全事経験恋歌(ゼンジ.ケイケン.エレジー)
アジア舞台芸術祭制作オフィス
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2012/12/01 (土) ~ 2012/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
圧倒っっ
アジア舞台芸術祭2012の3作品を拝見して、最も強い衝撃を受けた…のだがどうして、こんなに強く自分が心引かれるのか全く説明が出来ないのが悔しい。ロビートークで「間」についてや「現実と物語の並行」について言及されていて、理解が深まったような、そうでないような。3人芝居なのに、こんなに激情して爆発的な表現が出来るんだなぁと圧倒されました。これが無料で見れるんだからありがたすぎる。
Waiting for Something
アジア舞台芸術祭制作オフィス
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2012/12/01 (土) ~ 2012/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
伝わらなさ
言葉の壁も、ひょうひょうとすり抜けてみせるナカフラ演劇、素晴らしい。お互いに伝わらない感じがとってもコミカル。肩肘張らずに楽しめて、観劇後も味わい深い。これもゴド待ちなのか、と思う位異色なんだけれど、その誤意訳の魅力が十分に発揮されて、何度も何度も見たくなるような作品。これで無料なんて、ありがたすぎる。
バカのカベ~フランス風~
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2012/11/15 (木) ~ 2012/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
カトケン、満喫っっ
すごいなー、もう冒頭から引き込まれて、ただただ笑って、そして観劇後に見事に何も残さない。満足感と幸福感だけを胸に帰路につける。長年演劇に携わり、劇団公演を重ねてきた貫禄と安心感。普遍的でさりげないし、ありえない様な設定のはずなのに、何でこんなに面白いのか。人間って情けなくて愛らしくて良いなって思える上質なコメディ。ようは、すげー舞台だった。
東京アレルギー
劇団野の上
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/11/23 (金) ~ 2012/11/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
すごく楽しい
青森弁が心地よい。わからなそうでわかるのが楽しいし、耳なじみの無い言葉が新鮮で楽しい。でもその武器を使って繰り広げられる物語がとても楽しい。全編に笑いがふんだんに盛り込まれて、美術や演出も豪快で、今回は開演前の試みから楽しんでワクワクしました。もう視覚的にウワアアアって圧倒されるシーンも何度もあるし、上演時間の1時間50分もあっという間。終盤の死生観や人生観もスッと胸に入っていく、良質で上質なエンタメ作品だなぁと思いました。劇団員の役者さん達の個性的なキャラクターも相変わらず楽しいし、ナベゲンの三上さんは本当に上手くて魅力的だし、KUNIOの杉原さんもイキイキされてて、良いキャスト陣だと思いました。
よわくてやわらかくてつよい生き物
うさぎ庵
アトリエ春風舎(東京都)
2012/11/18 (日) ~ 2012/11/25 (日)公演終了
満足度★★★
大人の話
とても良い話だし、主演の2人の演技は文句なしに上手い。特にラストシーンは、今までの流れが全部収斂してゾッとする魅力のある作品だな、と思いました。アフタートークを聞いて作品への理解も深まりましたが、それでもなお、物語に入り込めませんでした。いち夫婦の歴史の重みを感じるには、観客の自分のキャパが足りないんだなぁと思いました。他の方が言及しているように、登場人物と年齢が近いと共感も大きいのかなぁと思いました。
地響き立てて嘘をつく
ガレキの太鼓
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/11/14 (水) ~ 2012/11/21 (水)公演終了
満足度★★★★
祭りだ~!
見る度に、奇妙で見た事がない世界や物語に度肝を抜かれる。笑った、笑った。毎回、この目の前で繰り広げられていたものにはどんな意味があるのか観劇後にアレコレ考えて答えは出ないんだけれど。共通するのは「ダイナミックな世界観」これ目的に行くだけでも見る価値がある。深意はわからなくても、今回はお祭り騒ぎだったなぁ。やりたい表現方法と物語も合っていて、見ていて楽しかったです。
震災タクシー
渡辺源四郎商店
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/11/09 (金) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★
今やる作品
あの震災を忘れないためのアプローチ。シンプルな装置と演出は、全国どこにでも持っていける工夫でしょうか、見るものは登場人物しかないので自然と注視して、また舞台空間に何もないその寂しさと被災地を重ねたりして想像力膨らみます。大きな被災をしていない人の体感した、したであろう3・11。不謹慎と切実さの間で揺れる物語に非常に共感しました。一方でわずか一年で何だか過去の話となって遠くなってしまったような感覚があり、一方で確実に震災以前と以後で変わった意識があり。折りしも東京公演の千秋楽日は、脱原発の国会包囲集会も行われていて。2012年に上演されるべき作品だなと思いました。
霊感少女ヒドミ
ハイバイ
アトリエ春風舎(東京都)
2012/11/06 (火) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
見とれる
映像と演劇の見事なコラボ。自分の内側の心性と、自分の外側の世界。または劇中世界と、メタ演劇。その行き来が楽しくてあっという間に見終わってしまいました。
バラバラ姉妹に憐れみを
水素74%
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/10/31 (水) ~ 2012/11/07 (水)公演終了
満足度★★★★
承認願望
自分は変わらずに、それでもありのままの自分を肯定して欲しい、自己肯定感の低い今の青年の共通の思いだと思う。入れ替わるように連鎖していく人間関係をつなぐバトンは「寂しい」なのかな。この不条理劇は、心に素直にストンと落ちる。不思議だけど受け入れやすい。わかりやすくてクスクス笑うけど、クルリと世界が反転してゾッとしたりもする。共感の多い内容でした。
完全版・人間失格
DULL-COLORED POP
青山円形劇場(東京都)
2012/11/01 (木) ~ 2012/11/07 (水)公演終了
満足度★★★★★
人間とは
11月1日に「女版」・2日に「男版」観劇。チラシに観客は観るリンチの共犯者と煽っているが、実際は役者のレベルが高く隙なんてないので2時間圧倒されっぱなし。見とれて時間を忘れるような、歪んで見える心象風景の視覚的聴覚的な演出はもう美しすぎる。ぞくぞくする様なラストシーン、全体通して見える突き放しているようで愛している人間への視点。俺も人間失格だって共感も、ここに描かれてるのは全部自分勝手な甘えだって批判も飛び越えて、新しい境地にたどり着いている。普遍的な価値観と闘ってるなぁ、劇団のこれからの活躍にも目が離せない。女版のコロさんの葉蔵は吹けば飛んでしまうのではと思うほどの寄る辺ない存在感で物悲しい、男版の原西さんの葉蔵には影がつきまとっていてその逃れられない苦しさが伝わってくる。男女版どちらも楽しいし、円形舞台だから見る場所で風景が変わって面白い。両方とも甲乙つけがたく完成度高いです。人間とは何か、じっと考えさせられます。
アンドロイド版『三人姉妹』
青年団
吉祥寺シアター(東京都)
2012/10/20 (土) ~ 2012/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
さびしさ
大切なものが過ぎ去ってしまった世界で私たちはどうやって生きていくのだろう。感情がないはずのロボットやアンドロイドに、いつしか観客が感情を見出だしてしまった時に、不完全にしか生きられない人間の圧倒的な寂しさが浮かび上がる。一度見るだけじゃもの足りない。何度も見て味わいたい傑作。でも、こうしてロボットが高性能になっていけばいくほど、役者さんの立場も危ぶまれたりして…。公開中の映画「演劇1・2」と合わせて見るとより味わい深いです。
夢の星
玉田企画
アトリエ春風舎(東京都)
2012/10/17 (水) ~ 2012/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
浩太に共感しつつ
前作「果てまでの旅」に引き続き、また、やられた!!きちんと計算されてるのにだんだん物語がフワフワしていく感じがたまらない!!玉田企画の芝居、僕のど真ん中だなぁ。とてつもなく面白い。ぎゅうぎゅうに密度の濃い物語のはずが、いつの間にかゆる~くゆる~く笑わされる。久しぶりにこんなに笑いました。中盤以降は、頑張れ、玉田さんと思わず応援したくなっちゃいます。この内容を自然に演じ抜く役者さん達の安定感がすごい。とても楽しかったです。
モナカ興業#12「旅程」
モナカ興業
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2012/10/19 (金) ~ 2012/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
人生という旅
浮かび上がっては消えていく点の風景が、徐々につながり何本もの線になっていく。とっても静かに始まって終わる、でも中身はとても深い。一見シンプルだなと感じていた舞台空間に役者が立ち、光と音が加わると一気に荘厳な印象を受ける。セリフが独特に感じるのは、要所で文語体のような響きがあるからだろうか。動きも無駄が削ぎ落とされていて、洗練された風景は、一瞬一瞬が美しい。どうなるか先は全然読めない物語の展開は、観客側にも緊張を与える。緊張感のある空間は硬質なのに、とても居心地が良い。テーマも良かった、こういう味わい深い作品は、余韻も楽しい。
ミュージカル「マリオネット」
ミュージカル座
六行会ホール(東京都)
2012/10/12 (金) ~ 2012/10/16 (火)公演終了
満足度★★★
☽組観劇
予定調和という安心感。子供からお年寄りまで、誰もが頭を使わずにミュージカルを楽しめるよう作られていて劇空間はとても優しい。だから普段見てる芝居と比較すると、わかりやすくて物足りなさを感じた。でも、ミュージカル座の物語の武器はその『わかりやすさ』なのかなと思った。ミュージカルは、チケット代も高いし、時代背景やテーマが複雑で、よくわからないといった敷居の高さがあるけれど、そのハードルを下げてる。勿論、作品の完成度はとても高い。過去に、『あかひげ』も見ていますが、史実を基にしたメッセージ性の強い作品であるほどミュージカル座のわかりやすさの魅力は強まるのかなと思いました。きちんと訓練した俳優の歌や踊りは美しいし楽しい。そういう体験する人がもっともっと増えて欲しいなと思います。また、日本人の作る日本人のためのミュージカルにはまだまだ可能性があると思うので頑張って欲しいなと思いました。
蟻と蝶と蛇と明日と
髙山植物園
アトリエ春風舎(東京都)
2012/10/10 (水) ~ 2012/10/14 (日)公演終了
満足度★★★
感情と感情の間
冒頭から意表をつかれ、着地点の見えないまま、あり得ない事が次々と起こる不思議な感触の作品。でも言外に見える、語れない思いが劇空間を包んでいる。死んだ人を前にしたら、もう何をしてもその死者との関係性は無くなっているんだという当たり前の事実を前にして。大人の女性逹が、いや大人だからこそ、あがいてあがいて喪失してしまった思いを成仏させようとする。女性ばかりの4人芝居で生々しい台詞も飛び出すが、下品に感じさせないのが役者さん達の力だなと思いました。女だけでいかに男を語るか、過去作品にも近いテーマの作品があるようですが、この不思議な空間の魅力は癖になりそうです。
さわやかファシズム(無事公演終了!ご来場まことにありがとうございました)
INUTOKUSHI
王子小劇場(東京都)
2012/10/03 (水) ~ 2012/10/14 (日)公演終了
満足度★★
インモラル
インモラルな世界に半ば暴力的に巻き込まれていく。馬鹿馬鹿しくて、過激な、表面的な笑いは好きだ。だから、2時間を越える作品も長く感じなかった。でも終始思考の停滞した話の内容は全然共感出来なかった。不快ってよりも幼稚だな、という印象です。だから、この作品見て笑ってる自分も思考停止してるんだと思う。インモラルを武器にするなら、もっとセンスの良さを見せて欲しい。
幕末スープレックス(東京公演)
劇団子供鉅人
ザムザ阿佐谷(東京都)
2012/10/04 (木) ~ 2012/10/08 (月)公演終了
満足度★★★★★
すごいパワフルっっ
プレビュー公演を観劇しました、安価で拝見させていただき感謝です。バカバカしいものが全部ある!!始まってしまえば上演時間2時間20分はあっという間。最前列に座ったのですが、役者さん達との距離は本当に近くて圧倒される。役者総出でぎゅうぎゅう詰めの舞台上で、歌い踊られる劇中歌はどれもノリノリで楽しい。勢いとテンションでやりたい事をぎゅうぎゅうに詰め込んで、でもしっかり観客を楽しませるエンタメ作品だと思いました。頭空っぽで楽しめるのに、物語のパワフルさは衝撃的。しんみりしそうになると必ず馬鹿馬鹿しい事が起こり、登場人物の悲哀も苦しさも壮絶なのに、それを笑いの入れ子構造でポジティブなエネルギーに転化してしまう。このエネルギー量はハンパないっっ!!
ことほぐ
intro
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/09/29 (土) ~ 2012/10/01 (月)公演終了
満足度★★★★★
自分で立つ
「生きさせろ」と世間に向かって迫るような熱い前向きなメッセージ、その腹のくくり方、その力強さはどっしりとして美しい。今の境遇は誰のせいでもない、自分のせいだと思わされる風潮はずっとずっとあるけれど。そうは言っても生きていかないといけないし、誰に文句言っていいかわからない。こうでなくてはいけない現実なんて決まってないし、でもうまくいかないことばかりだけど。世の中の押し付ける希望に抗いながら、自分の心に立つ生き方を必死に求める登場人物たちに勇気付けられました。
鉄の纏足
東京タンバリン
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/09/20 (木) ~ 2012/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
日常へジワジワと
自然な会話の中にある、息苦しさ。自分が生きてる世界そのものが寸分違わず繰り広げられていて、違和感なく楽しめる。ゆっくり一つ一つのすれ違いや勘違いが積み重なって不和は広がっていく。その絶妙な感じが本当にうまくて、ドキドキしながら楽しめました。物語だからこそ楽しめる「他人の不幸は蜜の味」!!でも観劇後、日常に戻ってふと芝居の内容を振り返るとその不和は自分の周囲にもたくさんあって、他人事ではないのだ。すれ違っても、すれ違っても、対話し続けて他人とわかりあったような気になって生きていくしかないんだなぁと思いました。
無差別
柿喰う客
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2012/09/14 (金) ~ 2012/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
神掛かってる
観客に、そして神に捧げる(!?)演劇、美しいなぁ。「言葉」も「動き」も「音」も「光」も一体となって、もう寸分の隙もなくて、ただただ見惚れる。この役者達の身体性の高さはなんだろう、圧倒的なフィクションに身を委ねるだけでこんなに心震わされるんだなという感じ。まるで、漫画「火の鳥」を読んでいるような、壮大な世界観、日本人の進歩と調和、視点は人間に留まらず、世界は無限に広がる。見る度に、もう1回見たくなる麻薬のように刺激的な劇空間は今回も顕在でした。