戦国アイドルタイム
企画演劇集団ボクラ団義
浅草九劇(東京都)
2018/06/27 (水) ~ 2018/07/15 (日)公演終了
満足度★★★★
全体に「手慣れた感」とか「こなれた感」といったものが溢れています。手を抜いたのではなく余裕でできてしまったという感じでしょうか。芝居も踊りも70点というところで十分楽しめます。内容的には時代劇の形を借りたマイルドな反〇劇ですが、それもまた70点の題材でしょう。
なんだか先週観た「人を殺して生きている」のピリピリ感が懐かしくなりました。あちらは旗揚げ公演でこちらは10周年という違いでしょうか。もしかするとタイトルに合わせて狙ってホンワカ感を出しているのかもしれませんが、まだまだ若い方々なのでどこか尖がったところが欲しいと思いました。
人を殺して 生きている
オザワミツグ演劇
王子小劇場(東京都)
2018/06/27 (水) ~ 2018/07/03 (火)公演終了
満足度★★★
[Bキャスト]の初日を観劇
私のような純真無垢な老人は観ていて精神を病みそうになった。こういう世界とは(表面上は)無縁で生きてこられたことに感謝したい気分だ。主宰は「観客の今後の人生に影響を与える事の出来る作品」を作りたいのだそうだが、私の観劇中の2時間10分と観劇後の数時間を暗鬱な気分にさせることには成功している。
内容は雨模様さんのネタバレBOXを読んでいないと分かりにくい。高校時代があってその9年後に事件が起こり、その原因を9年前に戻って記述するという構造になっている。私は初見の若い人の顔が覚えられないのでいろいろ混乱した。絶叫および絶叫調のセリフが多いのは安易だし飽きてくる。
瑞生(みずき)桜子さんが高橋弥生さんに代わっていた。ホームページもチラシも何の断りもなく最初からそうだったように高橋さんになっている。しかしCorichでは瑞生さんのままだ。また瑞生さんのTwitterは1か月以上更新が止まっている。私のような想像力豊かな老人は変な憶測をしてしまうよ。
(7/30追記)瑞生さんの twitter は 7/25 に静かに再開された。一安心。
最近よく使われる「花まる学習会王子小劇場」だが、JRで来る人は必ず北口から出ること。降りたところから近いといって南口から出たりすると地獄だ(体験談)。
ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ
ニ兎社
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2018/06/23 (土) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★
疑惑の渦中にある首相の会見が数時間後に迫っている。ここは国会記者会館の屋上、国会前のデモ撮影の一等地である。安田成美さん演じるインターネットTV局代表(兼記者兼カメラマン)が屋上の使用を断られるが何とか潜入に成功したところに大新聞社所属の記者が現れる…。
政治や報道に対する当てこすり的なストーリーはありきたりですが、役者さんは名人揃いなので、演技に注目するのが吉でしょう。作者の永井愛さんや役者さんのファン以外の方にはあまりおすすめしません。
シークレット・ガーデン
東宝
シアタークリエ(東京都)
2018/06/11 (月) ~ 2018/07/11 (水)公演終了
満足度★★★★
極端に低評価な感想があって観る前は心配でしたが、大傑作とは言えないものの、なかなかの佳作で、私の満足度は4つ星です。
一番若い(幼い)コリンを除けば、皆さん見事な歌を聴かせてくれます。石丸幹二さん、花總まりさんは余裕の歌で緊張感がないのが逆に不満なくらいです。ただ石丸さんと花總さんの歌声の相性にはやや?がつくかなとは感じました。私の一番の推しはマーサ役の昆夏美さんです。張りがあって若々しい歌声はTVで聴くよりずっと素晴らしいものでした。ベン役の石鍋多加史さんの歌声にもうっとりとしました。
今回は音響の良さも特筆ものです。いつもは文句を書いているシアタークリエですが、大人数の絶叫調の歌がないこともあってか実にクリアでした。小編成オーケストラの生演奏も鮮度を損なわずに増幅してくれます。この音の良さは5つ星ですね。
原作との違いですが、ミュージカルでは歌が命です。もし原作通りに10歳、10歳、12歳の3人を中心にしたならば、セリフはクリアできるでしょうが、歌は学芸会になってしまうでしょう。やはり別物として、楽しむところを見つけるのが吉だと思います。
ゲイシャパラソル
あやめ十八番
座・高円寺1(東京都)
2018/06/09 (土) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
【墨バージョン】を観劇
「○○○の陰謀」的な話は“アホクサ”だが、役者の演技力、芝居と音楽と踊りの構成の巧みさは素晴らしい。おまけに今回は終演後にミニライブがあって“あんたのお名前なんてーの”と会場全体で大合唱したため、まあ良いかあという気分になった。
ナイゲン
ILLUMINUS
浅草九劇(東京都)
2018/06/12 (火) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
アガリスク3本目にして初「ナイゲン」です。
相変わらず美味しい料理ですが濃い目の味付けは3皿目になるとちょっと鼻につくところも出てきました(具体的にはここでは書きません)。
アガリスクのメンバーが抑え気味の演技で他の役者さんに譲っているような感じがしました。それに応えてやり放題の1・2年の男子(甲斐優風汰さん、秋本雄基さん、澤井俊輝さん)が痛快です。とはいえ今回の私の一推しは前田友里子さんの監査委員ですね。大騒ぎの中でもしっかり通る冷静な受け答えが最高です。
ヘンリー四世
シェイクスピアシアター
ザ・ポケット(東京都)
2018/06/06 (水) ~ 2018/06/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
鷹野梨恵子さん演じるホットスパーがパワー全開で登場すると、口からはマシンガンのようにセリフを撃ち出し、眼からはレーザービームを発射して、あたりを焼き尽くしてしまった。いやあ、これで最後まで体力が持つのかなあと心配になるくらいだった。フォールスタッフ、ハル王子、ホットスパーの3人の対比を考えると力強い女性がホットスパーを演じるのは断然有りだと納得した。バックに流れる欅坂46「不協和音」もそれを象徴していてどんぴしゃりだった。鷹野さんは二部では娼婦ドルを演じる。こちらは演技の強さはそのままに女の濃密な色気をまき散らしていて、絡まれるフォールスタッフが羨ましくなった。そしてまたウェスモランド役では強さを封印し、落ち着いた演技もしっかり見せてくれる。というわけで一二部通しで観れば3つの味の鷹野さんが楽しめるお得な舞台だ。
タイムトラベラー
ミュージカル座
光が丘IMAホール(東京都)
2018/06/07 (木) ~ 2018/06/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
タイムトラベルものと言うと60歳以上なら「タイムトンネル(1966-67)」を思い出すだろう。トニーとダグの活躍を毎週ワクワクして待ったものだ。その第一回がタイタニック号であった。この舞台でもタイタニック号が1つのエピソードとして出てくる。「タイムトンネル」は大昔から未来まで行き宇宙人まで出てくるに及んでギャグドラマになってしまった。そんなにいくつも面白い話があるわけもなく30話も続いたのはすごいことだった。
さて、この「タイムトラベラー」ではタイムマシン製作者のイギリス人ジョン・テイラー伯爵が自分の家系を調べるために作ったという設定にしたので、時代は15世紀ヘンリー6世のころから現代までに限定される。そのおかげで(「タイムトンネル」に比べれば)しっかりと地に着いた話になった。過去を順に訪れてみると自分の祖先が結構立派なことをしているのに驚き、つい決定的なアドバイスを与えたりしてしまう。タイムパラドックスを一応気にしながらもどんどん影響を与えてしまうのはご愛敬。
祖先が皆、有名な事件に居合わせるというのはお芝居だから当然なのだが、これをどうやってエンディングに持って行くのかが現代に近づくにつれて心配になってくる。そこでジョンが明かしたタイムマシンを作った本当の意味を知って私は脚本のうまさに感動したのであった。
ミュージカル座は名前の通りに、素晴らしい歌声を聞かせてくれる。ダンスは現代的なキレッキレというものではないが、このステージにはピッタリのもので十分に盛り上げてくれる。フランスでのレジスタンス運動の場面では“「レ・ミゼラブル」のようでしょう”という煽りが入って、その通りで笑ってしまった。
珍しくポスターが売っていた。A2版(594x420)で500円。
最後に「タイムトンネル」が観たくなった昔の子供たちをがっかりさせることになるがDVDは英語音声版しかないのだよ。字幕もなし(泣)
*2023年に日本語音声版が出た(喜)
山茶花
ENG
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2018/06/06 (水) ~ 2018/06/10 (日)公演終了
満足度★★★★
ミニ「髑髏城の7人」という感じもする時代劇エンターテインメントである。とは言っても前半にダンスがあって、チャンバラシーンが多いということと時代設定が近いような感じがすること(向こうは秀吉の時代、こちらは不明)くらいで違っていることの方が多いのだが。もちろん客席は回らない(笑)。
初日から俳優さんたちの演技は完成度が高く安心して楽しめた。しかし、お目当ての那美さんの見せ場が少なかったということもあって、女優陣よりも何故か侘助の落語や演技に惹かれた。
しかし、3年前の「観てきた!」に書かれている、皆さんの不満点はそっくりそのまま残っている。素人とプロの見解の違いなのだろうか、残念なことである。
朗読三昧 2018年6月
朗読三昧
GINZA Lounge ZERO(東京都)
2018/06/03 (日) ~ 2018/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★
俳優・金田賢一さんの朗読(と歌少し)と作曲家・丸尾めぐみさんの歌とピアノ(とゆかいな楽器いくつか)が織りなす極上空間。もうコンビを組んで10年にもなるという。半年ごとの定期公演と誕生会(今年は7月22日にある)および臨時ものの他、呼ばれれば全国どこへでも出かけるとのことである。
今回は定期公演かつCD発売のリリース・イベントであり、会場は銀座7丁目のビルの7階にある「GINZA Lounge ZERO」というおしゃれなレストラン。12月の定期公演もここらしい。
一般的に朗読には生演奏のBGM付きが多いが、臨時の伴奏であるせいか、あまり調和していないこともしばしばある。この「朗読三昧」の場合はレギュラーなユニットであるので、お二人が対等にステージに責任を持っている。したがって音楽と朗読が邪魔をしあうことは原則的にない。もし音楽が朗読を消してしまったならばそれは彼らが意図したことなのである。
丸尾さんの歌はどのタイミングでもどんな声量でもいかなる調子でもすっと始まり、無理がない。年齢不詳の方であるが、公称は金田さんと同世代とのこと(微笑)。後半はちゃんと衣装を替えてくるというおしゃれさんでもある。
朗読の内容は
・インディアンの酋長からのアメリカ大統領への手紙
・おくのほそ道(の俳句に曲を付けたもの中心)
・いそっぷ詩(イソップ物語にインスパイアされた谷川俊太郎の2016年の作品)からいくつか
・落ち葉になったフレディ
などである。60分+20分休憩+60分であった。
90分前から開場しているので、ゆっくりと食事をとることもできる。入場料の他にワンドリンクが必要で、ちょっと恐れていたのだが、ソフトドリンクは600円と普通であった。
私的には少し泥臭さとか陰りがあると良いのだがそれは無理な注文である。ハッピーな朗読と歌を求める人はぜひ一度行ってみよう。今回の会場は向かい合わせの長テーブルが3列で定員90人くらい。小さな丸テーブルに一人だけよそ者で困るということはない。
TRUSH!
劇団6番シード
六行会ホール(東京都)
2018/05/30 (水) ~ 2018/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
6番シード結成25周年公演の第一弾はウェスタン・ミュージカル・コメディである。前回の番外公演とは打って変わって、わかりやすさ、楽しさ全開となっている。
ここでは演劇の部分は他の方にお任せして(美少女)ミュージカルの部分に絞って書くことにする。()が付いている理由はお察しください(笑)。
特筆すべきはダンスカンパニー・チャイロイプリン(CHAiroiPLIN)からの4名の参加である。とくにエリザベス・マリーさんは役者の他に振付を担当し、清水ゆりさんはアコーディオンの生演奏とオリジナル曲の作曲を担当している。増田ゆーこさんも当然ダンスの指導をおこなっているだろうし、ミュージカル部分はCHAiroiPLINにほとんど丸投げになっているものと想像される。
出演者32名のうち21名が女性である。実は21名というのはAKB系の女性アイドルグループの選抜チームの人数と同じであり、普段TVなどで見ている彼女らの人数である。多人数による迫力がありながら個々のメンバーの動きが埋もれない、黄金の人数なのである。アイドルグループのダンスも昔はお遊戯だったが、今は一流の振付師がついて、その激しさに歌は口パクになるところまで行っている(行きすぎだが)。今回の振付も、そういう系統のもので、いくつかのパートに分けて細かく動きを付け、集合し、離散し、ダイナミックな動きを作り出している。衣装の統一感がダンスを引き立て、舞台の大きさもドンピシャリで高い完成度が楽しめる。また、この種のステージでは珍しくタップダンスが披露される。樋口靖洋さんのちょっと?なパフォーマンスで観客を不安な気分にさせ、最後に女性陣がビシッ!と締める構成もうまい。
生演奏をする楽団はアコーディオン+歌の清水さん、バイオリンの田村龍成さん、パーカッションの松下高士さんの3人である。清水さんには演奏者、歌手ではなくアーチストのオーラがあった。もっとも初日のせいか歌が一杯一杯になっていたようなところもあった気がする。田村さんは自由自在に余裕の演奏で祭りの主役であった。しいて注文を付けると、悪人どもをおとなしくさせるところではもっとベタで泣ける演奏にしてほしかった。松下さんはパーカッションとは言っても箱一つで迫力のあるリズムを叩き出していた(この箱はカホンという楽器らしい)。
衣装は映画でよく見るアメリカ西部開拓時代のもので、しっかり作られた舞台セットと相まって観客の気分を高揚させてくれる。
アメリ
ミュージカル『アメリ』製作委員会2018
天王洲 銀河劇場(東京都)
2018/05/18 (金) ~ 2018/06/03 (日)公演終了
満足度★★★
カーテンコールで我が耳を疑った。
渡辺麻友さん(以下「まゆゆ」)の挨拶に続いて日替わりで話す俳優が言うに事欠いて
「(観客が)静かすぎる。拍手が少ない」
などと暴言を吐いた。折角、満足して帰途に着こうとしてしていた観客に、冷水を浴びせるとは。楽しさを売る職業としては最低の行いだと私は思うのだが、彼には彼の理屈があるのだろう。今後、彼の出る映画や舞台を観なければ良いだけだ。以下、怒りを抑えて振り返ってみる。
「まゆゆ」の歌声は澄んでいて張りがあり、しっかりとした意思が伝わってきた。他の声に埋もれない素晴らしい声質だと思う。大きな課題は、AKB時代には不要だったビブラートである。やはりミュージカルはこれがないと盛り上がらない。
「まゆゆ」以外の皆さんの歌唱力はいろいろだ。ソロはまだしもコーラスになると不揃いさが目立つ。ソロでも「エルトン・ジョン」役の歌は論外のレベルだった。本当は実力派で回りを固めて初ミュージカルの主役を支えるべきなのだが、舞台セットの安っぽさといい、もう少しお金をかけてほしいものだ。
最初に戻ると、拍手が少ないのは、終わったかどうかはっきりしない、歌によっては終わるとすぐセリフが始まるなど演出の問題も大きいと思う。もっとも今回もそれなりに拍手はあったので観客の一人としてはイチャモンを付けられるのは心外なのだが。
怪談 牡丹燈籠
文学座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2018/05/25 (金) ~ 2018/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★
三遊亭円朝(1839-1900)の傑作落語を大西信之が文学座のために脚本を書き下ろし、杉村春子+北村和夫で1974年から上演され評判となったものの新しい役者による鵜山仁の新演出での再演。60分+20分休憩+60分
円朝の話は非常に多岐にわたっていて、大西版は前後をかなりカットしている。
あらすじは文学座のウェブサイトにある。「文学座 牡丹燈籠」で検索しよう。
簡単に言うと、前半は色と欲に目が眩んだ男女二組のお話。すぐに幽霊が出て来てテンポ良く進んで行く。お米の「伴蔵さん」の低い声が最高に怖いやら可笑しいやら。お峰伴蔵のセリフ回しも快調!
後半は悪人どもに天罰が下るお話。こちらは少しテンポが悪く中身もすっきりしない。
年齢が高いほどしっくりくるはず。私の行った回はおそらく平均年齢は70歳近いと思われる。
Flamenco マクベス
DIAMOND☆DOGS
THEATRE1010(東京都)
2018/05/23 (水) ~ 2018/05/27 (日)公演終了
満足度★★★
東山義久さん率いる男性7人組のユニットDIAMOND☆DOGSが、元宝塚トップスターの水夏希さんと人気子役の木村咲哉さんを迎えて行うアクションミュージカルに、フラメンコ界の小島章司さんがゲスト参加しているという仕組みになっています。これらの方々のファンの皆さんにとっては満足の行くステージであると思います。以下は、積極的なファンとは言えない、いわば部外者の愚痴です。
「Flamenco」と表題に入っていますが小島さんが上段の奥の方で踊るシーンが2回あるくらいでフラメンコの香りは限定的です。私は水さんがバラの花をくわえ、フラメンコ・ギターに合わせてステップを踏む姿を夢見ていたのですが、かないませんでした。音楽的にはドラムとパーカッションが重用されているので「ドラム マクベス」が合っています。尺八の迫力ある演奏もかなりのものでした。
もっともその「マクベス」ですが、森が動く話などが大幅にカットされているのは仕方がないとして、木村さんの出番を増やすために、バンクォーの息子が次の王になるという改変を行っているのはどうかと思います。もっとも原作にはないバンクォーが殺されるシーンは見ごたえのある改変でした。木村さんは踊りはさすがですが、歌は子供の声なので雰囲気が壊れてしまいました。子役に過度に頼ってはいけません。
舞台は3段になっていてドラムセットとパーカッション+大太鼓だけで装飾は一切ありません。いろいろな場所になるので特定のものにはできなかったのは分かりますが、もう少しなんとかならなかったものでしょうか。
それから開演後35分に客席に道化が観客をいじりに入ってくるのですが、折角物語に集中し始めたタイミングで水を差しにくるとは、何を考えているのかと怒ってしまいました。
スタントウーマン!
朝倉薫プロデュース・ガールズハイパーミュージカル
シアターブラッツ(東京都)
2018/05/22 (火) ~ 2018/05/27 (日)公演終了
満足度★★★★
華厳組を観劇
真島なおみさん、チラシの写真よりずっと魅力的な女優さんです。170㎝の長身でちょっとがっちりした印象もあります。美人でスタイル抜群、あまりの完成度にTVや映画ならCG疑惑が出たのではないかと思うほどです。
太田美月さんを初めとする他の女優さんも可愛く、ここまでは5つ星。
踊りもまあまあです。一人だけ側転、バック転が自在な人がいましたが、二人いるとバラエティ豊かな振付ができるなあと夢想しました。
殉情わりだす演算子
電動夏子安置システム
赤坂RED/THEATER(東京都)
2018/05/23 (水) ~ 2018/05/27 (日)公演終了
満足度★★
普通のドタバタ・コメディです。
表題に“演算子”という数学やコンピュータ言語の用語があって、何かロジカルな話を期待してしまいますが、全くそんな要素はないのでお間違えなく。
その探偵の名、〜エコソン少年の殺人〜
インプロカンパニーPlatform
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2018/05/19 (土) ~ 2018/05/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
観客参加型の即興的要素の多い推理劇です。基本的にコメディですが犯人当ての部分はガチです。なかなか面白い方式で私は大いに楽しめました。こういうものの愛好家には絶対のお勧めです。
カーテンコールで、その場限りのものなのでネタバレという概念はなく何でも書いて結構という発言があったので、少し丁寧に紹介しておきます。
「インプロカンパニーPlatform」という団体は「即興と台本の越境(コンセプト・インプロ)」を旗印に、いろいろなイベントを主催しているようです。観客からお題をもらったり、重要な選択を観客に委ねたりするのが特徴です。
今回の「その探偵の名、~エコソン少年の殺人~」ではおおよそ以下のように仕掛けになっています。私も初めての観劇なので細部で間違いがあるかもしれませんがご容赦を。
まず短い殺人のシーンの後、刑事と7人の容疑者が登場します。
容疑者は被害者の愛人や家政婦、会社の部下などです。
容疑者は
殺意/嫉妬/尊敬/母性/友情/依存/恐怖/愛情
と書かれた8枚のカードから1枚を引きます。これは容疑者が被害者に対して持っていた感情を表します。もちろん「殺意」を引いた者が犯人となります。だれが何を引いたかは観客にも本人以外の役者にも分かりません。
容疑者はその感情を持っていることを表すようにアドリブを加えて台本を演じます。どの程度、感情を表に出すかは役者に委ねられているようで、さりげなく、しかし後で振り返ったときに「あれがそうだったのか、なるほど!」といわれる演技をおそらく目標としているのでしょう。
本編が始まる前に、殺された被害者の職業を観客に決めてもらいます。私の回は「不動産」という発言だったので「不動産屋の社長」ということになりました。以下、台本をそのように読み替えて演技をするのです。
そこからは刑事(と一部で観客)の指定した容疑者(1~2名)と被害者との最近のエピソードが演じられます。それを見て刑事がその容疑者の持っている感情(=引いたカード)を当てます。ここはいくつかの候補から観客の拍手で決めたりもします。当たった場合は以後、刑事と一緒に推理をすることになり、外れた場合はそのまま演技を続けます。一定の長さの演技をしますので、そう何回も当てる機会があるわけではありません。私のときは6~7回目くらいで犯人を当てましたが、それ以前の公演では時間切れで当てることができなかったそうです。刑事は被害者役も演じるので、忙しくて推理に集中できないので無理もありません。
観客がすることは上で書いた以外に最初に配られる小さな紙にキーワードを書いて提出することがあります。その紙は集められ、途中の寸劇の中でくじ引きされて使われ、話をカオスに陥れたり、歌の題名になったりします。なお、解答用紙を回収して正解者には賞品というような企画はありません。
劇の途中で意見を聞かれたりするのは困るという人は、×マスクをもらうことができますし、前2列、通路側2列を避ければまず聞かれないでしょう。
なんだか説明がよく分からないという方も含め、ここまで読んだ方はぜひ劇場へ!
はりこみ
殿様ランチ
駅前劇場(東京都)
2018/05/16 (水) ~ 2018/05/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
チラシの図案からは松本清張風の刑事ものを想像しましたが実際は180度違うものでした。しかし、その勘違いが幸いして今まで観たことのないような舞台に、脳味噌が大喜びです。マンガでいうと、中崎タツヤかポテチ次郎が書いた「はりこみ」という題名の4コマあるいは短編の連作を読んでいるような感じもしました。ただし、あくまで私のイメージで全然違うじゃないかと後で追及されても困ります(笑)。
会話劇ですが、普通の会話から、いつもはかけているリミッターを外したものが多く、本音より先に行き過ぎてしまうものもあって、笑いながらも結構怖くなることもあります。もちろん、ほとんどは「ぐはは」と笑ってしまうものですが、「なるほど」と納得させられるものもある一方で、「それはないわ」というものも紛れ込んでいて油断ができません。
それぞれの会話は「はりこみ」とは関係のないものも多いのですが、全体としては確かに「はりこみ」だったなあと納得させられます。私の筆力、記憶力の欠如で実態にあまり迫ることができていませんが、(ドタバタでもエログロでもない)おバカな演劇を観たいという方には絶対のお勧めです。
NoBody,NoParty
東京AZARASHI団
シアターサンモール(東京都)
2018/05/16 (水) ~ 2018/05/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
観客の笑いでシアター・サンモールが揺れてました。喜劇としての面白さに仕掛けの面白さが加わって、すっきりと笑いながら深く感心しました。アイディア勝負の面があるので肝心のところが書けないのが残念ですが、芝居のアイディアとか仕掛けとかが好きな人は必見です。
最後がグダグダべたべたになったので減点したいところですが、秘書役の那海さんにハートを射抜かれてしまったので星は5つです。
なおORICON NEWS 4/13 に那海さんのインタビューが載っています。
“5/16(水)から始まる舞台「NoBody,NoParty」に出演! 那海さんにインタビュー”
少しだけ引用すると
『あるお屋敷で連続殺人事件が発生する』という内容の舞台を上演する劇団の物語で、舞台で行われているお芝居の中でいろんなハプニングが起こってしまい、それをどう乗り越えられるか?というのを見せていく作品です。…
ということです。…から先はネタ晴らしになるので知りたい方は元記事をご覧ください。
底ん処をよろしく
東京ストーリーテラー
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/05/16 (水) ~ 2018/05/20 (日)公演終了
満足度★★★★
平成の今に、戦後間もなくから始まる大衆食堂がある。
頑固一徹の父を婚期を逃した娘が助けているが、そんな食堂も時代の流れで経営は今や風前の灯火。
そこを舞台にした常連さんと訳ありの新規客が巻き起こす(少し)笑って(大いに)泣ける物語、と書けばあとは皆さんの想像通りの昭和人情劇の王道の展開である。
役者さんも若い人からベテランまで適材適所で安定した演技を見せてくれる。こういうドラマの愛好家にはもちろん、そうでない方にも年に一度の観劇をお勧めしたい。
まあしかし、あまりに典型的でもう少しなんとか新しい試みはできないのかという不満もあるので星は4つ止まり。時代劇と同じで「余計なことはするな王道をまっすぐに進め」という方には星5つだろう。
途中で店の宣伝のビラが配られるので積極的に貰っておけば後で良いことがあるかも。