ペンギンアートの観てきた!クチコミ一覧

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絶望という名のカナリア

絶望という名のカナリア

甲斐ファクトリー

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/23 (火)

小劇場「楽園」と本作品の「絶望という名のカナリア」
劇中には天国の下りと、巧みな関連付けが上手いです。
上手いと言えば、劇場内の狭い空間を上手く利用した対角線上の舞台と客席。
オムニバス形式にすることで場転の多さをカバーしていて、嫌みのない暗転が良いです。
本公演が10回目という記念に観劇出来ましたが、物語自体は新興宗教や風俗営業など、どろどろしたブラックコメディな内容。
決してすっきりする物語では無いものの(好みもあるので)、お芝居のクオリティとしては惹きつけられるものがありました。

ネタバレBOX

配役の個性が光る舞台。
自殺から宗教、修行と称して殺されかけたり、数学の専門領域を駆使して答を導き出したりと、鈴木カズオの数奇な物語は、観る者に強いインパクトを残します。
それと、カナリヤって黄色いんですね。
勝手に想像の中では白色をイメージしていました(文鳥か)。
世迷子とカンタータ

世迷子とカンタータ

9-States

駅前劇場(東京都)

2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/04/13 (土) 19:00

価格4,300円

前作「みんなのえほん」から2度目の観劇と巡り合う事が出来ました。
9-Statesらしい陰の部分と日常の暖かさや笑いのエッセンスを取り込んだヒューマンドラマです。
今回はけやき峠温泉にある旅館「湯鳥」で働く従業員、西野海斗の心の葛藤を視覚的に舞台転換や照明などで効果的に表現した当劇団の十八番とも呼べる作品。
今回も出版に関する内容で大きく展開されていく人間模様…序章~終盤に至るまで、少しづつ散らばった言葉のピースが頭の中で嵌っていくのは楽しいです。
20周年おめでとうございました!!

ネタバレBOX

今回の表紙デザインも好みの出来栄え!グッと期待感が高まります♪
役者陣は個性派揃い。各々が色んな色を持ってて分かりやすい。
前回もそうでしたが、チケットがステッカーになっているのもお気に入りだったりします。

個々で観ると舞台セットもテロップも、突然始まる歌謡演出や照明効果も一つ一つ丁寧で
良作なのですが、いまいち2時間10分の公演に没入していく集中力が、私にはなかったです。
これは舞台ドラマとしての日常が、やけに遅く感じて平和ボケしてしまうから?と考えます。
肉付けしている感…と言えばいいかな。過去が深堀りされていき、文芸部との決裂に至るまでの経過が長い。旅館での出来事(小川家のくだりとか)は削って、代わりに小説の内容や魅せ場(旅館らしい歌唱や踊りなどのパフォーマンス)を増やして、観客側の視点を逸らす演出も有りかなと思いました。
ギラギラの月

ギラギラの月

プレオム劇

ザ・スズナリ(東京都)

2024/04/03 (水) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/04 (木) 19:00

価格5,000円

19年前に書かれた故中島淳彦氏の脚本。
劇団も脚本も初見での観劇となりましたが、昭和観あふれる舞台の上で本当に生活しているかのような女優たちの自然な演技。スッと大泉サロンの世界に入り込んでしまいました。
その役の個性や人物描写が色濃く描かれるだけで、他人の心は温かくなったり、興味関心がどんどん湧いてくる。それを見事なクオリティで上手く魅せている作品です。

ネタバレBOX

指定席が舞台の目の前の席…幸運でした。
暗転時は三日月に照明を照らし、畳に陰影をつける演出が良いですね。
大泉サロンの各部屋にも小さな三日月模様がついていて、本作品のタイトルにマッチングさせている様子が見て取れます。この二階の部屋から階段・廊下のスペースで出はけを円滑にしていて、視覚的にも見やすかったように思います。

そして、ハートランドからプレオム劇時代を築いた役者たちの歴史の様な、重みを感じます。
良い環境で芝居が出来るってこういう事なんだろうな…と帰路につく間考えました。
ミュージカル版 『五色ロケットえんぴつ』〜気がつけば恋の話〜

ミュージカル版 『五色ロケットえんぴつ』〜気がつけば恋の話〜

劇団帰燕

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2024/04/04 (木) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/04/04 (木) 16:00

価格3,500円

脚本家の園田英樹氏が手掛けるミュージカルプレ公演。
五色ロケットえんぴつ…略して「ロケミュ2024」を観劇してきました。
エンタメ性が全面に出ている本作品は、若い役者たちのパフォーマンスから
衣装チェンジまでの視覚的要素が大きく、今どきの「きゅん」ポイントが沢山詰まった
可愛さ溢れるステージ。お芝居と言うより、歌と台詞付きのライヴを見ている感覚かな。
4チームの内、今回はBチームの舞台を楽しませて頂きました。

ネタバレBOX

このパンフレットの挿絵がグッと期待感を膨らませています。
会場に入ると前説の勉強でしょうか…各チーム開演までトークがハラハラw
エキサイティングシートに興味あったけど、ペアで座った方が良いよね…見送りましたw

肝心のお芝居ですが、内容は単純且つパフォーマンス要素が強いので
物語へ引き込まれるというより、歌やダンス、ネタや衣装で客観的に楽しむコメディ作。
若さ全開でぶつかっていく姿勢は良いのですが、どれも中途半端という印象が否めません。
例えばどの楽曲も割合低音から入るので、歌詞がこもりやすく観客からすると聞き取りにくい。演技も台詞や動作の間、役者同士の距離間など粗削りな感じがします。衣装替えはアヒルやメイドスタイルなど面白かったですが、全体を通して着替えが多いかな。分かりやすい色の服装を使って5色カラーを強調しても良かった様に思います。場展時も黒子とは言え、どうしても目立ってしまう所が気になりました。

今後どういう風に劇団帰燕が旗揚げ本公演に繋がっていくのか、楽しみにしています。
また、急な時間変更にも関わらず丁寧に対応して下さりありがとうございました。
ナマリの銅像

ナマリの銅像

劇団身体ゲンゴロウ

新宿スターフィールド(東京都)

2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/28 (木) 19:00

価格4,000円

中心人物となる「天草四郎」をモチーフとして、一揆から島原の乱が起きる背景を綴った本作。
身体ゲンゴロウの舞台公演を前作に続き、再び観劇させて頂きました(前作は過去コメントを辿って下さい)。今回は完全な歴史劇かと思いきや、農家がパチンコで持ち金を増やそうと奮闘したり、四郎がホーン型マイクで演説ばりのパフォーマンスを披露したりと現代的な視点を調和させながらも、またそれが嫌味ではない感覚で印象的な物語でした。
四郎役の初鹿野さんが17歳の少年を演じる訳ですが、不思議とあどけなさを持った俳優(濱田岳のような)で、役どころにハマっていたのも良かったです。

若きスターに視点を置きながらも、彼の周りを取り巻く仲間たちや時代背景がきちんと描かれている辺りが、観る側からすればグッと作品へ感情移入させやすいものにしている…と感じます。
2回目のご招待ということで、初めて物販でポストカードを購入させて頂きました。4月の長崎公演も更なるご活躍をお祈り申し上げます。

ネタバレBOX

神格化されていく四郎を象徴するかのような、バッハ・カンタータの147番が使われるところ好きです。

「身体」と名の付くように「身体表現に重きを置いて演じている」とアフタートークでありましたが、全体の動きの面では前作同様ワチャワチャ?した印象を受けました。
限られた空間の中で役者が一斉に思い切りの良い演技をする為、観客の視線が追い付きにくいと思います(熱量は伝わるんだけども)。もっと大きな空間にするか…あるいは動きの流れ方に対し更に意識を向けると、舞台上での荒っぽくないダイナミックさがより際立つんじゃないかと考えます。
星の王子さま

星の王子さま

劇団三日月座

横浜国立大学 第1食堂下 共用室3(神奈川県)

2024/01/21 (日) ~ 2024/01/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/01/22 (月) 19:30

価格0円

新年初観劇!行ってきました横浜国大。
羽沢横浜国大から降りて結構歩きました。坂道が多いので余計にそう感じるだけかな;
サン=テグジュペリ原作の「星の王子さま」。フランス語では「小さい王子」と読みます。
異なる脚本ではありますが、私自身「星の王子さま」の舞台に何度か出演したことがあるので、非常に思い入れの深い作品だったりします。
あの頃の思い出が台詞と共に巡り巡って、最後はウルっと来てしまいました。

ネタバレBOX

白壁一色。舞台上に色箱がいくつか。
これで座る・乗る・作業台など、狭い空間の中でも有効活用しながら物語を進行させていく。
瀬戸山さんの脚本はやや現代寄りの台詞回しで、すんなり耳に入ってくるのが印象的。
今回はAキャストを観劇しましたが、コロナ感染者によるマスク使用で鼻から上までしか表情が読み取れず残念;作品としては、ボクも王子さまもとにかく可愛いんです…演技も台詞も、もっと雄々しい部分があって良いんじゃないかなって。大人になってしまったボク。真面目に怒るときも当然ある。王子も決して頼りない訳ではないんですよね。心の強さがもっと欲しい!
全体的に、品の良い役者の揃う学生らしい舞台だなと感じました。
第78回「a・la・ALA・Live」

第78回「a・la・ALA・Live」

a・la・ALA・Live

阿波おどりホール(座・高円寺内) (東京都)

2023/12/25 (月) ~ 2023/12/25 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/12/25 (月) 19:00

価格4,000円

荒山氏の主宰するパフォーマンス・ライヴに初見で行きました。
公演日が25日ということで、演奏も芝居もクリスマスに関する内容が多かったかな。
内容は軽演劇(一人芝居)、アコーディオン演奏や南京玉すだれなど盛り盛りの1時間50分。
今年1年の観劇生活にも感謝を込めて…

ネタバレBOX

劇場参加型の本公演では、
会場の真ん中に客席。出演者や演出内容によって観客側が横を向いたり背面側を向いたりと面白い空間の使い方をしていました。席の間にも演者が移動できる通路があり、最後列の観客が最前列で観られる状況を作り出したり、出演者の舞台を360度使えるという点でも良い魅せ方だと思います。

各回によってパフォーマンス編成の異なるアラカルト寄席ですが、
どうしても「出演者目線」に寄せて演芸が行われる為、観客側が気持ちを切り替えて、次々に観て楽しむ…というスタンスになります。今回はクリスマスですので、折角360度ある舞台を有効に使うのであれば、舞台装飾もあって良かったかなと思いました(殺風景で少し寂しいかな)。色んな形式の表現があってもLIVE全体を通した世界観が出ますし、終演後の撮影も映えます。より視覚から入る情報も楽しめるかなと。
Strange Island

Strange Island

Nakatsuru Boulevard Tokyo

サンモールスタジオ(東京都)

2023/12/13 (水) ~ 2023/12/20 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/12/18 (月) 19:00

価格5,500円

新宿のサンモールスタジオ。今年もお世話になりました♪
今日の公演はお客さんの数か、座った位置なのか、舞台セットなのか…いつもよりこじんまりとした印象を受けました(ストレンジ現象なのか)。
このストレンジアイランド…確かに表町と裏町に住む奇妙な住民のいざこざ社会に巻き込まれる政治コメディなのですが、2時間半の長編作を配役独自の視点で違和感なく作り上げらえています。世界観はファンタジーだけど、根幹は政治政策。格差社会を生きる人々が現市長を引きずり下ろすために、この世界を生き抜くために闘う物語です。

ネタバレBOX

『どんどん』先が気になってしまう…これは、登場人物の持っている正義と悪。
役の印象が見方・捉え方によって、物語が進む毎に変化していくという点。そして観客側も共感するであろう現代社会にも挙げられる「税金」「心の貧困」「ルッキズム」など、タイムリーな話題。こうした身近な話題を演出意図に組み込んでいる所に関心します。
役者陣も癖の強いキャストから正統派女優までバラエティに富んでいてバランスが良く、魅せ方が上手です。小劇場ならではの強弱をつけた声量・台詞の抑揚やトーン。こういった役者たちの中で揉まれていくと若手も『どんどん』上手くなるだろうなぁ。
UverEATS「姥喰」

UverEATS「姥喰」

劇団 枕返し

遊空間がざびぃ(東京都)

2023/12/14 (木) ~ 2023/12/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/12/14 (木) 18:00

価格3,500円

姥が喰らうと書いて「ウーバーイーツ」
お久しぶりの西荻窪で、山姥(やまんば)の出てくる「ホラーサスペンスなコメディ風演劇」を観劇しました。自由席でありがたい事に最前列に鎮座します(チケプレなのに)!
距離がとても近く、役者の表情・演技・迫力のある声量を楽しめました。

初見でしたが、この手の芝居は脚本家のやりたい事で盛り盛りになって行き、オチや筋道が迷子になってしまう事が多いように思います。シュールな笑いと妖怪の持つ独創性を誘う劇団ではありますが、芝居の質を俯瞰してみると物足りない部分は多いかな…と言うのが、正直なところです。

ネタバレBOX

物語が進むと、回想シーン=場転となり、また現在の立ち位置に戻ることが多いです。
流れは悪くないですが、分かりにくい。なんでもないシーンでも身振り手振り前面に出てしまう役者さんがいて、作品全体が稚拙に感じてしまう要因になったかなと感じました。
特にシリアスな場面であっても、恐怖におののく様な場面であっても、殺人を目撃しても、基本的に大きくテンションが変わらない。空気感が変わらないのは勿体ないです。
(小劇場なので小さな演技・台詞回しも全然アリだと思います)
舌があまり器用に動かない役者さんも居て、台詞の聴きやすい位置に居るとラ行が特に詰まった感じに聞こえるのも勿体なかったかな。

台本にも寄るのかもしれませんが、
各作品に妖怪を出すというのは一貫性があって劇団のカラーになっています。
けれど、良くも悪くも似たようなタイプの客演やキャストで個性がちょっと被る…もう少しファン投票を決めやすくして欲しかったですw
俺(たち)が居ないと世界は平和

俺(たち)が居ないと世界は平和

南京豆NAMENAME

OFF OFFシアター(東京都)

2023/11/29 (水) ~ 2023/12/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/11/30 (木) 19:30

価格4,000円

「宇宙の広さに想いを馳せる会」に所属する4人の若者たち。
慣れ合い過ぎず、深入りせず、友人と呼べるほど親しい間柄でもないが、孤独に潰されないよう「程よい関係性」であり続ける。そんな見知ったサークルメンバーに起こる突然の死。
過去・現在・未来をつなぎ合わせた、各々の登場人物の葛藤や愛をテーマにした青春群像劇。
独特の視点にクスリとした笑いを秘めた泥臭い演劇は小劇場ならでは。
地味でほっこりする温かみを感じさせる舞台公演(虫チーム)でした。

ネタバレBOX

賛否両論あると思いますが。
個人的にこの舞台は笑いの感性、心に潜む共感性、台本の持つ独自性を感じるものの
起承転結のハッキリした物語の中へと入り込める強いメッセージ性や展開力に欠けていて、75分の芝居にも関わらず少々間延びしたイメージを持ちました。
配役のイメージは違和感なく、奇妙で変人感を満載にした芝居は面白かったです。
ただ、作品全体を考えると少々物足りない点はあったように感じました。
あなたはわたしに死を与えたートリカブト殺人事件ー

あなたはわたしに死を与えたートリカブト殺人事件ー

ISAWO BOOKSTORE

小劇場B1(東京都)

2023/11/08 (水) ~ 2023/11/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/11/09 (木) 19:00

価格5,000円

今年は小劇場B1にご縁があります笑
「トリカブト」という植物の根から抽出される毒と「クサフグ」から抽出される毒を利用して、保険金をかけ殺害するという…実話を元にしたトリカブト殺人事件。
昭和の事件で私も記憶がなかったのですが、サスペンスものとして上手に舞台化されている印象。

今回の舞台。
総じて場転を細かく使って空間や時系列、人の立ち位置などをコントロールしているなと感じました。この照明さんの細やかさ…絶対大変だろうなと思って観ていましたが、正直やりすぎ?とも感じました。やや世話しない印象を持ったからです。
また、会話劇がメインのせいか、集中力が切れてしまうと役者自身も簡単な台詞回しで言いまつ違えが生まれたり、大切なシーンで言葉が転んでしまうと何だか観客側の集中力も冷めてしまいます。分かりやすく、テンポ感もあるだけに少し残念でした。

内容としては、加害者と被害者の心理言動以外にも、それを取り巻く色んな登場人物の背景を知れて良かったと思います。昭和感のある服装や髪形も合っていて、ちょっとした配役にも方言が混ざっていたりと繊細を感じました。他の事件版も観てみたいですね♪

ネタバレBOX

トリカブトの花言葉。「あなたはわたしに死を与えた」
なるほど!だから作品名にしたんだと劇中に知りました笑
この舞台を観てから、改めてネットでトリカブト保険金殺人事件について調べました。
殆どが実話通りに出来ていますが、大野助教授(当時)の出身校である東北大学と加害者の神谷の父が東北大学で教授をしているという接点に、これも何かの縁かと感じました。
他人が見ている自分というのは一面に過ぎない。罪を犯している自分も本当の自分であるし、周りから良い印象を持たれている自分もまた、本当の自分である。
今回の作品を通じて、人の感情について。それを作ってきた環境について。色々考えさせられました。
ロリコンとうさん

ロリコンとうさん

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/09/02 (土) 19:00

価格3,900円

小児性愛=ロリコンをひた隠しするも、世間の認識や偏見てこういうもの。
世の中のロリコンはロリコン当人にしか分からないもの。
そんな僕らが、この社会でどう他人を愛して行けば良いのか。
少数派のセクシュアルな意見を、明るくポジティブに捉えて観客に訴えかける。
ポップなネーミングだけではない奥深さに、思わず良い意味で期待を裏切られる…そんな名作の誕生です。

ネタバレBOX

作品名から、実は全く期待していなかった私ですw
会話のテンポ。特にキャストが本当にロリコンなんじゃないかという生々しさに驚き。
主役・脇役関わらず平等で強い個性。
何故、小学生役がおじさんの配役をしているかという終盤での伏線の拾い方。
実際のロリコンの方に会って取材したという情報の強みも相まって、単なるロリコン好き作品ではない
一本筋の通ったイトウシンタロウ氏の劇作品です。想像より斜め45度を行ったかな。
所々のキャッチ―な台詞・不意に来る笑いのエッセンスも、作り手の性格がよく出ているように思う。
キャスティングも粒ぞろいで楽しく観劇させて頂きました。ブラボー♪
新・ワーグナー家の女

新・ワーグナー家の女

Brave Step 

アトリエ第Q藝術(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/08/31 (木) 14:00

価格5,000円

ジークフリート・ワーグナーの妻であるヴィ二フレッド・ワーグナー。
彼女の証言を聞くため、バイロイトで開かれた委員会。
そこには証言台に立つ娘のマウジ(フリーデリント・ワーグナー)と再会し、
当時ヒトラーのナチス政権、ユダヤ人迫害などの真実を独自の視点で物語る。
ピアノの生演奏とR.ワーグナーの楽曲が散りばめられた、クラシックファンにも嬉しい世界観が広がります。上演時間は休憩なしの2時間ちょい…少し長かったかな。

ネタバレBOX

今作品は自身もクラシック音楽をしている影響からか、
主演女優2人(ワーグナー家)の長ゼリフも心地良く感じました。
独白に関しては台詞の古典的な言いまわし。この台本が好きですね。
滑舌の良さもさることながら、テンポ感が良い。
観世さんの品のある低声域と新澤さんの少し鋭った強めの発語が舞台全体を引き締めます。

特に良かったのは、小劇場の狭さを感じさせない照明の使い方。
ピアノの音響効果とリンクして、非常に繊細な光の魅せ方なんです。
場転から最後のシーンまで、効果的にキャストの配置や当てるポイントを工夫されています。
細部にこだわった視点から、例えばトスカニーニとフルトヴェングラーの序盤の登場ですが、
照明時に指揮を振りながら登場するのであれば、ピアニストと呼吸を合わせて
アイコンタクトやテンポ感をもっと同調させるように演じるともっと良かったかな。
のちにフルトヴェングラーの指揮も相まって、
ライバル達の指揮とピアノから、周りのキャスト陣のパフォーマンスを更に広げて…と言うのも、
舞台に拡がりが出来てくるように思う。
親の顔が見たい

親の顔が見たい

劇団昴

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/08/31 (木) 19:00

価格5,500円

「いじめ」から考え得ることの大切さを痛感させられる秀作。
テーマは重いのですが、話の筋はとても分かりやすい。
自殺した中学生の残した手紙(遺書)には、当時の仲間達が名指して書いてある。
そこで学校側は事情を聞くために、急遽会議室へと集められた親たち。
それぞれが自分の子どもを擁護し、保身に走る余り様々な行動を見せ始める。
いじめ→自殺→そこから見えた親たちの本当の顔とは…まさに親の顔が見たいよ!

ネタバレBOX

東京芸術劇場で公演とは、観る側も演る側も気合が入りますよね。
そんなシアターウエスト公演ですが、舞台装置は学校を再現したパネルのみ。
今回の作品の規模を比較すると、必ずしも適切な会場だったかどうかは疑問です。
もう少し小さな舞台でも見応えがあって充分かなと思いました。

劇団昴の団員ですが、
ベテラン勢の自然な演技から思わず魅入ってしまう均整のとれた配役。
演技っぽくない演技。これがリアルで心情にスッと入って来るような品性を感じます。
台詞のテンポ感や相手との間も耳馴染みのする良い芝居なのですが、
やはり舞台の影響か、控えめな台詞の立ち合いでは聞き取りにくかったです。
そこは恐らくこう言ってるんだろうと想像の中で処理していましたが、
後ろの席からは少々ご不満の声が聞こえたり・聞こえなかったり。。

音響には信号機や車の音など、自然音を上手く使った表現も良かったと思います。
こういった社会的テーマを盛り込んだ舞台は、是非是非現役の中高生に観てもらいたい。
そんな風に思える作品でした。
ウルトラハイパースーパーノヴァ

ウルトラハイパースーパーノヴァ

Gentlemans

さいたま市地域中核施設プラザノース(埼玉県)

2023/08/25 (金) ~ 2023/08/26 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/08/26 (土) 13:00

価格4,800円

男性オンリーGENTLEMANSの5年ぶり公演。
初見の劇団でしたが、お芝居と言うよりパフォーマンス主体のエンタメ舞台。
映像と音楽とダンスが融合され、短編作品が折り重なって徐々に引き込まれていく感覚。
個人的には映像のクオリティの高さ。多様な楽器を用いた生演奏。
途中トラブルもありましたが、今後もっと密度の作品が出来るような予感がしています。
会場の「プラザノース」は大宮駅から更にニューシャトルで加茂宮で降りて徒歩10分近く。
幸い自宅からそこまで遠い距離ではなかったから良かったですが、県外から来られる方は大変かも。

ネタバレBOX

大小の白い箱で覆われた空間(前列167個分かぞえた)。
絶対何かあるなと思ったら、案の定箱をぶち破って登場!!
分かっていたけど格好良かった。後列の箱もプロジェクター用かと思いきや、
中に電子レンジや冷蔵庫、TVモニターが設置されている隠し扉もあり発想が良い。

白箱に絵を描いた、桃太郎的なミニシアターも特にBGMが良いです。
舞台前で演奏担当が鍵盤ハーモニカやリコーダーを吹いたり、近くにある小道具でリズムを刻んだりと、個々のパフォーマーの力量がよく反映されていたように思います。

スターウォーズを模した映像劇…あれはカメラの電池が切れてしまって
本当にしょぼかったです;映像を売りにしているだけに残念でなりません。
ですが、色んな得意ジャンルを持ったキャストたちが集まって1つのエンタメ作品を完成させる。
この点については将来性を感じますし、彼らはそういった力があるように思いました。
燦々

燦々

U-33project

王子小劇場(東京都)

2023/08/16 (水) ~ 2023/08/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/08/17 (木) 14:00

価格4,000円

ユーサンサンプロジェクトの短編作品を3本観劇。
開場入りがギリギリになってしまったにも関わらず、舞台役者から近い距離に着席できたことは幸運でした。
物語は『謝ったら死ぬ病』
○○フィラキシー症候群にかかってしまうと、最後は死ぬことになりますよ?
というイマドキのウイルス系。人の心の病を上手く表現した短編劇。

『ワンダフルな人生』は、17歳の女子高生が他人の人生を羨み
自分の人生が辛いのは環境のせいだと言い張ります。
そこで神さまに相手の人生を生きてみたいとお願いする作品。
隣の芝生は青く見えるじゃないけれど、きっかけは共感出来るものがありました。
けれど人生は各々ハードモードな部分も見えてくるわけで…若いって良いなw

最後は、やたら神保町ワードが出てくる作品『意味不明』
エンターテイメントとは、他人を喜ばせる行為。
私とアナタが違う人間だからこそ、考えている事も同じではない訳で…。
良かれと思って行動していることが実はすれ違いだったり、勘違いになってしまったりといった二人芝居。

ネタバレBOX

忖度なしの意見を述べさせていただきますが、
平穏な会話の中に見え隠れする「笑い」や「ユーモア」。
真意を隠す日常と非日常。これをテーマに体現するって、すごく難しい。
言われれば「なるほど」って気付けますが、普通に演じているだけだと面白さを感じにくいんですよね。
学生演劇のノリで、キャッキャしている印象しか残らなかったです。

特に強い個性派が主キャスで入ると、
同年代の役者たちは役作りが引っ張られてしまうのか…3作とも似たような印象の舞台。
物語のオン・オフや起承転結が見えづらく、もう少しBGMやセリフの間
配役の細かい部分(発声、台詞回し、しぐさ、動き方など)の研究・底上げが必要だと思いました。
集中して観ることが難しかったです。
ノストラダムス、ミレニアムベイビーズ。

ノストラダムス、ミレニアムベイビーズ。

劇団身体ゲンゴロウ

シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)

2023/08/06 (日) ~ 2023/08/11 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/08/10 (木) 19:00

価格3,500円

東京藝術大学のメンバーで立ち上げられたフレッシュな劇団。
芸大の講義「身体言語論」→「身体ゲンゴロウ」と捻って名付けられたそうです。
小学校と言う小さな社会には、教室の中にヒエラルキーが存在していて。
自らを主張できるのは強い者・それを擁護する者たち。
どんな立場にいる子どもたちも、決して周りに置いて行かれないよう
それぞれの想いが劇中で錯綜する。東日本大震災の起きた翌年2012のお話です。

ネタバレBOX

ピアノ曲がメインの音響。ラジオが天上から暗転の中出てくる序章が美しい。
ブレイブボードを乗りこなす役者の動きも、情熱を感じられて良かった。
しかしながら小学校が舞台の本作…どんなに頑張っても小学生には見えない笑
いっそ高校を舞台に、被災者の心情やヒエラルキーを描いたセンシティブなドラマ劇にしたら
もう少しリアリティがあったようにも思います。

全体的に若い役者が多く、演劇に対する直向きさこそ伝わるものの
完成度と言う意味ではイマひとつと言った印象。学生演劇を観ている気分でした。
脚本演出のご本人が被災され家が流され…と言ったアフタートークを聞いて
ピンと来たのですが、ゆきのり達が生きた2012年を自らと照らし合わせて書いているからか
観客側からは、小学校と被災の出来事が別世界の様に感じてしまう点。
クラスメイト達も被災者な訳ですから、人間関係以外に被災者側の心情をもっと感じられる
シーンがあっても良かったかな。でないと震災のワードを使う意味が薄れてしまうから。

また、チケット料に加えて活動費の為に支援金を求めるのは、ちょっと解せないです。
他大学公演のようなフリーカンパ制なら分かりますが、
劇団としてやっていくなら、ご支援はチケット料金でその対価を取るべき…と考えるからです。
コロナ禍で芸術活動が難しいのも価格高騰も皆さん同じなので、
私たちはその中でご支援頂けるようなクオリティのものを今後も魅せて行くしかないかなと。
みんなのえほん

みんなのえほん

9-States

小劇場B1(東京都)

2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/07/29 (土) 19:00

価格4,300円

小劇場B1です。いつも舞台側からどっちへ座ろうか考えます笑
なるべく手前側に座っても、見たいときに役者の表情が反対側へ行ってしまったりして。
この劇場の面白いところでもあるのですが。

今回の「みんなの絵本」
絵本作家としての幸せが「グリム賞を取る」という表向きの動機に振り回され、
余命宣告中なのに、彼女は絵本を描く。絵本を描かなければ、存在価値がない。
担当者は自らの私欲の為、共に世界一の優しい絵本を目指そうと続ける。

これはもう洗脳だよね。そもそも世界で一番優しい絵本って何でしょう?
ピエロの猿が出てきて本当に感動するのでしょうか。カオスな作品。

ネタバレBOX

チケットがステッカーになっているところ。作品の挿絵が素敵です。掴みはバッチリ!

ヒューマンドラマとしての内容ですが、もう少しリアリティが欲しい。
いろはの病名は過労?ツッキーと同じく白血病なのか、どうして余命半年なのか。
絵本をダメ出しする黒崎の意図も、イチ観客としてはもっと共感したかったかな。
結局は絵の雰囲気なのか。何をもって優しいのか・良作なのか。なんか切り口が浅いんです。
いろはの素晴らしさを台詞として伝えるだけでは、受け取る側からすると優しくはない…弱いです。
ダンスを後半に組み込むなら、絵本の魅せ方と共にキャスト全員で途中にパフォーマンスしても良かったかなと。

最後のシーンでは、新しい患者さんとして新人作家になった正岡さんが登場するのですが、
こんなブラック企業で良いのかよってくらい、絵本業界やばいってなりました笑
畑は違えど同じくコンクールを受けたりする身としては、ちょっと無理くり感の否めない作品に私は感じます。
これが戦争だ

これが戦争だ

劇団俳小

ザ・ポケット(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/07/27 (木) 19:00

価格4,500円

劇団俳小。前回のマギーの博物館に続く2度目の観劇でした。
マギーもそうでしたが、芝居のテンポ感や俳優の持つポテンシャルを十分に引き出している印象がありますね。「これが戦争だ」アフガン戦争から帰国した4名のカナダ軍兵士たちのインタビューから、各々配役の視点で物語が解釈されていく本作品では、戦争の惨さはもちろん…どんな極限状態であっても人間の持つ欲望や想いは、同じくらい強く「生きる」という意味を再確認させられるものと感じた。

ネタバレBOX

スティーブン、ターニャ、ジョニー、クリスの4人が語るのは、共同作戦前夜での出来事。
男女関係のもつれ等から、仲間の若手兵士ジョニーの負傷させてしまう。この一連の流れと配役視点の回想シーンが繰り返され…という流れは、正直予測ができてしまうので面白くはなかったです。日本人キャストがカナダ軍兵士を演じるという点で、ややオーバーなリアクションや台詞回し。台詞の受け身では所々に日本人っぽさを感じてしまう点。作品が戦争をモチーフにしているということもあるが、中盤からの芝居の盛り上がりという部分ではやや欠けているようにも感じました。個人的な感想としては、まるでエチュードのような「役者のためになる作品」だったように思います。
ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで

ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで

劇団鹿殺し

本多劇場(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/07/18 (火) 16:00

価格5,900円

「鹿版 銀河鉄道の夜‘23」を堪能して参りました。
本多劇場での公演が(しかも千秋楽)チケプレで当たったのは嬉しい。
照明・音響の力強さと演劇を愛してやまない暖かいファンの声援。
平日の昼間からこんな贅沢なひと時を与えてくれた劇団に感謝。

「ザ・ショルダーパッズ」ですが、
第一印象はヤバい作品に当たったと思いましたw
市販の肩パッドを股間につけただけの最小限の衣装。
「この身ひとつで~」と歌唱が始まるのだが、極貧時代に団員が見つけた肩当てから閃き、それを縫って作り上げられた俳優陣の肉体を最大限に生かした風貌。よくこんなこと思い付いたという創造性と、自分の中には絶対にないだろう世界が混合し、初めて見る銀河鉄道の舞台へと変貌したのである。

ネタバレBOX

実は、銀河鉄道の夜は学生時代に上演した思い入れのある作品。
ジョバンニはボーカル兼役者兼演出の座長・菜月チョビさん。前説と歌と役者としての発声。これを全部やるというのは声帯のいろんな所を使っている筈なので疲れますよ。結構ガラガラだったので歌えるかなと心配でしたが、割れることなく最後まで走り抜けた姿は素晴らしかった。しかも楽曲が良い。ガタンゴトン…オノマトペを芝居の中にも、歌唱にも効果的に取り入れたのが良い。これは当時の自分にも教えてあげたい位の魅せ方。

カンパネルラ含む男性俳優は、全員ショルダーパッズ姿。
せめてカンパネルラも、普通の洋服で良いのでは!?と舞台絵面が気になります。
雰囲気が出ないんだよね。銀河鉄道の童話作品に裸の男たちがワラワラ…しかも本多劇場で。二度とこんな状況作り出せないのではと思ってます笑

総じて初見の感想ですが、良くも悪くも商業演劇という印象。
細かい台詞・役者たちのニュアンスや個々の表現はどうしても、ジョバンニ+カンパネルラを含むアンサンブルで統一されてしまっているパフォーマンス。ダンスも歌も豪華絢爛で素敵だけど、これが商業的でもあり、個人的にはもっと芝居くさい芝居を観たかったかな。
もし違う箱で本公演を行っていたら…これも考えました。どこでやるかも大事ですね。

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