
不可能の限りにおいて
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2025/08/08 (金) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
生田みゆき演出による海外戯曲リーディング、という所で「観る」つもりでいたのがふと気づくと既に公演期日。泡を食って予定を組み、幸い観る事ができた(webからの購入を一度やり直したら次は完売。当日立見席で観た)。
どこにその匂いを嗅いだかこの公演じっくりと取り組んだ舞台製作であるよりは、急ぎ上演に漕ぎ着けた感があり、その予感(?実際の所は分からないが)に違わぬ内容であった。即ち「人道支援」の仕事に取り組む人たちへのインタビュー(聞き取り)、今現在待ったなしの状況がパレスチナという土地で進行している事への焦燥が、その印象に繋がっただけ(単なる主観)かも知れないが・・私にはこの観劇体験は必要であった、と振り返っている。
俳優はずらり14名、A、Bの2チームだが裏チームの者も「証言」以外の会話や小芝居の補佐として立ち回るので、全員の姿を見、声を聞く事ができる。
一等最初、前説的な挨拶が終ると、インタビュー「される側」の会話が始まり、そこから最後まで彼らの証言だけで貫徹される(客観視する存在のナレーション等はない)。彼らは目の前にいる(だろう)俳優や関係者=演劇製作のためのインタビューに訪れた者たちに向かって語る。彼らを迎え入れる時の会話・・「私は演劇が苦手。退屈しか感じたことがない」「俳優さんとこんな体験ができるなんて考えもしなかった」「あなた、あなたに私を演じてほしいな。私は穏やかな人間。そして貴方は穏やかな顔をしているから」等々。そして徐に証言が始まり、彼ら「人道支援」を仕事にする者たちが一人ずつ立ち替わり喋ることとなる。
まずはこの演出の見事さ、に触れるのであるが、彼らの証言はほぼ全て、彼らの「訪問先」で体験した事だ。彼らはその地域の事を「不可能」と言う。本テキスト中、演劇的飛躍のある唯一の約束事。自分が住む国は「可能」であり、「可能から不可能へ入る」「不可能の言葉は分からない」といった使い方をする。不可能=紛争地のことだ。
台本を置くための譜面台を前に、最初は一列にずらり並んでのリレー・トークが収束すると、中央に一つ譜面台を残して少し後ろに椅子が横一列、俳優はそこに控え、一人ずつ中央に立って証言するフォーメイションとなる。
言葉が耳から頭へとすうっと入って来る。一番手の話から、情景が眼前に浮かび上る。一つ目は彼らの組織の旗が爆撃後の静かな町の一角にはためいているのを見た職員は、そこにいる二人の男が路上に横たわる遺体を一体一体収まりの良い場所へ移動しているのを見る。仲間であれば自分らの職務が今最も医療を必要としている負傷した人達の元に駆けつけ、処置を施すこと・・にもかかわらず彼らは、手を掛けても甦る事のない遺体を黙って運んでいる。彼らに話しかけると、「手伝ってもらえますか」と言う。語り手はその後、自分の勘違いに気づく。彼らはそこに住む人々であり、彼らはその旗を「それがはためいている時だけは誰からも攻撃されない」お守りとして用いていたのだった。彼は自分たちの組織のシンボルが、その組織のことを何も知らない紛争地の人たちのものとなっている事に感銘を受けた事を語る。証言集の幕開きである。
場内はその後、笑わせシーン以外は物音一つ立たず、張り詰めていた。
様々なシチュエーションに遭遇した彼らの様々な証言が続く。
フォーメーションは幾度となく変る。一人中央に立っての証言(後ろに横一列ずらり)はやがて、ランダムに中央へ向いた椅子の置き方となり、ある男が自分の失敗を語る。話者はしばしば女性の証言を男優が、男性の証言を女優が担う。
ある女性は自分の血の輸血で救ったあるサッカー少年の、後日談を含めて語る。そこでは少年を表わす人形が登場し(人形が中央やや左のテーブルの上、話者は中央やや右寄りに立つ)、パペットシアターに。その少年のお陰で間一髪危機を逃れた後日談は木々の生い茂る中を車で進む様を、左右両の照明の前に木の枝(葉っぱ付き)を左右交互に「近づけて外す」とやってその影で道行きを表わす影絵の手法。
やがて舞台上には何も無くなり、シチュエーションを複数で演じたり、照明だけでキャンプファイアを囲む様子に見せたり・・。その夜はギター弾き(メンバーの一人)も居て、話者が歌う「不可能」の人たちの不可能の言葉で綴られた歌声に聞き入る。彼らは他の者の証言に、常に耳を傾けている。その情景も観客の目が捉える所となる。
逸話のバリエーションに見合うだけの趣向を凝らした演出に、リーディングである事も忘れるが、人の語りというものが様々な場や状況、気分によっても言葉のトーンが変って来ることを考えれば、ごく自然なあり方だ。
台本を持ち、台本に目も落としているのに「読んでいる」ニュアンスが排除されている。語っている臨場感をキープし続ける所が俳優たちの力量を思わせる所であった。
しかし何より、テキストが夏の昼に水を飲むように耳に、脳に入って来る。翻訳の藤井慎太郎は(先日観た)世田谷パブリック「みんな鳥になって」を始め過去上演したムワワド作品を翻訳してきた人だが、今改めて翻訳が持つ力というものを考え始めている。
特記する事でもないが、終演後拍手は鳴り止まず、4コールまで続いたのだが、それが不自然でない舞台ではあった。娯楽とは何か、と考えずにおれない。

ボーイ・オーバーボード
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2025/08/07 (木) ~ 2025/08/15 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
某原理主義勢力が過酷な支配を行う国で迫害を受けた家族の苦難が描かれ、悲惨というか希望がまったく持てない状況のストーリーなのだが、元気盛りの子どもたちが主人公で、暗く沈まず、むしろカラッと明るい感じの芝居になっている。ヘタに悲惨、悲惨で同情を誘おうとする趣向のものよりずっと好ましい。俳優たちも役柄を楽しんで演じている印象。

走れ☆星の王子メロス
to R mansion
世田谷パブリックシアター(東京都)
2025/08/09 (土) ~ 2025/08/11 (月)公演終了

百物語2025
伊藤えん魔プロデュース
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2025/08/09 (土) ~ 2025/08/11 (月)公演終了

宇宙で一番孤独な場所
夜光群
萬劇場(東京都)
2025/08/07 (木) ~ 2025/08/11 (月)公演終了

『残響』
白狐舎、下北澤姉妹社、演劇実験室∴紅王国
シアター711(東京都)
2025/08/06 (水) ~ 2025/08/12 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
事件を起こす前の日常を中心に話は進むが、周りの人達も皆悩みや苦悩が各々ありうまくいかない現実を思い知らされる。
実際にあった事件なだけにこれ以上の犠牲者が出ないように願いたいと思うほど心に響いた作品でした。

『意味なしサチコ、三度目の朝』再演
かるがも団地
吉祥寺シアター(東京都)
2025/08/08 (金) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
観客をいきなり舞台の空気と一体化させ、そこから切れ目なくストーリーが展開していました。笑いとしんみり、時代も行ったりきたりなのに説明なしで話が進んでいき、観客が違和感なくついて行けるのはおんなじ空気の中にいたからかなと感じました。団地とそこにあった世界と現実、わたしも団地族だった時期があり、xxx号棟のxxxっていう会話があったかなと。その一方で、団地生活からどこが壁ができた時代でもあり、孤立してもわからない環境があったかもと感じます。
2度死んだなら3回目の朝が来るのかなと。ノスタルジーであるものの人の一生は続いて行きました。
こっくりさんはよかったです~

聞き分けのいい人々
スタジオ共作所
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2025/07/30 (水) ~ 2025/08/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
分かりやすいストーリーで俳優陣のリアルな演技が光ります
ただ最後の方、たどたどしい日本語で激怒してるシーンがなんだかなって感じしました
主催者だから仕方無いのかもしれないけれど
作品としてはここが良くないという印象になりました

宇宙で一番孤独な場所
夜光群
萬劇場(東京都)
2025/08/07 (木) ~ 2025/08/11 (月)公演終了

宇宙で一番孤独な場所
夜光群
萬劇場(東京都)
2025/08/07 (木) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
役者陣の動きにキレがあり、斬新な構成でした。今までも1人3役の芝居はありましたが、1人の感情を14人で演じるものは無かったように思います。もしかしたら、自分の中にも14人の意識があるのかもしれないと思わせる舞台でした。

『意味なしサチコ、三度目の朝』再演
かるがも団地
吉祥寺シアター(東京都)
2025/08/08 (金) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/08/10 (日) 14:00
価格3,800円
8月10日〈日〉14時開演を鑑賞。
すばらしい劇でした。
役者の方はもちろんのこと、
脚本や演出、舞台装置などとてもよかったです。
秋田の能代が舞台です。
主人公の幸恵は、小学校の時にサチコと出会い、
それ以降、中学時代も高校時代もずっと仲良し。
グイグイ押してくるキャラのサチコ。
その性格ゆえに、自分の悩みや苦しみを幸恵に伝えられなかったのかな…。
家庭に居場所がなく、バイトの時間が長くなり、次第に追い詰められていくサチコ…
サチコのことが愛おしく、また可哀想でした。
秋田の方言が、とても心地よかったです。
感動しました。
本当に、すばらしかったです。
ありがとうございました。

レ・ミゼラブル ワールドツアースペクタキュラー
東宝/キョードー東京
東急シアターオーブ(東京都)
2025/08/07 (木) ~ 2025/08/30 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/08/10 (日) 17:00
歌唱力については問題ないのは当たり前ですが
演奏会形式とはいえ観に行って良かったです
死ぬ前に観られて良かった。。。

ほぐすとからむ
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 小ホール(埼玉県)
2025/08/03 (日) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
松井周×近藤良平のタッグ公演。新鮮な組み合わせとも言えるし、勿論楽しみな組み合わせとも言えます。過去にタッグ公演を上演しているそうで、今回が二度目のトライ。脚本が松井周で、演出・振付・美術が近藤良平。
個人的に特に惹かれたのは、松井さんの描く世界観。松井さんらしい内省的な一面、耽美的な一面もありつつ、非常に現代的なSF要素も含まれている。既に存在するテクノロジーや社会変化を取り入れつつ、その先の未来を描くような先見性の高い物語でした。近藤さんの演出も、的確かつ近藤さんらしい自由さがあり、振付など身体表現も含まれますが、どちらかというと、しっかり「ストレートプレイ」を感じられる、物語性を重視した演出に感じられました。そこには、松井さんの描く脚本の魅力に、近藤さん自身が強く惹かれていた、という背景があるのでは?と想像しています。

WHO CARES
ヨーロッパ企画
新宿シアタートップス(東京都)
2025/08/02 (土) ~ 2025/08/10 (日)公演終了
実演鑑賞
ヨーロッパ企画・大歳さんのユニット「イエティ」の公演。トップスで上演してくれるのは嬉しい限りで、その昔、トップスで観たヨーロッパ企画本公演のことなども思い出します。特定のモチーフをクローズアップした企画性の高いコメディ。今回のモチーフは「三択」。三択クイズも含まれますが、それよりも「ピンチが訪れた! この状況下で選ぶなら、次のうちどれ?」という三択なので、アドベンチャーゲームのシナリオに近いのかも。個人的には初期の『ハンターハンター』や、福本伸行作品などを連想しました。

セピア色の乙女たち
藍星良Produce
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2025/08/06 (水) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
説明通りに普通の学生生活送っていた女子大生が戦争によって普通でないことが日常になる時代を淡々と描いていて心に染みる舞台でした 全席指定 1時間40分の作品

だから僕はあの人の真似をする
劇団おおたかの風
ART THEATER 上野小劇場(東京都)
2025/08/09 (土) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ちょっと難解だったかなと… ナチスの話をマクベスネタで味付けした感じですが、ストーリーがいまいちフォローしずらかったかな…と。でも、十分楽しめました^^ あと、オープニングとエンディングをやられていたお二人(脚本家役と俳優役のお二人)、めちゃくちゃいい筋していますね^^ 生まれながらの役者ですね。最高の滑舌(台詞回し)でした。それと、どうでもいいことですが、劇場の音響めっちゃよかったです。

宇宙で一番孤独な場所
夜光群
萬劇場(東京都)
2025/08/07 (木) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
自分は特別な存在だと思っていたけど、今は凡人ですらなく、この先何者かになれる見込みもない…そんな三十路女子の本音が見事に描かれていますね。すばらしかったです。マジで名作です。「社会人」になれない東京のどこにでもいる三十路女子の本音が描かれていてマジでマスターピースです。いわゆる鬱漫画に近いものがありますが、この作品はわかるひとにはわかる作品です。というか、『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』そのもので傑作です。夜光群、最高の劇団です。次作機会があればぜひ観劇したいです^^

バレエ・スプリーム 2025
公益財団法人日本舞台芸術振興会
東京文化会館 大ホール(東京都)
2025/08/01 (金) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
フィギュアスケートのexibition同様、伸び伸びとした演技が印象に残りました。高い技術がどのようにバレイという芸術になって表現されるのかを垣間見た気がします。
高い技術の場面での毎回の拍手を送る観客が多いのですが、芸術性を重視するなら流れが終わったあと、まとめて拍手したくなる自分がいます~

セピア色の乙女たち
藍星良Produce
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2025/08/06 (水) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
思いが伝わってくる演者さん達の熱演が心に響くとてもよい舞台でした。劇中劇も現実とリンクしているような演出で、楽し気な雰囲気のシーンでの笑いもあるなかで、物語のラストに向け込み上げてくるものがありました。

ケルベロス
バカバッドギター
雑遊(東京都)
2025/06/28 (土) ~ 2025/06/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2025/06/28 (土) 14:00
価格2,900円
時間があったのでふらっと雑遊
初観劇のとこ
老舗感はあったけど、ちょっとマッチしなかったかも
なかなか無理ある設定も突っ走るスタンスは好きだし、面白さもあるが