満足度★★★
90分。
ネタバレBOX
大学?の演劇部の夏合宿所が舞台。なんでも昨年そこで中村先輩という美人が爆死自殺したという。清純なメグ(名古屋愛)は彼氏のあさだくんが最近変わってしまったことに不安を覚え、ユキ(鴨居千奈)は出会い系の社会人彼氏に遊ばれている様子で(おまけにあさだくんとキスしてしまう)、サー(堀沙織)は家庭環境劣悪で容姿がコンプレックスで(おまけに爆死した中村先輩は実姉)、顧問のトキ(鯉沼トキ)は欲求不満であさだくんらとSEXしてしまうし、というごちゃごちゃの中、タオ(黒澤多生)が、合宿所での17物語(百物語でなく)を提案する…。
ストーリー的な面白さはあまり感じなく、しゃべりが聞き取りにくいとか、若い女の子の病んでる話はイマイチのれないとかあって、観てる時はあんまりな気持ちだった。キャラクター性(演技)とかは結構よかったと思う。
あとあと思い返すと、舞台の空気はしっかり作れていたと思う。姿を見せないが、中村先輩との関係から人が変わってしまったというあさだくんの不気味さとかは伝わってきたし。
中村先輩のシーンはもっと印象的でもよかったかな。家庭環境に難ありのサーが、舞台的に一番魅力的だったからかな。
満足度★★★
120分。
ネタバレBOX
とある方から鏡を贈られたリリアーノ(春木彩香)のモノローグを挟みつつ進行する作品。基本的に時間軸は過去になる。
メイン筋は、お妃様(比嘉建子)からの毒リンゴで死にかけた白雪姫(絹川麗)をアダム(石毛セブン)が解毒薬を唇に塗って接吻するが、それは実は仕組まれたものだった。そんな罪を抱えた二人が、鏡工場のある町に逃げてきてアダムは工場で働きはじめる。ここにきて再度お妃様がライバルを消すため毒リンゴに手を出そうとするが…という話。
アダムとその妻の白雪姫のラブストーリーとしては上々。この世の真実は鏡だけらしいが、二人の愛情もまた真実なものだったということか。
ストーリー部分は良いが、笑える部分は少な目な印象。鏡工場とかマーガレット不二子(渡辺咲季)のシーンとかが面白かったけど、笑える部分少ないと、ややダレてしまうかな。
大抵変態な役をやる瀬沼敦が、鏡役としていいトコ担ってた。白雪姫との会話シーンとか、結構じーんときた。
満足度★★★★
100分。
ネタバレBOX
ナチスの収容所の一室。一人の将校(西原誠吾)が虜囚(植村宏司)を連れてきてチェスを始める。二人は同じ大学で数学を研究した親友。将校は暗号機をつくり虜囚は敵国(連合国)でその暗号解読の仕事をしていたが放り出されナチスにつかまったという。そんな二人の濃密な会話劇。
元々親友でライバルで、それが戦争での敵味方、虐待する方される方という関係になって、互いの兄弟の生死に関わっていて、でも実際の心根の部分は、という面白さ。
最初の虜囚の卑屈な態勢が徐々に変わっていき、実は影で将校側についていたことや将校の兄の死、実際の戦局から将校が絶望に沈む終盤、眠る将校を前にチェスをさし、投了し退出するサマが静かでかっこいい。暗号を読み解くシーンでの二人のテンションの高さとか高揚感からの落差があって、どっちが虐げている方なんだかわからなく。というか将校もまた虐げられている側の人間だからか。
数学とはなんぞやはわからないけど、人間的なニガさ(とほんのちょっとだけの甘さ)が詰まっていた。
満足度★★★★
80分。
ネタバレBOX
結構面白かった。サヤ(徳橋みのり)とアイコ(橋爪未萌里)の序盤の会話とか、クマザキ(小林義典)のみょうちくりんなキャラクターとか。幽霊設定とかも、SFチックだし。
満足度★★★★
120分。
ネタバレBOX
福島県双葉町が原発誘致を決定する1961年の数日の、地元の顔役・穂積家や町長、県職員、東京電力職員らを描く。
戦後復興の波に乗れず、ただただ貧困な東北・福島で育ち、東京大学で物理を学び、東京で働き日本のために生きたいとする長男・孝(内田倭史)を中心に、人と人との想いが描かれる。
家族や地元への愛情という軸と、低い地域経済性といったヒトモノカネの欠乏という軸に、発展という夢がぶっこまれる。その夢はきっと地域の活性化につながったし、多くの人がその利益を享受し続けたが、原発誘致決定から50年後、その夢が悪夢となったワケだけど。
東電社員の佐伯(古屋隆太)らが穂積家へ集まり穂積正(塚越健一)に土地の買収を迫ったあの夜。原発反対にはならなかったのは、とても自然かなと思う。「広島出身」の佐伯のセリフが映写されたのは、多分ファクトな部分だからだと思うけど、それ抜きでも皆が皆、夢(想像)を膨らませていたからかなと。悪い方でなくて良い方に。じゃないと生きていくのがツラすぎるから。
ちなみに、終盤で佐伯が東電の黒幕(えらい人)と話している中で、「反対する人間は札束で叩け」的なセリフがあったけど、あれは創作かなと思った。根拠はないが。よくわからずにいうのもアレだけど、結局原発誘致(原発推進)は利己的な性質なものなのか、一部の人間の損得なモノだったのか。上にも書いたけど、あんまりそんな気がしていないので。
色々笑えるトコも多くて、小道具とか衣装とか照明とか、コロコロ変わるトコが多くて、ここらへんも楽しめた。
孝が田舎から出て東京へ行くというシーンの、正や母・豊(百花亜希)のセリフが身に応えた。
満足度★★★★★
60分。
ネタバレBOX
日野(岩谷健司)…最近見守り隊へ参加した中年独身。子供への愛情は人一倍。新田娘の誕生会で自作のキットコインを子供に配るつもりだった。
会長(岡部たかし)…見守り隊会長。誕生会へは日野も含めて参加するつもりだった。
新田(武谷公雄)…小3くらいの娘をもつセレブチックなお父さん。日野の誕生会への参加を昨今の情勢にかんがみ遠慮してほしいという。「見守り隊を見守り隊」の会長。
日野のキットコイン(きっと願いが叶うという願掛けアイテム)に微妙に感動している会長のところに、新田が差し入れをもってやってきて、新田娘の誕生会に話になり、日野が誕生会で披露するつもりの鍵盤ハーモニカ(踊るぽんぽこりん)をみせる。盛り上がる日野と会長を前に、新田は日野の参加は遠慮してもらうハズだと会長に詰める。理由は昨今の子供が被害者となる事件があって「何かあってからでは遅い」から。新田の考えも内心理解しつつ納得がいかない日野だったが、新田は不参加でお願いしますと去っていく。憤る会長だったが、日野のキットコインは(誕生会へ参加して)自分が皆に配ると受け取り、日野は雨の中、独り嗚咽する…。
60分で笑いと切なさと社会問題、人間関係の妙を描く快作。
序盤の日野の一人シーンから会長とのクスクスできる会話と続き、新田に踊るぽんぽこりんを披露するまでは、可笑しさと平穏さが同居してコントじみた安心感があった。踊るぽんぽこりんの完成度が思った以上に良くて、意外さからくるコメディがあった。逆に、後のことを想うと日野としての健気さがあって、今思うとなんかちょっと泣けてくる。そんな良いシーンだった。
んで、新田から要注意人物扱いされていることに気づいた日野と子どもを守るためという正義をふるう新田のやりとりがあって、終幕を迎えるけども、日野や会長も、自分らも(新田が日野らにしているように)レッテル貼りをしていることを認識し、一定の理解を示す。ここらへん、生きてく中で感じる哀しさ(と自分勝手さ)が感じられて、ウッっとくる。理解されてない感とか、よく思われていない感とか。ラスト、にわか雨に打たれる日野に、日ごろの自分を重ねたりもした。
その前のオチの、(会長は)誕生会参加するの?のトコは最高にウケた。これのおかげで、作品のバランスが一方に寄らずに、なんか心持が軽くなった気がした。
満足度★★
110分。
ネタバレBOX
序盤の内輪ウケ的な流れもあり、近くの観客の足踏みが気になって、どっちらけな舞台であった。そもそもシェイクスピアに詳しくないというのもあるが。
満足度★★
75分。
ネタバレBOX
ストーリーとかで魅せる舞台でないだろうけど、よくわからなずぎた。単調な空気で進み続け興味を持ち続けられなかった。そもそもクグツとは。
満足度★★★★
nursery。短編(前日譚)→本編で95分。
ネタバレBOX
前日譚。とある精神病院に勤めるミセスカーター(詩森ろば)の前にゴシップ誌記者のレイ(杉木隆幸)がやってきて色々探りを入れてくる。精神病院のとある医師の死、患者であり裁判沙汰にもなったルディオコーナーについてである。
本編。幼い口調の精神疾患者ルディ(田島亮)の担当医となったティム(酒巻誉洋)がルディと話していると、突如ルディの口調が変わり粗暴な別人格が現れる。別人格は鋭い指摘と洞察力でティムの本当の目的を話させるが…。
ルディが父から性的暴行を受けていたこと、そして父を殺し別人格を産んだこと、死んだ医師もルディへ性的暴行をしていたこと、その被害は別人格が引き受けていたこと、などがどんどん明らかになっていき、ティムはティムで、死んだ医師に対する性的な想いを消化すべく、医師とティム(別人格)との関係を明らかにすることに成功する、という会話劇。
別人格の超人的な洞察力もさることながら、ルディの身代わりとしての人生を歩むことを受け入れている別人格の生きざまというか、それしか選択できないやるせなさが見どころかな。動機は自己的であれ、ティムは別人格に手を差し伸べた救世主ともいえるし、二人のヒューマンドラマでもあるか。
最終盤でティムに人格が入れ替わるが、その時のティムはもしかしてまた別の人格なのかななんて思った。もしくはさっきまで話してた別人格が死んで代わりの人格を作ったというような。けど雰囲気的にそんなネガティブな作品じゃないような気もしている。会場の白さ的にも、クリーンな作品と受け止めてよいのかななんて。
満足度★★★
140分。
ネタバレBOX
北村透谷葬儀、正岡子規葬儀、二葉亭四迷葬儀、夏目漱石葬儀の四場構成。
文学だけでなく歴史や現代時事ネタなどエッセンスふんだんな作品。知識のない自分には、そういう意味でフラストレーションな感覚になったのが残念。笑えるのも多かったし、開幕前アナウンスの「日本大学盛衰史…」はニヤっとした。
四場で未来人な3人組が出て、森鴎外(山内健司)が安堵するシーン、愛するモノ?の死を感じつつ生きている人間がその存続を認めたことで喜びを得るという、安心感とモノが消滅する危機感的なものがせめぎ合っているような印象の作品。
満足度★★★
150分(休憩5分込み)。
ネタバレBOX
わっしょいハウスは存在はしってたけど見てなかった。
株)ジュピターを舞台にした7小作品。
なんだかんだ、最初の喫煙の話が印象的かな。禁煙する二人を後目に喫煙を非難する女を口説くと、結構乗り気になってくれたけど、実は喫煙者だったというオチ。
ただ、各作品でテイストの違いが大きくないから、ダレ気味になった。スマッシュヒットな笑いがもうちょいあるとうれしい。
満足度★★★
80分。
ネタバレBOX
ポンポン製造作業所。
前半の展開はあんまりだけど、田端(川隅奈保子)の妹?従妹?の葉月(坂倉奈津子)が田端を刺してからは面白くなった。田端の色ボケ具合とかウケたし。ただ、その面白さが終盤まで持続しなかったかな。
満足度★★★
75分。
ネタバレBOX
宇宙警察的なのに海を蒸発させられブラックホールへ遺棄される刑を執行されている未来の地球へ違法な時間旅行した現代人と未来人と宇宙人を描く。
昨年も別作品見たけど、お口に合わないのかな。いまいちノれない。
チラシデザインは結構好きだけど。
満足度★★★
80分。
ネタバレBOX
牧原(伊藤毅)…バイト。現場リーダー的。大園と関係を持つ。向井に喰ってかかった。
堀(植浦菜保子)…バイト。牧原が好きだけど、報われずな女。
大園(岩井由紀子)…バイト。向井と付き合っているが牧原が好き。
向井(小寺悠介)…社員。現場マネ。バイトにもプロフェッショナルを強いる。
鮫島(濱野隆之)…社員。あんまり使えないと向井やバイト連中からみられている。牧原が辞めて密に安心した。
八木沼(木崎友紀子)…社員。なんだかんだ向井やバイトとコミュニケーションとれてる人。
かなえ(石川彰子)…バイト。妊婦。
源田(黒田圭)…バイト。大園のことが好きな四十代。
通販のコールセンタの控室。バイトと社員の恋愛や格差が水面下で蠢いて、終盤爆発する。
爆発するまでのフリがやや長い気もするし、やや退屈かな。笑えるような要素も少な目だし。
伊藤の不満爆発もいいけど、それを受ける小寺のバイトにコケにされてイラつく感が上手いなと思う。小寺の仕事イケイケな感じも上手い。実際あんな人いるし。
恋愛も絡んでの職業格差でヒネリもあるのはよかったが、別のエッセンスもあるとなお良い。
ちなみに、退職する牧原にドキドキでメシ一緒に行こうと誘ったはいいが、結局みんなで飲む話にされ、連絡先も知らないと言われた堀のブロークンハート具合が好き。
あと、仕事有能な牧原が辞めたことで牧原から見下されてた鮫島が安心したと吐露するシーンも好き。バイトに限らず人それぞれ鬱憤あるよねと。逆に牧原のようには鬱憤晴らせない(能力的とか年齢的とか色々あるけど)人とかの弱さとか強さとかに面白味を感じた。
満足度★★★★★
95分。
ネタバレBOX
大月(永井佑衣)…1年。キコにべったり。部活で浮いてる。父が大麻でつかまるなどあんまりいい人生歩んでない系。
キコ(藤本紗也香)…2年。ゆったりとした思考で大月や勝田から好かれる。ムツオのことを大月にはチクった。演技は下手。
マコト(土橋美月)…1年。好きな人を困らせたいという変態願望が抑えられないことを自覚している。
サヤカ(鶴田理紗)…3年。部長。皆から頼りされるマジメな性格ながら顧問とも関係しちゃい、それを悩みとしている。
宅間(大塚尚吾)…顧問。教え子に手を出すこともフリーという考え。基本人に投げる、問題を受け止めない系。
松永(古田希美恵)…2年。前上に他校の好きな人の相談してたけど出し抜かれて不仲になった。
前上(瀬戸ゆりか)…2年。松永の親友だけど、オトコの件でモメて怒りをぶつけた。
ハジメ(赤猫座ちこ)…2年。ユウと仲良しで、ユウの罪を分かち合おうと自らの手も汚すが。
ユウ(田中渚)…2年。演劇熱は低めで、最近できた彼氏と連絡とりたくて電波を探し続ける。松本をボコした。
トモコ(久保瑠衣香)…3年。副部長。演劇熱高く、マジメに合宿に取り組もうとするが、ハジメに指をやられる。
勝田(沈ゆうこ)…3年。以前はキコと仲良くしてたけど大月にとられたことでトモコにすり寄る。
松本(野田慈伸)…施設管理人。大麻栽培などに手を付ける。大麻の件でユウにボコされハジメにとどめをさされる。
ムツオ(安東信介)…施設に逃げ込んだ大量殺人犯。キコに姉に姿をみる。
女子高演劇部の合宿。施設に着いた矢先1年の都井が行方不明のトラブルが起こるが、たいていの人間は自分優先の行動をとっている。その内、松本がやられそれぞれの人間関係も歪みだし、キコはユキに銃を授ける…。
単純な百合的な話でなく、上下左右斜めに向かう気持ちと自分に向かってくる気持ち(向かってこない気持ち)の折り合いがつかず、狂いだしていく面々。ツヤマ事件が借景にあるというように、閉鎖空間での人間関係のドロっとした部分が狂気に走るキッカケとなるようなテイで、平平凡凡な女子高生らが道を外し始める感がよいインパクトを産んでいる。気持ちの反射で、心が歪んでいくサマは何とも言えない心苦しさ(共感か?)があった。
ラストのキコとユキのシーンは、ユキの想いという感じでもあるし、それぞれの想いが突き進んだ未来のようでもあるし、あっさりながらいい味わい。
キャラ的には、大月の動じない感(実際は育ちの影響だろうけど)とか、キコの動じない感(これは天然なのか世渡りテクか)とか、サヤカの優等生ながら踏み外してるキスキー感とか、ハジメの純粋さ(のように受け止めた)とか好き。リアルなトモコ像が一番胸にキタんだけど。
満足度★★★★
梨の礫の梨。60分。
ネタバレBOX
27位で7歳の娘(宮川サキ)を遺して自殺した母(藤本陽子)が、思い出のバーで娘とマッカラン片手に語りつくす。さんざん苦労した人生を過ごし、ついにできた恋人は早逝し、人生に失望し死を考える娘に、あきらめないでと叫ぶようにエールを贈る母。娘は会計を済ます際にマッカランを2本入れ、内1本を10年後まで残しておくと店員に告げる…。
序盤の宮川の一人芝居的な語りがウケる。導入で引き込まれ、その後もちょいちょい笑かしてくれ、それでいて奥底にある怒りとか失意が爆発する終盤とちょっと晴れた表情でラストを迎えるという流れが美しい。
満足度★★★★★
粛々と運針。
ネタバレBOX
好きな作品。初演時より笑えたし満足した。比較の話だけど、初演より丸みを帯びたように見えた。
何気に應介(市原文太郎)のキャラに親近感を覚える。
満足度★★★★★
95分。
ネタバレBOX
弘光(瓜生和成)…兄。父から嫌われ母に助けられていたが、その母が亡くなったため、父と弟と疎遠に。父の死後順平に呼ばれ帰省する。
順平(山田百次)…弟。兄からの当たりのせいで物事にハッキリ言えない性格になった。千里とは別れ兄と暮らすらしい。
千里(山本真由美)…順平の妻。身ぎれいな美人。家の状況の不満をついにぶつけたが、順平からは離婚(のようなもの)を言い渡される。
努(今村裕次郎)…弘光らの親戚(いとこ?)。風俗に走る。
幹恵(荻野友里)…努の妻。義母の介護に疲れ、俊哉の筆おろしをする。
望美(井上みなみ)…弘光の娘。父のせいで公務員の彼氏との縁談がご破算になった。
杏奈(田村優依)…龍一の彼女。風俗嬢。努がハマってる。
俊哉(櫻井竜)…順平の部下。幹恵の筆おろしが忘れられず、努へ突進を繰り返す。
龍一(松本哲也)…順平の元同僚?順平が原因でか足の指切断し、順平宅へ長く居候する。後頭部に目がある。
宮崎の片田舎の一軒家での、やさぐれた兄と兄(や他の人)にモノ申せない弟が主軸の物語。序盤からなんか水面下でざわついてるなって感じがヒシヒシと伝わってきて、中盤から終盤で爆発する。この爆発力がとてもインパクト大で、陰惨な空気を吹き飛ばしてしまうくらい。ラスト、結局兄も弟も離れなれないというテイで終了するけど、依存とも一歩前に進んだともいえる感じがしてよかった。良舞台。
演技は皆良かった。特に荻野の疲れた人妻感の色気とイライラ感が好き。イライラ感でいうと山本と井上もそうだけど。瓜生の最初の演技はどこか知的に障害があるように見えたけど、人格破綻者的な感じが舞台の重みを増しているようで良い。今村も松本もコメディなトコとシリアスなトコといい塩梅の演技だった。松本のラーメンむせながら演技は恒例なのか。単純に上手い。
満足度★★★
80分。
ネタバレBOX
高校の選択科目で演劇を選んだ(冴えない)目の死んだ女子高生らは、坂口(とみやまあゆみ)のカツで皆活き活きとなり、非常勤講師の小手川(亀山浩史)をおちょくる毎日。その内坂口は学校をサボリがちになるが、皆気にもとめない。そんな中、テストでやったテキスト「走れメロス」を講師以外にもお披露目することとなる。同時に坂口が飲酒で退学という情報が面々の耳に入る。そうして坂口(と坂口を連れ戻しにいった松本?)を待つ面々は走れメロスの演劇を始める…。
舞台的には坂口が面々を再生させた時軸と坂口が皆と距離をとった時軸が前後するので、こいつらの関係性か動機とかが謎で、それが明らかになるまでがやや長いかな。死んだ魚のような目の面々の背景がみえにくい(一般的な高校生像なのかとか)のとかやや気になるかな。
ギリギリ坂口も参加し、坂口をハリセンでボコボコにする、彼女らの走れメロスは終幕する。それでも坂口は退学(結局飲酒でなく母の疾病と経済的な問題)するが、完全版メロスのため帰ってくるのを待ってるという感じで終わる。
作中でメロス走ってない説やマッハ11説が出てたけど、彼女らは彼女らのペースで向かったり待ったりするんだろうななんて、ぼんやり思った。