johnnyの観てきた!クチコミ一覧

61-80件 / 192件中
Gross und klein  大と小

Gross und klein  大と小

TPT

上野ストアハウス(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/11 (日)公演終了

満足度★★

難解戯曲の演出に工夫が足りない
観ていて、ボート・シュトラウスという作家の本質に触れることができなかった。それが残念。

ネタバレBOX

ロッテが発する台詞は断片的だったり抽象的なものが多く、体のいいストーリーを観客に提示しません。また各々の場面自体も別のそれとの関連づけが弱いため、観ている方は注意力を保つのが大変でした。
おもいのまま

おもいのまま

トライアングルCプロジェクト

かめありリリオホール(東京都)

2011/07/30 (土) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★

異色のエンターテインメント作品
上演時間を休憩を挟んで二分して、それぞれ同じシュチュエーションから芝居が開始。登場人物の感情や選択する行動によりストーリーの結末が大きく変わっていくという作品。真夜中の侵入者と家人のやり取りに臨場感がある、良質のエンタメ作品でした。脚本は作り込みが甘いです。

ベッジ・パードン

ベッジ・パードン

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2011/06/06 (月) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★

楽しく観られたが、それだけでは物足りない
役者はどなたも大変達者。実力と華がある俳優が揃ってこそ成立する舞台でしょう。エンタメに特化した作品ですが、個人的にはそれだけでは物足りなかったです。何というか、幕が下りて劇場を出たら、芝居のディティールがさらりと頭から消えていってしまうような舞台かなと。これでS席9,000円は少し高いと感じました。

血の婚礼

血の婚礼

Bunkamura

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2011/06/24 (金) ~ 2011/07/30 (土)公演終了

満足度★★★★

「反時代的」芝居
猥雑さを醸し出すネオンの明かり、土砂降りの雨、力強いドラムの音、そして他者と繋がりたいと切に願う登場人物たち。無機質に整備された現代日本の情景とそぐわないものばかり。詩情あふれる清水邦夫の言葉と相まって、見事な劇的世界が廃校の体育館に立ち上がっていました。それから窪塚洋介、その存在感は半端ない!!

荒野に立つ

荒野に立つ

阿佐ヶ谷スパイダース

シアタートラム(東京都)

2011/07/14 (木) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

能動的観劇のススメ
確かに初見で話の全体像を掴み切るのは容易じゃないです。けれど、分からないけど何だか見入ってしまう、という作品こそ本物でしょう。想像力をフル回転し、虚構の世界に没入するしんどさと喜びを味わわせてくれる芝居でした。
中村ゆり、美しすぎる。これぞ正統派美人女優。

ネタバレBOX

重いモチーフを、あえて「軽み」の伴った語り口で洒脱に展開。長塚の懐の広さを感じさせました。
ヒロシマ・モナムール

ヒロシマ・モナムール

SPAC・静岡県舞台芸術センター

舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」(静岡県)

2011/07/02 (土) ~ 2011/07/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

俳優の声―テキストの美しさ
薄暗闇の中で見え隠れする、女と男の裸体。官能的な女の声―言葉。アラン・レネの「二十四時間の情事」に用いたマルグリット・デュラスの美しいテキストを、演劇のポテンシャルを最大限引き出す形で舞台化。装置のほとんどない舞台上に、二人の生と死が刻まれます。ただただ美しい、心が震える芝居。

天守物語

天守物語

SPAC・静岡県舞台芸術センター

舞台芸術公園 野外劇場「有度」(静岡県)

2011/06/18 (土) ~ 2011/07/02 (土)公演終了

満足度★★★★★

圧巻の出来栄え
期待に違わぬ完成度の高さ。野外劇場「有度」での舞台は、完璧な美しさです。「二人一役」の手法により、「天守物語」の幻想的世界観を見事に表現していました。他の方の高評価の通り、演劇ファンなら一度はこの野外劇場での公演を観てみて損はないと思います。
来年はどんな演目が上演されるのか―。

12人~奇跡の物語~

12人~奇跡の物語~

オフィスコットーネ

Space早稲田(東京都)

2011/06/19 (日) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★★

スリリングな法廷劇
原作の優れた筋書きをそのままに、設定を現代の日本に移したことで、観客が感情移入できる配慮がされていました。上演スペースを客席が両側から挟むことで、Space早稲田という小空間を利用して臨場感も創出しています。映画「十二人の怒れる男」を参照する形で、劇評を書いてみました。拙文ですが、よければトラックバックのリンクよりお読みください。

ピーター・ブルック近作『WHY WHY』

ピーター・ブルック近作『WHY WHY』

SPAC・静岡県舞台芸術センター

静岡芸術劇場(静岡県)

2011/06/18 (土) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

満足度★★★★

演劇とは―、俳優とは―
古今東西の演劇人の言葉を抜き出し、ピーター・ブルックが考える「演劇的なるもの」をユーモアを取り混ぜて語っていく一人芝居。氏の演劇観を堪能したい演劇関係者やディープな演劇ファンは惹きつけられる内容でしょう。そうでない人はおそらく敷居の高い舞台かと思いました。

平田オリザ・演劇展vol.1

平田オリザ・演劇展vol.1

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/04/28 (木) ~ 2011/05/17 (火)公演終了

満足度★★★

「マッチ売りの少女たち」観ました
脚本自体は市民社会を皮肉る様々な要素を盛り込んでいて興味深かったです。ただ、青年団の本公演には珍しく、芝居そのものは緩かった。稽古不足でしょうか?

わが星

わが星

ままごと

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2011/04/15 (金) ~ 2011/05/01 (日)公演終了

満足度★★

僕はこういう作品は好きじゃない
手法というか見せ方自体は洗練されていて、よく作り込まれていると思います。しかしこの作品の、世界の複雑さやあるいは人生のどうしようもない不条理さを捨象したような、ノイズや歪みのないツルンとした世界観が、まず受け容れられなかったです。厳しく言ってしまうと、少し幼稚かなと。それから、ままごとという劇団名の通り、演技や振付そのものがままごと遊びを模しているところも疑問。芝居という表現行為自体が「ごっこ遊び」の要素を含んでいるのだから、別にあえて「役を演じています!」というようなフリをする必要もないのでは。興醒めしました。まあ、単なる好みだけれど!

欲望という名の電車

欲望という名の電車

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2011/04/12 (火) ~ 2011/05/01 (日)公演終了

満足度★★★★

不朽の名作を堅実に演出
リアルな舞台セットを含め、基本的には原作を忠実に舞台化。メインキャスト3人はそれぞれ毛色は違うものの、精彩ある演技。特にステラ演ずる鈴木砂羽のナチュラルで柔らかい演技が出色でした。
興味深かった点は、1940年代アメリカの猥雑でエネルギー溢れるコミュニティーをあえてそのまま押し出すことで、かえって表現上の異化効果を発揮していたこと。現代の日本ではとんと見られなくなった光景ですから。

その族の名は『家族』

その族の名は『家族』

こどもの城 青山円形劇場/ネルケプランニング

青山円形劇場(東京都)

2011/04/13 (水) ~ 2011/04/28 (木)公演終了

満足度★★★

一言で言えば、物足りない
脚本や演出の所々に岩井氏のセンスの良さが感じられましたが、芝居全体の印象としては、取り立てて心に残るものではなかったです。

ネタバレBOX

父親が歌う井上陽水の「リバーサイドホテル」が響き渡る中、家族銘々が酒を飲みながらわいわい騒ぐのを、台詞なしで延々と続けるシーン(二度繰り返す)は、興味深い表現でした。映画では見かけるカットかと思いますが、舞台でもちゃんと時間や空間を切り取る効果を発揮していました。
結局、、「崩壊してしまっているけれど、それも含めて人間らしいし、結局やっぱり家族は愛おしい」というようなありきたりな受け止め方で終わってしまう結末はかなり残念。
それにしても研ナオコがずいぶんと端役。キャスティングありきのプロデュース公演の弊害が垣間見えた気がします。
国民の映画

国民の映画

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2011/03/07 (月) ~ 2011/04/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

これまでのところ今年一番
「それでもあなたは映画製作に参加するか―」ゲッペルズ邸に集った映画人に向けられた問いかけは、三谷自身が考えに考えた命題でもあったのだろうと想像しています。豊富な資料を駆使して、実在したナチス幹部の身体的特徴や性格を掴み、それを正確に舞台に反映させていました。第三帝国を語るのに中途半端な表現はできないという決意が感じられます。俳優陣の演技の素晴らしさは言わずもがな。これぞプロフェッショナルの舞台作品です!

南へ

南へ

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2011/02/10 (木) ~ 2011/03/31 (木)公演終了

満足度★★

面白くない
50日に及ぶ公演も終盤に差し掛かっている中で、Corich!ユーザーのレビューが芳しくないことが事実を物語っているのではないかと思います。結局のところ、今回の戯曲が持つレトリックと伏線の拡がりを、舞台上の芝居がまだまだ掴みきれていないのでしょう。これだと観客は語られる台詞の意味に意識がいくだけです。あと、台詞の連鎖で綴られる芝居としては劇場が大きすぎ。

ネタバレBOX

役者の演技はそんなに悪くないし、パイプ椅子を使ったアンサンブルはクリエイティブな表現だと思うけれど、それが舞台全体の出来として結実していないです。
アレルギー

アレルギー

イデビアン・クルー

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2011/03/09 (水) ~ 2011/03/13 (日)公演終了

満足度★★★★

「踊ること」と「踊らないこと」の間
を、さりげなくしかし念入りに探求。本作の主題である人同士や人と出来事の「アレルギー」が示す、「間(あいだ)」に潜む表現世界の萌芽とも結び付いていて、表現の深みに達していました。

世界の小劇場 vol.1ドイツ編

世界の小劇場 vol.1ドイツ編

DRIFTERS INTERNATIONAL

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2011/02/19 (土) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★★

3作品とも観ました
何よりも、この一風変わった企画が素晴らしいです。ドイツの、いわゆるフリーシーンで活躍する3つのカンパニーのポストドラマ的作品でしたが、3つともそれぞれ演劇観や作風が明確に異なっていました。こういった差異を日本にいながら知ることができる機会というのは、そうない気がします。今後もぜひ続いて欲しい!
それぞれの公演内容の感想については以下の通りです。「遺言/誓約」・・・☆☆☆☆ 音楽や笑いといった楽しい要素にシェイクスピア『リア王』のテキストの深い読みを絡め、親子のコミュニケーションという普遍的な問題を重層的に描き出していました。 「道化の霊廟」・・・☆☆☆ 20世紀世界史と社会主義という広大・深淵なテーマを置いて、各種楽器を用いた演奏やパフォーマンスを展開。率直に言ってちんぷんかんぷんだったけれど、作り手と観客が時間と空間を共有するという作劇のポリシーだけは伝わってきました。 「ブラック・タイ」・・・☆☆ 韓国に生まれすぐにドイツの家庭に養子として迎えられた30代女性の半生語り。映像や音楽、演劇的パフォーマンスを使っていましたが、それらがテキスト及びそれを語ることの引き立て役に終わっていて、このパフォーマンスが「演劇」であることへの訴求力が足りない気がしました。

苦悩

苦悩

アンスティチュ・フランセ東京

シアターX(東京都)

2011/02/21 (月) ~ 2011/02/22 (火)公演終了

満足度★★★★★

フランス名女優の演技はやはり凄かった
テキストは日本人には分かりづらい部分もあるかなと思いましたが、ドミニク・ブランの一人芝居は国宝級。役を演じるという行為の深淵に迫るものでした。これほど高いレベルのパフォーマンスを間近で堪能できる機会はあまりないでしょう。

マッチ売りの少女

マッチ売りの少女

MODE

座・高円寺1(東京都)

2011/02/11 (金) ~ 2011/02/20 (日)公演終了

満足度★★★★

別役実の不条理劇を巧みに料理。
不条理劇という体裁をとりながら社会の内奥にしかと切り込んでいる戯曲の本質を照らし出すような演出でした。

ネタバレBOX

終演後のアフタートークで作者の別役実が本作について、立派に家を構え夜のお茶を楽しむ夫婦が象徴するいわゆる「小市民」に対する、姉弟の旅芸人の憎悪というモチーフを、純化して表現するような舞台だったと評していました。また、特定の国や時代を感じさせないニュートラルな舞台作品といった趣の演出により、物語世界に普遍性が感じられたと思います。
アルカサバ・シアター『アライブ・フロム・パレスチナ-占領下の物語』

アルカサバ・シアター『アライブ・フロム・パレスチナ-占領下の物語』

川崎市アートセンター

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2011/02/11 (金) ~ 2011/02/13 (日)公演終了

満足度★★★★

俳優陣の存在感は圧倒的でした
彼らの身体やその佇まいにはパレスチナの社会や風土がしかと染み付いていて、ただ舞台に立っているだけでも人間存在の多様性やおかしみといったものを体現していました。

このページのQRコードです。

拡大