最新の観てきた!クチコミ一覧

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コロス県自殺市呪い村四丁目

コロス県自殺市呪い村四丁目

U-33project

インディペンデントシアターOji(東京都)

2020/10/30 (金) ~ 2020/11/03 (火)公演終了

満足度★★★★

会場に入ると、もう、しっかり、お線香のにおいがして、バッチリできあがっていて、お芝居に、すぐに入りこめた。
個人的には、影絵にすごーく、感激した。発想が素晴らしい、と、思いました。
ネタバレになるので、書けないが、笑えた。ここが、一番おもしろかったです。
全体的には、前半が、次は何が起こるのか、期待を持って観た。おもしろかった。
後半は、少し、マンネリ化してたかな。後半も、影絵みたいな、目玉、があると、もっと良かったと、思う。
タイトルも、発想もなかなかない作品で、貴重だ。

尺には尺を

尺には尺を

新国立劇場演劇研修所

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2020/10/27 (火) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★

シャークスピアの初見の演目。こんな話があったのかと新鮮に楽しんだ。ある王国(中世なので州とか藩のイメージ)の領主、ヴィンセンシオ公爵がある画策をする。これが話の始まり。公爵は信頼する臣下エスカラス(配役表には老貴族とある)に曰く、自分は長旅に出るので領主代理としてアンジェロを任ずる、そなたにはその補佐を務めてほしい。その真意をチラと覗かせるには、わが国には冷厳な法が存在するが今やその法は眠ったも同然、私が罪を厳しく裁くことを怠ってきたためだ、と。これは観客向けの台詞で、アンジェロに何か課題を与えたわけではない。宮仕えの堅物アンジェロの資質を見込んで、公爵は人選をしたようである。公爵は神父に変装をして領土内をお忍びで視察することに。
ある案件が持ち上がり、アンジェロは裁きを加える。即ちある若いカップルが婚前交渉をし子を孕ませた。二人は愛し合っており、いずれは許しを乞うて結婚の約束。だが法を破ったとして男が処刑されることとなる。公爵時代は法は文言通りには執行されずいわば大岡裁判的にやっていた模様だが、アンジェロは成文法を根拠に領土に君臨するしか方法を知らない。さて処刑される事となった青年クローディオには今しも修道女となろうとする妹イザベラがおり、そこへクローディオの友ルーシオが話を伝え、高潔なあなたが説得すれば領主代理も心を動かすだろうとプッシュする。イザベラは交渉に臨むがアンジェロはイザベラに心動かされ、自分と肉体的に結ばれるなら、あなたの兄の肉の罪も赦免されよう、と交換条件を持ち出す。
これ以後、公爵扮する神父は、アンジェロの元恋人で相手の財産が亡くなった事で婚約を反故にした相手、マリアナが今もアンジェロを思い続けている事から一計を案じ、イザベラ、刑務所長に事を言い含めて、暗闇の中でアンジェロとマリアナを結ばせる。アンジェロは交渉成立しイザベラを物にしたと信じているが、クローディオを釈放した後恨みを買う事を恐れて早朝に処刑してしまう。とは表向きの事、刑務所でのやり取りで重罪人の一人が病死し、しかもクローディオに似ていた事で斬首刑をしたと見せかけた。だが領主代理アンジェラは、約束を反故にした事が却って不安の種となり、後悔に苦悶する。そこへ公爵の帰国が伝えられる。そして、裁判。イザベラが兄を処刑された事の不当を訴え出たのである。この裁判では公爵の立ち回りが見せ場を作り、自分が神父を演じていた事も最後には明かして収まるべき所に収まる。
さて収まっていないのがイザベラと公爵、修道院に入りそこね独身女性として残ったイザベラ、そしてこちらも実は独り身であった公爵。
公爵は女性が演じ、女郎屋の召使、修道士も女性、女郎屋の女将が男性。ことに公爵は恰幅の良い?女優が頑張っていたが、大岡裁きの後、最後にイザベラへの求婚と読める台詞を最後に残して去るのだが、「大団円」は難しかったからか、演出はイザベラの思いの表出を封じ、フリーズした後ろ姿をスポット照明の中に一人残して暗転。観客に想像させる処理をしていた。

明快なキャラを持つ人物らが事柄に触れて行動し、その行動が他者に作用して行動の動機を与えていく連鎖の道筋がシェイクスピアの喜劇(今回はさほど「喜劇」仕立てでなかったが)。明快なキャラを与えられたアンジェロは、今言う所の「法の奴隷」。法が何のために定められたか、どう適用するのが相応しいかを考えずただ文言に従うことが自分の拠り所である(他に拠り所がない)人物が、奇しくも登場。だが彼にも法で割り切れない人間性がある事が露呈し(イザベラへの欲望)、それを梃に彼は自分の行き方を変える事を余儀なくされる。
音楽には現代のリズミカルな音楽が使われて違和感なく、美術は宮廷の屋内の柱(稼働式)が並びを変える場面転換で見た目も美しく、劇世界を支えていた。

掘って100年

掘って100年

さんらん

北千住BUoY(東京都)

2020/10/28 (水) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

過去の自作上演と今回の題名から「軽めのちょっと気の利いたやつ」を予想していたがガッツリ2時間半弱の本格芝居。それは冒頭で物語導入の一文を喋る女優の「さあ今始まります!」の声に表れる(新宿梁山泊の開演宣言のテンションと言えば分かりやすいか)。
「楽屋」フェス参加に始まった(と記憶する)さんらんは主催が好むらしい安部公房作品を中心に、時に自作を上演、だがこのところ自作が続き、今回のパンフにも自分の書いたものを上演していくのが良いという気がしている、と述べており、全く賛同(全部見れてないので無責任な事は言えないが)。今回の作品で<さんらん>が地歩を築いたとは正直な感想だ。
ストーリーに踏み込むと大変なので割愛するが、俳優の適材適所、次第に見えてくる人物像、思い出すと愛おしい人物たちが今も瞼に・・。適材適所と言えばVUoYの地下空間が「掘る」テーマにふさわしい。この質感に、演出はさらに舞踊を当てて、芝居のスケールを広げた。冒頭と終盤に同じ群舞があり、途中にソロがある。謎かけのような冒頭の群舞(掘る動作の変奏に見える)が、後に踊られた時、涙が出た。夢破れても人は生きる。筋肉を使い、動き、日々の営みをするために・・。「夢」は破れたか否か、僅かな光を残して芝居が終わるのはご愛敬。人物達それぞれの人生の物語がこれほど雑味なく我が身に浸みてくるとは・・「うまい」の一言。

野外劇 NIPPON・CHA!CHA!CHA!

野外劇 NIPPON・CHA!CHA!CHA!

東京芸術祭

池袋西口公園野外劇場 グローバルリング シアター(東京都)

2020/10/18 (日) ~ 2020/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

池袋西口公園にて野外劇鑑賞。前やった「三文オペラ」の時より寒くなく、雨もちょうど降らない日にあたり条件よし。
如月小春作品を観たことが一度も無かった、と思う。そういえばラジオドラマ風なのを30年以上前、坂本龍一が共作者であった事から耳にしたことがあったが、「新しいもの」が次々と生まれつつある「現代」(80年代)から想像された近未来の一風景を描出していた。そこから「時代を先駆的に読みこみ提示する作家」というイメージだけあった。何しろ演劇界の著名人でもその実態がよく分からないのは、同時代的な影響力を持つ演劇人だったからで、時代を遡る作業をしなければ掴むことができないのだろう、と放置していた対象。
劇は大変面白かった。生楽器演奏の音楽もなかなか活気を与え、ジャジーなのがバックで流れる等は乙であった。
物語は零細靴屋の苦境を脱するアイデア、陸上選手にうちの靴を履いてもらい、活躍してもらう。そして事情あって身一つで上京し靴屋を訪れた青年を、最初邪険にしていたのを「町内マラソン大会優勝」の経歴を聞くや目の色変わり、雇い入れる。コーチを雇い、新聞記事を書いてもらい、当人は大会のたびに実力を上げ、「五輪」という文字が見えてくる。だがこの美談のような人情噺のような逸話には、オリンピックやスポーツの祝祭性を付加価値とした「金」が動いており、加えて二人の男(元自衛隊員と新聞記者)に慕われる靴屋の娘が、それと知って彼らの協力を取り付ける部分ではえげつなく(演出)「女」を利用する。ちなみに男二人の一方が元自衛隊員の右翼、他方がジャーナリスト魂を燃やす新聞記者(左翼)で犬猿の仲。自衛隊員は陸上に強いのでコーチに、記者は選手の活躍を記事にしてもらうため協力を乞われた次第。だが田舎出の謙虚にただ走る青年の成長に記者は入れ込むようになり、コーチは自らの使命を厳粛なもの(民族を背負う者を育てるという)と感じ始める。足を負傷した事を隠していた青年に気づいて病院に行かせようとするが青年の激しい拒絶に合い、次のオリンピック選考を兼ねた大会で「走りきる」意志を伝えられるのもコーチである(青年は自分の選手生命が「病院」に行く事で閉ざされると直感したらしいと、台詞はないが観客に伝わり、この展開が必然と感じさせるようになっている)。
父母を亡くした姉弟、肉親の情と連帯、存亡をかけた靴屋の奮闘、従業員なりの悲喜こもごも、生き抜くための策術、何よりも強い恋(肉欲)の衝動、使命感と生きがい・・そうした「物語性」はカリカチュアされた演技と演出で(回想的に描かれている事もあり)描かれて行くが、70年代以降、とくにバブル時代には、高度成長期に存在した暑い(暑苦しい?)「物語」を醒めた目で突き放す眼差しが支配的であった事をよぎらせながら、劇を見守る。・・が、作者はこれを批評的に提示しようとしたのか共感的に見ているのかは、分からず。
ただ、本作品は如月戯曲を翻案した上演。劇の冒頭には女教師と女生徒が如月小春の戯曲をこれから演じる、という宣言に当たる会話があり、意味深である。作品を2020年の五輪に当て、祝祭の背後にあるドラマとして改めて提示する上演になったわけだが、夢落ち的なラスト(これは原作か脚色か不明)は、評価を観客に委ねるのに使われる手法。私としては、2020年の五輪に重ねるならもっと当てつけが明確にあって良かった(原作翻案の限界だったのかもしれぬが)。
終幕「もう一つ」と感じた要因は、終始活躍の音楽が、フィナーレで軽快な音楽を持ってきたこと。もっと情感のあるものが相応しかったと思う。劇中で十分相対化された「物語性」をさらに突き放す必要はなかった、という理由で。

音楽劇『山彦ものがたり』

音楽劇『山彦ものがたり』

劇団朋友

俳優座劇場(東京都)

2020/10/23 (金) ~ 2020/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

久々の朋友観劇は「ら・ら・ら」以来、二度目か。劇団を知ったのは古いが(観たかった公演も多々あったが)見れてない。今回はよきタイミングで観劇の運びに。
「トライアル公演」とは対コロナの意か、音楽劇の部分か(両方かも)。劇の方は日本昔ばなしをこれでもかとぶちこんだ音楽劇で、小品と予想したのが外れた。うさぎと亀の話に始まるがその亀が浦島太郎の亀として登場し、いやいやながら竜宮城に付き合った後、うさぎへの義理を果たそうと駆けっこに戻るといった、時間経過無視のごった煮風。うさぎも駆けっこの途中で狸に会い、かちかち山のいたずら兎を演じる。その他、花咲か爺、蟹むかし、天女の羽衣、旅人馬、桃太郎など。それぞれに脚色が加えられている。桃太郎は平和な国であった鬼ヶ島を侵略し、「私たちはあなた様にどんな無礼を働いたのか」と問われるというよく知られた芥川龍之介翻案の善悪逆転版。
問題は、音楽が途切れなく鳴っている作り。音楽は上田亨。冒頭とラストは「子供の心でなければ分からない」という歌詞が結語になるソロと合唱の合わさった曲で、これを聴くだけで壮大な物語を味わった気分でじんと来てしまうのだが、その後もそれなりに力の入った歌が話ごとに歌われる。話は単なるパロディ、音楽によって格好がついている、というのか、馴染みのある話の意表を突く翻案は面白いのだが、共通のメッセージで通底している訳でなく、そう分かってしまうと「意表を突く」パターン自体に変化を加える(繋がっていないと思っていたものが繋がった、とか。いやそれは昔話では無理)等がなければ観劇への集中は当然途切れる。最後は何やら教訓めいたものを掲げて昔話部分を閉じていたが、もう忘れたが賛同しかねるメッセージ。無理やりの感ありであった。ただラストソング(冒頭と同じ)はやはり素晴らしく、なぜこの感動を薄めてしまう「音楽鳴りっぱなし」の劇にしてしまったのか、と残念さは残った。
話を一つ削るだけで随分締まったと思う。が、それで締まらないから話が増えてしまったのだろう。
俳優は皆それなりに歌える役者で、特にアンサンブル部分での繊細な表現は(新劇系の劇団なのに?)なかなかのもの。

PECO PECO ~ハラヘリーゼ~

PECO PECO ~ハラヘリーゼ~

Reading Bitter

ザ☆キッチンNAKANO(東京都)

2020/10/30 (金) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★

シナモンの回を観劇しました。声で紡がれる食べ物に関する6つのストーリーでしたが、楽しかったり、切なかったり、哀しかったり・・色々なタイプの話で楽しめました。声だけで表現するのは難しいと思いますが、目を閉じると、それぞれのキャラクターが浮かんでくる感じがしました。面白かったです!

地下室のサラ

地下室のサラ

関西ホラーエンターテイメント集団 伯虎座

黒門カルチャーファクトリー(大阪府)

2020/10/30 (金) ~ 2020/11/07 (土)公演終了

満足度

うーん。欲求不満。値段も、内容の割には高く、最後には同じ会の人が、主催に説明を求めに行った。よくわからん。

Smiley魂

Smiley魂

MousePiece-ree

HEP HALL(大阪府)

2020/10/30 (金) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

いつもながら、心をスマイルにしてくれた。この状況下で満席。すごい熱気と笑い。楽しめました。

ヘリクツイレブン

ヘリクツイレブン

yhs

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2020/10/30 (金) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★

いやー面白かった。若さゆえの暑さ、年を重ねた事による諦め感がぶつかり合い、とても楽しめました。

JACROW#29「闇の将軍」シリーズ第3弾

JACROW#29「闇の将軍」シリーズ第3弾

JACROW

サンモールスタジオ(東京都)

2020/10/22 (木) ~ 2020/11/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

第1話第2話もこれ以上ないほど素晴らしかったが、今回観た第3話はさらにその上をいく出来映えと感じる。
台本、演技、演出、すべてにおいて最優秀。
そう言えば、今は福田派の末裔が全盛ですね。

The last night recipe

The last night recipe

iaku

座・高円寺1(東京都)

2020/10/28 (水) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

iakuの作品は好きなものが多く期待して観劇。
ただ、今回は少し気になる部分を乗り越える事ができず、
ずっと終盤まで引っかかってしまいました。

全体的に重くずっしりした感じは伝わるのですが、
よりの行動心理が理解できず、観客として置いていかれた感じがした。
確かに偽装結婚などドラマで流行ったので全くありえないことだとは思いませんが、
やはり自分の中ではありえない…、もっと別の方法を取るべきでは?という考えが
浮かんでしまい違和感をずっと引きずってしまった。
その行動を変の一言で済ませるのは、ちょっと…。

チラシの内容と実際の公演で内容が少し変わっていたようにも思えた。


ネタバレBOX

やはり結婚する必要はないような気がした。
もう少し違った形で引き取るなら納得いくが、
結婚となるとどうしても違和感が…。
仕事、救済の為とはいえ交際0で結婚は無理があるような気がした、その後、夫婦間のやりとりもなく結婚の必要性をあまり感じることができなかった。
仕事のための結婚だから、最初から愛はなかったという事なのだろうか?
PECO PECO ~ハラヘリーゼ~

PECO PECO ~ハラヘリーゼ~

Reading Bitter

ザ☆キッチンNAKANO(東京都)

2020/10/30 (金) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★

いろいろな話があり、おもしろかった。

PECO PECO ~ハラヘリーゼ~

PECO PECO ~ハラヘリーゼ~

Reading Bitter

ザ☆キッチンNAKANO(東京都)

2020/10/30 (金) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

 シナモンの回を拝見。

ネタバレBOX

良くこんな小さなスペースでこれだけの役者を使ったな! と感心するほど役者数が多い。脚本は勘所を得て何れも秀作。殊に基本的に日常を描いているにも関わらず、現在の都会生活では大方失われてしまった他者への細かな観察力と優しい眼差しが同時に至る所で生きて働いているのが良く分かる筆力と脚本・演出の巧みとが相俟って素晴らしい。これは、出捌けの多い作品を演出も手掛ける脚本家が担っており、事情・タイミングのよく分かった作演出家が兼任している為、オムニバス形式で上演される作品の流れも良いという結果に繋がっている。因みに開演前には、野菜を刻む音と肉か魚或はハンバーグ等をソテーする音が流れているのも“食”をテーマに据えた作品らしく気が利いている。一応、「シナモン」コースのメニュを並べておこう。1:牛丼王子の昼休み 2:ぱぱのたんじょうび 3:幻のミートスポット 4:さようなら、はじめまして 5:時そば大作戦 6:怪人タベタインの6作。2では欝を患ったパパが、会社から休養を命じられ、ママと娘がパパの欝を何とかしようと協力して料理を作る話だが、そのクライマックスがパパの誕生祝いという内容だ。が、母の料理指導が素晴らしいこと、娘の如何にも幼女らしい様子が実に上手く脚本化されていること、欝という現代病の深刻さが影のように始終つきまとうことの怖さがそれとなく対比されることで、実にバランス良く現代日本の家族と家族が暮らす日本の現状が表現されている。4は、老夫婦が経営する老舗喫茶店の話。主人が幼馴染みの親友が亡くなった5年前を境にアルツハイマーを発症し、一元の客が訪れたその日に店を閉める所迄追い詰められながら尚、人として生き続ける、否生き続けようとする様を、妻の昔語りを通して描いた秀作。こちらも未だ治癒の方法が見付かっていない病をメタファーとして現代世界の深い深淵を描いて素晴らしい。6は一応ヒーロー物だが、タベタインが怪人であり、その存在自体が呪われた者の苦しみがキチンと描かれている点がグーだし、1にせよ、3にせよ如何にも現代の若者らしい感性を見事に浮き上がらせている点が素晴らしい。5は無論落語の「時そば」をベースにしているので説明するのは、野暮になろう。
  ところで、締め切りを巡る脚本化と編集者との掛け合いも見所の1つと言えよう。編集者上りのライターの身としては、何れも経験のある所で身につまされるが、土産で釣ったり、食事に誘ったり(作家が男の場合は酒席も多いが)は実際に良く使う手だし、締め切りに関する攻防は実際にはもっと激しいものではあるが、その辺りの事情は知る人ぞ知る、で良かろう。何れにせよ、作家を演じた女優がパタパタ、ぺたぺた歩く様は、室内作業ばかりの作家業でなまった身体の模様を良く表している。
忖度裁判

忖度裁判

ワンツーワークス

シアターX(東京都)

2020/10/31 (土) ~ 2020/11/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/11/01 (日) 14:00

司法が政権に忖度した結果の不当判決!のような大きなスケールの物語ではなく、一般人の起こした不幸な出来事の裁判の裏側を描いた作品で、地味だったがそれだけ裁判員制度が身近に感じられた作品。いつもながら、この劇団は面白い。

コロス県自殺市呪い村四丁目

コロス県自殺市呪い村四丁目

U-33project

インディペンデントシアターOji(東京都)

2020/10/30 (金) ~ 2020/11/03 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/11/01 (日) 19:00

現代日本の縮図。鋭い社会批評になってました。他人のフリ見て我がフリ直せ的なステージで、見ていて、自分のダメな部分を反省することしきり。会場の階段に巨大ミミズのような換気ホースがのたくっててビックリ。

『雪間の草』

『雪間の草』

虚空旅団

さかい利晶の杜(大阪府)

2020/11/01 (日) ~ 2020/11/03 (火)公演終了

満足度★★★★

茶室で観劇し、また、演者を間近で見ることができる貴重な体験となりました。セットや激しい動きもなく、声、表情、仕草と僅かな音響で見せる演劇、大変面白かったです。感情を出す八田さんの演技に見入りました。それにしても、高橋さんの脚本はラストが美しい。

【Perfect Murder Case -パーフェクト マーダー ケース-】

【Perfect Murder Case -パーフェクト マーダー ケース-】

竹内尚文プロデュース

劇場HOPE(東京都)

2020/10/28 (水) ~ 2020/11/03 (火)公演終了

満足度★★★★★

密度感濃厚なミステリー。
時間を忘れて、見入ってしまった。

シナリオももちろん良質なのだけれど、登場人物の造形やバックグラウンドを考えさせるあたり、役者陣の演技力も見事。

ネタバレBOX

ラストシーンも色々解釈できそうで、カーテンコール無しで余韻を感じてもらいたいという狙いも当たっていると思う。
Smiley魂

Smiley魂

MousePiece-ree

HEP HALL(大阪府)

2020/10/30 (金) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

日常を忘れるぐらい笑わせて頂きました。
バカバカしい中にも優しさが見栄隠れしていて、あぁ、やっぱりそうやね、いろいろと大変なことがあるけど、笑顔とありがとうは忘れないようにと思いました。
そして、あの方も居るようで、オープニングと最後のシーンで目頭が熱くなりました。
お芝居観られてありがとう♪♪♪

PECO PECO ~ハラヘリーゼ~

PECO PECO ~ハラヘリーゼ~

Reading Bitter

ザ☆キッチンNAKANO(東京都)

2020/10/30 (金) ~ 2020/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/11/01 (日) 16:00

おもしろくて、心にしみる舞台。
語りで、言葉を魅せてくれ、心を満腹にしてくれる。

『雪間の草』

『雪間の草』

虚空旅団

さかい利晶の杜(大阪府)

2020/11/01 (日) ~ 2020/11/03 (火)公演終了

満足度★★★

再演、前回の初演は予定の都合で行けなかったので、今回が所見。
利晶の杜の中に入ることも、地元でありながら、初めて。
興味津々でした。

日曜日の午前中だというのに、チケットカウンターはなかなかの列。
賑わっていて、物産物販等も眺めながら、あぁほんまに一応観光地なんやなぁと実感。
早めに着いてて良かったと思いながら列に並び、無事に開場前に余裕もってチケットも買えて、公演会場であるお茶室へ。

来るのも初めてなので、茶室も初めて。
近代的な建物の中に、ちゃんとした茶室が建造されていて、びっくり。
部活動で茶道を習っていた高校時代を懐かしく思い出したりしながら、開演を待つ。

ネタバレBOX

千利休といえば、個人的には晩年の血生臭いエピソードに触れる機会がほとんどで。
故に千利休といえば頭に浮かぶのは権力者との交流や、その最期だったりするわけですが。
この作品では、それより少し前、まだ豊臣秀吉等と関わる前の時代で。
主に夫婦間の愛の話でした。

この時代では、嫁ぐ年齢って現代に比べたらだいぶ若いうちで。
だからろくに恋もせず、恋に恋する娘さんのまんま嫁ぐことも珍しくないわけで。
ほんとなら段階踏んで精神的成長を遂げて、大人の女性になってから嫁ぐところを。
実らぬ初恋、憧れから脱しない域である淡い想いを引きずったまんま胸に秘めたまんま嫁いできた妻。
そしてそれを察してしまう夫、悩む夫、劣等感を抱えてしまう夫。

せつないですよねぇ、いや妻の方じゃなく、夫の方。
大切にしたいと、幸せにしてやりたいと思ってる妻が、自分に対しては妻としての義務感でしか接してないってさ。
自分の妻となった今でも、想いはずっと初恋の君の方にあるってさ。
そりゃあ、他所の女性に癒し求めるのも仕方ない…って思っちゃいました。
でも自分は夫にその仕打ちなのに、胸のうち知られた上に、夫の浮気知ったら、開き直って居直ってしまう妻。
なんかもう切なかったし、ものすご~く人間臭かったです。

そののち歴史は進み、初恋の君は歴史通りに亡き人になってしまう。
そのショックで生きる気力を失い寝込む己に対する夫の接し方に、自分が絶望の中にいるような状況の中でも、前向いて未来見据えて茶の湯を通じた信念抱く夫を前にして。
ようやく妻は目が覚める、浮かされたような夢見てるような初恋から、傍らに在る夫の存在に意識が向く、現実に還り娘さんから大人の女性になる。

天下に名だたる歴史に名を残す茶人である千利休でも。
ひとりの男であり、ひとりの夫であり、ひとりの人間である。
そんな世で描かれがちではない、側面を垣間見ることができる作品で。
ちょっと身近に感じさせて頂きました、三好長慶の生涯ついても調べたくなるくらいに。
産まれてからこれまでずっと住んできた場所、そこかしこに歴史が潜んでいて、普段の日常生活においては強く意識することもなく過ごしてますが、この地を何百年も前に歩いていたんだとか思うと浪漫に胸が高まります。
帰りに館内の展示も鑑賞し、隣接の千利休屋敷跡も見て、さらに足伸ばして南宗寺まで行き。
充実した休日でした。

余談ですが、茶室のかまち、わたしは自分の感覚だと気が付かなかったのですが。
男性である浅雛さん、田米さんは長身でいらっしゃるので、実際に立たれてみたら、普通に通ったのでは頭をぶつけてしまう高さ。
ぶつけちゃったりしないのかな…?と心配になりましたが、それはもう見事に芝居中にチラッチラッとちゃんと自然に目視で確認して通っておられて。
さすがやな~と感心でした。

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