緑地-ryokuchiの観てきた!クチコミ一覧

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シオンの眠るとき

シオンの眠るとき

縁劇ユニット 流星レトリック

サンモールスタジオ(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演の花チーム。
月チームを観劇済みなので、複雑な人物関係は頭に入っています。余裕を持って楽しむことができました。

主役の蛍火(けいか)役の鈴木翔吾さん。月チームの岡さんとは表情がぜんぜん違って見えました。表情の作り方が違うのかな。どちらが良いということはないですが、それぞれ個性があって良かったです。

劇団6番シードの椎名亜音さんと藤堂瞬さんが夫妻の役ということで息ぴったり。
椎名さんは何度も拝見していますが最近では5月の「ほぼほぼ心霊スポット」での豪快な演技が印象的でした。激しい感情表現がほんとにお上手で、今回もさすがでした。
藤堂さんも何度も拝見しています。もっともお気に入りは2019年の「熱海殺人事件」の「水野朋子物語」で、冒頭から迫力に圧倒されました。今回も期待通り、迫力ありました。

花奏和音さんは3年前「おいてきぼりの桜の園」での主演が強烈でした。今回は秘密を知っているお医者さん。袖の下のお金の受け取り方が月チームの清田さんとはだいぶ違って、さりげないけど嬉しそう、でしたね。

優希クロエさんは「将棋無双第30番」の伊藤宗看がすごかったです。今回は進藤静香の娘のレイラ役。月チームの葵さんとは180度違う印象でした。優希さんは葵さんと比べると明らかな大人に見えるので、葵さんと同じセリフに少し違和感を覚えました。見る順番が違えば逆だったのかもしれません。

持田さんは相続権をもつ貴依子(きいこ)。安井先輩という、相思相愛の彼氏がいる役。ご本人もおっしゃってましたが、持田さんが恋愛に絡む役は珍しいです。朗読劇では「Unknown」がありましたが、演劇としては60本以上見てますが記憶にないです。新しい持田さんを拝見・発見できました。

夕莉(ゆうり)役の黒木美紗子さんは2018年「音楽劇ヨルハ」のリリィでした。その後も何度か拝見していますが、やはりなんといってもリリィの印象が強く残っています。

その夕莉。花チームには最大の見せ場がありました。

ネタバレBOX

幼馴染で蛍火を家族と思っていた夕莉は「良かったね」と去ります。蛍火は取り繕おうとしますが拒絶されます。

ここからが月チームと違うところ。

蛍火は追いかけます。夕莉は蛍火を抱きしめて言います。私だけのものでいてほしい、不幸なままでいてほしい、と。さきほどの銃を取り出し、蛍火の背中から自分に向けて押し当てます。もし撃てば貫通して二人とも、という位置です。
蛍火は抱きしめたまま「いいよ」と言います。夕莉は銃の位置を変え、自分の首だけに向けます。そして再び、蛍火の背中に押し当てます。
暗転して数秒後、銃声が響きます。

沢田美佳さんがSNSで「Flowerの分岐脚本を担当」「正直、完成した台本の別パターンを考えるのはめちゃくちゃ難しかったです」と書かれています。つまり、花チームの方があとから考えられたところなのですね。

もし花チームを先に見て、月チームを見たらどうだったでしょう。個人的には、月→花の順でラッキーだったと思いました。
シオンの眠るとき

シオンの眠るとき

縁劇ユニット 流星レトリック

サンモールスタジオ(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

麻衣愛さん出演の月チーム。
両チーム見ましたがこちらを先に見ました。結果としてこの順で良かったです。理由は花チームの感想で書きます。

日替わりゲストが藍菜さんでした。そのわりにはずいぶん役割が多いなあと思ってましたが、アフタートークでご本人もそれを訴えておられました。

主役の岡延明さんの表情がとても印象的でした。27年の人生でずっと辛い思いをしてきた背景をもつ役です。笑顔はありません。その悲しみや怒り、あるいは絶望でしょうか。よく伝わりました。

葵千瑠さん。2年前同じ星レトさんの「黄泉の国でも愛してる」に人型の猫の役で出演されてた「るん」さんですね。今回は麻衣愛さんの娘役。アフタートークで「この親子のビジュアルがすごい」と演者さんに称賛されてました。

クシダ杏沙さんは2012年の「世界は僕のCUBEで造られる」で拝見しましたが、なかなかすごい恰好の役だったので、お顔はよく分かりませんでした。今回はストレートプレイ。12年越しに普通のお姿を拝見できて良かったです。

仁藤あいのさん。麻衣愛さんの2018年の初舞台「モデラート」で共演された日生愛乃さんです。たしか歌手として参加されていて、ほとんど演技はされていなかったような。今回演技を拝見できて良かったです。

ゲストを除く14人がほとんど常に舞台上にいる会話劇。表情含めて常に演技しているわけなので、演者さんの負担は大きいものと思います。しかしみなさんそれを感じさせず、流れるように演技をされてました。

ちなみに安井先輩役の小野寺雫さんは、初舞台だったそうです。アフタートークでその話になり、他の演者さんの多くが驚いてました。

ネタバレBOX

序盤にいくつか伏線が張られます。貴依子の彼氏である安井先輩が序盤になぜか頭を抱える。実は国税局の職員で、桜庭の脱税疑惑を知っているから、といった具合。

麻衣愛さん演じる進藤静香は子のレイラが相続権利者ということでやってきます。最終的に取引して2億円で手を引くことになります。最終盤のセリフで「2億」と念を押しました。「全部智則に」という総意に対するものとして、さりげないけど大事なセリフだと思いました。

主役「けいか」を「蛍火」と書くことは、あとで印刷物(いわゆる当日パンフレット)を読んで知りました。名前はけっこう大事な要素だったと思うので、どんな字を書くのか劇中で明確にして欲しかったですね。どんな思いで実の両親が名前を考えたか。こちらは字が分からないので分かりませんでした。

蛍火が銃を持っていることが唐突だと感じましたが、のちに警察官ということが分かったので納得できました。夕莉が銃を構えるところはどうかと思いましたが、よく考えたら「復讐屋」。所属の3人が銃を扱えることも分からなくはないですね。

蛍火の「結局不幸なのは俺だけか」という思い。雅之と貴依子が血縁が無いことを暴露したが、期待に反して雅之は不幸にならなかった。智則が桜庭への復讐に燃えていたことを知って仲間と思ったが、妻への思いからその矛を収めていた。蛍火は「不幸であれ」という思いからか銃を取り出すが、桜庭の遺言書でその思いを知り、矛を収める。血族姻族含めた5人のきょうだいの、家族としてのつながりを確認する。

幼馴染で蛍火を家族と思っていた夕莉は「良かったね」と去ります。蛍火は取り繕おうとしますが拒絶されます。最後、蛍火は希望がある未来をほのめかし、物語は終わります。最後の最後のここだけが、チームで大きく異なるところです。

さてさて。花チームは。
道雪

道雪

THE☆JACABAL′S

シアターX(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

関谷真由さん出演。
「死んだ筈の立花道雪」と、大友家を中心とした九州の戦乱の物語。チラシ(フライヤー)でそれだけ把握して会場に。いわゆる当日パンフレットに関係図がありました。
あとから言えることですが、「よしひろ」は姓だということだけは把握しておきたかった。名前っぽいので大友氏の身内かと思ってしまいましたが、家臣なのです。

2部構成で、10分の休憩をはさんで2時間50分。会場についてからその時間配分を知ったので、ちょっと驚きました。長いかなあ、と。でもいらぬ心配でしたね。目が離せなかったです。

シアターχ(カイ)は座席の勾配が緩やかです。通路は緩やかな坂で、段差がありません。だからこそできるのですが、その通路を「デンレーーー!!!」と、すごい勢いで伝令が走ります。階段だったら無理ですね。
伝令以外でも、2つの通路を存分に活用します。私はほぼ最後尾の席だったので、そのすべてを見ることができてラッキーでした。

関谷さんの「誾千代」(ぎんちよ)。自分は知らなかったのですが、極めて希な女性城主で、ゲームなどでは女武将として表現されたり、とても人気が高いようです。
5年前の「YOSHITSUNE」で徳子(安徳天皇の母)を演じられたとき、戦国もの・歴史ものでもいける!と思いました。そして今回、みごとにハマっていたと思います。
関谷さんの特徴のあるお声。私は聞きなれているのでさておき、初耳の方はどのように感じたか、興味があります。

野村龍一さんは朝劇の主宰をされている方。関谷さんはロングラン公演「恋の遠心力」のレギュラーだったので、共演回数はかなりの数になります。
田原親賢の役、私のイメージする野村さんそのものでした。憎たらしく、かっこいいのですが、結局は三枚目になるところ。2014年の天才劇団バカバッカさん舞台「POLYNPIC TOKYO!」で都知事に「5千万!」と叫んでいる野村さんを思い出しました。

由布惟信役の森谷勇太さんも朝劇のレギュラーで。関谷さんはSNSで、3人で「朝劇チーム」と呼んでましたね。ここまで激しい演技を拝見するのは初めてでしたが、強いお声と風ぼうが、戦乱ものにピッタリだと思いました。

田畑潤弥さんは2018年「BURRRN!!! 〜無稽・本能寺〜」で拝見していました。感想はネタバレBOXにて。

ネタバレBOX

冒頭、観劇者の目に飛び込んでくるのは、足軽たちの尻です。強調されているわけではないですが、間違いなく目に飛び込んできます。これから戦というところで、貧弱な武器とふんどし姿。この舞台の本気度、足軽の現実についてある意味での「リアリティ」を感じることができます。

十人ほどの足軽。きっと辛いことが起こるだろう、みんな死ぬだろうと想像します。実際、第1部で道雪以外全員死にました。家族含めて。
そのクライマックスで、臼杵が道雪(権兵衛)の妻と2人の子を殺すところ。鬼気迫るというのでしょうか。とてもとても大事なシーン。臼杵の二反田雅澄さん、母の長谷川かずきさん、子のいち君じろう君。お見事でした。

第2部で、誾千代に婿入りして道雪の後継ぎになる立花宗茂が初登場。最初頼りない感じだったのが、道雪の秘密を知って怒り、その後道雪に感銘を受け、最後に道雪の亡骸を守るべく突進していく姿。田畑潤弥さん、すごくかっこよかったです。

突進できる通路、それを存分に使った演出。とても良かったです。
重ねる秋物語

重ねる秋物語

男澤企画

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2024/10/24 (木) ~ 2024/10/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

森田涼花さん出演。初日のC班を観劇。

ステージカフェ下北沢亭。つくりが劇場ではないこともあって客席とステージがとても近いです。なので、とても近くで観劇することができました。客席の椅子は18個用意されていたかな。開始時点で客は9人、途中で2人入って11人でした。

森田さんは去年の「マッチングアプリ:アップルボム」が12年ぶりの朗読劇だったと思います。今は声優さんですものね、どんどん出演されることを期待しています。もちろん舞台も。

今回の朗読劇。森田さんはクライマックスで本当に涙を流されました。2011年と2012年の舞台「女の子ものがたり」で、涙を流した姿を思い出しました。今思えばですが、私が本格的に舞台好きになるきっかけのひとつでしたね。

台本を読むと分かるのですが、はっきりと3章に分かれています。しかしそれは配られたフライヤー(チラシ)には書いてない情報です。

SNSの情報をよく読むと「三つの物語」という情報はあったようですが、気づいておりませんでした。というわけで、物語が3つに分かれているということを知らずに臨みました。私以外も、そういう人多かったのではないでしょうか。

ネタバレBOX

以下が3つの話のタイトルです。便宜的に3つの「章」と呼ばせてもらいます。

・カクテル
・血流
・アシタアタシはジカンがトまるコトをシっていて

森田さんは主人公のコトハ。
以下は、観劇中の私の理解の流れです。

冒頭。主人公、友人N、友人Fの3人が親友。うちひとりと思われる夏海の結婚式が始まる。主人公が語りを進める。「主人公も結婚式に出ているのだろう」と思う。話が進む。夏海が化粧室にいるシーンを主人公が語っている。「そこにいないのに様子を語っている、つまり主人公は結婚式に参加している人物ではない」と想像する。
夏海中心の物語が終わったようす。主人公ひとりだけになってモノローグ。病室にいることが示唆される。それにより「主人公は結婚式より前に死んだ」と想像する。「主人公が夢に見たことかな?」と。
その次。どうやら友人Fである冬香が中心の話が始まったようす。学生時代なので、過去の話ということ。主人公のコトハは会話に参加しているので、そこに存在していることは明白。話が進み、コトハは冬香に、まるで全てを知っているようなアドバイスをする。「この時のコトハとしては不自然だ。つまりアドバイスしたのはこの時のコトハとは違う?」と、漠然と考える。
冬香中心の物語が終わったようす。コトハの語りで、コトハ中心の物語が始まったことが分かる。ここではじめて、全体が章立て風になっていたことが分かる。夏海が1章、冬香が2章、コトハが3章だろう、と。
物語の流れで、これが終章だろうと想像する。朗読内容が複数の時間を行き来しているが、こちらの理解は追いつかない。どうやら病で倒れて病院に運ばれたところと、危篤状態のところがあるらしい。葬式のシーン、子供のころのシーン、それらを経て、1章の冒頭すなわち危篤になる少し前と思われるところで終わる。

あとから台本を確認すると、終盤は「病で倒れた」進んで「死の直前の危篤状態」戻って「病で倒れて運ばれた病室」進んで「危篤状態」戻って「運ばれた病室」というように朗読内容が行き来したようです。どっちも病室なこともあり、これは難しかったですね。

さてストーリーですが。大満足です。台本何度も読んでます。3つそれぞれ、題材としてはよくある話です。それをいかにからめて、観劇者の心を引き込むか。朗読劇の醍醐味ですね。

冬香の中島佑香さん、すごく心がこもっていたことが伝わりました。鼻の下が光ってました。
男性陣の中では、秋平役の高岩泰声さんの声がいちばん印象的でした。SNSを探したら25歳と。お若いのですね。
Spirit Seek Story

Spirit Seek Story

Superb Sick Squad

萬劇場(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

真田林佳さんを目当てに観劇。木曜ソワレ。
Superb Sick Squad さんは、7月に「ドウトク」を上演した !ll nut up fam (イルナップファム) さんと姉妹団体なんですね。

イザベラ役の沼舘ミオさんはドウトクで迫真の演技を拝見してました。その役は40代で募集されていたはずなのにずっと若く見えるなあと思っていました。Superb Sick Squadさんに所属されていることを知って、なるほど、と。ちなみに、雰囲気があまりにも違うので中盤まで分からなかったです。前回は死刑囚、今回は魔女ですものね。

真田さん演じるアクアは「誰かを何かしらに導く伝道師」。私の知ってる ザ・真田さん でした。劇中劇「こいのぼれ!」では持ち前の強い声を張り上げて、イメージ通り。ダンスでは私の知ってるイメージを超えた動きを見ることができました。ダンスシーンは台本によると9回で、その半分くらい参加されてたのかな。前の舞台から2週間しか経ってないところなので負担は大きかったと思うのですが、とても良かったです。

リリ役の松本梨菜さんはどこかで拝見したような・・・と。2年前の「黄泉の国でも愛してる」でした。人の姿をした猫の役で、可愛い感じでしたね。

広くはない萬劇場のステージ上、18人のダンスは圧巻でした。自由席でたまたま最前席だったのですが、みなさんの迫力に圧倒されました。

ネタバレBOX

主役の松岡里奈さんのセリフの量はすごかったです。とくに序盤の、本編に入る前の「つかみ」のところは台本2ページ近くの長セリフ。「噛まずに走り切ったら拍手」。ちょっと噛んでしまいましたが、拍手を惜しむことはありませんでした。

4つの劇中劇は以下の通り。それぞれ3,4人が参加する、作家である主人公が作ったショートストーリー。

(1)テーマは友情、タイトルは相対性理論
(2)テーマは自分らしさ、タイトルはブレイクザルール
(3)テーマは成長、タイトルはこいのぼれ!
(4)テーマは悪、タイトルはトゥーフェイス

私の理解した内容は以下の通り。

(1)未来からのロボットとタイムトラベルして仲良くなってお別れする
(2)3人の淑女が舞踏会に行ってフィーバーして規則や伝統に変化をもたらす
(3)大人を見返すために鯉が滝を登る
(4)人間に裏切られた魔法使いが復讐して何が正義か何が悪か

書いてみると、(3)がいちばん単純ですね。しかし映画「アルマゲドン」の曲「ミス・ア・シング」で鯉の滝登りを無理やりにも盛り上げ、最大限やり切った感じが良かったです。

余談ですがイルナップファムさんの「イル」のところは公式サイトで「!ll」「ill」「♪ll」と複数の表記があります。メモとして書いておきます。
降臨SOUL~風燐火斬~

降臨SOUL~風燐火斬~

降臨SOUL製作委員会

六行会ホール(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

倉田瑠夏さん出演。
先日ご結婚された倉田さん。アイドリング!!!歴代35人のうち16人が結婚を公表、その後舞台出演されたのは1号加藤沙耶香さんだけでした。倉田さんが2例目になります。

その2015年、同じく武将を降臨させる舞台「新・戦国降臨ガール」のサイン会で加藤沙耶香さんに「おめでとうございます」とお伝えしたことを思い出します。

そんな歴史ある「武将降臨!」でおなじみのシリーズですが、加藤さんや玉川来夢さんが出演されていたころとは異なるストーリーみたいですね。見てないですが前作は昨年で、来年5月に続編があるそうです。なかなかにぶっ飛んだ設定、降臨時にはなぜか欧米訛りの武将紹介、嫌いじゃないです。声がどなたか知らなかったのですが、パフレットによると 桜町たろ さんという方なのですね。

ネタバレBOX

タイトルから武田信玄がメインになると予想して臨みました。その雛形羽衣さん、個人的には「強い」というイメージを持ってなかったので新鮮でした。

アリスインプロジェクトさん系の舞台(戦国降臨、魔銃ドナー、デッドリーなど)の過去の観劇では、舞台経験の少ない演者さんにハラハラすることもありました。個人的にはそこの期待は小さめです。

しかし栞菜さんや舞川みやこさんといったベテランの存在は、どっしりとした安心感がありますね。雛形さんにもその風格を感じました。経験豊富な方々が、全体を引っ張ってくれたという印象です。

予告によると、次回作では六文銭の真田幸村、徳川家康が。羽柴は豊臣に昇格し、ますますぶっ飛んだ楽しいものが期待できそうです。
 橋の下のショコラティエ

橋の下のショコラティエ

ぱすてるからっと

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/09/19 (木) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さんと真田林佳さんが出演のケーキチームを観劇。
金曜ソワレと日曜マチネの2回。

ぱすてるからっとさんの観劇は演目で5本目。2.5次元ならぬ「2.8次元」、いつも楽しいです。

前々回「悪役令嬢イミテーション」、前回「The Witch」と三作つづけて観劇したことになります。振り返ると3つとも魔法が出てくるんですね。

7月の「The Witch」では命のやり取りが激しいストーリーでしたが、今回はコメディ寄りで、そういう心配はありませんでした。戦いのシーンでも、ある意味安心して見ていられました。

去年の「水上のゴンドリエーラ」の続編とのこと。それは観劇していないので知らなかったのですが、劇中でなんとなくどんな話だったか分かってきました。その匙加減というか配慮がありがたかったです。

ネタバレBOX

数人がそれぞれ何かをかき混ぜているところから始まります。小泉花恋さんの鼻にはホイップクリームが。なるほどケーキを作るんだな、と。ほうほう、フローラという名前。話が進んで、あれ?まだホイップクリームが。・・・実はなにもついてませんでした。鼻が光って白く見えるんですね。

持田さんは主演のリーチェ。ぱすてるからっとさんの舞台に出演されるのは3本目ですが、持田さんの集大成を見られたような気がします。
「時計塔のレイラ」で主演、今回また主演に選ばれたということは運営さんからも評価されたということですね。
去年あたりから主演される機会が増えてきましたね。嬉しいことです。

真田さんのジュスタ。予想以上に特徴的なキャラでした。あとから台本を見て確認したところ、かなりアレンジされてたようです。真田さんにかかればどんなキャラでもスペシャルなものになるような気がします。

アレンジと言えば鮫嶋樹さんのイザベロはとても面白かったです。登場シーンのセリフが金曜と日曜で違ったので、きっと日替わりでネタを入れているのですね。

余談ですが「インヴォカチオーネ!」のたびに「あびらうんけん!」を思い出してました。前々回舞台「悪役令嬢イミテーション」での呪文です。

ヴェロニカの序盤のセリフ「この子の能力があればあの件ももしかしてと思って」が何の伏線なのか分かりませんでした。あの件とは?

劇中では梅がとても酸っぱいものとされていました。漬けた梅だったのか、かなり熟したものだったのか。実際の青梅は酸っぱくないはずで。

辞書によると、ゴンドリエーレ(男性)、ゴンドリエーラ(女性)。ショコラティエ(男性)、ショコラティエール(女性)、らしいです。もちろん分かっていて「ショコラティエ」を採用したのだとは思います。
商店街グランドリオン

商店街グランドリオン

劇団バルスキッチン

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

目当ての演者さんはとくになし。
バルスキッチンさんの舞台観劇は7本目、再演を除くと5本観劇してます。いつも笑いが絶えない、楽しい時間です。

3年前の初演と同じ役は劇団員の尾上恭平さんとズドンさんだけ。勇者だった河合健太郎さんが主人公の浩太に。精霊リオンだった井坂仁美さんは魔王側の魔法使いに。その他は劇団員の方が別役で出られているくらいで、ほぼガラリと変わってました。

当日配布のチラシ(白黒コピー)に演者さんの役名が書いてあったのが嬉しいです。初演を思い出しながら今回と比べることができました。

勇者側魔法使い役の五十嵐かいと さん、5月に「BAN&COLORS」という舞台で拝見しました。そのときは演目の内容のせいかもしれませんが、アイドル的な方と思ってました。今回あらためて拝見するとかなりしっかりした演技をされていて、印象が変わりました。

ネタバレBOX

前回30人で今回31人。増えたのは「渡辺」ですかね。

若松春奈さん、まともにビンタされてましたね。演技に対する本気度を感じます。ガングロは衝撃的でした。あらかじめ把握してないと誰だか分からなかったでしょう。
なお、ズドンさんが「昭和」と表現されてましたがさすがに平成かと。細かい話ですが。

これまた細かいかも知れませんが。公式のイントロダクションにあるこの一文。

>勇者は偶然の事故から時間を移動する手段を発見し、時を越えて様々な時代を行き来する中で、自分達に降りかかる問題を解決していく。

「時間を移動」「時を越えて様々な時代を行き来する」が舞台の話と無関係だったのでちょっと合わないと思いました。
ドウトク

ドウトク

!ll nut up fam

studio ZAP!(東京都)

2024/07/30 (火) ~ 2024/08/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

朧チームを観劇。
最近よく拝見している真田林佳さんが「死刑囚489号」。出演6人全員死刑囚の「ワンシチュエーションの会話劇」ということで、シンプルながらも面白そうと思いつつ観劇しました。

3チームのトリプルキャスト構成。何度か再演されているとのこと、人気の演目なのですね。

52号、313号、159号、23号、043号、489号の6人です。劇中では番号が出てこないので意味は無いですが、台本では先頭の数字すなわち 0,1,2,3,4,5 だけで表現されています。この6個の数字が先にあったのでしょうね。043だけ3桁ゼロパディングなのは何故だろうと思ってました。

313の森田和正さんが、SNSで考察をされてるのを見つけました。とても深く考えて役作りされているんですね。役者さんからの発信のおかげで、観劇後もまた楽しめます。ありがとうございます。

ネタバレBOX

4月にキャスト募集が公開されてて、以下のような条件が書かれていました。
・死刑囚52:主人公(男性30代〜)
・死刑囚313:暴力的な殺人鬼(男性20代〜)
・死刑囚489:純粋な殺人鬼(性別問わず20代〜)
・死刑囚23:猟奇的な殺人鬼(性別問わず20代〜)
・死刑囚159:芸術的な殺人鬼(性別問わず20代〜)
・死刑囚043:望まない殺人鬼(性別問わず40代〜)

043が40代以上なのはある程度大きな子供がいる設定だからかな。でも朧チームの沼舘ミオさんはもっと若いように思いました。

489は一人称が「僕」。チームによっては男性だったようです。6人の中でもぶっ飛んだクレイジーな役どころで、女性の方がハードル高かったのかもと思いました。真田さん元々のキャラを感じさせつつの振り切った演技が素晴らしかったです。

52は実は死刑囚ではなく、自分の関係者を殺した5人の殺人鬼に復讐するために、権力でこの場を作った。
52曰く。個人的な復讐が認められるべきであり、将来の社会はそのようになる。これはそのための、国が認めた実験である、と。

52は159、043、23をナイフで刺し、清々しいと言い放つ。313と揉み合いになり、ナイフを失う。489が313を刺して52を助ける。489は52に自分を刺させる。52は489の純粋さに、複雑な心境となる。

舞台セットはまったく無しで、とてもシンプルでした。それでも観客を引き込む、会話劇の力を見ました。再演を繰り返すほどの人気なのも納得です。
幸せになるために

幸せになるために

“STRAYDOG”

新宿村LIVE(東京都)

2024/07/11 (木) ~ 2024/07/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

森田涼花さん出演。
東京公演の千秋楽を観劇。

開演時刻になるとSTRAYDOGさん名物の「指定席解除」が。空いている席を埋めるように中央に向かう移動が促され、空席が端のほうに移りました。途中入場の人が邪魔にならないようにする配慮です。
これはとても合理的なので、他の劇団さんでもやればいいのになあ、と思ってます。たとえ真ん中の良席でも「遅れて来た人の指定席は無効」なのです。
昔ブログで森岡利行さんが指定席解除について、船に例えてらっしゃいました。船は港を出たらもう乗れない、と。なるほどと思ったものです。

1985年8月12日の日本航空123便墜落事故を扱った演目です。

あれから39年経つのですね。テレビのテロップ「旅客機との通信が途絶えました」と。ほどなく「墜落しました」に変わりました。一時新聞で「7人が生きていた」と大きく書かれていましたが、それは誤報で実際の生存者は4人でした。

その後の報道。生存者の12歳の女の子の証言で、墜落してしばらくはお父上と妹さんが生きていたということ。自分は子供ながらに大きなショックを受けたことを覚えています。

ネタバレBOX

先日の「夕凪の街 桜の国」もそうでしたが、シリアスな題材で真面目なストーリーの中にも、それを壊さない楽しさ、笑いの要素を入れるSTRAYDOGさんはさすがです。

「とある廃工場に映画の撮影で集まった5組の家族」
「出演者が演じるうちに1985年8月12日に起きた日航機墜落事故の筋書きに変わってゆく」

それぞれの家族には、亡くなった人が含まれていることが分かってきます。幽霊なのでしょうか、幻なのでしょうか。

「忘れられていく事実を語り継ぐことこそ亡くなった人への最大の敬意」

忘れずに、語り継いでいきます。
The Witch〜魔法使いの日記〜

The Witch〜魔法使いの日記〜

ぱすてるからっと

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/07/11 (木) ~ 2024/07/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

陽チームを観劇。
最近よく拝見している真田林佳さんが「アリス」という名前の役ということだけ把握して臨みました。
想像よりずっと重要な役でした。アリスという名前のイメージは偉い人ってあんまりないと思っていたので。個人的には嬉しい誤算でした。
見てないですが月チームの東堂さんとはきっと180度違う、真田さん独自のキャラだったのだと思います。

自分は ぱすてるからっと さん観劇は4本目かな。いつも力を入れられているダンスシーンも見どころですよね。自分の観劇回はダンス撮影可能ではなかったですが、SNSに上がってるのも後から見れるのでありがたいです。

時間が戻る要素が入った話なので、頭を働かせてがんばりました。しかしちょっと難しかったですね。台本で再確認しました。

ネタバレBOX

ジャンヌの「実弾を使う」の意味が分からなかったのですが、それまで使われていたのは「筋弛緩弾」だったのですね。それでアルベルトを拘束するつもりだったけど効かないので、と。

終盤に分かる「ヴァイオレットが魔導士を恨んでいる理由」ですが
・娘「ダリア」が戦争でひとりだけ死んだこと
・その遺体が持ち帰られることもなく見捨てられたと思っていたこと
・夫も両親も戦争で死んだこと
・戦争は魔道士たちが始めたと解釈してること
・自分は人間を魔導士にする実験体の生き残りだったこと

これらは唐突すぎたので伏線がほしかったです。それまで年齢をほのめかすところも無く、「娘」や「夫」という言葉が出てきて、ついていくのが難しかったです。

クライマックスで明らかになる事実、まとめると以下のとおりかと思いますが、ちょっと詰め込みすぎかと。

・ダリアは四肢が腐ってしまう呪いで死んだ
・今は治療法が確立している、それは犠牲になったダリアの功績である
・ダリアはそんな遺体を母に見せたくなかったので遺体を持ち帰られることを望まなかった
・ヴァイオレットはそのことを知らずに娘だけ見捨てられたと思い込んでいた

日記の表紙に1022と書いてあったことでなぜ「真里は千年後の未来から来たのでは」になるのか分かりませんでした。真里がその数字を見て「ここは千年前なのでは」と思うなら分かりますが。

カルタとアリスがカフェで会話するシーン、会計の「ここは私が」綱引きがあって面白かったです。台本にはなかったので、陽チーム独自かなと思いました。
学園探偵 薔薇戦士

学園探偵 薔薇戦士

株式会社フリーハンド

ザ・ポケット(東京都)

2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

倉田瑠夏さん出演。
倉科遼さん関連は「舞姫 〜ディーヴァ〜」に続いてなのですね。ありがたいことですね。

定番の中野ザ・ポケットですが、自分は1年半ぶりでした。この劇場はG列からが固定席ということを覚えておくと良いかと。床にプレートが貼ってあるので変化することは無いです。自分のメモを兼ねて書いておきます。

倉田さんのブロマイドがA〜Gまで7セットもあって。とびぬけて多いです。2番手がWキャストAチーム「男B」役の上原徹也さん4セットでした・・・ちょっと不思議ですが、それはさておき。

ちなみに男A、B、Cはそれぞれ「安田」「木本」「斉藤」らしいです。チラシにもパンフレットにも公式サイトにも書いてありませんが、SNSで知ることができました。

歴史ある舞台だと思いますが、自分はもともとの話の筋を知らなかったです。チラシ表紙でいちばん大きい佐藤弘樹さんが主演だと思って観劇に臨みましたが、倉田さんが明確な主演でしたね。

田上先生役の鈴木つかささん。会話にアドリブをたくさん入れて、面白かったです。アドリブを受ける側、折田さんも面白かったです。

ネタバレBOX

副題「痴漢退治はお任せあれ!」ですが、実は劇中で痴漢事件は1回も発生してないですよね。痴漢被害をかたる詐欺が事件です。つまり冤罪です。

これは作品を作る側の方も承知されているものと思いますが、この詐欺はとても恐ろしいことです。劇中でも「高村麻子」の父上が命を絶ってしまったことが示されてます。

中途半端なストレート演劇ではその重さに負けてしまうので、現実から離れた「ぶっ飛んだ」話であるべきと思いました。今後も再演や続編があるでしょう。もっとぶっ飛んでほしいです。
それしか、知らない

それしか、知らない

m sel.プロデュース

王子小劇場(東京都)

2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

玉川来夢さん出演。
主宰の舘内美穂さんは2016年のロストマンブルースで「熊本まもる子」を演じられ、玉川さんと共演された方。今回そのご縁でお話をいただいたとのことです。玉川さんの人柄が感じられます。

余談ですがロストマンブルースでの熊本まもる子はすごく面白かったです。萩原成哉さんとのコンビ、熊本で起きたことについての夢麻呂さんとのかみ合わないやりとり。8年経ってもよく覚えています。
その舘内さんは2017年のボクラ団義さんの舞台で拝見する予定だったのですが、体調を崩されて降板されました。当時とても心配しました。
最近になって舞台を主宰されていることを知り、驚きました。劇場のロビーでも元気なお姿を拝見できて安心しました。

さて今回の舞台。いつものことながら出演者をあまり把握せずに観劇しました。

千代將太さんが登場してその強いお声を聞いたとき、どこかで・・・と。ずいぶん昔ですが「嘘ツキタチノ唄」「忍ぶ阿呆に 死ぬ阿呆」でした。これもボクラ団義さんですね。しかしお若い。

山本真夢さんは去年の「R-20」でも玉川さんと共演されてましたね。可愛らしい妖怪だったかな。個人的には2017年「蒼海のティーダ」のソフィ役が印象的でした。

ネタバレBOX

基本的には「ゆら」という女と「藤」という男の物語です。深い話というか、自分にはちょっと難解で、気を抜くと分からなくなると思いがんばって頭を働かせました。
母親の過剰な期待に苦しむという共通項を持っている2人。今時の言葉では「毒親」とでも言うのでしょうか。藤は激しく苦しんでいる、ゆらは静かに苦しんでいる、かな。

「いいお話だった」という舞台ではないです。どのように感じるかは人それぞれ。どんな人生を歩んできたかで違うことでしょう。

ホワイトボードに書かれた日付を忘れないうちに書いておきます。せっかく記憶したので。
2019年4月17日
2019年5月2日
2019年9月16日
2019年9月20日
2019年9月28日
2019年10月3日
2021年夏
2021年7月13日

玉川さんは持ち前のキャラを生かした役どころでした。女性も男性もですが、役者さんも歳を重ねるにつれて声が変わるのを感じます。大人の声になったなあ、としみじみ。
朗読劇「Unknown」

朗読劇「Unknown」

劇団ナンバーエイト

浅草九劇(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演のAチームを観劇。
動きのある朗読劇ということはうかがっておりましたが、これほどまでとは思ってませんでした。台本を持たない場面も多く、演劇の舞台に近いものだったと思います。

公演は4回ありますがメイン3名の演者さんは毎回変わるので、たったの1回です。お三方はその1回にすべてを出し切ったと感じました。

持田さんは台本を持たないシーンも多く、朗読劇と思ってたのが良い意味で裏切られました。たまたまですが私の正面に来ることが多く、細かい視線の演技までよく見えてよかったです。

ストーリーには引き込まれました。伏線を回収する流れが見事だったと思いますが、それに加えて演者さん7人の強い思いも大きかったと思います。

ネタバレBOX

持田千妃来:近藤椿。「思考手術」の研究・実行者
松井拓己:2役 春本一澄・小出千春。元教師で椿のアシスタント・椿の死んだ恋人
辻美優:加瀬伊吹。反逆で罪に問われた春本の、弁護士

チラシには「SFメルヘン。再び。」と。上演前の案内放送によると、過去に舞台としても上演されたそうです。

以下は私の解釈です。記憶に頼っているところがあるので間違いあったらすみません。

PM2.5などで地上の汚染が激しく、人々は地下で生活するようになった、2040年の世界。
椿の耳にある半導体チップには14,000人もの思考データが入っている。
春本が来るまではひとりで研究室におり、その思考と共存していた。
犯罪者の思考を強制的に書き換える。それを椿ひとりでやっていた。犯罪者の再犯率はわずか1%。
その職を離れることはできるが、契約で記憶を消されることになっていた。椿は千春の記憶を消されたくないので、続けていた。
昔。椿が大学1年、千春が3年。千春たちゼミのみんなで「思考」の研究。それが原因で千春たちゼミの皆は死んだ。「思考」を椿が引き継いだ。
椿が時折腕を伸ばして「ダー!」とする、照れるときに額を抑える、といったことは千春のそれ。

花の「サイネリア」は本来「シネラリア」で、日本語的に縁起が悪いので通称ができたと。勉強になりました。
貧乏神シャバダバ

貧乏神シャバダバ

近藤一彦プロデュース

オメガ東京(東京都)

2024/05/08 (水) ~ 2024/05/11 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

小泉瑠美さん出演。
オメガ東京は荻窪の住宅地にある地下の小劇場。見やすくて好きなところです。上演中に客席パイプ椅子の音がギシギシ聞こえますが、それも味だと思うようにしています。

演目はコメディで、死期の迫る老女の「徳大寺」家が貧乏神にとりつかれるお話。公式には「裕福な家族が貧乏神と過ごすワンナイトカーニバル」と。全員が個性的でおもしろい人ばかりです。
ちなみに「徳大寺=とくだいじ」の漢字はどこにも書いてないので不明だったのですが、いろいろ探したところ柊木みずほさんのSNSで「徳大寺美咲」と書かれていたのを見つけた次第です。

うみぐちうみ さんはプロフィールに「20代から乳母・老巫女と、老け役の怪演で評価を得る」とあります。「菅生ゼミ休講のお知らせ」や天才劇団バカバッカさんの舞台で何度も拝見していますが、ご自身もおっしゃっている「おばちゃん」役がお見事です。ときにものすごい表情をしたり、巧みに演じられています。

小泉さんの舞台出演は一昨年の朗読劇「たすき」以来、演劇としては8年前の「口紅」以来です。ブランクはまったく感じさせません。特徴的な低いお声で、イメージ通りの強い女性を演じられました。
終演後にフリーの面会があり、小泉さんとお話させていただくことができました。久しぶりの舞台であったけれども厳しい稽古のおかげで感覚が戻ってしっかりできた、というようなお話をうかがえました。2012年の「ファミリー・ウォーズ」のお話をするとすぐに「赤城美香!」と役名を言ってくださったり、昔からのファンとしてはとても嬉しい時間でした。
余談ですが、自分は小泉さんのアイドル時代にあった握手会などのイベントに参加したことがありません。アイドリング!!!卒業後の2011年舞台「銀座の恋人たち」で面会させていただいたとき、小泉さんから握手の手を差し伸べてくださり、感動したことを覚えています。今回も同様に差し伸べてくださり、13年ぶりの握手に感激しました。

思えばコロナ禍になってから、役者さんと握手すること自体がずっと無かったなあ、と。そういう意味でも感慨深かったです。

ネタバレBOX

橋本樹 :貧乏神
星野光代 :老女(当主)
小泉瑠美 :母(当主の実子)(茜)
藤原シンユウ :父(婿)
柊木みずほ :娘(姉)(美咲)
水嶋ミナ :娘(妹)(アリサ)
うみぐちうみ :徳大寺家の家政婦(ハットリ)
長万部純 :借金取りの銀行員
工藤俊作 :音楽プロデューサーを名乗る詐欺師(サイトウ)
吉田来深 :弁護士を名乗る詐欺師
吉永真希 :遺言書を管理の人(公証役場?)

当主の老女は死神に、翌日の昼ごろが死期と告げられる。
死神に示されておどろおどろしく登場した貧乏神の風ぼうは、若い可愛らしい女性。
貧乏神は何もしない。徳大寺の人間にだけ見える。
母(老女の実子)はヘリコプターで登場。それを見て33+1人の借金取りが押しかける。
父(婿)は結婚前に6人の女性に結婚詐欺をしていたかと思いきや、誰もそう思っておらず、今でいう投げ銭だった。取り立ての弁護士を名乗る女性が実は詐欺師。
妹は歌手になれると思って金品を渡していた男は実は詐欺師だった。
ひきこもりの姉は実はクローゼットで会社を経営していた。妹と詐欺師のことも調べて知っていた。
母の資産が大量にあることが分かり、貧乏にはならないとたかをくくった。
老女の遺言書では、全財産が実子に相続されることになっている。
最後に何もしなかった貧乏神は姿を現して強烈な風を起こす。
シーンが変わって、死神が老女を迎えに来る。

それで、ぷつんと終わります。
老女が死んでも貧乏になるということは無いはずですが、そこは見る人に委ねられたのだと解釈しました。
悪役令嬢イミテーション

悪役令嬢イミテーション

ぱすてるからっと

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2024/04/25 (木) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

後藤郁さん出演。偽チームを観劇。
ぱすてるからっとさんの舞台は後藤ちゃんのイメージからは遠いと思っていたので、出演を知ったときは驚きました。女性中心の舞台は朗読劇のGreifくらいで、演劇としては皆無でした。いわゆる2.5次元的な演目も初舞台のダンガンロンパ2016だけです。なので意外だったのです。

ぱすてるからっとさんと言えば力が入ったダンスシーン。後藤ちゃんの舞台出演でこれまでダンスってあったっけ、というくらいなのでちょっと心配していました。2014年にいったん芸能界を引退。ダンガンロンパで復帰されて以来関東の公演は全部観劇していますが、ダンスの記憶はほとんど無いです。
ダンスはそこまで激しいものではなかったですが、現役時代を思い起こさせるきれいな動きで、安心しました。終演後にそのシーンの撮影イベントがあったのがありがたかったですね。

ダブル主演の坪井未来さんは「時計塔のレイラ」でも拝見しましたが、2016年の天才劇団バカバッカさんの「COLORS」でも拝見してました。8年も前ですが当時とお変わりないですね。

美月まりもさんは今回も別チームで別役で出演されているのですね。いつもすごいです。

ネタバレBOX

呪文の「あびらうんけん」は、台本では「阿毘羅吽欠」と。知らなかったですがインド由来の仏教の言葉のようです。

序盤のセリフのひとつ「服従させてもらう」はすごい違和感がありました。「服従する」という自動詞なので、自分が服従することになってしまいます。「服従させてやる」あるいは「服従してもらう」かと思います。
空の匣庭

空の匣庭

ProjectAmythos

萬劇場(東京都)

2024/04/25 (木) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演。チームCANAAN。
去る2022年12月、チームEDENとCANAANのうち、CANAANが中止になってしまいました。EDENとCANAANはまるっきり異なるストーリーで、キャラクターの名前が同じでもまったく異なるという、珍しい試みに期待していたところでした。自分はCANAANを観劇予定でしたが、結果としてEDENだけを観劇しました。
その半年後2023年6月の朗読劇「空の匣庭 Archives」はCANAANの前日譚。EDENで知ったことと合わせて、世界観がよく分かってありがたかったです。
そして満を持して今回のCANAANの公演。全員揃っているわけではないですが、持田さんを含めて多くの演者さんが、あの時やるはずだった役を。感慨深いものがありました。

余談ですが中止になった2022年のは「CANNAN」表記でした。パンフレットもそうなっています。SNSでうかがったのですが、実は綴りを間違えていたと。そんなわけで今回「CANAAN」に直されました。

ネタバレBOX

EDENとArchivesを知っている自分は設定をだいたい把握しているので、匣庭(シエル)の目的を知っています。それを踏まえてのことか、CANAANではまあまあ早めに秘密が明かされます。EDENでは明かされるのは最終盤でした。
実は「試練」をこなすことで解毒剤をもらっていた、というのがいいですね。もらえなければだんだん毒が効いて(=堕天して)、最後には消える、と。だから、外部とのインタフェースである精霊をやっつけてしまうと、管理されなくなって自由になるけれども、そのうち消えてしまう、と。すごい納得感があります。
持田さんのヨフィエルの「親友を殺した」というセリフがありました。それがどんな経緯だったかは、Archivesで示されています。それを知っているかどうかで物語の理解度がだいぶ違うと思います。柳瀬晴日さんのガブリエル、大力さんのサンダルフォン、鶴田葵さんのカマエルも同様です。

ちなみにArchivesはこれを書いている時点では有料(1070円 x 2)で配信されています。CANAANを観劇したあと再確認したくなり、購入して視聴しました。再度楽しめて満足です。
将棋無双・第30番 ~神局のヴァンパイア~

将棋無双・第30番 ~神局のヴァンパイア~

E-Stage Topia

上野ストアハウス(東京都)

2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「将棋無双・第30番」

昨年観劇した前作「将棋図巧・煙詰」で、真田林佳さん演じる伊藤看寿のセリフ「わが兄 伊藤宗看の将棋無双だって・・・」というのがあって、気になっていました。そして今回はその「将棋無双・第30番」。待ってました。

自分は昔いろいろ調べたことがあって、詰将棋の作問ルールやその難しさについては詳しい方だと思います。セリフに出てくる「不完全作」の意味も分かります。よくあるのが「余詰」と呼ばれるもので、別解があるものは不完全とされます。

完全作かどうかは作問ルールの範囲ですが、それを満たすだけでもけっこう大変なのです。しかも詰将棋はそれだけではなく、「問題として面白いかどうか」が重視されます。言い換えれば芸術的な価値です。

この「将棋無双・第30番」は手順を予習して臨みました。詰将棋としてすごい作品ですね。詰め上がり=最終形が「曲詰」と言われる、意味のある形になるものです。なんでも「神局」と言われているとか。これが江戸時代に作られたというのが驚きです。

ネタバレBOX

以前観劇した「煙詰」では伊藤看寿として出演されていた真田林佳さん。今回は5一の桂馬としての出演。看寿のときと同様の迫力あるお声は期待どおりでした。
そのペアとなる5三の成桂の中井杏奈さんとはまったく違う雰囲気なのが良かったと思いました。ペアを似たようなキャラで表現する舞台がけっこうあるのですが、遠目だとどっちがどっちか分からなくなってしまうので、はっきり違いがあるほうが好きです。
その桂馬と成桂は最初から最後まで動かないので話にどう絡むのか想像できませんでしたが、いろんな意味で絡んでました。

前作の煙詰ではギャグシーンは無かったのですが今回はテイストが変わって、遠慮なく笑ってよいシーンがたくさんありました。
前作にも出演された政田圭敬さんの「と金の精」にはびっくりしました。大笑いでした。
馬鋸でどう時間を使うかに注目していたところ、総動員でスピードアップして、これまた大笑いでした。
金将の出番が終わるシーン、まさか玉将が食べてしまうとは。飛び散る血の花が鮮やかでした。
何度も出てくる「反逆の逆十字」という言葉が詰め上がりを指していることは分かってましたが、最後に反転させるとは。その手がありましたか。

詰将棋を知らない人がどれだけ楽しめたかは分かりませんが、少なくとも、楽しめるように工夫されていたと思います。是非シリーズ化して欲しいです。
『封印壊除』

『封印壊除』

萬腹企画

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/03/21 (木) ~ 2024/03/25 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

倉田瑠夏さん出演。
2019年の再演です。初演は見ていないのですが、面白いという評判だったので待ってました。
倉田さんはすっかり萬腹企画さんの常連ですね。自分は萬腹企画さんの演目として6本目の観劇ですが、過去のどれも楽しく観劇できました。いちばん印象に残っているのは「怨霊撲滅屋」かな。
今回もコメディ要素たっぷり、迫力のあるアクション、考えられたシナリオ。とても楽しく観劇できました。

ネタバレBOX

倉田さんは雪女の役。最初は最近多くなってきたクールな役どころかと思いましたが、実際はクールではなかったかな。もともと声は低めだと思いますが、今回は(も?)ときおりドスを効かせて、その声を活かされてたと思います。また新たな倉田さんを見れたような気がしました。

レポーター役の若松春奈さん。最近どこかで拝見したはずなのですが、劇中では思い出せませんでした。トイレの花子みたいな座敷童は違う人?あれれ? といろいろ考えていました。あとで思い出したのですが、若松さんは8月の舞台「R-20」でトイレの花子 役をされていました。その印象が残っていたようです。今回の山本栞さんが演じた花子と記憶がかぶっていました。イメージが近かったですね。

そういえばですが、今回ムジナの妖怪「イヌガミギョウブ」役の伊藤佳織さんも「R-20」に出演されていて、口裂け女 役でした。イメージ通りと言ってはなんですが、伊藤さんは迫力のある役をいつも大迫力で演じられているという印象です。

終盤。洗脳的なものが解けたと思われるレポーターの若松さんが、大ボスの黒狐に対して、持っている機関銃で撃ちまくります。自分は下手(しもて)の席で目の前で若松さんを見ていたのでよく分かりましたが、けっこういきなりで予測できなかったので、はたして皆さん分かったのだろうかと心配になった次第です。
弾倉に薔薇を込めて

弾倉に薔薇を込めて

K-FARCE

萬劇場(東京都)

2024/03/06 (水) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

後藤郁さん出演。

K-FARCEさん舞台の出演は3度めですね。前回の「星降る学校」では感動して涙しました。
今回は一転して強めのコメディ。となるとteam-odacさん「浦安鉄筋家族」でのオカン役を思い浮かべますが、今回はどのような役かな、と。

いつものことですが出演者をあまり把握せずに臨みました。

菅野英樹さんが登場されたときは笑ってしまいました。「オモシロ曲者」のひとりですね。
2021年の舞台「菅生ゼミ休講のお知らせ3期」で拝見しましたが、ほんとに面白い役が似合いますね。今回はこうきたか、と。
「かんの祭り」というイベントでも拝見しました。そこでも面白い方だと思っていましたが、舞台の演技もやっぱり面白いです。

針谷早織さんがいかにも針谷さんという衣装で出てこられたのでこちらも笑ってしまいました。
「月に吠えろ、夜ヲ焦ガセ君ヨ」「時計塔のレイラ」などで拝見していますが、なんといっても「失創セブンスプレイ」でメインのひとり、主演級の演技をされたことが印象的でした。

ネタバレBOX

後藤ちゃんはギャグを受ける側でした。ツッコミというのかな。菅野さんのような与える側ではなく、という意味で。
セリフでは自分のことを「OL」と。その言葉、今時の会社では避ける用語なので演劇でも使わないほうがいいかな、と思います。聞くとひっかかってしまうので。

SNSで演者のみなさんもさかんに書かれてたとおり、一貫してコメディです。受けたりスベったりですが、見事にやり切ったと思います。

終演後にチェキ会がありました。後藤ちゃんは不参加とのことでした。

物販の方に過去公演のDVDありませんかとうかがいましたが、置いてないとのことでした。これはどの団体さんにも言えることですが、こういった現場で売ってほしいものです。

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