満足度★★★
観念的
全然面白くなくてワクワクしません。
ネタバレBOX
海賊が宝探しに来たり、犬の国に漂着したりしたエピソードを入れたひょっこりひょうたん島の話。
リアルで毎日見ていた世代なので楽しみにしていましたが、暗く、全く楽しくありませんでした。当時は子供だったので作者の深い思いを理解できなかったのかもしれませんが、そんなことはどうでもいい、とにかく面白くてワクワクして基本笑っていました。そして時々怖がって見ていました。そんな感情が全く湧いてきませんでした。
昔は動かしてくれて、台詞もしゃべってくれていたのに、今は自分でなども余計です。ことさらその後の話でもないでしょう。でも、そんな意識があったからこそベテラン過ぎる人を使ったのでしょうか。
ダンディは弾を撃つ度に命が縮まることを知りました。
白石さんがドン・ガバチョということで少し心配していましたが、意外や意外、登場人物の中でも一番役柄にぴったりはまっていました。いい加減なドン・ガバチョですが、「自分には能力がないから、危機に際して目いっぱいおろおろすることを全力で実行する」という趣旨のセリフは素晴らしく心に響きました。私もおろおろし、選挙権を行使します。
今日がだめなら明日があるさ、明日がだめなら明後日があるさも、やっと見つけた宝箱が空だった後に歌ったんじゃ虚しいだけです。選挙権を行使することによっていつか時代が変わると期待する前向きの歌のはずです。
満足度★★★★
幽玄
っぽく
ネタバレBOX
南方の島で戦死した人、生き延びた人、妻が失踪した男、その男に憧れているものの姉が戻ってくるかもしれず何もできない義理の妹、等々、上は白、下は黒、手には小さな枯れ枝のようなものを持ち、足袋をはき、能狂言のような所作で出会いと別れを幽玄っぽく描いた話。
白いシャツには緑のシミを付けた人と茶色のシミを付けた一人の妄想上の人がいましたが、足袋には全員茶色のシミが付いていて、地面から生えた樹木のようでした。
遺体を弔ってこそが本当の別れだとは決して思いません。義妹が一番哀れでした。
満足度★★★★★
一捻り
素直に女性陣が素敵でした。
ネタバレBOX
「ふいにいなくなってしまった白い猫のために」 レズの女性が好きな女性と同化したいがために、好きな女性が結婚するのを機にその女性と近親相関の関係にある兄に接近する話。
複雑な心情が絡み合っていて秀逸でした。とにかく色っぽくて魅力的な女性でした。
「くろい空、あかい夜、みどりいろの街」 レズの三角関係の話。
結局は私のところに帰ってくると強気の弁の女性は実の姉で、ここにも近親相関が出てきて、ちょっと同じネタかという気はしました。
「ステディ」 イケメンと付き合い一緒に暮らしている穏やかなゲイ男子の家に、イケメンが一度関係を持った女性がストーカーとして押しかけてくるようになり、ごたごたした日々が続く様子を描いた話。
どのような社会にも一応の常識があって、同性愛の社会でもその常識からちょっと外れた人を好きになると苦労するということでした。ストーカーの女性も一途で可愛かったです。
満足度★★★★
個性的
やや説明的
ネタバレBOX
浮気者の父親によって生まれた腹違いの三姉妹が、高校時代にひょんなことから出会い、漫才をしたりしながら一緒に暮らした様子を描いた話。
トイレでの孤食という特異なシチュエーションで始まり、登場人物の特異な関係性もあり面白かったのですが、長女が亡くなるまでの半生記物にしたため途中から説明的になってしまいました。
ラストも同じシーンが延々と続きしつこく感じました。
大柄な女優さんが良かったです。
満足度★★★★★
清々しい
家を守るということ、世襲のようなこと、そこに天才が絡むとどうなるか、参考になります。
ネタバレBOX
正岡子規の妹律が正岡家を支える様を、前半は子規の生前数年間、後半は子規の没後数年間に分けて描いた話。
俳句には様々なグループがあり、そうした中で兄を生前のうちから天才と見極めたのは大したものでした。養子に俳句を禁じましたが、子規の没後に正岡家の人間が俳句をやるということは、家元的に利用しようとする人たちに利用されてしまうとの考えによるものでした。同じ家から二人目の天才は出ないという信念、そしてそれを受け入れる度量の大きさに感服しました。
長生きした母親八重役の奈良岡朋子さんは終始登場され、飄々とした演技を堪能させて頂きました。
すごい実態
サプライズもあって面白かったです。
ネタバレBOX
控室のロッカーから現金が盗まれたのではないかという疑惑事件を通して、中小スーパーで働く従業員、パートたち中年女子の実態に迫る爆笑コメディ。
他人の歯ブラシを流しのシンクにこするなど、女子間の嫌がらせ、いじわるの実態はまあひどいもんでした。みんなで食べるお菓子の持ち帰りなどよくあるのでしょうね。
海千山千の皆さん、確かに無敵でした。噂の30代イケメン店長が実際に登場したときには全く想像もしていなかったのでサプライズに驚くとともに、男性芝居のときの紅一点やその反対のケースなどアクセントがついてとても見応えがあると改めて思いました。
満足度★★★★
若干拍子抜け
あるあるの範囲内という感じでした。
ネタバレBOX
単身生活者の老後に迫るトラブル等のあるあるを描いたような話。
オレオレ詐欺こそありませんでしたが、親切心を装っての結婚詐欺もどき、寸借詐欺もどきには気をつけなければなりません。ロールキャベツに毒が入ってなくて良かったです。
天井の穴にはもっと謎めいたものがあるのかと思っていましたが大したことはなく、登場した老人は二人とも子供がいて、同居のこと、子、孫への支援のことなどありふれたものでした。子供のいない独居老人のことも描いてほしいと思いました。
マンションの老朽化で床が歪んだという前提はあるものの、傾斜のある舞台は足腰が悪くなった老人のちょっと苦労する日常を描くには最適でした。
満足度★★★★★
素晴らしい!
ほぼ那須佐代子さんの一人舞台、素晴らしかったです。
ネタバレBOX
中東の紛争地域内の一室で、銃で撃たれ意識不明の夫を看病する妻の様子を描いた話。
ほぼ那須佐代子さんの身体を張った一人芝居、素晴らしかったです。中田顕史郎さんはシーッ、シーッと呼吸音を立てるだけでしたが存在感がありました。最後までそうなのかと思っていましたが、ラストシーンは衝撃的でした。
人形やペットに語り掛けるように、意識を失くした男は理想的な性格に見え、自由に扱えることで本音をぶつけることができました。しかし、意識を取り戻した夫は日本でいうと明治時代の家長のような男で、本性を取り戻し妻の首を絞めました。
ラストシーンで妻が動いたのは驚きで、したたかに生きる女の強さを感じました。
希望をもって努力することは大切ですが、祈れば叶うという宗教観が存在することが諸悪の根源だと痛感しました。
祈れば叶う、叶わないのは祈りが足りないからというのは、新興宗教にありがちですが、古くからの宗教にもあることはとんでもないこと、金儲けの手段に使われることが多く許せません。大間違いです。
満足度★★★★
『Border Less』観劇
様々な境界線の話でした。
ネタバレBOX
『夢現 -ゆめうつつ-』 満員電車で足を踏まれるくらいな密な生活を送っている男が、中東をバックパッカーしているうちに危険地域に踏み越んでしまって拉致される話。
『Love Letter』 塀の向こう側の死刑囚に恋をした女の話。一目ぼれは事実だったとしても、結局は結婚して永住権を得るための人身売買組織の方針に従っていたものだったということでした。
『コスモポリタン』 元ユーゴスラビア出身で、今は無国籍で日本で暮らす女性を通して制約された生活振りが明らかにされる話。
客席はあまり高低差がなく、若干見づらかったです。
満足度★★★★
ほぼ子役だけ
すごいことです。
ネタバレBOX
母親が失踪して残されたきょうだい三人が、ばらばらになるのを避けるため自分たちだけで生き抜こうようとする話。
母親は元々育児放棄の癖がありましたが、友人の夫との不倫関係で苦しみ、娘から自殺容認の言葉があったことが明らかになったことで、今回の失踪の真相を窺い知ることができました。
ほぼ子役だけで2時間を超える上演時間をこなすのは並大抵のことではありません。大声で叫ぶ演技、若干棒読み傾向ではありましたが、特に16歳と14歳の二人の子役さんの活躍には目を見張るものがありました。
満足度★★★★★
5cmの向こう岸
いくつもの話が膨らみ、絡み、素晴らしかったです。
ネタバレBOX
キリンのようなのっぽの女子大生がおとなしめの後輩男子に恋しているという話を軸に、その後輩男子が恋心を抱く喫茶店のバイト女子を始めとする客やマスター、バイトたちの表と裏をさもこちらがメインかのように膨らませて描いた話。
リフレインの度に真相が明らかになっていく様は痛快でした。不幸であることに喜びを感じたり、けなげに世話することを他人に見せたがったりする人がいて世の中はややこしいです。
不治の病で実の息子に会うのはこれが最後、恐らくはもう二度と会うことのない母親をギャングの女ボスのように描くなんて、なんてお洒落なんでしょう。
ユーミンの「5cmの向こう岸」も思い浮かびました。そして、それにぴったりの女優さんでした。
満足度★★★★
あまり共感できず
よくあるケースなのか私には分かりませんでした。
ネタバレBOX
離婚を決め、引っ越し作業をぼちぼちしている夫婦の会話から、離婚原因が明らかになる話。
最初は夫が妻を求めなくなったことが原因のように描かれていましたが、流産が原因で性欲はあるもののセックスができなくなった妻に原因があったことが明かされました。
流産が女性に及ぼす影響についてははかり知れず、こういうケースが多いのか稀有なのか全く想像ができません。そうではあるのですが、セックス、セックスと、うるさ過ぎました。
久ヶ沢徹さんはうらやましいくらいにお若いですね。
満足度★★★★
2015年
まだ少し残っていますからね。
ネタバレBOX
早稲田大学と思しき劇研の1995年と2015年を描いた話。
麻原の裁判が時間切れのため一審だけで中途半端に終わったことを批判的に考える賢明さがある一方で、麻原の死刑執行を喜ぶ一面もあるのが普通の人の感覚でした。
今は作家となった男が書いている脚本と現役学生の書いている脚本が同じ、劇団員も同じ面構えという、タイムトラベルでもない困惑した状況に、どう解決してくれるのかと期待しましたが、どんなやり散らかした理屈に合わないことも一発で解決してくれる夢落ちでがっかりしました。
大人警察やチャルメラボックス、犬などでくすっとさせられました。ならば、チャルメラっぽくSFで解決してほしかったのですが無理ですね。
芝居に執念を持つ『楽屋』、取り壊される劇研の建物のことも考えると『化粧』、あるいは『解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話』を思い浮かべていました。
ところで、お宝生写真を週刊誌に売ったりネットに投稿することもなく、本人の求めに応じて素直に返していましたが、歴代の劇研の人間はそんなに善良なのでしょうか。
満足度★★★★
円山町
こまばアゴラ劇場への行き帰りには多分この近くを歩いているのだと思います。
ネタバレBOX
一流企業の調査研究部門に勤務しながら売春をしていた女と彼女を殺した男がそれぞれ地獄の入り口で係員から詰問され、経緯が少し明らかになるようなならないような話。
女には自殺願望があり、手助けしてくれる人を探すために2,000円とか安い金額で売春していたのでしょうか。それとも単にセックス中毒だったのでしょうか。彼女の希望を叶えた男は背中が痛いと言っていたので阿藤快さんのように大動脈瘤破裂が死因かなとも思いましたが、恐らくは死期の迫った癌患者だったのでしょう。
高学歴観客向けのような作りでした。
満足度★★★★★
二役の妙
大きな愛、この後が非常に気になります。
ネタバレBOX
宮崎と鎌倉を舞台に、現在と学生時代、新婚時代等の過去をテンポ良く転換させながら、やや若年性の痴呆症に罹り始めた妻が忘れてしまった重大な過去の秘密がそこはかとなく浮かび上がってくる話。
スプライトとかバヤリースは今も売られている商品ですが、大学生にスプライトとしゃべらせるだけで一瞬でみんなに時代を分からせるのはさすがです。
みかん好きの長女は丸い顔、次女は長い顔。長女役の大西さんは先輩の姉との二役で、長女の出生の秘密が窺い知れました。『星の結び目』で描かれた氷屋の長男と次男のようでした。
そして、夫もそのことを知りながら受容していました。先輩の甥と文通を続けている長女が宮崎の地でその人と出会ったときに、その人があれっ伯母さんに似ていると気づいてからどのような結果になるのか、即ち宮崎に縁があるということになるのか、あるいはやや近親過ぎるということになってしまうのか、期待と不安でいっぱいです。
満足度★★★★
テーブル返し
理屈っぽくて、先が読めてしまうような性格、同情します。でも嫌いではありません。
ネタバレBOX
痴呆になりかけのじじいが思い出の味を食べたいと言い出しての顛末、みたいな。
説明しづらいですよね。私も音楽が覚えていられなくて、いいなと思ったその曲に出会うとすぐ思い出すのですが、しばらくすると出てこなくなってしまいます。
満足度★★★★
素敵な三人
意欲的な三人とお見受けしました。
ネタバレBOX
キュウリやナスが出し入りされたりかき混ぜられたりするぬか床の様子を、若い女優さん三人によってダンスパフォーマンスを取り入れながら描かれたショートコント集。
タイツマンスタイルは普通野暮ったくなるものですが、お若いせいか可愛くちょっと色っぽさも感じられました。
コント自体は大して面白いとは思いませんでした。ただ、上演時間約60分の間に炊いたご飯をぬか漬けとともに食するラストシーンに流れたアナウンス、「役者との面談は役者が食事が終わるまでお待ちください」には思わず笑ってしまいました。
満足度★★★
狂騒
迫力はありました。
ネタバレBOX
敵対するサッカーチームのサポーターたちの話。そして裏ではサッカー賭博が蔓延し、下層民が熱狂している中でフィクサーがせせら笑っているという実情を描いた話。
昔八百長をした新井というかつての名選手が地下ごみ集積所にいて、オペラ座の怪人かよと思いました。最後、選手がサポーターの鼓舞に押され、八百長通りでなくPKを蹴り込みましたが、どっちでもいいと思いました。
ベテラン俳優ということにあぐらをかいているのか、年齢とともに芝居が上手くなるということもないのだなと痛感しました。
若い人にも老害が移っているようでした。迫力はありましたが覇気はありませんでした。喧嘩シーンでも、本当に腹部を蹴ってはいけませんが、せめてあと5cmお腹に近い床を蹴ってほしかったです。
演奏を取り入れる手法も、演奏芝居の舞台を観ているようで古臭く感じました。
満足度★★★
【チームA】観劇
これからだと思います。
ネタバレBOX
演劇祭のための脚本が書けなくて苦しんでいる高校生に、先輩女子、後輩女子が関わる話。
先輩と後輩を演じ分けるのは難しいですね。
若干棒読み嚙み噛み、セリフが出てこなくてお見合いするシーンにはドキドキしました。
満足度★★★
『待つこと、こらえること』観劇
310あ01、3かき723、マイナンバーなんだとか
ネタバレBOX
漠然と整形手術を考えている女性が病院のオペレーターに電話する15分の初演時ストーリーに、今回の演出家が女性とオペレーターを逆にしたバージョンと原作にない第三の女性にしゃべらせるバージョンを加えて45分にした話。
作家は演出家の才能に期待していた割にはあまり加工を望まなかったようですが、とは言っても演出家がおっしゃった15分物ではお客に失礼は当然で、演出家が15分物を選択した時点で分かりそうなものです。それならばそもそも他人にやらせるなと言いたくなります。
第二バージョンでのマシンガントークは見ものでしたが、同じことの繰り返しでは芸がありません。
この他にもトークの中で、作家が思いつくままにエピソードをつなげていく手法だとおっしゃっていましたが、『緑子の部屋』で受けた印象の理由が分かったような気がしました。