満足度★★★★★
『ソウル市民1919』観劇
ネタバレBOX
1919年3月1日、三・一独立運動が起こった日の、京城篠崎家の文具店として戦略を練ったり、父の病気や妹の再婚話などでごちゃごちゃしたりするどこにでもありそうな日常と、興行で呼び寄せたお相撲さんが訪ねて来たという特別な日でもあるその一日を描いた話。
朝鮮人が道に溢れていると見聞きしても、その当日には何が起こっているのか分からないのは当然のことですが、お相撲さんの面白い非日常性とこちらの不気味な非日常性が相まって素晴らしいエンタテインメントになっていました。とても面白かったです!
それにしても、京城で商売していて、誰もハングルが読めない、覚えようともしてこなかった現実にも日本人と朝鮮人の立場の違いが鮮明に現れていました。
満足度★★★★★
記念すべき破局公演を観ることができて良かったです。
ネタバレBOX
タッグを組んで活躍していた二人の外科医が別々の道を歩むことになり、時には挫折するようなことがあるかもしれないが、お互い気に掛けてはいるからそれぞれ信じる道を歩んで行ってほしいという話。
2018年5月に犬と串が活動を休止し、同時に藤尾勘太郎さんが退団していたなんて知りませんでした。ただ私としては、鈴木アメリさんが犬と串に出演されなくなった時点で犬と串に対する観劇意欲が下がり、2016年に彼女が退団されていたことを後に知ったときの方がショックが大きく、劇団に何があったのだろうと思う気持ちが強かったので、その流れとしての活動休止と捉えると、今回の報はさほど驚くことではありませんでした。
その鈴木アメリさんですが、今回出演されていて本当に嬉しかったです。赤いカラスが海に沈んだ詩の朗読は抑揚の効いたアメリ節満載で最高でした。
漢方が100%悪いわけではないと思いますが、エビデンスのない怪しげな代替医療を否定するモラルさんの真面目さには共感しました。
満足度★★★★
トルコのサウジアラビア総領事館でサウジアラビア人ジャーナリストが残忍に殺されたとするニュースがあったばかりだったので生々しかったです。
ネタバレBOX
自分のホテルで金持ち風の泊り客を殺し、金品を奪うことを副業にしていた母娘が、久し振りに実行しようとして殺した客は、実は20年程前に家出して成功して財を成した息子(娘の兄)だったという話に、その後娘があーだこーだ感想を述べまくる話。
あそこら辺の神様は、良きにしろ悪しきにしろ、積極的に行動する人間に対してはその行動を見守りますが、ただ単にすがってくる人間に対しては拒絶するという、自己責任論の強い神様でした。
山姥とか、日本でも昔はこういう犯罪が相当あったのでしょうね。
満足度★★★★★
面白かったです。
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多剤耐性結核菌用の試作薬の投与を依頼した製薬会社の研究員と、秘密裏に部下に使用させた大学病院の助教授の行為によって多くの入院患者が死亡した事案に関し、告発しようとした若手医師や
多くの入院患者が死亡した事案に関し、告発しようとした若手医師や事情を知っている中堅医師、自分が開発した薬を悪者にされたくない製薬会社の研究員などが話し合っているうちに、実は多剤耐性結核菌用の試作薬の投与を依頼したベテラン研究員と、秘密裏に部下に使用させた大学病院の助教授の違法行為によって起きたということが明らかになったものの、教授・助教授といった出世街道を地道に歩くため、製薬会社は会社存続のため、両社矛を収めるという話。
臨床試験の前に勝手にやることがあるのかなと思いつつも、ありそうな話でした。
三人対三人のバトル。それぞれの立場、それぞれの心境の変化が面白く描かれていました。
満足度★★★★
三部作ということで観ました。
ネタバレBOX
昭和23年の長崎。腕に紫色の発疹が出たことから、助産婦道具を片付け終活準備に入った女性が、夢に現れた原爆で死んだ息子に諭され、助産婦としてもう少し頑張ろうと治療を受けることを決意する話。
やたら息子の声が大きいと思っていましたが、原爆の衝撃音を示すにはこれくらい必要なのかもしれません。
ラストシーンで一連の出来事は母親が見た夢であることが分かりましたが、初っ端から息子は幽霊のような存在として登場しました。どちらかが死んでいる話であろうことは想像に難くありませんが、『父と暮せば』との違いを出す必要性があるにしても初めから息子が死んでいることを明らかにしたことで奥行きのない薄っぺらなストーリーになってしまいました。
少し噛み気味なのが気になりました。
満足度★★★★★
【Wキャスト◆の回】観劇
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二・二六事件の頃の長崎ピンカートン邸発掘現場と、紙を丸めて覗く王を排斥しようとクーデターが起きた古代王国を繋ぐような話で、発掘現場で見つかった鐘と丸めた紙には原爆の製造方法が書かれていて、米国人であるピンカートンの子孫の母娘は鐘を米国に持ち帰るという1999年初演の野田秀樹作品。
言葉遊び満載。部下の成果を横取りする教授を皮肉り、待っているだけで、恨んで自殺した蝶々夫人の恋愛観に対しては猛烈に批判していました。
個々の役者さんたちの質の高さ、年齢に応じた配役は素晴らしかったです。重厚な舞台装置も素敵でした。
満足度★★★★
気持ちは伝わってきます。
ネタバレBOX
軽音楽部を立ち上げたものの、ろくに練習もできず中途半端に終わった男の高校生活を主に描きながら、大学を卒業した今もなお夢を追いかけているといった話。
当日パンフレットに、この演目を最後に大学卒業後就職して演劇から離れる人がいると書かれていましたが、まさにこの状況を描いたような話で、就職する人の生き方を認めるものの、自分は演劇を続けてみるという意思表示を感じ取れました。
成功するかどうか分からないのが辛いです。
満足度★★★
お芝居やりますよーと言われてついて行ったら、お芝居の後に何か変なセミナーが始まってしまい、出るに出られず困惑したって感じの一連の催し物でした。
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『きつい旅だぜ』 当時少年だった長男が少女をめった刺しにして殺してしまい、一家離散した家族が、20年後に長男が働く旅館に集まったという話。
加害者の家族として笑ってはいけないと思い込む気持ちは良く理解できました。しかし、劇団や役者の都合なのか、顔の表情筋を動かさなったため親は年を取らなかったというのは如何なものかと思いました。
『駈込み訴え』 イエスを愛するが故に自分の手で役人に売ったユダの気持ちを表した一人芝居。
前の舞台そのままで、畳の上で靴を履いた演技は全く受け入れることができませんでした。せめて、黒幕を使うくらいしてほしかったです。
サラリーマン風いで立ちだったので湯田さんかとは思いましたが、最後の晩餐前後のことだとすぐ分かりました。ラストの商人のユダですは余計でした。大声でのセミナー、聞きたくなかったです。『きつい旅だぜ』だけで良かったです。
満足度★★★
いい話でもあったのですが、結果的には残念でした。
ネタバレBOX
墓苑のお墓を求める人たちの様々な事情を描いた話。
見えないものが見えたら病気ですと常々言っていた手前、見えたというか聞こえた人は脳の病気だったので文句は言えないのですが、やっぱり聞こえるのを商売にしているので、大嫌いな幽霊物の演目でした。
舞台の隅での座り芝居は見づらかったです。
満足度★★★★★
とても分かり易く、本格的古典を存分に楽しませて頂きました。
ネタバレBOX
何でも正直に話すことが良いと信じ込んだ男のせいで、友人の娘が自殺し、友人の家庭が崩壊するはめになる話。
理想の要請という言葉で新興宗教的な発想や行動を、まっすぐで正直という感じの言葉で中二病的性格を表現してくれて、彼のことが良く分かりました。そして、事件が起きてもなお自分は正しいことをしたと信じる姿に心底馬鹿だなあと思いました。
彼と対立する医者はというと、今度は嘘も方便という人で、彼の友人に発明の才能があると希望を持たせるだけ持たせる罪作りな男でした。
目が悪くなる病気とか、拳銃に弾が一発残っているとか、イプセン先生の伏線はあまりにもミエミエでした。
満足度★★★★
【クリスティーンが桜木梨奈さんの回】観劇
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婚約が破断になった伯爵令嬢ジュリーが、自暴自棄気味になって下々の者たちと踊り興じ、下男ジャンを誘惑した末に立場が逆転したようになって、最後死を選ぼうとするような話。
歴史的背景とかが良く理解できていないため、立場が逆転したようになった後からの逃避行を考えるなどのジュリーの思考が分かりませんでした。
身分階級がはっきりしている時代においては、上流階級の人々が尊敬できる対象であるからこそ身分の違いが容認できる旨のクリスティーンの台詞が印象的でした。
満足度★★★
ファンタジーパフォーマンス
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頭が割れて発見された父親の、死因、もしくは犯人を探るようなパフォーマンス。
夫宛のスパムメールに妻が嫉妬したことに悩み、夫の脳みそが破壊してしまったのか、父親の悩みを察したりして、女子高生の娘が斧でかち割ったのか、頭が自然に爆発することはあり得ませんが、どっちでもよかったです。
女子高生の真実か、それとも妄想か、という感じの台詞は、その時点で先ずは目の前の状況を素直に現実として観ている観客の立場としては、妄想の方に誘導されてしまうことになり、そういったこと諸々を判断するのは観客なのですから不要だと思いました。
妻だって、自分宛てに同じようなメールが届いているだろうにとは思いました。
満足度★★★★★
【フラスコチーム】観劇
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水虫薬特許申請用データが盗まれた事件を巡り、首謀者は誰だったのか、動機は何だったのか、目まぐるしく状況が変化するサスペンスドラマ。
あまりの大声に、また大声演劇の劇団かと辟易しそうになりましたが、開発者が死だ頃から引き込まれ、さらにこれでもかと言わんばかりのどんでん返しの連続で、内容的には満足しました。
身内しか信用しない冷徹な犯人でした。
満足度★★★★
観たいと思っていた作品でした。
ネタバレBOX
徴兵を逃れるため逃げ、捕まって12発の銃弾を受けて射殺された反戦ジャーナリストのガルサン、男が自殺したことに悩み無理心中を図った女とともにガス中毒で死んだレズビアンのイネス、恋多き女で、密かに出産した嬰児を湖に放り捨てたこともある肺炎で死んだエステルの三人が、ホテルの一室のような地獄に案内され、互いが干渉し合いながら眠ることもなく永久にそこで過ごすという話。
大学一年の時に、原書で読まされ試験に出された身としては、どのような話だったのか常々気になっていたので今回はいい機会でした。「地獄とは他人のこと」というフレーズを知っていれば、よりましな点が取れていたかもしれませんが、大学に入りたての頃の私には難し過ぎました。
最近では珍しくなくなった密室劇の走りだと思うのですが、全員死んでいるというネタ明かしは早かったです。
西洋のキリスト教世界ではどうして発想が地獄から出発するのでしょう。天国の一室と言っても通用する話だと思います。
キャピキャピ声の多部ちゃん、きれいでしたが、腫れぼったい目に丸っぽい鼻の頃が可愛かったなと思います。
それにしても、80分という短い作品に大学時代は苦しめられたわけですが、短い作品だったからこそ、『義母と娘のブルース』の最終回に余裕を持って間に合うことができ嬉しかったです。
満足度★★★★
人間関係は大変です。
ネタバレBOX
妬み、恨み等々の人間関係が絡んで崩壊した中華屋さんの話。
日本全国、どこのお店でも色々あるのでしょうね。お店でなくてもあるのでしょうね。大変です。
町の中華屋さんで、料理が作れないオーナーなどという時点で経営的にダメですね。
海水が滲みてきたり、浜辺の砂がこぼれてくるという非日常的な事象は、アゴラ受けはするかもしれませんが、無意味だと思いました。
満足度★★★★
よく練られた作品だとは思いますが、敢えて。
ネタバレBOX
津波で大勢の人が亡くなった岩手県大槌町のとある民宿の今の話。
関西の台風被害、北海道地震のことも取り上げていたので今の話ということでした。
最終決断は人それぞれでいいのですが、夫を津波で亡くし再婚しようとしている未亡人に、それを止めさせる権利は何人にもありません。それなのに、賛成する人が出てきて考え込む人がいたりして何ともバカバカしく、そんな自明のことに尺を使うのが全く理解できませんでした。
それよりも、民宿に関わっていなかった義兄が土地建物の権利を主張したことに非常に驚きました。人付き合いや営業センス等の関係で、親は民宿の不動産を兄に相続させたにも拘わらず営業だけを弟にやらせたのでしょうか。雇われ女将、そんなことは決して無いと思うのですが。いずれにせよ、そもそも営業をやる以上権利関係は把握しておかなければなりませんし、妻は旧姓に戻っているのですから、夫の財産の相続手続きは既になされていて妻名義になっているのではないかとも思われます。色々考えると、義兄の主張には無理があるのではないかという気がしてきました。
なんで福島じゃなく大槌町なのかという、谷賢一さんを挑発するような台詞は良かったです。
満足度★★★★
【Cブロック】観劇
ネタバレBOX
①虚大空間 (早稲田大学) 『とわのおわり』 いない人のことを話しぼけていると思われているとわさんは、実は幼い頃からちょくちょく出会っていたりしたせつさんのことをいつも懐かしく思い出しているんだよという話。
多くの役者さんを出演させるためか、何人もの男女の役者がとわさんを演じていましたが、そのシステムを理解するまで時間がかかり、分かりづらいわって感じでした。何歳のとわさんって文字映像もよく見えませんでしたし。
②劇団しゃけニギリ (日本大学) 『ピュアピュアクリームアイランド♡』 大学の劇団で一緒で、今も演劇を辞められない25歳の男と女が、ラブホテルを舞台にすれ違う話。
学生であろう作者がデリヘルのシステムに精通していることに驚きました。ちょっと男性の性的な表現が露骨でしたが、そこが肝ではないはずです。
オーディション落ちまくりで売れてはいないが芸能事務所に所属している男と、才能はありそうだがフリーっぽい女の、立場が逆転したところが見所でした。
③はなさじ企画 (多摩美術大学) 『おめめ(目目)ぼうぼう(茫茫)』 大口花という男女が大勢でてくる話。
大きな少女と小さな幼女の登場はインパクトがありましたが、その後は訳分からずでした。
Cブロックでは、『ピュアピュアクリームアイランド♡』が高得点でした。
満足度★★★★
素敵な雰囲気でした。
ネタバレBOX
娘を人質に取られたと言う男と接触し、真犯人を暴き出そうとする交渉人の話。
嵐の櫻井翔さんに似たお調子者のホテルマンが恐らく規制線を越えてであろう度々登場するので真犯人だとは思いましたが、その若い真犯人の意図が全く分かりませんでした。
テンポ良く場面転換し、役者さんたちは全員活舌が良く言葉がはっきりとしていて、訓練された劇団だと思いました。
満足度★★★★★
期待を裏切らないいつも通りのものでした。
ネタバレBOX
川柳を吐く(作る)人たちが集まったアパートを舞台に、川柳の破壊力や川柳が作れなくなった師匠の悲哀やバカバカしさを描きつつ、結局は無視することは虐めであって人間として絶対にしてはいけないことだと強く主張した話。
喪中でもキャバ嬢にだけは年賀状を出すという趣旨の川柳など破壊力抜群でした。
棒立ち棒読み、笑わない、この分野の雄です。
他の出演者から見えない俳優は幽霊とか妄想という演劇の一般的な手法を逆手にとって、みんなで無視していただけというオチはとても斬新でした。
満足度★★★★
ファンタジー
ネタバレBOX
兄を亡くして部屋に閉じこもっていた妹が、銀河鉄道の夜のような夢を見て、兄の死を受け入れ立ち直るという話。
元気になって何よりですが、金持ちの娘のことです、ただただ遊びまわられてもどうなんだろうと思います。