満足度★★★
実験としては面白いが、演劇にはなっていない。
ロボット演劇、アンドロイド演劇の2本立て。だが、私には「ロボット」と「アンドロイド」の区別がよくわからない。
「さようなら」は人型ロボットが、死が確定している女性の元で、詩を読み慰める。
ほとんどそれだけの機能しか持たされていない。
彼女は持ち主の感情を読み取り、それに合った詩を読み、見つめるが、彼女の目は何も見てはいないし、動くことができないから、持ち主から歩み寄っていくしかない。
この構図では「慰めを与える」ようには見えず、持ち主が「慰めを乞うている」ように見える。
脚本的にも失敗だと思う。
「働く私」は2体の家事ロボットが若い夫婦の家庭にいる話。
1体は仕事ができなくなっている。そして、その家の夫も仕事に行けなくなっている。
こちらはロボットの風貌もありなんとなくコミカルに進む。
人間とはかけ離れた姿の彼らの方が、人型より人間味を感じる。
これはやはり、自走できることが大きいだろう。(当日はプログラムして遠隔操作だったが)
自分で動くことで、自分で考えているように錯覚してしまう。
どうしてもプログラムとしか思えなかったものの、実験としては楽しい試みだった。