gagap
ENG
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2023/11/22 (水) ~ 2023/11/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ENGプロデュース公演、作演出竹村晋太郎。ENGのことも、出演者の大多数も、小劇場界隈に疎い私には知らないものだらけだったけど、竹村さんが創るから、そこに劇団員やアクモブでお馴染みの方が出るからチケットをとった。
初日を前に全日程完売、急遽補助席が出たがそれも完売。ゲネには多数の関係者や役者が見に来て、本番さながらの熱気だったそう。竹村さんファンとして、こんなの嬉しすぎる。
明治、のような時代の、帝都、のような街。怪人と呼ばれる強力な能力を持った存在が確認され、それを専門に取り締まる部署が設立される。 それだけでもう!大好きな世界観!大正明治の古いものと新しいものが混じりあって独特の文化を作っていたあの時代!街に街頭がともってもまだなお闇が深かった時代!現代の私たちからしてみれば浪漫でいっぱいのあの時代!そこに不可思議な事件が絡めば完璧!さっすが竹村さん、わかってる。
ネタバレBOX
・壱劇屋東京支部ではお馴染みの演出が盛り沢山で一瞬いっしゅんが“濃い”!!安定の「目が、目が足りないぃ!」が後方席なのに発生しました。これはね、もれなく箱推し確定。
・開演前にパンフと台本は買ったけど、終演後にサントラとBlu-rayの予約もしました。観劇中に「これ、円盤になるんだよね。マジかよ。最高じゃん!」て5回くらい思った。
・竹村作品のプロ達がアクションモブ...じゃなかった、ギャップルとして参加しているのが心強い。竹村作品初参加の皆さんも、それぞれの個性があって、アクションもだけど、芝居パートもめっちゃ良い、最高。ありがとうギャップル。
・高田さんの怪人0号がずーるい。え、あんなんみんな好きじゃん。竹村さんの書く台詞は全部竹村さんを感じるけど、私的に今回のキャラクターの中で1番竹村さんを感じたのは怪人0号。高田さんの台詞術がすーごい好き。最初から最後まで全部ずるい。
・椎名亜音さんの怪医。まずビジュアルが超好きなんだけど、亜音さんのカッコイイお声と動きでさらにキャラクターが魅力的になって、最高すぎて頭爆発するかと思った。西分さんとの絡み、ありがたい。大好きな2人。
・春夏秋冬で“ひととせ”と読む。栗生さんのひととせ、お声がとても綺麗で可愛くて、ふわっとほわっとした雰囲気も純粋で透明な感じがして、そんな彼女が歌うと空気が澄んでいくような、光が差し込むみたいな、聞き入ってしまう歌声でした。だからこそ…ね、しんどい。いっぱい食べる君が好き🍡
・梅田さんの怪色、ただのお色気お姉さんじゃないんです。色気で惑わすとか、そんな生易しいもんじゃない。めちゃくちゃ戦う。すごい強い。そしてとても良い女。何度この方の表情に胸を締め付けられたことか…強くて弱くて愛の深い女が好きだ。
・んで怪色に絡む怪食がぶっ飛んでて最高だった。松藤さん、漫画っていうかアニメみたいな動きする。え!今どうなった?!て動きするんだけど、それが役としてピタッと欲しいところにハマってる感じがして観ててめちゃくちゃ気持ちがいい。
・シミズさんの怪談。ビジュアル発表で1番気になったのがこのキャラだった。怪人っていうか妖怪っぽくて、すごくクセありそうだな…って、登場キャラ全員クセまみれなんですけど(笑)満を持して台詞を喋った瞬間に「はい好きー!」って心の中で大絶叫した。高音と低音の使い分け、素敵。
・喋り倒す西分さん最高かよ、最高だよ、最高でしかないよ。竹村さんが西分さんに当て書きしたという怪人P、西分さんへの信頼とか愛とか詰まりまくっとるやん!衣装の裃っぽいマントが良い。ヒールで駆け回る西分さん、足ぐねらないように気をつけてー!
・マサさんは姿勢がとにかく美しい。日舞で鍛えた体幹と指先まで意識の届いている動きが素晴らしい。そして、マサさんがいるならやっぱアレはないとですよね🤭嬉しかったなぁー。美しい動きをする方なのに、ブリキ人形みたいなデフォルメされたモブを演じるのもギャップにやられる。
・ひととせの歌唱シーンで、まわりに集まる群衆のギャップルさんたち、表情がとても良くて、今日は日置くんの表情がグッときた。お隣の黒ちゃんもいい顔してた。
・最終戦に入る直前の集合シーン!3つの勢力がそれぞれ睨み合うんだけど、ポスターとほぼ同じ構図!
・最初から最後まで高田さんがずるいよなぁ!もう!宿木ちゃんに向けるなんかこう、恋ともなんともハッキリした形はないけど大切にしたい、守りたい、笑っていて欲しい、みたいな気持ちと、どこまでも真っ直ぐな花房に宿木が好きな花房でいてほしいっていう願い、終盤の今まで余裕そうだった0号がとにかく走り回って取り繕ってない本気の叫びを花房にぶつけるところ、ほんと好き。宿木ちゃんの言葉をかわりに伝えて、その思いだけは裏切るな!って、かっこよすぎかい。この0号に喝をいれる怪人Kもカッコイイ。お笑い担当みたいなPのグループに所属してて奇抜なファッションだし喋り方はおねぇだし、そういうキャラなんだと思っていたら、実は元ヤンでめちゃくちゃ漢ってのがさぁ、オタク大好きなヤツじゃん。
・0号と宿木ちゃんにじゃれつく怪人J、めっちゃ猫で可愛い。どんどん0号にたいするじゃれつきがほぼ引っ掻きレベルになっていくのも面白かった。最後0号に逆シャーされてた(笑)
・こういう物語にはありがちな「自分以外どうでもいい捨て駒と思っているわかりやすく酷い奴」が出てこない。奴は無口で感情が無いようなやつだけど、中身がうまく成長できなかっただけで後半の子供のように泣く姿が印象的だし、すがるように「色…」て名前を呼んだの辛すぎた。色はその手でさっき殺してあげたんだもん、1番いてほしい時に1番彼を抱きしめてあげて欲しい時に、もう彼女はいない。白のほうは仲間と認識している者は大切にしている感じ。春夏秋冬の歌声で量産したギャップルやすぐ死んでしまうような欲望の足りない怪人達のことは駒扱いかも。僧や老のことは大切にしてた。
・キャラクターそれぞれに背負ったもの抱えたものがあって、それがしっかり見えるから辛くて苦しい。村田さんは怪人になったのにギャップルたちに殺されてしまったんだな…辛い…後半の「頭部に傷を負った状態で歌を聞くと変異する」がわかってからの頭への攻撃が絶望でしかなくてなぁ…
・怪人へと変異する瞬間を表現した怪談と怪軍の2人、すっげかった。体柔らかい。背筋と腹筋強そう。
・食に食い殺されそうになった色に奴がとどめを刺してあげるの、さっそくそれは愛だよな。優しい奴、色めっちゃ嬉しそうだった。
・ギャップルたちの活躍がまぁー凄かったんだけど、個人的に好きだったのは電車の戦闘シーン。電車を外から見てるアングルで窓から戦ってるのが見えてる、て感じなんだけど、これがねぇ、我々観客の想像力を信じてくれてるんだなって演出で嬉しかった。その場にあるのは4枚のパネルだけで、電車の音は出してるけど電車っぽいものは何一つ無い。でも、頭の中では足場の不安定なゆらゆら揺れる電車、大きな窓から見える戦闘、そういうものがしっかり補完された。見えたんだよ、ちゃんと、電車が。
・Pの「ムーブメントを起こすのが好きでして」てゲヘゲヘ笑ってるところ大好き。
・血吹雪、あると思ってなかったから嬉しかったよー!!!!スペシャリストのマサさんもいるしね!みんな吹雪使うけど、一体どこに仕込んでたの?!てくらい隠し方と見せ方が上手い。
・大災害からおばあちゃんを助けて通路をのぼっていく花房、頭に傷を負い鼓膜が敗れた状態だったから、おぶわれてる藤島さんが花房の右こめかみあたりに手を置いて、頭と手のひらの隙間からはらりはらりと血吹雪をこぼすのが「こ、細かい!」て感動した。細部に神は宿る。
・すごい吹き上がり方してるー!ってなったのは怪電が怪僧にぶっ刺されたところ、とんでもない量の血吹雪がぶわわって飛び散ってて、ただの紙だってわかってるのに痛々しくて「うわあ😭」てなった。
・怪軍が暴走する花房を一喝するシーンも好き。「お前は違うだろう!」って。自分はこういう守り方しかできない、でもお前にはお前の守り方があるだろう、みたいな。怪人にさせられてしまった悲しい運命。彼の目的は怪人騒動の発端である春夏秋冬を消してこれ以上怪人を生み出さないことだった、なら彼の目的は達成され、じきに消えてしまうのかな…
・守れたものもあれば守れなかったものもあって、めでたしめでたし大団円とはいかないんだけど、それでも人間は前を向いて自分に出来ることをやるしかないから、だからとにかく、生きようっていうラストなんだと私は思った。
・春夏秋冬の透明な唄声が、覚醒した時は音をいじったみたいにぐわんっと揺れて聞こえた錯覚がして、あれすごかったな。アニメだったら視界が歪む演出入るやつ。あそこの歌声が際立つように、普段の歌声や喋り方を高めで透明感ある感じにしてるのかな。
・ボディーガード村田、パンツスタイルの女性がサンジばりの足技で戦うの、嫌いな奴いないぜ。彼女が怪人、というかギャギャップになってしまうの、悲しかった。
『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』
Bunkamura
紀伊國屋ホール(東京都)
2023/11/04 (土) ~ 2023/11/21 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
上手側にあるガラスの動物園が人の頭でずっと見えなかったのが残念だけど、ギリギリ全体が視界におさまる席で生声も表情も涙の雫さえも見える距離。最高。
ネタバレBOX
ガラスの動物園
あらすじをざっと読んだだけで、完全初見。客入れは日本の80年代?70年代?の歌謡曲かなぁ、が流れてて、外国の話なのに客入れが日本のオールディーズなの面白いなって思った。
えりさんのお芝居を舞台で観るのは初めて、だと思う。頭の回転が速い人なんだろうなぁ…台詞に口がついていってない。台詞間違い、台詞忘れ、噛む、言い直すのオンパレード。動きもちょっとバタバタしててうるさく感じた。他の登場人物たちがあまり大きく動かないからかもしれない。噛んだり言い直したりは全員あった。幕が空いて数日ですが、毎回こうなのか、今回だけか。あんまり台詞で躓かれると集中切れちゃうから嫌だった。稽古足りてないの?って思っちゃったけど、台詞以外は大丈夫そうなので、膨大な台詞量に口が回らなくなってるだけだと思われる。しっかり!
年配の役者さんがズルいのは、たとえ台詞がおぼつかなくても、きめた動きがうまく出来なくても、長年の経験によって出る説得力や迫力が段違いだってこと。えりさんズルいのよ。口うるさくて感覚がズレてる母親の、子供に対する愛情だけは嘘偽りない真実なんだもの。特に娘に対する思い。女性の立場が低かった時代、結婚しなければ生きていかれなかった時代、女ひとりで生きていくことが困難だった時代、そりゃあ旦那が蒸発したあと女手一つで子供二人を育てあげたんだもの、娘には苦労させたくないって思うよね。普通、母親を重ねて見るものなんだろうけど、私は80過ぎの祖母を重ねて観ていた。「~しなくちゃいけない」と価値観を押し付けて、面白くもない話を聞かせて、子供のことを理解してると思ってるけど実際は何もわかってない、完全にうちのばあちゃんだった。子供の中に障害持ちがいる点も同じだ。我が子に障害があることを認めなかった母親。人と少し違う、けどそこがこの子の良いところって。
狐晴明ぶりの吉岡里帆さん!めちゃくちゃ良かった。おどおどした喋り方も、ふわりと微笑む顔も、ぎこちない動き方も、びっこをひく足も、ジムに対して「推しを前にしたオタク」みたいな反応するところも、全部良かった。母親と弟のことを心から愛しているし、言葉でも行動でも表現する。泣きながら謝る弟をいいこいいこして抱きしめてあげる姿なんて、聖母様だった。酔って帰ってきた弟に膝枕してあげたりさぁ、仲良しで大切に思い合ってる姉弟だった。兄属性の松也さんが弟役ってのが新鮮で(もちろん、弟役も弟分役もたくさんやってきただろうけども)とても可愛かった。お姉ちゃんの肩に頭を乗せて甘えてるのとか、可愛すぎた。
トムがジムを案内する時、客席で「ジム。あっちあっち」ってオフマイクで言って楽しそうに笑いあってて、本当に仲がいい様子が出てた。和田さんのチャラい役って見たことなかったから新鮮だった。もうちょっと好青年な役なのかと思っていたので、予想外。口が上手くて軽くて遊んでそうで、ローラと話していくうちに惹かれてキスまでして、ローラにも観客にも希望を見せた次の瞬間に突き落とす。婚約者がいるって打ち明けてからのローラの表情、痛々しくて見てられなかったよ。ろうそくに照らされた頬を伝う一筋の涙、悲しくて綺麗な涙だった。ローラがジムに渡した角をなくしたユニコーン、あのあとジムはどうするだろうか。大切にするって言うけど、きっとすぐに壊れてしまうし、婚約者になんて言うつもりなのか。
松也さんがね、ずっと舞台上にいるんよ。いない時間もあるんだけど、トムとして存在してる時間と語り部の男として存在してる時間があるから、ほぼほぼ舞台にいる。台詞はなくてもじっと登場人物たちを見ていて時々動いて物を片付けたり隣に座ったりする。それが何を意図しているのか、わからないことのほうが多かったけど、さすが歌舞伎役者、芝居の邪魔になるようなことを絶対にしないからどこにどう存在しててもまるで舞台セットみたいに違和感がなかった。生演奏の入るきっかけ、語り部の松也さんがキュー出しすることもあって、責任重大だった。指パッチンの音が鳴らないまってぃ、SEつけてあげて…(笑)
停電してパニックをおこしそうな姉を落ち着かせるために、ぴったりと寄り添ってガラス細工を蝋燭にかざしたりしてた姉弟の姿、良かったなぁ。オフマイクで吉岡さんが話しかけて松也さんが「え?」って感じで耳を向けて、そのあと吹き出してたの微笑ましかった。
非常階段で抱きしめ合う母娘を包み込むように抱いた語り部の男…あれはトムだ。
背中に布を足したアマンダのドレス、子供たちがそれを必死に隠そうとするのと、見てしまった時のジムのリアクションが良かった。
絶望は絶望のまま終わっていく物語。貧しい現実、閉塞感、戦争には冒険があると目をキラキラさせる青年、家を出ていく男たち、残される女たち、幸せな未来など夢、誰も助けてはくれない。物語が始まった時より状況が悪くなって終わる。
消えなさいローラ(和田琢磨ver.)
ローラとアマンダの人格を行ったり来たりしながら演じ分ける和田さんの仕草、特にローラがすごかった。ガラスの動物園では内向的なだけで心優しくまともな受け答えをしていたのに、不条理劇・ナンセンス劇らしいめちゃくちゃな言葉のキャッチボール。言葉の通じないおかしな女。母親は死んだのだと、なんとなくわかってはいたけれど、彼女がドレスの胸元からガラスの馬を取り出した時、ひっかかった。胸のポケットにガラス細工をしまったのはジムだ。演じているのもジム役の和田さん。違和感。ワインを飲んだ母親が死んだ、それを隠すために、ここで弟を待つために、ローラは母親の死を隠し続けた、母親になりきってまで。けれど葬儀屋/探偵は言う。もうそんなことはしなくてもいい、トムさんも望んでいないと思いますよ…と。まるでトムが姉に寄り添うようにぴったりとくっついて肩に顎を乗せ、するりとドレスが脱げロングのウィッグが外れると、中からしどけなく胸元をはだけた(これはドレスから出ないためだと思われるが)ジムが出てくる。アンニュイな溜息をひとつ。頭を軽く振り、襟をぐいっと直す。そこまではジムの動きなのに、その後もローラであり続ける。カーテンの裏にあの日のドレスのまま寄り添って眠る白骨化した母娘が浮かび上がる。もし、この部屋にいた女がはじめからジムだとしたら、それこそ狂気。少なくともあの日から3年がたってる。あの停電の日、母娘が絶望した日、トムが出ていった日、あの日からすぐに2人が死んだとしたら、トムが出ていくことを知っていたジムが心配になって再び訪ねた時には変わり果てた姿だったとしたら、ジムは心を病んでしまったのか…いいや、それはありえない。あの日はじめてアマンダとローラに会ったジムが近所の人が見間違えるほど2人に化けるなんて不可能。だから、ジムの姿をした何かなのだと思う。パンフレットのインタビューでは「待つという概念」みたいなことが書かれてた。概念、概念か。ジムは何を待っていた?己の成功?天井からどさーっと砂が落ちてきて、その砂の後ろで崩れるジムと、テーブルの上に残されたドレスとウィッグ。ローラの抜け殻?話の間、アマンダとローラが亡霊のように現れては生気のない顔で虚空を見つめたり女や探偵を見ていた。この部屋で起きたことは現実だったのか。はじめからこの部屋には誰も生きてる人間はいなくて、探偵だというこの男も存在していなくて、死んだというトムの魂だったら少しは報われるんだろうか。
最後、松也さんが綺麗な声で歌いだして、そこに和田さんもタイプの違う歌声で加わって、吉岡さんもえりさんも入って、ひときわ強く響く松也さんの歌声に「どうです?すごいでしょ?これが尾上松也ですよ」という謎のドヤ感をおぼえました。
レイディマクベス
TSP
よみうり大手町ホール(東京都)
2023/10/01 (日) ~ 2023/11/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「マクベス」が原案の完全新作。世界最速公演。隣国と何十年にもわたって戦争をし続ける国で最強の兵士“だった”レイディのお話。マクベス夫妻の娘が語る、という形で始まる物語。
過去のようにも、未来のようにも、今現在の話のようにも感じられる世界観。膨大な台詞を浴び続ける2時間。強く美しい夫婦が壊れるまでの物語。
中央に二重の盆があって、それがほぼずっと回ってる。
レイディ白い細い薄い顔小さい!そんな華奢な体躯で最強の兵士だったの?!かなり強い。マクベスに語りかけるためにぺたりと座り込んだ時や、銃をかまえた後ろ姿にドキッとした、身体が薄くて。身のこなしがさすがの美しさ。
1回観ただけでは全てを呑み込むのは難しかったけど、多様性の現代が抱えてるいろいろな問題が詰め込まれた物語だったと思う。
難しいけど、演劇を観た!って感じ。
舞台『刀剣乱舞』山姥切国広単独行 -日本刀史-
舞台『刀剣乱舞』製作委員会
天王洲 銀河劇場(東京都)
2023/10/07 (土) ~ 2023/10/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
配信で観ていたけど、実際に劇場で観ると圧がすごい。舞台上の熱量がとてつもなく高い。壱劇屋メンバーをついつい探してしまう。こばーん、猫背やなぁ。
著しいキャラブレの三郎2人、後ろで待機してる時にふくのすけを撫でたり可愛がってたの良い。
ネタバレBOX
スサノオ、荒々しい声や喋り方だけど、ちょっとなんだろ、印象として傴僂っぽい。とんでもない猫背だからかな。スサノオにそんな属性はたぶん無いんだけど、演じ分けのなかで猫背になっていったんだろうな。「目だぁ!」の言い方可愛い。荒々しいなかに無邪気さとか幼さも感じる。
厩戸皇子のビジュがめちゃくちゃいい。あの髪型似合うってどういうことなの。「あなたの刀になる!」かっこよ過ぎて泣きそう。泣いた。
パペット可愛いなぁ...みんな声の芝居が上手いよね。いくらパペットで動きつけてるとはいえ、声の芝居が変だと違和感あるもんだけど、とても自然。配信は健鶴だったので、今日染鶴の声が聞けて嬉しかった。
2幕まで見終わっちゃうともう何も思い出せない...なんだろうなぁ、希望はあるけどまだどう物語が繋がるかわからない状態なのに、エンディングでものすごい多幸感に包まれながら涙ボロボロ流して完全にデトックス状態。心地よい疲労感が残る(笑)
あ、燃ゆる本能寺の再現シーン、上下にちゃんと虚伝組が後ろ向きで出てきてそこも再現してたの、初日配信では気付いてなかったから(映ってなかった?)驚いた。薬研不動長谷部宗三、ちゃんといた。不動くんがふるふると小さく震えながらズボンをぎゅっと握ってて、本人じゃないけどちゃんと再現してて、すばらしかった。
お守り発動の映像、可愛いし「お、御守りだァァ!」って感動するんだけどちょっと面白い。ニヤニヤしそうになる。お守りだけで良かったのでは???ふくのすけをシルエットだけにするとか!
生で見る三日月国広、やべぇ。なんだあれ。本物じゃん。声も、動きも、ひろちかなのよ。鈴木拡樹が舞台上にいるのかと錯覚する。
下手でぶわっと太刀を抜くのが目の前で、美しさに目が潰れるかと思った。
三日月の格好すると背が小さく見えるけど、極めると背が大きく見える荒牧慶彦。不思議。骨格?衣装?
朧達の中身が誰なのか、山姥切の影や仮面の山姥切の中身は誰なのか、とても気になる。1人だけご本人(笑)安心するわー。
山姥切国広があんなふうに笑う顔が見られる日がくるなんてさ、嬉しい。笑顔だけで泣ける。
こんなおかむーが見たかった!が見られる山姥切国広単独行。西郷隆盛、似合いすぎ。
「守る価値のある歴史がありゃあいいが」の人、エンディングで「山姥切国広ー!」って声掛けてる人だった。なんか、含みのあるセリフを他にも言っていたような気がするし、含みのある芝居をしているようにも見えた。なにか、あるのか...?守る価値のない歴史とは...。
カテコ、3回目でスタオベ。一振出てきたまんばちゃん小さく「おっ」みたいなリアクションして2階席3階席にも目を向けて、しっかりと、全てを噛み締めるようにお辞儀をすると嬉しそうにニコッと笑って去っていった。配信の時の刀をぐっと天に掲げるパフォーマンスはカメラ入ってる時限定なのかな?終演アナに負けず3回目のご登場は叶ったが、録音ではないアナウンスが入ってしまうと観客もさすがに「今日はおしまいなんだな」と察して拍手をやめたので、4回目までいくと刀を掲げてくれるのかもしれない。おしまいだよ、の合図(笑)
アドレナリンの夜
TBS
東京建物 Brillia HALL(東京都)
2023/09/24 (日) ~ 2023/10/09 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
相葉 長田 石川 平井 の回
3階席最前列ド真ん中。わかっててとったけど手すりが邪魔。開演前から舞台セットが見えてる状態だったのでバミリ(各ステージと舞台ツラにわかりやすい✕とT、中央のステージにちっちゃい×、ステージよりふた周りくらい小さく·····と四角くバミリ)を頼りに姿勢をずり下げて手すりの隙間から覗くような姿勢で観劇。
ネタバレBOX
ソロが各自2本ずつと4人揃っての話が1本。多い…9本で100分だから1本が5分強くらい?最後の話がちょっと長めだったかな。秋元さん脚本だからぶっちゃけ期待してなかったけど、なんだろなー…あえてなのかな、ベタだなぁ。起承転結の起の時点でオチが読める。オチがわかってても面白い話ってあるけど、全然ワクワクドキドキしなかった。オチがわかってからは役者の熱演に頼りっぱなしで…うーん、好ましい役者じゃなかったら耐えられないな。しかもしっかり全員で稽古した作品じゃないから(当日初対面)目を台本に向けるのか前を向くのか、どの程度身振りをするのか、役者に任せてる感じした。曲のタイミングとか明かりのきっかけとか、最後の話の動線とか、そういう部分は演出が決めて各自に伝えただろうけど、演技的な部分はたぶんあんまり言われてないと思う。なんか固まってない感じした。
相葉くん初めましてだったけど、さすが場数を感じさせる落ち着き。人気役者さんなの納得。声、抑揚、滑舌、台詞とモノローグで読み方の使い分け、朗読劇としてどの程度身振りを入れるか、塩梅が1番安定していた。そういう演技という点では、凌雅くんいまひとつ。朗読劇を観てるというより台本持って荒通ししてるのを観てるって感じだった。台本を素直に読む、という良さは強く出てた。誰がどの話の担当か、ていうのがピタッとハマっていたので、凌雅くんやりやすかったんじゃないかなー。1本目のラジオも2本目の麻酔も結末が断末魔。素直に表現するからこそ「読んでます感」「演技してます感」があるのがアレなんだけど、切羽詰まってきてうわあああああ!ってなると良さがぐっと出る。ラジオの最後、ぐらっとかしいでいく様子がすごい良かった。麻酔の最後の叫びも良かった。爆発力のある役者、好きだよ。麻酔の主人公の年齢がふわふわしてたなぁ、最初は高校生くらいかと思ってたら「子供の僕にはわからないけど」って言い出して映像の手が小学生くらいで、ちょっぴり混乱した。小学生だと思うんだけど台詞がちょこちょこ小学生ぽくない。脚本も悪い。
長田さん、コントを見る限りお芝居上手いイメージだったけど、ちょっと台詞が一本調子というか、悪くは無いんだけどね。警備員のやつ、女の子が後ろに立ってるって場面で演奏担当のオバケさんが長田さんの背後に立ってる女の子に見立てられてて、このためにこの格好なのか?!てなった。ていうか最初に登場してまさかの演奏し始めて「お前が弾くんかーい!」てなったし、最後まであの人はなんだったのかわからないし、開演前にスクリーンに映ってた紳士も本編になにか関係あるかと思ったら一切出てこなかった。なんだったんだ。なーんかね、いろんなネタをぽいぽい出すだけ出して回収せずに終わる感じがめっちゃ秋元康だなって思った。最後の「台本」も細かいところ考えると全然繋がらなくなる。え、結局なんでそうなったん?てなる。最終的にどうなったん?セットばたーん!てなった時の平井さんガチでビクッてしてたな(笑)
平井さん、1本目の見えないお友達のやつ。これの序盤、自由にアドリブっぽいガヤいれてて若干スベッてたから大丈夫か?て思ったけど、変に作らない自然体な語り口が良かったんだよな。友達から恐怖体験を聞いてる、みたいな感じ。ささやき女将のくだりちょっと長かったけどウケてたね。2本目ホテルの話、ループするのは怖かったなー。世にも奇妙な物語系のお話だった。
天號星【10月4日~10月9日公演中止】
劇団☆新感線
THEATER MILANO-Za(東京都)
2023/09/14 (木) ~ 2023/10/21 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
モアチャンス見切れ席で2階バルコニーの下段、その1番舞台に近い席で観劇。
すぐそこまで太一さんやゆっくんが来る。想像の倍あった客席通路の出ハケも全部見える。
見切れ席とはいっても、一瞬セットの影になるとか、上手奥が少し見えない程度で全くストレスは感じなかった。シャッターする衝立に隠れてハケるキャストが見られるお得な席。
なにかひとつダメだった点をあげるとすれば、袖か舞台裏かロビーでスタッフさんが話してる声が微かに聞こえること👂何話してるかまでは聞き取れないけど、なにか喋ってる声は聞こえる。
銀次と朝吉が兄弟だったらどうしよう、とか思ってたけど、そんな展開には一切なりませんでした(笑)ただの人殺し好き同士ってだけだった。
ネタバレBOX
天號星という作品、どこからどう見ても早乙女兄弟への愛をぎゅうぎゅうに詰め込んだ早乙女兄弟のための話だったし、古田新太が主役と見せかけて「入れ替わり」を上手く使って実質早乙女太一が主役の話だった。
太一さん、めちゃくちゃ戦ってたし喋ってたし叫んでたな...主役の分量だった。早乙女太一が新感線でソロで歌う日が来るなんて想像しました?けむりで元気に合唱はしてたけど、まさかソロで歌う日が来るなんて...びっくりした。こういっちゃアレですけど、太一さんはけして歌が上手いわけじゃない、微妙に音外す、歌の上手さは普通。だから、ほんの30秒くらいで、喋るに近いような歌だったけど、歌用のマイクつけて殺陣やりながら歌う太一さん、オタクの妄想かと思ったわ(かずきもひでのりも早乙女兄弟の強火担だから間違いでは無い)
ゆっくん、また上手くなってる。滑舌もめちゃくちゃ良かった。今が盛りだなぁ...咲き誇ってるなぁ...自信に満ち溢れていたなぁ...はぁ...最高かよ。男らしくて、でもちょっぴりお馬鹿で、銀次と半兵衛に振り回されてて、でも本人は殺し合いが出来ればいいキチガイだから楽しそうで良き。銀次に「お前変わったな。欲が出たな」って言い当てるところとか、最後太一さんと一騎打ちするところとか、めちゃくちゃカッコよかった。私、ゆっくんの股旅姿大好きなんだ。私得。ボロボロ回し合羽の扱いが流石すぎる。
今回も女性陣が強くてかっこよかった。男に依存しない、いざとなれば1人で生きていける、強い女、いいね!カナコさんの巫女姿、似合いすぎ。聖子さんの包容力。よし子さん、実はめっちゃ優しい人ターンあったから死亡フラグかと覚悟してたらまんまと壮絶な最期をむかえてしまって悲しい。史緒里ちゃん、歌も芝居も上手い、場の空気を掌握することが出来る子。芯の強さが声や目にしっかり出てる。千尋ちゃん、中国武術で殺陣のなかに飛び込んでいくのはなかなかタイミングとか間合いとか難しいんだろうなって見てて思ったけど、荒くれ者の中で育ったお嬢の箱入り感と男勝りな部分と、素直なところも出てた。型を見せるシーンは、さすがのカッコ良さ。
太一さんには2人の娘ちゃんがいて、半兵衛にも2人の娘がいる。これ、あえてリンクさせたのかなぁ。終盤の義理でも偽物でも娘は娘だ!って父親として言うところ、お父さんな太一さんとダブって2つの意味でウルウルした。古田さんもお子さん娘さんだし。
入れ替わると、姿勢も歩き方も古田新太になる早乙女太一、凄すぎでは。猫背気味でちょこちょこぽてぽてよちよち歩く古田さんの癖を完コピしてた。殺陣以外で刀をどう扱うか、どんな仕草をするか、全部古田さんだった。長屋のみんなと「渡り大工だ」ってフォーメーション組んで真ん中で刀担いでしゃがんだとこなんて100%古田新太だったもん。早乙女太一が演じるキャラクターであれば八割くらいの確率でやる「頭を搔く」「首を搔く」が出なかった。たぶん銀次をやってる時ならやる可能性はあるけど、半兵衛になってる時はいつもの感じでは動かないからやらない。すごいなぁ。感動。
川原監督の役、ズルくない?(笑)時代劇に絶対出てくる用心棒の先生じゃん。ちゃんと笑いもとっていくし。総髪の二枚目でビジュアル100点満点。
今回は裏切らないのかと観客が油断した頃合を見計らったように裏切ったまさとさんも100点。
右近さんの登場ビジュもすごい好き。黒い狩衣で、烏帽子かぶって、長髪で顔に模様描いてて、あー!新感線を観に来てるなー!って強く感じた(笑)野獣郎とか阿修羅城とか、歴史ファンタジー色の強かった頃の新感線を観てる気持ちになった。終盤、歌の中で身支度整えるカナコさん右近さんに阿修羅城の闇の椿を思い出すなどしました(右近さんは闇の椿の身支度シーンいないけど)
タイトルが出ないまま話が進んで、まさかの一幕最後に早乙女兄弟が刀を合わせたシルエットでドーン!と出るとは。タイトルを背負うのは古田さんだと思ってたから、もう胸いっぱいで泣いた。入れ替わった状態だから半兵衛がタイトル背負ってるといえばそうなんだけど、演じているのは太一さんだし一緒にいるのゆっくんだし、なんなら物語の最後にもう一回タイトル出た時は完全に早乙女太一がどセンターで口上して見得してドーン!だから、また泣いた。カテコで古田さんを早乙女兄弟が挟んで立ってるの見てまた泣いた。夢みたいな景色だった。ありがとう世界。
銀次ごと自分の体を殺して、一生銀次として罪を背負って生きていくって決めるのめちゃくちゃ重い。やっぱり太一さんは背負わされる運命。義理でも偽物でも、愛する娘たちのために別れを決めて去って、追われ追われの生活を選ぶ。御用の提灯に照らされて同心や捕手に囲まれて舞台の真ん中に立つ太一さんは間違いなく主役だった。そして、あのラストには昭和の時代劇スペシャル味を感じずにはいられなかった。これからも彼の人生は続いていく、みたいな。エピローグ的な終わり方するやつ。最高かよ。
ずっと憧れていた師匠を倒して
追いかけてきた弟にもまだ負けないぞってとこを見せて
次こそ本当に太一さんが主演の新感線が見られるかもしれない。期待しちゃうな。いつか、兄を超える弟の物語も観られるかもしれない。かずきさん、いのうえさん、長生きして。
初日だから、台詞のテンポとか、殺陣の間合いとか、すこーし気になるところはあった。でも、早乙女兄弟がバチバチに仕上げてきてるので問題ない。おじさんたちは貫禄で押し切れる。千尋ちゃんの殺陣がもうすこし噛み合ってくるともっとカッコイイだろうなって思った。
粟根さんはいつもどうり脚本通り演出に言われた通りにやってるんだけど、成志さんがまぁーーーーー通常運転。今回は何もしないって言ってたのに蓋開けてみたら1番好き勝手してるように見えました。演出通りなところが大多数なんだと思うけど、終始楽しそうでなによりです。
煙突もりの隠れ竜
壱劇屋
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2023/08/31 (木) ~ 2023/09/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
すっっっっっごかった!!!!!
いろんな優しさと、いろんな強さがあって、みんなが大切なもののために戦ってて、あったかかったり痛かったり苦しかったり悲しかったり愛しかったり、最後にはみんな(若干1名を除く)が笑顔で前を向いて明日へ向かって歩いて行ける、竹村さんらしい素敵なお話だった。「みんなで仲良くしたい」とか「助け合う」とか「みんなで意見を出し合って話し合う」とか、きっとそれは理想だけど難しくて現実的ではないんだと思う。いまのこの世界でそれができたらどれだけいいだろう。でも無理で、無理だからこそ、舞台の上でだけは、物語の中くらいは理想を理想のまま言葉にしてあの世界で出来る限り実現してくれて嬉しかった。みーんな甘ちゃんだけど、それが良かった。竹村さんの作品は、キャラクターひとりひとりがみんな竹村さんで、そこがとっても好き。厳しくて優しくてあったかい。キマイラとドンのすれ違いも、ドンとジョ↗ジョ↘のすれ違いも、たまらんかった。
ネタバレBOX
ものすごい思いあってるのに、それがうまくいかない感じがもどかしくて、それをリーダーであるキマイラはちゃんとわかってて、でもキマイラはキマイラでちょっと不器用さんだからうまく伝えられない…たまらん!自分を慕う仲間のこと、めっちゃ好きじゃん!番犬としてカッコよくキメてるドンがキマイラの前ではちょっと情けない顔しちゃうのも「限りなく対等の兄弟分」みたいな感じで良かった。三位一体のバランスもとても良い。これが、絋ちゃんだったらどんなバランスだったのか…もっと上2人から見守られてる末っ子感があったりするのかな。石川くんは足でまといってほど弱い感じしなくて少なくともジョ↗ジョ↘は対等な印象だった。2人はお互いに「あいつはすごいな」って思ってそう。勝手に思いあっていた3人が、ちゃんと思い合えてからの動きの違い、胸アツ。
客席にいる私たちを同じ世界に連れていってくれる。客席までぜんぶ舞台にしてくれる。後ろを振り返れないのがもどかしい~!!!!すぐ後ろからおかむーさんの声が聞こえるとか、みんながすぐ近くの通路を通っていくのドキドキした。
雪男、おまえがビューロだったのか…めちゃくちゃ干渉するタイプのビューロじゃん、ていうかビューロって幻獣でも所属できるんだな。可愛い柏木ちゃんとカッコイイ柏木ちゃんが見られてお得感あった。衣装チェンジするのも最高。カッコイイシーンのあとでクスッとしてホッとできるちっちゃいモノ同士の絡みがあるの良いなぁ。物語全体が暗くなりすぎない。「雪男ーーーーー!!!!!…だれ?」好き。
黒ちゃんの真っ直ぐでキラキラな目が好き。九さんとタイマン(違)のシーンめっちゃ良かった。背中にチャックついてたからいつ羽化するんやろって思ってたらまさかのカテコで笑った。本編じゃないんかーい!モスラみたいなでっかい蝶になるのかな。
チョーチとぽんすけのシーンがとっても好きで、あったくてほんわかしててチョーチの優しさとぽんすけの優しさが舞台から客席まで溢れてて、幸せな気持ちになる。チョーチにはぽんすけの姿は釜を背負った狸にしか見えてないわけで、そんな狸を「息子に似てる」って思って一生懸命助けてあげてたチョーチ、優しすぎる。息子くん、たぬき顔なんかな。チョーチはゴリラって言われてるから、奥様がたぬき顔なんかな。ぽんすけに似てるから息子くん人形も西分さん担当だったのか!と納得しました。手を引いて歩く姿に独鬼を思い出した。
ロック爺、昔はイケイケな鳥だったんだな。不死に「俺と番ってことにしとけよ!」って言うくらい、不死のこと気にかけてたしちょっぴり好きだったろうし、長生きしたのは長命な種だったのかもだけど、なるべく不死のそばにいてあげたかったのかもな…なんて。
自分の半生を舞台化したものを観てたら途中で側近が側近役で出てきて思わず立ち上がっちゃうガジャタラミン可愛いな。その時の表情見たかった。側近のちょっとソワソワしつつ「ドッキリ大成功」みたいな嬉しそうな顔よかった。
ケンタウロス!超良い!まさか終盤のあの緊迫した場面であんなキョトン顔で出てくると思わんよ。彼こそ救世主(笑)状況わかってない顔してたけど、森が大変なことになってる間あんた何してたん(笑)
Wカテコで竹村さんが、五彩のときは集客で悩んだけど、1年たった今回は前売りで完売回が出て、1番残席ある回でも25席と、今までとは段違いで、むくわれたって話をしてて、東京支部ができる前から追っかけてきたファンとして本当に感慨深い。劇団員たちへの感謝、ゲストさんたちへの感謝をいつも口にする、優しい竹村さん。作品まんまの人柄。私の推し。
兎、波を走る
NODA・MAP
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2023/06/17 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ほんっとに、ほんっとにさぁ、野田はさぁ…なんでこの内容で休憩無し2時間ちょいに収められると思ったのか!収まってるけど!収まってるけども!確かにどこで休憩入れるのよ、とは思うしコレは休憩なしで駆け抜けた方が絶対いい芝居なんだけど!情報が多い!頭フル回転!見終わったあとの疲労感!ああー…野田作品観たなー…。
ネタバレBOX
なんにも情報入れずに観て、今回のテーマとか扱ってる題材とか、なんにも知らずに観て、不思議の国のアリスだってことだけは知ってたけど後は何も知らないまま、前半は楽しく笑ってたのに、後半どんどん不穏になって、あれ?これって…と気付いてからは坂道を転げ落ちるみたいに自分の知ってる現実の情報と作品の中に散らばった情報が繋がりだして、ついには決定的な名詞が出てきて、逃げ場を全部潰されて目を背けることも出来ずに突きつけられて、言葉でボッコボコにされた。もうニュースで聞くことも、SNS上で目にすることも少なくなった「北朝鮮拉致被害者問題」…それが野田の書く不思議の国のアリスの物語。アリスの母親は被害者家族、兎は亡命してきた元工作員。もう、2人ともいない。「時」ではなく「一生が過ぎ去ってしまった」という台詞の重さ。あの人はもう、亡くなってしまった。北朝鮮に自分の娘が今も生きてるかもしれないのに会えないまま。
38℃を超える高熱で見る夢、みたいなシーン。カエルやらエビやら双頭の白狼やら、造形がめちゃくちゃ好き。異形のサーカスみたい。
大倉さんの膝の上で腹話術人形になってる野田さん、サイズ感もだけど動きがマジで人形だった。
直接的ではなく、におわせる動きや台詞の塩梅が絶妙。日本人が共通してもつ北朝鮮へのイメージ(パレードなどでの行進)北朝鮮拉致のうっすらとした知識(めぐみさんが海の近くで拉致された、は1番ニュースで取り上げられてきたし、工作員育成などに関わっていたという話もふんわりと知ってる)を少しづつにおわせて観客が「ああ、確定だな」と思ったタイミングとドンピシャで確定情報を出してくる。野田には観客の心が読めている。恐ろしい。
野田さんの戯曲はさ、いつも「怒り」「憤り」を感じる。
赤い服にヘルメットのこちらからあちらへの亡命者ってのは「よど号ハイジャック事件」の犯人たちですね。なんとなく昔、テレビで見た記憶がある。
ググッてハイジャック事件の経緯と、現在の犯人たちがまだ数名現地に残ってることを知った。遠い昔のことだけど、当事者がまだ生きている、生々しい記憶でもあるんだな。
フェイクスピアもそうだったけど、えぐるよね、野田さん。「忘れるな」と言わんばかりに。
松さんのエネルギーがすごい。全てのものをなぎ倒していけそうな強さを感じる。腕一本で森を更地にできそう。
対する一生さんも舞台上でのエネルギーが化け物みたいな人だから、それらがぶつかり合って絡んでうねってどんどん膨れて弾けてしぼんでいった先に1粒の小さな小さな希望というか願いを残すようなラストが素晴らしかった。
あれは祈り願い希望だと思うんだけど…違うかなぁ…あー…違うかな…うーん…まだ終わってないぞ、続いているぞ、という示唆だったのかな…
あんなに前半笑ってたのに、後半でめちゃくちゃ殴られるから、楽しかったー!とはならないのよ。でも、演劇として面白い。だから全然ハッピーな気持ちになれなくてもみんな当日券にならんでまで観るんだろうな。
刀剣乱舞 月刀剣縁桐
新作歌舞伎『刀剣乱舞』製作委員会
新橋演舞場(東京都)
2023/07/02 (日) ~ 2023/07/27 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
開演前に従者のおふたりは3階席まできてくれて、今日の近侍を聞きその近侍を連れてきてる人に非売品の千社札をあげてた。
原作ファンも歌舞伎ファンも楽しませようという気持ちが開演前から伝わってくる前説。
三条宗近が三日月を鍛刀する場面から、三日月宗近の登場。照明があたって舞台上で動く三日月松也めちゃくちゃカッコイイ。せりあがってくる他の五振りもたまらん。源氏兄弟ぴったりすぎる。膝丸の声音が高いのにちゃんと男の子なところが「弟」っぽくて良い。2人とも女方役者さんってとこがミソなのかな。歌舞伎本丸の小狐丸は野性味強め。
普通に歌舞伎。いたって真面目に歌舞伎。舞の場面もあって、100年後に古典と呼ばれる作品にしたいって思いを強く感じる。なるよ、後輩たちがきっと再演してくれるし、派生作品も出来る。
紅梅姫が三日月を慕っていて、叶わないとわかっていても想いを伝える甘酸っぱい場面、良すぎでは?舞台全部使って庭を作って盆回してぐるっと庭を見せる演出が好きすぎる。
源氏兄弟をきまるときは必ずセットにしてくれてるの最高。衣装も鬘もほんといいなぁ。源氏兄弟ショートブーツなんだよ。兄は3cmくらいのヒール、弟は1cmくらい。天才だ。
小狐丸と三日月は元の装束がほぼ和装だからあんまり変化は感じないけど、一幕最後に裃着てる三日月出てきたの滾ったわー。新衣装じゃん。
小烏丸の足元どうするんだろうって思ってたけど、袴じゃなく着流しにしたんだね。たぶん女方の体の使い方してる。←着流しにしてたの宴のシーンだけ?二幕で出てきた時は袴履いてた。くつろいだ格好ってことなのかな?
源氏兄弟のご注進ズルくない?片肌脱いだら中に紋散らし着ててしかも白黒でどこまでのお揃いなの最高なんだが。
ネタバレBOX
滝壺で戦う三日月と義輝、曲が雅やかで、それがまた悲しくて、美しかった。セットが開けて盆を回すのも派手な歌舞伎見てるなって感じで良いし、義輝の最後、おそらく三日月であろう手に持った刀を地面(岩っぽいけど)に突き刺して、そのまま後ろに倒れ落ちていくのは、あんなん全オタク好きなやつだし、歌舞伎すげぇってなるやつ。
マッシュル-MASHLE- THE STAGE
「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE製作委員会
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2023/07/04 (火) ~ 2023/07/11 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ステージ、といいつつほとんど歌いっぱなし。ミュージカル。戦闘シーンも日常シーンも歌の中で進んでいく。普通の会話のシーンはかなり少ない。
国際フォーラムなので音楽に特化したホール?なんです?よくわからないけど。アンサンブルさんたちだけの歌や、岡様は言わずもがな、数名のキャストは聞き取りやすかったけど、メインキャスト何人かで歌うと急に聞き取れなくなる。たぶん、役を入れて歌ってるから芝居が強く出ちゃってるのかな。ラップとか速いテンポの曲はしんどそうだったな。
佐々木くん、私はこの方を宗三でしか知らないので、こんなに歌声が強い方とは...初めて知りました。個人で出してる曲もしっとりしたのをチラッと聞いたことがあるだけだったから、OPで歌い出した瞬間おったまげた。登場した時の「きた!」ていう帝王みたいなオーラすげー。
ずっと歌だからどこからどこまでがOPなんだ?ていうくらいタイトル出るまでに詰め込まれてて、切れるとこは切ってダイジェストでぎゅぎゅっとされてて、タイトル出るまででお腹いっぱい。ガチガチに踊れる人達が揃ってるから、舞台上のレベルがバカ高ぇ。さすが今人さん。梅棒はまだ観たことないけど、なるほど、ノンバーバルでダンスで物語を作る人が芝居を作るとこうなるのかって感じ。
ネタバレBOX
1番楽しみにしてた「推しが推しのつけたアクションをする」は、たぶんあんまり無かった。基本的にアクションしてるのはアンサンブルさんたちで、メインキャストは遠隔操作系の魔法使いだから、ガッツリ戦ってたのって矢印のとこくらいだと思う。剣🆚拳。推しは重力魔法を使うから、物理攻撃しないのよ。残念。しかも全編通して1番微妙だなと思った戦闘シーンだった。泥、その布でいいの?小劇場じゃないのよ?わかりやすいけど、暗めの舞台上に茶色の布じゃ目立たなすぎて攻撃がわかりにくい。使える人数が劇団とは全然違うから、考えに考え抜いてこうなったんだろうとは思うけど、セコンズは必殺技みたいなことなのに、布釣り上げて映像投影して左右の布をかわりばんこに動かすだけで良かったの?りょがくんのセコンズで柱が4本出てきたのは「おお!アニメで見たやつ!」てなったけど、ここはアニメみたいに技の説明をさせてあげてほしかった。履修してる前提の演出だった。なんで泥が負けたのかあれじゃ伝わらない。「四方の重力に引っ張られて泥は四散する」って言わせてあげて欲しかった。主人公戦じゃないからあんまり時間使えなかったと思うけど、うーん、なんかなぁ。
Pickaroon! -ピカルーン-
壱劇屋
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
全日程のうち一番最初に完売した回。
メインキャストを全員劇団員でやるっていうファンからしたら夢のような企画。
OPからめっちゃ気合い入ってた。名前札出たとこで力石が気合いの声上げててテンションあがったわー。
メインキャスト中、虎飛以外は再演キャストなんだよね。で、半分以上がAキャスト。一昨日Aを観たばかりなんだけど、たった1日あけただけで、しかも昨日はBキャスの日だったはずだから本番なかったのに、またぐぐっと深化していた。
今日千穐楽でしたっけ?ていうくらい全員のテンションが高かった。1回きりの特別キャストだから、初日で千穐楽みたいなものか。そりゃ気合い入るわな。その気合いが空回りすることなく、しっかりひとつひとつ積み上げていた。角にいがちょっとふわっとしたように見えたけど、一瞬で立て直してた。さすが。もう心配になることない。
ネタバレBOX
日替わり賊、竹村晋太郎あらため竹村の母、カツヨ🤣スーパー玉出のエコバックから七賊晩餐で使ってる肉🍖を取り出して七賊を次から次にブン殴っていく無双ぶり。今回も伊武の能力が発動して佐久間登場!便利!変容用の似顔絵もしっかり佐久間仕様でした。サザエさんの時に着てたオカンの格好にパーマのウイッグしてるんだけど、スカートがめくれないように片手で抑えながら飛んだり跳ねたりしてたの可愛かった。後ろでボコられた劇団員たちが休憩モードで楽しんじゃってるのも良かった。オカンの格好、完全シークレットだったらしく、出てくる人みんな動揺しまくり。ゲラの西分さん、己の胸を叩いてしっかりしろーってしてた。竹村さんと割としっかり戦っちゃった佐久間様、その後すぐ出なのにちょっと疲れてて客席くすくす。勝又「なんか疲れてませんか?」佐久間「詮索かね」のやり取りがスっと出てくるの最高。
AのペアはA、BのペアはBじゃなきゃ!ってくらいどちらもしっくりきてたから、ミックスされる壱劇屋回どうかなって思ってたけど、全く違和感がない。はじめからこのメンバーでしたけど?ってくらいに息ぴったり。AのいいところとBのいいところを足して膨らませました!って感じ。
佐久間様の顔が濃くてモテないってくだり、佐久間様が韻をふみ始めて、ラップしてました。向上委員会でラップが好きって言ってたなーって思い出した。
ガウガウサッカンストリーム。角兄が深夜に考えてきたやつだったらしく、グダグダっとして終わってたので、ちょっとした事故(笑)
B御姫が壱回の御姫もやってるんだが、最後の砂浜で「みんないなくなっちゃった」て言ってる時あんなに泣いてたっけ?っていうくらい泣いてて、そんな御姫としっかり目を合わせて「それでいいの?」ってもらい泣きせず言えた黒ちゃん偉い。あそこはね、泣かない方がいいのよ。泣いちゃってもぐっとくるけど、私の好みは泣かない。そして、後ろで見守る七賊。今日は出てきた時から角が半泣きの顔してて、飛と紙研が徐々にうるうるしだす感じだった。
船で送り出すときの飛ちゃんの台詞めちゃくちゃ真っ直ぐ強く胸に刺さった。ありったけの願いがこめられてた。
七賊バトル、心なしかいつも以上にみんな楽しそうな顔してた気がする。良きかな。紙研🆚伊武以外は今日だけのペアだもんな。
A力石とB由良がペアだと、完全に由良がお兄さんぽくなるの面白い。それぞれのチームだと同レベルに見えるのに...やっぱAは小学生なんだよな(笑)
力石の鉄板ネタ「あれくさ、へいシリ、おっけーぐーるぐる」が見れましたよー!懐かしー!角はぶいーん🌀だった。
一家団欒中だ!の時の一体感ぱねぇ。そして男虎の「あの時死んでたんでしょ?!」を聞いてる時の七賊の表情...やり取りで察して、特に何も聞かず自然に受け入れるのがさ、なんだかんだいってずっと一緒にいた仲間なんだなって感じてぐっとくるのよ。伊武から聞いてる時間は無いはずだから、あの佐久間とのやり取りだけで「そうか」ってなってるんだもんね。あとは御姫が虎を呼ぶから、御姫が受け入れるなら俺達もそうする、みたいなとこもあるのかな。
勝又が心を決める瞬間を見た。めちゃくちゃ動揺しているところに佐久間の「全ての民に等しく安定をさずける者だ(意訳)」を聞いて、ハッとしたような顔をする。どんなことをしていたとしても、佐久間様が目指すのは安定した社会と民たちの平穏なんだって思って心を決めたんだろうなー...直後に刺されてしまうのだけどね。倒れたあと、すがるように伸ばした手が切なかったし、目を開けたままの死に顔、綺麗だった。
人間味は岡村佐久間のほうが感じるな。表情豊かだからかな。ちゃんと苦しんだり焦ったり怒ったりするんだよね。
伊武、1回声出さずに「はしれ」ってしてから改めて「はしれ!!!」って叫ぶの、変装しないで声出すことないから最初は出ないけど、御姫のために振り絞ってるんだよね、泣ける。最後に笑顔でサムズアップするのも泣いちゃう。
力石の「待て!」が完全にヒーローのトーンでかっこよすぎる。
アクションモブしてる竹村さん、レア過ぎてなんか違和感(笑)はじめて?いつもメインキャストじゃん。剣もって佐久間に怯える演技をしてるのも、紙になって飛び回ってるのも、なんてレアなものを見たんだろう。
カテコで絶対立つって決めてました。もちろん素晴らしかったら、の条件付きだけど。で、素晴らしかったので立ちました。私が1番になったとしても、最前が立てば同じ気持ちの人が立ってくれると思ったから迷わず立った。同じ気持ちの人たくさんいた。一緒のタイミングでみんな立ってた。
おかむーのカテコ案内をはじめて見るAキャスの面々があっちこっちでザワザワしてて「おかしくない?!」ってなってるおかむーさん可愛かったし、「MCうまくないんですね」て煽るこばーんに大喜びの劇団員一同(笑)「薪焚べるわ」と言い出す西分さんと後ろでやれやれー!って飛び跳ねる藤島さん。最終的にみのりちゃんの「あんたが言うな」で収まりました(笑)
柏木虎の動きがまた一段と素晴らしかったと思うのだけど、なんか、ね、凄かったよ。デカイ男たちを相手に小柄な虎ちゃんが無双していくの超かっこいい。対伊武の時は「専門同級生対決やん!」って滾った。
アフイベあるのにカテコで喋りまくって「タイツあるから!」って何度も言う。言うくせにまた話が盛り上がっちゃう。ずっとダラダラしゃべってられちゃう壱劇屋さん。好き。
Pickaroon! -ピカルーン-
壱劇屋
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
勝又、紙研、角、伊武が続投なのでかぎりなく再演に近い雰囲気。みたまお飛からは再演の智ちゃん味を感じた。憎んで恨んでるのに、心のどこかで角を想ってる?それを自覚してるようにも見えた。
ネタバレBOX
最後、七賊の声援を受けた御姫が何度も何度も涙を拭いてて、見守る飛と紙研も完全に泣き顔で、角もうるうるしてて、熱くて優しい家族。そう、なんかいちいちアツイ(笑)三馬鹿が小学生みたい。
初役陣でうわー好きーってなったのは佐久間様かも。軽い。軽いのに、怖い。底が知れない。勝又を殺す時に強く肩を叩くところとか、自然に勝又を呼んで死体を確認して「あ、そうか」ってなった時の少し寂しさを感じる表情から一瞬で気持ちを切り替える所とか、自害を選択するのも追い詰められてじゃなく計算して予測して何パターンも考えて突破口が無いってわかったから諦めて自分でおしまいにしたってのがヤバい。男虎から目を逸らさず牽制しながら左指でこめかみをトントンってして予測して、すっと構えをといたかと思ったら笑って躊躇いなく首を斬る。おかむーさんの佐久間は多少なりとも佐久間自身の欲を感じてたけど、Aの佐久間は自分を「人間だ」と言う割に人間味が無い。石川勝又と比べて藤嶋勝又は佐久間のやり方に賛同するまでの躊躇いが短い。決断が速い。あとあれ!戦い方が素直だーのとこの股に銃剣はさんで手首ぐるぐるするやつ!この動き好きだから残ってて嬉しい!
こばーん角はブレねぇな。気持ち悪い!でもね、飛と御姫を守って戦うシーンはついついカッコイイって思っちゃうんだよ。動悸は不純なのに。悔しい。ぶっ刺されて倒れた直後に人間とは思えない動きで起き上がって「はぁ?!?!」て言うの、こっちが「はあ?!?!」ですが?!?!こばーんさんのあの動きは何度観てもすげぇわ。さすがにショックを受ける妹(仮)たちに「大丈夫だ。全然きいてねえ!」って言うのもちゃんとお兄ちゃんなんだよ。そうだ、この人は本気で兄弟愛が至高だと思ってるやばい人だったって再確認するシーン。かっこいいのに気持ち悪い。情緒が迷子。
伊武にインタビューするシーン、まさかの伊武が出てこない。ロビーの方バタバタしてたからひょっとして御手洗いってた?物販の方なんか心配だった?日記担当がひっこむけど伊武がスタンバってなくて、御姫が「いぶさーん。...いぶさーん!インタビューしたいなー!」幸いすぐまた日記担当に入れ替わる芝居だったから機転をきかせて出てきて音響さんと照明さんも合わせて、次の特別な筆の流れに。その間に袖布が大きく揺れてセット裏に伊武の姿が!次の入れ替わりでは無事に出てこれました。その後の夕食準備シーンで先輩たちから何度も引っぱたかれる日置(笑)出とちりだから、これは仕方ないね。このシーンで良かったよ。
日置くん剣を持つと強い動きなんだけど無手のアクションはまだ勉強中って感じかな。体が大きいからものにしたらめちゃくちゃ映えるだろうな。でも、日置伊武は栗田伊武ほど武闘派の空気がないからちょっと弱そうくらいで丁度いいのかも。なんで賊なんてやってるのかわかんないくらい良い人オーラ出てるもんな。日置伊武の「走れ!」良き。私が日置くんを好きになったのが再演ピカルーンだから、思い入れあります。
紙研さんの「うるせえ!一家団欒中だ!」がめちゃくちゃかっこよかったし、一家集合してる感めちゃくちゃ感じた。
燃える紙研さん、やばい。
男虎の刀ぶっ刺さり瘤、柏木ちゃんほど違和感がないのは体格の差?
A男虎が1番表情変化あるかも。ラスト以外でも御姫に対しては微笑んでたような気がする。喋り方は竹村男虎寄りなんだけど、キャラの精神年齢はそんなに低く見えなかった。喋りなれてないから話すのがたどたどしい、みたいな印象。メインキャラで舞台に立つの今回が初めてってマジ?アクションすげぇ。見た目の柔らかさに反してめちゃくちゃ動ける。
アクモブのなかで柏木ちゃんだけ茶髪だから見つけるの簡単。謁見シーンにはいなかった、と思う。淡海くんが言ってた台詞は別の人だった。...アクモブ、単純に同じ動きではないということ???ヤバくない???男虎にかかる絡みに柏木ちゃんがいると「男虎バトルだ!」とワクワクしちゃう。気付くといなくなってる。
御姫、あの異国でシイラさんに再開して楽しく過ごせるといいな。日替わり賊がいることで「異国」が出てくるのが自然になるし、行った先に御姫を知ってる人がいるかもしれないっていう希望にもなるの良い。昨日のきゅうりだって、きっと力になってくれる🥒
由良と御姫が話してる奥で何か箱をもってきて鍵を開けようとするんだけど該当する鍵が見つからなくて「こっちだー」「こっちだったー」てのをえらい楽しそうにやってた淡海力石。続投組の衣装って再演と同じ?淡海力石の向かってくる民を観て悟ったような顔をするのと、これでいいんだって晴れやかに笑うの、大変良い。しんどい。力石🆚角のスピードがえぐい。こばーんさんの身体能力に目が行きがちだけど、淡海さんもかなりすごい。殺陣好きすぎる人だからなぁ。
殺陣がすごいといえば、飛よ!憫笑姫が初殺陣だったはずで、その時も序盤で足を痛めてしまったから100%だったのは最初の数公演だけだったけど、初日に観たエラの動きとても美しかった。そして今回の飛!いちばん長く戦う相手が身体能力オバケのこばーんですよ。全然負けてない。完璧に円刀を使いこなしてる、体の一部。台詞しゃべってるの初めて聞くけど、声優さんもやってるんだよね、だから声音の使い方も上手い。みたまお飛、超かわいい。ゲームの場面で角に先行でいけ!って言われて本気でうわーってなってたみたまお可愛かった。角に対しても「違うんだよなー」ってダメ出ししたり強い💪そして巻き込まれる御姫(笑)「もうやめようよぉ」って言ってた(笑)Aのほうがアドリブっぽいシーン多いと感じた。たまたま今日の回がそうだったのかもだけど、お姫に名前呼ばれたい由良と力石が残るところ、御姫のOKが出なくて苦しむ力石と抜けがけしようとしたけど結局ビリで呼び捨ての由良。
御姫の小指が可愛いのシーンでBは御姫が自分で足を上げてくれてホントだーってなるけど、Aは他2人がぴょんってシンクロして足を見るし、メロメロな声なのがおかしい。「太った?」への「「「最低!!!!!」」」がめちゃくちゃ強い(笑)こっちチームにはお母さんがいるからな、女が強い。
Pickaroon! -ピカルーン-
壱劇屋
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初演再演とは男虎紙研勝又を演じる役者の性別が違うチーム。虎ちゃんはたぶん男の子なんだと私は思った...女の子でも良いけど、キャラ設定的には男の子の方がしっくりくるかな?
紙研さんは男性になったことで逆に女性的になったのが意外だった。細くて、病的な感じがして、でもここぞというときに出る勇ましい声は男性キャストだからこそ。
続投キャストは佐久間様だけ。安定してるけど、少し変えてきたかな。
ネタバレBOX
御姫と男虎が並んだ時、サイズ感が同じなのめちゃくちゃ可愛い!たけむさんの男虎は「筋繊維が異常で成人男性5人分の体重」て言われてもすんなり納得できるんだけど、柏木ちゃんだと見た目とのギャップでバケモノ感がすごい。メイクも好きー!武器が、今回から普通の刀じゃなく柄も鞘の一部で全部外して、パラデュールでフィルの持ってた暗器に近い形状になる。だから手袋してる。そして固定されてないから柄のある状態で振るときは吹っ飛ばないように日本刀でいうところの鍔がある部分を握ってた。柄を取り外して口に咥える時の目が最高。超怖い。たけむさんの虎ちゃんは舌っ足らずというか、体と心の年齢がチグハグな役作りだったと思うんだけど、柏木ちゃんはしっかり喋る。でも、抑揚はない。これはあえてつけてないのか、柏木ちゃんの癖なのか...。最後の刀ぐさぐさなの、もっとバーン!って見せて欲しい感じある。あと、刀たちを自立させるために土台がしっかりしすぎてて急に男虎が傴僂みたいになるのは違和感あって残念、でもまぁ、難しいよなぁ。
御姫がさー、初演再演に勝るとも劣らない可愛さだった。完璧少女だった。純粋無垢。
3代目力石の声がめちゃくちゃ良い。なんですか、力石は舞台映するええ声の人がキャスティングされる決まりがあるんですか?竹下→淡海ときて、今回もよく通って良い声。叫びが良い。町人を斬ってる時、御姫が逃げる時が稼げれば町の人達に殺されてもいい、殺されようと思ってる節さえある。最後の笑顔が辛い。
角のことあんなに憎んで恨んでるのに、目の前で自分と御姫を守ってボロボロになっていく角に思わず手を伸ばす飛がしんどい。角が2人を守るのは歪んだ愛ゆえで、“自分が殺したいほと愛している妹だから”守ってるんだけど、飛が手を伸ばすのはさ、なんか憎しみもあるけどどっかで絆されてる感じもあるのが、角兄の罪なところだわ。ともちゃん、ぶんさん、ときてのみのりちゃん飛、妹の存在とか感情の爆発の仕方が少し物足りないけど、パラデュールでもったいないと思ってた芝居と発声は違和感なかった。可愛くて、でも妹のことを背負ってて、複雑な表情してるの良かった。最後のお姫へむけた舞も美しくてねー。
七賊みんなが最期に笑顔を見せるのしんどい。あ、男虎は最後バッタリ倒れてしまうから表情は見えないけど、ラストの「がんばれー!」で優しく笑ってくれる。
日記を御姫に渡す時、由良が頭ぽんするのたまらん!力石に対してもすごいって認めてるからこそ負けられないって思ってる感じが良い。
やっぱ勝手に終わらせる佐久間のことは許せない。
石川くんの勝又よかったなー。この先、東京支部を芝居でひっぱっていく存在になると思ってる。台詞も表情も良いんだよ、安定感がある、安心出来る。勝又って役が石川くんのニンってのもあるかも。伊武が勝又を出してくるの、性格悪いけど最高だよね。やったれ!てなる。
角は、こばーんのなんか憎めないお馬鹿ってのとはちょっと違って、うまく言語化できないんだけど、まだ私の中でしっくりきてない。みのりちゃんとの相性はいいと思う。でも、角としてあんまりしっくりきてないのは、あまりにもこばーんのぶっ飛んだキャラクターが強いからなのかな。よりリアルではある。
台詞慣れしてない八上黒田の2名、黒ちゃんは柏木ちゃんから大事な役を引き継いでますから、頑張っていただきたい。素直なお芝居をする子だから、たぶんすぐうまくなるとは思うけど、いかんせん台詞を喋るのはもちろん役者としての発声もおぼついてないから、先輩たちから良く学びたくさん盗んでもらいたい。こうちゃんは、パラデュールの時マジでヤバいと思ったんだけど、今回そこまで気にならなかったな。オールモブで長文の台詞が無いからかもしれないけど、聞き取りやすくなってたと思う。成長してる。
戦闘シーンは淡海優を探せタイム。最初の方と最後の方にちょこっとずつ出てるかな?基本いない。どうしても人が足りなかった所があって追加で入ってる感じなのかな。あ、天子の間で台詞喋ってたな。
由良が力石の義賊活動を「俺には出来ねえ」って話してる後ろで、1枚ずつ小判を出しては「どーっちだ?」ってしてる力石。なんか、初演再演では感じなかったんだけど、今日力石に初めて偽善者って感情を抱いた。これが演技プランなのかわからんのだけど、貧しい人達のために100%の善意ではなく、施しをしていることへの自己満足や自己陶酔みたいなものを本人の自覚あるなしではなく感じた。
栗田伊武の「走れ(逃げろ?)」は囁きに近いのが今までの伊武と違って印象的だった。おかずさんも日置くんも声張ってた記憶なので、あえて大声を出さないというのが刺さった。御姫も初めて伊武の声を聞くのがあそこなんだよな...最初で最後の声か...。御姫に筆を渡そうとしたのは武器として託そうと思ったからだろうけど、思いとどまって御姫がひとりで歩けるように背中を押すために使うってのがさ、優しいよ。御姫の辿り着いた先に先回りしてるのいつも不思議なんだけどね、その国の人っぽく最初出てくるし。あの筆で描いたものだけは、色が着く。
話を聞く時の顔=黒ちゃんが、「なんでも話してくださいね、なんでも聞きますよ」って側仕えとして言うの、あー!これー!伏線ー!ってなった。前見た時も気付いてたかな...。
私は、七賊死亡エンドだと思ってて、あの状況で生きてるわけない派なの。明確に死んだとは書かれていないし、御姫の持ってる日記には七賊の結末まで記してあるはずがないから、あれは...あー...船の上で御姫が最後に書き残したものなのか?香で眠ってしまう前に。だとすれば、逃げろって背中を押したところまでしか知らないのは説明が着く。その後の笑顔や倒れる七賊は御姫は見てない、見てるのは私たち観客だけ。やっぱり、死亡エンドだよなぁ...つら...。
パラデュールを経たことで、ピカルーン内の台詞もいろいろと考察してしまうよね。佐久間の帰国子女ってがピカルーン段の海の向こうって意味なのか、段をこえて戻ってきたという意味なのか。宗教で人心を掌握する、まさにヨナ教のような思想ですがなにか関係があるのだろうか。この国が出来た時から仮初の天子を祀ってきた、佐久間はその最初から関わっている?どれほどの歴史があるのか?御姫が辿り着いた先は同じ段の世界なのか、別の段に辿り着いているのか...謎は深まるばかり。男虎とフィルの武器が酷似した点、不思議な力をもつ筆と五彩の白は関わりがあるのか(白の筆に「1度だけ」の縛りがあるかは謎、でも倒された主人公ズは復活させられないからおそらくそう)
紙研さんが太陽に焼かれていくの、惨いよね...好き...炎の赤布が肩にかかってくるの痛々しい。
佐久間と伊武、舞台ツラから飛び出してくるな(笑)客席に手を伸ばして紙研さんに「その先には誰もいない」って言われる伊武さん(笑)
ミュージカル『刀剣乱舞』~花影ゆれる砥水~【福岡公演中止】
ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
立川ステージガーデン TACHIKAWA STAGE GARDEN(東京都)
2023/06/03 (土) ~ 2023/06/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
悪名だかい立川どんなもんじゃいってな気持ちでA席とってました。視界の良い3階正面1列目。なんと手すりが舞台にかぶらない!全体が観れるし表情もまぁわかる。肉眼で全景を観ながら「あ!顔観たい!」と思ったらスクリーンで確認できるという贅沢さ。…まぁ、せっかく現地にいるからスクリーンじゃなく肉眼で舞台を観たいんだけど…ついついねぇー見ちゃうよねー(笑)
小竜景光本刃が舞台上で喋って動いて戦ってるってことが感慨深い。フルパワーの小竜を生で観たの初めて。長田くんも体幹オバケなのかな。殺陣で全く動きがブレない。素早いしターンも綺麗。マント捌きも流石。江水の時はまだ練度も低くて兼さんやまんば先輩に助けられていた小竜くんが、今回は助ける側…というか、舞台全体を見てやるべき事をやるべき時にやっているのがね、素晴らしい。いつもニコニコ可愛い小竜くん、てだけじゃなくて、掴みどころがない底の見えなさ、みたいな部分も出してきて、こりゃあヤベェや。素敵すぎる。
長谷部の顔が良い。歌が上手い。殺陣もビシッとキマるしダンスもカッコイイ。長谷部のドヤッて感じが出てて良い。初日カミカミだったらしいけど、台詞聞き取りやすかった。
序盤、芝居のテンポがもうちょい上がるといいなぁって思った。なんかもったりしてた。キャラクターを大事にした時にマイペースな喋り方するキャラが多いからかな。
唐橋さんはどうしてあんなにさらけ出せるんだろう。全てをさらけ出しているようで、何もかもを包み隠しているような、不思議で魅力的な芝居をする人だ。
刀を扱う時の本当に大切にしている「神様」として扱っている感じ、刀狂い、鬼丸との縁。研水、本水だったね。鼻歌交じりに刀を組み立ててる様子とか、可愛くてねー。ほわっとしてたと思えばピリッとして、人間の多面性みたいなものを全く違和感なくシームレスに行き来させられる。すごいや。
鬼丸が秀吉に名前を聞かれた時、隣に座ってた小竜くんが心配そうに見上げてたの良かったなー。なんか変なこと言ったら即止めなくちゃ!っていう気配を感じた。
太鼓叩いてる歴史上人物+カゲに目がいっちゃって前で踊ってる男士あんまり観てられなかった。小竜からファンサもらって嬉しそうにしてる唐橋さんは見ました。可愛い。
劇団朱雀 祭宴
劇団朱雀
かめありリリオホール(東京都)
2023/05/19 (金) ~ 2023/05/31 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
最高に楽しい初日だった。幕が閉まると幕内からもハイになったメンバーの「フゥー!」が聞こえてきて、舞台も客席も全員が楽しんでて、素敵な空間だった。
Cafe キャッテリア
Stray Cityシリーズ「Club キャッテリア」製作委員会
ステラボール(Stellar Ball)(東京都)
2023/05/12 (金) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初ステラボール観劇。
2階席、ほぼVIP席。座席ゆったり、足元広々、ドリンクホルダー付(シャンパングラスライトを逆さにして入れるとピッタリ)舞台より少し高いくらいで距離も遠くない、涙の有無はわからないけど表情はちゃんと見える。
キャットタワーをイメージしてるであろう舞台セット、あちこち階段だらけで、しかもそこを登ったり降りたり飛んだりめっちゃする。足腰大丈夫か...ステアラみたいだな。
アンサンブルの黒服さんたちが白服に1人ずつついて細かいことこちょこちょやってるのがとても可愛かった。
「嘘だらけのホストの世界で嘘がつけないクロがNo.1を目指す」という物語が「全てが虚構の演劇界で真っ直ぐがむしゃらな若手が主役を目指す」という現実とリンクしているようにも感じられる脚本が、好き。嘘が付けないクロっていうのがさ、凌雅くん確かに嘘苦手そうだし。客の望む理想の姿を演じてみせる、全部嘘だって言うのが笹森くんなところも、なんとなく意識が高くて自己プロデュース力ありそうなイメージだったから私の中でビタっとハマってた。私たち客は理想の姿を彼らに見る、それを汲み取って求められる姿を彼らは見せてくれる、お互いに嘘だとわかってて成り立つ世界。ほんとにね、そうよね。かが屋さんの脚本天才じゃん。まっきーの「No.1の席はひとつしかない。そこを目指し続けることは苦しく大変で、疲れる(意訳)」て台詞が重たかった。
ひとりひとり本当の姿というか、本音を話すシーンがあるのも良い。
ネタバレBOX
まっきーが集めたメンバーすごいよ。やばい。芝居がめちゃくちゃ良いじゃん。ホスト×ネコ、てコンセプト発表された時は「見てて恥ずかしくなっちゃう話だったらどうしよう」って思ってたけど、ほんと失礼な話でした。プロが揃ってそんなお粗末なものが出来上がるわけがなかったし、荒牧社長がそんな中途半端を許すはずがなかった。ストーリーは、言ってしまえばありきたりかもしれない。ミケの様子は初めからなんか変だったから、ドーシャのスパイでめっちゃ悪いやつなんかな、とか勘ぐってた。でも、ブルーの匂わせ台詞で「あー...そっちかぁ...しんどいなぁ~」って。友情、仲間、信頼、みたいな部分がクロミケのテーマなんだろうな。
その若い2人と支配人2人が対になってるのがまた面白い。完全に後継者じゃん。こうやって続いていくんだなーこの世界は。役者もそうだよね、繋がっていくんだよね、先輩から後輩へ、世代交代していく。まっきー社長はそういう部分も考えてる人だし。30こえると先輩方はそのへん意識し出すよね、ほんと偉いと思う。
立花くん、序盤は完全に悪者オーラ出てるのにキャッテリアで働くってなってからずいぶん砕けて優しくなったと思ってたら支配人同士めっちゃ仲良いって最高かよ!クロママにお世話になった2人(主にまっきー)がクロママの敵討ちでミケパパの店を潰して自分の店を建てたってことよね。でもミケの実家は落ちぶれたわけじゃないっぽいから他にもたくさんお店やってんだろうな。
ミケ、金持ちのぼんぼんってのが納得しかない品の良さ。いつも食べてる緑の何かって結局なんなんだろう...。ミケとクロの友情もすごくギリギリのバランスで、それが崩れてしまう瞬間とか、新しく関係を築いた時の空気感とか、ものすごく丁寧に丁寧に芝居を作っているのが感じられて良かった。雨のシーン、音や光の効果はもちろん入ってたし綺麗だったけど、それを抜きにしても、上下からとぼとぼと出てきたミケとクロがズブ濡れで髪の毛や顎先から滴る雨粒まで私には見えた。二人が本当に雨を感じて芝居してなきゃこんな風にはならないと思うから「芝居の力」に震えた。嘘がつけないクロがミケのために「優しい嘘」をつこうとするシーン、最初はクロがまた勘違いしてすれ違ってしまうのかと思ったけど(だとしたらダルいな、とも思った)ミケが自分から離れやすいようにわざと悪態をついていたんだね...嘘がつけないのに...優しい子だ。「離れても変わらないよな」がさぁ、ほんっと純粋で、あんな夜の街にいていいのか心配になるよ(笑)
田中涼星くんと立花裕太くんの女装まで見られると思ってなかったので、なんかすごい満足感ある。おなかいっぱい。立花くんのギャル、やばい(笑)涼星くんの「白ってな200色あんねん」爆笑。アンミカははずさないねー。
PARADURE -パラデュール-
壱劇屋
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/04/22 (土) ~ 2023/04/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
キャストが変わるとこんなにも違うのかと驚いた。
性別まで違うキャラがいるからそりゃあ当たり前なんだけど、それぞれの役の作り方や台詞の投げ方・受け取り方、物語へのアプローチの仕方がみんな違っていて、同じ台本同じ台詞なのに全く別の物語を見ているようだった。
昼に1度見ているからなのか、なにか調整が入ったのか、キャストが違うからなのか、Bのほうが台詞聞き取りやすかった。聞こえない部分はもちろんあるけど、全体的に。
1人1人を見ていくと「こっちが好き」てのはあるんだけど、チームで見た時に優劣はつけられない。つけるものでもないし、どちらも素晴らしくて選べない。
Aの四賢人は問題児の集まりで、Bは優等生の集まりってのがものすごくわかる(笑)どちらも天才秀才の集まりなんだけど、Aのほうが癖が強い。Bの四賢人はなんだかんだ人付き合いはそれなりに出来そう。Aは友達と呼べるのは4人だけで、そもそも友達なんていらねぇって全員言いそう。フェチリタをのぞいて。
竹村さんが演じるフェチリタは言葉を選ばずに言えば少し障害のありそうな、突出した才能がある代わりに精神が幼いような印象をうけるんだけど、伊藤さんのフェチリタは年相応に心身ともに成長していて更に才能もある。純粋さはもちろんあるんだけど、それが竹村さんほど全面に出てないというか…割と普通の人に見える。良い悪いじゃなくて、こんなに違う演じ方が出来るんだなって。
キャストビジュアルでは気付かなかったんだけど、メインキャストの衣装がチームごとに違う!Aセグメトはジャケット肩掛けだけどBセグメトは片マントだし、Aガストンは落ち着いたスーツだけどBガストンは光沢のあるスーツだし、Aジョスはジャケット着てる(ベスト無し)のにBジョスはベストだけで「整えろ」って言われても気をつけしただけで何も変わってないの可愛すぎたし、Aフェチリタはずっと長袖だったはずなんだけどBフェチリタは上を脱ぐと半袖になる!たまらん!たまらんよお!
「四賢人」て呼ばれるようになった時のポーズがAチームは割とその場ではノリノリでポーズとって後でぶちぶち言うんだけど、Bチームはその場でも乗り気じゃないしその後も文句言ってるしで素直すぎる(笑)Bのヨネネス、3人から少し距離おいてスン...と立ってるだけで、それだけでなんとなく彼女の性格とかが感じられるの面白いなぁ。
ネタバレBOX
・ノアールの魔法みたいなヴェトモンズ。これってもしかしてピカルーンやブラスミに出てきた火を起こす武器に繋がってくる?
・貫地谷はやっぱズルいのよ。2回目だけどブワッてなった。震えるくらい泣いた。
・「この話はまたの機会に」ってジョスが何度か言うんだよなぁ。ビューロについての詳しい話になると言う。…次の新作で詳しく明かされるのか?期待しちゃうぞ?
・1回目はサラッと聞き流しちゃったんだけど、ビューロにあがったフェチリタの考察って15年前にコトスがあげたものだよね?直前のシーンで同じ言葉をコトスが言いかけてることに2回目で気づいた。わざわざ難しい言葉を使ってるのは観客にひっかかりを与えるためか。いや、だとしたら先にガストンの台詞があったほうがわかりやすいのか。これも伏線だったんだなーって、2回目で気付いた。
・コトスとノワール、実は仲間なわけでしょ。理不尽に奪われた者同士、フェチリタの無念をはらすために共に世界を崩壊させた。その後15年間、お互い連絡をとることもなく最終目標だけ決めて各々がやるべきことをやり続けた…すごいことだよ。15年間ずっとヨネネスのそばに居たのかな。再会してから2人がかつての事を語り合う、みたいなシーンはなくて、なんならノワールはコトスが現れたことも恨んでいるようにも見える。あの男が現れたことが全ての始まりだ、みたいな言い方してるよね。目的が一致した、だから協力…利用?した。
・死んだ人間が出てくるって演出を竹村さんはよくする。竹村さんの死生観なのかな。死んだ人はいつも見守ってくれている、的な。作中、まるで見えてるみたいだったり意思の疎通ができてるみたいなシーンはあるけど、あれは、たぶんそうではなくて、たとえば賢人3人が争う姿をフェチリタなら止めるだろうと考えるフィルの思考を具現化したもので、フィルがフェチリタに向けて言う言葉も自分の中のフェチリタに向けてだろうし、弾丸をノワールに埋め込む時のフェチリタもフィルの思いの具現化なんだと私は受け止めた。実際にそこに幽霊や残留思念が存在しているのではなくて、生きている人間がその人のことを強く思っていることの表現、なのではないかと。
・「感情の話はしていない。地位に合った仕事をしろ」これはさ…たぶんなんだけどさ…自分にも散々言い聞かせてきたんだろうなって思った。部下と馬鹿やったりはしゃいでる方が本来のセグメトで、フェチリタを失って武力による世界平和を目指した時に自分が頭になるんだってなった時に、感情は置いといて必要だと思う仕事をひたすらにこなしたんだろう。力で人々を従える、という覚悟なんだろうな、この言葉は。重い。そんなセグメト様の「だいたいヴェトモンズ」大好きすぎる。カッコイイかよ。ヨネネスからの「人間をやめてまで~」ていう台詞や、スプークの四肢や目耳までヴェトモンズっていう情報が最後のセグメト復活に繋がってるんだな。装飾品の域をこえてる。体内まで何かしら手を加えてるのか。
PARADURE -パラデュール-
壱劇屋
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/04/22 (土) ~ 2023/04/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
・西分さんの殺陣がまたパワーアップしてた。めちゃくちゃカッコよかった。戦闘時にグローブはめるところとか良すぎるし、あの武器が暗器でベルトってのが最高。暗器を使う世界線はピカルーンでもブラスミでもないから...次の新作なのか。わざわざ王の名前が出てるってことはきっと。
・セグメト様のオラオラした感じ最高だよ。トップと両腕が女性って、マジつよつよ。スプーク、可愛い。(Aキャスト)
・シオンさんが稽古3日ってのが信じられない。とても舞台上で自由に動いてて、1番笑いをとってた。「真実はいつも1つ!」
ネタバレBOX
・台詞に慣れてない黒ちゃん絋ちゃん、頑張れ!2人とも滑舌と発声。
・日置くんがモブで出てきた時の安心感。セグメト様にボコボコにされてた(撃たれて潰れる→立ち上がる→撃たれて潰れるを3セットくらい)
・パラデュールに着いた時に出迎えた日置くんが後センターに立ってる時の顔。不穏な感じをめちゃくちゃ表現してた。
・アスビーの帽子に空いた穴が、とても愛しい。
・竹村作品は繋がっている、ということをブラスミの時に聞いた。今回、どういう繋がりなのかが作中で明かされる。世界は階段構造で、それぞれの世界が独立していて、時々例外的に世界を行き来する存在がいて...パラデュールの階の上にはブラスミの世界があって、そこから“貫地谷”の作った刀が送られてくるの、自分でもビックリするくらい泣いてしまった。あと、眼鏡×スーツ×日本刀はズルい。相棒がヤンチャな感じでステゴロ得意な感じもズルい。しかもクローン。マジかよ。
・ヴェトモンズ対決はパールのネックレス。「少し先の未来が見える」能力。それを素敵なお姉さんの声で知らせてくれるように改造されてた。
・メインキャラは正義の味方、とは限らない。まさかの闇堕ち済。全人類をパラデュールに集めるために最後尾に拘ってたとか…怖すぎる。
炎炎ノ消防隊
DMM STAGE
天王洲 銀河劇場(東京都)
2023/03/29 (水) ~ 2023/04/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
大阪で幕を開けた炎炎ノ消防隊、東京千穐楽の前日。
開演30分前、普段なら1階ロビーも2階ロビーも劇場内も観客でいっぱいの銀河劇場なのに駅から劇場までの道も空いてればロビーもガラガラ。劇場を間違えたかと不安になるくらい。スカスカの物販でパンフを買って、いざ客席に入って愕然とした。前半分くらいしか埋まっていない客席なんて銀劇での観劇経験のなかで初めてだった。いつだって1階席は満員だった。…もしかして、評判が悪い?一切情報を入れずに来ちゃったけど今作ハズレなのか?こんなスカスカの客席で前楽を迎えるのか?こんな客席を役者さんたちに見せていいのか?頭の中をぐるぐるそんな思いがうずまいて、嫌な意味でドキドキしながら幕が上がった。
結論からいうと、めちゃくちゃ最高の舞台だった。熱量も高いし脚本も良かったチームワークもいい、全体的によくまとまってて全く飽きたりダレたりする瞬間がなかった。こんなに最高の仕上がりなのになんで客席埋まってないのかわからない!悔しい!
前作から見始めたけど、前作も今作もキャス変多数。1作目から続けて出てるキャストもいるけど大半は途中参加。今回からの新キャラもいる。でも、その差は全く感じなかった。アニメを履修できてない部分に入ってしまったから原作再現率がいかほどかはわからないけど、舞台として無理なく違和感なくまとまっていたからきっと原作再現度も高いに違いない。
前作が初主演初座長だった凌雅くん。役者としてもまだ未熟で、台詞を言う時の癖や体に力が入りすぎて足音が煩かったり色々気になるところがあった。座長として皆をまとめて引っ張っていくというよりは、周りが座長を支えることでまとまっているという感じだった。それが、今回、舞台上での存在感が桁違いに上がっていた。座長として先頭に立って作品を引っ張っていた。その背中を見て皆がついてきてる感じがした。感覚としては皆で肩組んで横並びって感じだとは思うんだけど、一座としてのまとまりや座長としての在り方が全然違ってた。たくさんの舞台に出て、いろんな先輩たちと共演して、そのひとつひとつが凌雅くんの力になってるんだなって感じられて、推しの成長を感じて私はとても幸せでした。凌雅くんの芝居で情緒をぐちゃぐちゃにされたかったから、着実にそうなっていっているのが嬉しい。
前回より肉弾戦のアクションが増えていてみんなかっこよかった。カロンとのバトルすごかったなぁ…身体能力をフルに使ってる感じ。マキさんも最高だった。
前回はアドリブで遊ぶシーンが多かったけど今回は控えめで、それが逆に作品としてまとまってたので良かったと思う。
新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX
『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』製作委員会
IHIステージアラウンド東京(東京都)
2023/03/04 (土) ~ 2023/04/12 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
オオアカ屋の前説、ゲームとゲームファンへのリスペクトに溢れてて泣いてしまった。
まんちゃん、素敵だよ。
舞台の間口はあまり開けずにここぞ!という場面で広く使ってる。奥行があるので5列目でも「遠いな」と感じることがあった。