満足度★★★★
これ、踊れるなあ。
物語がない分、より音楽的になっていて、ある意味ではチェーホフよりも親しみやすいかも?
ネタバレBOX
昨年の新百合ヶ丘での「行程2」は、けっこう単調で平坦で閉じた感じを最後の安部聡子の長ゼリ一発で覆すような印象だったけど、今回はその切り札を前半で使って流れを作って楽しませるという、とても開かれた感じの、比べればはるかにエンターテイメントな作品になっていた。
ただし、生音の響きが素晴らしかったから、スピーカーを通った音にすごく抵抗感があって。対比とか振り幅とか、意図はあるんだろうけど、自分的にはちょっと不協和音。すごく、惜しい
『カガクするココロ』
設定が2009年だったことや、けっこうメリハリ(ドンシャリ?)の効いた演出だったことに、驚く。
満足度★★★★★
2日後の“進化”
インコと猫すら仲良く繋がっちゃうんだから、おなじ人間同士だと世代の壁なんてありえないよねー 一瞬、やたらと一体感があって心地よくて。やっぱ、スゴイ!!!
座敷牢ならぬ座敷廓!?
相変わらず、素敵な舞台設定でした♥
ネタバレBOX
ただそれゆえに、主役が「村の奇習」になってしまって、
個々の人間の物語が後ろに下がってしまったような印象も。
あと、牛水里美、
13歳の無邪気が見事に伝わってくる跳ねっぷりでした♪
3年余の“進化”
初演から3年ちょっとの月日を経て、単に舞台が王子小劇場からシアタートラムに変わっただけではなく、作品的にもスケールアップし、複層的に変化し進化していた印象。で、さらなる進化を期待して、もう1回観にいきます♪
ネタバレBOX
冒頭、言葉が次第に進化していくようにも思えて、これはもしや快快版「2001年宇宙の旅」?
ならば背後のモノリスに触れ、最後はインコが思いっ切り宇宙空間を羽ばたいたりするようになるといいなあ、とは初日の感想。
満足度★★★★★
過剰と余剰の果ての衝撃的感動
ときとして過剰で、あるいはまた余剰に満ちた演出だと、途中まで感じていた。
そこを楽しむ舞台なのだと、思っていた。
けれど、じつはカメラのフォーカスをずらしながらピントを合わせるように、
最後にはかっちりと焦点があう作りになっていたとは!
まさに衝撃。そして感動。
ネタバレBOX
原作戯曲は、サナトリウムの内と外を対比させて生と死を描いていたように認識しているのだけど、
本作では、
サナトリウムの内と外の垣根を取り払って、
生と死の本質を浮かびあがらせてしまったような印象。
満足度★★★★★
むきだしの黒田育世を、
板つづきな空間で観る、巻き込まれる、はげしく揺さぶられる。
ネタバレBOX
たくさんの靴を履き潰し、熊避けの鈴をつけ、ときに水を貯めたバケツのなかに顔を突っ込んで耐えながら、だれかのために踊る。まるで彼女のこれまでの半生を追体験しているかのようで、
ちょっと苦しくなったりも。
けれど終盤、黒田さんと飴屋さんが握手していたんだけれど、じつは開演直前にも飴屋さんは奥さんらしい人と握手していて、それが重なりあい、まるでヒクソン・グレシーの選手入場のときのような“絆”の強さを感じて、ゆっくりと息を吸い、吐いた。ふう、生きてる。
満足度★★★★
まるで油彩画のように重なりあう思いに、はげしく共鳴する
暗闇のなかで聞こえてくる人の声は、たとえそれが哀切な叫びだろうと、じつは案外と温かかったりもする。果てなく広がるようにさえ感じる暗闇と自由との境目で彷徨う若い魂たちの輝きが愛おしい。うん、タイトルに反して、声はすごく届いてきたなあ。
ネタバレBOX
ただ惜しむらくは、本がとてもしっかりとしていたから、アトリエ公演ではなく、もう少し大きな劇場のサイズのほうがふさわしいようにも感じてしまったこと、かなw
満足度★★★★
主宰の冨士山アネットが、
なんだかアウェイになっていて可笑しい。それだけ、他の5団体が重なりあっていた、ということでもあるんだけど。気楽に、積極的に楽しもうとすればするだけ楽しめるイベントになっているんじゃないかなあ。
岡田あがさと坂口辰平の、
草食系な雰囲気がいまっぽくて可愛い♥
ただ、中央には「オラオラ系」…w パンツはトリコロールで、自由・平等・博愛なんだけどね。
ネタバレBOX
捕虜のところ、「es」(「看守」と「囚人」を割り当てて行われたスタンフォード大学の心理学実験を元にした映画)っぽくて、ある意味、戦争(≒狂気)を象徴している秀逸なシーンだと思った。あ、こちらのパンツは黒白横縞の囚人服模様w
さすがのパズル感。
観客の世代差? による温度差もなんだか面白く。なぜか、前方より後方のお客さんの笑いが多かったなあ~
ネタバレBOX
個人的には、2回目あたりの無理矢理なポーズがこの後どうなるんだろう、というワクワク感を楽しむ。
『北限の猿』
ボノボ繋がりで、伊坂幸太郎の 『重力ピエロ』を読み返したくなる。
ネタバレBOX
あと、古典になるほどの時間を経ていない再演作は、観ているときに舞台上の年代がいつなのか、ちょっと混乱してしまう。
満足度★★★★
もう一回観たい!
楽日にいっておいて、なんなんですけど(笑)。
ネタバレBOX
じつは、大晦日のプレビュー公演も拝見していて、
二度目にしてようやく、盛り沢山な情報を消化して、ゆっくり咀嚼して楽しめたので、つぎはもっと、なんてことも思ったのです。
おまえは牛なの?(笑)
もちろん、アイコと幸治の初・電飾LOVEシーンがぐっと良くなっていて、それ以降はみっつの物語がうまく重なって感じられるようになってた、なんてこともあるんだけどね。
満足度★★★★
まるで、いきなり拉致されて、
どこだかわからない場所へと引っぱり廻されつづけた末に、
最後、望外の温かさに包まれて、けっこう幸せ☆
ネタバレBOX
監禁話からはじまって、同居する三人へと視点が移ったりしつつ、べつの三人が物語を惑乱させ、終盤では「シャイニング」的、あるいは監禁版「富江」みたいな狂気の世界へと連れていかれるんだけど、関係性という枷に閉じ込められ縛られることが逆に温かい人間同士の繋がりへと転化するラストシーンが心地よくて。
終わってみれば、不自由な制約のなかでボールを繋いでいくハンドボールの絡みも効果的で、
その流れでいうと、アクシデントがあったとあえて前説で語られる車椅子の使用も、
なにかに囚われる物語をしっかりと補強していたと思うんだけど、
作・演出・主宰が、その偶然性に抵抗感があったみたいなのは、
じつはちょっと残念だったりも。
おそらくは理想の同居人三人のアンサンブルが公演前半にはあったのだろうと推測できるのだけど、それでも、もっとすべてを観客に委ねてくれてもいいのに、とは思ったなあ。
満足度★★★★
これは、一人芝居というより、
「孤天」芝居、あるい「個展」芝居という新しいジャンルなのかもしれない。
ネタバレBOX
ひとりの役者による力試し、腕自慢的なものになりがちな一人芝居とは異なり、
ひとりですべてを演じ分けなければ的な制約感はまるで感じず、
ひとりで全部を背負ったほうが統一感のある世界が作れてしまうはず、
という確信が伝わってきた。
ああ、なんて強欲!
そして、ほんとに強引な、どうでもいいような連想なんだけど、
終演後には「孤天」という言葉から、
特攻兵器であり一人乗り人間魚雷の「回天」が思い浮かんだ。
そう、そんな覚悟も感じる舞台、だったのだ。
と、つい、クダラナイ感じの感想(?)を書いてしまえるのも楽しく(笑)。
満足度★★★★
単線ではなく複線の愉楽
ミステリーらしく、多大な情報が小出しにされながら延々と垂れながされつづけるような芝居なので、きっと、筋を追いかけるのが精一杯だった人は渋谷の街を強引に引き摺りまわされるかのような恐怖体験をしただろうし、かたや、自分のようなスレた観客は、いろいろな終着点がありそうな豊かな物語の種子たちを脳内で発芽させて楽しめる、という非常に間口の広い舞台だったかと。
ネタバレBOX
そして、いい意味で整理されすぎていないので、終演後になんだか人と無性にこの作品について喋りたくなってしまった点も好評価☆
ちょっと大袈裟な言い方をしてしまえば、すでにある程度の完成の域にあるのに、いつまでも工事の終わらないガウディのサグラダ・ファミリア教会、みたいな感じ? つまり、これからいろいろと形を変えて何度も再演される作品なんじゃないかなあ。
満足度★★★
日常の延長の美しさ
もっと狂気な方向にふれたほうが好みなのだけど、あのワンシーンゆえ、全面肯定してしまう。流される血そのものに怖さはないけれど、血を絶やさぬ営みに、恐怖は宿る。
ネタバレBOX
音だけで綴られる解体の時間、取り残されたあまりに平凡で平穏にみえるダイニング・キッチンの夕暮れに、小さな子供がひとり入りこみ、なぜだか絵本を読んでいる姿が思い浮かんだ。それは、あのとき、「結婚式のナイフ入刀みたい」という言葉に導かれたか、あるいは溢れでる血に興奮したからか、 不運な縁に絡めとられるように優子(ハマカワフミエ)が授かることになった子供なのだろう。さらには、死体を跡形もなく消し去るために使った出刃包丁で、優しい笑みすら浮かべつつ夕食の支度をはじめるシーンを連想してみたりして。ああ、彼女は、直前にあった場面のように、両手に鎌を持つメスカマキリのごとく男を喰らい、子を育む生き物なのか。そして勝手に、自分のなかで「解体」を「懐胎」と読み替えて、自然と脹れあがった大きなお腹のような物語を持ち帰れた幸せを噛み締めてみたり。
とはいえ、もちろん、そんな話ではまるでないのだけれど(笑)、
空白はときとして饒舌を産み楽しい。
満足度★★★★
当日パンフには『生命讃歌』とあるけれど、
自分には圧倒的な『女性讃歌』にしか思えなかった。痛みや束縛すらも、こんなに肯定しちゃうのかあ。なんだか、自分が子供を産めないことを悔しくなったりも。
若い友人が自ら望まぬ死を、
前日に、遂げてしまったので、
死を欲するかのような物語は、そこに激しい生への希求があっても、
ちょっと同調することができなかった…。
ネタバレBOX
まるで自分が手首を縦斬りにして流したかのような、赤い血の溜まる三途の川の向こう側で繰り広げられる、スポーツの健全、健康さなどにすら潜む、強い希死念慮の思いに、いまはどうしても抵抗感があったのです。あるいは、彼女の書いた戯曲が役者を通り、それによってこちらに強要しようとする脳内体験を拒否しないわけにはいかなかったのです。
それからこの夜は、音楽・音響がよいからこそ、逆に、役者の言葉たちが負けてしまった印象も。
終演後に喋った知人によれば、その不統一感は狙いでしょう、とはいうのだけれど。
満足度★★★★
人柄のいい作品たち
悪意とかのない作品ばかりだったので、作風はみんな違うのに、なんか全体に一体感のある気持ちのいいプログラムでした♪
ネタバレBOX
【こゆび侍】
会話のなかに織り込まれた単語から、少しずつ「メデューサもの」ということが解き明かされる過程がまず魅力的で。目をみた相手を石にしてしまうので、互いに視線を交わすことなく、つねに相手を強く意識しながら生活する夫婦の話、というだけでもう切なくなってしまう。おそらく、その日々の営みだけを15分間描きつづけたとしても満足してしまったことだろう。幸福な結末も心地よかったなあ。ただ反面、そこに向かうためには、「たとえ石になってもいいから相手とみつめあいたいという激しい熱情」は欲しかったかも? あるいは、「あえてギロチンという極刑を覚悟してしまうほどの、差別されている側の積もりに積もった憎悪」もより鮮明だったらなあ。さらに、省略された「石化」されるところも具現化されてれば、なんて要求もたくさんあるんだけど、つまりは、もっとじっくりと、長編として観てみたくなった! というぐらい好みな作品でした♪
【モエプロ】
なんか勝手に『三月のライオン』的な将棋ものかと思ってたら、弓道系袴モノで喜ぶ(笑)。そしてツボに入ってしまい、6本のなかで一番笑った。欲をいえば足袋とカケ(馬手、右の引き手につけるグローヴみたいの)は着用して欲しかったかなあ。あと、やっぱり「荒城の月」と名付けるならもっと終盤まで冷たさは維持して欲しかった。態度と言葉が離反する感じで。そして、最後の溶ける落差がみたかった…。また、ライオンにも荒々しさを求めたくなったように、漫画・アニメ的な記号で終わらせないで、もう少しだけ丁寧な立体化がなされていたら、即座に本公演にも馳せ参じたのだけど。
【ゲキバカ(劇団コーヒー牛乳改め)】
惑星ピスタチオ的なパワーマイム。小林賢太郎的な細かい小技も効かせつつ、どのシーンも丹念にわかりやすく綴るのだけど、反面、ややもったりした印象もあったので、最後、高速で繰り返しそうな雰囲気があったときにはゾクッときた。なので本当は、会話なし省略多数の身体だけの数分でのダイジェスト版をそのまま観たかったなあ。息を切らしながらそれでもさらに3回目に挑もうとする、とかがラストだと好み。でも、ゲキバカという改名に好感の抱ける作品でした!
【夜ふかしの会】
一本目の暗転使ったコントが秀逸だったので、なんとかそれで15分もたせられなかったのか、とは思う。少なくとも、次にどうなるんだろうという観客のワクワク感を二本目、三本目でも持続、あるいは有効転用できていたらなあ。もったいない。
【国分寺大人倶楽部】
【モエプロ】のあと、休憩挟んだら、急にアダルトになって戦く(笑)。エロくみせる手法の巧みさには“舌を巻く”、と自分で書いた言葉にすらなんだか“いやらしさ”を感じてしまうほど、ほんと上手かったなあ。構成的にも決まっていたんだけど、じつは順序が逆で、あのエロいシーンを作るためにああいう物語になったのではと思うぐらいで、なんか徹底していて素敵。あと、作・演のウコンの力はずるい!w というあたりも含めて、すべての登場人物に親近感を抱いたり、ときとして愛おしくなりすらような仕掛が随所に施されていて高評価も、じつはかなり苦手な作風だったりするんだよなあ…。
【Mrs.fictions】
他がみんな、伝わりやすい物語や笑いの多い作品だったこともあり、この並びはかなり厳しく。主宰劇団が最後を締める、ということに意味はあるにせよ、15分間のスペシャリストとしては疑問符が。全体の流れもあってこちらの気が緩んでいたせいもあるんだろうけど、語り口の違うモノローグとかふわっとした役者の入り方とか、きっといつもなら楽しめたような部分も観ていてこぼれ落ちてしまったのは、残念。