満足度★★★★
発想が面白い
この日はコント三昧でした。
ネタバレBOX
『電車が来るまで』、『想い出のカタルシス』、『虹は雨上がりに咲く』、『ヒーローの誕生』のコントが4編。
前回の続きというよりは新しいものという感じがした『虹は雨上がりに咲く』が池内風の作品で、他の3編は鈴木タケシの作品でした。
初対面である就職希望者と面接官が駅のホームで遭遇する、普通あり得ないシチュエーションを思いつく発想力が素晴らしいです。地球を救うヒーローたちの交通費は誰が負担すべきか、これまた着想が素晴らしかったです。
正直ソワレで観た小林賢太郎氏のコントよりも面白かったと思いましたが、13人ぐらいと1,000人ぐらいか、この集客力の差は何だと思ってしまいます。
満足度★★★★
底辺
はっちゃけ振りには満足しました。
ネタバレBOX
末期癌と知り、男と出て行った元妻に会いたく佐世保から坂出まで訪ねてきた男と女の話。
松田正隆氏の2000年の作品。『月の岬』での下手にはけた人物が上手からまた出て来るような不気味さ、不可思議さで表現するような手法は好きでしたが、もう既に幽霊じゃなかとなどと直接的な言葉で男の生気の無さを表現したところは、畳に陰毛をまき散らすような幽霊がいるわけないじゃないかと思い、異次元感をことさら強調する手法には若干飽きました。
しかし、スナックで売春している女の落ちぶれ方や造船所をクビになり生きがいを失くした男の様子から一転、ラストシーンにおいて女から水が溢れ、地球が水没し、鬼太郎の父が海の底にいるような展開には異次元感が出ていてはっちゃけ振りに満足しました。
満足度★★★
自虐
それだけでは物足りません。
ネタバレBOX
ひよこが孵化することに例えて、30前後の役者たちが世に出れないことを嘆く自虐劇。
30前後のサラリーマンは本格的な出世競争には早く、他人に対して見栄が張れる時期で、売れない30前後の役者にとって一番つらい時期であることはその通りです。当然全員が売れるわけでもなく、じゃあこの中の一人だけが売れるのかと言うとそうでもなく悩ましい限りです。
笑顔が面白い女優さんは、劇団5454の佐瀬恭代さんのようで存在感がありました。
満足度★★★★★
奥深い
職業倫理のその先まで描かれていました。
ネタバレBOX
無人偵察機ドローンの開発に結果的に携わった技術者が職業倫理に悩んだ末の顛末。
無人飛行物体の開発者が共同開発者である米軍が兵器として軍事利用転用を考えていることを知り職業倫理に悩むも、諜報部員による脅迫によって受け入れることになり、バグを忍ばせる行為に出たものの結局は洗脳され暗号を告白させられました。
軍が絡んだところで気づくべきであったとも思いました。また、全ての技術は軍事転用、もしくは民間転用され得るものであるとも言えます。
ただ、職業倫理に悩み、その結果その人なりの結論を出す話かと思っていましたが、その気になったときの軍は個人の職業倫理など簡単に押しつぶすその凄まじさには恐怖を覚えるとともに、作品の奥深さを感じさせました。
那須さんのヒステリーは迫力がありました。
満足度★★★
不思議
笑える人がいることが不思議
ネタバレBOX
城崎温泉に湯治に来たOさんが見た妄想を表現したようなパフォーマンス。
お猿さんや明石のタコなのか変なタコが出てきましたが、あの程度の擬音やうなだれるしぐさなどでよく笑える人がいるもんだと感心しました。
説明書きにあるような、Oさんが背中が痛いなどの様子は全く分かりませんでした。
精神的には全く治っていないと最後に医者が診断を下すオチで、ストーリー性があったのだと理解でき少し救われました。
満足度★★★★★
それぞれ
面白かったです。
ネタバレBOX
キ上の空論 『日々が黒くなるその前に…って』 およそ10年振りに地元に帰ってきて幼馴染に会った話かなと思ったら、妹から恋愛感情を抱かれ自分もその気になるのを恐れて逃げ出した男が婚約者とともに明日の結婚式のため実家に帰ってきたというもの。
ぬいぐるみハンター 『みゆき』 みゆきの怒涛の半生記。
日本のラジオ 『ハーバート』 死んだ妻を生き返らせたオカルト系研究者の話。
かわいいコンビニ店員飯田さん 『虹はどしゃぶりの雨で咲く』 浮気の言い訳をする男、実は子供を作るのが目的のゲイカップルの話。
キュイ 『前世でも来世でも君は僕のことが嫌』 公園でホームレスを痛めつけたりする、言ってみればポケモンGOが配信される前の公演の様子でしょうか。
Mrs.fictions 『上手も下手もないけれど』 ひょんなことから楽屋が一緒になった男優と女優の何十年にも亘る愛情を描いた話。
ほっこり度一番で、素敵な『楽屋』でした。
満足度★★★★
むくむく
色んな事が一つに繋がりました。
ネタバレBOX
昭和新山ができたときの話。
郵便局長が冷静に記録していた話は小学生時代に教科書で読んだことがあり、むくむくと昭和新山ができたことは知っていましたが、戦時中ということで情報統制がなされていたこと、鉄鉱石等を運ぶべく鉄道輸送の重要性が背景にあったことまでは小学生には思い至りませんでした。
当時の郵便局は戦時国債を積極的に販売していたのですね。祖父から当時積み立てていて将来楽しみにしていた年金がパーになったと聞かされたことを思い出しました。
北海道に流れてきた人々の背景も興味深かったです。
満足度★★★★
馬鹿な男
でも、許してあげてほしかったです。
ネタバレBOX
生きる世界、目指す世界が違うが故に起きた悲恋物語を、現実のお団子屋と劇中劇のゲジゲジと鯉のミュージカルを通して描いた話。
店の金を盗んで女と出奔した夫とは正式に離婚はしていたようです。
色々な思いはあるでしょうが、ミュージカル界へのチャレンジは認めてやっても良いのではないか、男の分別のなさが諸悪の根源ですが、許すの一言がほしかったです。
テーブルの上に乗るのは好きではありません。演出上仕方ないとしても、別のシーンでテーブルクロスを敷いてお団子を作っていたのですから、テーブルクロスを敷いた上に乗るのだけは絶対に許せませんでした。
満足度★★★★
【Bチーム】観劇
中だるみがありました。
ネタバレBOX
周囲の人たちとの関係修復を図るべく、虚言癖を治したい人たち、嘘の一つもつければと思う人が虚言癖を治す集いである虚言癖倶楽部に通って回を重ねて変化していく話。
最初は顔芸みたいなのもあって集中していましたが、7週もやると途中顔芸もなくなり中だるみが出てきました。季節も変わろうかという約2ヶ月間、全員の衣装が変わらないのは余りにも不自然でした。
虚言癖倶楽部を主催する人が妹でなく姉、虚言癖の姉を探している妹ではなく、妹と関係修復したい姉だったというところが面白かったです。
満足度★★★★
【市川・浅賀の回】観劇
氏に悩まされました。
ネタバレBOX
津波で両親を亡くした女子高生が親の束縛から解放され島を出る話。
正直、スタジオライフだし、説明に岡野真也氏と書かれていたので、岡野さんがどう見ても女性に見えるのが不思議で、こんな声質の男性もいるのだと頭をずーっと納得させていました。で、検索したら女性で、なんで氏なんて使うんだ、もっと素直に没入できたのにと恨めしく思いました。
闇金の話はもの凄くシリアスで勉強にもなりましたが脇の話。島なので、地震が感じられなくても津波が来ることはあるでしょう。ただ、津波警報は伝わり、漁協のスピーカーから避難の指示がなされるはずで、いきなり津波に飲み込まれるというのは如何なものかと思われ、シリアスな面がある反面ちぐはぐに思われました。
丸まったノートがボランティアにとってはごみでも、関係者にとっては思い出だということを彼女を通して再認識しました。
満足度★★★★★
楽しい!
切ない!
ネタバレBOX
ウェンディはお母さんになってほしいと言うピーターパンに誘われて弟たちと一緒にネバーランドに行き、色々あって身寄りのない男の子たちを伴って戻ってきました。春の大掃除のために再び迎えに来たピーターパンに対し、ウェンディは自分が大人になったことを告げ、娘のジェニーが代わりに妖精の粉を掛けてもらい、大好きなことを頭に浮かべ浮遊しました。
最初のシーンでのきびきびした浮遊が素敵でした。ラストのこちらに飛んでくるようなシーンも素敵でした。
フック船長もお母さんがほしかったのですね。大人になりますと宣言する子供たち、ピーターパンの置いてかれた感と新しい子たちの親分になる生き様、世代交代的なラストシーンも含めて切なくなりました。
満足度★★★★
まほろば
女は強し
ネタバレBOX
母の遺骨を、母がいつも「飛んでイスタンブール」を歌っていたからにちなんでイスタンブールに散骨に来た三人の娘の旅話を、主に三女の立場から描いた話。
男にだらしなく奔放だった母は娘たちを祖母の世話をするための自由を縛る重石としていました。その祖母も目立ちたがり屋から教会の資金を不正使用したと指摘されて以来引きこもりとなるなどくせがありました。特に、妊娠初期の三女はこうした血脈を心配して結婚を躊躇していましたが、自分たちは結構普通だと認識して産む決心をしました。
普通だろうが普通でなかろうが、何が普通かも分かったもんじゃない、それでも女は子孫を残す、女性の強さを描いた『まほろば』を思い出していました。
斉藤由貴さんは若々しく、田畑智子さんが突然死みたいなことを口にしたときはドキッとし、鈴木杏さんは最近主役的なことがないな、志田未来さんは信長のシェフのときのように決して美人ではないけれど熱くて魅力的だなと思いました。
建て替え前のパルコ劇場最後の新作舞台、しかと見届けました。
満足度★★★★
普通の女子会
混ぜるものを変えると化学変化が起きました。
ネタバレBOX
先輩の結婚披露宴で手話歌唱をやろうと、ろうあ者の家で打ち合わせする手話ができるのとできないの、それにろうあ者の女子三人が、夏に鍋はどうなのかとかとか、好きな人が被っていたりして、気を使ったりすねたりもめたりする小編。
珍しいシチュエーション、筆談など面倒臭いところもありますが、しゃーないなんていう手話もあって普通の女子会でした。
同僚が来るのを知りながら光の合図に気付かなかったのは変でした。また、職場では彼女たちはエプロンをしていました。洋服のようなものの絡んだ糸をほどいていましたが、職種が今一分かりませんでした。
満足度★★★★★
華があって面白い!
比較的前のサイド席だったので、隣の人が笑う度に鼻息が私の側面にかかってきて、笑(わろ)メーターではあるのですが閉口しました。
ネタバレBOX
お洒落なアパレル業界の、お洒落だったりお洒落じゃなかったりの人間関係を描いたコメディ。
いらっしゃいませー↑、いらっしゃいませー↓、以前のデパ地下の話にも通じるものがありますが、マネキンのイントネーション一発で掴みはOKでした。
美人さんが多いから見ていてとっても楽しいです。
作演の岸本鮎佳さんが文化女子大学出身ということもあってか、客や評論家との理不尽な関係、店員同士の確執など業界に詳しく、少なくとも素人には詳しそうに見え、そこに空気の読めない感じや高校時代からの遺恨話などが加わり話が膨らみ見応えがありました。
満足度★★★★★
楽しい
まだ梅雨が明けておらず、涼しい日々が続いておりますが夏らしい噺でした。
ネタバレBOX
瀧川鯉作久 「新聞記事」 天ぷら屋の竹さんを殺した泥棒がすぐに挙げられたに対して、奥さんが尼さんになった、衣をつけたと切り返す噺。
桂米紫 「遊山船」 橋の上から屋形船の様子を見てうらやましがり、大騒ぎする庶民の噺。
瀧川鯉昇 「船徳」 居候が船頭をする噺。質屋のせがれだけに客を流したと。
身体の揺れが半端なかったです。舛添さんにせこさも似ているというところに笑いました。
神田京子 「与謝野晶子」 与謝野晶子の生涯。
君死にたもうことなかれの詩って長文だったのですね。人の名を間違えるのだけはいただけません。
桂米紫 「子別れ」 別れた夫婦が子供を介してうなぎ屋の二階で仲直りする噺。
川、船が重なり、うなぎも重なり、楽しゅうございました。
満足度★★★★★
【[a][d][b][e]】の回観劇
それぞれの地域、役者の個性に特徴があって面白かったです。
ネタバレBOX
[a]「楽屋から」[from沖縄] 2014年初演 出演・脚本・演出:犬養憲子(演劇きかく「満福中枢」) 共同演出:大浜暢裕(ハイトラッド) 沖縄舞踊の演者が楽屋に戻って次の演目までの間着替えながら舞踊研修生に沖縄の本音を語る話。
衣装の下の衣装も見られてお得でした。★★★★
[d]「チンピラB」[from大阪] 2014年初演 出演・脚本・演出:隈本晃俊(未来探偵社) エキストラに近い中年役者が、東京から来た小劇場役者にちょい役魂を熱く語る話。★★★★
[b]「如水」[from名古屋] 2015年初演 出演:おぐりまさこ(空宙空地) 脚本・演出:関戸哲也(スクイジーズ / 空宙空地) 認知症の母親を殺した娘の裁判風景。
まだらボケで正常に戻ったときに死を希望した母親。妊娠したせいか、結婚前に夫と飲んだ酒上善如水を苦く感じたのを思い出し、娘が飲ませた睡眠薬を溶かした液体を如水如水と言って飲んだのが悲しく、老いた母親、若い頃の母親、そして娘への切り替え毎に真実が明らかになっていく様は素晴らしかったです。★★★★★
[e]「或る男」[from大阪] 2015年初演 出演:徳永健治 脚本:西川さやか(月曜劇団) 演出:上原日呂(月曜劇団) 死んだり、生まれ変わったり、何かを盗まれたりする様子をバタバタと描いた講談風芝居。★★★
満足度★★★★
切なく
ハートウォーミングでした。
ネタバレBOX
シリーズ物の主人公高田安男の妻が原因不明の病気になり、最終的に幼馴染の医者に検査してもらっていると、その病院に中学時代の関係者が何となく集結してきました。安男も疲労で意識を失うものの、それは夢と現実、過去と現在を行き来するということで、何度も意識を失ったり回復したりしながら中学時代の悲しい思い出を封鎖したことで支障が生じた同級生の心や周辺を変化させることができたというSFミュージカル。
全てを変えられるわけではないところが切なかったです。
単に夢を見ただけなのか、タイムスリップして過去を変えたのか、どちらともとれる終盤でした。目を覚ました同級生の息子が安男に対してお世話になりました的な言葉を発し、種明かしをしてスッキリさせてくれましたが、そんな安直な終わり方ではなく、もやもやさせたままで良かったのではないかと思いました。
早着替えはお見事でした。ただ、途中からジャージのまま着替えなくなってしまったのは残念でした。
中央奥の演奏者を入れるボックスは使い回しなのでしょうか。チャチで薄汚れていて、素舞台に近い演出を損なっていると感じました。
満足度★★★★★
素晴らしい!!
横山彰乃さんが加わったダンスパフォーマンスは本当に素晴らしいです。
ネタバレBOX
テンポ良く切れのある女性5人によるダンスパフォーマンス、60分。
朝の連続ドラマ「瞳」で榮倉奈々さんの代わりに横山さんが出ていたらコンテストで優勝していたでしょう。
満足度★★★★
親しみやすい鹿殺し
大音量、見事な殺陣、迫力ありました。
ネタバレBOX
織田信長の影武者になったりした戦国時代の戦乱で親を亡くした名もなき若者たちの生き様を描いた話。
親しみやすい音楽、生演奏、最近のギャグを織り交ぜたギャグなどあって楽しく、大きな舞台全体に広がる迫力ある殺陣は素晴らしかったです。
ふらふらしている内に本能寺に迷い込み、たまたま変に巻き込まれ殺されたとなると、おやっ、本物の信長は生きていたのかもしれないと思わせる謎めいたエンディングも取ってつけた感はありましたが素敵でした。
アフタートークでの劇団の創世記トークも面白かったです。入交星士さんが一年間北欧へ音楽留学するとのことでした。
満足度★★★★
自由形
すっかり騙されました。
ネタバレBOX
母親が残した2トントラックいっぱいの覚醒剤を、自ら使う、他人に売る、食材に混ぜるなどして生きてきた五つ子の話。
と思ったら、母親が死ぬ前に我が子のために粉ミルクを大量に買い占めたってことで、覚醒剤で狂ったような言動になって収拾がつかなくなるような話かと思っていましたが、きちんとオチがありました。
受付に役者の一人が喉をつぶしての断り書きが貼ってあって、主宰が声だけ代役をしていました。声を出さない息子が一人いて、それなら役を代えればいいじゃないか、なんか変だなとは思っていましたが、何もかも嘘ですっかり騙されました。
途中で止めて説明を入れるといったやりたい放題の自由形でした。
スタジオ空洞のルールで、楽器の演奏がだめでミキサーを使っての大音量はいいというのはへーでした。