満足度★★★★
60分一本勝負
旅情あふれ、バイタリティあふれる一人芝居でした。
ネタバレBOX
離婚したてのアラフォー女子が、出しゃばらず彫りの深い結構いい男のいるアルゼンチンに憧れ一人旅する話。
深井順子さんが元気いっぱいのアラフォー女子を演じた60分一本勝負という感じの一人芝居。アラフォーだからできることか、若い男性との赤裸々なシーンもありました。旅情あふれ、南北に長いアルゼンチンが感じられました。黄昏色と同じなのかもしれませんが、橙色と言うところもアラフォーらしいところでした。
「パンティは女の国旗だ」は名言でした。
満足度★★★★
可愛い
アリス
ネタバレBOX
遊園地に行く途中で正面衝突して、一方は子供を亡くし、もう一方は父親を亡くした家族の立ち直る様を、特に父親を亡くした娘が思い出を整理して立ち直っていく脳内を描いたファンタジー。
脳内を描いて、とても可愛らしいアリスが出てくれば立派なファンタジーです。とぼけた笑いはいつも以上でした。噛んだ数はいつも以下だったと思います。
腕力でなく、動画をアップすることで悪を懲らしめる現代のヒーロー論も面白かったです。
子供が忘れられないおじいさん、おばあさんも切ないですね。
満足度★★★★
冒険譚
少し奥行がありました。
ネタバレBOX
男女の冒険者コンビが、20年に一度咲くという世界樹の散らばった花びらを集め咲かせる話。
花びらの一つは若い女性になっていて、花を咲かせるためにその女性は人間としての命を捧げました。
先日同じシアター風姿花伝で観た風凛華斬『Obtain~over the horizon~』と同様に、若い劇団員を中心とした単なる冒険活劇のようなものかと思っていましたが、先日の劇団と比べ役者に少しだけ一皮むけた感があり、ストーリーも自己犠牲の精神に加え、エネルギー問題を問うようなところがあり、奥行がありました。
満足度★★★★
食が
大事ということ、なら
ネタバレBOX
食によって喧嘩して、食によって元に戻ったゴードンとドーソンという一応日本人ではなく、日本ではない国の倦怠期夫婦の話。
初っ端の超長いテーブルで夫婦の距離感が一発で分かりました。
終盤、長いテーブルに13人が着席し、中央には渋いいい男ノのゾエ征爾さん、最後の晩餐は象徴的でした。最後に奥さんは虎に食われて死ぬようでしたが、アフタートークで影絵の虎が豚に見えた人がいて、観る側の勝手と言うか、親の心子知らずと言うか、笑わせてもらいました。
構造上テーブルにお尻を乗せるような形で前後に移動するのは已むを得ないとある程度理解しますが、少なくともテーブルクロスが掛かっているときに靴のまま乗るのは、食をテーマにしていただけに食を軽視しているようで残念、不快でした。
満足度★★★★★
面白い!
はやしさん熱演でした。
ネタバレBOX
アラフォー男子の過去の恋愛記憶と現在の恋愛事情を、やっぱり台本を作るのは難しいと劇作家が吐露しつつ、変態風に不誠実風、不運風に描いたコメディ。
美女とおブスの取り合わせの妙や、そこまではないだろう的なあるあるは最高でした。はやしさん結構モテていましたが、うまくいっちゃあおしまいだしね。
アダチさんは直接出演せず、丸坊主のアダチさんだったので少し生々しさは薄れていましたが、『東京バンビ 最後の公演 !?』でさんざん聞かされた台本作りの難しさについてはもう今さら聞きたくはありませんでした。
満足度★★★
2時間半近く
若い俳優たちが元気いっぱい頑張っていました。
ネタバレBOX
伝説の秘宝を求めて海に出たトレジャーハンターたちの活劇冒険譚。
殺陣など一生懸命やっていたのは分かりますが、そこそこでそれだけという感じでした。
上っぱりを着てアンサンブル的役割を演じる際に元の衣装がミエミエで、雑な印象を受けました。
満足度★★★★
【長谷部優出演の回】観劇
基地問題の解決は朝一夕にはいきませんが、少なくとも地元住民のためにやるべきことはあります。
ネタバレBOX
沖縄の米軍基地移設に伴い軍港として開発される地元住民の反対運動を描いた話。
反対派住民にも事情があったり、ゼロか100では解決できないというのは分かりますが、全基地撤去という手持ち看板があったように、とにかく反対という人がいても当然だと思っていたので、娘が米兵と付き合っている、妻の病気等でお金が要る、父親の土建業が基地工事に入札予定など登場した地元住民全員に事情があって、しかもそれぞれが相手を慮る優しさを有するというのは少し緩すぎではないかと思いつつ観ていました。
それでも、最後は一人はインターネットで一口地主を募集するファンドを作って土地を売り、別の人は父親の元を離れその土地で起業する会社に参加するなど新しい生き方を模索したことで少しスッキリはしました。
沖縄の基地問題は人間の足の小指のようは言い得て妙でした。柱にぶつけると痛いです。痛風だと特に。そして、地位協定がプリン体という例えはあまりピンとは来ませんでしたが、痛風治癒にはプリン体を減らすことが必要なように、住民の権利向上には地位協定の見直しが必要なことは理解しました。
満足度★★★★
愚かしい人がいて
愚かしい人がいるから存在できる人がいる、愚かしいことです。
ネタバレBOX
スラっとした次女に嫉妬して、新興宗教まがいの美容団体を作った二卵性双生児の長女を主とした話。
前説で題名が、あの子、その子と、はないちもんめということが分かりました。
ラジオ体操の曲に乗ってフェイスのお手入れをする新興宗教的所作は異様で雰囲気がありました。elePHANTMoon『業に向かって唾を吐く』を彷彿させました。水飲んで綺麗になったら苦労はしないよね。
最前列は水が掛かるかもしれないと聞かされていたものの、離れたところの気配に安心した途端、三女が長女に洗面器の水を、設定は白湯でしたが、ぶちまけ、一部の跳ね返りがこちらに飛んできました。てへっ!
満足度★★★
暗闇
好きになったり嫌いになったり
ネタバレBOX
マスターがいなくなって注文したコーヒーが出ない喫茶店で、客同士の会話や店員と客との会話を周囲のテーブル席から観客が傍観する形式のもの。援交に疲れた女性が生き方を変えようとする話が中心でしょうか。
17時の回でしたが、照明を使わない演出は役者の顔が見えず、30分のもう一つの暗闇演劇でした。
最初のうちは新鮮だったけれども、そのうち鼻につくようになることがあると何度も繰り返されていました。鼻についていたものが好きになることもあるなと思いました。
満足度★★★★★
始まったばかり
長く続く裁判の基本的な論点が整理できました。
ネタバレBOX
東京裁判が開廷されたまさにその冒頭部分の弁護団席の様子。
重い題材でお芝居を作ることは大変だと思います。
大きな舞台の中央に小さなテーブルと五つの椅子のみがあって、一人の通訳兼任を含む五人の弁護団が翻訳という形で相手側のセリフを引用しながら見えない裁判官たちや検事団と対決する手法に、こういうやり方もあるんだなと感心しました。正面に一人、左右に二人ずつの配置でしたが、役者がかぶらないように、前方が少し広くなったような特別なテーブルを使ってもよかったのではないかと思いました。
日本国内にもA級戦犯を擁護する必要はないとの意見がある中、弁護団はまずA級戦犯に罪状認否で無罪を主張させ、戦争は政治の一形態であること、日本は政府が降伏文書に調印しており、ドイツのように無政府状態で占領され行われたニュルンベルク裁判を適用するのは間違いであること、ポツダム宣言という文書に基づいて降伏した条件付きの無条件降伏であること、人道に対する罪や平和に対する罪は開戦時には存在しないこと、検事側に立つような人物が裁判官を任ぜられるのはおかしいなどの主張をしました。
おなじみのパール判事があそこにいて、被告席の東条英機が笑ったなどとの話題も入れつつ、今始まったばかりの東京裁判でした。
満足度★★★★
【Team箱】観劇
状況は面白かったです。
ネタバレBOX
死んだことを認識し、無に帰すことを納得して無に帰すまで滞在する、とある白い施設に集った死んだ者たちの話。
観客として全くどういう場所か分からないときに、ことさら強調するかのように会話が噛み合わないような演出がありましたが、少しわざとらしく感じました。
可憐な美少女がいじめが原因で、少なくとも本人はいじめられたと思ったようですが、同級生を多数殺して自殺したという事実は衝撃的でした。
未練を断ち、消えていく状況は面白いのですが、その人の心の変化が描かれていたとは思えませんでした。
納得できなければいつまでも施設にいられるとのことですが、人間が二度死ぬという設定もきついものがあります。もっとも、二度目の死は就寝中に消えるという安楽死方式が取られてはいました。
満足度★★★★
意外と
変な話ですが分かり易かったと思います。
ネタバレBOX
姉、弟、妹のきょうだいの話。
普通に考えれば挙動不審で理解できない行動はありましたが、妙に落ち着いていて変な話として理解できました。
とは言え、最後には殺人事件が起こり、妻と外国人との間に生まれる子供を自分の子供として育てる覚悟を持ったとしてもそれはそれで大変です。
性欲というその人に属する別人格を表現したり、操り人形のようにして別人を表現したり、今回のお面の使い方は具体的で良かったと思いました。
満足度★★★
上っ滑り
現実離れ
ネタバレBOX
観葉植物を扱っていたおっさんから死後不動産などを遺贈された若者たちの物語。
傍観と業務妨害や名誉毀損は違います。詐欺に引っ掛かったようで心配しましたが、あれが詐欺師でなかったとすると何の目的で勝手に世話をしようとしたのでしょうか、意味不明です。法的手続きが必要なら手続きをするとか、弁護士に相談するとか何か必要なことが抜けている、現実離れ感が強い内容でした。
満足度★★★★★
深い
勝つときは勝つ、負けるときは負けるなどの意味のない言葉群や、パンやソーセージでも山や川が表現できるが、言葉はさらに事象を正確に表現できる、みたいなお勉強的理屈は置いといて、親友のお母さんからの手紙はうんちくがありました。
ネタバレBOX
親友が工場の事故で死んだということを知らせる内容の手紙ではありましたが、「お伝えしたかったのはそんなことではありません。息子は終生あなたに対する友情を持っていたということで、本来お知らせする必要のないあなたが一番良く知っていることです。」で、深い言葉でした。
これを聞いて、テレビなどで良く聞く「ご冥福をお祈りします。」が如何に誤った言葉遣いであるかということを思い浮かべました。
その人に信じる宗教があるならばそれに従った世界に既に行っているでしょう。その人が無宗教なら朽ちた肉体を残して既に無になっているでしょう。ご冥福を祈る側にも様々な宗教観があるはずです。そのような人たちの様々な意向に従う気持ちなどさらさらありません。余計な指図はするなです。
「お悔やみ申し上げます。」や、「哀悼の意を評します。」が適切だと常々思っていたことを親友のお母さんの手紙を聞いて改めて思いました。
満足度★★★★★
初仲間放浪記!
目の前の仲間由紀恵さんは美しかったです。
ネタバレBOX
「山は高くなるほど風が強くなる。絶壁は登り始めたら下りることはできない。」
林芙美子が成功を収めた後の最終シーンで、菊田一夫が言ったセリフが印象的でした。作家デビューした以上書き続けなければいけないという趣旨ですが、まさに放浪記を、芙美子役を受けた以上は3,000回やり続ける覚悟があるのだろうねと念を押されているようでした。
一般客にモテないカフェシーンでは美人が災いしてしっくりきません。
行商人のシーンは、やはり女の子がいいですね。
腰の曲がった側転と横にゴロゴロは何とも思いませんでした。
机のところに座ったまま右やー左のお客様ー、といった感じの森光子さんの呆けたような挨拶がどうなるのかが一番気になっていましたが、仲間由紀恵さんは舞台中央に出て普通に頭を下げ幕が下りました。
満足度★★★★★
やることない
心も沈みます。
ネタバレBOX
竹細工を生業とする家で東日本大震災で竹が崩れその家の愛子が死に、その土地では愛子ぐらいしか地震で死んだ者がおらず、同級生たちも年に一回集まることで話題となり、愛子の家として一般にも開放され、なんか愛子は善人でいい話的に進んでしまったけれど、ここでは土地の若者はセックスぐらいしかやることのない茨城の片田舎だったというようなことが再認識されクールダウンしていく話。みたいな。
色々な人々が出入りしましたが、心の底からの笑い声は聞こえてきませんでした。沈鬱な展開でした。ま、そんな雰囲気もありなんでしょうね。
ラスト、仏頂面の女性が実家に戻っておばあちゃんと暮らすようになって自閉症が疑われた子供が笑ったとの電話が救いでした。
満足度★★★★★
スカッと爽やか
おお、そうきたかと少し爽やかになりました。
ネタバレBOX
地域でそこそこ知名度のある仕立て屋川邊洋服店で、遺言状に従って店を手伝っていた弟が跡を継ごうとしたところ、家を出て独立していた兄が日付の新しい遺言状を持ち出してきたことから巻き起こるお家騒動の顛末。
兄が持ち出してきたニセ遺言状事件によって、弟は最終的に縫製愛が確立し、兄の知恵を得て時代の変化に対応しようと決断することができました。こうした兄弟の補完的性質を見抜いたコロさん演じる弁護士の大岡政談的能力はお見事でした。
ただ、同じパイを二人で分け合うのでは共倒れとなります。伝統と新しい展開の両立ができればいいですが、そう甘いものでもありません。これからが大変です。
弁護士だっただけに漢字の読み間違いがあったのは残念でした。言いにくいのであえばひっくるめて決算書でも良いと思いますが、そもそもじっくり考えてみると、小規模コンサルティング会社の決算書をどこから入手したのか少々不思議な気はします。
妹の引きこもりについては原因が良く分かりませんでしたが、ラストシーンで顔にあざがあったことで全てが理解できました。
満足度★★★★
棒立ちヘタウマ
健在
ネタバレBOX
始まるまでの時間、ピラミッド型に八段に積まれた段ボール箱の山を見ながら組体操のピラミッドの負荷計算をしていました。暗算が苦手なので行き着きませんでしたが、十段ともなるとその重さは大変だと思います。
段ボール箱を組み立て、また元に戻すバイトの主となったフリーター男が、公務員試験を受けたいと言う他のフリーターの将来を束縛し、自らの正社員への道も拒絶するという、段ボール道を極めた男の話とは言えこの生き様をどう評価したら良いのかと頭を抱えていると、夢オチで、さらには何ともえげつない夢を見たという東大に合格した男の究極の夢オチで終わりました。
段ボールを組み立てて壊すことが舞台美術を組んでばらす作業に見え、正社員にならずフリーターにこだわり続けることが役者だけで食っていけないのに役者にこだわり続ける人に見えました。
道を極めると妖精が見えるというのは『さらば演劇界』と同じ、夢オチ部分も同じでしたが、『エゲツナイト♡』の初演の方が先でした。『さらば演劇界』がゴアゴア初経験で感動した私ですが、同じようなのを連続上演していたとは、今初めて知りましたが少し寂しい気持ちです。
満足度★★★★★
楽しい!面白い!絢爛!
超一流のエンターテインメントでした。
ネタバレBOX
ハンコック姫が絶世の美女とは思えませんでしたが早変わりがあったり、大きな鯨が浮かぶ中、サーフボードに乗ったルフィが時間を掛けながら宙を舞って三階まで行ったり、敵方も舞台上で空中をグルグル回ったり、大きな背景幕の前で真っ赤な炎攻撃と戦っていたと思ったら、いきなり大水量の大滝が現れ、びしょびしょを楽しみながらの大立ち回りがあったり、全体を通しての絢爛豪華な色彩と白塗りどころではない色鮮やかな化粧の鮮やかさに恐れ入ったり、もう驚きの連続でした。
終演後の舞台挨拶に出た全員が奈落に降りるというスケールのでかさにもあんぐりとしてしまいました。
覇気の修行をしようと決心する最後のシーンはそれまでのスピード感が失われ少しだれました。しかも、浅野和之さんは八面六臂のご活躍でしたが、このシーンにも出演されたのはちょっと失敗、声に特徴があるだけにしつこく感じました。
満足度★★★★
袖すり合うも多生の縁
心の叫びは響きました。
ネタバレBOX
自殺を図ったことで他人を巻き込んでしまい、それに悲観して自殺した声優の死を回避することで変化した世界を、若い画商のエピソードを繋ぎにして三団体によるオムニバス形式のお芝居で表現した話。
単なるカラオケ大会かと思われるような短編もありましたが、生徒の才能に嫉妬した美術の先生が気持ちを吐露するシーンなど心を打つ短編もありました。