最新の観てきた!クチコミ一覧

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悪魔と永遠

悪魔と永遠

東京夜光

本多劇場(東京都)

2022/02/05 (土) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

罪を犯して、罰を受けて、その後はどうすればいいのか? わからなくても人生は続いていく……。とても他人事とは思えない。以前拝見した「ユスリカ」もそうでしたが、目をそらしていた認めたくない真実を白日に晒してくれる、これが東京夜光さんの持ち味なのかなと思いました。生の演劇はやはり他にはない力があると思い知らされた観劇体験でした。

座布団劇場ー花筏 解けて浄土の雲になり(耕)

座布団劇場ー花筏 解けて浄土の雲になり(耕)

占子の兎

阿佐谷ワークショップ(東京都)

2022/02/10 (木) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

落語では語り手が一人で演じて聞く方はそれを想像するしかないのですが、実態として登場人物が目の前に並びます。「落語とお芝居のいいとこ取りのような公演」というのを実感しました。特に押しかけ女房ならぬ「お湯かけ女房」の森下さん・・・

ネタバレBOX

カップ麺にお湯をかけたら現れる麺の精で、その妖艶なこと。カップ麺おじさんはその色香にやられてどんどん痩せ細り・・・。あんな結末になるならそのまま成仏した方がお互い幸せだったのではと思いますが、そこは落語なのでオチがあるんですねえ。
「たちぎれ線香」は前半の丁稚さんとのやりとり(親類筋の無責任な提案)は面白かったのですが、後半が私としては物足りなかったです。でも、知香さんの色香で星五つ(笑)
The leg line

The leg line

仮想定規

中野スタジオあくとれ(東京都)

2022/02/10 (木) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

強弱がうまくつけられていた舞台に感じました。

ネタバレBOX

前半はドタバタとした展開で無理のあるストーリーに思えましたが、ショーが中心となる後半はよかったですね。前半と後半の雰囲気がかなり変わったことが少し違和感がありましたが、全体としてとても楽しく見ることができました。最初と最後のダンスはすてきでした。
宮城野(東京公演)

宮城野(東京公演)

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/02/11 (金) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

Cチームを拝見。あおきりみかんには珍しい外部脚本による本公演。
 江戸三大飢饉の一つ、天保の大飢饉は、為政者の放埓・腐敗を同時にあらわにした。(追記2.14)

ネタバレBOX

 物語は、天保の大飢饉(1833年から数年に亘る大飢饉)が人々を襲い大塩平八郎が大阪で乱(現行暦で1837年3月25日)を起こした後、江戸麻布で春を鬻ぐ宮城野の部屋で展開する。
 ホリゾント中央に出捌け。板上、下手奥に衣文掛、上手奥に鏡、部屋中央に酒器を載せた台、下手観客席に近い所に鉄瓶を掛けた火鉢。終始舞台上の明度は低く蝋燭の灯りが煌めく程である。この明度の極端な低さは、時代の混迷と昏さを象徴しているのは明らかだ。陽の光は未だ差すものの既に午後3時か4時頃から翌朝に掛けての宮城野と謎の多い高名な絵師・東洲斎写楽の弟子・矢太郎を巡る人々が描かれる。登場人物は宮城野と割りない仲の矢太郎の2名。写楽の謎を実に上手く溶け込ませて練り込んだ脚本を、現代風に言えばジェンダーの問題として表現してみせた考えさせる作品である。開演前に既に宮城野は部家中央に座し観客に背を向けている。せせらぎが流れるような音が続いている。
 明転すると矢太郎と宮城野。酒が進まない矢太郎の様子は、どこかいつもと違いおかしい。宮城野は、矢太郎の払いは総て肩代わりしている仲なのでこの辺りの感覚の鋭さは、当然であるが、この直後“人を殺してきたんじゃないか”との疑念をぶつける。イキナリ佳境に入ってくるのである。この脚本が素晴らしい。
 ところで宮城野は遊女である。先に説明したように天保の大飢饉は数年に亘って続き多くの餓死者を出した。殊に東北での飢饉は凄まじく日本最大級の餓死者を出した。貧農の娘は女衒に買われ遊女として売られた者が多い。そんな事情もあってか、出身地は詳述されない宮城野も一般的には当時の日本で最も苦労を強いられた女性の一人であったということができよう。つまりジェンダーとしては、現在でも続く男性中心社会の周縁部に追いやられていた女性の中にあっても、その最下辺に位置する階層に属していたと考えられる。そんな状態に置かれれば大抵の人は、余りの絶望の深さから総てを諦めやけっぱちの人生を送るか、奴隷の如き精神状態を呈する者が圧倒的に多かろう。然るに宮城野は、追い詰められた者を放っておけないという極めて人間的な美質を保つことによって、破天荒で救いの無い人間とは一線を画していた。その深い淵源を彼女自身気付いて居ないかのような筆致で物語は紡がれてゆく。然し、物語の進展に連れ、彼女の行為の原点が幾重にも仕組まれたどんでん返しの内に明らかにされてゆく。そして遂に彼女の為していることが人間全体に対しての贖罪のような形で現れる。つまり一般に膾炙した話としては、キリストによる人類全体に対する贖罪と全く同質のものとして提起されているのである。
 男社会の齎した矛盾や破綻のツケを担わされ続けられてきた女性全体を、演劇では宮城野という個人で代替して描いている。序盤で指摘した通り、明度の極めて低い照明は、昏い時代とその昏さを生きる人々の心・魂の闇を表しているがその昏い照明の中、実に効果的に音響が用いられていることも特記しておきたい。開演前に聞こえるせせらぎのような音も、劇中響く凄まじい落雷の音も暗いままの照明も総てが、差別されそれを為さしめてきた男性社会の不条理性とこれら負の遺産を何とか持ちこたえてきた女性の魂が上演中何度も聞こえる澄んだ鈴のような音で示される。無論、これは宮城野の魂の音として示されているのであるが。
 物語の詳細については、ここで詳述することは控える。1966年に矢代清一氏が発表した作品をお読み頂きたい。



The leg line

The leg line

仮想定規

中野スタジオあくとれ(東京都)

2022/02/10 (木) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めっちゃ良かった。プロローグで釘づけ!思わず拍手!トラブル続きであたふた感が笑えた〜換気の間のゲームも、間伸びしない工夫があって、ラストまで楽しめました。良い時間をありがとうございます♪

The leg line

The leg line

仮想定規

中野スタジオあくとれ(東京都)

2022/02/10 (木) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/02/12 (土) 19:00

シンプルに楽しかった♪

色々なトラブルを解決しながら、お客に楽しんでもらう歌謡劇を見せる伏線回収型ミュージカル 。というよりは沢山の寸劇と最後に歌謡ショーという構成

老若男女問わず、誰が見てもわかりやすい内容。子供(5歳くらい?)もゲラ笑いしてたし。

唯一の謎はウーバーの人のTシャツが「うま」から「わりばし」に変わっていた事か?

宮城野(東京公演)

宮城野(東京公演)

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/02/11 (金) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

舞台は遊郭の一室で登場人物は遊女と浮世絵絵師の2人のみ、休憩無し約70分の愛憎劇。軽い反転を含むプロットでは1枚の浮世絵が、光を効果的に使った演出では鏡が効いてました。

The leg line

The leg line

仮想定規

中野スタジオあくとれ(東京都)

2022/02/10 (木) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

妖しげな雰囲気を掻き立てるプロローグ、舞台の奈落、舞踏シーンから一転、楽屋内を舞台にしたコメディーが展開。
この楽屋を出入りする登場人物達が、うらびれ感をスパイスに笑いのツボを心得ていて無邪気に可笑しい。
舞踏の妖しげな残り香か、外は雨風吹き荒れる嵐、次々と巻き起こる混沌と連動していてどこか不条理な面白味も。

Show must go on
混乱の予感プンプンなショーのはじまり。
繰り広げられるのは、それまで単純に楽しんでいたコメディーに繋がった演目のオンパレード。
言ってみれば曲のひとつひとつがいわく付き、1曲1曲がアンサーという名の楽しい付加価値を生み出しているのだから本当に良く考えられた構成。
いつの間にかショーを観ている観客も物語の一員になっているかの様な感覚が更に楽しい。

日本発のオリジナルミュージカルを世界へ
過去には日本特有の美術を導入した作品も公演されていた様で、そういうのも観てみたいし、様々な個性が集まったファミリー感からサーカス団みたいなものも良さげだし、怪人二十面相的な作品も観てみたい、これからの期待はどんどん膨らみます。

チェーホフも鳥の名前

チェーホフも鳥の名前

ニットキャップシアター

AI・HALL(兵庫県)

2022/01/14 (金) ~ 2022/01/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

日本、ロシア、ギリヤーク、アイヌ、朝鮮、多様な人達が暮らした樺太の戦前戦後。
時代に翻弄されつつ、安寧に生きようとした人達の何世代にも亘る100年史。

人の繋がりの確からしさを、時には愉しく、悲しく、見事に表現されていた。
3時間、どっぶり面白かった。

花火みたい2022

花火みたい2022

いるかHotel

大庄北生涯学習プラザ(兵庫県)

2022/01/15 (土) ~ 2022/01/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

楽日観劇。
先輩と、母と、娘と、仲間と…
新しい旅立ち、始まり、別れの時に観る、様々な花火、綺麗でした。

様々な人が、様々な場所で、様々に頑張ってる。
ちょっぴり涙ぐんでしまった。感動。
とても良かった。

追伸、大庄北生涯学習ブラザ3階ホール綺麗でした。

大大阪舞台博覧会 2022

大大阪舞台博覧会 2022

大阪市立芸術創造館

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2022/01/15 (土) ~ 2022/01/15 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Cブロック 観劇。

■小骨座「彼女への砂糖菓子」
喉仏をなぜる、余韻が良かった。
小骨座さんらしい、ほんわか暖かい感じ好き。

■NoisyBloom「人魚物語」
三味線と奏でる趣があって、寂しさと暖かさを感じた。
余韻のある公演だった。

■シイナナ「迷路の中のマイ子」
人生の選択、迷って選択して…大変だ。
重大な選択を暖かく、でもシビアに見てる、ポップな公演。

■劇団ショウダウンさん「ツインゴーストの館」
久々のショウダウンさんのテイスト満載の公演、堪能しました。

大大阪舞台博覧会 2022

大大阪舞台博覧会 2022

大阪市立芸術創造館

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2022/01/15 (土) ~ 2022/01/15 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Bブロック観劇。

15分でも十分内容が濃かった!

■劇団乱れ桜
出張でデリヘル呼んだら…
久しぶりの乱れ桜さん、デリヘル裁判、小気味良い芝居で愉しかった。

■でめきん
深夜、母を待つ小5…
変なお姉さんに妙な元気貰った!
最近よく拝見する劇団さん、愉しかった。

■芝居処 華ヨタ
トカトントン、興味失せる幻聴!
流石、見せ方が上手かった。
これでも気取った苦悩なんだ!

女歌舞伎 さんせう太夫~母恋い地獄めぐり~

女歌舞伎 さんせう太夫~母恋い地獄めぐり~

Project Nyx

ザ・スズナリ(東京都)

2022/02/06 (日) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/02/12 (土) 14:00

「女歌舞伎」と冠したこの作品は、プロジェクト・ニクスのこれまでの集大成と言える。前回の「新雪之丞変化」より数段パワーアップして、音楽、舞台回し、美術と迫力ある舞台に仕上げた。

題材は、有名な安寿と厨子王。冒頭の津軽三味線から震える。この三味線は単なるライブの音楽というだけでなく、奏者の駒田早代が立ち回り、声量豊かな歌声を響かせる。舞台の重要な構成要素となっている。

千秋楽前だけに、出演者全員のせりふが板についていて、迫力と妖艶さが増している。スズナリという器もプロジェクトニクスに合っている。狭い舞台と袖を縦横無尽に使って演じる女優たちからは、何かここがホームゲームだというすごみさえ感じた。誰もが知っている物語だけにやりにくかった面もあっただろうが、ラストシーンでは思わずもらい泣きするような場面もあった。安寿は舞台の早い段階で命を失っているのだが、百鬼ゆめひなの操る人形に乗り移ったかのように最後まで存在感を示す。輪廻転生という壮大な空間は、感動的だった。

今回、主宰の水嶋カンナは、寺山修司の句の朗読など舞台の進行に彩を添える役回りで若手のパワーを引き出している。スズナリは、コロナ禍以前と同じような満席。期待通りの価値ある舞台だった。

コオロギからの手紙

コオロギからの手紙

映像劇団テンアンツ

ABCホール (大阪府)

2022/02/07 (月) ~ 2022/02/14 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白い作品でした。
3時間半程あるのに気付けばあっという間で、もっとずっと観ていたいと思う程でした。
楽しい時間を本当にありがとうございました!

寡黙と饒舌

寡黙と饒舌

ヨルノハテの劇場

シアター711(東京都)

2022/02/08 (火) ~ 2022/02/11 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/02/11 (金) 15:00

予想外なほどの絶妙なコンビネーションでした。実験的でとんがってるステージでしたが、見ている側の頭と心と体がよくほぐれる笑いが絶えない濃い〜2時間。見に行ってよかった。

宮城野(東京公演)

宮城野(東京公演)

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/02/11 (金) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

この劇団は4年ぶりの観劇となる。
前回は「鏡の星」。情けないことに、記憶は定かでなく、「あおぎりみかん」の響きが、かつての観劇の好印象を残していたため、また観てみようと決めることにした。自分のブログにあたってみたが、やはりおもしろかったという感想が書かれている。内容については何もなかったが。
さて、今回の「宮城野」。ちょうど、私が車谷長吉の「赤目四十八瀧心中未遂」を読んでいたからかもしれないが、この二つがちょうど共鳴するかのようで、しっとりと観賞することができた。
また、矢代静一の戯曲。私が大学生時代に、よく耳にし、そのいくつかは観ていたはずで、その懐かしさも含めて、足を向けるようになったものだ。
生きることの切なさ、重さ。言葉にしてしまうと、なんとも軽々しくなるのだろうか。出演の2人は、それを見事に体現していたと思えた。内容上、仕方なかったが、舞台照明が暗く、できれば俳優の表情も併せて見てみたかった。
とはいえ、行ってよかったと思えた好演。

私自身/これについて

私自身/これについて

地点

アンダースロー(京都府)

2022/02/12 (土) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

満足度★★

分かりにくい。万人受けはしないなー。僕も勉強しないといけないけど…。

君が好きだ

君が好きだ

倉山創作活動隊

下北沢 スターダスト(東京都)

2022/02/09 (水) ~ 2022/02/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ストーリー自体は好きなお話し。演出が独特なので好みは分かれるかもしれませんが、役者の力量がそのままでる感じの舞台

恋夜行

恋夜行

コルバタ

シアターブラッツ(東京都)

2022/02/10 (木) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

コルバタ松井組「恋夜行」みた
不自由のなかで一所懸命生きる人たちの物語!
前半とても暖かい感じで中盤~終盤かけて急降下するシリアスさあ
ほろりと涙する素敵な作品でした
役者役どころが適材適所て感じ

脚本、珠紗ちゃんの脚本良さ
こんな物語書ける子なんだと驚いた
素敵な脚本で素敵な舞台でした

女歌舞伎 さんせう太夫~母恋い地獄めぐり~

女歌舞伎 さんせう太夫~母恋い地獄めぐり~

Project Nyx

ザ・スズナリ(東京都)

2022/02/06 (日) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

かなり自分の理想とする『山椒大夫』が観れた。小学生の頃読んだ『あんじゅとずしおう』が今もずっと心の奥深くに棲みついている。“人買い”、“人拐い”の恐怖。横田めぐみさんの事件を知った時、すぐにこの作品を連想した。騙されて攫われて、何十年も後に生き別れの家族と再会する物語。ハッピーエンドとは程遠く、仏教説話のような救いもない(多少あるが)。出演者全員女優の女歌舞伎を称し、アングラ小劇場オールスターズによる宝塚のような絢爛は好きな人にとっては堪らない御馳走であろう。スズナリにはこういう作品こそ良く似合う。

津軽三味線の駒田早代(さよ)さんがメタル・ギタリストのような速弾きを見せ、コンパクトな笏拍子(しゃくびょうし)を装着した河西茉祐(かさいまゆ)さんが説経節を唸る。黒子・飯田美千香さんが操る等身大の人形は美しき真白な地蔵菩薩。物語は開幕早々、拷問の末惨殺される安寿(えびねひさよさん)の生き地獄が眼前に展開。妖しき見世物小屋の歪み病み倒錯した頽廃美。石井輝男の代表作『徳川いれずみ師 責め地獄』を思わせる構成の妙。徹底した残虐非道ヒール役の三郎(諸治蘭〈もろじらん〉さん)は一周回った清々しさすら感じさせる生き様。
物語は過去に戻り、父に会いに陸奥国(むつのくに)〈福島県〉から筑紫国(つくしのくに)〈福岡県〉まで旅に出た一家の仲睦まじい様子が描かれる。母(山崎美貴さん)、安寿、厨子王(染谷千里さん、青年期は宮菜穂子さん)の何気ないひとときはこの話の唯一の安穏。誰もが何処かで何となく聞き知っている『山椒大夫』に流れる、実話を元にした故の血と肉の痛み。森鴎外は大正時代、小説にするに当たって残虐描写を悉く削った。今作は原典の中世説経節をモチーフとしていて表現に容赦が無い。

主催者の水嶋カンナさんは額に梵字の焼き印を入れられた下女役で、この世の苦しみに足掻く名も無き弱者の叫びを象徴する。会場の笑いを鷲掴みで掻っ攫ったのは丹後国分寺の律師役、伊藤弘子さん。彼女の登場から明らかに館内の空気は熱気を帯び、力尽くで後半戦に突入した。熱唱する『紅』がこれまた良い出来。
個人的MVPはさんせう太夫役ののぐち和美さんで、今役こそまさに彼女の嵌り役。彼女だけでも観に行く価値は充分。ベロンベロンに酔っ払えるデカダンスのひととき、まだ間に合う。

ネタバレBOX

「安寿恋しや、ほうやれほ。厨子王恋しや、ほうやれほ。」のメロディが秀逸。平安時代末期、遥か遠くの地にて(新潟県佐渡島)母の口ずさむ唄が人口に膾炙して二人のもと(京都府由良海岸)にまで辿り着く奇跡、確かにこの位メロディが強くなくては成立しない。作曲大貫誉氏、見事。

ロマン・ポランスキーの傑作にナスターシャ・キンスキー主演の『テス』がある。不幸な運命に翻弄され最期は絞首刑に処せられる主人公、テス。只々無力なだけの善良な女性であった。朝靄のかかった美しき野原のエンディング・ロールに被せられる献辞には「亡き妻、シャロンに捧ぐ」。いつかこんな『安寿と厨子王』が観てみたいもの。横田めぐみさんの母である横田早紀江さん(キリスト教プロテスタント系福音派)の物語はまだ続いている。

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