
帰還不能点
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2026/05/28 (木) ~ 2026/05/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/05/28 (木) 19:00
劇団の代表作の一つ。心地好いが笑ってはいられぬ緊張感がある。130分。
2021年に初演、その後、好評で2回再演され、今回が四演だが初めて観る。太平洋戦争前、優秀な若手官僚等で作られた総力戦研究所のメンバーが、戦後5年を経過して、1人の死を機会に未亡人の居酒屋に集まり、回想する戦争突入時の出来事・・・、の物語。どうして戻れなくなったのか、という問いへの答えを探る。見慣れた役者陣が熱演を奮い見応えがあるが、未亡人を演じた紅一点の黒沢あすかの終盤が特に光る。
「戦争をしてはダメだ、と分かったから日本は大丈夫だ」みたいなセリフがあったが、80年経って、それが空しく響く昨今の状況が苦しい。

夕顔
日穏-bion-
赤坂RED/THEATER(東京都)
2026/05/27 (水) ~ 2026/05/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/05/28 (木) 14:00
丁寧に書かれ丁寧に演じられるいい話。(5分押し)109分。
2017年に初演された作品の再演で、初演は観てない。栃木の干瓢(夕顔)農家の納屋が舞台。久々に復活した「ふくべ音楽祭」の事務局も兼ねているが、そこで展開されるいくつかの家族の再生と別れの物語。緻密な脚本に特徴のあるユニットだが、本作も丁寧に書かれている。3人姉妹の物語が軸だが、それを取り巻く人々にもいろいろな背景があり、徐々に明らかになりつつ、姉妹の三女の展開にちょっと驚くが、最後はホッとして終わるあたりはいつもの日穏だった。夕顔の儚さを軸にした物語だが、そのことがピンと来ないと分かりにくい面はあるかと思う。三女役の菊池友華が若々しく華がある。
終演後に音楽の林ゆうきを交えてのアフタートーク。20分くらい。

アカデミック・チェインソウズ
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2026/05/27 (水) ~ 2026/06/02 (火)上演中
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/05/27 (水) 19:00
MCRの独自青春演劇がパワーアップして再演。とてもとてもとても面白い。117分。
2022年に初演された、女子高修学旅行遭難劇が生徒数を8人から14人に増やし、エピソードも増やしてパワーアップして戻って来た!初演も見たが、いつもとはちょっと違うテイストのMCRに驚いたものの面白く、本作も期待してみたが、更に更に面白くなっていた。日常から離れた世界で、いろいろなハコボレが明らかになる、ということはありそうで、それを巧く使った脚本がいつもながら見事。女子高生14人の描き分けも見事だが、それを演じる役者陣も見事。元々が「演技と分かる演技」に特徴がある劇団なので、それを意識しつつ現実と繋げる楽しい舞台だった。印象に残ったのは梶川七海と桑田佳澄だが、何と言っても教師役の堀靖明の頑張りがスゴイ。

ハムレット
松竹/梅田芸術劇場
日生劇場(東京都)
2026/05/09 (土) ~ 2026/05/30 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/05/23 (土) 17:00
若さ溢れるハムレット。完全な新しい戯曲を観たかのような面白さ。87分(23分休み)79分。
何回も観ている演目だが、若いキャスト陣と演出・美術・衣装の新鮮さで、まるで新しい芝居を観ているような面白さだと思った。ハムレット役の染五郎は憎々しい部分を強調するかのような演技で、父・祖父とは違った感触があるのが面白い。クローディアス役の石黒賢は舞台をあんまりやらない人で私も初めて観たがしっかりと役割を演じ、ガートルード役の柚香光は宝塚らしい華やかさで圧倒される。そして、お目当てのオフィーリア役の當真あみは、凛々しさ・可憐さ・美しさ・儚さ、全てで初舞台と思えぬ見事さ。特に狂気のシーンがゾクゾクした。他の役者陣も若々しいキャスティングが精講急いているように思った。衣装は時代を感じさせない現代的なスーツ系を採用。美術・照明・生バンドによる音楽もマッチして、ルヴォーらしい派手なエンディングも含めて、大満足の舞台だった。

ブン/ダン
劇団チャリT企画
新宿シアタートップス(東京都)
2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/05/21 (木) 19:30
ふざけた社会派チャリT企画の新作は、現実が追い付いてしまって、ふざけ切れない状況が・・・。96分。
憲法が改正され自衛軍が存在する「日本」で、とあるシェアハウスで反戦を巡って「分断」が生まれる…、的な物語。AIロボットが「自警団」を作っているとか、スパイを「代理人」と呼ぶとか、いきすぎた状況をふざけているつもりで書いてるんだろうな、っていうのは分かるんだが、現実の政治的状況がが劇中の状況に追い付いてしまって、ふざけているように思えないところがオソロシイとも思う。チャリTらしい作品で、終わった後の感触が『ネズミ狩り』に似ているような気がした。

チョークで描く夢
トム・プロジェクト
シアターX(東京都)
2026/05/20 (水) ~ 2026/05/26 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/05/20 (水) 19:00
実話に基く一種のファンタジー。心痛くなるセリフが飛び交うが、最後は心優しく終わる。127分。
作・演出の中津留章仁が自劇団トラッシュマスターズで2023年に上演した作品を大きく書き換えての上演。障害者雇用で有名なチョーク会社に取材したそうで、初演も2回観るほど気に入った作品だったが、2幕物だった初演を重要なエピソードを混在させることで1幕に再構成した。舞台は昭和30年代前半で、今ならとても使わないような言葉が飛び交うものの、実は心優しい登場人物達で最後はハッピーエンドに。初演のアフタートークでその会社の社長が「奇麗事ですが、それをやるんです」と言ったとかで、ナルホド、と思う。中津留作品でも1・2を争う気に入った作品。

華氏マイナス320°
NODA・MAP
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2026/04/10 (金) ~ 2026/05/31 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2026/05/09 (土) 19:00
2度目の観劇。やはり猛烈で美しい。144分。
ストーリーを分かって観ると、伏線をしっかり張って展開を収束させる野田の得意な展開だと思う。アンサンブルも含め、豪華な役者陣の演技も見事だが、冒頭から随所で活躍するMISAKIの存在が重要だと分かる。久々に見た深津絵里がセリフを丁寧に区切って語る独特の発話法にも注目できるし、何と言っても深津絵里と広瀬すずの声が似ているのがステキ。

ヒトモドキの唄
route.©︎
萬劇場(東京都)
2026/05/06 (水) ~ 2026/05/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/05/07 (木) 19:00
B班を観劇。気になってる劇団が演じる壮大なるダークファンタジー。今までとちょっと違った雰囲気だが面白い。112分。
中世風の雰囲気。死の森に捨てられた赤ん坊が魔女に育てられ森を出るが、そこでは人間と「魔なるもの」の闘いが…、の物語。丁寧に作られた世界観、頑張ってる殺陣シーン、美しい舞台美術と小道具による演出(現在上演中の野田地図にちょっと似てる)、プロジェクションマッピングも含めて、「攻めた」作品となってる。今までとはちょっと題材が違うが、それでも作・演出の平安咲貴の構成力が凄い。推しの岡本麻妃呂も、いつもとはちょっと違うテイストの役だが美しく凛々しく演じる。

ベガスペガサス
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2026/04/25 (土) ~ 2026/05/06 (水)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2026/05/04 (月) 17:00
あまりにも面白かったので2度目の観劇。登場人物達の背景ストーリーも面白い。(開演準備で2分)125分。
北とぴあにカジノが作られた、という設定での、王子の街に集まる人々のあれこれ、という設定が見事。それぞれの人物達が抱える問題も深く作られていて、マルチエンディングにしたのも分かる。

ベガスペガサス
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2026/04/25 (土) ~ 2026/05/06 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/04/28 (火) 19:00
お気に入り劇団の新作は、ちょっと複雑だけど分かりやすく面白い傑作。(上演準備で2分押し)128分。
劇場がある「北とぴあ」がIR施設になり、劇場のペガサスホールが「ベガスペガサス」というカジノ会場になった、という設定で、カジノができたら起こりそうなことのあれこれ。作・演出の笠浦の凄いところは、作劇毎に題材を研究してそうなところで、今回もアタマオカシイ(誉めています)笠浦の本領を発揮しているが、役者陣も大変なことをいろいろやっている。とても面白いので是非観て欲しい。

軋み
Nana Produce
テアトルBONBON(東京都)
2026/04/23 (木) ~ 2026/04/29 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/04/27 (月) 19:00
傑作戯曲を楽しく上演。味のある役者陣の巧妙な演技が楽しい。(前説で2分押し)118分。
劇団ブラジルが2008年に初演し、その後も何回かいろいろなところで上演されており、初演の初日に観ている。人気マンガ家の由美子(小林さやか)のアトリエにニートな夫・潤(寺十吾)が行くと、浮気相手のチーフアシスタントのひとみ(小口ふみか)が死んでいて…、の物語。深刻な題材のはずなのに思わず苦笑してしまう脚本も見事だし、経験ある役者陣の演技も演出も丁寧で、「苦笑」の連続だった。

ビショップマーダーケース
ニッポン放送/カンフェティ/全栄企画株式会社
博品館劇場(東京都)
2026/04/22 (水) ~ 2026/04/29 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/04/27 (月) 14:00
古典推理小説を大胆に翻案して、見応えある舞台になっていた。(2分押し)48分(17分休み)73分(後説8分)
ヴァン・ダインが1929年に書いた古典推理小説をベースに、大胆に翻案して上演した。脚本・演出の須貝英が自身のユニットで2022年に上演したものを観ていて、今回が再演。今回はベテランの陰山泰以外は観たことがない役者陣だが、それぞれが経験をしっかり持っているらしく舞台は充実していた。「見立て殺人」を成立させた作品として推理小説の古典となっている作品だが、殺人シーンを見せずに展開されて残酷な感じはなく、笑いもあって、見応えある楽しい舞台だった。軸の1人であるファイロ・ヴァンスの造型にはちょっと違和感があり、役者というより演出かと思う。メイド役の小見川千明が印象に残った。

中年の好機
さよなら人生
スタジオ空洞(東京都)
2026/04/18 (土) ~ 2026/04/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/04/23 (木) 19:30
40代の機微を面白く扱って、良質な会話劇が展開される。とてもとても面白い。(3分押し+前説4分)89分。
売れない音楽家の和郎(倉田大輔)は妹の久美(今村美乃)に呼び出され、久美の幼馴染みのしおり(黒沢佳奈)の恋人の値踏みを頼まれ、小川(市原文太郎)に会う。妙なことから、小川に気に入られ、もう一人の女性・櫻(豊田可奈子)に会ってほしいと言われるのだが…、の物語。勢いで生きられる20代はと違う「40代あるある」の物語が展開され、巧妙な会話の脚本と、見事に演じる役者陣の見事さに脱帽する。女優陣は、見慣れた今村、近年良く観る豊田、最近注目の黒沢、と、選球眼の見事さにも脱帽。とにかく観て損はない。

新宿発8時15分
シス・カンパニー
日本青年館ホール(東京都)
2026/04/09 (木) ~ 2026/04/26 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2026/04/22 (水) 18:00
2度目の観劇。やはりとてもいい。102分
初日に続いて2度目だが、三谷演劇の要素が満載で、とても面白くちょっと切ない。

華氏マイナス320°
NODA・MAP
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2026/04/10 (金) ~ 2026/05/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/04/10 (金) 19:00
久々に構造が複雑な野田作品で何とも言えない感触。エンディングが美しい。147分。
何を言ってもネタバレになるので詳しくは書かないけど、時間軸も空間も瞬時に移動する野田戯曲の特徴が存分に使われ、一度では良く分からないところも少なくない。しかしテーマはハッキリしていて、後から考えるとオープニングからそれが示唆されているとも言える。と言うより、タイトルが深い意味を持っているんだと、観終わると分かる。観ている間は舞台美術や幕・カーテンの使い方、そして、アンサンブルの身体に魅了される。広瀬すずのフィジカルと深津絵里の声が特に印象的。エンディングは、野田作品史上最高に美しい。

新宿発8時15分
シス・カンパニー
日本青年館ホール(東京都)
2026/04/09 (木) ~ 2026/04/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/04/09 (木) 18:00
なんかスゴイものを観た。奇想天外と言って良い面白さ。101分。
作・演出:三谷幸喜,音楽:荻野清子のコンビが作る「誰も観たことのないミュージカル」だそうだが、新宿発8時15分の電車が事故で止まったことで起こる様々…、の物語。対応する職員や、乗客達に起こりそうなことが次々と展開されるものの、途中でちょっとしたノイズがあり、それをときほぐすミステリー要素もちょっとある。物語的には三谷が得意なシチュエーション・コメディで大いに笑わせる。多くの役者がそれぞれ何役もやるのだが、演劇的には天海祐希と浅野和之が深い。ミュージカル面では新納慎也とシルビア・グラブが華やか。

墓場、女子高生
あるいはエナメルの目をもつ乙女
テアトルBONBON(東京都)
2026/03/18 (水) ~ 2026/03/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/03/20 (金) 19:00
よく上演される名作を、丁寧で豪快な上演で知られる劇団が見事に演じる。見応えある舞台だった。135分。
2010年に脚本の福原充則がENBUゼミ公演のため書き下ろし、自劇団ベッド&メイキングスの旗揚げで上演された作品だが、その旗揚げも観ているし、その後いろいろなところでやったものも何度か観てる。その戯曲を、小劇場で中・大劇場のクオリティの作品を上演してきた本劇団が、同戯曲大好きの演出イトウシンタロウを迎え、オーディションで出演者を選んだことも含め、見事に上演した。女子高の裏にある墓場に集まる合唱部の5人は自殺した友人を思いだすが…、の物語。女子高生あるあるの話題も交え、回想や幽霊のシーンも含め、死者への気持ちをどう切り分けるのか、どう忘れていくのか、死者は残されたものの思いをどのように受け止めているのか、など、いろいろなことを考えつつ観た。一瞬たりとも目を話せない魅力溢れる作品になっていた。それぞれに個性ある役者陣と演出の丁寧さと美術の見事さも注目したい。
みんな魅力的だったのだけれど、桜木紗瑛・元山日菜子が気になり調べてみたら、桜木はプテラノドン『青春にはまだはやい』、元山はKUROGOKU produce『DOLL』で観ていたのであった。

「ホモ・ルーデンス-The Players-」「行きたい場所をどうぞ」
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場
紀伊國屋ホール(東京都)
2026/03/05 (木) ~ 2026/03/11 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/03/10 (火) 19:00
全国の中高で巡演を重ねる寓話的近未来SFファンタジー。とても面白い。(6分押し)102分。
瀬戸山美咲が書いて、2023年から全国の中高で100回以上も上演されている作品だが、観るのは初めて。人型ロボットが普通に存在する近未来(だよね?)を舞台に、ある駅の案内ロボット夕凪(原田真衣)の前に高校生・光莉(ひかり・竹森琴美)が現われ、「ネラ」に行きたい、と言うが、夕凪はその場所を知らないために、2人で探しに行く…、の物語。行く先々で出会う人や様々な役割のロボットのエピソードを通して、働くとは、戦争とは、人生とは、を問いかけていく戯曲が秀逸である。軸になるロボット夕凪と高校生光莉の対比を演じ分けるあたりが巧く、素舞台に角柱状の木組みを動かす舞台美術は学校公演を意識したものとは言え効果的で美しい。間を取る演出は時に冗長に感じることもあったが、楽しく観た100分だった。瀬戸山はこういったファンタジーが巧いな、と改めて思った。
後列に座った客がやたらと荷物を動かしてノイジーで、ここは、という場面で音をたてるのは迷惑だなぁ(;_*;)。

「ロベスピエール」~夜明けへの進軍〜
LiberaProduce
萬劇場(東京都)
2026/03/04 (水) ~ 2026/03/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/03/06 (金) 14:00
推しのユニットの旗揚げだが、壮大な歴史エンターテインメントを楽しんだ。68分(13分休み)54分。
現在絶賛推しNo.1の岡本麻妃呂がプロデューサー・演出として立ち上げたユニットの旗揚げ。フランス革命を題材に、route©️の平安咲貴が脚本を書いた、壮大なエンターテインメント。基本的には歴史を追うのだけれど、貧しい少年リュカ(小倉萌)をもう一つのメインに置き、深みある物語が展開される。丁寧に積み上げられたエピソード群は興味深く観ていられるし、2幕に分けたことでの切り替えも巧い。面白く観た。大人数の座組だが、それぞれに見所を用意したあたりも見事。それにしても、こういった平安はこういう感じの本も書けるんだというのは新たな発見。

海の凹凸
serial number(風琴工房改め)
ザ・スズナリ(東京都)
2026/02/27 (金) ~ 2026/03/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/02/27 (金) 19:00
実話ベースのフィクションを手慣れた役者陣が丁寧に上演する。(3分押し)126分。
作・演出で主宰の詩森ろばが俳優座に書き下ろして2017年に上演された作品を自劇団での上演だが、俳優座の舞台は観てない。水俣病を始めとする公害問題の講義で知られる宇井純氏と取り巻く人々のあれこれを描く。水俣病の問題を扱いつつ、それに取り込まれ悩む人々の抱える人間関係が描かれる。それぞれの「正しさ」があり、それぞれの道を選ぶが、それで幸福になるのか、と言えば、そうではないのだな、という、いわば当たり前の出来事が丁寧に描かれる。いつもと違ってエンターテインメント要素が少ないのは、俳優座へ書き下ろしたことが影響しているか。初日のせいなのか、セリフに「滞り」みたいなのがあったように感じた。軸になる女性を演じた川田希の佇まいが良い。