満足度★★★★
節度
守るのもつまらないし、守らないのも嫌だしですね。
ネタバレBOX
概念と節度の話。ドラッグやってはっちゃけたけど近親相姦はしなかったという感じの話。
大好きな叔父さんでしたが、叔父さんの方が気持ちを察して身を引いて、一線は越えなかったなと何となく思いに耽る彼女でした。
祖母の死に際して孫が泣かないのを見て、悲しくないのねと声を掛けた人がいたなんて、そんな無神経な人は見たことがありません。そんな人実際にはいないと思いますが、いたら最低です。
旅先の外国人の動きや言葉は面白かったです。
満足度★★★★★
ド派手、綺麗
ダンスパフォーマンスと殺陣がとにかく二時間続けば、もう褒めるしかありません。
ネタバレBOX
ピノキオやシンデレラ、妖精などが登場する、人間の想像力が生んだファンタジー。
東洋系的に濃いひげ太夫やファンタジー系ド派手に濃いX-QUESTは一回は観るべきですね。
小玉久仁子さんについては普通のお芝居でしっとりとした演技を見てみたいと常々思っていますが、悔しいですが水を得た魚のようでした。
満足度★★★★
予想通り
基本的にはそういう傾向でした。
ネタバレBOX
始まってすぐ気付いたこと、ちっちゃ、棒読み。慰安婦像のような大きさを想像していたのでそう思いました。ゆっくり間を取りながらの棒読みについては、そういう方針なのかとも思いましたがそうでもない人もいて、やはり技量によるものかと思いました。
いきなりテンションが下がりましたが、その後は慰安婦問題を家庭内暴力に置き換え、日韓の考え方の違いや問題意識の温度差をそれぞれの役者に割り振って話が進行するので興味深く拝見しました。
ただ、家庭内暴力は家庭内暴力だけですが、慰安婦問題は売春行為と軍の強制連行の真偽が絡むので単純に置換えられるわけではありません。
次女純への家庭内暴力があったことを知らなかった弟に対して、母親から入院していると聞かされたときに病名とか病院の場所とかを聞けば真相が分かったかもしれないという説明には納得できる点もありましたが、当時のことを全く聞かされていない日本の若者に、それもそのはず軍による強制連行は無かったわけで聞きようも無いわけですから、それを聞かなかったことが悪いと一方的に言われても困ってしまいます。ホント、少女像は叩き割ってほしかったです。
帰ってきた純がガソリンスタンドでバイトしていたときにブレーキの不具合を起こす方法を知ったであろうことを示唆し、次に本人に父母を自動車事故で殺したことを告白させ、さらに作家志望の女性に具体的な方法とそのときの気持ちを推理させたのは、丁寧過ぎて少ししつこく感じました。
満足度★★★★
ほのぼの
宇宙が進化し続けているように、宇宙の子も進化しようと本能の赴くままそこそこに行動していました。
ネタバレBOX
超新星爆発によって重い原子ができ、その後初めて宇宙に生命が誕生したのかどうかは知りませんが、私たちの身体は様々な宇宙の素材から作られています。そんな宇宙の子である何組かの男女の恋愛事情を、と言っても好意を寄せる程度のこれから発展していきそうな恋愛を描いた話。
片思いの気持ちが伝わったり、普段から一緒にいる二人は口にはしないものの相思相愛だったり、桃尻犬でワカメを吐き出していた野田慈伸さんはモテ男役で本命と上手く行きそうだったり、あわよくば程度の下心を持つ賑やかし陣はその程度の役割を果たしたりで、ただただほのぼのしていました。
優等生型の女性はだらしない男に惹かれるのか、ラストでちょっと波風が立ちそうな雰囲気はありましたが、その女性は北海道へ引っ越してしまうわけで、結局は何も起こらないのでしょう。
クスッとはしましたが、その程度のことでした。
満足度★★★★
説明臭い
少々偉そうな感じもしました。
ネタバレBOX
財政再建が進まず、入札不調を機に国債が暴落し、一気に日本売りが始まった前後の、証券アナリストと屋台のラーメン屋をやっている彼女の元夫など周囲の人々を描いた話。
劇団5454(ランドリー)の『マザー』では、シェアハウス内で実際に擬似通貨を通用させた上で制度破綻に至るまでのミニ経済の様子を具体的に描いてみせたのに対し、本作品では牛乳ビンのふたが疑似通貨となったという小学生のときの思い出話を社員が延々と説明する形で処理していました。
国債の暴落が一番のリスク要因であることは承知しており、いつもヒヤヒヤしています。
一株利益や成長予想で評価するのではなく、人それぞれに独自の評価基準があるべきというメッセージは素敵でした。しかし、円安の影響は小麦粉の高騰によって味や丁寧さを判断基準としている屋台のラーメン屋の親父にまで影響を及ぼすという例をあげて、政治や経済はお前ら庶民にとっても大切なことなんだぞ、ちゃんと勉強しろよ、投票にも行けよと言わんばかりの言い方をしたのは、ちょっと上から目線で嫌でした。
若い人の一票は一億分の一に過ぎないけれども、事件を起こすとニュースとなって効果があるとして、不満分子の男が圧力鍋爆弾を首相官邸に投げ入れたところ、実はお赤飯を炊いた圧力釜だったというオチは小粋でした。
満足度★★★★
懐かしい
奥菜恵さん元気かななどと思ったりして、懐かしい気持ちでいっぱいでした。
ネタバレBOX
地球規模で地震のようなものが起きて、諏訪湖が完全に水没してしまうくらいまで地盤地下した世界に生き残ったわずかな人たちの話。
特別に狭い舞台でしたが、中央にきつい傾斜の槍ヶ岳の山頂付近が描かれていて雰囲気は出ていました。
人は誰でも常に権力を持ちたがるという分かり易いテーマでした。東西冷戦が終わると民族主義の衝突が起こったように、一つの重しが排除されるとむくむくと次の勢力がのしてきて、なかなか平和は訪れません。
数年後のラスト、世界各地に生き残った人類がいて、交流もそこそこ行われ、ここにもブラジル人のコミュニティができるまでになりました。しかし、燃料はあるのか、船の修理のできる人が何人いるのか、彼らは単にたまたま漂着しただけかもしれません。少なくとも半導体は私には作れないし、半導体を作る機械を作ることもできないし、これからの人類も大変は大変です。
ブラジル人コミュニティには赤ちゃんがいっぱいいて、将来民族同士の対立が勃発することにもなりかねませんが、とりあえずハッピーエンドで終わりました。
ところで、目が五つあって飛び跳ねるものって、そんななぞなぞってありませんよね。
満足度★★★★★
新鮮な舞台
その瞬間、アッと思いました。
ネタバレBOX
2001年、海辺近くの新築現場が舞台。
中居さんたちが一階に住んでいたと聞いて、アッと思いました。阪神淡路大震災によって旅館の一階が押し潰され一度に9人、若い男好きのしま子を始め良く働く中居さんからグズな中居さんまで、あの人たちは今はもういないと知ると涙がこぼれました。
しま子と義母となる美代子の一人二役は意味深でした。途中、無理に早替えなどの奇をてらったことをしなかった点は返って良かったと思いましたが、ラスト近くの仲居さんたちが消えていくシーンに出なかったのは不自然で、きちんと中居姿で出て、その上で華子の新しい家族として再度登場してほしかったと思いました。
それにしても、木地一色の舞台は新鮮でした。立派な建築資材は公演終了後再利用してもらいたいものです。そして、かんな花と言っていましたが、大工さんたちは千秋楽頃にはもっと薄くて長いかんなくずができるようになるのでしょうか。楽しみですね。
満足度★★★
知るということ
テーマとしては良かったと思いました。
ネタバレBOX
テレビゲームの雑魚キャラなどは作成するときに性格などさほど考慮してなく、感情の一部が欠如していると思われますが、そんなキャラの一人がゲーム世界の絶対者になろうと反乱を企て、殺し屋を使って他のキャラたちを殺し彼らの感情をコピペした途端、悲しみという感情を知り、周囲の死体を見て絶望するというような感じの話。
彼らのことをバグと呼んでいました。実際は、ウイルス対策ソフトなどによってゴミ箱に入れられたバグが飛び出し、暴走してコンピュータがダウンしたということでしょうか。
キャラ立てして面白かったですが、主人公らしき人のキャラが良く分かりませんでした。
信原久美子さんの美脚を封印したのは惜しかったです。
満足度★★★★★
被害妄想
雪だるま式に膨らんで凄いことになりました。
ネタバレBOX
下宿人を西側のスパイと思い込み始めるとイリヤの被害妄想は膨らみ、尾行などの実際行動に移り、兄を盲信する弟ジューラが加わることのよってさらにひっちゃかめっちゃかになり、他人は迷惑、暴力事件にまで発展、家庭は完全に崩壊してしまうという話。
なんでそうなるのという感じでしたが、被害妄想が周囲を巻き込むとこうなるんですね。兄弟の行動はドン・キホーテのようでした。行き倒れを兄貴分と勘違いし、兄貴分の方も弟分からしつこく言われるとそこに死んでいるのは自分だと言い始める粗忽長屋の二人のようでもありました。
妻のダニツァまでが感化され、最後は下宿人に唾を吐きかけるところまで行き着くとは流れの恐ろしさを痛感するとともに、何となく国防婦人会を思い起こしていました。
不審な行動を取る下宿人を尾行して空港で写真を撮りまくって逆に自分が捕まった話や、横断歩道でないところを渡って車に当たったのも西側工作員の仕業と思い込む話、写真にアフレコを入れて全く別の筋書きに捏造する話など笑いのネタも豊富でした。イリヤの軽めの大阪弁も効果的だったと思います。
ジューラは兄の最後の指示に従って空港で一悶着起こすのでしょうか。傍迷惑もいいところです。
ラスト、イリヤは犬のように動き回り、完全に気が狂ったように表現されていました。確かに妄想癖を通り越して狂人の域に達したと言えますが、狂人で片付けるのではなく、一般人の勘違い、妄想故に社会に与える影響がより恐ろしいという風に持って行ってほしかったと思いました。
満足度★★★★★
【教え子編】観劇
当初予想していた内容とは色々な面で異なっていました。
ネタバレBOX
確かに教え子との浮気はありましたが、この女子高生ではありませんでした。婿の分際でではなく、妹の分際で、でした。そして、妹がゴルフレッスンの教え子でした。
当初予想と異なる面白さ、意外さに繋がっていき満足でした。
最初、結構深刻な話かと思っていましたが、ハワイ帰りの長男の抱擁を見てこりゃ違うなと直感しました。コメディタッチで、双子の姉妹の軋轢と逆転劇、家督相続的な面も絡んでいて面白かったです。インチキ叔母さんを霊感ババアと切り捨てるところもスカッとしました。
満足度★★★★★
昭和歌謡テイスト
全体として雰囲気がありました。
ネタバレBOX
連続殺人事件の犯人を母親に持つ若手女流小説家の数奇な運命と母親の行状をドラマチックに描いた話。
青酸カリ連続殺人の疑いのある女性が観劇日の前日に逮捕されたばかりで超リアル。練炭があり、青酸カリがあり、そして鼻からウイスキーがありと、悪事の種は尽きません。
母親のお金に対する執着と使い方のルーズさが普通でなく、他人に対する威圧感は凄まじく、共依存体質から共犯の看護師が悪事に加担する様子などを興味深く見ました。不思議な家族構成の家には気をつけなければいけませんね。
母親が死刑囚ということを隠していたとして騒動にはなりましたが、別にどうってこともなく、文才があるんだったら頑張ってねという感じでした。
母親役のリサリーサさんは驚くほど歌が上手かったです。
満足度★★★★
【Aキャスト】観劇
少し浅いかなと思いました。
ネタバレBOX
確か120分と説明があったように思うのですが実際は90分でした。ですから、時計は見ていませんでしたが、後半の演目の後に前半の続きがあるのかと感覚的に思ってしまったくらいだったのですがそのまま終了しました。『ユートピア」が中途半端に感じられたということです。
『ユートピア』(作・演出:菊地史恩) 新宿二丁目辺りで危険ドラッグを売る女、買う女、依存症から救おうとする女の話。
ゲイバーで働きながらもてノンケと言っていた男が幼少時に何かあったと言い掛けたときになぜか遮られてしまい話が膨らまなかったり、看護師の女も、自分も薬物依存症の経験者だったという割には、今も誘惑と戦っているという苦しさが感じられず、何か禁断症状の時期が過ぎれば薬物依存症から完璧に立ち直れるかのような甘い設定であったりして、もう少し深く描いてほしいと思いました。
良く分かりませんが、入院した女がストッキングの上にズボンをはいている絵には少し疑問を感じました。何か事情があるのでしたら、厚手の白い靴下でも履いたら白ずくめにもなり良かったのではないかと思いました。
『病の王国』(作・演出:岩渕幸弘) 父親が恐らく新しい女と出奔し、残された義母と少女の荒んだ生活が最後壊れていく話。
実父がギンギンマンとは、ギンギンの明るい踊りが辛かったです。援交というか売春というか、3万円と8万円の違いに驚きました。
チラシと当日パンフレットで、義父と実母、実父と義母と設定が異なっていることに今気が付きましたが、当日パンフレットを読んで刷り込まれたせいもあるのか、実父と義母の関係で観ていました。でもこの説明の違いはちょっと酷いですね。関係性について説明しないならしない、説明するならするできちんと説明してほしいと思います。
前半と後半の間が異常に長過ぎました。
満足度★★★★
To be continued
原作を知らない人はラストおいてけぼりです。
ネタバレBOX
友達の記憶が日曜日にリセットされる藤宮香織を見て、平日のストレスがキツいと発症する休日型の片頭痛と同じような仕組みかなと考えました。長谷祐樹が香織のお母さんから精神的な原因に基づくと聞かされたときには、過去に虐めでもあったのかなと思いました。
そうこう考えながら観ていましたが、夏休み明けに突然九条なる転校生が来たというところに、祐樹が香織に友達になってくださいと告げるシーンが重なって終了し、何を見逃していたのか、私のどこが悪かったのかと訳分からず、結局帰宅後ネットで調べてしまいました。
イケメンや可愛い登場人物が原作のイメージに近いことなどは分かりましたが、九条と香織の過去のいきさつが重要で、こりゃTo be continuedしかないということが判明しました。
せめて、次に続くことを明示して終わらせてくれれば良かったのにと思いました。
満足度★★★★★
千秋楽
女優陣が素敵
ネタバレBOX
相楽樹さん推しのため初日と千秋楽の二度観ましたが、特に妖艶な福永朱梨さんとお澄ましな亀田梨紗さんが際立って素敵でした。
それに、相手を信じることができるかどうかが最後の分岐点になるというメッセージを頂きました。ありがとうございました。
備忘録として以下整理しておきます。ありさが患者であったコンドーム開発者の木村さんからもらったコンドームがバッグに入っていたのを修司に見られ、修司が以前家庭教師をしていたアナウンサーの田中瞳に相談したのをなぜかありさが知ってしまい、そんな頃、恐らく直前にありさの元カレが訪ねてきて会ってしまったという後ろめたさがありさにもあり、お互いがふと疑念を抱いたことが原因となってありさは家を出たのだったと思います。
赤い貯金箱は、バイト先でのクリスマス飲み会におけるありさから修司へのクリスマスプレゼントでした。
修司は2014年の今、ありさが元カレと会ったこと、そしてこれから会いに行くことは知らないはずなので、ラストシーンは2004年の修司が2004年のありさに電話しているシーンと、2014年のありさが2014年の修司からの電話を受けているシーンの合成でした。
満足度★★★★
四分の一
遠い未来予想図はそうなると思っておかなければいけませんか。
ネタバレBOX
作・演の渡辺さんによる10分程の赤い糸にまつわる前説芝居があって、時間になって始まりました。
高校時代の懐かしい放送室乗っ取り大事件、近未来の夫との軋轢、デパートに勤めていた頃の認知症気味の老人に対する優しいサービス振りからまさに自分が老婆本人だったという頃の様子まで、妊娠したばかりの女性が一つのけじめとして過去を振り返り、未来を想像してみる話。
将来四分の一の人が認知症になるのではないかと言われています。悲しい想像しかできない現実が悲しいです。
夫と上手くいっていなかった頃の彼女の服が破れていたのは、私もハサミ入れに参加協力しましたが、夫の家庭内暴力によるものかと思っていましたが、どうなんでしょう。別れなかったところをみると、単に自分がズボラになった時期でもあったのでしょうか。
気になる言葉遣いもありましたが、やんちゃな高校生から動きの遅い老婆まできちんとした演技をみせてくれました。
満足度★★★
2.5トン
三作品を縛る共通ルールは本当に必要なのかと思いました。
ネタバレBOX
2.5トンの細かな砂を敷き詰めた中での三編。
『隣人の顔』(脚本・演出 堀川炎) カウンセラーのところにカウンセリングのためにやってきた女性は高2のときの片思いの同級生だったという話。
当時彼女は男の弟と付き合っていたことが判明したり、野良ラクダがいる土地柄からここは中東だったんだと分かる面白さはありましたが、片思いした方が思っているほど相手は覚えていないということで、漸近線に接近して急速に離れていくような、前フリの割には何の発展生もないストーリーでした。砂を意識して中東を舞台にしただけのことでした。
『不眠普及』(脚本・綾門優季、演出・蜂巣もも) 新興宗教の人に薬物中毒にされ、大勢の信者のための性の相手にされている女性の話。
薬物のせいか、自らも身体の欲求に耐え切れず、寝る間も惜しんでセックスに没頭するまでになっていました。そして、砂の存在から、これはイスラム国に拉致された女性のことではないかとはたと気が付きました。途中退屈なところもありましたが、そこに気づいてからは、ルールに則りながら国際情勢を反映した作品に仕上げた力量に感心しました。
『Closet』(脚本・演出 下田彦太) 就職試験でM鷹市ストーカー殺人事件の分析報告の課題をこなそうとしている初対面の二人の就活学生の話。
ロールプレイング中に二人の過去が明らかにされたりしました。役者さんの一人が鼻グジュグジュで、途中で鼻をすする見苦しいシーンもありましたが、アフタートークで細かな砂のせいということが分かって納得しました。で、砂は何を意味しているのでしたっけ。
満足度★★★★
小賢しい
平時には平時のやり方が、有事には有事のやり方があるってことでした。
ネタバレBOX
戦後のドサクサに乗じて金儲けしたり土地を手に入れたりした話は聞いていました。昔は若死にすることも多かったので、嫁が死んだらその妹が嫁ぎ、さらに夫が死んでその弟と一緒になったなどという話も知っています。
戦死しそうな一人息子のいる後家さんとねんごろになって、自分の子供のためにひと財産を築こうとする男がいたとは、凄いね、有事の悪知恵とはこういうことかとはたと得心しました。
自分の息子は脱走兵になって自殺したため息子には財産が残せませんでした。それどころか、男はこの土地から逃げ出さざるを得ませんでしたが、戦後15年経って舞い戻り、戦争から帰還した女の息子を殺してとりあえず自分ののための住処は確保しました。
食堂の壁のカビびっしり感が伝わって来なかったのは惜しかったです。
満足度★★★
匂い
大正の匂いがしました。
ネタバレBOX
正義の味方を作った敷島博士、ギルモア博士、お茶の水博士のそれぞれのエピソードに、靴屋に勤め始めた男のアリス的逃走劇を混在させた話。
ごちゃごちゃ感に溢れ、鉄腕アトムとサイボーグ009と鉄人28号が合体したアトボーグ28号なる裸が登場するところなどは如何にも南河内万歳一座という感じでした。
懐かしい昭和の正義の味方にインスパイアされたのだと思いますが、雰囲気は昭和を通り越して大正レトロの匂いがしました。
訳わかんねで良かったと思うのですが、最後作家が鉛筆ナメナメして、複雑にしたのは私ですよみたいな夢オチならぬ作家オチで終わったのは蛇足のような気がしました。
満足度★★★★★
熱く、面白く
全員が個性的で素敵でした。
ネタバレBOX
尾崎豊や、尾崎に憧れていた17歳頃の自分に勇気づけられながら理不尽な社会、会社を生き、妻を愛する男の話。
女だか男だか分からないような加藤美佐江さんが素晴らしかったです。カップルの臭い仕種に笑い、少年尾崎の股間を触りながらのエアギターには女を捨てたのかと思わせるぐらいの演技で笑わせてもらいました。
追い出し部屋の所長が非正規社員なんて強烈です。
ダメ社員として元東京バンビの二人も出ていて、元気でなによりでした。
満足度★★★★★
【村井みゆきさんが鏡子の回】観劇
少し宿題はあると思いましたが、二本がトータルで素晴らしい娯楽作品に仕上がっていました。
ネタバレBOX
世を捨てた女性や逃走中の女性を集め、一年契約で購入者の許に派遣する人身売買的な組織があって、その両当事者の話が『女女女』で、後半の『Tポーズお願いします。』は、『女女女』に登場していた恐怖漫画家の花水木鏡子の作品を元にモーションキャプチャーを使ってゲームを作ろうする現場の話でした。
花水木鏡子と購入者から派遣される側になったタルトも登場するなど二つの作品が融合され、トータルで一つの作品となっていたところが素晴らしい点でした。
自らの身体を裁縫する「サイボーグの裁縫」とか、先頭に頭が付いた飛行機とか、「遺伝子組み換え自転車」とか、それだけでも面白いのですが、散々漫画に登場するキャラクターのネタを振っていたのは撮影現場で使うためだったのかと感心しました。
臭い時代劇役者が新しい活躍の場を得るための成長物語でもあり、ベタではありましたが熱い現場の様子が伝わってきて良かったと思いました。
タルトは漫画家のところで母を殺して逃走した姉と遭遇しましたが、そのタルトも母を冷蔵庫に入れて放置していました。タルトが購入した女性がきちんと警察に届けて後処理したのか、それともどこかに埋めたのか、タルトはのんびり漫画家のアシスタント然としていていいのかなどと色々考えましたが、そういう解決されない闇の部分もあってしかるべしと思いました。
ただ、ヒットする予感のあるゲームですが、母親殺し事件や人身売買事件に巻き込まれたりすると、ゲームの発売自体がポシャり、ヒットゲームを狙ったプロデューサーの夢はまた消えるかもしれませんね。
女性がダンボール箱で運ばれるからといって背景がダンボール箱の山というのも如何なものか、それを取り去るための時間として中途半端に5分間の休憩が必要となってしまうわけで、休憩を入れずに2時間程度に収められたら最高だと思いました。