1
八月の雹(はちがつのひょう)
中津留章仁Lovers
これは意外な大穴だった。いかに中津留章仁といえど、ワークショップの中で出演者を決定するという公演で、しかも会場はタイニイアリスである(笑)。が、タイニイの窮屈な座席が全く気にならないほど舞台にのめり込んだ。
タブー視されるものを徹底的にあからさまに見せつけ、濃密な空気と異様な緊張感を一瞬として途絶えさせることがないを3時間であった。
詳しくは http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=241636
2
「廃墟の鯨」
椿組
花園神社野外劇初体験となったこの作品、東憲司の作・演出とあって、冒頭からすっかり桟敷童子の世界となった。
お祭り気分のムードの中で存分に楽しんだが、折角の椿組野外劇、もう少しハチャメチャなお祭り感を横溢させても良かったかもしれない。
詳しくは http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=237092
3
海猫街・改訂版
劇団桟敷童子
東憲司の作・演出を2つ並べるのも気がひけるが、やはり桟敷童子を入れぬ訳にはいかない。観終わった後に、胸の中に手を突っ込まれて心臓を鷲掴みにされたような気持ちになる。
詳しくは http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=228647
4
地獄篇 ―賽の河原―
鬼の居ぬ間に
登場人物の誰一人として救われることのない、暗く重い空気に満ちたこの作品は、観終わったあと呆然として暫し身動きができなくなった。
この劇団は濃密で凝縮された空気の中から、人間の心の奥底に潜む恐ろしさがじわじわと迫ってきて、気がつくとがんじがらめにされてしまう。万人におススメできる性質のものではないが素晴らしい団体だ。
詳しくは http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=218472
5
ボビー・フィッシャーはパサデナに住んでいる
風姿花伝プロデュース
風姿花伝のオーナーであり青年座の役者でもあった那須佐代子が立ち上げたプロデュース公演の第1弾。
途中10分の休憩を含めての2時間45分という上演時間が全く長さを感じさせず、4人の役者が演じる人間の内面の深淵が観客の意識を捉えて離さない。明るい芝居ではなく、むしろ不快感が残るといってもいいが、秀逸な舞台だった。
詳しくは http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=236841
6
ブロードウェイから45秒
加藤健一事務所
この作品をベスト10に入れるかどうか随分と迷った。私の感覚から言えば、カトケンは別格なのだ。従ってこれまではずっとCoRichのアワード対象から外してきた。が、今回ばかりはそうもいかない。演劇に対する愛情に溢れた舞台であり、演劇ファンであれば誰しもが「観てよかった」と思うだろう。役者もスタッフも皆が素晴らしい。
詳しくは http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=249407
7
星の結び目
青☆組
2012年の元旦(!)にこまばアゴラ劇場の時間堂公演で観た吉田小夏作品の青☆組としての上演。
吉田小夏の脚本にはいつも人間の営みの背後に時代の空気が色濃く感じられるが、この作品も例にもれない。古から現在まで連綿と続く「生」を感じさせもする充実した130分だった。
詳しくは http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=236062
8
凛として
東京ストーリーテラー
ヒューマンな物語を書かせたら定評のある久間勝彦が、戦後3年目の長崎県佐世保にある海辺の集落を舞台にして、戦争が招く悲劇と人々の心を描いた秀作。「戦争中にまともな頭やったのは何人おったか」という一言がこの作品の全てを物語っている。
詳しくは http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=228479
9
案山子
トム・プロジェクト
これまた東憲司作品である。
日本の敗戦を信じようとしない人々の悲喜劇と、大切な男の帰りを待ち続ける女の苦しさと、それを救わんと無為な訓練を続ける老人の限りない優しさがコミカルさを交えながら描きだされ、観応えのある舞台だった。1週間空けて2回観た。
詳しくは http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=220083
http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=220866
10
幻想時代劇『天守物語綺譚』
東方守護-EAST GUARDIAN-
2時間10分の間、泉鏡花の妖しの世界に酔いしれる絢爛たる舞台だった。衣装ひとつとってもお金がかかっているのを容易に想像できる贅沢さだし、役者たちは総じて時代劇らしい所作を身につけており、調和のとれた演技で安心してその世界に浸りきることができた。
詳しくは http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=236660