kagonotoriの観てきた!クチコミ一覧

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氷

メタリック農家

OFF OFFシアター(東京都)

2008/10/23 (木) ~ 2008/10/27 (月)公演終了

満足度★★★

独特の世界観を堪能
葛木さんや古市さんなど、客演で観たことのあるメンバーの本公演。期待して観ていて・・・ネタバレへ。

ネタバレBOX

冷蔵庫の中の雰囲気は素晴らしかった。セットも照明も、凝っていてそれでいて行き過ぎず、独特の世界観が出ていました。それだけで異空間で、OFFOFFの雰囲気と相まって(中に浮いている裸電球もいい)小劇場を堪能できました。話は正直それほどって感じでしたけど、古市さんを始めしっかりした存在感を見せてくれた役者陣はとてもしっかりしていて、みていて心地いい。心地よすぎたのか、前半は少しのんびりムードでしたが。全体的にはこじんまりした印象でしたが、まあ、小演劇ファンなら納得のクォリティだと思います。

古市海見子さんはいいです。MUの時もよかったけど、こっちもしっかりしてた。ただ、これくらいのものはできそうにも思えたので、次回は更なるチャレンジに期待したいです。
葛木英さんは持っていくだけ持ってって、いつもこんな感じなのでしょうかね。いい感じ。

ドライアイスが出てくるラスト付近はかなりよいです。全体的に少し長かったかな。90分くらいでまとまっていたらもっと観やすかったかも。隣の人は寝てましたし(笑)。
『光る女』

『光る女』

Hula-Hooper

OFF OFFシアター(東京都)

2008/10/16 (木) ~ 2008/10/20 (月)公演終了

満足度★★

別のジャンル
暴走してます。とにかく詳しくはネタバレへ。

ネタバレBOX

初見でしたが、いろいろな意味で新鮮だったことは確かです。しかし、面白かったかどうかというと、正直??です。ずっと薄暗い空間で役者さん(パフォーマー?)の顔はよく見えませんし、話の展開といい、ほとんど観る側の心理を考えずにどんどん進んでいくのには、ある意味驚きます。途中に出てくるダンス(?)は、いい意味で独特で奇妙で、ボクは個人的には恐いもの見たさがの心理が働いて好きでしたが、脈絡とは全く関係ないし、どう思ったらいいかわかりません。OFFOFFの客席をほぼ半分削って、その分舞台を広く使う度胸の良さは素晴らしいですが、上手の客席一列目で寝転がっているシーンは全く奥の客席からは見えません。SFは好きではないと言い切ってしまわれているので、SFを期待はしませんでしたが、SFを訳の分からないものととらえてしまっているのではないのかなと、変に心配になってしまいました。

とにかくいい意味では独特の世界観です。客入れのときから役者さんがステージに寝転がって待機しているのはGOODですが、「いらっしゃいませ」って声かけるのはなしでしょう。ラストは、ずっと独自のマイノリティを突き進んでいたのに、突然のPerfumeのダンスにまたひっくり返りそうになり、カーテンコールなしの突然のカットアウト。全く拍手の起きなかった舞台を観たのはボクは初めてです。しかし、貴重な作品を観たという、いい意味での満足感はありました。
Wax & Wane ~ワックス・アンド・ウェイン~

Wax & Wane ~ワックス・アンド・ウェイン~

劇団Turbo

駅前劇場(東京都)

2008/10/03 (金) ~ 2008/10/07 (火)公演終了

満足度★★★★★

Turboはどこへ行く?
昼の回を観た。面白い。2時間後に夜の回も観る。詳しくはネタバレへ。

ネタバレBOX

本当にネタバレなので、お読みになる方は要注意。


まさか今回、「献体」がテーマになっているとは驚きでした。職業シリーズでいろいろな職業をモチーフにしつつも、人間愛を笑いと感動で楽しませてくれたTURBOが今回挑むのは、いってみれば究極の愛かも知れません。今回はわざとなのか、ホームドラマを髣髴させるごとくの展開にかなり重点を置いている気がしたのも、先述したようなテーマだからなのか?前回公演のような極端な個性をもったキャラクターはそれほどなく(もちろん、しっかりしたキャラの登場人物たちではありますが)大勢の人間が舞台上に現れて大討論会になるシーンが多く、かなりの難易度に挑んだ気がしました。

相変わらずテンポがよく、落語のようなせりふ回しは心地よくて、見ていて飽きたりはまったくしません。主人公の頑固じいさんに果たして共感できるかどうかでしょうか。昔気質の夫に尽くす妻、文句ひとついわず靴下を履かせてあげるシーンは、それだけなのに感動的です。死後に自分の体を献体にするという遺言?からその家族のどたばたが始まりますが、やはり主軸は頑固爺さんなので、一歩間違うと誰にも共感できなくなる気もしました。毎回印象的なダンスシーンが今回は割りと控えめで少し寂しかったな。最後のお月見のシーンはほんとTURBOらしい。

ほとんど毎度おなじみに顔ぶれですが、若手が若干入れ替わってしまったのかな?山崎あかねさんはここでもかなりすばらしく、怪演されてました。わが子とセットの女優さんなんてほかに見たことありませんぞ。個人的にはガッキーこと鈴木育美さんがつぼ。柚木麗子さんは寄席のときとは変わって関西弁のがらっぱち姉さんだし、なんと古屋直樹さんは神様じゃない!でも笑えました。

職業シリーズとして考えれば今回は陶芸家ということになるのかな。でも、それよりも家族の話から人間愛について訴求してきているので、どんどん加速してる気がします。期待半分、不安半分というのが正直なところです。
ロクバンメノ憂鬱

ロクバンメノ憂鬱

温泉きのこ

OFF OFFシアター(東京都)

2008/09/24 (水) ~ 2008/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

この面白さですから
ホント、面白さのレベルが安定してます。間違いないと去年確信して、また今年、次はどんな舞台なのかと期待でいっぱいになりました。詳しくはネタバレへ。

ネタバレBOX

OFF・OFFシアターいっぱいに張り巡らされたセットと仕掛けにまず驚きました。小演劇特有の、何もない空間で役者の芝居力で勝負するイメージが強いOFF・OFFですが、隅々までディテールにこだわっているセットを観ると、本来の演劇スタイルで堂々と勝負している気持ちよさがあり、実に素晴らしかった。もちろん、狭い空間ですからそれなりの工夫があらゆるところでされていて、それがまた実に楽しくも興味深いです。

ストーリーはわかりやすく絞られていて、主人公の五郎さんを巡る人間像を、ホームドラマと思えるほどライブ感溢れる演出で描かれていて、まるで店の客になった気分で楽しめます。芸達者な役者さんが勢揃いしていて、キャラクターもはっきりくっきり、それでいて嫌な感じがしない。時計を全く見ずに終わった、珍しいお芝居でした。温泉きのこはやはりただものではありません!

五郎さん役の中西広和さんもよかったですが、なにより彼を取り巻く女性陣がよかった。れいこ役の及川水生来さん、ものすごい美人なのにキョーレツ(笑)。鹿サブロー(笑)の中尾ちひろさんも好感度かなりあります。関西弁が可愛くて、切なくて、よかったです。それから、やはりたにぐちいくこさん。ラブリーヨーヨー「ガラスのお面」もよかったけど、今回はビール飲んだり振り付きで歌を披露したり、ファンにはたまりませんよ。憎たらしいけど大好きな感じですかね。あの、小さいけど劇場の隅々まで聞こえる声は健在で、ステキな女優さんだと思います。普段はどんな人なんだろう?

「きのこから毛が・・」もすごくよかったけど、少し大人になった感じの温泉きのこのお芝居は、期待以上に素晴らしかったと思います。

コスモス

コスモス

劇団Peek-a-Boo

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2008/09/12 (金) ~ 2008/09/16 (火)公演終了

満足度★★★

老人の青春群像劇に拍手
2時間15分の中で行われる展開には、笑えて泣けて、色々なテーマがしっかりと根付いています。面白い。詳しくはネタバレへ。

ネタバレBOX

知り合いの役者さんが客演で出ていたので、応援するくらいの気持ちで観に行きました。しかし、そんなことよりも(ごめんねY君)内容にのめり込めたのが本当によかったです。老人の青春群像劇と言っていいかどうかわかりませんが、徹底的に人生を充実して生き抜く事の素晴らしさという普遍的なメッセージが確実に伝わってきました。近未来の設定や、謎の宇宙人や、舌足らずすぎる少年も、少し舞台と客席が離れたこの空間で眺めると、前から二番目で観たにもかかわらずとてもしっくりきて、違和感がありません。少しだけ、学生演劇的な幼稚さがないとは言えませんが、そのへんは愛嬌としてクスリと笑うことにしました。目の見えないおばあさんは少し感傷的かなとも思いましたが、普遍的なテーマは確実に感動するという信念のもとに作られたことからわかる通り、迷いが感じられず潔かったです。

実年齢より確実に若いか、もしくは確実に老いたキャラクターを演じた役者の方々の努力は本当に素晴らしい。強烈な個性という人は目立っていなかったと思いますが(強いて言えば客演ですけど浅沼恵理奈さんが可愛かった)、みんなしっかりとした実力をお持ちで、やりがいのある役を楽しんでいたように思えます。こういうのは観ているこっちも楽しくなります。

ゲートボールシーンはもう少し工夫があっても、と思いました。正直よくわかりませんでしたが、みんなで練習し、弱点を補い合い、決勝戦を迎えるという、スポ根の鉄板を観れたので、惜しかったの一言です。しかし、有り余るパワーと信念に満ちあふれた、楽しいステージであったことは確かだと思いました。
本気でオンリーユー

本気でオンリーユー

フジテレビジョン

PARCO劇場(東京都)

2008/09/12 (金) ~ 2008/10/05 (日)公演終了

満足度★★★

名曲のオンパレード
竹内まりやの曲は素晴らしい。最近聴いてなかったけど、このステージで聞き惚れました。詳しくはネタバレへ。

ネタバレBOX

竹内まりやの曲だけでミュージカルになること自体すごいです。でも冷静に考えると、普遍的な曲がみんなに愛されている訳で、普遍的なストーリーと登場人物での展開だったら、絶対的に合うんだろうなとも思います。今回はそういう意味で、恐ろしくオーソドックスな展開にまず驚きました。もう何度も何度もドラマ、映画、小説で観た記憶があるような展開。普通なら「なにこれ?」と思うのを、この曲にのせて展開するとなんだかほっとしつつ、感情移入してしまいます。不思議な空間でした。とにかく、大音量での竹内まりやの曲を、オールスターキャスト(と言っていいでしょう)が歌いまくる。最初ちょっと面食らいますが、最後には拍手したくなります。

松浦亜弥ちゃんは可愛い(笑)。驚くほどステージ慣れというか、はまっていてとてもよかったと思います。さすが大物アイドル。竹内まりやのミディアムテンポからスローバラードまで、かなりしっくり歌ってくれていて、意外なマッチングです。
それにしても、他のキャストが結構すごいです。ANZAさんも格好いいし、もと宝塚の映美くららさんも、いろいろな意味で整ってた。尾藤桃子さん(尾藤イサオさんの娘さん!)なんか、脇役に徹しているけどしっか歌っちゃう感じが最高です。

綺麗なステージと相まって、キラキラしてました。それでいて、それほど大きなサイズではないので、大舞台という感じがせず、親近感があります。地方公演とかやったら、大反響があるのでは?
ドラえもん「のび太とアニマル惑星」

ドラえもん「のび太とアニマル惑星」

サードステージ

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2008/09/04 (木) ~ 2008/09/14 (日)公演終了

満足度★★★

なるほど
こんなお芝居、学生以来観てなかった気がします。なんだかタイムスリップした感じ。くわしくはネタバレへ。

ネタバレBOX

いわゆる商業演劇です。キャラクターは「ドラえもん」なだけにわかりやすく、オーバアクションも映像を使った過激というか極端なアニメテイストの演出も、ここまで完成されると全く違和感なし。逆に新しいジャンルなのでは?とさえ思ってしまうほど、楽しいステージでした。しかしどうしても、テーマがありきたりで単純なので、退屈してしまったことも事実です。これは好みだと思います。周りで観ていた子供たちは、「もう一回観たい!」って連呼してました。

昔、日生劇場なんかでやっていたミュージカルのテイストに近いなと思いました。それをさらに進化させ、映像とワイヤーと着ぐるみ(これはびっくり。ドラえもんがどうやって出てくるのか、そのクォリティはと、気になってましたが、予想以上によくできていて、出てきたときは思わず拍手)での堂々たる進行。でも、10代の時に出会いたかった。

キャスティングはまずまずですね。近いキャラクターの役者さんを配置していて、それなりに違和感なく見れました。
しずかちゃん役のすほうれいこさんは、前回の「TDL≒USJ」よりはるかによかった。可愛かったし、ぴたっとはまっていた気がする。ダンスはもっと練習するべし。
板垣桃子さんはすばらしい。劇団桟敷童子は見たことないので、11月の公演は要チェックです。
澤田育子さん!!!拙者ムニエルそのままに、いろんな役ででてきてくれてそれだけで個人的には感動しました。シモキタから応援してますぜ。

個人的にはそれほど好きな作品ではありませんが、こういう作品はどんどん上演してほしいです。澤田さんや板垣さんたちがささえてくれるなら。
Pain

Pain

秦組

「劇」小劇場(東京都)

2008/08/22 (金) ~ 2008/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

小説読んでるみたい
確かに、完成度が高く、満足感が味わえました。「劇」小劇場でこんなサイズのお芝居が見れるとは。詳しくはネタバレへ。

ネタバレBOX

最初と最後のゴルフシーンといい、象徴的なダンスシーンといい、印象的なシーンが満載でした。カメラマンの栄枯盛衰(?)が現代的というか業界を知らない人にとってはリアルに描かれていて、まるで小説読んだときのような気分になります。母親の部分は前半まったく理解できなかったのですが、最後にはしっかり点と点が結ばれる感じになっていて、職人技を感じます。とにかく、その世界観からふっと離れる感じ(飽きてしまうというか)がなくて、最後満腹感に襲われました。個人的には、頼子がかわいくてけなげで大好き。隣に座っていた人は、中盤からずっと泣いてました。

この劇場でこの照明はすごすぎです。もっと引きで観たくなりますが、こんな贅沢もありか。ちなみに、前から二番目で観ました。完全な暗転にならないので、役者の出入りが少し気になりましたが、仕方のないところか。

男性キャストはそうですね、少しオーバーアクション気味でやりすぎ感無きにしも非ず。小劇場での芝居を意識していたのでしょうか。今ひとつしっくりこなかった。工藤里紗さんをはじめと知る女優陣はみなきれいでかわいくて、レベル高っと思いました。しかし、しっかり訓練された演技には大変好感が持て、アイドルらしからぬ迫力とともに、圧倒されました。次回にも大きく期待します。

客入れ時の俳優さんのおしゃべり、よかったです。
七月の鎮魂歌(レクイエム)

七月の鎮魂歌(レクイエム)

劇団アルターエゴ

OFF OFFシアター(東京都)

2008/08/06 (水) ~ 2008/08/10 (日)公演終了

満足度★★

心温まるお話
中村さんの作品は、愛に溢れてると思います。詳しくはネタバレへ。

ネタバレBOX

パニックシアターの前回の公演を観て、また観たいなあと思っていたらこの「七月の鎮魂歌」が中村さんの作・演出ということで、またあの空気感に浸りたくて観に行きました。劇団アルターエゴは、声優さんとして活躍されている方が多いのかな?よくわかりませんし、初見です。

ワンシチュエーションのホームドラマをじっくり観ることができて、まずはよかったです。チラシにある風鈴越しの空がステキで、この風鈴のある家の中のお話であると理解したとき、まずは芝居の世界に入り込めた気がします。男三人女3人の家族のような共同生活がほのぼのと描かれ、やがてそれぞれの外の世界での殺伐とした出来事が起こり、この6人で助け合い励まし合いながら生きていく。・・とてつもなくあざとくてダサダサの話に思えますが、これがまたそうでもない。不思議な暖かさと愛に溢れていて、観ていてぐっときてしまいます。やがてファンタジーとも言える展開になっていきますが、まるで夏の日の夢のようにも思え、ラストのシャボン玉はとても幻想的であり、さわやかなエンディングに思えました。

一番前で観るべきだったと後悔しました。ちゃぶ台をはさんだ座り芝居がほとんどのため、多分後ろの方は前の座席の人の頭が邪魔でよく見えません。あの空気感を味わうには、首を左右に振って観てはまず集中できず無理です。ボクは前から三番目でしたが、ぎりぎりです。その辺の工夫があればと。風鈴の効果音はかなり的確で素晴らしかったですが少し音量が大きかった気もしました。

声優経験豊富ということからか、皆さんとても滑舌がよくて聞きやすい台詞回しだったと思います。割と普通に話しているのに、かなり声量があって、驚きました。しかも皆さん個性的なキャラクターを作ろうという意気込みが感じ、魅力が出ていました。女性三人はとても可愛いらしかったです。

こんな芝居をOFFOFFで観れるというのは、とてもうれしいことです。
悪い冗談のよし子

悪い冗談のよし子

拙者ムニエル

本多劇場(東京都)

2008/07/31 (木) ~ 2008/08/06 (水)公演終了

満足度★★★★

変わらない面白さ
本多劇場になっても、やっぱり面白かったです。ある意味小劇団の完成型なのか?詳しくはネタバレへ

ネタバレBOX

去年駅前劇場で観たときのインパクトがすごかった分、嫌な予感もしましたが、始まって数分で安心しました。相変わらずのスピード感と緩さとショーアップのクォリティで、大きな舞台に関わらず、アドリブや自虐ネタまで、みんなが楽しんで作っている様が手に取るように感じられ、舞台を作り上げる楽しさを共有さえできた錯覚になります。まあたいした話でもないのに、よく2時間持たせられること・・。感服です。

MEGUMIさんに代わって登場した山田まりあさん。なにより拙者ムニエルの役者さんになじんでました。もう少し緩さと、アドリブ的余裕があればと思うのは欲張りですかね。すこし力が入りすぎてたかも。
それにしても、伊藤修子さん。すごすぎる。彼女を観れただけで、それだけでうれしかった。かなりの異彩を放ってます。
皆さんバランスがとれていて、安定感がありますね。強烈な個性というよりは、芸達者な方ばかりという印象です。

照明がかなりショーアップしていて、観ていてとても気持ちよかった。シーン代わりのアタック音は、毎回やるのかな?まえにもあった気がしますが。かみしもから出てくる中道具(?)が、なんとも愛らしく楽しい。

とにかく、今後も注目したい劇団であることは間違いなし。このままののりを守ってほしいなあ。
相思相愛確信犯

相思相愛確信犯

MU

駅前劇場(東京都)

2008/07/09 (水) ~ 2008/07/13 (日)公演終了

満足度★★

期待しすぎたのかな
「MU」は大好きな劇団ですが、今回はかなり感じが違っていましたね。たくさんの人が書き込んでいるとおり、ほっとけない魅力があると思いました。かなり手厳しい方もいますが、あながち外れてないのでは。個人的な思いは、ネタバレへ。

ネタバレBOX

誰かも書いてましたが、観終わった第一印象は「かなり薄味」です。前回前々回は、短編ということもあったのですがかなり濃かった。短い時間にたくさんのキーワードと登場人物(作家)の執念が詰め込まれ、それでいてライトなテイストと感覚に包まれている。終わってからイロイロな妄想が楽しめました。今回は多分同じくらいのエキスがあるのでしょうが、2時間10分の間で消化してしまい、しかも物足りない。長く感じるのは、つまらないからではなく、多分観る方の欲求がもっともっとということなのかも知れません。「恋愛」の壁を壊し、その未来に何があるのか・・多少の舞台仕掛けも出そうなものですが、そもそも「MU」でそんなの観たくないし、違うアプロートを仕掛けてくれると信じてますから、余計に残念。ハードル高くし過ぎ?ですか。

たくさんの客演さんが出ていて、それだけで観る価値は100%あります。それにしても「小演劇の4番打者」が上位打線を固めた感じで、すごいですね。
村上航さんは異彩を放ってましたが、正直この世界観に合ってたのかな?
葛木英さんと古市海見子さんはまるで「メタリック農家」の芝居を観にきたようです。それくらい、本領発揮。
岡安慶子さんはド迫力あったし、ハマカワフミエさんはぶっ殺したくなるくらい(笑)よかった。
でも個人的にはなんと言っても平間実貴さん。今回は苦戦しましたかね?それでもこれだけの猛者の中で、負けない光を感じましたよ。彼女をまた観るために、次の公演が楽しみなくらい。

短編のほうがよかったとか、まとまってないとか、色々意見があるようですが、ボクは下手にストーリーテリングを工夫したり、仕掛けを作って尺を持たせるような姑息な手法はやらないでほしいなあ。「この壁」を思いっきり崩した次回作に期待します。
「ダンバチロック6/我慢美顔 ガマンビガン」

「ダンバチロック6/我慢美顔 ガマンビガン」

ショーGEKI

「劇」小劇場(東京都)

2008/07/11 (金) ~ 2008/07/20 (日)公演終了

満足度★★★★

女性たちのパワーに圧倒!
「我慢美顔」を観ました。笑って泣けてのあっという間の2時間。身近なお話ゆえに入り込んだらたまらないです。去年同様、満足できました。詳しくはネタバレへ。

ネタバレBOX

シンデレラの解釈と、見た目や性格の「ブス」の心情を絡める展開は、それほど真新しいものではないですが、この劇団ならではの圧倒的な勢いとパワーの前で、ぐんぐん引き寄せられました。鼓膜が破れそうなくらい(笑)の彼女たちの叫びは、シンプルな主張ゆえとても心に響きます。女性たちの心からの叫びに、感動が押し寄せます。

笑いの部分と、切ないシーンとの切り替えがとてもよく、時間がすぎるのが早く感じられます。三人のブスたち(失礼!)それぞれのモノローグが、どれも共感できる経験談ばかりで、わかりやすくて切なすぎます。あざけるような成田さんの突っ込みが、逆にほっとさせ、次の大笑いのシーンで溜まっていた涙がこぼれる始末。

蹴られたり、粉かけられたり、床のそば食べたり、やりたい放題の小劇団感覚が、去年観た作品から受けた印象と同じで、よけいに笑えました。粉だらけの彼女たちを観て、笑えて泣けるのが不思議な感覚です。

吉川亜州香さん、相変わらずステキですね・・強烈なドレスの女でした。ナオミ・ヤエコ・サチの三人はみんなよかったですが、特に菅原泉さんが気になりました。あの感情を内に入れた(?)声のトーンは意外と心地よく、台詞がとても聞きやすいです。じんましんなのか、体中を引っ掻いている仕草がいいです!中津川浩子さんは言わずもがな(笑)。中心的存在と言ってもいいでしょう。

もう少しオリジナルな解釈があってもいいのでは、とは思いましたが、下北夏祭り公演ということで、大拍手でしょう。
コウエンノキマリ

コウエンノキマリ

tea for two

「劇」小劇場(東京都)

2008/06/26 (木) ~ 2008/06/29 (日)公演終了

満足度★★★★

好感度抜群
わかりやすくて、さわやかで、かなり好感持てます。この感じ、この劇団ならではですね。客演さんも素晴らしい。詳しくはネタバレへ。

ネタバレBOX

実はこれでteaのお芝居を観たのは4本目です。正直当たり外れみたいな不安定さがあると思いますが、今回はその中間くらいの印象でした。よくも悪くも、という意味ではなく、この辺のバランスが一番観ていて心地いいと思います。台詞(会話)はかなりシンプルに洗練されていて、客席に放つのではなく、すべて舞台上で泡になって消えていきます。それをぼんやり眺めながら、酒ではなくまさにteaを飲んでいるといった具合。刺激が好きな人には物足りなさ全開だと思いますが、私は半年に一度は絶対に「のんびり」したくなります・・・それにしても、公園で起こった殺人事件を、これだけシンプルにさわやかで感動的にまとめるのは、ある意味すごい。

なんと言っても塚原美穂さん。相変わらずよかった。この女優さんの空気感はとても好きです。ハスキーボイスなのに、とってもかわいく思えます。ちょっと他の劇団に客演されたものも観てみたいです。
渡邉亜紀子さん。なぜかいつも客演で出演されていて、気になる存在です。前にOL役で出てたときと今回の印象が全然違って、とてもキュートでした。ジャングルジム(?)の上でのお芝居はとっても絵になってました。はやくオリジナルメンバーになってほしいです。
他の役者さんも、極端ではないが確実に実力を持った方々ばかりで、とてもバランスがとれていたと思います。客演さんの倉田知美さんは極端によかった。彼女はすごい。男優陣はもっと頑張ってほしいかな。

11月もまた観ます、間違いなく。


密八

密八

ゲキバカ

OFF OFFシアター(東京都)

2008/06/20 (金) ~ 2008/07/01 (火)公演終了

満足度★★★★

ここはホントにOFF・OFFか?
正直驚きました。これだけのステージをOFF・OFFシアターで観れるなんて予想もしてなかったです。とにかくすごい。時間があったらもう一度観たい。

ネタバレBOX

客席がやたらと狭くて(全部桟敷)、1時間45分苦行になったらどうしようかと思ってたのだが、あっという間に終了してしまった印象。展開も早いし、わかりやすく、ロマンさえ感じるお話で、役者さんもみんなしっかりしていた。シリアスな大河ロマンを、この空間に再現する手法は面白く、音響も照明もとてもよかった。笑えて、スカっとして、最後ちょっと泣けます。深く考えず、すんなり観れたら最高の時間を過ごせますね。最後のファンサービスも◎。
それにしても、OFF・OFFでよくやったなあ。もっと大きなところで、お金のかかったときに観てみたいと思いました。
すすめ!!観光バス

すすめ!!観光バス

動物電気

駅前劇場(東京都)

2008/06/06 (金) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★

王道でシュールな2時間
とにもかくにも楽しかった。こういうお芝居を観るとホント元気でます。詳しくはネタバレへ。

ネタバレBOX

言ってみれば、ばか騒ぎの楽しさだと感じました。そこには人生観も教訓も何もなし。空っぽさ満開のおふざけにも思います。でも、それって大事で、こういうテンションでおもしろがりたいという時って必ずあると思うんです。裸になって騒いだり、女の子の体触ったり、やることなすことくだらなくも楽しい、みたいな。一歩間違うと苦行になりかねないところなのに、リズムと役者の個性と手慣れた展開が心地いい。辻修さんはすごいですね、やっぱり。空気が違いました。
途中の換気タイムは素晴らしい!ほかの劇団でもぜひ取り入れてほしいです。
夜光ホテル

夜光ホテル

モダンスイマーズ

OFF OFFシアター(東京都)

2008/05/03 (土) ~ 2008/06/01 (日)公演終了

満足度★★★

まあまあですかね
期待が大きすぎたのか、「あれっ」という展開に少し退屈してしまいました。平均以上の作品だと思いますが。詳しくはネタバレで。

ネタバレBOX

5人のキャラクターは実にはっきりしててよかったです。小演劇にありがちな極端なキャラクターになりすぎず、リアルな部分をしっかり持ち合わせていて、そのぶつかり合いは実に新鮮で鬼気迫っていて、すごかったのです。萩原聖人はもしかしたら一番難しい役どころだったかも知れませんが、さらりと演じているところはさすがの貫禄。それでいて、いい意味でちっとも突出してない。
いったいこのシングルルームに男が集まって、何が起こるのだろうという展開を期待しすぎていたせいか、それほどのものが用意されてなかったのが残念。静かすぎる前半は退屈でさえありました。照明も音響もここまで何もしていないのは逆にびっくり。でもまあ、90分のOFFOFFシアターでの芝居としては、見たことないくらいのものだったかもしれません。
恋する病室

恋する病室

東京おいっす!

「劇」小劇場(東京都)

2008/05/20 (火) ~ 2008/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★

予想以上に笑える
展開の早さと個性的な役者達に圧倒され、楽しい時間を過ごせました。いろんな意味で予想外でした。

ネタバレBOX

一つの悪気のない嘘から、病院中が勘違いしまくる展開は、前半から猛スピードで飛ばしまくる。さすがにやりすぎではと思ったりするが、強烈でわかりやすいキャラをはまり役の役者陣が最後まで引っ張ってくれます。ありきたりかもしれないけど、やっぱり楽しいお芝居が一番と、あらためて感じました。
おたまじゃくしはかえるのこ

おたまじゃくしはかえるのこ

独歩

「劇」小劇場(東京都)

2008/05/09 (金) ~ 2008/05/18 (日)公演終了

満足度★★★

よくも悪くも奇妙
説明にあるとおりで、不条理きわまりない世界であり、展開。これは入り込めればかなり面白いと思いましたが、私は入り込めなかった。別役実は学生の頃はまったけど、あれから20年経って年配の熟練した役者さんで見れたことは、それだけで感無量。

ネタバレBOX

しかしここまでシュールだと賛否両論じゃないでしょうか。半分くらいの人は大笑いして、半分は寝てしまったのかと思うくらい静か。でも、非日常を当たり前の日常(この場合公園)でワンシーンでみせきってしまうのは、小演劇の原点かも知れないと、入り込めなかった私は空想してしまった。
愛のテール

愛のテール

ニットキャップシアター

駅前劇場(東京都)

2008/04/24 (木) ~ 2008/04/29 (火)公演終了

満足度★★★

面白いぞ
不条理・妄想といった正直苦手な内容でしたが、非常に巧みな演出により引き込まれてしまいました。

ネタバレBOX

主人公の苦悩の世界をエンターテイメントにするなんて、そんなハードルの高いことをやってのけるなんて、この劇団ただ者じゃない。京都が本拠地で、次回スズナリって言っていたし、気になる存在です。ただ、ちょっと幼いっていうか、歌もエロも、よく言えば若々しく、さわやかにさえに思えた。妄想だったら、もっと辛辣でドロドロした世界を観てみたい。いきつくところまで行ってほしいな。
ちょっと昔あった「オールザットジャズ」(ボブ・フォッシーの苦悩の妄想を描いた作品)を思い出した。
KNOB のぶ

KNOB のぶ

劇団Turbo

駅前劇場(東京都)

2008/04/11 (金) ~ 2008/04/15 (火)公演終了

満足度★★★★

安定感抜群
小劇場でのお芝居も、ここまで安定したものが出てくるとたまらなくうれしくなります。細かくはいろいろあれど、観てよかったと思える作品でした。笑えるし、泣けます。

ネタバレBOX

前からTurboのファンでしたが、円熟味を増してきた感じがして圧倒されました。前回の「-1」の印象を引きずって見に行った私はオープニングで唖然とし、いろいろな意味で裏切られた。その時点からまんまと引き込まれてしまった。心の琴線を逆なでするようなエピソードを、ちょっと外した笑いとともに紡ぐストーリー展開は今回も健全ですが、ちょっとスピンオフにも見える。定番の神様の横に女神が現れたり、幅広い年齢層という劇団の特徴を今回は赤ちゃんまで登場させて更に際立たせたりと、劇団としての安定感・円熟味さえ感じました。年二回の下北沢定番演劇として私には定着しそうです。

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