Pittsburgh Philの観てきた!クチコミ一覧

21-40件 / 400件中
組曲『回廊』

組曲『回廊』

空想組曲

OFF OFFシアター(東京都)

2012/07/19 (木) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★

お見事
ナカゴーの後、「深海のカンパネルラ」以来の空想組曲へ。キャンセル待ちになり、最前列の一番端という席になった。これはこれで良かった、実は。

「組曲「空想」」以来の変則短編集。今回もお見事でした。個人的には「空想」の方が好きだけれど、今作は中心となる一本の筋が通った話が織り込まれていたため短編同士の統一感があり、またその中心となる話がとても心暖まるファンタジーでグイグイ引き込まれた。

小玉久仁子さん。毎度毎度のキレのある演技を観せてくれたのだが、今回は何といっても「バーテンダー」での演技が光った。奥の深い、大人の女性の顔。これまでの作品では一度も観た事のなかった表情にドキドキさせられた。やはり小玉さん、大好きである。

で、日替わりゲストは葛木英さん。エロカッコ良く、エロ美しい。エロじゃないか、セクシーだ。それでいてしれっとすっとぼけた演技をするので、そのギャップに落とされてしまう観客も多いのではないか。俺もその一人。

東京裁判

東京裁判

パラドックス定数

pit北/区域(東京都)

2012/07/31 (火) ~ 2012/08/12 (日)公演終了

満足度★★★★

やっと、初見
これまでに何度か予約をさせてもらったものの、急な用事が入ってドタキャンをせざるを得なかったパラドックス定数。遂に観させてもらう事ができた!

いやいや、待った甲斐があった。素晴らしい作品。検察側に座ったのは大正解だった。重いテーマではあるものの、たとえ敗者であっても黙認はできない強い想いを、噛み殺しながらも可能な限り前面に押し出す弁護団たち。善悪や正誤とは全く一線を画した、勝者が敗者を裁く戦争裁判。やるせない想いの叫びを感じる事ができた。

もちろん軍部の暴走も含め日本にそれなりの非があったという部分は否定してはいけないと思うし、戦争に負けた事によって不利な状況に追い込まれてしまうという部分も、出来事の規模から考えるといた仕方ないとも思う。ただ、fair trial というものを一番信じているであろうアメリカからその fair trial を与えてもらえなかったというのは、少し悲しい気がする。まあ時代が時代だっただけに、これもいた仕方なかったのか。

クライシス百万馬力

クライシス百万馬力

ホチキス

シアタートラム(東京都)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/16 (日)公演終了

シアタートラム
「看板娘ホライゾン」以来のホチキス新作公演。なかなかのハイペースで公演をうってくれておりますな。収まりの悪い形のフライヤーが、どこ公演の織り込みでも目立っていた。

ホチキスらしいエンターテイメント。いつもより若干テンポが悪かった気もするが、役者さん達は皆いつも通り素晴らしく、キレキレなホチキスアンサンブルを観させてもらった。

ただ・・・今回は脚本がヒドい、、、あれはやっつけ仕事でしょう。失礼な言い方かもしれないが、これまでに米山和仁さんの作品は10作品近く観させてもらっている。そんな中での感想だ。とにかく今回の本はヒドいと思う。適当過ぎで、行き当たりばったり過ぎで、心が全く入っていなかった。意図的にベタにしているのだとは思うが、設定があまりにも手抜き過ぎる。ベタである理由がどこかで提示されれば良いのだが、目的も意図も見えないベタ。ご都合主義の、露骨に無茶苦茶な設定だった。

こころなしか役者さん達も演じづらそうに見えた。。。あんなに取って付けた様なご都合主義のセリフ&演出の連続では、観させてもらっていて正直しんどかった。。。ホチキスは大好きな劇団だけに、どうしてしまったのだろうかというのが今作に対する感想だ。まあこういう時もあるのだろう。

シアタートラムには無線LANはないのかなあとウロウロしていたら、向かいのセブンイレブンから電波が飛んできていた。

進化とみなしていいでしょう

進化とみなしていいでしょう

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2012/07/28 (土) ~ 2012/08/14 (火)公演終了

満足度★★★

レッドシアター=クロムモリブデン
「節電 ボーダー トルネード」以来のクロムモリブデン。

相変わらずのカッコ良さ。クロムモリブデンという劇団にしかないあの統一感。劇団力。最近ではレッドシアター=クロムモリブデンという印象が強く残る様になってきている。作品構成、舞台美術、音響、照明、どれもクロムモリブデンによる一級品だ。動き、テンポのリズムが気持ち良い。

ただ前作でも書いたのだが、話を無理矢理分かりにくくし過ぎている気がしてならない。もっともっとドストレートな作品を観てみたいものだ。実力に関してはもう疑う余地もないので、クロムがレッドシアターで観せるド直球作品をいつか観させてもらいたい。

あと音楽。前作はDEVO押し。今回はクラフトワーク押し。カッコいいのだが、前作で味を占めた感は拭えない。繰り返しの部分の演出が前作とほぼ同じなので、もう少し何か違う観せ方をしてくれたら、、、というわがままなお願い。そのままでも十分過ぎるくらいカッコいいのは間違いないのだが。

森下亮さん&幸田尚子さんのデュオプレイはやはり最強。気持ちがよい。あと初見のゆにばさん、強烈。何者なのだろうか、あの人は。久保貫太郎さんは今回ちょっとやり過ぎた感じが・・・

フリル

フリル

アマヤドリ

王子小劇場(東京都)

2012/09/08 (土) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

第0回公演
「うれしい悲鳴」で爆破したひょっとこ乱舞改めアマヤドリの第0回公演。

んー、良作でした。メンバーはほぼ同じだけれど、劇団名を変えるという大きな決断をした価値が十二分に出ていたと思う。確かに「だから何?」という話の流れが主軸になっていて、こんな日常を観るためにお金を払う必要かあるのか?という面もある。が、劇団と広田淳一さんが放つ世界観というのはあの劇場のあの時間でしか体験する事ができないので、演劇らしい貴重な「だから何?」だったと思う。

無理せず作品をリリースした第0回公演。今後も期待する。

松下仁さんは観させてもらう度にレベルを上げていっている。こちらもまだまだ楽しみだ。あと観させてもらった回では、なぜか根岸絵美さんが椅子に激突しまくっていた。意図的な演出なのかなとも思ったが途中からはぶつからなくなっていたので、単なるアクシデントの連続だったのかもしれない。

ちなみにもう「乱舞」ではないので、踊りのシーケンスはいらないのではないかな。

りんご

りんご

快快

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2012/09/13 (木) ~ 2012/09/16 (日)公演終了

満足度★★★

静と動
「SHIBAHAMA」以来、ものすごく久しぶりの快快。その後に「Spicy, Sour, and Sweet」もあったか。この公演を最後に篠田千明さんと中林舞さんが脱退し、天野史朗さんと大道寺梨乃さんが活動を休止するとの事。かなり残念な話だ。そういった事も心に留めて、今作を観させてもらった。

うん、良い作品だった。静の快快と動の快快の両方を楽しめた。パフォーミング集団色が濃くなりつつあった快快だが、やはり演劇集団としてのチーム力はハンパ無い。断片的なエピソードが繫がれていく話の構成だったのでついていくのに苦労する部分もあったけれど、想定外の事が起きている時の人間の思考はああいった状態になるのだろう。理解不能な事は虚構の世界に持ち込んでこそバランスが取れる時もある。

楽しい事であれ悲しい事であれ、自分の心に居座っているものを作品として解放してあげるツールとしての演劇はやはり素晴らしい。現快快としての一つの区切りを観させてもらった。

旧作の再演時にはまたこのメンバーが集まるそうなので、これまで観逃していた作品が再演される時には是非観に行きたい。もちろん新生快快にも注目し続けるけど。

秘密の繭

秘密の繭

劇26.25団

OFF OFFシアター(東京都)

2012/10/24 (水) ~ 2012/11/04 (日)公演終了

満足度★★★★

久々
「正しい晩餐 山の幸バージョン」以来久々の劇26.25団。

うん。とても面白かった。時事ネタ(中国ネタ)をかなり強引に盛り込んだ箇所があって若干大味になってしまった場面もあったが、生の舞台だからこそ提示ができる「家族の焦点のズレ」を堪能させてくれる重厚な作品だった。力のある役者さんたちが演じる危うい不穏さを秘めた家族劇を、あの距離でビリビリ感じながら観られるというのは、演劇ならではの醍醐味だ。

叙述ミステリな趣を秘めて、不協和音漂う家族が過去と現在を繰り返し訪れ記憶の修正を図っていく。その脚本の構成がお見事。そうだと思い続ければ、時を経て、無かった出来事も真実になる。そういった不協和音が最後の合唱に繋がったのかなとも思うが、あの歌の部分はちょっと冗長だったか。そしてある意味クリフハンガーなラスト。この家族はまだまだ荒れる。荒んでいく様な余韻が残って終幕。良作。

長尾長幸さん演じる古賀が毎回玄関の靴を並べ直す演出に、なぜか目を魅かれた。

舞台美術の完成度がお見事。

無差別

無差別

柿喰う客

東京芸術劇場 シアターイースト《公開GP》(東京都)

2012/09/14 (金) ~ 2012/09/14 (金)公演終了

満足度★★★

すごく時間が経ってしまいましたが
「絶頂マクベス」以来の柿喰う客。久々の新作本公演。

相当な試行錯誤があったのではないだろうかと思わされる作品だった。脚本+演出+役者力のトータルでいうと、やはり柿喰う客は俺の中での関東ベスト5に入るなあ。

中屋敷法仁さんは無駄が無い。そつがない。妥協が無い。で、中屋敷さんの希望・要望・要求に応える事ができる役者さんが集まっている。期待していた作品と全く違ったものが提供されても納得してしまうし、そもそも、柿喰う客に関してはそろそろ先入観無しで観に行かねばと思っている。それだけの演劇力を持った劇団になりつつあるのではないか。浅く広くではなく、深く広いジャンルのオリジナルを手がけるきっかけとなる作品となるのではないか、これは。新しい血がが入って、ますます楽しみだ。

神、樹、犬、モグラに対する畏怖、劣等感を中央の木に集中させ、観客の視線を一切ブラすことがない淡白な舞台美術。あのシンプルさと落ち着きが、これからの柿喰う客"B-Side"として定着し始めるのではないかな。

役者・中屋敷法仁、久々に拝見しました。

貧乏が顔に出る。

貧乏が顔に出る。

MCR

サンモールスタジオ(東京都)

2012/09/20 (木) ~ 2012/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★

MCR
「女がつらいよ」以来のMCR。過去作品の再演との事。「俺以上の無駄はない」を観逃したショックをまだ引きずっている・・・

素晴らしかった。櫻井智也さんが創る作品・出演する作品は、ハズレが無さ過ぎて恐ろしい。まだMCRという劇団の存在を知らなかった頃の作品なので、観る事ができて本当に嬉しい。櫻井さんの想像力・創作力を尊敬してまう作品。

正直、第一幕は???と感じた。なんだか強引な作品になりそうな気がする・・・と。だけどそれは大間違い。地蔵であれだけ広がるのか。ある意味ファンタジーなのだが、伏線の張り方が強引ではなく、「こいつらならあり得そう」と思わせるところに櫻井さんのペンの力あるのだと思う。本当に傷つく人をあまり生み出さないところが櫻井さんの優しさであり、観る側が劇作家としての櫻井智也さんを他と差別化できる要因になっているのだろうな。深くて、不条理で、笑いがあって、潔い。MCRバンザイ。

東谷英人さんは、ホント観る度にレベルが上がっていっている気がするなあ。堀靖明はあひるなんちゃら系の役者さんだけど、MCR系でもある事を今日知った。って、あひるなんちゃらも結構観逃しているじゃないか。

ただ、白ジャージがいないと「あれ?」と思ってしまう。

ライオンキング【東京】【2023年1月22日昼公演中止】

ライオンキング【東京】【2023年1月22日昼公演中止】

劇団四季

四季劇場 [春](東京都)

2000/01/01 (土) ~ 2016/05/28 (土)公演終了

満足度★★★

初の劇団四季
初の劇団四季。ライオンキングだ。

うん。噂通り面白かった。まあ良く知られているストーリーだからあまり語る事は無いのだけれど、客席側からワラワラと動物が登場するオープニングとか、動物アンサンブルの小道具とか、螺旋階段調のセットとか、やはり圧倒されてしまう。日本の商業演劇も捨てたものではない。「商業演劇」って嫌な響きか。大劇場演劇も捨てたものではない。

ただ、あの母音を強調する発生方法、気持ち悪いなあ。好き嫌い分かれるんだろうな、あれは。

完全版・人間失格

完全版・人間失格

DULL-COLORED POP

青山円形劇場(東京都)

2012/11/01 (木) ~ 2012/11/07 (水)公演終了

満足度★★★

時間が経ってしまいましたが
「くろねこちゃんとベージュねこちゃん」以来のDULL-COLORED POP。硬派な演劇人、谷賢一さんはやはり気になってしまう。何だか取り壊しなってしまうという噂の青山円形劇場にて。皆さまもchange.orgで陳情してみてはいかがでしょうか。

とても分かり易い、良作だった。コロさんのバージョンを観させてもらったのだが、葉蔵という不安定なキャラクターを、女性のコロさんが演じているところに妙な説得力があった。原作は数回読ませてもらっているのだが、葉蔵というキャラクターには苛立ちと不快感しか感じる事ができず、毎回「もう二度と読むまい」と思っているのだが、それでも数回手を出してしまっている。

でも今回演劇という媒体でこの作品に触れさせて頂いて、この作品の本質がうっすら見えてきた気がする。正直、どうでもいい作品なんだろうな。太宰治が自分のどうしようもなさ、無力さ、無気力さを、何となくカッコ良く世間に見せたかった作品なのだと感じた。これも谷さんの筆の力か。

帰宅後、早速「人間失格」を引っ張り出してきて再度読読。

コロさんはこの後しばらく演劇から離れてしまう・・・のかな?

否定されたくてする質問

否定されたくてする質問

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2012/11/01 (木) ~ 2012/11/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

2012年 No. 1 かもしれない
下北沢で素晴らしい舞台を観た後ジムへ行ったのだがどうも気分が乗らず、ジャクジーに入ってサウナを2ターン堪能して帰ってきた。

で、その舞台。「いつも誰かのせいにする」以来の箱庭円舞曲。あれ?第十八回公演って観逃したっけ・・・?

素晴らしい!!!2012年 No. 1 かもしれない。毎作品、違う分野・業界の内情を、粗の無いセリフ回しで観せてくれる。例えその業界について知らなくても、また興味が無くても、舞台に釘付けになってしまうのだ。古川貴義さんの知識量、リサーチ力には恐れ入る。

脚本・演出がソリッドである事は毎作品変わらないのだが、この劇団は何といっても役者さん達だ。劇団員の方々、客演の方々全て素晴らしかったのだが、今回は爺隠才蔵さんかな。表舞台に立つのを諦めて裏に回り、表で活躍する自分よりも才能のある人間を叱咤激励する。若干の劣等感や敗北感、羨望感を含みながらも、客観的な第三者としての編集者を好演していた。

昨今のナイロン100℃の役者さんの中で、かなり好きになりつつある白石廿日さん。相変わらずのすっとぼけ感が良かったです。もう一人の気になるナイロン女優、菊池明明さんと共に、積極的に客演をしているところが好きだ。

傷は浅いぞ

傷は浅いぞ

柿喰う客

東京タワー フットタウン1F 特設ステージ(東京都)

2012/11/09 (金) ~ 2012/11/11 (日)公演終了

満足度★★★

11/11
「無差別」以来の柿喰う客。2007年の作品の再演。東京タワーにああいう劇場的なスペースがあるんだな。初めて知った。

うん、面白かった。柿喰う客という劇団の存在を知ったのは2008年の「俺を縛れ!」の時なので、それよりも前の作品を再演で観させてもらえるというのは嬉しい限りだ。

話の設定自体は雑なのだけれど、アイドルとテレビ業界の「汚れ」部分を、針を振り切った方向で畳み掛けてくる。2007年当時の劇団のエネルギーと方向性を感じる事ができた。あとはやはり音ゲー的なテンポ。「学芸会レーベル」の時の感動を思い出した。水槽の脳的な終わり方も、5年前の中屋敷法仁さんの思考錯誤が表れていていろいろと考えさせられた。

深谷由梨香さんの汚れアイドルは完璧だなあ。真っ直ぐしか見ていないイタさ。技も策も無く、力だけでなぎ倒していくイタさを極限まで表現できるのは、やはり深谷さん。

永島敬三さん、うまくなっているなあ。まだ演出に頼っている感じもあるけれど、素で持っている感性と反応の良さが更に表に出てくる様になったら、ナイロン100℃の大倉孝二さんみたいに化けるかもしれない。期待。

行方不明

行方不明

ブラジル

赤坂RED/THEATER(東京都)

2012/11/17 (土) ~ 2012/11/25 (日)公演終了

満足度★★★

ブラジル
赤坂RED/THEATERにて「イエスタデイ」以来のブラジル。

「軋み」の様なリアリスティックなブラジルの方が好みではあるのだが、今作や「怪物」の様な"B級ドフィクション"に振り切れている作品もなかなか良い。硬派な作品から虚構作品まで、幅の広いテイストを提供してくれるからこそこの劇団の評価は高いのだろう。「行方不明」というタイトルがとても良い。

ただ、櫻井智也さん演じる主人公の行動を動機付ける理由がかなり薄かったので、話にエンジンがかかるのがかなり遅くなってしまっていた様な気がする。リストラ、浮気と負の連鎖が起きたので、では過去を再訪問しよう・・・ではあまりにも弱い。話がどこへ向かっているのか、着地点はどこなのかが、ブラジリィー・アン・山田さんにしては珍しくぼやけていた感がある。

とはいえ、それが逆に現実と現実の間に挟まれた夢魔の様な時間を際立たせていたのかもしれない。まんまとやられてしまったか。

すべての夜は朝へと向かう

すべての夜は朝へと向かう

劇団競泳水着

サンモールスタジオ(東京都)

2012/12/12 (水) ~ 2012/12/24 (月)公演終了

満足度★★★★

9作品目
冷たい雨だったが、思いのほか早く止んでくれた。折り畳み傘にしておいて正解だった。で、この寒い中、サンモールスタジオにて「Goodnight」以来の劇団競泳水着。この劇団の作品を観させてもらうのも、もう9作品目だ。

お見事です。上野友之さんの作品は外れませんな、もう。俺なんかでは到底感じ取る事ができない、女性目線での恋愛ストーリーを書かせたら関東演劇の当代一に近付いてきているのではないか。かつてトレンディードラマシリーズという連作を上演していたが、そこからの大人アプローチへの成長が著しい。この劇団の成長は、「そして彼女はいなくなった」辺りから二次曲線を描き始めている。

後半にさしかかって少し話が重くなり過ぎてダレ始めたかなあというタイミングで、細野今日子さん&根津茂尚さん夫婦のエピソードがスッと入ってくる。あのタイミング、あの構成は技だ。上演時間を見越したタイミングで、やり過ぎの無いコミカルさを挿入するのって実はかなりの度胸とテクニックを要するのではないかと思う。最後のザンヨウコさんのエピソードも、2012年の素敵な締め。

劇団員の中で一番演技の幅が広い大川翔子さん。今回もお見事だった。川村紗也さん、細野さんももちろん上手なのだが、この2人は若干タイプキャストになりつつある。大川さんは毎回違った温度の役を全く違和感無く演じているので、俺の中での評価がとても高いのだ。お見事、お見事。

相楽樹さん。とても演技がうまい。ものすごく若い段階で舞台に挑むアイドルを何度か見かけているが、皆驚く程演技がうまいの。相楽さんもそう。ゴールデンのドラマで目にする日も近いかもしれない。まあ事務所の力次第なのだろうけれども。

肉のラブレター

肉のラブレター

MCR

駅前劇場(東京都)

2012/12/19 (水) ~ 2012/12/23 (日)公演終了

満足度★★★★

生(せい)のエネルギー
12/22。劇団競泳水着を堪能した後、参宮橋のマクドナルドで読書。ここのマックにはダブルクォーターパウンダーが無いのだ!どういう事だ!!!そのまま下北沢駅前劇場へ向かい、「貧乏が顔に出る。」以来のMCR。

んー。やはりMCR、好きだな。重めのテーマをペーソス溢れる演出で書き出すところは櫻井智也さんの成せる技だ。チャップリンですよ、チャップリン。

堀靖明さんと百花亜希さんが人間の"生(せい)"の部分を全面に押し出す事で、ポシティブさ全開の作品になっていた。生きている!というエナジー全開。北島広貴さんの役は病気になる前から負の空気満載なのだが、金沢涼恵さん&堀さん&百花さんによって見事に中和されていて、落ちていくのではなく空に上がっていって死に向かっていった様な、明るい終末を迎えたのではないだろうか。強引な「ダンス」という"生"の表現も、なんだか納得させられてしまう今作。金沢さんのキャスティングが完璧だったと思う。

櫻井さん脚本のNHKドラマ「ただいま母さん」が、2/24に放映されるらしい。

年末

年末

ろりえ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/12/28 (金) ~ 2012/12/30 (日)公演終了

満足度★★★★

劇団員公演
2012年の観劇納めとなる、ろりえの新作。7月の「㐂(よろこび)」以来。劇団員4名だけの作品は、「暖かそうな場所」以来かな。本当は夜に青☆組の「初雪の味」を観に行く予定だったのだが、急用でキャンセルをする事に・・・かなりショックだ。

とてもよく出来ていた。出演者が4人だけだったという事もあって非常にコンパクトにまとめられた作品になっていて、同時に劇団員のみで演じ切る作品なので奥山雄太さんが仕込んだろりえ的小ネタが至る所に散りばめられていた。女性4人の恋愛ストーリーを、淡い目線や接触で紡いでいく。良いですなあ。志水衿子さんへの評価がUP!

あの巨大サイズの鐘が、後半何かなるのではないか・・・と思わせておいて、最後までビターな思い出の象徴でしかなかった。うまいなあ。某作品での巨大ゴジラを思い出して、無駄にハラハラしてしまったではないか。

「(発電所)」

「(発電所)」

親族代表

新宿シアタートップス(東京都)

2008/02/14 (木) ~ 2008/02/24 (日)公演終了

満足度★★★

次も観てはみたい
コント仕立ての短編芝居が5本。3人組のユニットらしいのだが、公演前に1人が交通事故で出演できなくなったそうで、残りの2人とゲスト4人の6人で構成。1作につき2~3人が出演。

開演する前に、過去の公演のDVDが上映されていて、その内容が自分の好む笑いではなかったので「ハズしたかな」と思ったのだが、いざ開演し、初っぱなにつかみ的なオープニングスキット(ピン)があり、そのオープニングがなかなか良く出来ていて「ほぉほぉ」という感じでスタート。

5本で約90分の公演。「面白い!」と思ったのが2本。「なかなか」が1本。打率としては良かったのではないか。5作を5人の作家が書いていて、全作終わるまで誰がどの作品を書いたのかは知らされなかったのだが、自分の気に入った2本が今回の目的だった2人の作家によって書かれていた事を知り、ちょっとうれしい様な見透かされた様な、複雑な気分になった。ただ、自分が何故その2人の作家が好きかという理由が明白なので仕方が無い。やはり、設定であるとか、セリフ回しであるとか、テンポであるとかが自分の笑いのツボをくすぐってくれるのである。

親族代表の2人はとても演技がうまく、間の取り方も気持ちいい位のテンポで、次回作も見に行こうかなという気になった。ただ、常にいろいろな作家から台本を提供してもらっている形を取っているとすると、個人の好みでかなり当たり外れが出てきそうだ。逆に言えば、自分が今まで知らなかった多方面の作家のスタイルを一公演でいくつも観る事が出来るという事でお得感もある。次回に期待。

90分という適度な長さでダレることもなく、¥3,000ということでうまく時間をつぶすには最高のマチネーだ。当日券もあり、THEATER/TOPSは初めてだったがパイプ椅子&座布団で通路にも座れる。

パブリック・リレーションズ

パブリック・リレーションズ

JACROW

OFF OFFシアター(東京都)

2013/01/07 (月) ~ 2013/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

2013年観劇初め
2011年の観劇初めもJACROWだった気がする。そして「冬に舞う蚊」の時の様に、1月の段階で今年のベスト5に入りそうな作品に出会ってしまった。TVプロデューサー役の寺十吾さんがたまらなく良い。

貴方と私の演劇革命

貴方と私の演劇革命

月刊「根本宗子」

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2012/04/02 (月) ~ 2012/04/09 (月)公演終了

満足度★★★★

初見
どこでどう動いて、どこでどう止まって、どこでどのアングルでどの表情を見せたら自分の最高を引き出せるのかを完璧に知り尽くしている人だ。

このページのQRコードです。

拡大