この手にあまる「私」の体とエンジンと【ご来場ありがとうございました】
みきかせworks
Darts&billiard BOOMERANG(東京都)
2010/11/26 (金) ~ 2010/11/27 (土)公演終了
会場のダーツ&ビリヤード・バーの受付で
渡されたチケットは円い紙のコースター。これでドリンクを受け取れというのだけれど、よく見たら、水なんて吸わない紙でできていて、しかも円の縁が凸凹でキレイな形に切れていない。つまり、手作り感満点なんだけど、気取らず、遊び心と作品への愛情を同時に感じるシロモノで、まさに公演もそんな感じ。小さなスペースなので、演技以上に3人の人間そのものの魅力が体温とともに伝わってくる。閉じられた空間でのバグパイプの生演奏は、一気に世界をひとつにするような迫力があって面白かった。
空を見上げる
HOTSKY
cafe MURIWUI(東京都)
2010/11/23 (火) ~ 2010/11/28 (日)公演終了
なんといっても舞台がいいよね。
ホンモノのカフェを使って、しかも小さな庭のようなオープンカフェの部分があって、店内には空が見える窓がある。そこで、ドリンクを注文して、観る。あまりにリアルで、隣のテーブルを盗み見ているみたいな気恥ずかしさもあったりして。芝居は始まってるのに、全く気づかず、知り合いとおしゃべり続ける観客までいる始末。ただ、環境はいいけど、そこでの会話の前半は、逆にリアル過ぎて退屈な部分もあった。だって、本当にカフェで耳にするような会話だから。後半への流れとして必要なのはわかるし、単なる好みの問題なのかもしれない。でも、環境も内容も非日常性を失うと、演劇ってどうなるんだろう……なんて考えながら観てしまいました。窓の外の日も暮れていき、後半の3人は、良かった。特に美音さんの飲み食いしながらの演技がお見事。
マレビトの会『HIROSHIMAーHAPCHEON:二つの都市をめぐる展覧会』
フェスティバル/トーキョー実行委員会
自由学園明日館 講堂(東京都)
2010/11/24 (水) ~ 2010/11/28 (日)公演終了
落ち葉が舞う季節の
明日館講堂もいいよねー。夕暮れのだんだん暗くなる中、ステージにボンヤリと座っていても全然ジャマされないで済むパフォーマンスだったなあ。建物が堪能できたなあ。でも、内容はどうなんだろう。正直言って、雰囲気はいいけど、内容が物足りないって気がしてしまったなあ。なにしろ「ヒロシマ」っていったら、ハンパじゃないテーマだからなあ。
万福ラバーソウル
劇団一の会
ワンズスタジオ(東京都)
2010/11/23 (火) ~ 2010/11/28 (日)公演終了
ジョン・レノン
を中心に、ビートルズナンバーやダイアナ・ロス&シュープリームス、レターメンなんて曲がかかりまくり、熱い青春&後期青春(?)のドラマが繰り広げられる。軽快に物語は進み、笑いあり、涙あり(私の隣の席の女性は、“先生の件”から後はずっと泣いていた)。笑いも、ごく素直に吹き出しちゃう感じのものなので、観劇後はほんわかで気分もスッキリって感じ。“ベリカード”なんて言葉も出てきて、その世代モノとしては参りました。
punctum プンクトゥム
MacGuffins
pit北/区域(東京都)
2010/11/19 (金) ~ 2010/11/21 (日)公演終了
前半は、長めのコント
といった感じで、その最後の方はドタバタしているだけの印象もあったけど、テンポも良くて楽しませていただきました。シンプルな作りのせいか、役者たちの持ち味か、全体的に爽やかな印象で気持ちよく観られますね。だけど、見せ所で聞かせどころの2人の女性の長い会話の部分はどうなんだろう。余計な動きを入れず、セリフだけで勝負!というつもりなのかもしれないけれど、私には棒立ちの2人のやりとりに、なにか物足りなさを感じてしまったのだけれど……。
ブードゥー
Oi-SCALE
駅前劇場(東京都)
2010/11/12 (金) ~ 2010/11/17 (水)公演終了
……見ない方がいいですよ……
……この芝居を観る気があるのなら、「観てきた!」の投稿も、チラシも見ない方が。いや、ネタバレもなにも、ストーリー的にはみんなチラシに書いてあるも同然ですから知ってもどうってこと無いと思いますが。なら、なぜ読まないほうがいいのかというと、この芝居の最大の見所、いや、感じ所は、全体を包む雰囲気だと思うんですよ。何とも言えないその雰囲気を少しでも多く感じたかったら、あまり情報を抱えずに見たほうが間違いなく楽しめます。「封印」されて渡される配布物の「演出ノート」も必読ですね、もちろん観劇後に……。
銀河系ホームレス
宇宙食堂
ザムザ阿佐谷(東京都)
2010/11/10 (水) ~ 2010/11/14 (日)公演終了
決して宇宙レストランではない!
SF調ではあるけれど、物語の内容は、ごくオーソドックスな「頑張りましたよ、そしたら上手く行きましたよ、おかげでナゾも解けましたよ、良かったね」系。時代設定は2071年というが、そのファッションはどこか1970年代風(いや、1960年代かな)。それでも衣装はまだデザインがオシャレ。SF的小道具に至っては、宇宙モノにありがちなメタル感や新素材感なんて皆無で、ダイソー感満点(!?)だもの。そして「叙情的ノスタルジック物語」というだけあって……(以下、ちょっとネタバレ)
HOLE
Logiz Game(劇団ギルガメっす♂改め)
高田馬場ラビネスト(東京都)
2010/11/12 (金) ~ 2010/11/14 (日)公演終了
チラシの●の正体が知りたくて
行ってみまた(どんな理由じゃ)。もしやただのモザイク消し代わりか? 前説でいきなり「“次回から”シモネタは封印します」なんて言いだしたので、「間に合った!」と俄然気分が盛り上がった(おいおい)。答えはすぐにわかった。舞台正面の壁にでっかい●が空いているんだもの。やがて床にも1つ。それは、時には幼い頃の夢の象徴だったり、心にポッカリあいた穴だったり、遠くの様子を映し出す水晶玉のようだったり、肛門だったり(え、そう思ったのは私だけ? そんなはずはないよねっ、ねっ!?)色々なものに見えてくるのだけど、最後はラファエロの母子像かなんか描かれた円形のキャンバスのようにさえ見えてきた。舞台美術と衣装が独特(キッチュでポップ?)で、それだけ見ていると面白いデザイン。ただ、あれだけ個性が強いと、特に舞台美術は、想像の邪魔をして、違う場面になっても場面が変わった気がしないのですよ。ごく一般的なことを表現したい場面では、ことさら足を引っ張っている気がしたなあ、残念ながら。
真説・ウラハラ海峡
のりしろチップス
pit北/区域(東京都)
2010/11/05 (金) ~ 2010/11/07 (日)公演終了
うーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーん。「説明不足で、しかも論理的ではない展開をする物語」と「登場人物の性格の一貫性の無さ」と「たまに出るあまり面白くないギャグ」がデススパイラル!!! これは作者の思いとはウラハラのデキなのか、そうでもないのか? 3つのうち1つでも改善してくれれば、海峡の霧のむこうに行きたい場所の影が見えてきそうな気もするが……。
The Blue Dragon - ブルードラゴン
東京芸術劇場
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2010/11/11 (木) ~ 2010/11/14 (日)公演終了
眠くなるほど新鮮味のないストーリー!!
と、目が覚めるほど美しいビジュアル!! * * * * * * * * * * * * * * * * * *
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* * * * * * * * * * 特に雪が降り出してからは絶品!
三十女
ペテカン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/10/13 (水) ~ 2010/10/21 (木)公演終了
台本がないせいなのかはわからないけど
(というか、すべてがアドリブとかではない場合の「台本がない」とはどういうことか? 多人数が参加した“脳内台本”作りをしたのとは違うのか? 印刷物がないと台本はないといえるのか? そもそも台本って……? うーん、私が制作現場をまるで知らない素人なせいか、奥が深い……)とにかく、セリフそのもので説明するのではなく、セリフとセリフの間や呼吸で、言いたい事を表現する場面が多くて、気持ちがよかったです。
follow the arrows フォロー・ジ・アローズ
いいむろなおきマイムカンパニー
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/11/05 (金) ~ 2010/11/09 (火)公演終了
←や↑や→や↓も活躍!
肩の凝らない、とても楽しいステージでした。セリフがない、いや、“ほとんど”ない(ここ重要!)のに体の動きが饒舌に語る。とってもしゃれていて、それなのにいいむろなおきさんの人柄のせいなのか、あるいは風貌のせいなのか(こら!)、ひょっとすると体型のせいなのか(こらこら!)気取った感じがしない。とても親しみやすい雰囲気なんですね。次から次へと展開され、間延びしたところもなく、他の出演者の方との息もぴったり。それをこの小屋の距離で見られたんだからいいよね。
点点
みどり人
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2010/11/06 (土) ~ 2010/11/08 (月)公演終了
一見、普通の生活をしているように見える人たち
の中にも、実は……みたいな表現のための前置きにあるのだと思うけど、“普通”が長すぎるんじゃないかなあ。それも普通過ぎて、なんか、芝居を観てるのではなく、街の喫茶店にいるような雰囲気なんですよね。悪いけど今日は“喫茶店”でお昼寝ターイム!になっちゃうのかな?(13:00からの回だったので)と思っていたら……(ほら、気になるでしょう? でも、ここから先はネタバレなんですよ、公演が終わっているとはいえ、再演があるかもしれないし、念のため……)
【終了!】B4 paper books【ご来場ありがとうございました!】
劇団パラノワール(旧Voyantroupe)
サンモールスタジオ(東京都)
2010/11/03 (水) ~ 2010/11/09 (火)公演終了
今度は「白」
「黒」同様に「シュルリアリスム宣言」があったけど、演出が違うんですね。「黒」に続き、オムニバスなので複数の話に同じ役者さんが出てるの観るのもオツでした。
新おとぎ夜話
Jungle Bell Theater
ART SPOT LADO(東京都)
2010/11/03 (水) ~ 2010/11/09 (火)公演終了
狭いスペース、質素な舞台は
町内会の児童劇でも始まりそうなムード。「これは本公演とは違って、私が好きでやってます。内容も難しかったら印刷物の方読んでください。ゴメンナサイ」みたいな演出家の謝罪挨拶(?)で始まった時はどうしようかと思った。上演中、出番ではない出演者なんか隠れきれないで、客から見えるとこに座って待機してんですから(笑)。照明も、照明というより終始同じ「部屋の明かり」。稽古場か、ここは!? でも、テンポのいい会話と、小難しいことを丁寧に説明した脚本と、こんな舞台でも手を抜くことなく、それでいて楽しんでもいるような演技がよくてとてもいい感じで、次第に劣悪な舞台環境と座席環境を忘れた。決してブワーッ!と圧倒されるような感じではないけれど、あの環境とシンプルさで、あんなに客を楽しませることが出来るんだと感心。劇中劇が3つとも面白かった(それでいて1時間20分とコンパクトに収まっているのも良かった。でも、お尻はやっぱり痛かった……)
ハコモノ
劇団お座敷コブラ
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2010/11/03 (水) ~ 2010/11/07 (日)公演終了
ハコモノハハハコモノデナクチチコモノ!?
「ハコモノ」の着想とか、個性的な登場人物とか、場面構成の複雑なところとか面白かったんだけど、脚本がそれを生かしきれていない感じ。また、場面が変わったとき、いったいどこの出来事なのかしばらく判断がつかない感じのところが何箇所かあったりして「ここはいったいどこ!?」って、ストーリーに関係なくナゾ解き状態でした。これは個性の強いデザインのセットを使って、色々な場面を表現していることも足を引っ張っているのかなあ? もう少し整理して、ストーリーの幹の部分をまとめてほしい感じでした。
【終了!】B4 paper books【ご来場ありがとうございました!】
劇団パラノワール(旧Voyantroupe)
サンモールスタジオ(東京都)
2010/11/03 (水) ~ 2010/11/09 (火)公演終了
「黒」を観たのですが、
オムニバスということもあって、どの話も懇切丁寧に説明しながら話が進む感じではないし、「訳わかんねえ」と切り捨ててしまえる場面があるのも確か。でも反面、理屈の順路を歩いていくのではなく、闇の中を手探りで進むような面白さがあるのも事実。その独特の空気感みたいなものがいい。そもそも世紀の奇人・狂人を描こうというのだから常人には理解できない世界が展開されて当然だともいえるし。しかし、「シュルリアリスム宣言」のシュールさ(?)には笑いました。あれ、「白」のとは違うのですかねえ?
飛龍伝
北区つかこうへい劇団
北とぴあ つつじホール(東京都)
2010/11/02 (火) ~ 2010/11/06 (土)公演終了
1973年の初演に見た人たちは
(その後改稿されているとはいえ)、その時代にどんな興奮を胸にこの芝居を観たのだろうかと、羨ましく思ってしまう。しかし、残念ながら、機動隊と学生の衝突も今では遠い昔のことで、その影さえ消えてしまいそうだ。そんなリアリティーのない現代だからなのか、わからないのだけれど(他の再演も観ていないし)、この内容で2時間半は正直辛かった。終盤の一時間はダレてしまい、ステージ上の熱演が空回りして観えるばかり。つかこうへんさん追悼気分で、心に何か持ち帰りたかったのだが……。私が見たのはゲネプロなので、本番が「飛龍」となることを祈るばかりだ。
俺の屍を越えていけ【無事に終了しました】
七里ガ浜オールスターズ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2010/11/01 (月) ~ 2010/11/07 (日)公演終了
起て、飢えたる者よ
劇団チョコレートケーキ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/10/27 (水) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
会場に入るとすでに「あの山荘」に
迷い込んだようだ。暗闇。吹雪の音。狭い空間を生かしたセットが、まるで「現場」にいるような気にさせる(最近めっきり冷え込んできたし……)。だが、そこに登場する役者たちは到底、あれらの凶行の後であることや、追い込まれた者の悲壮さを感じさせない。心身ともに健康そうな顔つきで、どこか喜劇的気分になる(当然なんだけど、設定とのあまりのギャップに笑えるし、なぜか少しホッとしたりもする)。それでも、役者の熱演と、無駄のない脚本、空間作りの巧みさが、最後まで緊張感を途切れさせない。予備知識や場面の迫力に呑み込まれると、ドキュメントを見ているような気にさえなる。しかし、作り手側も言っている通り、これは全くのフィクションだ。実際にあった出来事のデータを使い、虚実織り交ぜて(というより、ほとんどが虚というべきか)とてもうまく作り上げたファンタジーだと思った。(反革命的感想でスミマセン。自己批判します)