マーシャルアーツ・パフォーマンス「JUMP」
キャナルシティ劇場
キャナルシティ劇場(福岡県)
2011/10/01 (土) ~ 2011/10/10 (月)公演終了
満足度★★★
話よりも体術
ストーリ-は大して意味がない、むしろ詰まらない。
が、この作品のメインは体術を見せることにあるのだから、それはそれほど気にする必要はないのかもしれない。
見ているとやはりひとりひとりの得意分野は違うようで楽しかった。
特にお婿さん役の方と一家の老人役の方が素晴らしかった。
婿役の方はとにかくジャンプ力、そして滞空時間の長さが凄かった。
一方の老人役の方は美しい回転を見せる。
すっかり体術に魅了されてしまったが、こうなると話にもっと力を入れてほしかった。
ロベルトの操縦
ヨーロッパ企画
ももちパレス(福岡県)
2011/09/29 (木) ~ 2011/09/30 (金)公演終了
満足度★★★
毎回行く必要はもうない
ロベルトの操縦。人の名前かと思っていたらそれは乗り物型の兵器の名前だった。
ほとんど全編が「移動中」(実際には背景が動く)という舞台は新鮮味があり面白い試みだと思えたが、それ以外にはあまり評価できるところはない。
軍、という設定なのに誰ひとり軍人に見えない。これはいままでの舞台でも誰一人それらしく見えたことはなかったので、指摘する方が野暮なのかとむしろ思えてしまう。もうここを観るときには、「そうは見えない」ということは考えず、そこは最初から諦めて観ることにするべきかもしれない。
また、登場人物の個性が無く、全員同じ。というのも毎度のことなので、もうそのことを問うのもばからしくなってくる。
ロベルトを使っての移動も、コーラを買いに→海へ→宇宙へ。の目的のスケールアップもあまり意味はなく、無理矢理ギャグとしてもつまらない。
発想はいつも面白いと感じるのだが、それを物語として構築する技量もなく、役者も同じ演技・間ばかり、そしてそれが毎回変わらないまま。
もう毎公演行く必要は感じない。
イッセ-尾形のこれからの生活2011 in 小倉
森田オフィス/イッセー尾形・ら(株)
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2011/09/24 (土) ~ 2011/09/25 (日)公演終了
満足度★★★
いつも通り安定している
今回も8本ほどの短編。
初めての自転車をを練習する中年主婦やおなじみとなった天草五郎など。
一つ一つは長くないので飽きがこない。
好きなネタばかりというわけにはいかないが、それもバラエティーがあるので楽しめる。
最近サラリーマンものが少ないので、それが個人的には残念。
GRANDSLAM
コンドルズ
イムズホール(福岡県)
2011/09/17 (土) ~ 2011/09/18 (日)公演終了
満足度★★★★
コンドルズといえば夏。
コンドルズはいつもながら楽しい。
今回はベスト版ということで、前に観たものもあった。
なぜ楽しいのかを考えると、コント仕立てではあるものの、大きなストーリーというか、テーマがあること、ダンスが表現であることだと思う。
ダンサーたちは体型も技量もキャラクターも違う。それを全員学ランに包みダンスで表現している。
ダンスはただ踊るものではなく、表現であると体現しているカンパニーがエンターテイメント性も内包しているのは素晴らしいことだと思う。
Canal Art Circus 「PSY(サイ)」
キャナルシティ劇場
キャナルシティ劇場(福岡県)
2011/09/17 (土) ~ 2011/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇であったことが嬉しかった。
楽しかった。
一つのテーマに沿って色々な話が展開していく。そこにアクロバットが入ってくるが、ちゃんと演出がなされているのであまり唐突感がない。
一流の方ばかりなので言うだけ失礼ではあるが、そのパフォーマンスが表現になっていること、各人にちゃんとキャラクターが設定されており、そのキャラクターが演じていることが素晴らしい。
個人的には、仮面のスケッチと、眠り過ぎる妻とその夫のスケッチが好きだった。
劇団衛星のコックピットE16-17
劇団衛星
J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)
2011/09/10 (土) ~ 2011/09/11 (日)公演終了
満足度★★★
あまり好みではなかった。
何かのアトラクションのように受付嬢がいて、コックピット内に案内され、そして物語は唐突に始まる。
確かに椅子は狭く客席はぎゅうぎゅうで辛かった。
話は全体に下らなく何かを模しているものが多かった。
しかし、その全てに必然性があったなら、これら全てをも楽しめただろう。
結論を言えば私は楽しめなかった。
部長のおかしな「反応」や何度も起こる「誤解」、コックピット内の「音響」など、必要ではなく、必然性がなかったからだ。
同じくだらなくても、徹底的にくだらなく作っていたなら楽しめただろうと思う。しかし、中途半端に話を作り、結末をつけたため、その楽しさは失われ、観客(この場合は私)の反応はすべて悪い方にいってしまった。
頭にいい人間の作った「バカ」は楽しめるが、そうでないものは時に苦痛をもたらすのだ。
中には納得できる演技をしていた役者もいたので残念だった。
試みも評価したい。
現代能楽集Ⅵ 『奇ッ怪 其ノ弐』
世田谷パブリックシアター
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2011/09/10 (土) ~ 2011/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★
まさに、現代能楽だった
面白かった。
幽霊たちが行き来する場所で、突然過去の出来事が現れたりする。
仮面の使い方、舞台の使い方も素晴らしく、こちらとあちらにどんな橋が横たわってといるのかと、確かに現代の夢幻能と言える。
しかも、お話の中に出てくる小道具を変えれば、どの時代の「現代」にも変えられる。
永遠に繰り返される「あの日」、自分の実在性に疑いすら持ってしまう「実存性」の問題と、人間にとっていつの時代にも繰り返されるテーマを描いている。
池田氏の悪乗りが少し目立ち、役者たちの演技が崩れてしまったのは残念だったが、全体にはとても良い舞台だった。
クレイジーハニー
パルコ・プロデュース
ももちパレス(福岡県)
2011/09/06 (火) ~ 2011/09/07 (水)公演終了
満足度★★
つまり、ひとことで言えば幼稚なのだ。
人の繋がりの良い面と悪い面を描いた。と本谷さんは仰っていた。
だが、それはあまり感じられなかった。
人の悪意や善意のふりをした悪意というものはどこにでも転がっているものだろうし、一度人気を得た作家ともなれば、当然勝手なファンはいるものだろう。
しかし、作家のファンたちを憎む姿を見ていると、「まだそんなところにいるのか」としか思えないし、ファンたちのあまりに薄っぺらな人間性を見ていると「この程度作家になら、確かにこの程度のファンしか付かないだろう」と思えてしまう。
登場人物に誰ひとりまともな人間がいない。
なのにイカレた話では決してない。
おかしな話ではないのに、おかしな人間しか出ないというのでは観客を拒否した状態にあると言わざるを得ないと思う。
それはわざとなのかもしれないが、いい年をして思春期かと思うような自己主張に客が合わせる義理はないと思う。
LA CRUZADA 2011
ヨランダオフィス
西鉄ホール(福岡県)
2011/09/02 (金) ~ 2011/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★
時間が過ぎるのがあっという間だった。
ダンサー4人それぞれにキャラクターがあり、同じように踊っていても違う表情が見え楽しめた。
特に男性のフォルクローレが迫力があった。
ミュージシャン達の演奏・歌も良かった。
個人的にはやはりしっとりしたものより激しいものが好み。
チケット代が高いので諦めていたが、偶然知り合いから招待券を頂けた。
演劇大学2011 in 福岡
日本演出者協会 福岡ブロック
パピオビールーム・大練習室(福岡県)
2011/08/11 (木) ~ 2011/08/14 (日)公演終了
演劇“大学”とは?
短編4本。
どれもつまらなかったが、前半2本は特に酷かった。
参加者の数の問題なのかわからないが、どの作品も一つの役を複数でやるようなことをしている。
それがどの作品も何らかの演出意図があってのことのようには見えない。
あったとしたなら台本を阻害するばかりで失敗しているとしか言いようがない。
どだい4日間で一つの作品を作り上げることは福岡の(福岡以外の方もいたようですが)演劇人には無理なのではないだろうか。
4日間というのは、それまでに多くを積み上げいつでも準備が出来ている、という者か、演劇的センスのある者が実力ある演出家に出会えた時だけだろう。
無料だったのであえて星は入れません。
スガンさんのやぎ
北九州芸術劇場
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2011/08/12 (金) ~ 2011/08/13 (土)公演終了
満足度★★★★
楽しい舞台だった。
芝居自体はマイムで行われたが、ナレーションが日本語で入るので会場にいた子供たちにも問題はなかった。
回り舞台で、舞台を3分割しながら、その構造は基本的に3つとも同じもの。それでいて、「スガンさん」と「やぎ」の距離や心情が見えるようだった。
やぎの動きや回り舞台は特に楽しめた。
内容はとてもよかったのに、客席が寂しかったのはとても残念。
荒野に立つ
阿佐ヶ谷スパイダース
イムズホール(福岡県)
2011/08/11 (木) ~ 2011/08/12 (金)公演終了
満足度★★★★
今回も長塚作品は好みだった。
長塚作品はいつもわかりやすい。
言葉でそれを上手く説明はできないのだが、感覚的に「わからない」と途方に暮れることがない。
今回は人間の不確かさ、世界が構築していく姿など、私好みの題材で特に楽しめた。
いつもは演技力に不安を感じる中山さんも今回はそれほど無理のない役で安心だった。
幽霊たち
パルコ・プロデュース
ももちパレス(福岡県)
2011/07/14 (木) ~ 2011/07/14 (木)公演終了
満足度★★
ガッカリだった。
観る前はそこそこ程度には期待していたのだが、ガッカリ。
開幕してすぐ、スクリーンの使い方や、人や道具の動線などは楽しく見ることが出来たが、役者たちが誰も演技を自分のものにしておらず苦痛ですらあった。
佐々木、市川、奥田三氏とも上手い役者だと思ったことはないが、今回はあまりに酷過ぎた。
彼らは自分が「何を」演じているのかがよく分からないままにやっているのではないだろうか、とさえ思った。
主要三人だけのことで語るなら、誰もが役に合ってないと思ったし、配役の時点で間違いだと考えなかったのだろうかとさえ思った。
ストーリー自体はこれまでにもよくあるもので、話が転がり始めたら最後まで読めてしまうものだが、だからこそ白井氏の腕の見せ所だろうに、作品を読めていない。
プロなんだからちゃんと仕事をしてほしいと感じた。
佐々木氏の変装時の演技だけは良く、会場中の空気が軽くなったのを感じた。
全国的にはどうなのかよくわからないが、福岡では、中央からの有名な役者さんが来ると、たとえ舞台が詰まらなくても、その役者さんのファンと思える人を中心にスタンディングオベーションが起こる。
これは、役者さんに対しても失礼だし、観客間でもよくないと思うのだが…。
薔薇とサムライ
ゲキ×シネ
福岡中洲大洋(福岡県)
2011/06/25 (土) ~ 2011/07/22 (金)公演終了
満足度★★★
内容はないのに楽しかった気にさせられる
歌に踊りに五右衛門の変装に、と楽しませる要素たっぷりの芝居。
しかし、欠点はなんといっても話の内容がないこと、五右衛門が活躍しないこと。
ストーリーさえ良ければもっと楽しめるのに。と、新感線を観るたびに毎回思う。
前回の『五右衛門ロック』よりもさらに五右衛門の活躍がなかったのは大きくマイナスだと思う。
今回は粟根さん、橋本さんの活躍が目立っていたことは嬉しかった。
いろいろ欠点はあるものの、観客を楽しませようという姿勢は大きく評価できる。
アンドロイド演劇「さようなら」/ロボット演劇「働く私」
山口情報芸術センター[YCAM]
山口情報芸術センター YCAM スタジオA(山口県)
2011/06/18 (土) ~ 2011/06/19 (日)公演終了
満足度★★★
実験としては面白いが、演劇にはなっていない。
ロボット演劇、アンドロイド演劇の2本立て。だが、私には「ロボット」と「アンドロイド」の区別がよくわからない。
「さようなら」は人型ロボットが、死が確定している女性の元で、詩を読み慰める。
ほとんどそれだけの機能しか持たされていない。
彼女は持ち主の感情を読み取り、それに合った詩を読み、見つめるが、彼女の目は何も見てはいないし、動くことができないから、持ち主から歩み寄っていくしかない。
この構図では「慰めを与える」ようには見えず、持ち主が「慰めを乞うている」ように見える。
脚本的にも失敗だと思う。
「働く私」は2体の家事ロボットが若い夫婦の家庭にいる話。
1体は仕事ができなくなっている。そして、その家の夫も仕事に行けなくなっている。
こちらはロボットの風貌もありなんとなくコミカルに進む。
人間とはかけ離れた姿の彼らの方が、人型より人間味を感じる。
これはやはり、自走できることが大きいだろう。(当日はプログラムして遠隔操作だったが)
自分で動くことで、自分で考えているように錯覚してしまう。
どうしてもプログラムとしか思えなかったものの、実験としては楽しい試みだった。
散歩する侵略者
イキウメ
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2011/06/12 (日) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★
気に入った
同じ舞台上で登場人物が交錯したまま別の場面が演じられたりと面白かった。
はじまり方や暗転の使い方も面白い。
話の展開も引き込まれていった。
宇宙人の認識間能力がアスペルガー的であったりしたことに面白さを感じたが、「概念を奪う」ことでの人間側の変化には観客を納得させるには少し足りなかったのではないかと思えた。
ラスト近くの妻の「愛」についての概念は、彼女のそれまでの演じ方から見ていると、それこそ愛が足りないのではないかと思えた。
「愛」なんて人それぞれだとは思うが、それこそ「概念」も個人でずれがあるのではないか、それを宇宙人たちはどうするのか、というところに穴があるように感じる。
ラストがハッピーエンドだけを感じる終わらせ方ではなかったところもよかった。
番町皿屋敷
花組芝居
筑前一宮 住吉神社能楽殿 (福岡県)
2011/06/11 (土) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
満足度★★★
私には駄目だった
花組芝居を生で観るのは初めて。
お客さんは結構盛り上がっていたようだが、私には全く合わなかった。
話のメイン部分や鳴り物は嫌いじゃなかったが、余分な付け足し部分が全く笑えず不快でならない。
現代の感覚で歌舞伎を、ということなのかもしれないが、必然性が全くなく生きていない。
笑いが不要だとは思わないが、不必要な笑いは入れなくてもいいと思う。
『革命日記』
青年団
ぽんプラザホール(福岡県)
2011/06/10 (金) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★
現代にも彼らはいると思う
面白い舞台だった。
現代において未だ革命を夢見ている集団。
平田さんが書かれていたように、「過激派」は近くにいなくても、他の何がしかの集団は自分たちの近くにいるのではないか、または、自分がその一員なのではないかと考えさせられる。
出てくる登場人物は共感しにくい、なぜそんな考え方をするのか、といった人たちばかり、それぞれが周りが見えてない様子に息苦しくなるばかり。
背景の置物群はなかなか考えられていて面白かった。
私が観た回は音響不備(ポンプが動かされた)のため劇中に異音が起こった。
あまりにも長い時間だったので、私もほかの方と同じように「効果音」だと勘違い。しかもこれが上手く不安感をあおるようないい音だった皮肉。
奇形鍋
財団、江本純子
西鉄ホール(福岡県)
2011/05/28 (土) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
満足度★★
期待外れ
工場の一日を、社員・バイト・派遣と入り混じらせ眺めていく。
「奇形」は最後に出てくるが、それまでは「ちょっと変な人」が出る程度で、とても「奇形鍋」とは言えない。
劇中も特に展開があるわけでもなく、何か所かで話してるシーンもあまり演出が生きていない。
前説のダンスは個人的には好きだが、ダンサーの表情や入れ込み具合もバラバラで芝居と乖離している。
稽古時間が短かったのだろうが、これは演出の力が足りなかったのだと思う。
グンナイ
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
イムズホール(福岡県)
2011/05/28 (土) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
満足度★★★
そこそこで終わってほしくない。
前半がだらだらと長すぎてせっかくの伏線もあまりいきてこない。
後半やっと停滞していた空気が動き出すが、どうも不完全燃焼という気がしてならない。
宗教・野球賭博・恋愛もっと核心に迫るようなギリギリの表現ができたのではないだろうか。
このカンパニーはセットもきちんと作り、脚本もそれなり。
しかし、いつも「そこそこ」で終わってしまっている。それが残念。
以前に観たときに比べると役者の間は少しだけ良くなっているようだった。
イムズホールは傾斜がなく、段差もあまり作れないので観劇環境は決して良いとは思えない。
では、どこがいいのかと言われると難しいが、他の選択肢はないものだろうか。