カツの観てきた!クチコミ一覧

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フーダニットしてくれる

フーダニットしてくれる

サイバー∴サイコロジック

王子小劇場(東京都)

2009/01/02 (金) ~ 2009/01/05 (月)公演終了

満足度★★

まとまりに欠けるなぁ・・・
ゆっとり教育が生み出した歪みやゲームによる現実と虚構の境界線の曖昧さ、そしてネタバレ、更には魔剣まで飛び出す猥雑さと悪ふざけ。

メッセージを伝えないということですが、現実と虚構の曖昧さや人の命への実感のなさなど、ある意味社会的なメッセージを扱ってます。

ただ、どのテーマも扱い方がステレオタイプでオリジナリティが見られないのが残念。
既に何度も言い古された言葉を舞台上で発せられて、残念でした。
作家のオリジナルな考え、アイデアに期待したいです。

という事で、王子小劇場でやるにはまだまだだったのではないかな、と思ってしまう舞台でした。

ネタバレBOX

腐敗広州さんというチラシにも常人離れした表情で写っている方にどうしても目が行ってしまいました。
個性派としては面白いけど、まだ生かしきれてない感じで残念でした。

二重人格アナウンサーも面白いのだけど必然性もないし、内輪ウケの感がして、やっぱりまだまだ。

魔剣とかになると、もう悪ふざけを通り越して、大人には付いていけない世界でした。。。
その人を知らず

その人を知らず

東京デスロック

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/12/26 (金) ~ 2009/01/05 (月)公演終了

満足度★★★★

2009観劇始め
2009年は「その人を知らず」2回目の鑑賞で観劇始めでした。
三好十郎作品公共化で演出が変わるかなと期待していたのですが、演出は変わっていませんでした。
でも、2回目の観劇で、最初は戯曲の言葉が右から左へ流れてしまっていた部分もスッと頭に入ってきました。
なので1回目よりも世界にひたる事ができたと思います。

これで東京最後というのは寂しいですね。

THE BEST of 1K ~SSGP・Shinjyuku South Gate Park~

THE BEST of 1K ~SSGP・Shinjyuku South Gate Park~

劇団ギリギリエリンギ

サンモールスタジオ(東京都)

2008/12/26 (金) ~ 2008/12/30 (火)公演終了

満足度★★★★

新宿門編
「THE DRAW」「雨音」「4人の男」「いつまでもここにいる」の4編。
大体100分。
ベストということで、充実の4作品でした。
密度が濃い!

短編という事で、どの作品もギミックに富んだ、構成とオチがしっかりした内容でした。こういった質の高い短編を上演するのは意義のある事だと思います。

観劇初心者はまずこういった公演から演劇に接してゆくと良いのですが。。。

ネタバレBOX

「THE DRAW」と「いつまでもここにいる」は見たことがあった作品。

「THE DRAW」は前回女性キャストで行ったものを男性に変えて雰囲気がガラリと変わっていました。
女性版だと情念と確執がドロドロした感じだけど、男性にすると急に間抜けに見えてくる辺りが面白い。

「いつまでもここにいる」はファンタジーで、死んだ人間がすぐそばにいて、でも生きてる人たちはその存在に気づかずに死んだ人間の事を話すというパターンのお芝居。よそでもこのパターンの芝居は見たことあるのだけど、好きなパターンのお芝居です。

「雨音」はろくに仕事をしない男たちがビニール袋で埋め尽くされた部屋でダラダラとどうでも良い話をするのだけど、このだらけ方が良いです。そして、一番男臭い方が実は性転換手術の真っ最中というのがウケました!

「4人の男」はすごくコント的。ある男の彼女が別男の元彼女で、しつこくてストーカーされていると言うけど、実際はちょっと違うようで。。。
話がだんだん明かされていくときの男の取り乱しようがおっかしくてしょうがなかったです!
不憫(盛況にて無事終了!)

不憫(盛況にて無事終了!)

冨士山アネット

ザ・スズナリ(東京都)

2008/12/26 (金) ~ 2008/12/29 (月)公演終了

満足度★★★

ダンスと見るのか芝居と見るのか?
スズナリで「EKKKYO-!」を見たのが初アネット。
その時はかなりアクロバティックな動きも交えつつ、コンタクトインプロの動き等を入れて、楽しく見ました。
で、今回。
柿の玉置さんが参加されるという事で演劇色が強くなるのか?それを見たくて見に行ってきました。

ネタバレBOX

結果的に、これは演劇ではなくてダンス公演としてみた方がスッキリすると思います。
玉置さんもセリフは一言も発せず、冨士山の方法論にしっかりと馴染んでいます。
しかし、タバコを加えた長谷川さんが格好良すぎる。。。
前回アクロバティックなプロレス技を多数披露していたヒゲの方は、今回はやや抑え目。まあ、途中卍固めをしつつ叫んだりしてましたが。

セリフはなく、とにかくテンポとスピードが速い舞台。
アフタートークで語られていたけど、稽古ではまずセリフまでしっかり書いた台本を元にして、それを動きで表現してゆく、というやり方らしいです。

これを演劇と言うのかダンスと言うのか。
個人的にはこれはダンスだし、少なくとも演劇ではないと思いますが・・・。こういった公演を行うダンスのカンパニーは珍しくはないと思います。

「隙間産業」と長谷川さんが自分で語られていたけど、そのどちらとも言い切れないところが冨士山アネットなのかもしれないです。
proof

proof

コロブチカ

王子小劇場(東京都)

2008/12/25 (木) ~ 2008/12/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

叙情的な演劇の最高峰!
「proof」という作品は、幸運にも今まで見たことがありませんでした。
そして、今回コロブチカのこの舞台で初めて出会えた事が幸せです。

柿喰う客のコロさん主催で、DULL-COLORED POPの谷さん翻訳、黒沢世莉さん演出とあっては期待も高まるというもの。
アメリカの戯曲らしい雰囲気が良く出ていて、やはり日本の作品とは違うのだと意識させられるけど、それが逆に心地よいというくらいになっているのは、黒沢世莉さんの演出力と、コロさんのアメリカ戯曲でも自然体な演技・セリフによる部分が大きい気がしました。

10分間の休憩を挟んでの、2時間30分。
全く長さを感じさせないとはこの事だ、と言うほど時間を感じませんでした。

ネタバレBOX

数式を書いたのがキャサリンだったけど皆が信じてくれないという辺りでのそれぞれの人の心の描き方、表現の仕方が絶妙で素晴らしかったです。
前半の終わりの「それは見つけたんじゃなくて、私が書いたの」で終わるところも、良いところで「次週に続く」的な漫画やドラマみたいで、早く続きがみたい!と思わせる。

4人の役者さんの魅力が十分に発揮された充実の公演に、企画した主催のコロさんのセンスの良さを感じます。今後もコロブチカの公演は見なければ。
その人を知らず

その人を知らず

東京デスロック

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/12/26 (金) ~ 2009/01/05 (月)公演終了

満足度★★★★

演劇的な企みに満ちた3時間
何を書いてもネタバレになってしまう東京デスロック、というか多田淳之介氏の演出。

途中休憩10分の、計180分。
確かに長かった!
いつも長さを感じさせない多田演出が、今回ばかりは長さを感じさせました。
でもそれは三好十郎の戯曲に対して敬意を払っての事。
デスロックの場合、その戯曲を一切削らずに提示する事、そしてそれによって180分という芝居を提示する事で逆に客が試されているという部分もあって、そこで負けずに集中して見れるかどうかでこの作品の評価は分かれるんでしょう。
とりあえず観劇初心者向けではないことだけは確かですね。

あと、芝居の内容とは別に、上演が開始されると空調を切るアゴラなので、さすがに180分経つと寒かったのがつらかったです。。。
これから見る方は寒さ対策だけはした方が良いと思います。

ネタバレBOX

幕で覆われた舞台。
デスロックの場合これが開くと何が飛び出すのか、というワクワク感がたまらないです。
他の劇団の場合は単に大掛かりなセットとか、キレイな美術が隠されているだけかもしれませんが、今回のデスロックは学校の小さい机6つくらい(?)の上にぎゅうぎゅうにおしくらまんじゅう状態で体育座りで座っている役者の群れ固まっている状態が提示されます。
そしてその後方には十字架状態の夏目さん。その上に投影されているのは日の丸。

戦時中の日本。
徴兵を拒否したキリスト教の男が非国民として迫害され、その家族も迫害され。問い詰める軍部や庇う神父等が、かなり抑揚を抑えて句読点で敢えて区切らないで早口に言うセリフをかなりの速さで繰り出します。
どの人にも見せ場となる長セリフがあって、一心不乱に長セリフをマシンガンのように叩きつけるように投げかける。でもセリフ自体を聞かそうというよりは、その言葉の力や勢いを伝えようという様な気がします。
長セリフには歌謡曲が被さる時が多いのですが、曲のボリュームは大きめで時には役者のセリフをかき消します。
でも、それでもしっかりそのシーンで伝えたい事は伝わってくるのが多田演出の凄いところ。いや、観客が判ってなくても、理解できてなくても雰囲気がつかめていれば大丈夫という割り切りが潔いです。

第一部は空襲と終戦で終わりますが、空襲は小学校の玉入れ使ったような赤い小さい布の玉が、かなりの勢いで舞台の上から役者に投げられます。
当たると結構痛そうです。
役者たちは机を防空壕に見立てて身を隠します。
混乱と絶望と緊迫感の内に第一部が終わります。
第一部の最後は役者たちが机を投げ捨てて、部隊の床のマットをはがして大騒ぎする絵で幕が降りて終わり。

10分の休憩を挟んで第2部なのだけど、始まり方に第1部とあまりのギャップがあって戸惑いました。
幕は降りたままで、工場の経営が悪化した事に対する労働組合の集会での風景。集会で集まった人々に語りかける様に、観客に語りかける。しかも、第1部はかなり難しい言葉が多くて客がセリフを理解するのを拒否している感すらあったのに、第2部では普通に口語調で、普通の演劇のように語りかけてきます。
そして、そんな労働組合の英雄として主人公が招かれます。
しかし・・・。
彼は自分がした事で多くの人に迷惑をかけたと後悔していて、組合員に檄を飛ばすか、徴兵拒否という英雄的行為に対する英雄的話を期待していた組合執行部の思い通りの事を言ってくれません。

戦後になってもなかなか居場所を見つけられない主人公。
夏目さんはずっと十字架にかかったままです。戦争は終わっても十字架は外されてないのです。
第2部始まりは黒い幕で覆われていた舞台の幕が開くと、中は壁に白い幕。
途中で白い幕も外されます。
すると、そこに出てくるのは大きな鏡を6枚くらい並べたもの。
客席に対して真正面に置かれているために、観客はイヤでも自分自身の姿を、そして客席全体を見ざるを得ない事になります。
これはかなり新鮮でした。

最後、主人公は十字架から解き放たれて終わります。

正直なところこの作品を理解できるだけの頭が自分にはなく、混乱したままの状態です。
でも、これを「わかった」と言う人がいたらそれは何もわかってないのだと思います。
このわからなさを引き受ける事がこの舞台の正しいあり方のような気がします。

難しい言葉に突飛な演出。そしてそれらを現出させる役者に加えて今回は観客までその演出に引き込んだ。
この演劇的な企みに満ちた3時間は、個人的には長くつらいものだったけど、そこまで含めて東京デスロックの作品なのだと考えると、「演劇って何だろう?」と考えさせられてしまいます。

とりあえず、東京最後の公演なので年明けにもう一回見に行って目に焼き付けて来たいと思います。
日本語がなくなる日

日本語がなくなる日

北京蝶々

OFF OFFシアター(東京都)

2008/12/23 (火) ~ 2008/12/29 (月)公演終了

満足度★★★★

繊細だけど理詰め
知的で非常にセンスの良い題材の扱い方。
初北京蝶々でしたが、今まで見なかった事を後悔しました。
出てくる人物それぞれが非常に繊細に描かれていて、それでいて世界観や出来事はありえない事を理詰めで築きあげた隙のなさ!

尾倉ケント氏演じる通訳・家庭教師とこまつみちる氏演じる医者にはとても心を動かされました。

ラストシーンの美しさも素晴らしかったです。

ネタバレBOX

新型インフルエンザによって滅びようとする日本。
そんな日本から遠く離れた南極基地。
遠く離れた地にありながら、故郷である日本を失ってゆく様が感じ取れる描き方がうまいです。

話は南極基地の一室で終始するのだけど、圧倒的な理詰めの世界観で背後に地球規模の世界を描き出してる。

話が頭でっかちにならずに、しっかりと人間のドラマとして構成されている辺りも、見ていて心を揺さぶられます。
こまつみちる氏のラブシーンや筆談、尾倉ケント氏の最後の豹変した切れっぷりに、追い詰められた人間に現れるふたつの両極端な人間像が映されていました。

これだけ詰め込んで100分にまとめて、それでいて詰め込まれた感が全くしない構成の仕方がうまいです。

今まで見たい見たいと思いつつタイミングが合わずに見に行けなかった。
北京蝶々、今後はちゃんと見に行きます。
今日も、ふつう。

今日も、ふつう。

アロッタファジャイナ

新宿シアターモリエール(東京都)

2008/12/10 (水) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

満足度★★★

良く出来た脚本に役者も熱演!
前作「ルドンの黙示」の評判が物凄く高かったので、期待して見に行ってきました。
モリエールに入ったのは2回目だったけど、舞台を両面から客席が囲むような形。
真ん中の舞台は真っ赤な絨毯が敷き詰められ、壁には薔薇や装飾がキレイにされている。
雰囲気作りが素晴らしい、けど、個人的にはこの対面型の客席は特別な意味がない限りは苦手な形で。
狭い会場だと逆に一体感が出て良いのだけど、今回のようにしっかり世界観を演出しようとしている時には、舞台の向こうにお客が見えてしまうと興ざめするので。

あと、高低差の少ない客席で、舞台は更に下にあるので、舞台上が非常に見づらかったのも話に入っていくのを阻害する要因になってしまっていました。

演技は皆さん熱演だし、話も凄く凝っていて美しい話だっただけに、もっと集中して見たかったな。

ネタバレBOX

細かく色々なシチュエーションが提示されてゆく前半がスローペースでちょっと眠くなってしまいました。
けど、中盤からそれぞれのバラバラと思っていたエピソードや登場人物たちが複雑に絡まっていき、ふつうだった舞台上が混乱してゆくさまが実に良かったです。

でも、最後の方に工場の従業員が暴力団員を刺してしまうエピソードやタレントが刺されてしまうエピソードは、まとめかたとしてはちょっと安易なのかなと思ってしまったり、そのエピソード自体削って良いのでは?と思ってしまったり。
話が沢山あって、それぞれに見せ場があって、盛りだくさん過ぎて逆にもったいない感じが。
その分時間も長かったし、長い割にはそれぞれのエピソードが凄く細切れでめまぐるしく入れ変わってもったいない気がしました。

前作の「ルドンの黙示」は現代が舞台ではないようなので、そういった手法もありなのだと思うけど、現代のリアルな世界を描くならひとつのシーンをもっとじっくりと描いてほしかったかな。
前作が同じ手法だったか確認したかったし、評判だったので「ルドンの黙示」DVDを買おうかと思ったけど4,000円だったのでやめてしまいました。
今時映画のDVDだってもっと安いのに・・・。

今回の公演も4,000円の入場料だったら、舞台装置はもっと凝っててもいいと思うし、ちょっと内容的にも入場料に見合っていない気がしてしまいました。

内容的には★4つだけど、入場料と見合わせて考えるとそれだけのものを見せられていない気がするので、★1つ削りました。
あらわれる、飛んでみる、いなくなる。

あらわれる、飛んでみる、いなくなる。

五反田団

アトリエヘリコプター(東京都)

2008/12/11 (木) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

作・演出の重要性
今年は新国立劇場に戯曲だけを提供したり、演出だけをしたりした前田司郎さん。
でも、やっぱり作・演出とそろってこそ前田さんの作品が出来上がるのだなあと感じました。
今回の作品は「偉大なる生活の冒険」「すてるたび」という今年の前田作品にひけをとらない面白すぎる作品でした。
五反田団のメンバーが出てなくても、前田さんが作・演出をされればこのカラーが生まれるのですね。

あと、現役女子高生たちの演技がうますぎない、演技慣れしすぎてないのが五反田団的な脱力感を生み出していて良かったのだと思います。

ネタバレBOX

空を飛んだ彼女の挙動不審っぷりが最高におかしかったです!
彼女は即五反田団やハイバイに合いそう。
屋上で飛び降りようとしている彼女の、屋上という空間を作り出す演出が良かった!
緑のフェンスを出して、こっちとあっちに人を分けるだけで見事に舞台を作りきってました。
また、「飛び降りる!止める!」と騒いでいる自分たちでフェンスを運んでいるのがまた滑稽で!

あと、パフュームとエコにこだわる彼女も良かったですね。
校長へのインタビューも、ガチでやっているのをうまく利用しているところがおかしかった!
あれは演劇というよりむしろ自主映画な手法ですね。

これだけ楽しい舞台を見せてくれた女子高生たちにはありがとうを言いたいです。
軋み

軋み

ブラジル

新宿シアタートップス(東京都)

2008/12/10 (水) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

面白いよ!
あまり難しい事を考えずに楽しめるお芝居。
出ている役者さんが皆達者なので、安心してお芝居に集中する事が出来ます。
途中、ポケットから取り出したときに携帯のストラップがポーン!とすっ飛んでいって役者陣がガチで笑ってしまっても、ちゃんと戻す事ができる余裕。(やってる方は余裕ないかもしれませんが・・・)

売れっ子少女漫画家がニートな旦那が火遊びしてしまったアシスタントを殺してしまった事で巻き起こる騒動を、決して暗くならず、愉快に描いた良くできた脚本。
あまりに良く出来ていたけど、元々の期待が高くてそれに応えたという感じで、それ以上ではなかったかな?
もっと突き抜ける瞬間がほしい気がしました。

ネタバレBOX

実は男のアシスタントが全てを知っていたというあたりをとても気持ち悪く演技されていて、うまいなあと思いました。

時間軸が交錯するけど、必ず時間が前後する展開というわけではないので、見ていてちょっと混乱してしまった。
ブラジリィー・アンさんの脚本はとてもうまい構成だし面白いんだけど、完成されすぎているので、次はもうちょっと冒険した作品が見てみたいな。
痛みのない傷

痛みのない傷

Oi-SCALE

明石スタジオ(東京都)

2008/12/10 (水) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

戸惑う・・・
初Oi-SCALEでした。
まず、会場内に入ったら感じるのが「暑い」と「暗い」。
このジメっと暑いのは何とかならないのですかね?
あと、暗いです。
これは演出ですけど。

ネタバレBOX

舞台には正面に大きなスクリーンがあって、上演前は延々夜に車を運転している視点からの映像が流されています。
これはこれで雰囲気が出てて良いですね。

舞台上には工事現場の三角のコーンが置かれていて、いくつかは中に明りが灯っていて、ぼんやりと明るく浮かびあがってます。
そんな中で、前説とも何ともつかない話から、気が付いたら始まっていたと言う感じ。
みんなボソボソ喋って、普通に会話をしているような自然体の会話、演技。
たまに皆で揃ったアクションをしたりセリフを揃えて言ったりするんでちゃんと戯曲があってやってるんだなと分かるけど、本当に自然。

でも、この暑さと暗さ、そして演技の静かさで段々と意識が遠のいて行ってしまうのでした。。。
だって、見てても退屈だったんだもん。
舞台に集中させるだけのものが無かった気がします。
話も特に興味なかったし、共感できる登場人物がいた訳でもなかったし。
何か中途半端な印象を受けてしまいました。

じっくり見てると良いのかもしれないけど、そこまで耐えられませんでした。
ゴメンナサイ。
だから今回は評価なしで。

いつもこういう舞台を見せる集団なのか良くわからないので、集団としての評価は何ともしようがないです。
「マンヂウ団地妻」 

「マンヂウ団地妻」 

あなざーわーくす

manju cafe mugimaru2(マンヂウカフェ・ムギマルツー)(東京都)

2008/12/05 (金) ~ 2008/12/09 (火)公演終了

満足度★★★★

楽しきゃいいじゃん!
初あなざーわーくすでした。
マンヂウカフェという空間で行われる、毎回20名程度しか入れない、限られた空間で密接にお客さんと触れ合って、本当に手を伸ばせば届くところで演じられるお芝居。
当日パンフにも書いてあったけど、小難しいことは抜きにして、とにかく楽しきゃいいじゃんというあきれるほどの前向きさに溢れた作品でした。
こういう演劇もたまには見ていいんじゃないでしょうか。

ネタバレBOX

「遅れているお客さんが二人ほどいますが、先に始めさせていただきます。途中お客さんが入ってきますけど、気にしないで芝居は続けます。もしどうしてもダメだったらもう一度やり直すかもしれませんけど。」
そんなゆるーい感じで、役者がお客の誘導係りや接待も兼ねたお芝居は、神楽坂の路地を入った古びた小さなマンヂウカフェの2階の畳の間で行われたのでした。
部屋は10畳もないくらいでしょうか?
猫が座布団でコロンと寝てるのが何とも微笑ましい!

入場時にドリンクのオーダーを聞かれて、チャイを注文。
マンヂウはお芝居の中ほどに、お芝居の中の一幕として持ち運ばれてお客に振舞われます。熱々でおいしいです!
狭い会場に20名ほど詰め込まれているのですが、役者さんが狭い中を掻き分けて、お客に触れ合い語りかけながら進んでいきます。

1960年代に団地ブームによって発生した人種「団地妻」。
そんな団地妻のひとりアキコは20歳離れた夫と団地暮らしだが、ジェネレーションギャップで話題も合わず、孤独を感じて生活していた。そんな中、不思議なマンヂウ屋が持ってきたマンヂウに魅了されてしまう。それを食べると性的興奮が高まってしまうのだ。
団地妻たちがアキコの家で集まっている時に皆でそれを食べて興奮して思わず皆が全裸になったところに夫が帰ってきてしまう・・・。
焦って混乱したアキコは旦那を包丁で殺してしまうのだった。

そこからアキコの放浪の生活が始まり、キャバレー「団地」に居ついたり、記憶を失って病院に流れ着いたり。
最終的にはその病院の主治医の子供をはらんでいたけどそれが初恋の田中君だったことが判り、一緒に海外に高飛びして子供を産むのだった・・・。
そしてその子供があまりに可愛くておいしそうで・・・。(赤ん坊はマンヂウで表現してます)
その赤ん坊をふたりでむしゃむしゃと食べるというブラック過ぎるエンディング。

正味1時間のお芝居だったけど、お祭りに参加しているような楽しさで、正に「体験」するような感じでした。
アキコ役の若人あきこさんの、熱の入りすぎた熱演振りが逆に面白くて、それを取り巻く3人はマイペースでゆるーく、そしてある時は力強く、緩急自在に演じつつ、とにかくお客さんを巻き込んで楽しませる。

かなり強引なところもあったりするけど、でもそれでも楽しい雰囲気を作ってしまう役者さんたちの心遣いはとても温かいです。

立派な劇場で凝った照明と音楽で、全て計算されつくした舞台もいいけど、たまにはこういった人の血の通ったお芝居もゆるーりと楽しみたいものです。


合う合わないは人それぞれだと思うので、とりあえずこの「あなざーわーくす」という演劇のジャンルを体験してみてほしいです。
もっとあなざーわーくすさんの舞台が体験したいな。
毛頭ーMOUTOU-

毛頭ーMOUTOU-

角角ストロガのフ

中野スタジオあくとれ(東京都)

2008/11/28 (金) ~ 2008/11/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

次回も期待!
角角ストロガのフさんは第1回公演も見て、すっかりお気に入り。
次回第2回公演で王子小劇場も決まっているし、箸休め的な力の抜けた公演かと思っていたけど、本気の公演でした。

会場は小さいし広いところではないけど、客席が全てちょうど良いくらいに段になっているし、見やすいです。
で、舞台セットは今回も凝った作りで、舞台の上手が洋室のリグング風、半分に切って下手側が畳の和室に書道セット一式。
奥にもキッチンらしきものがみられ、このしっかりしたセットを見ただけで力の入り具合が分かりました。
と言うか、手を抜けないのでしょうね。

今回は前回のオムニバス的な作りから少し変えて、同時多発的に時間も空間も捻じ曲げて話が展開するけど、全てあるひとつの帰着点に向けて明確に動いているため、中心がブレることなく良くできた脚本でした。
またひとつ脚本のレベルを上げた感じです。
でも、褒めるばかりだとアレなので。もう少し同時多発の会話ひとつひとつを長く続けさせたり、丁寧に扱っても良いような。。。
あれだけ早いスピードでポンポンと密度濃く見せられると疲れてしまうのでした。
90分の舞台だったけど、中身は120分の舞台くらいは詰まっていました。

また、もはや角角の特色と言っても良い、食べ物にまつわる話もしっかり展開されていて、食べ物に異常な存在感と生命感を感じるのでした。

ネタバレBOX

異常な世界観を描くのは前作と同じ。
下手側は「自分は最低の人間です!」と語り「死にたい!」と叫ぶ書道家らしき人、上手側は筆でラブレターを書く夢見がちな女性がいて、同時進行で物語が始まります。
その中間に、どちらの世界でも共有されている流し台には「兄」と呼ばれる、知恵遅れの男性が壁から胸上をだしてニコニコ舞台上の出来事を見つめています。
この書道家の家には見るからに不思議な「母(ただし元父)」や頼まれてもいないのに無言でチャーハンを置いてゆく料理屋の配達等が出入りしています。

そのうち、物語は書道家がなぜ最低の人間なのかを、少年時代から振り返る形で進んでいきます。
ここからが、時間も空間も行ったり来たりで忙しい展開になってゆきます。
それぞれ濃いキャラたちが、思い思いの悩みを抱えつつ、人と何らかの関係を築いてゆきます。

そんな中、少年だった書道家は近くの料理店の「肉」に異様に魅了されてゆきます。これは親友も同じで、それ以外の肉を食べると「腐っているような」感じがして受け付けなくなってしまいます。
これは原材料は人間の肉なのでした・・・。

少年には知恵遅れの兄がいて、暴力的な父は兄を溺愛します。
兄の母親は事故で死んで、その弟である少年の母(後妻)は男を作って蒸発したのでした。その恨みを息子である少年が受けていました。

少年は心のどこかで知恵遅れである兄を見下していたが、ある日兄が見つけた書道コンクールにふたり揃って応募したところ、兄だけ入選しました。
これが、少年の心をひどく傷つけました。

ある日、料理店の主人に付き添って、料理の原材料のために人間を調達に来たところ、暗くてよく分からないまま襲ったのが、その知恵遅れの兄だった!
そして、少年はその兄の肉を口に入れるのだった・・・。

動揺して、兄が失踪した原因を自分が父親だからだと思いこんだ父親は、オカマのような格好で「自分は母親だ」と思い込んでしまう。
そして、少年は自分が自分であることに嫌気がさしていた。
少年は自分でなくなる事を選び、整形手術をして、その他様々な細工をする事で今の書道家になるのだが、その演出がおかしくておかしくて!
まるで少年だった風貌が、奥に引っ込んで出てきたらヒゲ面の強面になっていて爆笑!

その後、書道家のところにある女性がやってくるが、彼女は蒸発した母親の娘なのだった。
書道家は彼女に恋をして、「死にたい」とばかりつぶやいていたのが、次第に活き活きした目になっていく。
対する女性も書道家に恋をしたのだが、同じく書道家に恋をして振られていた彼女の友人からおまじないを教えてもらう。

そのおまじないは恋する相手と両思いになるおまじないだ、と言い聞かされておまじないをはじめる無邪気な女性。
しかし、それは呪いのまじないだった・・・。


とにかくブラックで怖い話なんだけど、全体的な演出がライトでポップでスピーディーなので、気持ち悪いまま笑ったりできます。

自分は角角ストロガのフが好みにぴったり合うみたい。

今回これだけの公演を見せてくれたのだから、次の王子はもっと期待です!
死んだ赤鬼/戦争に行って来た(反転)

死んだ赤鬼/戦争に行って来た(反転)

MU

ギャラリーLE DECO(東京都)

2008/11/25 (火) ~ 2008/11/30 (日)公演終了

満足度★★★

皆さん書かれているように・・・
ちょっと詰め込みすぎで焦点がボケている印象でした。
個々に見ていくと、それだけを広げていくと面白くなりそうなのにな・・・、という感じなのだけど、あまりにも早く次々と話が移り変わりすぎて、印象に残らなかったり。
岡田あがささんが素敵でした。
後、はらぺこペンギンの川本さん、相変わらず面白です。

ネタバレBOX

「戦争へ行ってきた」はまだ見れるのだけど、でも戦争というテーマを扱っている割には戦争を軽く扱いすぎている感じでちょっと受け付けない部分もあったり。
あれなら別に戦争でなくても良かったような気がしてしまいました。
単に何かの事件の人質になって有名になっていればいいだけのような。
って、戯曲賞を獲得した作品に素人が偉そうなこと言えないですが。。。

「死んだ赤鬼」は話の主軸がわかりづらくて見ていて入り込めませんでした。

MUは最初に見た「愛の続き/その他」が良すぎただけに、その後は肩透かしを食らっているので「次こそは!」という気持ちがあって、結局見に行ってしまうのですが。。。
いまさらキスシーン(玉置玲央一人芝居)

いまさらキスシーン(玉置玲央一人芝居)

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了

満足度★★★★

こっちの方が好きかも。
「いきなりベッドシーン」と同時上演の玉置玲央さんひとり芝居。
こちらの方が時間は半分で短いのだけど、物語の時間は3年間をあっという間に駆け抜けてゆくのでした。

ネタバレBOX

玉置玲央さんのスカートからのぞくモモの筋肉が凄い!
相当鍛えてるんですね。

ダークな「いきなりベッドシーン」よりも、ポジティブで能天気なこちらの方が個人的には好きでした。
いきなりベッドシーン(七味まゆ味一人芝居)

いきなりベッドシーン(七味まゆ味一人芝居)

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了

満足度★★★★

一気に駆け抜けるテンション
七味さんは最初から最後までひたすらハイテンション!
まあ柿は普段からそういった芝居を作っているから想像はできたけど、ひとりで最初から最後まで駆け抜けるあたりは流石。

今回製作の田中沙織さんが退団されてしまって残念でした。
だからと言うわけではないのだろうけど、会場が既にかなり埋まっているところに入っていったら席がなかなか空いていなくて、場内がいるにもかかわらず案内したり声をかけてきたりしないでボーっとしてるだけ。
場内のいる意味が無い。
結局2,3分ジーっと探して探して、ようやく中央に開いている席をひとつ発見して座りました。

柿のスタッフってたまに仕事できないスタッフがいるのが気になるんです。

ネタバレBOX

ひとり芝居をみて思ったけど、柿喰う客のフォーマット自体がひとり芝居を組合わせたつくりの様に感じた。
今回の舞台と普段の柿の違いはあまり無くて、舞台上のひとの数やアンサンブルの付け方が違ってくるくらいなのかな?
今回の舞台を見て、柿って基本的にひとり芝居の融合体だという風に思えてきたのでした。

内容は、高校生活の全てを満喫するためには高校生活のダークサイドも経験しなければならない、という先生の教えを聞かされて、ポジティブにダークに落ちていく女子高生のお話でした。
毒が効きすぎだけど、面白かったです!
とける

とける

ブルドッキングヘッドロック

サンモールスタジオ(東京都)

2008/11/13 (木) ~ 2008/11/24 (月)公演終了

満足度★★★★

連作だけど前作見てなくても楽しめた!
前作とは連作になっているとのことだけど、全然見ていなくても十分楽しめました。
もちろんそうじゃないと困るのですけど。
でも、核となる話が無いままふわふわとしている割には、それぞれのエピソードの描き方に疾走感があって、2時間超えの舞台でも全く飽きることなく楽しめました。

ネタバレBOX

とある高校を舞台に、主に美術部を中心にそれを取り巻く人々や先生たちが描く群像劇。
特にどれ、というエピソードがあるわけではないのだけど、「ああ、こういうことあったよね」と言いたくなる感じが良かったです。

あと、それぞれのキャラの立て方が素敵。
特に1年のモテない男子ふたり組と3年の「モワっとしてゴツっとした」先輩が際立ってました!
あの人たちで学園ものをやるのはズルい、っていうくらい面白かったです!
怪人21面相

怪人21面相

パラドックス定数

SPACE EDGE(東京都)

2008/11/21 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了

満足度★★★★

ナルほど「怪人21面相」か。」
グリコ・森永事件が与えた社会への影響と言うのは大きかった。
三億円事件に続いて見せてくれたグリコ・森永事件。
未解決の昭和の暗部。

こういった題材をあくまで作家の脳内で膨らませて作り上げられる世界はまるで実話を見ているように圧倒されてしまう。
今回は最後の方の30分のたたみかけが圧巻でした!

会場は普段は演劇では使われないイベントスペース。
雨の中、場所が良くわからず、濡れるし寒いし、の中で会場にようやく辿り着いた。
もう少しわかりやすいところでやってください。
それか道に案内係りの人を立たせるくらいしても良いと思うのですが。。。

ネタバレBOX

三億円事件の捜査本部で、前作「三億円事件」にも出ていた男がその後グリコ・森永事件の首謀者となったという設定。
三億円事件の時の後輩は今回のグリコ・森永事件の捜査本部責任者となっている、という前作との関連性。

正直前作を見ていたけど名前とか覚えていなかったし、誰と誰のことを言ってるのか良くわからなかったです。
でも、わからなくても全然大丈夫でした。

最後、元ヤクザと言われていた男が金大中事件の実行犯だったことが明かされる。
しかし北朝鮮側にその存在がバレてしまう。
連中のアジトもばれてしまう。
グリコ・森永事件の後に起こったハウス食品の事件などは、同じ北側の組織による模倣犯で、元ヤクザと名乗っていた男はその模倣犯のひとり「キツネ目の男」を銃で殺してしまう。

それをかくまってもらおうとする事件の首謀者。
しかし頼ろうと思っていた捜査本部責任者は、グリコ・森永事件の犯人が尊敬していた先輩だった事を知って焼身自殺してしまい・・・。

この怒涛のクライマックスに熱くなった!!
これだけのドラマを史実をベースに作り込む素晴らしさ。
そして、それを演じきる役者さんの演技力。

パラドックス定数の底力を感じさせる作品でした。
再演してくれてありがとうございます!
接触

接触

世田谷シルク

ギャラリーLE DECO(東京都)

2008/11/15 (土) ~ 2008/11/16 (日)公演終了

満足度★★★

初堀越戯曲
堀川炎さん、堀越涼さんのふたり芝居。
ルデコの空間を無理なく使った芝居の形態がぴったりでした。
広くないし、凝った舞台装置や照明が組みづらい会場だから、なるべく素舞台で、次々と転換していく今回のふたり芝居形式は正にルデコ向き。

ネタバレBOX

堀越涼さんの作の「鮪」が面白かった!
マグロに恋してしまった青年の話。マグロを陸に揚げて部屋で同棲しようとするけど当然死にそうになってしまって・・・、という感じのとってもシュールなお話。
でも、今回の舞台に近松を全体にまぶしていたり、マグロを「鮪」と漢字で書いたりする辺りから、何となくだけど落語的な印象を受けました。
短かったけどハイテンションでひとり芝居で突っ走る堀越さんは流石でした!

堀川炎さんもとにかく表情が豊かでおかしい!

こんなふたり芝居に色々な人が脚本を一部提供していて、なんとも贅沢な舞台。
と言えば聞こえは良いのだけど、全体的にとっちらかった印象が強くて残念でした。
もう少し統一した色がどこかに欲しかったな。
演技もテンションで切り抜けてたけど、かなり荒かったですし。

中屋敷さんの戯曲は堀越さんがひとり芝居で披露。
次週の柿の特別公演前に、中屋敷さん作のひとり芝居を見れた嬉しさ。
感想は、「やっぱり何を書いても中屋敷さんだなあ」という感じでした。
堀越さんの演技も柿っぽかったし。
すてるたび(公演終了)

すてるたび(公演終了)

五反田団

アトリエヘリコプター(東京都)

2008/11/15 (土) ~ 2008/11/25 (火)公演終了

満足度★★★★★

五反田団健在!
とっても不思議なたびのお話。
たびと言ってもどこかに旅行とか明確な目的地へ向かうというのではなく、話全体がどこかわからないどこかへふわふわと向かっていくような。
「さようなら僕の小さな名声」のように不思議なたび。
「タロウ」という、何だかよく分からない存在や父親の存在を語りつつ、長女、長男、次男、次男の嫁の4人が、とにかく不条理で不思議な世界をたびする。

主人公次男を演じた黒田さんひとりに相当な負担がかかる、体力消耗度の激しそうなお芝居でした。
黒田さんのお芝居はとにかくテンション高くて楽しい!
あれは黒田さんだからこそ成り立ってる舞台ですね。

舞台はほぼ素舞台で、椅子が4つ並ぶだけ。
ライティングもとても地味なんだけど、この照明だけでいくつもの世界を作り出してしまう技術と演出力に改めて感心しました。

五反田団はやはり五反田団以外の何ものでもないという存在感を示してくれた傑作でした!

ネタバレBOX

場面転換が秀逸。
大体弟は前のシーンを引きずって存在しているのだけど、周囲が次のまったく別のシーンへ行ってしまう。
慌てつつも、そのシーンへ馴染んでゆく次男。
こういった夢の世界のような舞台では、こういった場面転換はとっても効果的ですね。
五反田団が得意な方法ですが、今回は特にそれが活きていたように思えました。

電車の中で肩に「タロウ汁」を浴びて洗いに行った長男役前田司郎さんが、次入って着たときは変なポージングで凄く良い笑顔!
で、そのまま上手から下手へ移動していく。
「観音様」らしいです!!

この観音様の表情が凄く良くて爆笑でした。

全体的にふわふわとした世界を旅する感じですが、ひとつひとつのセリフや演出がおかしくって、場内は笑声が絶えませんでした。

シチュエーションコメディーみたいに計算して伏線を張り巡らせた笑いとは違う、職人芸的な笑いを堪能しました。

五反田団、大好きです!
来年も活動が活発みたいで楽しみです。

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