MaTsuの観てきた!クチコミ一覧

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『Woman 〜源氏物語より〜』

『Woman 〜源氏物語より〜』

ミュージカル座

六行会ホール(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/08 (日)

今年1月の「スター誕生」以来5回目のミュージカル座さんの作品を観劇。すっかりお気に入り劇団の一つとなっていますが、今回は今から1000年以上前、紫式部によって描かれた「源氏物語」を題材とした歴史モノのミュージカル。どのようなテイストに仕上がっているのだろうと興味深く拝見させて頂きました。源氏物語をそのまま上演するのではなく、源氏物語を読んでいる現代に生きる一人の女性にスポットを当てている点が秀逸で、二つの世界が上手く絡み合い、非常に奥深い作品になっていたと感じました。平安時代と現代。1000年のときを超えて変わらない部分もあれば変化してきている部分もある。この作品を通じて幾つもの発見、気付きがあったような気がします。そしてやはり源氏物語は今も色褪せない作品であると再認識しました。また、2時間40分の中にミュージカルナンバーが40曲もあったこと、さらに生演奏であったことにも驚き。今まで観たミュージカルの中で最もボリューム感のある作品だったように感じます。様々な人物が登場する華やかで心温まる素敵なミュージカルであったのは勿論ですが、笑いを取りに行くシーン、役者さんが客席に降りて会場を温めるシーンなどもあり、とにかく色々詰め込まれた盛り沢山の作品でした。

正しい顔面のイジり方

正しい顔面のイジり方

スマッシュルームズ

シアター711(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/07 (土)

下北沢シアター711にて「正しい顔面のイジリ方」というインパクトのあるタイトルの作品を観劇。スマッシュルームズ&SRさんの作品観劇は「痴女を待つ」「寒い日に薄着だと寒い」に続き3本目。タイトルも然ることながら統一感のある個性的なフライヤーも魅力の一つと感じています。タイトルから何となく整形に纏わるストーリーなのかなと想像はしていましたが、当日配布のリーフレットを読むまでは松山ホステス殺害事件を元にした物語ということはピンときませんでした。なるほど。 5組の男女がそれぞれのストーリーを進行していく非常にテンポの良い作品で、かと言って一つ一つのストーリーが浅いということは一切なく、濃密で且つ緻密に計算された展開ぶりは適度なスリルと高揚感を与えてくれました。10人の役者さん全員が最初から最後まで常にステージ上にいて、別の人物役やモノ役、セット転換など様々な役目を果たしていたのも斬新でお見事でした。箱の移動やジェスチャーだけで様々なシーンを創り上げることが出来るのは凄い。同じシーンでも別角度からの目線で見せる工夫もあり見応えがありました。とにかくアイデアに満ち溢れた作品という印象です。各役者さんが発する方言もとても自然に聞こえました。偽名・整形を繰り返して逃げ続けた女の物語。フィクションなので当然実際の事件とは異なる部分はあるものの、仕掛けが多い凝った謎解きのようで楽しめました。

ミュージカル「遠ざかるネバーランド」

ミュージカル「遠ざかるネバーランド」

ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ

俳優座劇場(東京都)

2018/03/28 (水) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/01 (日)

俳優座劇場にてミュージカルカンパニー イッツフォーリーズさんの「遠ざかるネバーランド」を観劇。毎年俳優座劇場でミュージカル作品を上演されているようですが、個人的には初見の劇団さんでした。ピーターパンが登場するネバーランドの世界を題材としていたことや若手の役者さんが多く出演されていたこともあり、とてもエネルギッシュでフレッシュな印象を受けた一方で、個々の演技力は非常に高く、完成度の高い作品に仕上がっていたと感じました。特にミュージカル作品にとって最大の見せ場であるミュージカルナンバーの数々は、様々な役者さんがソロで歌うシーンが多くありましたが、どの役者さんも非常に歌唱力が高く、見応え聞き応えがありました。ストーリー的にもファンタジーな世界観とダークな世界観が入り交じっていて、結末もなかなか衝撃的。途中休憩を挟む長めの公演でしたが、ワクワクしながら拝見させて頂きました。

おかえりのないまち。色のない

おかえりのないまち。色のない

キ上の空論

吉祥寺シアター(東京都)

2018/03/10 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/11 (日)

キ上の空論「おかえりのないまち。色のない」を観に吉祥寺シアターへ。こちらも初見の団体さん。公演時間2時間10分。交わりそうで交わっていない幾つもの点と点が折り重なったような作品。登場人物の相関図などを整理しながら最初から頭をフル回転させて拝見させて頂きました。突然の暗転や大迫力の効果音など演出に優れており、恐らく100%の理解は出来ていませんが、クライマックスで点と点が繋がったときは鳥肌が立ちました。あのような結末が待っているとは完全に想定外でしたし、何となく恐ろしさも感じました。キャストさんの経歴を見ると舞台以外にも様々な分野で活動されているバラエティーに富んだ方々ばかり。皆さん演技力が高く、とても華やかで見応えのある作品でした。2時間10分という長さは全く感じなかったです。

papillon/春待つ町

papillon/春待つ町

ゆめいろちょうちょ×Ordinarist'sBox.

ギャラリーがらん西荻(東京都)

2018/03/06 (火) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/11 (日)

ゆめいろちょうちょ「papillon」を観にギャラリーがらん西荻へ。初見の劇団さん。蛾と蝶とそれを愛する一人の男の奇妙な恋の物語。キャスト4名、公演時間60分というコンパクトな公演ながら、内容は非常に奥深く、物語の世界にグイグイと引き込まれました。蛾と蝶と男の心情が上手く表現され、それぞれの距離感も絶妙。どの立場にも共感出来、クライマックスもなかなかの衝撃具合でした。男性の話を淡々と聴く一人の女性の存在も大きく、物語を分かりやすくしていたと思います。60分の中に複雑な心情が上手く凝縮された作品という印象です。生演奏も心地よく、良いアクセントになっていたと思います。もう少し大きな会場でゆっくり観劇出来れば尚良かったと感じました。

沈黙の音

沈黙の音

演劇企画アクタージュ

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2018/02/15 (木) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/02/17 (土)

第4回公演以来、1年ぶり2回目となる演劇アクタージュさんの作品を観劇。今回は密室で起きたある男性の死を巡る推理サスペンスのような作品。推理(犯人探し)が二転三転する展開は、とても1時間20分とは思えないくらいに濃く見応えのある内容で、ドキドキハラハラしながら拝見させて頂きました。コメディー的な要素は一切無くとてもシリアスな内容の作品でしたが、完全にストーリーに引き込まれました。薄暗い不気味な照明や細かい部分までよく創られた舞台セットは密室感がよく再現されていて優れていると感じました。そして個人的に演劇企画アクタージュさんを語る上で欠かせない存在と思っているのが主宰の方の熱心さ且つ丁寧さ。とても誠意が感じられて応援したくなります。

Sing a Song

Sing a Song

トム・プロジェクト

本多劇場(東京都)

2018/02/07 (水) ~ 2018/02/16 (金)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/02/11 (日)

すっかりハマっているトム・プロジェクトさんのお芝居。時代の移り変わりによって得られているもの、失われているもの、変わらないものを舞台を通じて教えてくれるような作風が大好きで、観終わった後は毎回様々なことを考えさせられます。今回は戦時中の一人の歌い手さんとその歌を愛した人々の物語。戦争モノの作品ではありましたが、戦争の惨劇を直接的描いたもののではなく、「SIng a Song」というタイトルが示す通り、“歌”にスポットを当てた作品で、ナレーションによる時代設定や状況の解説などもありとても分かりやすいストーリーに仕上がっていたと感じました。いつの時代も歌の存在は大きい。改めて歌の素晴らしさも再認識しました。また、今回は個人的に特に大好きな役者さん達ばかりが集まった作品でしたので、とても嬉しく普段にも増してじっくりと拝見させて頂きました。感動しました。

ここから

ここから

ソラカメ

王子小劇場(東京都)

2018/01/24 (水) ~ 2018/01/28 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/01/26 (木)

前作「熱狂パンク」に続いて2度目のソラカメさん作品の観劇。雑然とした舞台セットは何となく不気味さが漂い、爆撃音や銃声が鳴り響く中を叫び走り回る冒頭シーンは何となく恐ろしい雰囲気。これは戦争モノの作品なのか、と思いましたが、途中からギターやブレザー制服なども登場し頭の中が混乱。恐らく2つの時代が存在する?設定だったのかもしれませんが、正直なところ曖昧なまま終わってしまった印象です。色々連想もしましたが、イマイチ点と点が結び付かないような作品でした。70分という公演時間を考えると、背中が痒いシーン、穴から身体が抜けないシーンなどに尺を取りすぎている印象も受けました(そのシーンがストーリー展開上重要な役目を果たしているのなら良いのですが、無くても問題ないシーンだったような気がします)。役者さんの声量や台詞の聞き取りやすさなどは安定感がありましたが、前作が面白い作品で好印象だっただけに、今回は少し物足りなさを感じました。次回に期待します。

えい子とエイトのふしぎな休日!

えい子とエイトのふしぎな休日!

えいえい とー!(えいと)

しもきた空間リバティ(東京都)

2018/01/20 (土) ~ 2018/01/21 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/01/21 (日)

未見の団体さんですが、元千葉ロッテマリーンズの里崎智也氏の舞台デビュー作ということで目に留まった作品。公演チラシが無く、ストーリーなどの予備知識も乏しい中での観劇でしたが、23本もの様々なコントが登場するコメディー作品で、結果としては楽しい90分を過ごすことが出来ました。23本のコントの中で特に印象に残ったのは「②どすこいスピードラーニング」「⑤チェンジ」「⑩ベンチリポート」「⑱夫婦げんか」の4本。里崎氏が出演していたから、というよりはストーリー展開が面白く、短編作品ながらも見せ場が多くありオチもしっかりしていたという点が高評価でした。「⑱夫婦げんか」は里崎氏の個性・特徴が存分に生かされており、初舞台とは思えないほど圧巻のパフォーマンスが光っていました。団体としては今回が2回目の公演らしいので、今後も新作コントに期待したいと思います。

スター誕生

スター誕生

ミュージカル座

中目黒キンケロ・シアター(東京都)

2018/01/10 (水) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/01/11 (木)

2018年の観劇始めはミュージカル座さんの「スター誕生」から。1970年代にTV放送されていたという人気番組「スター誕生!」をモチーフにした作品。自分が生まれる前の番組なのでリアルタイムに見たことはありませんでしたが、今も語り継がれている伝説の番組であるという認識は持っており、どんなステージが繰り広げられるのだろうと気になっていた作品でした。結論から言えば期待を上回る星5つの満足度。上演時間2時間10分の中に25曲ものオリジナルのミュージカルナンバーが詰め込まれており、見応え聴き応え十分。登場人物も個性的なキャラクターが多く、1人1人にスポットライトが当たるように工夫されていた点も◎でした。華やかな印象がある芸能界ですが、それぞれに様々なドラマがあり、決して華やかさだけではないリアルな実情、厳しさなども垣間見られてストーリー的にも面白かったです。また、“スター”という言葉は芸能人やスポーツ選手など表舞台に立つ人間だけに当てはまるものではなく、誰にでも当てはめることが出来る言葉であるような気がしました。フライヤーに書かれている<さあ、それぞれの山に登ろう!>の意味合いも何となく理解出来たような気がします。登場人物のその後のストーリーやオチもしっかりと描かれていて、観終わった後のスッキリ感も満足。新年のスタートに相応しい素敵なミュージカル作品でした。

この泥棒ネコッ!

この泥棒ネコッ!

劇団ハーベスト

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2017/12/22 (金) ~ 2017/12/28 (木)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/12/24 (日)

今年の観劇納めは劇団ハーベストさん。「杜町ペッパージャム」「芸能事務所 錦芸能舎の夏」に続いて今年3本目の観劇。毎回リアリティーがある会話劇が楽しめる印象がありますが、会社の忘年会旅行を舞台とした今回の作品も同じように女のバトル的な痛快な会話劇が楽しめました。ある一人の男性を巡っての女の醜い争い。攻撃、仕返しの絶妙な展開が面白かったです。また、クライマックスで登場する落語の披露はとにかくお見事。時間にして何分間あったでしょうか。あれだけの長い演目をきっちり覚え、実際の噺家さんのように落語を披露されていたので驚きました。1時間20分の公演ながら、内容が厚く見応えがありました。劇団ハーベストさんの作品は誰が観ても楽しめると思います。

俺は大器晩成、~四十にして大輪を咲かせる予定~

俺は大器晩成、~四十にして大輪を咲かせる予定~

劇団献身

駅前劇場(東京都)

2017/12/20 (水) ~ 2017/12/24 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/12/24 (日)

下北沢の駅前劇場にて劇団献身さんの作品を初観劇。身動きが取れない程に会場は超満員。主宰の方がユニークな前説で会場の雰囲気を和ませ、疾風感のあるカッコイイBGMと照明で本編がスタート。6年前に上演した作品のリメイク版という今回の作品は、主宰の方が6年前22歳の時「こうだったらけっこうやばい自分の28歳の状況」を想像しながら書き上げたもの。簡単に言えばミュージシャンになる夢を追い続けるものの、なかなか夢が実現しないまま年月と絶望が訪れるという展開のお話でしたが、絶望感がコミカルに描かれていて決して重々しくなく、どんな展開になるのか興味深く拝見させて頂きました。ストーリー的には奥深さはなかったものの、若者らしい視点で世の中を捉えたなかなかアグレッシブな作品だったと思います。下ネタが多かったためかやや品を欠いた印象になってしまった点、一番何を伝えたかったのかがやや曖昧に感じてしまった点が残念。

夢一夜

夢一夜

加藤健一事務所

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2017/12/06 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/12/15 (金)

折込チラシを見ていて目に留まった加藤健一事務所「夢一夜」を観劇。節目の100回公演のようでしたが、個人的には初見の団体さんでした。“トランスベスタント(異性装)、LGBTの人々や、アーミッシュの人々にスポットを当て、私達の生き方やアイデンティティを問う問題作がついに本邦初上陸!”という言葉が示す通り、今まであまり考えたことが無かったテーマについて深く考えさせられた作品でした。そもそもトランスベスタント、アーミッシュという言葉自体ほとんど馴染みがないような状況でしたが、役者さんの好演によってそれぞれの意味を理解し、それぞれの生き方について今回初めてまともに知識を得られたような気がします。世の中には様々な人がいて生き方も様々。何が正しくて何が間違っていると判断することすらも難しいと思いますが、私達は何を受け入れてどう生きていけば良いのかを見つめ直すきっかけとなるような作品でした。約2時間の公演。笑いを誘うシーンもありましたが、難しく重いテーマの作品だった印象です。

25年目の家族

25年目の家族

モーレツカンパニー

ウッディシアター中目黒(東京都)

2017/11/16 (木) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/11/18 (土)

モーレツカンパニーさんの作品観劇は「MAMORU」「アナログコミュニケーションズ」に続いて3回目。毎回優れたコメディー作品を上演されている印象がありますが、今回は下町のもんじゃ屋さんを営む、とある家族の物語ということもあり、コメディー要素に加えて涙を誘う感動シーンありの盛り沢山の内容でした。複雑な背景を持つ家族に巻き起こるドタバタ騒動。そんな騒動を経て、家族の愛情や絆の大切さを問いかけてくれる心温まるストーリーに感動しました。一概に“家族”と言っても、それぞれの家庭によって様々ですが、仮にどんな複雑な事情があったとしても家族というのは特別なものであり、必ずどこかに愛情があるものだということを改めて認識させてくれた作品でした。一見単発そうに見える小ネタの伏線回収さもお見事。昭和テイストな懐かしさを醸し出す舞台セットは、扉を開けた時に少しだけ見える向かい側のお店や店舗内の窓ガラスの汚れ、壁面の色合いなど細部までよく創り込まれており、今回のテーマにマッチした温かい雰囲気だったと思います。江戸むらさきの野村浩二さん、ザ・たっちのたくやさんの芸人さんに加え、Jリーグ女子マネージャーの佐藤美希さんら役者さんの華やかさも素晴らしい。前作とはガラリと違った役どころの上田理絵さん、中沢徳人さん、初舞台という石田安奈さんらの好演も光っていました。

「フエルサブルータ」(FUERZA BRUTA)

「フエルサブルータ」(FUERZA BRUTA)

アミューズ

ステラボール(Stellar Ball)(東京都)

2017/08/01 (火) ~ 2017/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/12 (日)

世界30ヶ国・60都市以上で500万人以上の観客を魅了しているという『フエルサブルータ』の日本公演「WA ! ‒ Wonder Japan Experience- 」を初鑑賞。”仮想バーチャルじゃない、リアルな幻想世界へ—。熱狂の70分!!” と紹介されている通り、重力に逆らって壁や宙を舞うパフォーマンスや客席の頭上で繰り広げられる巨大な透明プールでのパフォーマンスなど、とにかく今まで観たことがないありえない光景の数々に会場が熱狂に包まれていました。薄暗い独特の雰囲気の中で繰り広げられるアクロバティックなパフォーマンスは圧巻。会場でしか経験出来ないライブ感、一体感があると感じました。ただ、70分のステージパフォーマンスは一つ一つが単発であり、連続して押し寄せてくるような圧倒的な興奮が少なかったのが残念。シルク・ドゥ・ソレイユさんの作品のように、ある程度テーマが決まっていて、ストーリー仕立てになっているとより良かったと思います。とはいえ、非日常体験には満足です。

ひみつ

ひみつ

タクフェス

サンシャイン劇場(東京都)

2017/10/31 (火) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/11/10 (金)

タクフェス待望の新作「ひみつ」を観劇。前身の東京セレソンデラックスの頃から毎回拝見させて頂いている宅間孝行さん脚本の作品。今回は冤罪という重いテーマを扱った作品でしたが、決して重さだけが先行せず、要所々々に笑いを散りばめながら核心を突いていくような見事な作品でした。ネタバレにならない程度に感想を書かせて頂きますが、オープニングの映像シーンからエンディングの感動的なシーンまでとにかく凄い。まさに笑いあり涙あり。巧みに創り上げられた良質な作品だったと感じました。タイトルにもある通り次々と「ひみつ」が明かされていく展開はとても見応えがあり夢中になりました。さらにタクフェスの凄いところは、物語の内容は勿論、開演前の役者さんとお客さんとのふれあいタイムや本編終演後のダンスタイム、写真撮影タイムなどが盛り込まれていること。一度で二度、三度の感動と興奮を味わせる究極のエンターテインメントだと思います。公演パンフレットも読み応え満点。主宰の宅間さんのサービス精神には脱帽です。戸田恵子さん、福田沙紀さんの母娘役の熱演、元EXILE松本利夫さんのキレのあるダンス、しずちゃんベンガルさんのユニークなキャラ、赤澤さん益田さんのコントなどなど、挙げたらキリがないくらい出演者さん全員が素敵でした。アドリブも多いので何度観ても楽しめると思います。東京公演は終わりましたが、他の会場でも観てみたいものです。

坂の上の家

坂の上の家

(公財)可児市文化芸術振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2017/11/03 (金) ~ 2017/11/10 (金)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/11/05 (日)

“過去の優れた戯曲に焦点を当て、リメイクして作品を再評価する”というala Collectionシリーズの公演を初観劇。長崎の坂の上に建つ家を舞台とした家族の物語。奥行きのある精巧に創られた家のセットが非常に美しくリアリティーがありました。また、長崎弁はもちろん、被爆二世、長崎大洪水、皿うどん、精霊流しといった長崎ならでは背景や特徴が盛り込まれており、よく研究され創り込まれていると感じました。1982年に起きた長崎大洪水で両親を失った三兄妹と被爆二世の恋人。負の経験・記憶がありながらも再生していく家族の物語はなかなか興味深かったです。笑いを誘うシーンもあったものの、全体的には物静かな印象の作品でした。ストーリー展開、役者さんの演技ともにもう少し抑揚があればより良かったかなと感じました。精霊流しをイメージしたような照明演出は見事でした。

しゃぼん玉の欠片を眺めて

しゃぼん玉の欠片を眺めて

TOKYOハンバーグ

サンモールスタジオ(東京都)

2017/10/25 (水) ~ 2017/11/07 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/11/03 (金)

TOKYOハンバーグさんの「しゃぼん玉の欠片を眺めて」を観劇。高齢化が進む現代社会において避けては通ることが出来ない家族の“老い”の問題。どの家族にも起こり得る複雑な問題を独特の切り口で鋭く突いたなかなか見応えのある作品でした。一人ぼっちの年老いた男性とその家族、そしてその一家を取り巻く第三者(清掃業者)。それぞれの立場における複雑な心情が上手く描かれており、共感する部分もあればそうでない部分もあり色々と考えさせられる重みのある内容だったように感じます。どの家にも見た目上の汚れ(水垢など)は当然ありますが、決して見た目だけではない“汚れ”もある。この“汚れ”の意味合いを深く考えさせられました。また、施設職員が登場するエンディングシーンは日本の将来像を見たような気持ちにもなりました。果たしてこのままで良いのか。。 役者さんも皆素晴らしかったですが、主演の三田村周三さんの演技は特に素晴らしく、どんどんと物語の世界に引き込まれました。

明日がある、かな

明日がある、かな

トム・プロジェクト

紀伊國屋ホール(東京都)

2017/10/24 (火) ~ 2017/10/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/10/25 (水)

トム・プロジェクトさんのお芝居を観ると毎回色々なことを考えさせられることが多いのですが、1960年代を舞台とした今回の作品も同様の感想を持ちました。高度経済成長期は自分が生まれるだいぶ前のことなので世の中の目まぐるしい発展を実際に体感したことはないのですが、こういった1960年代のお話を観ると、自分がその時代にタイムスリップし、当時の様子を覗いているかのような不思議な感覚になります。今回は車社会の発展とそれに伴う弊害のようなものにスポットを当てた作品。車の普及により便利になる一方で失われていくものもある。「豊か」という言葉は決して形のあるモノだけに当てはまるキーワードではない。本当の「豊かさ」とは何なのか。車社会だけに限らず、世の中あらゆるものに対して本当に今の形が正しいのか、など色々と考えさせられました。登場人物の立場や複雑な心情、葛藤が絶妙に描かれており、物語の世界にグイグイと引き込まれた秀作でした。「明日があるさ」という曲はこれまでに何度も聴いてきましたが、今回ほど歌詞が心に突き刺さったことはありませんでした。作品内容に非常にマッチしていたと思います。

『スプリング、ハズ、カム THE STAGE』

『スプリング、ハズ、カム THE STAGE』

ペテカン

浅草九劇(東京都)

2017/10/13 (金) ~ 2017/10/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/10/17 (火)

折込チラシを見ていて目に留まったペテカンvol.40「スプリング、ハズ、カム」を観劇。vol.40ということでなかなか歴史のある劇団さん且つ映画化もされた作品のようですが、個人的には今回が初観劇でした。宮崎県延岡に住む父娘が、娘の進学・上京のため部屋探しに出る旅の物語。父親役の柳家喬太郎さんと娘役の河野ゆかりさんの掛け合いが絶妙であり、周りを固めた不動産屋さん、大家さんなどの個性的なキャラクターも面白く印象的。特に河野さんは独特の雰囲気がありハマり役だったように感じます。父娘、そして亡き母の心温まる人情喜劇。とても見応えのある2時間でした。また、舞台セットは比較的簡素ながらも、効果音や小道具、ジェスチャーなどを上手く使って様々なシーンを再現出来ていたのもお見事でした。東京は大都会であり特別な存在のように感じる部分もありますが、決してそれだけではない。東京も宮崎も宮城もインドも結局は人と人との繋がりが大切であり、それがないと成り立たないような気がしました。広瀬咲楽さんのオリジナル楽曲も良いアクセントになっていました。今度は映画版も観てみたいです。

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