ニッキーの観てきた!クチコミ一覧

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溺れる家族

溺れる家族

アロッタファジャイナ

タイニイアリス(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/27 (月)公演終了

満足度★★★★

家族の崩壊と誕生の物語
一言でまとめるなら、投稿タイトルの通り。
何らかの事情により、どこか精神的に追い詰められている複数の家族の物語を、断片的に描写し、それぞれの家族の相関関係を劇の進行とともに明らかにする手法がとられえる。
ある家族は崩壊へとむかう一方、新しく家族となるものたちの誕生も描かれており、題材自体は古いものの、よく2時間強で、あれだけの家族を描き分けたものだと感心した。
登場人物は、だれが主役ということなく、並列で描かれているため、当然、人物の描写に濃淡が発生しているため、見るほうにとっては誰に感情移入していいのかわからず、混乱を来たす懸念はある。
また、登場人物の年齢は10代から50代まで幅広いことから、誰に感情移入するかによっては、芝居の評価は異なるのではないか。

アルバトロス

アルバトロス

ホチキス

王子小劇場(東京都)

2009/07/23 (木) ~ 2009/07/28 (火)公演終了

満足度★★★★

100万分の1の奇跡
タイトルのアルバトロスとは、ゴルフ用語で、ホールインワンの 100倍以上 出すのが 難しい と言われる。パー 5 の 2 打目、稀に パー 4 の 1 打目を入れて 規定打数 (パー) より 3打少ない打数でホールアウトすれば アルバトロス (アホウドリの意) となる。或るバトルの出る確率は100万~200万回に1回の割合といわれる。
それくらいの確率で、奇跡的に出会ったお笑いコンビの7日間を描く。

「テレビどっきり」という設定を借りて、新たに、相方を探すこととなった自分本位な男と、ひょんなことから、お笑いコンビを組むこととなった、リストラ男。
水と油のはずのふたりが、周囲の人々の応援を得ながら、立派なコンビ芸を披露するまでの7日間の出来事。

ありがちな設定ながらも、いくつもの伏線を活用しながら、人と人の出会いの面白さ、切なさを婉曲的に訴える。

それなりに楽しめる作品となっているのではないだろうか。

73&88【満員御礼!】

73&88【満員御礼!】

カニクラ

アトリエヘリコプター(東京都)

2009/07/15 (水) ~ 2009/07/19 (日)公演終了

満足度★★★

人と人のつながり
ある日突然、「念」で特定の人と通信ができるようになった人々の話。
今回集まった俳優さんそれぞれの「もし今の俳優をやってなかったら、何になりたかったか」といく設定を借りて、小気味よい会話劇が進行される。

人との接触を恐れ、家を飛び出した青年は、その見えない相手との会話によって、人とかかわることができるようになるエピソードを盛り込むなど、と特異なシチュエーションを生かしながら、人と人の接触、つながりの大切さを、ゆるーりと語りかける手法は、この作家・演出家さん独自の世界ではないか。


「何か訴えかけるもの」を求めて、劇場に足を運ぶ私にはやや物足りかなかった感もあるが、それなりにウェルメイドな仕上がりになっていたと思う。

此処より先へ

此処より先へ

13号地

シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)

2009/07/14 (火) ~ 2009/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★

成行ミチ子さんの演技に、鳥肌。
数知れぬ浮気の後に、脳疾患で植物状態になった男と、妻の物語。
妻は、夫が浮気をしている間中、じっと我慢し続けた。いつか自分の下に帰ってくると。。。
夫の病気によって、妻にとって待ちに待った二人の時間が戻ってくる。その環境に至福を感じつる妻であったが、やがて気づく。二人の関係はこれで行き止まりだと。
妻は、「此処より先へ行きたい(関係を再構築したい)」と、夫を絞め殺す。自分も心中を図り、黄泉の国で新しい関係を築く予定であったのだ。
しかし、妻は死に切れず、夫のいる夢と現を行きかう。
果たして、妻は死に、夫と新しい関係を気づけるのか?

夫は黄泉の国では、病気以前に戻ったかのように、傍若無人に振る舞い、決して妻を顧みない。黄泉の世界でも、二人は結ばれることはなかったのである。
しかし、傍若無人な振る舞いは、夫の屈折した愛の表現方法であるのだ。自分と同じ世界に妻を来させない(死なせない)ための。

介護疲れによる無理心中というテーマであるが、その描かれ方は決して平坦ではない。夫婦のあまりに屈折した愛の形が示される。

13号地は初見であったが、転位・21出身の加藤さん、成行さんの二人舞台ということで、たいへん期待していた。
その期待にたがわぬ名演技をお二人の俳優さんが見せてくれた。
特に、成行さんの演技には、恐ろしささえ感じた。

テーマ的に、受け付けない人もあろうかと思うが、私には実りある舞台となった。
ただ、惜しむらくは、観客が驚くほど少なかったことである(私を含めて15名ほど)。
なぜ、これほどの舞台を見せる劇団なのに、もったいない。

箱を持っている

箱を持っている

劇団あおきりみかん

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2009/06/25 (木) ~ 2009/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★

果たして本当の自分とは
それぞれの人格・個性をあらわす「箱」。
誰もが「箱」を持っているらしいが、誰もが「箱」が見えるわけではないらしい。
また、「箱」が見える人間は、自分と同じ「箱」を探して、その箱をつぶすと、「箱」が見えない生活に戻れるという。

『もしあなたは「箱」が見えたときに、その「箱」をどう扱いますか?』
と脚本家は問いかけてくる。

「箱」の存在に気づいた人間はいやでも、自分自身と向かい合わざるを得ない。
自分と同じ「箱」を持ったもう一人の自分は、自分の分身、つまり、鏡なのである。
その鏡を通じて、自分が感じている自分と、他人が感じている自分は、必ずしも一致しないことに気づかされる。
「箱」は決して、故意につぶそうとしてつぶせるものではなく、もう一人の自分と向かい合うことで、自分自身を受け入れ、かつ、もうその「箱」を必要としないことではじめて、「箱」は自然に消滅するのである。

果たして、自分は同じシチュエーションに置かれたときに、どのように、対応するだろうか???
と考えさせられた。

役者が開演から終演までずっと舞台の四方に、箱を積み上げるという演出も新鮮であった。

特異なシチュエーションションを使いながら、「自分の内面をみつめる機会を提供する」というオーソドックスな主題を扱う脚本家の力量に、感嘆させられた。

作風が独特なため、誰もが楽しめるとは言いがたいが、私には楽しめる舞台であった。

aoi labo 2(初日完売御礼)

aoi labo 2(初日完売御礼)

ノアノオモチャバコ

ラ・グロット(東京都)

2009/07/03 (金) ~ 2009/07/05 (日)公演終了

満足度★★★

本公演に期待!
本劇団ははじめて、見させていただきました。
劇団員による自主公演の形態をとっており、脚本も座付きの作家さんではなく、俳優さんが書いているようです
3本のオムニバス形式で、それぞれ20分程度の短編でした。
役者さんは、それぞれ熱演だし、ブラックなユーモア、時事ねたを織り込むなど、ところどころ笑いはあるのですが、いかんせん、時間が短く、それぞれ何を訴えたいのか、はっきりしませんでした。
今度の本公演は「かもめ」を題材にした長編のようですので、本公演に期待したいと思います。


イヌ物語

イヌ物語

劇団サーカス劇場

シアター711(東京都)

2009/06/24 (水) ~ 2009/07/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

救世主再生!
いやー、かなり深いです。今回のイヌ物語は。
今年は現在までに50本程度芝居を見ていますが、5本指に入る傑作です。
終わった後、お茶を飲みながら、話を思い返してやっとわかる部分も多々ありました。

この世の救世主たる「おじさん」と、世間から忌み嫌われる存在の「イヌ」。
自分の運命を悟った「おじさん」は、救世主の救世主たるゆえんの「鍵」を「イヌ」に託して、若者を救うために自らの命を託す。
それを受け取った「イヌ」もまた、自らの運命を悟ったかのように、その「鍵」を高々と掲げる。
新たな救世主の誕生を見た気がした。

ハルメリ

ハルメリ

西村和宏(青年団演出部)+ウォーリー木下(sunday)企画

アトリエ春風舎(東京都)

2009/06/23 (火) ~ 2009/06/30 (火)公演終了

満足度★★★★

言葉のもつ恐ろしさ
ハルメリ、という得体の知れない言葉が世論を変えていく恐ろしさ。
その言葉を信念に基づいて否定することで世間から抹殺されるコメンテーター。
その一方で、その言葉に迎合することで、自分の存在価値を見出そうとする主婦。

いつしか言葉は独り歩きをし、不気味に光を放つ。

軽い言葉のもつ恐ろしさを実感しました。
小泉劇場などと、わかりやすい言葉が衆目を集める今の日本をありのままに描いた秀作だと思います。
たいへん満足でした。

Romeo. シンガポール&ジャパンツアー (盛況にて終了!ご来場ありがとうございました)

Romeo. シンガポール&ジャパンツアー (盛況にて終了!ご来場ありがとうございました)

冨士山アネット

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2009/05/22 (金) ~ 2009/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★

興味深いスタイルでした
冨士山アネットの舞台は今回初めて見ました。
「独創的」という言葉がぴったりの表現手法がとられていてたいへん興味深く見ました。
せりふはほとんどなく、せりふの代わりに、ダンスで心情を表現するというスタイルがとられています。

事前に配布されたパンフに記載されている内容を先に熟読しておくことをオススメします(逆に、パンフを読まずに舞台を見ると、何を表現しているのか理解が難しいかもしれません)。
パンフに記載されている内容をこう表現するのかと感嘆させられることもありました。

その一方で、せりふ劇に親しむものとしては、せりふがあったほうがより伝わるのではないかなどと考えもしました。

個人的には、興味を惹かれましたが、この劇団は好みの分かれるところではないでしょうか。

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