
『LOVE』Chapter2
シンクロ少女
OFF OFFシアター(東京都)
2018/01/29 (月) ~ 2018/01/31 (水)公演終了
満足度★★★★
お互いそれなりにオトナだし恋だって初めてじゃないのに、傷つけたくないし傷つきたくないから言葉が見つからなくなる。思いやりも見栄も打算もそれぞれにあって、ウソではないんだけど素直にもなりきれない。
そんな女たちや男たちが皆ホントに可愛いのは、むき出しの心が見え隠れしているから。ぶっきらぼうのようでいて繊細さがにじみ出る。
そして、えっここで!?というところで幕。3月にchapter3を上演するという。
これは確かに続きが観たくなる。

俺を縛れ!
柿喰う客
本多劇場(東京都)
2018/01/24 (水) ~ 2018/02/04 (日)公演終了
満足度★★★
初演と再演両方に出演されているのは、柿喰う客副代表の七味まゆ味さんだけ、とアフタートークで伺った。その七味さんも初演とはまったく違う役割だ。
最近の柿喰う客のスタイリッシュさや寓話性の高さとはだいぶ印象の異なる舞台だけれど、一方で初演ともずいぶん変わっていた気がする。
少なくとも、初演で客演の方々が演じていたいくつかの主要な役を劇団員が汗だくで演じる姿や初演とは大きく変わったエンディングを観て、現在のこの劇団のあり方の幾分かを感じられた気がした。
この記事を書いているうちに作品の感想からは離れてきてしまったけれど、こうして再演を観て改めて自分がこの作品から受けた影響の大きさを感じたりもした。

TERROR テロ
パルコ+兵庫県立芸術文化センター
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2018/01/16 (火) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★★★
テロリストにハイジャックされ、7万人の観衆が集まっているスタジアムに突っ込もうとする旅客機を命令に背いて撃ち落としたパイロットが殺人罪に問われている。
我々観客もその裁判に参審員(一般市民から選出され、裁判官とともに評議を行い、事実認定や量刑判断を行う)として参加しているのだ。
事件の様子や背景が人々の言葉によって次第に立体化され、いくつもの視点が加えられていく過程は本当にスリリングであった。
上演時間のうち大半は客席も明るく照らされて、我々もこの物語の一部であると感じさせられた。
そういう枠組の面白さに加えてキャストはそれぞれ素晴らしく、それを観られただけでも行った甲斐があると思えた。

再生ミセスフィクションズ2
Mrs.fictions
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2018/03/15 (木) ~ 2018/03/19 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/03/16 (金) 19:30
一滴のアルコールも摂取していないのにほろ酔いみたいな気分なのは、観てきた舞台が本当に素敵だったから。
再演短編集と言いつつ新作や外部演出家の起用もあって、バラエティに富んだ約95分。4本の短編それぞれにこめられたたくさんの笑いとせつなさと。
明るい未来や幸せな人生とは無縁の人々ばかり登場するのになぜこんな幸せ気持ちになるんだろう。短い物語の一つひとつに「優しさ」と呼ぶには少し切実過ぎる何かが満ちて、惹きつけられる。

iaku演劇作品集
iaku
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/05/16 (水) ~ 2018/05/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/05/27 (日) 11:00
『粛々と運針』と『梨の礫の梨』を拝見。
どちらも味わい深く面白かった。
特に『粛々と運針』は、題材・構成・演出・俳優等がとてもよく噛み合って、芝居というものの面白さってこういうことだよなぁ、と思わせられた。

上空に光る
やしゃご
アトリエ春風舎(東京都)
2018/09/13 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/09/16 (日) 18:00
上手く言えないけど、(ああ、人間がいるなぁ……)と思った。
正解なんかない。それぞれの抱えたものは抱えたままで、それでも生きていくしかないのだ、と。特定の状況を丁重に描きながら、その中に普遍的なものが息づいて、目の前の人々がみな愛しく感じられた。

山の声
オフィスコットーネ
Space早稲田(東京都)
2018/10/26 (金) ~ 2018/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/10/28 (日) 13:00
山に魅せられた男たちを描く濃密な二人芝居。
何よりお二人の演技に圧倒された。彼らの人となりや関わりを伝えていく前半から、緊張感に満ちた後半へとつながっていく構成も見事。
客席は暖かかったのに、指先が凍えるような、吹雪の痛みを肌に感じるような錯覚を覚えた。

毒づくも徒然
MCR
OFF OFFシアター(東京都)
2018/11/20 (火) ~ 2018/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/11/23 (金) 19:30
『櫻井さん』を拝見。
油断してた。変な奴ばかり出てくるのに、どうしてこんなに刺さるんだろう。
声を立てて笑ってるのに、いたたまれないくらい遣る瀬ない。ヒリヒリするほど酷い話なのに、登場人物たちへ向ける眼差しはどこかやさしい。
この奇妙に愛しい物語を観ることができてよかった。

No.9-不滅の旋律-
TBS
赤坂ACTシアター(東京都)
2018/11/11 (日) ~ 2018/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/11/24 (土) 18:00
天才作曲家の苦悩と葛藤、そして彼を取り巻く人々の苦労(!)を描く3時間10分。
耳の不具合・激動する時代・家族や興行主との確執等の末に作曲家が見い出した音楽とは……。
わがままで気分屋で傍迷惑な天才を魅力的に演じた主演の稲垣さんをはじめとするキャスト陣の熱演に拍手。

よろこびのうた
坊っちゃん劇場
ティアラこうとう 大ホール(東京都)
2018/11/28 (水) ~ 2018/11/29 (木)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/11/28 (水) 19:00
第一次世界大戦中の徳島。
若いドイツ兵俘虜と日本女性の恋愛や収容所所長とドイツ人将校の情誼を軸に、日本人とドイツ人の交流を描く笑いと涙のミュージカル。
朝ドラを思わせる題材や雰囲気の物語。ドラマティックな展開と明るい歌声を幅広い層の観客が堪能した。

逢いにいくの、雨だけど
iaku
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2018/11/29 (木) ~ 2018/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/12/01 (土) 14:00
今年3本目のiakuも期待に違わぬ面白さ。
不幸な事故がもたらした澱のような傷のような何かを、抱えて生きてきた登場人物たち。そのそれぞれの痛みやこだわりや屈折を丁重にすくい上げ編み上げた物語。
キャストもそれぞれハマり役で、ダブルコールも納得の舞台だった。

エダニク
ハイリンド
シアター711(東京都)
2018/12/07 (金) ~ 2018/12/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/12/08 (土) 14:00
ハイリンド『エダニク』、めっちゃ面白かった。
脚本は先週観た『逢いにいくの、雨だけど』と同じiakuの横山拓也さん。演出はサスペンデッズの早船聡さん。
カップ焼きそばで始まった物語は、屠畜という仕事とそれぞれの立場による思惑やこだわりにおされるように加速していく。
ユーモアと緊張感に満ちた約90分の濃密な会話劇に、キャストもそれぞれハマり役で素敵だった。

何事にも理由があって欲しい
小岩崎小企画
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2018/11/22 (木) ~ 2018/11/25 (日)公演終了
満足度★★★★
4人のキャストによる5つの短編。それぞれにおかしいような切ないような、胸の奥の柔らかいところに届くような、そういう物語。個人的には『物騒な話』が特に面白かった。あと『殴る蹴る』の2人が、抱きしめたいくらい愛しかった。

徒然アルツハイマー
演劇企画集団Jr.5(ジュニアファイブ)
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2018/10/31 (水) ~ 2018/11/05 (月)公演終了
満足度★★★★
初めて拝見するユニットで、チラシの印象からもっとウェルメイドな物語を想像していたが、ダメな大人たちの現実と心象が交錯し、観る者の閉塞感と絶望を優しく搦めとる舞台であった。
キャストはそれぞれ魅力的だが、特に父役の中原さんの声と佇まいに惹かれた。

ミセスフィクションズ夏の振替上演・上映会
Mrs.fictions
駅前劇場(東京都)
2018/08/17 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了
満足度★★★★
4つの短編上演とひとつの長編の上映を拝見。
それぞれ笑いを多めに重ねながら、終わっていくモノや喪ってしまった何かに想いを馳せていくような、繊細で切実な物語たち。
出会えたはずの誰かと別れてしまっても、遙かな遠い未来にまた出会うこともあるかもしれない。
夏の終わりのかすかなさみしさともの憂さがよく似合う公演となった。
延期となった『月がとっても睨むから』についても、きっとかなうはずの約束として、気長に待ちたいと思う。

郷愁の丘ロマントピア
ホエイ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/01/11 (木) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★
老人たちのやり取りと回想を通して描く夕張の近代史は、ユーモアとペーソスを含んで切なく愛おしい。
炭鉱での過酷な仕事や家族との思い出。過ぎ去った日々は湖の底だけれど、記念碑や町の名前が墓標のように残る。
丁寧な取材を感じさせる細やかなエピソードの数々と、それに血を通わせる作劇の確かさが、沈んでしまった町の風景を観客の胸に残した。

1万円の使いみち
monophonic orchestra
Geki地下Liberty(東京都)
2018/01/13 (土) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★
1万円を届ける旅と1万円を使い切る旅。2組の旅路はそれぞれの後悔や迷いと結びつき、そしてそれをほどいていく。
笑いを交えて描かれる物語の中で、聞き慣れたいくつもの地名や路線名がどこか懐しく優しく響いた。

BALLO~ロミオとジュリエット~
CHAiroiPLIN
東京グローブ座(東京都)
2017/12/02 (土) ~ 2017/12/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
いやぁもうホント面白かった!!
自分では選ばなかったであろう演目だけに、誘ってくれた友だちに感謝。
よく知ってるはずのロミオとジュリエットの物語が、多彩な身体表現と大胆な演出で瑞々しく刺激的な舞台となっていた。

風紋 ~青のはて2017~
てがみ座
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/11/09 (木) ~ 2017/11/19 (日)公演終了
満足度★★★★
病に倒れ東京から故郷に帰る宮澤賢治が、千人峠の駅舎兼旅籠で過ごした時間。そして過去の友人とのやり取りや死んだ妹への想い。
悪天候に閉じ込められた人々のそれぞれの抱えるものも含め、喪われたのもを想う心情を細やかに描き出していた。

心中天の網島-2017リクリエーション版-
ロームシアター京都
横浜にぎわい座・のげシャーレ(神奈川県)
2017/11/06 (月) ~ 2017/11/18 (土)公演終了
満足度★★★★
心中物をベースに現代的な風景の中で描かれる男女の情としがらみが、糸井さんらしい演出でたっぷりの音楽に乗せた愛と死の物語となっていた。
キャストも粒ぞろいで見ごたえのある舞台だった。