満足度★★★★
冒頭。4人の楽師と指揮者が登場する。ロシア人の俳優が演じる指揮者は、ロシア語でまくしたてたかと思うと、日本語を交えた戯けたトークで観客の笑いを誘う。
そして、着飾った男女が踊りだす華やかなオープニング。
色とりどりのドレスで踊る女たち。街の権力者たちのいかにも俗物めいた描写が笑いを誘う。
かと思うと、「ロシア語がひとことも話せない」と言われる医者をロシア人の役者さんが演じる皮肉とか。
検察官と間違われた若い役人と市長をはじめとする人々の滑稽なやり取りがある種の様式美によって描かれていく。
その様子は、なんていうか、不思議な国のサーカスみたいだった。カラフルで滑稽な馬鹿騒ぎ。印象的な音楽とダンス。躍動感とリズム。独特の陰影。皮肉と哀愁。
初演の記憶よりいっそうパワフルで、3時間近い長尺を飽きる間もなく魅了された。