ヨウの観てきた!クチコミ一覧

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不滅

不滅

鵺的(ぬえてき)

「劇」小劇場(東京都)

2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

連鎖反応
先日映画の『告白』を観たばかりだったので、姉妹作のような感覚で観劇。
『告白』が鈍器で後ろから殴られるようなショックだとすれば、これは首を絞められるような苦しさ。指の生暖かさや感触が伝わってくる分嫌悪感が走りぞっとしない。
役者が皆がっちりと生き抜いていてよかった。でも場転ごとにあんなに薄暗闇にする必要があるのかは疑問。

ネタバレBOX

「加害者」が、時を経て大人になった今、複製された「加害者」に、そして子どもに対して何が提示できるのか、あるいは出来ないのか、そのジレンマを観ていると、
作家は、かつて「底が抜けてしまった子ども」が起こした現実の事件とその当事者達を、自分達(の世代)の問題としてまだきちんと引き受け続けているんだなーという感触を受けた。
消極的ながら、負の連鎖を食い止めたいという方向に働いた大人になった「加害者」の意思が、しかし成功しないという結末を導いたのは興味深い。
八百長デスマッチ/いきなりベッドシーン

八百長デスマッチ/いきなりベッドシーン

柿喰う客

タイニイアリス(東京都)

2010/04/15 (木) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

人力爆走列車
まだ数回しか行ってはいないが、観に行く度、柿喰う客ってすごいんだなあと思う。そのバイタリティの面においても、コンセプチュアルなものを観客に見世物として提供する段階にまで毎回きちんと建設する意識と実力の面においても。
今回の公演、特に40分を噺だけで引き込んでしまう一人芝居を観ていて、作品自体が持つ強度にまた改めてすごさを実感した。
なんというか、もはやこれは、普遍性に近づくことで生まれている強度なのではなかろうか。
観ている最中、身体の若さや年齢的なあれは置いとくとして、これをもし、落語のようにずっとやり続けて名人芸のようになったら一体どういうものになるんだろうだとか、あるいは他の役者が演じたりしたら、ということを考えていた。
もちろん今回の2作は当て書きであると公言していたし、この3人でしか表現し得ない緊張感を観せつけていたのも確かなのだが、それでももし他の人がこれを演じたら・・・と想像してしまうのは、やはり作品自体にどこか普遍的な強度を感じるためだろう。
見世物としての強さと作品の普遍的な強さ。中屋敷法仁作品がもし時代を越えたらどうなるんだろうとか考えると、ちょっと面白い。

遠ざかるネバーランド

遠ざかるネバーランド

空想組曲

ザ・ポケット(東京都)

2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

かつて通ってきた道
なによりも今この物語を必要としている人が観劇してくれていることを願う。

露出狂

露出狂

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

スポ百合
好き好き大好き楽しいな。
演出に舌を巻くのはいつものことだが、今回は女優達が一心同体となってトルネードのような運動を産んでいた印象。中屋敷さんが「サル山」と表現したセットに相応しい、ジョシコーセー幻想を叩きかち割る野生のメス達ここにありけり。
白百合なんちゃらとか聖なんちゃらとかでなく、高天原って校名がなんとなく、日本全土を産んどきながら最終的に黄泉の国の鬼神になって夫殺そうとしちゃうイザナミとか、天岩戸にひきこもって皆を困らせちゃうアマテラスとか存外パワフルな日本の女神を連想させていいなと思う。
女の顕在的な恐ろしさをあますところなく肥大化すれば、むしろドロドロ泥試合になりそうなものなのに、実際残るのはちょっとしたすがすがしさというのがすごい。
もう一回観たかったなー。

ネタバレBOX

個人的に、なあなあ→革命→濃密→能率→なあなあの高校集団活動の弁証法はすっごく身に覚えのある光景だったので、昔の作文を発見しちゃったような気恥ずかしさ。けれどここまで極端に誇張されると笑える。
エ キ ス ポ 【満員御礼!!】 

エ キ ス ポ 【満員御礼!!】 

トランジスタone

ザ・ポケット(東京都)

2010/03/31 (水) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

女はたくましい
桐朋学園周辺の、スタンダードかつ独特に古風な感じの演劇スタイルを勝手に桐朋カラーと呼んでいるのだが、この芝居は個人的にはザ・桐朋カラーと言いたい。腰の据わった脚本と演技、時代の再現率の高さに身を任せ、最後まで安心して観劇することができる。
大きな物語が機能していた最後の時代の仄かな希望感、女性のたくましさを感じさせる、いい出来の芝居なのではないだろうか。

東京アメリカ

東京アメリカ

範宙遊泳

STスポット(神奈川県)

2010/09/02 (木) ~ 2010/09/07 (火)公演終了

満足度★★★★★

「演劇」プレゼン
思わず唸る。第一弾「山梨」はストーリー物だったが、今回は演劇に対する「suki to kirai」入り交じる感情でメタとベタの狭間で織りなす、「演劇」のプレゼンでありパロディであり批評であり演劇におけるリアルの考察。
それでいてよく陥りがちな頭でっかちにならずにあくまで舞台表現として観せる絶妙のバランス感覚に舌を巻く。前から薄々感じてたけどセンスがパネぇわここの作・演。「演劇」が大好きで大っ嫌いなんだろうな。
また作・演の考えだけじゃなく役者も演劇を相対化する眼とそれを身体にアウトプットできる力を持っていることが、舞台に強力な説得力を生み出している。多分自分達の位置づけに自覚的なんだろうなと思ったり。
演劇を創る現場(特に学生演劇)に足を踏み入れたことのある人やかなり演劇を観る人でないとこのニュアンスは汲み取りにくいかもしれないかなと思ったので、演劇初心者にあまりオススメはしないが、演劇関係者には必ず観にいって欲しい舞台であることは確か。

八月花形歌舞伎

八月花形歌舞伎

松竹

新橋演舞場(東京都)

2010/08/07 (土) ~ 2010/08/28 (土)公演終了

満足度★★★★★

中村屋!
第3部、「東海道四谷怪談」のほぼ全幕を観劇。
最初歌舞伎を観に行ったときは「すごいなー」とかぐらいしか感想がなかったが、何回か観ているとなるほど歌舞伎にも上手い下手があるのだなとそれなりに算段がついてくる。
勘太郎の熱演が今回の公演の全てと言ってもいいくらいすばらしかった。メインのお岩役にはいくら拍手をしても足りないぐらい。一つの作業だけで10分ぐらい平気で観させてしまうことができる役者がはたしてどれだけいるんだろう。
(サーコさんに習って)AB(笑)は立ち姿は素敵なのだが、びっくりするような演技力で、ラスト以外の殺陣に関してはまるで観るに耐えなかった。

山梨

山梨

範宙遊泳

PRUNUS HALL(桜美林大学内)(神奈川県)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

ハイパワースピードテンション復讐劇+山梨
大好き。脚本、演出、役者なにしろ全てにおいて勢いよく馬鹿馬鹿しい。
郷土物語宣言第一弾と称し山梨を独立国家にしちゃった脚本の謎な勢いあふれた馬鹿馬鹿しさだけでも相当なものだが、計20人強の若く激しい役者それぞれの基礎演技・身体能力の高さが、その脚本のを立体的に引き出していて見事。
特に群像のハーモニー加減が馬鹿馬鹿しさという観点から統制された様はカタルシスさえもたらす始末。オリジナルなセンス光る役者も多くて、観ていて飽きない。
物語の中で起こってる事実だけを冷静に追っていくとこんなブラックな話はないのだが、観ているとむしろ爽快な気持ちにさせられる。ラストはポジティブな意味で「うわああああ」と唖然(そして呆然)。

大学関係者が多いせいなのかよくわからないがなぜか客席は終始シーンとしていて観劇する場としてとても居心地が悪かった。自分はディティールからなにから見事ツボに入り堪えきれずグフグフ笑いっぱなしなのに、耳から入るのは自分の笑い声だけ。その悲しさったらなかったので、よほど「面白くないの?!」と問いただしたかった。
めちゃくちゃ好きなんだけどなあこういう芝居。

01272125★たくさんのご来場ありがとうございました。★

01272125★たくさんのご来場ありがとうございました。★

ソテツトンネル

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

第一回公演とは思えぬ
今後の展開が楽しみな完成度。人というものは基本的にすんなりと残酷なのだ、と淡々と説く脚本に、役者の演技が上手く行間を醸し出している。語りすぎない美学が非常に好み。
脚本も演技も安定度が高く、人と人とのあれやこれがメインとなりながらも緩やかに数式の謎が全体を牽引していて、2時間の長丁場を集中力とぎらせることなく観させる。
しかし見終わった後の印象がなんとなく地味だったので、もう一瞬ほど、なにかえぐりとるようなものが欲しい気もする。
役者では当て書きのようにも見える役を演じていた吉田啓子の個性がひときわ目に付いた。

The Heavy User

The Heavy User

柿喰う客

仙行寺(東京都)

2010/06/19 (土) ~ 2010/06/19 (土)公演終了

満足度★★★★

ジャポーン
別物!

ネタバレBOX

前「ヘビーユーザー」からの変貌っぷりには様々な面から指摘できるだろうが、言語や物語を解体した後になにが出てきたかという所を観ていくと、
言語を解体しながら、「日本的」を押し出し、一方で発語すら拒否してくいくといった「コミュニケーションすること」への意識が目立って出てきていたのは、
やはり文化コンテクストが異なるものへのアプローチを視野に入れた場合に特有の変化なんだろうなと思い興味深かった。
しかし前「ヘビーユーザー」に一編の音楽としての気持ち良さに多く魅力を感じていた自分としては、途中に隙間を挟んで要素を並列したようであったリズム感には不満が残る。もっとグイグイやって欲しかったなー
ロロ vol.4 ボーイ・ミーツ・ガール

ロロ vol.4 ボーイ・ミーツ・ガール

ロロ

王子小劇場(東京都)

2010/08/18 (水) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

満足度★★★★

「もう後は結構どうでもいい」
という言葉がこの公演の真実だなあと。「きみとぼく」がどうなりかすればいいハリウッド的ラヴ世界の穴、「あいつ」の世界の存在の出現。
盲目とも醒めてるとも違って、役者も演出も、どこか嗤う視点を持ってるとでも言ったらいいのか。そこが欠点にも見え、リアリティにも見え。不思議だなあ。

真・侍ヘンドリクス

真・侍ヘンドリクス

おにぎりスキッパーズ2

テアトルBONBON(東京都)

2010/01/27 (水) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

「野暮だねぇ」
手法とか思想ではなく、風味としての現代エキスがほんの少し入っている「お江戸でござる」とでもいうか、懐かしいベタさ。セットや着物や小道具の入念さと豪華さといったらない。

ヒメ

ヒメ

チェリーブロッサムハイスクール

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★★

新感覚劇場空間
シンプルながら吉祥寺シアターという劇場の面白みを存分に活かしている。それだけでかなり満足感がある。
光や音楽の使い方、テンポなどからは比較的はっきりした演劇を目指している様子が見えたのだが、諸処沸騰寸止めで火を止めるようなもどかしさを感じた。そのためかわからないが全体的に観客との同調率がよくなかったように思う。演出が芝居のバイオリズムを意識していくともっと見応えのある舞台になる予感。
チェリーさんの手話で音楽を奏でるシーンが美しくてすごく好き。あれずっと観ていたい。

裂躯(ザックリ)

裂躯(ザックリ)

乞局

笹塚ファクトリー(東京都)

2010/06/16 (水) ~ 2010/06/21 (月)公演終了

満足度★★★★

批評される「親」
「子」に観察され批評される「親」と、疑似家族を再構築することによって引きつれがあぶり出される「子」。「家族」の行方を描いた作品は最近いくつも観てきたが、中でも傍観的で挑発的な視点。考えさせられる事が多かった。
前半と、後半のわしづかみ具合がハンパなかったのだが、「外」の視点が介入された中盤が手応えがなかったように感じたのが残念だった。

にねんいちくみ保護者会≪ご来場ありがとうございました!≫

にねんいちくみ保護者会≪ご来場ありがとうございました!≫

クロカミショウネン18 (2012年に解散致しました。応援して下さった方々、本当にありがとうございました。)

Heiz Ginza(東京都)

2010/09/11 (土) ~ 2010/09/20 (月)公演終了

満足度★★★★

すんなりと観ることはできる
会場の場所以外は特に目新しい感覚はなく、中身も使い古された保護(会)者像だなあとぼんやりと拝見。
伏線が張られるべくして張られ、落ち着くべく所に落ち着く。そういう意味ではウィルメイドな安心感があるのだが、後半への展開までの前半のダダのこねあいの割合が大きすぎて、バランスが悪かったように思った。ごにょごにょと長いわりに後半に活きるのは「なかなか決まらなかった」という事実と少々強引な伏線ぐらいで、個々のダダこねもうすらぼんやりしてパッとしなかった印象。
あとあの会場の規模であの声量は鼓膜の振動的な意味で耳が少々痛し。空間の日常感とミスマッチングに見えた。声張らなくても全然届くのになあ。

新明治仁侠伝

新明治仁侠伝

劇団め組

吉祥寺シアター(東京都)

2010/08/04 (水) ~ 2010/08/08 (日)公演終了

満足度★★★★

明治武士
ちょうど「龍馬伝」が薩長同盟結ばれるや否かを放送していたので、なるほどこの先そんなんになってゆくのかと勉強になった。
歴史に明るくないのでどこまで史実でどこから物語なのか判断つかなかったが、それでもなんとなくかなり史実に忠実に、隙間に物語を組み込んでいるんだろうなーと感じた。歴オタだったらもっと楽しめたのかしら。
体感時間は長かった。というより、一つの場面が大河ドラマの一週のように、いちいち盛り上がり暗転するタームの積み重ねで、終わりかなと思ったら終わってないというのが何度か続いたので体内で終わりのタイミングを逃した感。
個人的に、関ヶ原後のカブキ者みたいに生き延びてしまった虚しさを反骨パフォーマンスとして変換していくような、愛嬌のある思想の方が共感を持てるので、葉隠思想な侍魂は根本的に受け付けないんだなと気付かされた。

バラシて終わりと思うなよ

バラシて終わりと思うなよ

劇団フルタ丸

「劇」小劇場(東京都)

2010/07/28 (水) ~ 2010/08/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ピンからキリの
キリの方にいる劇団の解散公演のバラシ風景は、さすが劇団が演じる劇団、思ってたよりもハードな演劇舞台裏に頬が引きつる。
終始「観客」の立場から観ていたが、公演を打ってもトントンでなまじ劇団として継続できてしまうという状況が、劇中のダメ劇団のようなダメ劇団を、現実にも数多産み出してしまうんだろうなと思うとムカムカする部分もあった。
前半のハードさを中和する構成上のバランス感覚として、また劇中の劇団の「表現者」としての慰みとして後半20分のファンタジーは必要だったと思うのと同時に、その甘いファンタジーの中に小劇場演劇という円環型のやさしさ共同体の虚像が見えるようで気持ち悪くもあり。
一番のびっくりは箱馬の収納場所だったかも。
OPの音楽が非常に好みで心地よかった。

笑う魔女の罠~Traps of the Laughin' Witch~

笑う魔女の罠~Traps of the Laughin' Witch~

劇団三年物語

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2010/05/16 (日) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★

延々と罠に引っ掛かる
それなりに楽しかったが、展開も笑いも自分にはノり切れず時間が長く感じた。
和田成正さんの眼と動きの気持ち悪さは、出てくるだけで笑ってしまうほど抜群だった。

おにもつ

おにもつ

東京マハロ

笹塚ファクトリー(東京都)

2010/09/03 (金) ~ 2010/09/12 (日)公演終了

満足度★★★★

ウチ的共同体
普通に楽しく観れはするものの、苦手な空気。
よき時代幻想というか、なんとなく昭和のかほりのする舞台だなあと。

ネタバレBOX

家族型経営のウチ感覚の歪さがラストになって思いっきり顕在化して引いてしまった。飲酒運転していて人をひいたという事実が二の次にくる感覚はよくわらからない。
8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』

8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

ART THEATER かもめ座(東京都)

2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了

満足度★★★★

民間教員の可能性
脚本だけみると文句無しの☆5。舞台として観ると『欲の〜』が☆3、『ガハハ〜』が☆5。
『ガハハ〜』義務教育に関わる(ろうとしている)人は必見。実際の中学生にもぜひ観てもらいたい作品。

以下長らく書いてたものが消えたのでまた今度・・・

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