そ劇場観劇している見え方に近い。俳優の顔も小劇場のように間近でまじまじと見る瞬間はないが、音声がしっかり録れているので支障ない。
なので「劇場で観たっけ?」と記憶が混濁しそうになる。

さてお話はこの作家がシリーズ的に執筆しているらしい農村を舞台にした物語。都会から勉強だか実習だかでやってきた若い女性の働き手が場を明るくしている「時期」を切り取った舞台になっている。これがデフォルトで実際には「お寒い」農村事情を覗かせるという事ではなく、農業に勤しむそれぞれの世代の若者たちの現在進行形を描く。無論ドラマには葛藤と対立があり、舞台となる農家の居間で説教臭くなく自説を語っている相手、その若い彼女のつぶらな瞳を媒介に「あるべき農業」のイメージを膨らませた観客は、青年グループのリーダー的存在が「厳しい現実に対応する道として」その逆を行こうとするのがフラストレーション。やがて終盤に至りその対立は超克され大団円に向かうが・・舞台で語られる素朴にそうだな、と思える言葉が、あっさりと、バッサリと両断される今の日本が(そこには描かれていないが)思われる。これだけでは足りない、もっと言葉をもって跳ね返さなければ・・・と、大団円に悦ぶ一方で脳の片隅でもう一人の自分がぐずっている。

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