青と緑と茶色のおはなし
ぼっこの会
王子小劇場(東京都)
2023/11/09 (木) ~ 2023/11/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/11/10 (金) 13:00
初見のユニットだが20周年だと言う。初めて観る「語り芝居」だが面白い。119分(4分,62分,休憩15分,18分,19分)。
さねとうあきらの創作民話を、ゆいきょうじが潤色して演出。物語の主な展開を語りで聞かせる演劇、とでも言おうか。プロローグの後『猿聟ばなし』、休憩の後、『どろんこぼっこ』『念仏三昧』。計3話を上演したが、面白く観た。語りを軸にするため展開は速いが、肝心なところはシッカリ演技を見せ、役者陣の力量あることがよく分かる。客席は、ほっこり、していたようだが、3作ともストーリーには気になる部分が残る。
固定ファンがいるようで、王子にしては珍しい高齢の観客席となったが、そういう客が来ると分かっているのなら、座席をフラットにするなど、工夫してもよかったように思う。
開始前にチケットを受け取るために並んでいたら、スタッフの一人に黙って手で押し退けられビックリした。最後列にいたためか、ロビーでの会話の声が気になる時間帯があったりもした。
静流、白むまで行け
かるがも団地
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2023/11/09 (木) ~ 2023/11/11 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/11/09 (木) 19:15
お気に入り劇団の新作は葛藤と再生の物語。とても面白い。観るべし!(5分押し)113分(前説1分を含む)。
仕事で取り返しのつかないミスをした静流(土本燈子)が、ひょんなことで知り合った香椎(後閑貴大)が同じようなことで悩んでいることを知って…、の物語。2人を取り巻く人々との群像劇として描かれているが、取り巻く人々のキャラクターがとても巧く描かれていて、それを役者陣が丁寧に演じている。セリフの選択がとても良く、思わず微笑んでしまう。とても興味深い登場人物ばかりだが、静流の幼馴染みの悠浬(小澤南穂子)の佇まいがとてもよい。本劇団は前説も芝居の一部のようになっていて、本作も同じ。
会場がやや広く、部屋の中央にある柱を避けるためにL字型の客席になっているが、下手側の方が観やすいだろう。
本劇団は、初見のときから本公演5作品とも星5を付けてしまったが、これは、私にとっては野田地図以外にない希有な劇団。
三落シリーズ
三栄町LIVE
三栄町LIVE STAGE(東京都)
2023/10/31 (火) ~ 2023/11/14 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/11/04 (土) 14:00
初見のユニット。「A班」を観た。まひたん出演ということで観に行ったが、リアルでシリアスな二人芝居短編を3本。面白い、という表現が正しいかよく分からないが、面白い、と言っていいと思う。
105分(=イントロ3分,29分,34分,36分,エンディング3分)。
全員でダンスのイントロの後、まひたん出演の『欠落。』。女子大4年生の智花は障害者対照のデリヘルで働くが、客として知り合った高杉が夢に出て来て…、の物語。障害者の性処理、という、ある意味当たり前のことなのに、滅多に取り上げられない話題を扱って興味深くて展開する。障害者の状況に智花が気づく場面がキモだな。
続いて『安楽。』はALS患者の安楽死を行なった研修医と患者の物語。どう観るのが正解か分からないテーマを巧みに扱う。
最後の『部落。』は東日本大震災で被災し家族を失った少女が高校生になった現在の物語。引き取った叔父も実は…、の展開だが、これが最もリアルでシリアスでキツかった。
『安楽。』『部落。』は実話ベースと思われるので、『欠落。』も実話っぽい裏付けがあるような気がする。3作とも30分前後なので観ていられるが、1話を長編にされたらメンタルがやられると思う。
『安楽。』で「ご察しの通り」というセリフがあったが「お察しの通り」ではないだろうか。
HOKUSAI and the Dr.Caligari
PSYCHOSIS
北千住BUoY(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/11/02 (木) 19:00
スタイリッシュなアングラ、と呼んでいるユニットだが、本作も月蝕歌劇団の作品をカッコよく上演。いや、面白い。89分(前説4分を含む)。
月蝕では『カリガリ博士』というタイトルで上演された作品らしいのだが、月蝕では観てない。焦点を葛飾北斎と娘を軸とした物語に潤色してはいるが、アングラテイストはいっぱい。北斎の物語とカリガリ博士の物語を交錯させるあたりは高取英の発想が凄い。元は風呂屋だったというスペースを活かして、場内のいろんなところで色々なことが起こっていて全てを観ることができないという面白さ(?)もあったりする。押しの大島朋恵は本作でも大活躍だが、主宰の森永理科がリスの格好をして出てきて、どこかで観たことがある、と思ったら手塚治虫「0マン」だった。
本ユニットがスッカリ気に入ってしまったが、旗揚げ公演『ドグラマグラ』を観損ねたことだけが悔しい。
『屋上庭園』『soloplay ある親子の問答』
研技術研究所
サブテレニアン(東京都)
2023/10/31 (火) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/11/01 (水) 19:00
初見のユニット。百花亜季出演というので観に行ったが、アットホームな印象のすがすがしい舞台だった。70分(=前説3分+34分+場面転換3分+30分)。
岸田國士の短編戯曲を2本。
まず『ある親子の問答』で、3バージョンあるそうだが、主宰で演出の大原研二が母親の立場での戯曲を読む一人芝居。時折、観客にセリフを読むよう促す等の演出も巧く、物語がスーッと入ってくるように思った。
続いての『屋上庭園』だが、いろいろな所で何回も上演されている戯曲で、どこかで観た気がするのだが思い出せない。登場人物は4人だが、ほとんどの時間を夫役の2人が会話する。本作を観て、面白いのは、妻役の2人が退場する場面と登場する場面だと思ったりもした。本作もスッキリと物語が入って来る上演だった。
終演後に「アフターフィードバック」というものを30分ほど。役者陣が集まって、上演に関して気づいたことを話すそうだが、普段の稽古もそのような形でやってるそうで、アットホームな印象を強く持った。
未開の議場 2023
萩島商店街青年部
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2023/10/31 (火) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/10/31 (火) 19:00
2014年に初演された作品が、いろいろな所での上演を経て上演。優れた会話劇で会議劇。(1分押し)126分(前説13分含む、プレビュー公演)。
トメニア人が多く住む萩島、という架空の町で、商店街の若手がフェスタをやろうとして、準備のため会議をするのだが…、の物語。笑いの部分もあるものの真剣にやりあう場面も多く、会議メンバー13人の描き分けも巧く役者陣もしっかりしていて、見応えある舞台になっていた。さまざまなどんでん返しがいっぱいあるが、エンディングは特に印象に残る。2014年の初演も観てるが、印象に残るのはコロナ禍の2020年に行なわれたオンライン版で、オンライン会議でのやり取り、というアイデアが見事だった。今回は行こうかどうしようか悩んでいたが、10年以上も観ている女優4人が出るので急遽観に行った。行ってよかった(^_^)v。
幸福な島の夜
円盤に乗る派
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/10/26 (木) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/10/27 (金) 19:00
初見のユニット。不思議な感触の芝居だった。89分。
先端テクノロジーが当たり前になったらしい近未来を舞台にした、基本は会話劇のようでありながら、物語が辻褄を合わせず、動きも奇妙。
DOLL 全公演終了しました、ご来場ありがとうございました!
KUROGOKU
王子小劇場(東京都)
2023/10/18 (水) ~ 2023/10/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/10/20 (金) 19:00
「teamL」を観た。初見のユニット。如月小春1983年の戯曲を2度目の上演だと言う。よくできている。102分。
いろいろなところで何回も上演されている如月の代表作の一つらしいが、観たのは初めて。女子中学生の集団自殺という実話ベースの物語らしいが、それを寄宿制の高校生の物語として構成する。同ユニットで2度目の上演だと言うが、手慣れた感じもあって丁寧な作りになっているし、女子高校生を演じた5人が本当に巧く「ジョシコーセー」を演じていた。ちょっと残念なのは、5人の女子高校生たちが抱える「もどかしさ」が浮き上がってこない感じがするのだが、そういうことではないのだろうか。
ダブルキャストながら両方に出る役者もいるのだが、それが同じ役ではないことが分かり、もう1チームも観てみたいのだが、残念なことにコマが足りない。
マイン
チタキヨ
イズモギャラリー(東京都)
2023/10/16 (月) ~ 2023/10/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/10/19 (木) 19:30
3人が愛おしくてたまらないので、2度目の観劇。すごくいい芝居です。(4分遅れ)47分。
幼稚園のママ友3人の物語。イラストレーター、それを手伝うパート、税理士と3人が三様の立場から、いろいろと絡み合う。よく考えると、それぞれの夫がダメダメな感じがあるけど、それでも強く生きて行けそう、っていうのがいい。エンディングもよく考えてみるとハッピーエンドになるかどうか分からないけど、きっと頑張って行くんだろうな、と思わせる。
同学年女性4人のユニットだが、最も古くから知ってる高橋恭子を初めて観たのは2003年なので、もう20年観てることになるんだなぁ…(遠い目)。
マイン
チタキヨ
イズモギャラリー(東京都)
2023/10/16 (月) ~ 2023/10/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/10/16 (月) 19:30
女性4人のユニットがホッとする作品を上演。なんだかとてもカワイかった。78分。
イラストレーターの永子(田中千佳子)はママ友のいずみ(中村貴子)に仕事を手伝ってもらいながらも、ちょっとしたヒット作を出し収入が急増したために、しばらく連絡を取っていなかった、やはりママ友で税理士の麗(高橋恭子)に連絡を取るが…、の物語。3人の関係や、それぞれの境遇で、マウントを取り合ったり慰め合ったり、など、あるある、な物語が展開されるのだが、出演した女優3人がとにかくカワイく見えた。最後はホッとする終わり方も同ユニットらしいエンディングで、作・演出の米内山陽子の作り方も安心できる。もう1回観に行きたいな、と思うが…。
オスカーの教室
電動夏子安置システム
駅前劇場(東京都)
2023/10/12 (木) ~ 2023/10/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/10/15 (日) 17:00
初日に観て、あまりに面白いので2度目の観劇。細かい部分もよくできていることが分かる。120分。
思い込みの激しい人物たちが、いろいろと行き違いや思い違いでドタバタするという展開。前回はやや後ろの席だったのが3列目になったので、個別の表情がよく見え、細かい部分でいろいろ演技しているのが分かる。冒頭の「幸福な王子」のシーンが好きなんだけど、澄華あまねの動きが美しいことが改めて分かった。澄華は道井とのやり取りのシーンでもとても細かく演技しているし、ちょっとイッちゃってる場面とそうでない場面の表情もしっかりと使い分けていたり、本当に巧い人だと思った。
KOTATSU
こまばアゴラ劇場
シアタートラム(東京都)
2023/10/13 (金) ~ 2023/10/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/10/13 (金) 18:00
青年団だとの付き合いが長いパスカル・ランベールが書き下ろして演出。面白いが、あり来たりという感じも持つ。(5分押し)140分。
とある建設会社の社長の豪華な家の茶の間に大きな炬燵があり、そこで繰りひろげられる、ある元日の出来事。会社は大きな事故が原因でSNSでクソミソに言われているが…、の物語。炬燵を安心または幸せの象徴として使い、にもかかわらず揉め事が家族の諍いが起こる、という、ある意味では分かりやすい展開。馴れているらしく、役者への当て書きだということだが、確かに、と思わせる展開で、興味深く、(適当な言葉ではないかもしれないが)楽しく観た。ただ、当て書きということで予想できる展開で、特に山内健司の使い方やエンディングなども、やはり、と思う分、冒険は少ない。
全席自由席ということだが、案内の方法が今一つで、受付(45分前)から開場(30分前)までに混乱が生じる。特に問題になるほどではないが、言葉を一考願いたい。
オスカーの教室
電動夏子安置システム
駅前劇場(東京都)
2023/10/12 (木) ~ 2023/10/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/10/12 (木) 19:30
ベテラン劇団の怒涛のコメディ。笑った、笑った。118分。
商工会議所っぽい組織が市に政策提言をするのに、演劇でプレゼンしようということになり、元高校の演劇部顧問だった女性に依頼するが…、ということで起こるドタバタ。皆ちょっとずつ変なところがあって、勘違いや行き違いでドタバタが起こる、というのは3作目となった教室シリーズに共通するパターンで、大笑いも起こるが苦笑も少なくない。それぞれが考える「芝居」のズレを扱う場面もあり、演劇そのものへの勘違いも扱っているように思う。電夏初だと思う澄華あまね、岡崎桃子が頑張っているが、演劇部顧問を演じた下平の振り切りぶりもなかなかのものだ。
セルフカバーvol.1
♯Q
新宿眼科画廊(東京都)
2023/10/07 (土) ~ 2023/10/10 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/10/07 (土) 19:30
作・演出の久保磨介が他団体に書いた作品を上演。巧妙な作品が並び、力量ある役者陣がしっかりと上演した。(1分押し)イントロ4分、31分、18分、28分。
『high-end soda』は人魚に異常な興味を見せるカレシを持つアリエルというキラキラネームの女子が怪我した人魚を助ける…、な話。ありえない設定だが、そこから発生する様々な細かい展開が面白い。
『superman』は小学校から友達である、ある意味正反対の行き方の男2人の物語。なんか良く分からないが、感触が残る。
『dog tag』は、猫を飼っているのかいないのか、よく分かっていない女子と周囲の男女。なんか定義に拘っているのが非常に面白いが、物語はいいハナシとして展開されて、いい気分になる。
役者陣は皆見事だが、沈ゆう子が特に素晴らしい。
明後日のガラパゴス
ホチキス
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2023/10/04 (水) ~ 2023/10/09 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/10/05 (木) 19:00
久々に観たホチキスは、やっぱりホチキスだった!114分。
日曜の夕方で30年放送されているアニメの脚本グループに入った若手脚本家が、打ち切りを要求するスポンサーに立ち向かう…、な物語。リアルな登場人物が途中からアニメの人物に扮する、という展開が一種の無茶振りで、一層の笑いを誘う。荒唐無稽でマンガチックな展開を、説得力を持たせる演技力で展開し、最後はいい話にする、というホチキスの芝居そのものだった。冒頭から小玉久仁子がアニメの主人公に扮して出てくるのだが、そのブッ飛び振りで一気に入り込んでしまった。とにかく楽しい舞台です。
デイジー
SHEDDING
王子小劇場(東京都)
2023/09/27 (水) ~ 2023/10/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/09/29 (金) 14:00
旗揚げだと言う若いユニットのパフォーマンス芝居。若さを感じるし、楽しく観ることはできる。110分。
30年前に作られたパフォーマンスシティ「六六(ろくろく)」では、町のいたるところで歌・ダンス・アクション等のパフォーマンスが行なわれているが、ある日歌い終わった歌手が刺される事件が起こり、アクション集団の「デイジー」が犯人ではないかと疑われ…、の物語。展開はややありふれたモノだが、時折入るパフォーマンスは楽しく、最後まで観ていられる。セリフが残念な役者が何人かと、冒頭のダンスが残念な人が数名いて、ちょっと気が削がれる印象はある。客入れ段階からパフォーマンスをするのは、物語の世界観を作ろうということだと思うが、効果的かどうかはやや疑問。
ヒトラーを画家にする話
タカハ劇団
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2023/09/28 (木) ~ 2023/10/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/09/28 (木) 18:00
昨年に上演する予定が、コロナで延期され1年越しで上演。シリアスとコメディのバランスがとれていて、とても楽しく、しかも考えさせられる舞台だった。(3分押し)68分(10分休み)88分。
美大4年の3人が、教授が作ったタイムマシーンで1908年のウィーンにタイムトリップする。そこで美術アカデミーへの入学を希望する19歳のヒトラーに会い、虐殺をさせないためにヒトラーをアカデミーに合格させようとするが…、の物語。ありえない設定だが、そこの説得力を一定程度持たせる筋を考えるあたりが流石のタカハだと、まず思った。実はテーマは重いのだが、それを若干の笑いとともに展開させる巧さもしっかりある。エンディングは特に良い。
沼の中の淑女たち
トム・プロジェクト
赤坂RED/THEATER(東京都)
2023/09/27 (水) ~ 2023/10/03 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/09/27 (水) 19:00
ONEOR8の田村孝裕がトム・プロジェクトに書き下ろした作品を、5人の個性ある女優が演じて、楽しい舞台になっている。97分。
大金持ちの「まおまお」(羽田美智子)の家でシェアハウスをしながら暮らす「オカピ」(柴田理恵)・「あいちん」(阿知波悟美)・「ちっち」(長尾純子)は4人ともK-POPアイドルのRIONの沼にはまっているが、そこに新人の「オダマキ」(森川由樹)が住もうとする…、の物語。ちょっとありえない設定だが、推し活あるあるなエピソードが満載で、微笑ましく観ていられる。ちょっといい気分で帰れる作品だった。
柔らかく搖れる
ぱぷりか
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/09/20 (水) ~ 2023/10/04 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/09/27 (水) 14:00
2021年に上演されて岸田戯曲賞を取った作品の再演で、初演も観てるが、ちょっと違った感触を持った。面白い、とは言える。96分。
広島らしい家の家族の物語。母・長男・その嫁・長女・次女・従妹・その娘などが展開する普通の生活を描く。それぞれ悪い人ではないが、それぞれの持つ感覚のズレが他の家族を傷つける。セリフにもあるが、他人なら距離を置くことができるが家族はそうはいかない、という現状から、幸せになり切れない家族の話が紡がれる。興味深くは観たが、なぜこんな芝居を、とも思う。
暗転が多いが、闇を効果的に使い、エンディングも巧い。ただし、その大切なエンディングのタイミングでスマホを光らせる客がいて(芝居中しばしば光る)、何考えてるんだと思う。劇団のせいではないが…。
救いの猫ロリータはいま……
ぼっくすおふぃす
南青山MANDALA (東京都)
2023/09/25 (月) ~ 2023/09/26 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/09/26 (火) 19:00
清水邦夫が演劇集団円に書いた1985年の作品だが、演出や場所も含めて面白い作品になっている。(5分押し)75分。
とある図書館に迷い込んだ旅行者のカップル(大谷優衣・柳生拓哉)に、図書館の女性(佐藤直子)と使用人の男(永野和宏)が声を掛ける。カップルが泊まるのをためらった民宿の女主人(松岡洋子)が追ってくるが…、の物語。リアルな物語が突然幻想的な展開になり、現実に戻りつつ幻想的に終わる。清水邦夫らしい、とは言えるのだろうか。飲食をしながら見るライブ・スタジオ(初めて行った)での公演で、それなりの制限がありそうだが、それを逆手に取った演出も巧い。効果音を使わずト書きを読む「黒子」(上野恵佳)に語らせるというのも味がある。以前観た『火のようにさみしい姉がいて』を思い出した。