KAEの観てきた!クチコミ一覧

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ヘンリー四世 第一部 ‐混沌‐・第二部 ‐戴冠‐

ヘンリー四世 第一部 ‐混沌‐・第二部 ‐戴冠‐

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2016/11/26 (土) ~ 2016/12/22 (木)公演終了

満足度★★★★

第二部は、脇役陣が出色
一部より、二部の方が、舞台進行がスムーズで、中だるみがありませんでした。

浦井さんが、いつになく、役を掴み切れていない気がする反面、二部は、特に、脇役陣の健闘が、舞台を弾ませました。

亀田さんと佐川さんは、昔から、よく見間違える程、似ていらしゃるのですが、このお二人が、兄弟役なのが、個人的に、受けました。

一部とは、雰囲気の異なる役を楽しげに演じている役者さんが多くて、観ているこちらまで、その楽しさが、伝播する感覚を味わいました。

冒頭の「噂」の台詞には、現代の闇を感じ、ちょっと戦慄が走りました。

ネタバレBOX

後半、ちょっとアドリブが過ぎるきらいはあるものの、出演者が楽しそうなので、まあ、良しとしよう!と思ってしまいました。

小長谷さんの何役もの早替りの、身軽な演技力には、感服しました。

綾田さんの体を張った演技にも、敬意を表します。

演劇研修所卒の、イケメン、清水さんの今後も楽しみ!!
エノケソ一代記

エノケソ一代記

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2016/11/27 (日) ~ 2016/12/26 (月)公演終了

満足度★★★★

俳優三谷さん、なかなかでした
エノケンは、大好きで、子供の頃、何度も、オペレッタのLPレコードを擦り切れる程、聴いては、「ベアトリ姉ちゃん」などを歌い踊っていた私。

だから、懐かしいメロディに胸がワクワクしました。

猿之助さんは、普通の芝居に出られた最初の頃は、まだ役者として硬い演技をしていらしたのに、この舞台では、歌舞伎役者だと忘れてしまうくらい、エノケンに憧れ続ける、市井の旅芸人を、軽妙洒脱に演じていました。

だから、時々、遠目で観ると、いとこの香川さんと錯覚するような瞬間もありました。

久しぶりに、役者としての三谷さんを拝見しましたが、こちらも、生真面目に演じていらっしゃるのが、逆に、笑いを誘い、あっぱれな役者振りでした。

どこか、長谷川伸の股旅ものや、新派の舞台を想起するような、人情劇の趣き。

笑いと、悲哀のバランスも、ちょうど良い塩梅で、万人受けする作品だと思いました。

ネタバレBOX

時機を得たというか、菊田一夫の紹介の台詞に、一々、「君の名は」の…と枕詞をつけるのが、愉快でした。

今の若い世代には、「君の名は」は、あのアニメ映画ですものね。

三谷さんの世代には、あちらの「君の名は」なので、世代間ギャップをさりげなく、投影しているように、思いました。

古川ろっぱさんは、一度だけお見かけしたような記憶があり、風貌と言い、雰囲気と言い、三谷さん演じる、古川口ッパと、なかなか酷似しているのに、一人、受けてしまいました。

何役も演じ分ける、山中さんの八面六臂のご活躍と、春海さんの演じる熊吉の哀愁も、忘れ難いものがありました。
SOETSU―韓くにの白き太陽―

SOETSU―韓くにの白き太陽―

劇団民藝

三越劇場(東京都)

2016/12/03 (土) ~ 2016/12/18 (日)公演終了

満足度★★★

もう少し起伏に富んでいれば
日本民藝館は、気に入っていて、何度か訪れている場所。

いつも、柳宗悦という人はどういう人かと気になっていたところ、あの長田さんが、その宗悦を描かれるというので、これは観ないとと、苦手な劇場ですが、行きました。

手堅い演技の篠田さんと、相変わらずご活躍の日色さんの共演は、嬉しかったのですが、やはり、評伝劇の難しさ…。

どうしても、流れが、年表的になり、少し冗長になったのではと、思いました。

もう少し、登場人物も整理して、起伏に富んだ構成なら良かったのではと、感じました。

それに、いつも思うのですが、民芸の舞台って、どうにも、緊迫感が欠けている気がしてなりません。

ネタバレBOX

できれば、日本での民藝運動にまで、話を広げてほしかった。

柳宗悦の、朝鮮白磁に魅了された経緯はよくわかりましたが、やや諄さを感じました。

朝鮮と日本の歴史に照準を合わせるでもなく、柳の家庭事情の冗長な描き方には、少し、飽き飽きする部分もありました。

妹の出産時の臨終場面など、不必要ではなかったかなと思います。

声楽家である妻とのエピソードも、笑いを取る要素ではあるものの、他の場面での柳の描き方と、微妙な違和感もあり、まだ、全体的に、ブラッシュアップが必要な作品だと感じました。

活動家の二人が、爆弾を仕込み、それを、防ごうとして、警官にみつかり、旅館の女将が、身代りに、名乗り出て、二人を逃がす場面は、本来なら、緊迫感のある筈が、あまりにも、キャストの動きがもたついて、どうにも、爆弾に、現実味が感じられませんでした。

キャストが、如何にも芝居だという演技をすれば、せっかくの脚本も、全てが色褪せて感じられて、残念無念でした。
ヘンリー四世 第一部 ‐混沌‐・第二部 ‐戴冠‐

ヘンリー四世 第一部 ‐混沌‐・第二部 ‐戴冠‐

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2016/11/26 (土) ~ 2016/12/22 (木)公演終了

満足度★★★

第一部観劇
開幕前に、父と同期の劇評家の方が、相変わらず、お元気で、立ち話に花が咲きました。

もう80代の方なのに、昼夜通しで、ご観劇とのこと。

私は、とても体がもたないと、取り合えず、今回は、一部のみの観劇。

期待が大きかったのですが、以前拝見した、蜷川演出の、松坂桃李さんがハル王子を演じた舞台の印象が、あまりにも鮮烈だったせいか、少し、期待外れの感もありました。

何だか、音楽が流れる度に、これ新感線だっけ?の思いが…。

佐藤さんのフォールスタッフ、愛嬌がありました。ダグラス伯役の鍛治さん、圧巻でした。
以前、息子が共演させて頂いたことがある、小長谷さんのご活躍も嬉しく思いました。

ネタバレBOX

何となくの印象ですが、キャストの皆さん、大半の方が、自分の色を払拭していない雰囲気でした。

特に、浦井さん、wowowのコメディ番組と同じ色でした。

鵜山さんの演出が、そういう意向なら致し方ないのですが、やはり、私は、こういう作品では、演じ手の素を忘れさせる演技を期待してしまいます。

ストーリーは、知っているので、観やすかったのですが、ハル王子とフォールスタッフの関係性が、蜷川演出舞台の方が濃密だったので、2部での変化が出にくいのではと気になりました。

とにかく、後日、2部を観たら、また改めて、そのことは考察してみたいと思います。
誰も喋ってはならぬ!

誰も喋ってはならぬ!

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2016/11/23 (水) ~ 2016/12/07 (水)公演終了

満足度★★★★

歌穂さん、絶品!!
島田歌穂さんが、コメディ女優として達者な方なのは、「ダウンタウンフォーリーズ」などで、百も承知なのですが、改めて、その超絶演技に、呻りました。

ストーリー的には、かなりデフォルメされた内容なので、生真面目に受け取ると、どうなのかと思う部分もありますが、コメディなんだから、キャラクターに異を唱える気分には、なりません。

芸達者な方が揃ったコメディは、とにかく、世の中の憂さ晴らしには最適!

楽しい2時間弱の観劇タイムを満喫しました。

ネタバレBOX

最後のオチ、こういうの、大好きです。
吉例顔見世大歌舞伎

吉例顔見世大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2016/11/01 (火) ~ 2016/11/25 (金)公演終了

満足度★★★★★

ニ左衛門さんの至芸に酔う
成駒屋さんの襲名公演以上に、もう一度、ニ左衛門さんの綱豊卿を拝みたくて、夜の部を観劇しました。

何度も、観た御浜御殿ですが、拝見する度に、綱豊のキャラクターが確立される様に圧倒されます。

それに、本当に、真山青菓の台詞劇の巧みさには、その都度、舌を巻くばかりです。

一時期、歌舞伎役者としての演技がふら付いた感のあった染五郎さんの助右ヱ門も、見事に復活されて、安堵しました。

肝心の、芝翫さんの「盛綱陣屋」の方は、幸四郎さんの台詞が籠り、3階席にまでは明瞭に聞こえなかったのが残念でした。
そのため、周囲の席の方々も、左近君の登場までは、眠くなったと、異口同音に話していました。

成駒屋への掛け声以上に、「高麗屋!」の掛け声が、連発されるのも、ちょっと考え物だと思えてなりません。

ネタバレBOX

口上での、成駒屋さんの3人のお子さんの成長に、目頭が熱くなるばかりでした。

三田寛子さんのアイドル時代からのファンなので、どんなにか、息子達の成長振りに、目を細められているかと思うと、同じ母親として、いろいろな思いが交錯します。

新、橋之助さんには、特に、兄弟の長としての風格があり、本当に、今後のご活躍が楽しみでなりません。

「芝翫奴」は、福之助さんの初日のようでしたが、腰はもう少し、落とした方が良いとは思うものの、若さが溌剌とした舞踊に、大いに元気をもらいました。

お父様のペナルティを、3人の頼もしいご子息が、払拭してくれると、信じています。
ミュージカル★マーダー・バラッド

ミュージカル★マーダー・バラッド

ホリプロ

天王洲 銀河劇場(東京都)

2016/11/11 (金) ~ 2016/11/27 (日)公演終了

満足度★★★★

キャスト陣はベリグッドなれど
何となく、サラの行動に嫌悪感を感じて、舞台の世界に、のめり込めない自分がいました。

でも、4人の実力者揃いの歌いっぱなしのミュージカルには、ワクワクするもう一人の自分もいました。

舞台上の客席の方々、ハラハラしないのかと、気になってしまいました。(笑い)

サラの人格には、疑問を感じますが、サラ役の平野さんの熱演には圧倒されました。

橋本さんのトム、以前よりスリムになられて、益々魅力的。
妻の裏切りを知って歌う歌に説得力があり、涙が出そうになりました。

最後が、どういうことになったのか、ちょっとわからなかったのですが、アフタートークがあったお蔭で、腑に落ちて幸いでした。

歌だけで、台詞のないミュージカルなので、もう少し、歌詞が明瞭に聞こえると、理解しやすいのにと、残念に思いました。

はまる人は、何度でも、リピートしたくなる作品だと思いました。

ネタバレBOX

平穏な日常に不満を抱く女心をわからなくもないけれど、子育てをほっぽらかして、昔の男にのめり込む神経がどうも理解し難いので、サラに共鳴できないのが難点でした。

でも、歌唱力のある、実力者4人の共演は、贅沢で、内容を度外視すれば、堪能できる作品だと感じます。

サラ役の、平野さん、本当に、魅惑的でした。
るつぼ

るつぼ

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2016/10/07 (金) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

満足度★★

消化不良なるつぼ
以前、確か劇団昴の公演を観た記憶があるのですが、その時程の衝撃は全くありませんでした。

出自の異なる役者さんが混然としていて、演技の姿勢もマチマチだし、中には、役の意味を理解して演じていらしゃるか不明な方も何人かお見受けしました。

シアターコクーンという、劇場性からしても、この上演は、不似合いな作品だったように思います。

大変、時代性を超えた、深刻なテーマであるにも関わらず、1幕はあまりに退屈で、何度も、船を漕いでしまいました。

この作品は、もっと役を掘り下げた演技をされる集団で、上演されるべきではと感じました。

魔女狩りの怖さは、いつの世にもありますが、その本当の怖さを、伝えられる作品であってほしかったと残念でなりません。

ネタバレBOX

全体的に、ジャンヌダルクを思い出させる作風でした。

松雪さんは、相変わらず美しいななどと、余計な雑念が湧いてしまうのは、この作品の性質上、失敗なのではと感じたりしました。
フリック

フリック

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2016/10/13 (木) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

大好きなんです、こういう芝居
市井の若者の人間模様が秀逸。

ほぼ3人芝居で、同じ職場で働く若者達が、日々の会話の中で、御互いを深く知るようになり、関係性を深めて行く様が、実にリアルに投影されます。

アメリカやイギリスでの上演では、もっと人間描写が、ギスギスした感じなのではと想像しますが、マキノさんの演出は、どこか、日本の人情喜劇風な色彩でした。

木村さん、ソニンさん、菅原さんの、等身大の人物造形が秀逸で、3人とも大好きになってしまいました。

マキノさんは、群像時代劇などより、こういう登場人物の少ない、現代劇の演出手腕は抜群だなあと、嬉しくもなりました。

観客の入りが少ないのが、何とももったいない公演でした。

ネタバレBOX

寂れた映画館で、エイウ゛リーと新入りのサムの二人が、客席の掃除をするシーンが、概ね、8割を占める芝居。

掃除をしながら、二人が会話を重ねて行く内に、映画の趣味は全く違うのに、お互いに、好感を持つようになり、やがて、映写室で働くローズも加えて、3人の関係性が変化して行く様が、絶妙な描写で進行して行きました。

会話で、語られる映画を全て観ていたら、より深く、この作品に共鳴できたのにと、ちょっと残念!

人間は、誰しも、秘密や不安を抱えていて、それを、心を通わせられる相手をみつけると、相手に依存したり、相手に期待し過ぎてしまったり、勝手に、信じすぎて、裏切られたような気持になったり、そういう、誰にでもある経験を丹念に掬い取った戯曲が秀逸で、あるある度100%で、舞台の3人に、気持ちを同化させて、観ていました。

もっと、宣伝して、再演してほしい芝居です。
ミュージカル バイオハザード〜ヴォイス・オブ・ガイア〜

ミュージカル バイオハザード〜ヴォイス・オブ・ガイア〜

梅田芸術劇場

赤坂ACTシアター(東京都)

2016/09/30 (金) ~ 2016/10/12 (水)公演終了

満足度★★★★★

怖くなくて良かった!(笑い)
柚希さんの退団後の初主演ミュージカルだし、吉野さんと海宝君も気になるし、観たいとは思うものの、何だか、とても怖いイメージがあったので、恐る恐る劇場に向かいましたが、全然怖くなくて、まずはほっと胸を撫で下ろしました。

柚希さんは、女性役とは言え、ボーイッシュな役だから、これなら宝塚ファンの方も大満足でしょう。

何となく、TSミュージカルを彷彿とさせる、人間ドラマ活劇で、観ていて、スカッとさせられました。

海宝君の、更なる進化に、子役時代からのファンとして、惚れ惚れとしました。

横田さんも、あのCM同様、とても素敵でした。

ネタバレBOX

ゾンビが、あまり怖くなくて、むしろ、人間の犠牲になった悲劇の産物に見えて、哀愁を感じました。

柚希さんのリサはとても魅惑的!凛々しく、愛らしく、宝塚時代からのファンの方々も、目を細めて、観劇していました。
あまり、女性的な役柄よりも、こういう役の方が、お似合いな気がしました。

楽団を指揮する、ロベルト役の海宝さんが、「アラジン」や、「ジャージーボーイズ」の大役を経て、益々磨きが掛かった素敵な役者さんの進化されて、大変嬉しく拝見しました。華があるし、今後のご活躍が、とても楽しみでなりません。

ゲームを知らない私でも、充分楽しめるエンタメ芝居で、原作のあるG2さんの演出舞台は、本当に、間違いがないを、また実感しました。

血液型の、A型やB型に、言及する台詞があるのも、そういうワケがあったのかと、アフタートークでの柚希さんの説明で、納得。

ゲームや、映画を知らない観客にも、充分理解できる、親切な舞台づくりに、好感が持てました。
ヴィンセント・ ヴァン・ゴッホ

ヴィンセント・ ヴァン・ゴッホ

キューブ

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2016/09/07 (水) ~ 2016/09/24 (土)公演終了

満足度★★★★★

芸術の融合に感涙しました
橋本さんのゴッホと、岸さんのテオの組み合わせを拝見。

これまで、ゴッホを題材にした芝居は、何度か観ましたが、これほど、胸に迫る作品は、初めてでした。

映像芸術と、物語で描かれる画家ゴッホとテオの兄弟愛の悲哀。

ストーリー内部の芸術と、舞台芸術が融合した素晴らしい名作舞台でした。

是非是非、再演を!!

ネタバレBOX

最初から、ゴッホの絵そのままの舞台美術の美しさに魅了されました。

今流行りの手法なのか、壁に、キャンパスが投影されて、その中に、ゴッホの絵が散りばめられる演出は、秀逸の極み。

ほとんど、御二人とも、歌いっぱなしですが、一度では覚えられないような難解な楽曲だらけ。でも、森さんの訳詞は、的確で、ゴッホとテオの心情をつぶさに、観る者に伝えます。

ゴーギャンに去られた後、ゴッホが悲嘆に暮れて、自分の耳を抉る瞬間は、観ている方も、痛みが走りました。

テオも、ゴッホの死の半年後に他界していたことを初めて知りました。

何と、深い兄弟愛!!

テオの息子に、ゴッホがプレゼントしたという、アーモンドの木の絵が、本当に素敵で、実物を観たくなりました。

せっかく、素敵な舞台美術映像を駆使したのですから、最後の麦畑の、セットは、蛇足でした。何だか、あそこだけ、一気に陳腐に見えてしまいました。

途中から、橋本さんのサスペンダーが、片方、外れ、どうなることかとハラハラしましたが、橋本さんの渾身の熱演で、それも、リアルに見えたのは、演技力のなせる業でしょう。岸さんが、ずっと直すきっかけを模索されていたようで、結局、カテコの時に、直してあげていたのが、微笑ましく感じました。

橋本さん、役作りで、11キロも痩せられたそうで、それはそれは素敵なゴッホ振りでした。
朝食まで居たら?

朝食まで居たら?

劇団青年座

俳優座劇場(東京都)

2016/09/08 (木) ~ 2016/09/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

名舞台の王道
津嘉山さんが、役の設定の58歳に、充分見えることが、とにかくひたすら嬉しく思いました。

しっかりとした舞台セット。3人だけの登場人物なのに、いろいろな人物模様を感じさせる、秀逸な脚本。

伊藤大さんの的確な演出。

全てにおいて、一級の出来映えの舞台作品に、辛い数週間の出来事を忘れさせて頂けて、つくづく演劇に親しむ環境に生まれたことに感謝しました。

ネタバレBOX

以前もジョージの役を演じられたという津嘉山さん。その時の、ルイーズは、高畑さんだったのかな?と想像しながら、観ていました。

ジョージの年齢が、後半で判明しますが、58歳とのこと。無理すれば、そう見えなくもない津嘉山さんの役者力に、感服しました。

病気を克服されて、益々磨きの掛かった津嘉山さんの、益々のファンになりました。
SHAKESPEARE IN HOLLYWOOD~ハリウッドでシェイクスピアを~

SHAKESPEARE IN HOLLYWOOD~ハリウッドでシェイクスピアを~

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2016/08/31 (水) ~ 2016/09/14 (水)公演終了

満足度★★★★

楽しめたけれど
鵜山さんの演出に期待大でしたが、もしかしたら、こういう喜劇の演出は、ちょっと苦手でいらっしゃるのかなと感じました。

加藤健一さんのフゥワァとした演技が、とても心地よく、加藤忍さんのパックが、愛嬌があり、大変魅力的。

瀬戸早妃さんは、終始、魅惑的で、素敵な女優さんだなと感嘆しました。

演技力のある役者さんが結集して、楽しい舞台でしたが、やや騒がし過ぎる印象も否めませんでした。

ネタバレBOX

時代に翻弄される映画監督のマックス役の小宮さんの哀愁のある演技が、印象的でした。

植本さんの存在も、舞台の要で、改めて、舞台俳優は、素晴らしいなと、演劇ファンとしては、嬉しい贈り物を頂いた気分でした。
マハゴニー市の興亡

マハゴニー市の興亡

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2016/09/06 (火) ~ 2016/09/22 (木)公演終了

満足度★★★

キャストは良かったけれど
何となく内容的にイマイチ。

「三文オペラ」の出来損ない風なストーリー展開ですが、どうも、あの作品程に、中身が凝縮していなくて、散漫な印象。

でも、山本耕史さんの長きに亘るファンとしては、思いの外、彼の歌がたくさん聴けたのは、ひたすら嬉しく思いました。

中尾ミエさんも、「可愛いベイビー」の時からのファンなので、相変わらずお元気な舞台姿を拝見できて、幸せでした。

ネタバレBOX

舞台の使い方は、とてもうまくて、集中できたのですが、どうも、ストーリー進行が、モタモタしている印象。

人物造型も、イマイチで、1幕はとても退屈に感じました。

中尾ミエさんの登場シーンで、「可愛いベイビー」のイントロが演奏されたのは、しゃれっ気があって、気に入りました。

山本耕史さんの歌声には、相変わらず、魅了されました。
遊侠 沓掛時次郎

遊侠 沓掛時次郎

シス・カンパニー

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2016/08/27 (土) ~ 2016/10/02 (日)公演終了

満足度★★★

浅野さんの休演が残念
子供の頃から、長谷川伸の大フアンの私。

どんな切り口の芝居になるのか、興味津々でした。

でも、何となく肩透かし。

これだけのキャストが揃っているのに、味付け間違えな気がしなくもありません。

それに、この舞台の中で語られたり、演じられたりしている、長谷川伸の作品ストーリーを知らないと、わかりえない部分もたくさんあったように思います。

この日は、浅野さんが体調不良で、休演となり、演出の寺さんが代役を務められましたが、やはり、ここは、段田さんと、浅野さんの一騎打ちが観たかったと、ひたすら残念でした。

ネタバレBOX

度一座の演目として、劇中劇で上演されるのが、「沓掛時次郎」と、「暗闇の丑松」。

でも、台詞としては、「瞼の母」も引用されます。

後半の場面は、「暗闇の丑松」と同じようなシーン設定ですが、この舞台を観たことのない方には、???ではなかったでしょうか?

幾ら、劇中でストーリーだけを簡単に説明されても、芝居を一度も観たことのない人には、それが、丑松場面のパロディであることはわからないと思いました。

長谷川伸のエキスを散りばめた芝居にしたかったのでしょうが、何となく、計画倒れに終わった印象でした。
いま、ここにある武器

いま、ここにある武器

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2016/08/13 (土) ~ 2016/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

演出でこうも変わるか!とビックリ
昔観た芝居なのに、しばらくそれに気づかないくらい、趣の異なる芝居になっていました。中嶋しゅうさんは、同じ役だったというのに…。

以前観た芝居は、ひたすら深刻なストーリー進行だったように、記憶していますが、今回の千葉さんの演出舞台は、一見喜劇仕立てでした。

でも、以前観た時は、よその国のお話という他人事気分で観ていたのが、今回は、いろいろ卑近なストーリーだと感じました。

面白くて、共感できて、現実味のある怖さが、ない交ぜになった凄い芝居だと、改めて思います。

それにしても、いつも感心するのは、千葉さんて、重要なキャストでありながら、あんなに的確な演出もできるなんて、超人過ぎます。

ネタバレBOX

兄弟の掛け合い漫才のような日常の丁々発止のやり取りから、徐々に、深刻なテーマが浮き彫りになる、舞台進行が秀逸。

登場人物4人が、どこにでもいる人として描かれているので、余計、身近にある武器の怖さを、再認識しました。

以前観た時には、ドローンの実態が、想像の世界の産物でしかなかったけれど、どんな物も、使い方次第で、凶器になるという実感が湧いて、身震いしました。
BENT ベント

BENT ベント

パルコ・プロデュース

世田谷パブリックシアター(東京都)

2016/07/09 (土) ~ 2016/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

人間ドラマの深淵
素晴らしい舞台でした。

言葉では言い尽くせない、まさに、芝居を生で観ないと、体感できない、凄まじい舞台作品でした。

出演者の体現力が素晴らしい!

こんなにも、観ていて辛くなる内容なのに、感動がひたひたと押し寄せてきて、演劇の神髄を観た思いがしました。

最後は、予想できました。何となく、「100万回生きた猫」を思い出します。
人によって、捉え方は様々でしょうが、私には、究極のハッピーエンドに感じられました。

ネタバレBOX

佐々木蔵之介さんと、北村有起哉さんの、役者力に、とにかく感動の連続でした。

二人が、過酷な状況下で、愛を確かめ合うシーンは、壮絶です。

二人の台詞だけで、二人の繋がりが濃密になり行く様が、目に浮かびます。

だんだんと、それが進行するに従って、二人の息遣いや、腹筋の動きが加速して行く表現力に、心酔しました。

脚本と、演出にも、無駄がなく、淀みもなく、全てに、破綻のない、完璧な舞台芸術でした。

今、世界の全ての状況が、あの時代に逆行しつつある危険を感じるので、ナチスの所業の恐ろしさに、心身たじろいで、見入っていました。

同性愛にもかかわらず、それを隠して、ユダヤの振りをしていた主人公が、ようやく、心jから愛することができる相手をみつけ、彼が鉄条網に触れされられて、銃殺された後、彼の死体を処理した後、彼の着ていた、同性愛囚人の証拠のピンクの印のついた囚人服に着替え、自ら、鉄条網に近づいて行くラストは、壮絶ですが、彼の心はやっと満たされていたのだろうと、「100万回生きた猫」の安らぎの死を想起しました。
グレイト・ギャツビー

グレイト・ギャツビー

松竹

サンシャイン劇場(東京都)

2016/07/02 (土) ~ 2016/07/10 (日)公演終了

満足度★★★

雰囲気は醸し出していました
昔映画で観た「華麗なるギャッツビー」、ずいぶん昔なので、ストーリーの細部は忘れていましたが、観ている内に、映画のシーンが蘇り、それなりに雰囲気に浸れて、概ね満足でした。

大好きな馬木也さんの歌まで聴けて、満足です。

キャスト陣は、主役陣より、コングさんと、木村花代さんの夫婦コンビに、より存在感がありました。

ちょっとだけ登場される岸田敏志さんの哀愁を帯びた独唱も、素敵でした。

ネタバレBOX

ストーリー展開は、うまいと思うのですが、どうも、一部登場人物の衣装に違和感を感じました。

内さんは、見目麗しく、レッドフォードに引けを取らないギャッツビー振りでした。

コングさんの、妻に裏切られながらも、妻を愛する男の心情吐露が、絶品の演技で、泣かされました。

最後の、ギャッツビーが歌う楽曲は、何となく「君の朝」風?と思ったら、音楽は岸田さんが担当されたようで、さもありなんと合点が行きました。

最後のアフタートークは、女子の楽屋トークに終始し、何だか、蛇足の時間に感じました。
ジャージー・ボーイズ

ジャージー・ボーイズ

東宝

シアタークリエ(東京都)

2016/07/01 (金) ~ 2016/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

圧巻のチームホワイト
昔、トニー賞授賞式のパフォーマンスを観て以来、いつか日本でも観られる日が来ることを切念していました。

映画で、観て、来日公演も観て、日本で上演するなら、フランキーバリを演じるのは、中川さん以外考えられないと思っていました。

その夢想していたキャストの他に、海宝さんがボブ役を演じると知って、早くからホワイトチームのチケットを買って、首を長くして、この日を待ちました。

素晴らしい!!期待を遥かに上回る、日本独自の「ジャージーボーイズ」誕生に拍手喝采です。

日本語の歌詞のお蔭で、メンバーの日常と歌がリンクしていたことを実感し、昔以上に、フォーシーズンズの歌が好きになりました。

ネタバレBOX

中河内トミーの力技、福井ニックの安定感、そして、気品と華がある海宝ボブ、個人的には、理想のフォーシーズンズが、舞台上に存在していて、涙が出るほど、素晴らしい舞台でした。

中川さんのフランキーバリは、本当に、彼自身のようで、彼の新たなはまり役ができたことに、初舞台からのファンとして、感無量でした。

藤田さんの演出舞台は初見ですが、モニターテレビの使い方がうまく、3階までのセットなども、来日公演より、ストーリー展開や、人物関係が解り易く、才能ある演出家なのだと認識しました。

この日はアフタートークがあったので、出演者や、演出家の意図も聞けて、より、この作品への愛情が深まりました。

是非、このメンバーで、再演して頂きたいと、切望します。
エリザベート

エリザベート

東宝

帝国劇場(東京都)

2016/06/28 (火) ~ 2016/07/26 (火)公演終了

満足度★★★★★

熟成した花總エリザベートに陶酔
小劇場時代から注目しているソンハさんのルキーニ初日を拝見しました。

成河さん、初日とは思えぬ落ち着きぶりで、狂言回しの役を難なく熟されていて、感嘆しました。

そして、驚くべきは、花總さんのエリザベートが、更に熟成され、円熟味を帯びていたこと!

城田さんのトートは、その存在感が貴重で、お二人のデュエットには、何度も陶酔しました。

佐藤さんの皇帝も、役に深みが増して、素敵でした。

この日の配役は、たくさんの観客に評判が良かったようで、あちこちから「最高の組み合わせ!」の声が聞こえていました。

いつから変わったのか定かではありませんが、枝葉末節が剝ぎ落され、舞台進行がスピーディになって、リピーターには嬉しい濃密な舞台ですが、初見の観客には、逆に、予備知識が必要かもしれないと思いました。

ネタバレBOX

エリザベートの父親とゾフィーとの絡みのシーンなどが、割愛されて、以前の舞台より、人間関係の表現が、集約され、もたつきがなくなったように感じます。

ただ、そのせいで、時代背景に詳しくない観客には、わかりにくい部分もあるのではと感じます。

少年ルドルフの子役さんも、大変お上手で、日本の舞台でも、子役の実力が向上したことを、長きに亘るミュージカル好きおばさんは、心底驚嘆してしまいました。

そろそろ、「オリバー」を、こういう名子役さん達で、再演して頂けないかなと、期待してしまいます。

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