
なべげん太宰まつり『駈込み訴え』
渡辺源四郎商店
ザ・スズナリ(東京都)
2025/04/27 (日) ~ 2025/04/27 (日)公演終了
実演鑑賞
渡辺源四郎商店が毎年ゴールデンウィークの季節にスズナリで行う公演シリーズ。今年は太宰治をテーマにして、口開けは1日だけの公演。30分に構成した「駈込み訴え」一人芝居の上演と、「駈込み訴え」を上演しようとしている高校演劇部の物語60分(第70回全国高等学校演劇大会(ぎふ総文)優秀賞受賞作品)を組みあわせて上演。全体で95分。
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あるアルル
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
はっちゃけたEテレ(Eテレ自体はっちゃけた番組多かったりだけど)みたいな感じ。
ただ、Eテレの番組は短いものが多いけど、これは長編でして。
自分は、前のめりになるよりも、冗長さを感じたほうが強かったかも。
観終わった後に、『ハウルの動く城』の階段シーンを思い出したりしました。
歌が多くて、巧みな歌唱ってわけじゃないんだけど、いい味わいになっていた。
ラストシーンは好き。

逆光が聞こえる
かるがも団地
新宿シアタートップス(東京都)
2025/04/24 (木) ~ 2025/04/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
トップスで3,800円はかなり破格だし、充実の演者陣。重いテーマを見やすい範疇で届けてるのも見事だと思う。
加害と被害を善悪で一面には描いておらず、重層的に受け取る側の一考になる、確かな重さがあるとゆうか。
個人個人への問題提起として受け取りやすかったです。
きっと団体の特徴なんでしょうが、一人の役者がアンサンブル的に色んな役を兼ねる、とても面白いんですが今作に関しては、やや気が散る印象を受けました。

お針子マーチ
さんらん
市田邸(東京都)
2025/05/13 (火) ~ 2025/05/17 (土)公演終了

最終兵器ピノキオ〜蜃気楼の向こう側〜
X-QUEST
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/05/09 (金) ~ 2025/05/13 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
千秋楽スペシャル的な感じはなく淡々と笑えるシーンもほぼ同じなのに2度目見るこちらも初見同様に新鮮に笑えた。練習したうまさではなくしっかり客席の空気をふまえて演じているという感じ。やはりあの青い妖怪ただもんじゃない #最終ピノ

kaguya
まぼろしのくに
ザ・ポケット(東京都)
2025/04/03 (木) ~ 2025/04/06 (日)公演終了

肝っ玉おっ母とその子供たち
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2025/05/02 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ドイツとポーランド中心にヨーロッパ強国が終わらないのではとさえ思える戦いを続けた
三十年戦争(1618~1648)。その前半部分を舞台に、“肝っ玉母さん”ことアンネを
主な登場人物に据えて描いた叙事詩。
ブレヒトの提唱した「異化効果」が全面的に用いられた結果、ただ「お偉方は兵士が死んでるのに
安全なとこでのうのうしてる」「弱い民衆から殺されていく」というステレオタイプ的な反戦演劇とは
一線を画し、もっとより高度な視点から「戦争が何故終わらないのか」「本当に民衆は平和を望むだけの
存在なのか」という問題を深掘りしている傑作かと思いました。

『パンとバラで退屈を飾って、わたしが明日も生きることを耐える。』再々演ツアー2025
趣向
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2025/05/09 (金) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
コロナ禍で緊急事態宣言が出されていた頃、一生苦しみ続ける心の病を抱えた者達を集めて戯曲の読書会をする鬱病の劇作家。『人形の家』、『三月の5日間』、『サロメ』。段々盛り上がって来たメンバー達は『サロメ』を舞台として人前で上演することを決める。
まずは現在2025年5月、登場した大川翔子さんが観客に語り掛ける。これは2020年7月から2021年12月の話だと。今となっては過去となった日々のことを思い返しているのだと。
コロナウイルス変異株の名前は差別や偏見に繋がらないように意味のないギリシャ文字の順番に付けられた。アルファからゼータまでの6人は順番通り。語り手の主人公だけは最後の文字、オメガを名乗る。
フォーマットが『コーラスライン』っぽい。
凄く観易く工夫されている。うんざりする意識高い系のスカした討論を危惧していたら全く違った。配役が見事、皆役者とは感じさせずに自然とそこにいる。その自然な存在感こそがテクニックだと終演した後、改めて唸らせる。皆さん歌が上手い。舞台上手でずっとキーボードを弾く作曲の後藤浩明氏。複数の役者が奏でる謎の楽器、ウォーターフォン。鍋の蓋に塞がれたフライパンのような器具、真ん中には水を入れる金属の筒。要は平べったい金属製のフラスコ。その円周上にアルミや真鍮の棒を複数立て、弓で弾く。ホラーの効果音に最適。
主演のオメガ役大川翔子さんは誰かに似てるなとずっと思っていたが、BLUESTAXIの鈴木絵里加さんか?
アルファ役三澤さきさん、ガンマ役榊原美鳳(よしたか)氏は役者に見えずもう本当にそういう人に見えた。
ベータ役前原麻希さんは歌のシーンで魅せる。
デルタ役KAKAZUさんはビョーク系の顔。センシティヴでナイーヴなキャラだが演技に入った途端、ガチ・サロメに豹変、客席が沸く。ニッチェ江上のネタみたい。
ゼータ役海老根理(おさむ)氏は元ジャンポケ斉藤っぽいハイテンション。
劇作家イプシロン役伊藤昌子さんがキーパーソン。作者オノマ・リコさんをダブらせるように描かれている。
いろんなことに負けてしまった連中。死んで物語を終わらすことも選べず、つまらない毎日を続けていくしかない。とっくに終わってしまった話なのにまだだらだらと続けている。その先に何があるわけでもない長いエピローグ。19世紀英国、社会主義者アーティスト、ウィリアム・モリス「人はパンがないと生きていけないが、パンだけでなくバラも求めよう。生活をバラで飾らないといけない」。バラとは何か?
各問題の当事者同士で自助グループを形成し、悩みや苦しみを共有し分かち合うシステムがある。昔自分もアルコール依存症の治療を調べ断酒会を知った。結局行かなかったが参加したらどうなっていたのか?今作は自分がそんなグループに関わったシミュレーションのように観た。集団精神療法の一つにサイコドラマというものがある。自分という役を演じる過程で自分というものを客観的に認識させていく。
宗教でも精神医療でもとにかく人に話を聴いてもらうことが重要。人間は誰もが自分の胸の奥底に溜まった感情を吐き出したがっている。そんなこと話して一体何になる?と思いながら、整理出来ない言語化出来ないモヤモヤを全て反吐のように吐き続ける。それでヘトヘトになって精神の均衡を保つのだろう。カール・マルクスは「宗教は阿片である」と断じた。その場しのぎの現実逃避であり、実際の問題の解決には至らないと。全くその通りだと思う。そう、皆欲しているのは阿片なんだ。とにかく今をやり過ごしたい。今さえやり過ごせれば後のことなんかどうだっていい。後でまとめて後悔してやる。
自身も含めた全ての苦しむ人々に作家(オノマ・リコさん)は自分の知る対処法を告げる。生きることは無意味だが死ぬことも無意味。無理して生きることはないが無理して死ぬこともない。あるがままに。
Nirvana 『On a Plain』
あと一つ何かそれっぽいメッセージを付け加えて
それで終わり、やっと家に帰れる
自分自身を愛するんだ、他の誰よりも
それが間違ってることは知ってる、でもどうすりゃいい?
俺は平原の上
文句なんか言えないんだ
平原の上で
オノマ・リコさんのやろうとしたことにRespect。こんなもの誰がどうやったってどうにもならないジャンル。そもそも誰も救えない。でも何かやろうとした。何かやりたかった。その足掻きが意味を生み出す。
アフタートークのゲスト、精神科医の劇作家・くるみざわしん氏の話が興味深かった。秋に中野MOMOで精神病院の勤務時代から封印していた闇を到頭舞台として発表するとのこと。これは観ないと。

反乱のボヤージュ
松竹
新橋演舞場(東京都)
2025/05/06 (火) ~ 2025/05/16 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/11 (日) 11:30
ちょっと左巻きの反体制的な群像劇を作らせるなら鴻上尚史が適任。いつもの手書きの文をコピーした挨拶文がなかったのが寂しかった。

明日、泣けない女/昨日、甘えた男
株式会社テッコウショ
シアターサンモール(東京都)
2025/05/03 (土) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/09 (金) 14:00
冒頭と最後に大音量で流れたジェイムズ・ブラウンのIt's A Man's Worldが全てを語ってたように思います。のんびりとした田舎町のようでいて、Jアラートが頻繁になる国際紛争の最前線。閉塞感が半端なかったです。

ソファー
小松台東
ザ・スズナリ(東京都)
2025/05/10 (土) ~ 2025/05/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/11 (日) 14:00
じれったいようなもどかしいようなテンポかと思うと、リアル過ぎて怖い台詞の応酬が
ぽんぽん!このソファー、きっと私も捨てられないと思うとボロ泣きした。
お父さん、あなたはどんな気持ちで、あのソファーに座っていたのだろう。

あるアルル
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
普段あまりエンタメ色の強い作品を観ないので、最初のシーンで面食らってしまい、途中まで「これはちょっと私には合わなかったかも」と思っていました。
人物それぞれの繋がりや背景が見え始めたあたりから面白くなり、ラストはちょっと無理に綺麗に畳んだ感じはしましたが、脚本の力と役者さんたちの力量の成せる技でしょうか、とても良いラストでした。

最終兵器ピノキオ〜蜃気楼の向こう側〜
X-QUEST
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/05/09 (金) ~ 2025/05/13 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/12 (月) 14:00
#最終ピノ 8年前と同じで、あんな感じなのに「とても熱い会話劇」で2時間があっという間。終わり方も心地良く楽しかった。

『ベイジルタウンの女神』
キューブ
世田谷パブリックシアター(東京都)
2025/05/09 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
5年前の初演時から大好きな演目でした。この再演版も、初演で感じた魅力はそのままに、より「ならでは」の魅力が増した印象。この出演者ならでは、ファンタジー作品ならでは、映像演出ならでは、物語ならでは、etc…。ベイジルタウンという架空の貧民地区を舞台に、市井の人々の前向きな生命力を描き、「夢を見ることの大切さ」を感じさせる一作だと思います。

團菊祭五月大歌舞伎
松竹
歌舞伎座(東京都)
2025/05/02 (金) ~ 2025/05/27 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
「花盛りの娘三様」
菊之助改め八代目菊五郎、丑之助改め六代目菊之助の襲名披露の團菊祭である。昼の部の最後に玉三郎と三人の「娘道成寺」が出た。

illuminaTe The Room
遠山ドラマティア
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2025/04/25 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ザ・エンターテイメント。
SFもののコメディベースではありつつシリアスな展開、ミュージカル・2.5次元・ストレートプレイの其々の面白さを集めたような作品でした。
キャラクターや背景の設定が細かく深みを感じますが、パンフや上演台本を読まないと拾い切れない部分があるのは少し残念かもしれません。ミュージカルというには…とも感じますが、そのあたりは他の面白さでカバーしているということで。
主演の藤原祐規さんの芝居がまずとても巧い。巧い人が真ん中に立つと作品が安定するなぁとつくづく思いました。
語られていない部分も表情や仕草でこれだけ伝わるものかと。膨大な台詞が聞き取りやすく聞き心地が良い。
音くり寿さんの歌唱力は当然ながらレベル違いといいますか、このキャパでこんなすごい歌を聴けるなんて!と感動します。
この二人がキャラクターとしても役者としてもバランスの良さと技術面がうまく噛み合っていて光っていました。

楽屋より愛をこめて2025
劇団S.W.A.T!
「劇」小劇場(東京都)
2025/04/17 (木) ~ 2025/04/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/04/26 (土)
26日の昼・夜で両楽屋を観劇。
とある演劇公演の初日・中日・千穐楽のハプニング(トラブル?)をその劇場の楽屋を舞台に描いたコメディ。
もちろん誇張/戯画化されているが、そこまで極端でなくとも似たようなことは実際にありそうで虚実の狭間を描いているのが愉しい。
さらに舞台役者であれば避けられないであろうことも描いて鮮やか。
あと、ルーキー楽屋Ver.とベテラン楽屋Ver.、2つ3つの固有名詞の違いといくつかの立ち位置の違いだけで同じ筈なのに役者の違いでかなり異なった印象なのもダブルキャストの醍醐味。

逆光が聞こえる
かるがも団地
新宿シアタートップス(東京都)
2025/04/24 (木) ~ 2025/04/27 (日)公演終了
実演鑑賞
劇団としては10回目となる本公演だそう。20代のおわり、いままでのところで作家が「目をそらしてきたこと」を描くのだという115分。4月27日までTHEATER/TOPS。
https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/05/post-05fafa.html

『パンとバラで退屈を飾って、わたしが明日も生きることを耐える。』再々演ツアー2025
趣向
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2025/05/09 (金) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★
鑑賞日2025/05/11 (日) 16:00
座席1階1列3番
価格4,000円
あまい洋々の結城真央氏がいう「「とある現実」を材料にして、ルポやドキュメンタリーなどノンフィクションとして世間に出されること、ドラマや小説などフィクションとして世間に出されること、どちらにも搾取性や暴力性」をこれほど感じる作品もない、と個人的には感じた。
過去に親や大人に虐待を受けたりいじめにあって心を病んでしまっている人、あるいはそれに近い経験があった人にはオススメできない。逆に、そういう人たち(虐待サバイバー)に「かわいそうな人」と同情の目を向ける人、もしくは「確かに不幸なことはあったがいつまでも過去に囚われて乗り越えることができない努力が足りない人」と批判的な目を向ける人ならば、この話はとても理解できるし、納得のいく素晴らしい劇に見えることだろう。
とはいえ、中庸な発想が自然にできる人ならば、「言いたいことはわかるけど、そういうもんだろうか」という違和感は感じてくれると信じたい。

赤目兎の罪悪感
らくだ企画
studio ZAP!(東京都)
2025/05/09 (金) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
誰もが葬りたい過去を抱えて生きており、その痛みを癒す そんな心を探す旅のよう。
古事記「因幡の白兎」をモチーフに、人生の罪悪感を問う物語。説明にあるように、修学旅行先の下見のため 車を走らせていたが…。気が付いたら赤い目をした兎が現れて、「人生コンティニューしますか?」と問う。続けて「ここは黄泉の国の入り口ー黄泉比良坂だ」という。
一般的に「因幡の白兎」では、嘘や欺瞞を戒め 親切で優しい心が大切だと伝えている。そして困難を乗り越えるためには、周囲の助けを借りることが大切で、自己中心的な行いは良くないといった教訓的な教え。この教訓的なことを教師1人ひとりが或る生徒との関りを通して罪悪感を告白していく。どうして この生徒と関わっていくのか、その謎めいた設定が肝。しかし、何故 教師がそれほど罪悪感を抱かなければならないのか釈然としない。だから「人生で最も愚かな罪悪感を正しく告白してください」、その追及に迫力を欠く。自分の感想は、劇作意図(対象者のこと)と反対かもしれないが…。
(上演時間1時間20分 休憩なし)