最新の観てきた!クチコミ一覧

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チョコレイト

チョコレイト

キルハトッテ

小劇場 楽園(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「そろそろダンス」に次いで二度目の観劇です。この団体さんのステージのセットや色使いがイイですね。観る者に攻撃的でないとゆうか、安心して観れますね。次回作も楽しみにしています。

染明色

染明色

Prelude

インディペンデントシアターOji( 旧:王子小劇場 )(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

Bチーム観劇。

再演らしいですが初演時の2年前より、より響く人が増えてるんじゃって思ったりした。
良し悪しじゃなくて、自分は苦手な芝居だったりはするのですよね。過激で煽情的な設定やシーンが多いし。

ミステリーの構造ですが、謎解きや犯人捜しよりも。
様々な多様性な関係性を重ね合わせ、普通っていうものと綱引きしてる感じ。
複雑な関係性が見どころ。

美術は入った瞬間良いなって思った。
役者陣も、みんな素敵でした。
明るい内容じゃないけど、きちんとした見ごたえある芝居でした。

大阪城西の丸 薪能 2025

大阪城西の丸 薪能 2025

大阪府・大阪市・大阪文化芸術事業実行委員会

大阪城西の丸庭園特設舞台(大阪府)

2025/05/24 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

初日は雨で中止
2日目は地べたがベチャベチャで、気化熱で5月後半とは思えない寒さ🥶 寒過ぎて途中退場が続出
気候が良かったら…

見よ、飛行機の高く飛べるを

見よ、飛行機の高く飛べるを

悪童会議

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

3時間があっという間。

最高でした。

Osaka マーメイド

Osaka マーメイド

一般社団法人表現者工房

表現者工房(大阪府)

2025/05/23 (金) ~ 2025/05/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ミュージカルを彷彿とさせる内容
大阪のマーメイド🧜‍♀️は怖い…
主役はめっちゃ可愛いくて
マーメイドにピッタリでした~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

剣チームを観劇しましたが、とても良かったです。
ガチガチの時代劇ではなく、現代的な要素があり、観やすいと思いました。
悲しく楽しく切ないストーリー、テンポの良い台詞、素敵なダンスや衣裳、全てが良かったです。
ラストは、泣きました・・。
素敵な作品なので、他のキャストでも観てみたいと思いました。

熱海殺人事件 - 1973初演ver.

熱海殺人事件 - 1973初演ver.

9PROJECT

上野ストアハウス(東京都)

2025/05/22 (木) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/25 (日) 13:00

千秋楽の舞台も超満員。岸田国士賞をとった初演版を忠実に再現した作品で、つか作品を演じ続けてきた9プロならではの舞台だ。出演メンバーも北区つかこうへい劇団でつかに指導を受けた顔触れ。誰もが知るつか作品の名作だけに、アレンジを加えない初演版への取り組みは相当なプレッシャーもあったのではと拝察する。

9プロのホームページに、「白鳥の湖」が流れない“つか演出前の熱海”とあるが、他の劇団が繰り返し上演してきた「熱海」では、当然のことながら「白鳥の湖」は強烈な印象を残すポイントの一つだ。演出の渡辺和徳は昭和歌謡やニューミュージックの数々をうまくアレンジして4人の俳優の熱演を彩った。初演版は初めて見たが、とてもシンプルだという印象を受ける。ストレートにこの戯曲を楽しむことができた。
俳優が替わるたびにせりふが変わったという熱海殺人事件。さまざまな劇団が演じ、さまざまなバージョンが世に出た。熱海の浜で絞殺された山口アイ子と恋人であり犯人の大山金太郎の出自をアレンジした劇団もあった。このようにして元の戯曲が姿を多彩に変えて次の世代に受け継がれていく様子を、草葉のつかはどのように見ているだろうか。きっと楽しんでいるに違いない。

9プロのメンバー、高野愛はカーテンコール後のあいさつで感極まっていた。ミスの許されない「熱海」をやり切ったという涙だったのではないか。

平成を跳んだ男

平成を跳んだ男

劇団世人

WAKABACHO WHARF 若葉町ウォーフ(神奈川県)

2025/05/22 (木) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

若葉町WHARFの一文化発信拠点たろうとする志に地縁者として共鳴する者だが、今公演もよく見ると(純粋貸し館公演でなく)劇場も絡んだ公演のようである。監修として館長佐藤信の名があるが、どの程度舞台の中身にタッチしたのか、と言うのはある部分で佐藤氏作演の近作(黒テント)を彷彿する「唐突さ」を発揮していたので。
(私の印象では1970年代アングラ演劇の一翼を担ったと言われる佐藤信の本質は舞台詩人(「詩人」の要素が強い)であり詩の自由さをそのまま舞台に投げ込むので、私の思う劇作家・演出家=舞台設計者という認識と違う。瓢箪から駒が出る事もあったろうがそう毎回は出ないんでは..と冷淡なようだが思ってしまう所がある。しかも意図的にどこかを壊しに掛からずに居れない性格?との疑惑も持っている。創作は自由であるべき!だけれども。)
閑話休題。映像をまじえた舞台構成は良かった。実際こんな事忘れていたな、という社会事象が男の語る過去の背景として紹介され、新鮮である。
が、テキストの部分で伏線不足の跳躍がラストにあり、些か置いてけぼり感は否めない。そこへ至る過去語りの時間は頗る面白かっただけに惜しいとの感想が残った。
「跳ぶ」ための力が、今この時点の「彼」に充填されていたのか、それはどこからもらったのかが不明で、もっと言えば彼は自死を選んだのか(事故に等しかったとしても深層ではその念慮があったのでは、とも)、走馬燈に見る自身の半生がどのように跳躍される事を我々は望む(事を促されている)のか、跳躍せずここに留まる事だ、と台詞を変えても成り立つ抽象性が、行き場なく漂った。タイトルありきで縛りを解かなかった?と想像したり。私としてはまた磨きを掛けての再演を是非観たい。

ネタバレBOX

会場には氏の所属劇団のボスの姿もあったが、時々稽古場で演出としてNOTEをメモしたくなる衝動を覚えるらしく、突然ガサガサと物音がしてたのには些か参った。(氏の舞台には敬意を寄せているけれども..)
鉄橋の下、三日月の上

鉄橋の下、三日月の上

劇団飛び道具

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2025/05/22 (木) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇団らしさがでてました
尾崎豊に影響を受けた大人達が、少数派の子供たちを取り壊し寸前の公共住宅に閉じこもり…
僕も尾崎豊世代だからめっちゃ楽しめました!

「こんがらがっちゅれ~しょんっ」

「こんがらがっちゅれ~しょんっ」

劇団Funplace

石炭倉庫(大阪府)

2025/05/23 (金) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

結婚式で起こる、ドタバタコメディ
ちょっと無理やり感も有るが、楽しめました!
違うジャンルにも挑戦して欲しいかな

『Post Script』

『Post Script』

劇団The Timeless Letter

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2025/05/24 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

4回無きました!!
女性目線ではありますが、とても良かったです!
内容もさながら、演技もウマウマ
十周年おめでとう🎉

ボイルド・シュリンプ&クラブ season3

ボイルド・シュリンプ&クラブ season3

劇団6番シード

新宿シアタートップス(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ジャンルが好きなのでそれだけであとはセリフが聞こえてテンポが良ければ満足しますが。さらにドラマがギュッと詰まった台本で満足。

ネタバレBOX

設備の問題ではあるけどもスピーカーの特性なのか音に「圧」がなくただでかいだけでちょっと耳触りが悪かった。舞台装置はギミックが多く特に床から生えるリングコーナーポストは初め生えてくる瞬間が分からずいつのまにか生えていて驚き。上から地下まですごい作り。
図書館より愛をこめて

図書館より愛をこめて

劇団傘泥棒

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2025/05/23 (金) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

図書館を舞台にして、若者の悩み揺れる気持を繊細かつ大胆に描いた青春物語。
図書館が舞台というところが妙。居場所がない若者たちの背景、そこにある事情に優しく寄り添った話。同時に今 深刻になっている社会問題を潜ませ、中盤以降 サスペンス風にして興味を惹く。

気になるのは、主人公2人の心情 その強い思いが描き切れていない。また無言 その間合いが長いこともあってテンポがあまり良くないところ。自分が観逃した 又は聞き逃したかもしれないが、いくつか説明不足というか伏線回収したのか分からなかった。しかし、全体的には優しく温かい感じの公演。
(上演時間1時間30分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、中央に横長の本棚で上部に何冊もの本が並んでいる。上手/下手にも縦長の本棚があり、そこにも本がある。舞台になるのは図書館と近所にある喫茶店。図書館の場面はシンメトリー、喫茶店は 中央の本棚がカウンターになり、上手にテーブル席を設える。シンプルなセットだが、雰囲気は伝わる。

物語は、雨の日に傘もささずに歩いていた高校生(3年) 馬淵碧に、図書館勤務(司書?)の白石知栄が「行くところがないなら、図書館においで」と声をかけるところから始まる。それから彼女が薦める本を読みだし…。図書館で 中学生の木崎明日香、明日香に勉強を教えている美大生の不破捺己と知り合う。また、知栄から近くにある喫茶店を紹介してもらい、そこでの談話。何気ない光景が 淡々と描かれる。

ここに居る若者たちは、何らかの悩みや葛藤を抱えている。碧は春休み以降学校へ行っていない。その理由は、はっきり分からない。一方 明日香は学校で苛めにあっており登校しない。それでも勉強するため図書館に通い、解らない所を捺己に教えてもらっている。捺己は美大受験を失敗し続け3浪。親との確執にも苦しんでいる。そして 知栄も過去の苦しみを抱え…。碧は、知栄を慕い だんだん好きになっていく、そんな揺れる心が切ない。

或る日、碧は図書館の本の中に拳銃を見つけてしまう。そこには暗号のようなメモが挟まれていた。ここから 突然サスペンス風になり、どう展開していくのか興味を惹く。実は、不破が アルバイトで使用するため隠していた。碧と明日香が協力して 暗号を読み解いて、事件に深く関わっていく。不破は、親からの自立や得体の知れない不安・不満を解消するかのよう。そこに闇バイトといった知らず知らずに犯罪に手を染める といった怖さを垣間見る。ちなみに、喫茶店マスター 畔一茂の正体は謎(医療的処置やあの場所へタイミングよく現れる等)。

主宰 山野莉緒さんが当日パンフに「図書館は時間が止まっている。ただ止まっているのではなく、降り積もっている」と、もちろん知識のことである。ペーパーレス化が言われ 電子書籍も現れているが、それでも紙媒体の本はある。図書館は時代を超越した親近感がもてる場所である。同時にその時代特有の香りがあると思う。それが(話題)本はもちろん、新聞や雑誌などの情報である。

公演は、観る人によって 過去であり現在なのだろう。自分の生活と地続きで共感もしくは反感、そんな物語が描かれている。そして、人生の或る瞬間の刹那的な心の交流、そこに社会(時事)的なことを絡める巧さ(劇的効果も含め)。
舞台技術…雨音や踏切警報機などは、敢えて台詞に被せるなど音響効果は好かった。
次回公演も楽しみにしております。
ハッピーケーキ・イン・ザ・スカイ

ハッピーケーキ・イン・ザ・スカイ

あまい洋々

インディペンデントシアターOji(東京都)

2025/03/13 (木) ~ 2025/03/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ちぃちゃんが消えた。8年後白骨化した遺体が見つかり、ちぃちゃんの死をめぐってさまざまな人たちが登場する。一緒に児童養護施設で育った友人から、学校の友達、話したことのない同級生、そしてまったくの他人であるルポライターまで……ちぃちゃんとの距離感はさまざまで、それぞれがちぃちゃんに現実/虚構を問わずなにかを重ねている。

ネタバレBOX

ちぃちゃんについて取材する2人が、「見る/見られる」という外側からの眼差しを体現していることに、空恐ろしさと希望を感じました。

「真相をあきらかにしたい」としながらも自分の主張にちぃちゃんを当てはめていくルポライターの高務(櫻井竜)と、まったく仲良くもなかったのにちぃちゃんを弔うために事件を映画化しようとする同級生の乙倉(櫻井竜)。高務はその暴力性・搾取性におそらく自覚的で、乙倉は無自覚なのでしょう。
いずれも口では「誰かのために」と言いながら、それは善意の顔をして「自分の思い描くように、自分のやり方で世界を整えたい」というエゴにも見えます。ほかの登場人物もそうで、若尾颯太演じる同級生なども、自分のやり方で主張を押し通すための明るさが怖くもあります。

人はなにかを発信しようとするときに、誰かを消費しえます。それは人権かもしれないし、存在かもしれないし、心かもしれない。では、対象となる人に対して誠実に向きあえばその暴力性はなくなるのでしょうか。そうとは言い切れないように思います。世に出す、ということは、受け手が存在する。「これを発したい」という時に発信者は、受け手のことをもまた消費している可能性があります。
そういった「見る/見られる」だけでなく「見せる」という構造についても視野にいれるには、高務の思いではない個人的な背景がより示されると、群像劇として立体的になるのではないかと感じました。また、乙倉の変容はこの現実の先に光をともすものであるため、その変化の様子がもうすこし見たくなりました。そうれば、乙倉が選択した未来のその先に他者とともに社会を生きるヒントが見えてくるのではないか、劇場を出た後にもこの作品を携えて明日に進めるのではないかと、勝手ながら期待してしまいます。

また、劇中では、アイドルのライブシーンが登場します。本物のライブ会場のようなインパクトに残る楽しいシーンでした。一方で、アイドルという名のとおりまさに「偶像」によるライブの完成度が高く見ごたえがあるほどに、客席にいる自分自身のもつ消費性について居心地の悪さが募りました。誰かに偶像を押し付けられるちぃちゃんが、偶像に安らぎを見出している皮肉もまた、人間の側面なのでしょう。

俳優みなさんが力強く魅力的でした。パライソに集まる人たちのやりとりは軽快で作品のハリがきいていて、かつて高校生だった頃の3人には灰色の校舎の隙間から青い風が吹くようでした。
舞台美術、照明、場面転換などもシームレスにメルヘンと現実を繋いでおり、とくに美術のケーキが形を変えてその中身が見える時には、隠していたものが暴かれる居心地の悪さがありました。ショートケーキの中にあるイチゴって、まわりの生クリームに甘酸っぱさが滲んで、甘いだけじゃいさせてくれない。甘くも酸っぱくもあるケーキを見ないものとせず、カットして「一緒に食べよう」と言えることが、生きることかもしれません。暴力性や搾取性など多方向からの視線を描くときに、会話による構成で物語が進むと、より甘さと酸っぱさとそして苦みが口から離れない作品になったように思います。けれどもこれを書ききった胆力と切実さ、ともに体現していくチームの強度に、優しく逞しい未来が見えるようでした。
銘々のテーブル

銘々のテーブル

制作集団・真夏座

シアターX(東京都)

2025/05/22 (木) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

以前耳にして刻まれていた脚本家の名(作品は不知)に惹かれ、前世紀前半に書かれた作品を吟味しに出掛けた。矢内文章が演出というのも後押し。
真夏座の事は知らねど、縁ある俳優何名かが立ち上げたプロデュースユニットか。新劇や小劇場の人脈から組まれた座組も中々で、作品の普遍的な魅力を発見する喜びに浸れた。
本編は二部構成。タイトルも窓際のテーブル、四番目のテーブルとあり、場面変わらずそれぞれ別個のエピソードとなっている。長期滞在用ホテルの食堂に、各自決まったテーブルにやって来て食事やお茶をする。各エピソードの主要人物以外は両方に登場する常連たち。支配人とメイド二人も共通。一幕の時点では結婚前のカップルだった二人が、二幕では赤ん坊を抱えた夫婦になっていたりする。一幕は紆余曲折を経た男女の愛の再生の物語、二幕は虚飾が剥がれた自称「元少佐」の人生の再生の物語。それぞれに味わいがあり、かつこの二つで一つの作品となっている事で「二度美味しい」だけでなく人間観察が深められて行く所があって、不思議な作品であった。

ネタバレBOX

二幕のその「元少佐」(ポロック)は、数日前街の映画館で起こしたスキャンダルで逮捕され一晩勾留されたのだったが、それが部数の少ない地方紙に載っていないかを気にしている様子。彼は映画館で隣の席の女性に肘を押し付け、訴えられたが、その映画の上映中彼は5回も席を変わり、いずれもご婦人の隣りだった、との証言もあった。何と(少佐でなく)中尉で除隊、との軍歴も。
このホテルはその性質上、一定の資産を有する高齢の者が終の住処としている風であるが、必ずしも客皆が富裕層とも見えず、英国の宿泊施設事情を調べたら何か判るかも知れぬ。一幕と二幕双方に登場する人物は引退組が三名、例外として若夫婦がいる。そして二幕には主のような風格の女性レイトンベルに娘シビル(三十超え、この時代ではオールドミスの範疇?)が同居人として加わり、病気で仕事を続けられず引っ込み思案な彼女は「元少佐」ポロックを慕い、毎食後に散歩に誘っている。
住人らは互いに深く干渉しないながらも良好な関係を成し、互いの特徴を知っているが、ポロックに関してはまだ正体を定めかね、「元少佐にしてはあんな事もこんな事も知らず」、何かと虚勢を張っているようだと男らも面白おかしく噂するが、当人はスキャンダルの露呈以上に、将校の呼称に値する「少佐」の階級が虚偽であった事の露見を恐れているらしい。
だが彼が隠そうとした記事は結局このマイナーな地方紙まで目を通しているレイトンベル夫人に読まれてしまい、彼が散歩から戻って来た時には既に皆が記事のことを知っていると、シビルから知らされる。
その前段では、レイトンベル夫人の「世間の代表」のような剣幕により、ポロックをホテルから締め出す事に皆が同意させられる。ただしそこに至る前、理性と論理によりそれは正しくないと説く若夫婦の夫ストラットン(妻ジーンは逆の立場)、教師時代に一人の学生を退学処分にした唯一回の経験を語りつつ、その後悔でなく処分の正しさをつい口にしてしまう男ファウラー、レイトンベルと付き合いの長い女性マシスンにも渋々ながらの同意の様子が見える。
貴婦人レイトンベルが一人悪役を担い、これがよく効いていた。彼女は自分の「力」もさりながら世間の評判や倫理観、法意識を味方に付け、彼を追い込もうと(正当な処分を下そうと?)する。これにより、小市民の彼らが小さいながらの抵抗を為す小気味良さが際立つ。
そしてこの作品の珠玉たる所以は、慕っていた相手の真実を見て絶望を抱いたシビルと、ポロックの会話の中でポロックに自分自身の弱さと向き合せ、同じ人間としての共感をシビルが手にするまでの変化を描いた事。彼は昔から心が弱く、人が怖かった、特に女性が怖かった、と告白する。パニック症状の発作を起こすシビルは、彼が「私は、暗闇でしか、女性に・・」と言い掛けるや「やめて!」とパニック寸前の状態を見せ、言葉を遮るが、観客にはポロックのそれが人間的な「弱さ」である事が伝わっている。
この逸話が想起させるのは恐らく、聖書の有名な箇所、姦淫の罪を犯した女性が「律法」に則って石打ちの刑に処せられようとした所へ、イエスが「これまで一度も罪を犯した事が無い者だけが石を投げる資格がある」と迫り、一人残らず去って行ったという逸話。
時を戻して問題の日の夕刻、戻って来たポロックが絶望に暮れ、ホテルからの退去を決めようとした所へ、支配人が来て彼に言う。「滞在するかしないかはあなたがお決め下さい。滞在を続けるならホテルにはその用意がある。その事を伝えに来ました」。ロンドンへ向かうなら7時45分の汽車がある。ポロックはシビルの今後への懸念を漏らし、クーパーは彼がここに居続ける選択肢を口にするが、ポロックはあり得ないとして退ける。が、ふと、9時の汽車もありましたね、と聞く。「9時32分です」とクーパー。「やはり7:45に乗ろう。間に合う」と部屋へ去る。
この次のシーンである。ここは演出の創意だろう、雨音が響く中、時代物の傘を差す客とメイドらが背後に一列に並んで立ち、青く浮かび上がる。その手前の食堂の一角のテーブルに、支配人クーパー(女性である)がこめかみに手を当て肘をついて物思う姿がそこだけ暖色のスポットに浮かび上がる。劇的でぞくぞくする絵である。この芝居、一幕、二幕共ドラマの陰の立役者としてクーパーの存在があり、ドラマの観察者として最も観客に近く、このシーンが挟まれる事でしっかりと自分をこの誠実な観察者に投影する事ができるのである。一晩という時間が、何がしかの変化を起こすに足る時間である事の示唆も(特に、雨の夜は)。
さて、朝食前の準備作業に当たる二人のメイドがポロック用のテーブルを撤去し、他の面々が食事を始め、口少なながらいつもの会話に勤しんでいると、ポロックが現れる。場がしんとなる。メイドが平謝り、注文を聞き直し、罪の無いあっけらかんとした空気がメイドによって作られる。ポロックが席に着き、沈黙の中、堪えきれずに若夫婦の夫ストラットンがおはようございます!と声を掛け、二言三言会話を交わす。「そうですね」「ありがとう」とポロック。次いで我が道を行く(歴史上の人物と天に向かって会話をする日々のルーティンがある)自由人の女性ミーチャムが競馬予想の話を、続いてファウラーがクリケットの話を。。
そこへクーパーが現れ、ポロックにテーブルの不始末を詫びた後、皆に等しく挨拶の儀。ポロックは、虚勢の言語を封印し、ただ礼を失さない返答をする。様々な感情を過らせているに違いないがそれは名状しがたく、観客は彼に言葉を掛けようとする者の心情となっている。マシスンも声を掛けずにおれず、思わずデザートのチョイスのアドバイスをする。その都度レイトンベル夫人が咳払いと睨み付けを繰り返すが、ついに立ち上がって食堂を退去しようと娘に声を掛けた時、初めてシビルがそれを拒む。ここで食事を続けます。説得を諦めて去る夫人の背中で、シビルがポロックに声を掛ける。「今日は天気が良いようですから、良ければ食後にでも、ご一緒に」

この話の温かいラストを見ながら頭を過るのは、山岸某という心理学者の日本人の集団内行動の検証だ。
学校のクラス(組織にも置き換えられる)で間違った決定がなされようとしているとしたら、味方が何人いれば声を上げる勇気が持てるか、との設問に対する回答である。他国の例では一人ないし数人といった回答(平均)であったのが、日本人は半数といった数字になった。
自身の考え方や哲学に従って生きる事が許されない社会では、自立は望みようがなく、空気を読み取ってそれに従おうとするセンサーが発達し、正しいか正しくないかとは関係なく「少数が負ける」原理に従って多数派に付こうとする。(勿論自分の利害が絡めば少数か多数を超えて利益の最大化を図る行動を取るだろうが、自分の利益が絡まない場合は「多数に付いた方が安全」という利害に従うという訳である。)
和をもって尊しと為す、の真相は多数派に右に倣えをするので「異端が存在しない」「だから対立じたいがない」状態が作り出されるという仕組みにありそうだ。潜在的対立が存在しないのではなく、空気によって、あるいは時には実力行使(裏で手を回しての)で対立を顕在化させない力学が機能していると推察される。それは往々にして権力を持つ側が様々な手段で権力維持のために非権力側を制圧、コントロールする形で行われる。つまり決して自然現象ではなく、ある力が働き意図的に方向付けられるという事であり、バランスが崩れた時に力学が変質する事はあっても、また周到に調整され、復活する。

弱肉強食の社会になるのには民の賢さは必要ないが、弱者への配慮、共助共生の理念を尊ぶ社会を目指したいなら、民は賢くなり、権力の意図を見抜き、自らの価値観に従って行動する自立を勝ち取る事は要件になる。演劇が砦だと思える理由は、演劇においては真実性のないものは淘汰され、真実が感動のよすがであるから、とは私見だが、演劇をやる人がまともな人間に見えるという直感は外れではないと思っている。(うーまたグダ書きしてしまった)
高尾山へ

高尾山へ

さよなら人生

スタジオ空洞(東京都)

2025/05/22 (木) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/25 (日) 11:00

主催のかたの前説の雰囲気とても好みでしたし、「間(ま)」も笑わせてもらいました。
ストーリーも大きな抑揚は無いものの、じんわりと考えさせられ、また自分も振り返ることができました。

ネタバレBOX

若者の何気ない「希望しかないっす」→きっと若者は言ったことも覚えていないでしょう。
それが後からのかなり重要な伏線になるとは!
そして今回の観劇のなかで私にとってキーワードとなりました。

「希望しかないっす」は今後の私の座右の銘、そして実際口にしていきます!
(株)ロミオと(株)ジュリエット

(株)ロミオと(株)ジュリエット

製作委員会

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2025/05/22 (木) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

タイトルに惹かれて前情報も入れずに観にきたら、「ロミオとジュリエット」は社名に使っただけで、内容とか設定とかは本編とは関係ないのね。

舞台『祈りの幕が下りる時』

舞台『祈りの幕が下りる時』

ナッポス・ユナイテッド

サンシャイン劇場(東京都)

2025/05/17 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/22 (木) 14:00

価格8,000円

05月22日〈木〉14時公演を鑑賞。
まずは原作から。
東野圭吾の作品はどれも面白いですが、
「祈りの幕が下りる時」は別格といえるくらいに完成度が高いです。
この素晴らしい作品が原作なので、なにがなんでも観ておかなければ…と思いました。

文庫本で約400頁超。
その内容を細かいところまで織り込もうとしたため、
ストーリーはスピードが早く、目まぐるしく展開していきます。
原作をまったく読んでない人にとっては、消化不良になるかと…。

脚本としては、少しテーマを絞った方がよかったと思います。
例えば加賀刑事と母との関係はごっそり省いて、
そのかわり博美と父:忠雄との関係を中心に置く…とか。

とはいえ出演者はみな一流で、クオリティーは高くて、
あっという間に東野ワールドにひきづり込まれます。
忠雄の役者さんがとくにお上手でした。
自信なさそうな声の感じが、はまり役でした。

終盤のクライマックスは涙が出ました。
博美と忠雄の最後のシーン(ブルーテントの中で)。
ほんとうにほんとうに素晴らしかったです。

湿ったインテリア

湿ったインテリア

ウンゲツィーファ

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2025/05/19 (月) ~ 2025/05/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/21 (水)

黒澤多生さん/豊島晴香さん/藤家矢麻刀さんの常連に松田弘子さんと根本江理さんのベテランを配してのいつものウンゲツィーファが落ち着いたウンゲツィーファに。シュールでSFチックな愛憎相まみえる物語。そしてアゴラが閉まってからとしてはこれだけ青年団の俳優の方達が出演される公演は初めてではなかろうかと。

【ファム・ファタール】

【ファム・ファタール】

演劇制作体V-NET

TACCS1179(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/24 (土) 18:00

価格6,000円

05月24日〈土〉18時公演を鑑賞。
ストリップ劇場の踊り子さんに夢中になって、以来、
夏休みのあいだ劇場でアルバイトすることになった大学生のストーリー。

劇場でのさまざまな人間関係、劇場を取り巻く事情を描いていく。
複雑すぎず、シンプルすぎず、過激すぎず…
バランスの取れた展開で、観客を飽きさせない。

人々から蔑まれるストリップの世界…
でも、そこに誇りを持って生きていく女性たちの姿が大きなテーマだと思う。
私自身、久しぶりに感動しました。

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