jokermanの観てきた!クチコミ一覧

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さよなら王子小劇場

さよなら王子小劇場

令和座

王子小劇場(東京都)

2021/09/08 (水) ~ 2021/09/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/09/09 (木) 18:30

演劇愛に溢れたニッコリできる芝居だった。
 王子小劇場の閉館が決まり4人のスタッフが片付けする最後に日に、謎の3兄弟が現われ、劇場を貸してほしい、と言うが…、な物語。コメディタッチで進む物語は、4人のスタッフの立ち位置の違いや、3兄弟のブッ飛びぶりなどで笑わせてくれるが、基本は演劇を愛するということかと思う。終盤に登場する肉屋の夫婦は、演劇とは無関係の町の人、を代表した存在だと思うが、それらを含めたエンディングも演劇への愛情が感じられた。今はない劇場の実名が出てくるシーンがあって、ちょっとホロッとした。滑舌が悪い役者がいたり、テンポが悪く感じるところもあったのが残念。客がイマイチ入っていなくて、笑えるシーンで笑いが起きない(起きにくい)のは気の毒に思った。82分(だが、開演の10分前から芝居が始まっていると言えないこともない)。
 小劇場を愛するスタッフ娘を演じた大狼羊の佇まいには、かなり惹かれるところがある。ちょっと追っかけてみようかという気になる。

友達

友達

シス・カンパニー

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2021/09/03 (金) ~ 2021/09/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/09/04 (土) 18:00

ちょっと笑える場面もあるが、段々と恐ろしくなってくる舞台だった。
 安倍公房の代表的な戯曲を、新進気鋭の加藤拓也の上演台本と演出で上演する。一人暮らしの男(鈴木浩介)の家に、ある夜突然に9人の家族がやってきて一緒に住み出し、管理人・警官・恋人・弁護士らに助けを求めるが…、という物語。家族が展開する論理は無理筋で非現実だと思いつつ、実際には似たことが起こっていても不思議はないなと思わせる展開で、途中から笑えなくなってしまった。家族の中では父(山崎一)・三男(大窪人衛)・次女(有村架純)が特におそろしかった。奇抜な舞台美術には若さも感じた。

カノン【8月19日~31日公演中止】

カノン【8月19日~31日公演中止】

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/08/19 (木) ~ 2021/09/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/09/04 (土) 13:00

若さを感じる舞台だった。
 野田秀樹がNODA・MAPで2000年に上演した戯曲を、野上絹代の演出で上演する。芥川龍之介の「偸盗」をベースにした戯曲で、野田地図初演も観ているが、わりと多くの劇団が上演する作品。初演では唐沢寿明・鈴木京香等を軸に展開されたが、今回は若い中島広稀・さとうほなみ等が演じ、既に年齢的な若さを感じさせるキャスティングだが、若さは野上の演出でも感じられ、スピード感溢れる動きに目を見張る。初演では、須藤理彩が演じた「猫」がいいんだよぉ、と何回も主張していた私だが、今回も「猫」役の名児耶ゆりが光っていた。すごい。野田の戯曲は言葉も美しいのだと改めて感じた。

『砂の女』

『砂の女』

キューブ

シアタートラム(東京都)

2021/08/22 (日) ~ 2021/09/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/09/03 (金) 18:00

濃密な時間を過ごすことができた。
 安部公房1962年の小説で、64年には映画化された作品を、ケラの上演台本・演出で初めて舞台化する。砂に埋もれつつある家に住む女と、そこに一夜を借りて閉じ込められる男の物語だが、映画では岸田今日子が演じた女を緒川たまき、岡田英次が演じた男を仲村トオルが演じる。ありえない設定だが妙にリアルに表現される展開は見事で、ケラ得意のプロジェクションマッピングや照明、上野洋子による生演奏での音楽や音響が特に効果的である。アンサンブルの4人もしっかりした演者陣で巧みだが、何と言っても、事実上の2人芝居で2時間半以上を演じる緒川・仲村の2人には脱帽。80分(休憩15分)75分。

<会場変更/追加公演有>山中さんと犬と中山くん

<会場変更/追加公演有>山中さんと犬と中山くん

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/09/02 (木) ~ 2021/09/07 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/09/02 (木) 17:00

ベテランによる、とっても気の利いた(?)作品。
 工藤千夏が書いた脚本を、花組芝居の桂憲一・大井靖彦・八代進一とキャラメルボックスの西村浩幸,山藤貴子らで上演する。Part 1『山中さんの犬』は、山中さんの犬を預った家の物語。テンポ良く繰り出されるエピソードとセリフに笑わされながらホンワカ観ていられる15分。Part 2『Five Dogs』は、5つの短編を5人が個々に朗読する。どれも気の利いたオシャレな(という言い方が適切か分からないけど)物語。30分。「4分間の換気休憩」の後、Part 3『中山くんの縁談』は、江戸時代っぽくないけど江戸時代の話だとすぐに分かる展開で、誰を扱っているかも大体分かり、面白く観ていられる30分。
 物語の面白さと、ベテランらしい確実な演技で、楽しめる80分だった。

うわさにきく風2020-2021

うわさにきく風2020-2021

やみ・あがりシアター

吉祥寺シアター(東京都)

2021/08/26 (木) ~ 2021/08/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/08/27 (金) 14:00

やみ・あがりシアターらしい巧妙な作劇。シンプルに面白かった。
 コロナ禍前とコロナ禍後の同じ場所を描いた中編の2話上演。
 『…2020』は、昨年4月に他劇団と同時に上演する予定で作っていたものが上演中止になったという作品で、2020だからコロナ後なのだけれど、コロナ前の世界を描かれている。東京からちょっと離れた所にある「かざみ」駅に集まる人々の話。強風で運転が見合わせになる中、出かけようとする者、来る人を待つ者、等が繰り広げるアレコレ。無関係と思われていた人たちが徐々に繋がるあたり、笠浦の構成の妙が冴えて、楽しく見せてもらった。63分。
 10分の休憩後に上演された『…2021』は、その1年後の同じ駅を舞台に、『2020』からの登場人物(の1年後)と新たな登場人物が、やはり無関係と思わせて繋がる見事な作劇。2話で1作と言われればそう思うと思うであろうし、1話の1年後という設定も効いてて、引き続き楽しく見せてもらった。60分。


 驚いたのは、劇団員・加藤が演じるシンガー・ソングライターの役名「スージー・ロトロ」。これは、劇中でも使われるボブ・ディランの「風に吹かれて」が入った2ndアルバム "The Freewheelin'" のジャケットにディランと一緒に写ってる当時のガールフレンドの名前(「スーズ・ロトロ」表記もあり)なのだ。終演後に笠浦に聞いたら「誰も気づいてくれない」と言っていたが、かなりのマニアでなければ気づかないだろう(^_^;)。全体のエンディングにもディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」を使っているし、笠浦ってディランのファン?
https://www.amazon.co.jp/Freewheelin-Bob-Dylan/dp/B0000024RQ

つみ

つみ

アブラクサス

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/08/22 (日) ~ 2021/08/28 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/08/24 (火) 19:00

初見のユニット。シリアスでダークな題材だが丁寧な作劇だった。評判がいいので、突然、思い立って観に行ったが、満足した。
 牧師の妻で自身も牧師のエミリー(頼経明子)は、3人の男を殺した容疑で逮捕されているリー(羽杏)の精神アドバイザーを依頼される。話をする内に、相互に変わっていくエミリーとリーに心情…、というような物語。終盤になり次々と明らかになる「真相」がそれなりの伏線で示されているなど脚本も巧く構成されている。前半の演出に違和感を感じる場面もあったが、全体としては役者陣も実力ある人が多く、見応えがあった。空席があるようなので、見に行って欲しい。



 芝居とは関係ないが、私の後ろの席に座った女性2人が、開演前ずっと話していて、ちょっと怖かった。話の内容から役者さんの知り合いのようだったが(違っていたらゴメンナサイ)、「ロビーや客席内での会話は出来る限りお控えくださいますようお願い致します」という《協力お願い》は読んでもらっていなかったのだろうか。そう言えば、スタッフでウレタンマスクという人もいたし…。もうちょっと見る側の気持ちも考えてほしい。

カメラ・ラブズ・ミー!【兵庫公演中止】

カメラ・ラブズ・ミー!【兵庫公演中止】

ムニ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/08/19 (木) ~ 2021/08/22 (日)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2021/08/20 (金) 14:00

『回る顔』『真昼森を抜ける』を観劇。
私のテイストではなかった。

跡 2020

跡 2020

世田谷シルク

ギャラリーLE DECO(東京都)

2021/08/18 (水) ~ 2021/08/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/08/18 (水) 19:00

2月に上演するはずが延期になった一人芝居。興味深く見せてもらった。
 ある人の生活を描く「跡」シリーズの第3弾で、「ホリカワエリコ」という舞台作家のコロナ禍での生活や、過去の思い出等を淡々と描く。一人芝居だが多数の声の出演者がいて、独白と会話で情景が描かれていくが、セリフや効果音はヘッドフォンを通して聞くというスタイルは面白い。本人と思わせる人物に関して描かれる情景は、いかにも、なコロナ禍の生活や、過去の友人,元カレ,先生,家族と多岐に渡り、一人の人生を浮かび上がらせるのに成功していると思う。観客5人というのも贅沢な観劇。50分とアナウンスされていたが、60分弱。
 初めて観た2008年の世田谷シルクも、堀川の一人芝居だったな、と思い出して感慨深いものがあった。

段差インザダーク

段差インザダーク

コメディアス

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/08/11 (水) ~ 2021/08/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/08/12 (木) 19:00

初見のユニット。いやー笑った、笑った。馬鹿馬鹿しくて(誉めています)大笑いした。
 東北大演劇部出身で仙台で活動してた劇団の東京進出第1弾。劇団名で分かるようにコメディ志向。とある国の遺跡から考古学者とスポンサーとガイドの現地人少年が貴重な「レガリア」を台車に載せて持ち出そうとするが、出口の周辺に段差が現われて…という物語。いや、ありえないでしょ、的な話なんだが、そこをどうやって乗り切るか、を延々と上演する。難しい事を考えず、ただただ笑っていればよい芝居。88分。
 当パンに配役表を載せてほしかったなぁ。

ガムガムファイター

ガムガムファイター

佐藤佐吉演劇祭実行委員会

王子小劇場(東京都)

2021/08/11 (水) ~ 2021/08/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/08/12 (木) 14:00

クオリティの高い作劇。いい芝居だった。
 劇団きらら2016年の作品で、王子小劇場が毎年選ぶ佐藤佐吉演劇賞の受賞作を再演する企画の第1弾。いい芝居を選んだと思う。広告代理店に勤務してた小郡英一はラブホテル清掃のバイトに転じるが、的な物語。きららの池田が書く作品は、概ねちょっと不運な生き方をしている人たちが少し頑張って、少し挫折して…、な展開が多く、本作もそういう感じだが、ラブホテルという場所を「そういうものをはきだす場所」として選んだあたりが巧い。初演は5人で上演した作品を8人(当初は9人だったのが、伊達香苗が降板)で演じるアイデアも悪くなく、観ていて応援したくなる人々ばかりである。銀次のキャラクターがいいなぁ。

意味なしサチコ、三度目の朝

意味なしサチコ、三度目の朝

かるがも団地

王子小劇場(東京都)

2021/08/05 (木) ~ 2021/08/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/08/06 (金) 19:15

初見のユニット。いやー、いい芝居でした。素晴らしい。
 秋田県能代市出身のヤスヨは、2014年の3月に高校を卒業すると同時に、東京に出てくる。5年後に能代に戻って、旧友達と会って、小学生時代からをいろいろと思い出すが…、みたいな話。笑いのオブラートに覆われていても内実は切ないストーリーと、過去の話と戻ってきたときの話が巧く切り分けて演じられるなどの「巧みさ」が見事で、実話ベースではないかと思ってしまった。ただ、エンディングは物足りない気がする。ほぼ出突っ張りの波多野伶奈は大変だなぁ(^_^;)。

歴史法廷の中に生きる我々のための小噺集

歴史法廷の中に生きる我々のための小噺集

弧の会2021

create space anima(東京都)

2021/07/28 (水) ~ 2021/08/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/31 (土) 15:00

3人の俳優による1人芝居短編3本。クウォリティの高い作品だった。
 コロ『耳を揺らす夕焼け』は、ある資格を持てるカードの話。大きな声を出すことで正しさを証明しようとすることへの疑問、とでも言おうか。20分。
 換気休憩5分を挟んで、木村聡太『Section 15-2 改訂委員会の決定に対する再評価部調査報告書検討小会』。2230年という設定で、歴史を再評価する調査員の報告を、映像も含めて語る。「正しい史実」とは何か、がテーマかなぁ。30分。
 再度の換気休憩5分を挟んで、ハマカワフミエ『最後の魔女』。神の怒りを沈めるための生け贄になるヌムチ(魔女)の語り。どこだか分からん方言で見張りの男と交される語りで、自分の母も生け贄になったのだが、その理由は何か、自分が選ばれたのは何故か、分からないままに運命に身を任せる。3作の中で、最も演劇的に思える動きと演出だった。
 クウォリティの高い戯曲をクウォリティの高い演者が演じて、いいモノを見せてもらったという印象。作・演出は匿名と言うことだが、何故なんだろうか。
 思わず上演台本を買ったのだが、『最後の魔女』は会話の型式になっていて相手のセリフが書かれていた。
 ちょっと気になったのは『Section 15-2…』で、マリア・テレジアの侍女の記録として英語の文章が画面に出てくること。意図的にやっているのか?

病室

病室

劇団普通

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2021/07/30 (金) ~ 2021/08/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/07/30 (金) 19:00

初見の劇団。小野寺ずるが出るので観に行ったが、独特の感触だった。
 2019年にアトリエ空洞で上演された作品の再演。とある病室に入院した4人の中年男性とその家族や看護師などが展開する会話劇。同じ言葉を繰り返すセリフに特徴があるようで若干の冗長感はあるものの嫌な感じはしない。同じ病室にいるからと言って、病状にも差があり、友人というわけでもない人たちの関係性に着目したのであろう。私のテイストではないが、面白い作品だった。

奇跡を待つ人々

奇跡を待つ人々

東京夜光

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/07/24 (土) ~ 2021/08/04 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/07/26 (月) 18:00

劇団化して最初の公演だが、不思議な感触の芝居だった。
 遠い未来の「絶対安全都市」に住む女の部屋に、過去から男と男型AI、未来から男が来るが…、という物語。過去と言っても現時点よりは未来の世界で、そのまた先の世界を描く、独特の手法で、「安全」や生きる意味を考えさせられるのだが、世界観がブッ飛んでいるので、ちょっとついていけない感じがあったのも事実。2作目『ユスリカ』、3作目『BLACK OUT』とも感触が違う芝居で、正直やや面食らったところはあるが、面白い、とは言える。

日本の歴史

日本の歴史

シス・カンパニー

新国立劇場 中劇場(東京都)

2021/07/06 (火) ~ 2021/07/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/07/18 (日) 13:00

2018年の年末に上演された作品の再演で、初演も観ているが、今回も楽しめた。
 テキサスの一家の物語を日本の歴史と並行させて描くという、ちょっと変わった趣向のミュージカル。初演と構造は変わっていなかったが、川平慈英が瀬戸康史に変わった上に、いろいろと手直しされていたようで、初演とはちょっと印象が異なった。シルビア・グラブの歌声で始まる舞台は、やはりミュージカルを主戦場としている人は違うな、と思わせてくれるし、宮澤エマの歌声の美しさを今回は感じた。秋元才加の歴史の先生というポジションが実に面白い。

hedge 1-2-3

hedge 1-2-3

serial number(風琴工房改め)

あうるすぽっと(東京都)

2021/07/08 (木) ~ 2021/07/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/07/17 (土) 18:30

B「trust」を観た。詩森の金融三部作の完結編で書き下ろしだが、金融でない要素も加わり面白かった。
 第2作のinsiderで創立メンバーがインサイダー取り引きを行なったバイアウト・ファンドが、信用を回復するために努力する姿を、PHS会社の苦悩や、フェアトレード・コーヒーで起業しようとする女性達と絡めて描く。フェアであることの難しさやジェンダーの問題も加わり、金融だけでない要素を含めているが、エンターテインメントを忘れない姿勢で、楽しく見せてもらった。場面転換もエンタメにするのは見事。今回登場した女優陣も自然に溶け込んでいたと思う。

hedge 1-2-3

hedge 1-2-3

serial number(風琴工房改め)

あうるすぽっと(東京都)

2021/07/08 (木) ~ 2021/07/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/15 (木) 18:00

A「hedge/insider」を観た。経済をエンタメに昇華させる芝居で面白かった。
 詩森の経済3部作が完結するタイミングで過去2作を大幅に改訂して1つの芝居にしたもの。「hedge」は2013年、「insider」は2016年に上演されたもので、両方とも観ているのだが、再度観て「あぁ、こんな芝居だったなぁ」と思い出した。詩森の描く企業モノにハズレなし、だと思っている私だが、本作の描く世界は舞台化するのがやや難しいと思っていたけど、巧みに演劇にしているのが見事。慣れた役者に吉田栄作,岡田達也などの客演が巧く混じって素敵な舞台になっていた。舞台が大きくなった分、迫力ある美術や生演奏を含む音楽なども栄えていたと思う。
 新作の「trust」を観るのが楽しみ。

アンジェリーナ3:49

アンジェリーナ3:49

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2021/07/14 (水) ~ 2021/07/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/14 (水) 19:00

ちょっとダークだけど笑えて、最後は微笑ましく終わる。面白い芝居だった。
 悪いことでも平然とやってのけるトモ(櫻井智也)が「もうすぐ死ぬ」と言って、コーヒーショップでバイトするサエ(長谷川晴)に会いに来るが、話はどんどん大事になり…、という物語。巻き込まれる人々が、逆に人を巻き込む様子が面白い、と言うか、笑いを呼ぶ、櫻井節とでも言うべき展開で、セリフの切れ味も鋭い。櫻井言うところの「振り切れた」芝居を楽しむ90分。三澤さきの最初のセリフは特に笑えた。切ない感触を残すセリフもありながら、最後は明るく終わるのもいい。

一九一一年

一九一一年

劇団チョコレートケーキ

シアタートラム(東京都)

2021/07/10 (土) ~ 2021/07/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/13 (火) 19:00

大逆事件を題材にした、真摯で迫力ある群像劇。いいものを見せてもらった。
 10年前に上演されたものの再演だそうだが、初演は観てない。大逆事件が検察・判事たちによって、いかにしてでっち上げられたかを扱う作品で、実在の人物がいっぱい出て来るが、物語はフィクションという、いつもの同劇団の作り方が冴える。トラムという舞台の広さと高さを活かした美術が見事だし、言うまでもなく、同劇団に慣れた役者陣の熱演で、なんとも言えない「気持ち悪さ」(誉めています)に溢れた舞台だった。管野須賀子を演じた堀奈津美は5年ぶりの舞台だそうだが、紅一点ということもあって抜群の存在感だった。

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