満足度★★★★
渡辺えりさんを含むベテラン女優陣と渡辺流演劇塾塾生とのバランスは良かったと思いました。
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介護施設で介護される側、する側として集まった40年前に劇団を結成したメンバーたちが、かつてやり残した最終公演の演目を練習する日々を、40年前の演劇界の雰囲気を醸し出しながら、認知症の劇団員がいることや、妄想癖の劇団員がいたこともあって、あっちに飛んだり、こっちに飛んだりしながら描く話。
若い人とベテランによる二人一役の絵などは素敵でした。
認知症の知識や、かつてのアングラ演劇や商業演劇の知識を盛り込もうとするあまり、当時のことを知らない人にとっては分かりづらく、細かい知識を振りかざす渡辺さんに対しては小賢しい感じがしました。
満足度★★★★★
様々な思惑、背景が絡み、面白かったです。
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日本軍の古い武器を売って物資を調達する昭和通商満州本社を舞台に、軍にしてやられてイランから仕入れたアヘンを奪われ、その資金が東条英機を首相に押し上げる裏金に使われたのではないかと示唆する話。
日本人、中国人が入り混じり、社員や出入りの人たちにはそれぞれ思惑や背景があり、堀田専務が主役とすれば誰が味方か悩ましく、この過程はドキドキさせられますが、そもそも味方ってなんだということになり、軍が主役だったということになりました。
最後、堀田が口紅型小型拳銃で殺されることを暗示するシーンで終わったとはいえ、題名の『スパイに口紅』はお洒落過ぎて違和感を覚えました。
満足度★★★★
イケメン俳優による典型的エンタテインメント演劇でした。
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文明開化後、軍人と、人間と妖怪の間で生まれた半妖がペアになり悪い妖怪を倒す話。
ざくろが歌うシーンがありましたが、あまりにも上手で、相手役の男優の声量では太刀打ちできませんでした。
満足度★★★★
[ 葉チーム ]観劇
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所は青森。神様の判断や死者の声を伝えるカミサマと呼ばれる女性と、相談に来る人々の話。
先ずは相談者の主張を認めた上でアドバイスする、まあ一般的な占い師のやり口でした。渡辺源四郎商店の作品なので仕方ありませんが、そもそもこうした題材を取り上げること自体が大嫌いです。
嘘も方便、嫁姑問題に悩む家族には落語的に、家族間の諸問題を解決する手法としてはありかもしれませんが、ご隠居さんが説得するのならまだしも、インチキ占い師が金儲けのために行うことが許せません。
最近舞台で見る年配の女優さんは如何にも素人の方が多くうんざりしていましたが、この公演の年配の女優さんは皆さん素敵でした。
満足度★★★★
多くの別役実作品とは異質でした。
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虐めに遭った少年が庇ってくれていた祖母を刺し飛び降り自殺する話。1979年に実際に起こった朝倉少年祖母殺害事件をモチーフにして作られた作品。
作者は虐められる側にも問題があるとの見解を父親に言わせていました。単純に虐める側が悪いのだと徹底するところまでには至っていないように感じられました。今となっては虐めを扱った作品としては古いのかなと思いました。そして、この作品を今取り上げる感覚も古いのかなと思いました。
舞台上には桜の花があって、桜の下には死体があるという台詞もあり、少年が自殺することを暗示していましたが、その通りに少年が自殺したのは単純過ぎでした。恨むことが生に繋がる、少年には恨み続けてでも生きていてほしかったです。
満足度★★★★
全体に緩い中、日替わり一人芝居だけは秀逸でした。
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日替わりメニューのうち、小玉さんの一人芝居か、ゲストと小玉さんが絡む二人芝居のある日を選ぼうと思っていましたが、ゲストと小玉さんが絡む二人芝居があり、加藤さんの一人芝居の内容に興味が惹かれたのでこの日を選びました。
そして、多くのコントや短編の中で、加藤敦一人芝居『潜考の博物館』が秀逸の出来でした。
夜間の博物館を巡回警備する警備員が新人警備員に巡回のコツを話し、展示品に警察官時代に出会った人物を重ね、過去の事件を思い出し口にするにつれ、すわっこの新人は過去の事件の関係者かと思いきや、他人と話しながら回ると時間が短く感じられる、そういうテクニックを身に付けたという独白に、これぞ理想の一人芝居と思いました。
満足度★★★★★
女の情念に満ちた二演目でした。
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『隅田川』 現代の隅田川界隈をコミカルに描いた後で本題に入りました。そんな昔に京から関東にまでさらわれた息子を探しに来るとは、娘を探しにフランスの森まで出掛け、さらにチリまで行くくらいの凄まじさを感じます。
『娘道成寺』 やや重めのしなやかで光沢のある白っぽいドレスが蛇を表現していました。かつての男を思い出し、恨みつらみが蘇ったときの表情、特に目の表情が素晴らしく、玉三郎さんが舞っているかと思うくらいでした。
歌舞伎にも色々な分野がありますが、如何にも歌舞伎ってやつも観てみたいと思いました。
満足度★★★★
鵺的ってそうだったっけ、ギリギリこらえていたような気がしていたのですが。
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女性の美しさと醜さを撮るために女性を連続して殺した写真家や、自らを犠牲にして悪魔だった妹を生き返らせた姉の仲間たちを、死をもてあそんではいけないと、生き返った悪魔がそれぞれ一人ひとりを写真の中に閉じ込める話。
一人の女性が写真家の犯行にさせられ、謎めいた話でスタートし引き込まれました。警察やもう一人の犯人との心理戦などを期待していたのでが、結局はオカルト物ということで収束しました。不思議な雰囲気を醸し出す劇団ですが、オカルトで済ましたことはギリギリ無かったと思っていただけに少し残念でした。
それにしても、意外にも真面目な考え方を持つ悪魔でした。
満足度★★★★
海の写真は美しい。
不思議そうな日常には惹かれました。
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地上が汚染され、金持ちなどが地下に住む、しかもより選ばれた階層の人々がより深い地下に住むようになった人類引きこもり時代における、比較的地上に近い部分に住む引きこもり女性の話。
一応地上でも即死するようなことはないらしく、海は少なくとも見た目は美しいようで、じゃあ何を恐れて地下に潜ったのか、地下で何を産業にして生きているのか、前提が今一つ理解し難いところがありました。
満足度★★★★★
めでたくもありめでたくもなし。お正月に考えてみるのも良いものだと思いました。
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病院の霊安室で働く人たちを通して、死んで別れるのも生きながら別れるのも難しいことを、年初早々、お正月に考えてみる話。
満足度★★★★★
そして、切ない。
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副題が「正義のテロリスト」というシューティングゲームで鍛えた腕を見込まれたニートが、軍事から民間までを扱うセキュリティ会社に入って紛争地域に行く話。
コーラって時々無性に飲みたくなりますが、そんなコーラが品薄で、戦地のコンビニには置いてあるなんてずるい作戦です。
力いっぱい世話を焼いていた息子が急にいなくなったこともあってか、戦地に行っている間に母親が痴呆症になっていたのは切ないですね。
満足度★★★★
帰省時期にふさわしい作品です。
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裸になって気持ちをさらけ出そうと歌ったバンドリーダーに音楽を続けることを勧められた青年と、その恋人で歌手を目指して上京し夢破れたものの実家に帰りづらい女性の話。で、全裸と実家ということなのでしょうか。
青年の曲は現実にあるのか、音楽家の青年は役だけなのか、それらの疑問がラストのライブで解決しました。
満足度★★★★★
「をんなの所為」観劇。名作は、さすが名作でした。
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女優A:空襲で死んだ女優。女優B:自殺した女優。女優C:能力的にも衰えを見せ始めた大女優。女優D:ストレスで精神を病み入院中のところ、病院を抜け出し女優Cに役を代わることを執拗に迫るも瓶で殴られ、それが原因かどうかは別にほどなくして死んだ若い女優。
塚越健一さんの女形は世田谷シルク『冒した者』でも見ましたが、少女役でなかったことと背中の突起を見ずに済んだことが幸いでした。
ショスタコーヴィチのジャズ組曲第二番は、日本の物悲しい場末を表現するのにぴったりで、なおかつ品位を保っているところが大好きです。
満足度★★★
どうでもいいという感じでした。
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普通に妄想する普通の人たちの話。
元気のいい女子高生は誰の妄想でしたっけ。男性の妄想だったら元気がいいだけでなくもう少しセクシーさもあっただろうにと悔やまれました。
満足度★★★★
男女が舞台上で対角線に対峙した瞬間思い出しました。そして、舞台奥両端に置いてあるソテツの葉を青く染色したような観葉植物のようなものも記憶に残っていました。
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離婚を前提に、男女が一時間ずつ攻守を替えて言いたい放題責め立てる話。
基本二人舞台で2時間20分は長いと思いますが、60分の一人舞台が二本と考えると辻褄が合います。
一人で一時間しゃべりまくる役者の技量は大したものです。ただ、翻訳物のせいか、内容はあまり伝わってきません。
2013年に観たときは夫婦の別れ話の話だと思っていましたが、途中この部屋、大スタジオ近くの控室に入ってきた合唱団の人たちが、大スタジオで自分たちの合唱コンクールがあることを話した後で、別のスタジオで演劇コンクールをやっていることを示唆した発言があり、『愛のおわり』という演劇の最終調整をしている二人の役者の話なのではないかとも考えました。
満足度★★★
時間堂解散ということで観に行きました。
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ローザというドイツの革命家の墓前に集った関係者がそれぞれ彼女を演じることによって彼女のことを知ろうとする話。
亡命を勧められても、他国からの遠吠えでは存在価値がないとして断り殺されたこと、英雄色を好む面があったことなどが明らかになりましたが、そもそも全く知らない人のことなので、少しばかりの隠れた一面が分かったところでへえそうなんだといった感動もなく全く興味が湧いてきませんでした。
彼女が生きていればナチの台頭はなかったのか、あるいは彼女たちの運動が激しかったが故にその反動によって右傾化してしまったのか、それとも彼女の影響など大してなかったのかなど考えました。
満足度★★★
凝った題名に追いつけませんでした。それ故、意味不明の分かりづらいものになってしまいました。
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先代の主人の死後、その息子に仕える使用人たちの話。執事ではなく、単なる使用人でした。
先代の主人が息子に殺されたということなどはアジンの妄想か、使用人の一人や息子の妻は生き返ったのか、幽霊か、死んでいなかったのかが良く分かりませんでした。
そもそも、生き返ったとして出てきた使用人は休憩室へ下がって死んだ使用人と同一人物なのか、登場人物が多くて特に特徴のない役柄であったためそこのところから良く分かりませんでした。
満足度★★★★
題名の印象とは全く異なるものでした。
ネタバレBOX
電車に飛び込み自殺した女子中学生のお別れ会に行こうとする人たちが、どこかの駅で線路内に人が立ち入ったために電車が来ないホームで運転再開を待っている間の様子を描いた話。
三人が手をつないでここ東奥原駅のホームから飛び込んだこと、三人はガールスカウト時代の知り合いで中学は別々だったこと、同人誌の漫画家が意識不明で集中治療室に入院中の中学生を題材に恋愛漫画を描いたことが影響したのではないかと思われること、集中治療室にいる中学生が躊躇している二人の手を引いて飛び込んだことなどが明らかになっていきました。
彼らは生き残った中学生のことを考え真相を秘匿しようとしました。遺族のことを考えるときちんと警察に話すべきだと思いますが、如何にも矮小な村社会で起こりそうなことでした。
事故時の運転士がリハビリのためにこの駅で勤務しているという設定が素晴らしかったです。
満足度★★★★
白い
完璧な人ではなかったけれど、頑張った人ということが分かりました。
ネタバレBOX
今、ウィキペディアを見ています。軍国色の強い時代の沖縄で、沖縄の方言を擁護したことについて憲兵から始末書のようなものを書けと言われたシーから、その憲兵に最初に出会った京城のシーンへ移動して、その時併合から何年とか言っていましたが、回想シーンのようだったので、過去に遡ったり先ほどの時代の沖縄に戻ったりしながら展開するのかなと思いました。
途中で関東大震災のシーンがありましたが、あれも最初は単なる火の海で、空襲の話かと思い、はてさて、いったいいつ頃の話なんだろうと思ってしまいました。
結局はなんてことはない、沖縄のシーンを除き時系列に進んでいることが分かりました。1916年に初めて京城に行って、1919年に三・一独立運動、1923年には関東大震災があって、1924年に朝鮮総督府の協力のもと朝鮮民族美術館を設立。沖縄のシーンは1940年前後。今ようやく把握しました。
朝鮮総督府の力を借りてでも朝鮮の民芸品を残すことが大事と考えるのも分かります。名もない民芸品といっても、同じ用途のものがあったら担当者好みのものを選んでしまいがちなこともあるでしょう。宗悦が一瞬自己否定したようで驚きました。民芸運動も難しいです。
1940年頃は沖縄の人のことを軍部が猿呼ばわり、先日は大阪府警が土人呼ばわり、今も昔も大して変わっていないのが情けないですね。
朝鮮と沖縄で同じ憲兵を登場させるところなどは、井上先生風だと思いました。
満足度★★★★
白い
若い作家さんが一度は通る道なんだろうと思いました。
ネタバレBOX
ですから、分かってしまうと、急激にテンションが下がりました。
原爆が投下され、放射性物質によって環境や体内が汚染された東京で、受精卵から発生した正常な胎児と異常な胎児のメルヘンチックな会話、異常な胎児と知った父母や一般人の対応などを表した話。
白い衣装同士の分かりづらい会話から、ああなるほど、胎児の話かと分かる展開。よくあるパターンですが、通過儀礼として仕方ないことなのでしょう。
何か効能がありそうなカタカナ言葉に弱い日本人に対しての空気清浄機のCMは、嘘をつかれてもすっと聞き入ってしまう怖さもありましたが、メンバーの息が合っていてとても面白かったです。
スタート時の誰か見てるんじゃね、何見てんだよ的なシーンは、目つむって寝てました。ここだけメタフィクションで馬鹿にしくさって不愉快でした。