リリウムの観てきた!クチコミ一覧

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孤島 0n the Island

孤島 0n the Island

ARICA

北千住BUoY(東京都)

2019/01/31 (木) ~ 2019/02/04 (月)公演終了

満足度★★★★★

ギリギリまで説明を削いであり、想像の余地のある舞台だった。観客の知識や感情によって、理解度も感想も千差万別だろう。さらに、断片的に提示される情報が、事実なのか主人公の妄想なのかと疑い始めると、訳がわからなくなる…面白い。考えることも必要だが、感じたことが自分にとっての真実なのかも?と思った。

2/15~2/17にTPAM参加作品として、横浜の東邦ビル1Fの特設会場で上演されるとのこと。興味を持たれた方はぜひ!

ネタバレBOX

舞台を動いてくる大きな装置。そこから足が伸びてきて、隠れていた女性が現れる。彼女は誰か?彼女の言動は何を物語っているのか?島のような装置は何を意味するのか?
断片的に示される情報で、想像はふくらむが、答えは観客の数だけあるのかもしれない。
そこに断固として「在る」主人公の存在感がきわだっていた。
TABOO【遠征割・高校生以下無料フォーム】

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壱劇屋

森ノ宮ピロティホール(大阪府)

2019/01/12 (土) ~ 2019/01/12 (土)公演終了

満足度★★★★★

私見だが、壱劇屋版「TABOO」に「たいへんよくできました」の花丸をあげたい!

23年前、初演の野田演出で唐突だと感じた部分が、今回の大熊演出で腑に落ちた気がした。丁寧で、分かりやすい演出だと思った。芸神、世阿弥陀の舞の部分も、テーマを浮かび上がらせてくれた。パフォーマンスやピアノの演出は、秀逸だった。

全キャストの演技とパフォーマンス、舞台美術、衣装、照明、音楽、音響…どれも10周年記念公演にふさわしい、集大成だった。不安要素だった長台詞も、早すぎて初見の人は聞き取れないかも?という箇所はあったが、「たいへんよくがんばりました」とほめたい。

特筆すべきは、主役「一休」を演じた山本貴大だ。彼に合った役柄だったこともあるが、台詞も表情も動きも主役として、物語をひっぱっていた。ラストに無音で踊る彼は、見事に場を支配していた。1000人規模の劇場なのに、本当に大きく見えた。役者が化ける瞬間を、目撃した気がする。

壱劇屋は、全国から観客が呼べる、大阪拠点劇団になるという目標をかかげている。彼らのこれからの10年が楽しみになる、意欲作だった。

ネタバレBOX

初演では、萌が父からの性的虐待を口にする場面で、劇場全体がざわめいた。タブーに触れた反応だった。

今回それを感じなかったのは、役者達が若いからだと思っていたが、親からの虐待がタブーではなくなった面もあるかも?と、最近のニュースを見て考えている。
THE Negotiation

THE Negotiation

T-works

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/03/13 (水) ~ 2019/03/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

スタイリッシュで滑稽な、とびきりの会話劇!
みなさん、ええ声と演技とふれ幅で、本当に楽しかった~脚本の面白さは必須だが、役者が達者で間が良いから、随所で笑いが起こるのだな~と感じた。それにしても、細かいネタのずらし方がいちいちツボだった!

そして、最小限で最大限の効果を上げている舞台装置。舞台転換のおしゃれな演出も心憎い~

関西がベースのプロデュースユニットなので、17日(日)までの東京公演は、まだチケットがあるようです。
重厚なチラシが気になった方、少しイメージとは違うかもしれないけど、とても心地よい笑いに包まれたお芝居なので、よかったら観てみて下さい。

猩獣-shoju-

猩獣-shoju-

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2019/03/21 (木) ~ 2019/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

今回の新作「猩獸」と再演「猩獣」は、昨年の「二ツ巴」同様、DVD化されないそうだ。もし迷っている方がいたら、力一杯オススメする!3月24日(日)まで、特に22日(金)は席がまだまだあるそうだ…もったいない…

もう一度観たいし、ぜひ多くの人に見てもらいたい!
再演「猩獣」はCoRich舞台芸術まつり!の最終選考に選出されている。ぜひグランプリを取って、東京公演も実現してほしい。なので審査を意識して、再演を中心にコメントをしようと思う。

「脚本」
台詞はなくとも物語が伝わるからWordless×殺陣芝居はパフォーマンスではなく、演劇である。言葉の壁が無い、世界に発信しやすい新しい切口の演劇ではないだろうか?

「猩獣」の物語は元々シンプルであるが、再演は初演をブラッシュアップして、さらに分かりやすくなっていると感じた。そして特撮物みたいなメリハリもついて、エンタメ性も高くなったと思う。

「演出」
迫力のある殺陣がもちろん、Wordless×殺陣芝居の最大の魅力だ。ダンスの様なきれいにそろった殺陣ではなく、登場人物ごとに必然性のある動きや殺陣筋が感じられる。

そして言葉を使わずに物語を伝えるための、表情や動きや殺陣の演出が、本当に細やかになされていると思う。

「布」や「はしご」「スローモーション」を使っての表現は、生の演劇ならではの演出である。それは、アクションモブと呼ばれるメンバーの、練習の賜物でもある。ちなみに切られっぷりやハケ方も、殺陣芝居初めてのメンバーが何人もいるとは思えないほどスムーズだった。

「出演者」
演技賞に主役の岡村圭輔を推薦したい!入団2年目で主役に抜擢されて、プレッシャーも大きかっただろうが、全力で駆け抜けてくれた。再演初回の、彼への賞賛の拍手を聞きながら、きっとみんな、私のように「がんばれ岡村!」と何度も心の中で応援しながら観ていたんだなと思った。

初演に引き続いての客演、吉田青弘さんの重力を無視した跳躍力と縦横無尽の殺陣、赤星マサノリさんの年齢を超越した躍動感とラスボス感たっぷりの殺陣を、生で観れて本当によかった!

客演の南ななこさんの、その笑顔を守ってあげたくなるヒロインと、上枝恵美加さんのきりっとした女剣士の幼なじみの、フレッシュな演技も素敵だった。

「その他オススメポイント」
劇団員の安達綾子の舞台衣装!
メインの衣装は登場人物の性格を現し、物語の理解を助けてくれる。アクションモブの衣装も含めて、殺陣の動きで魅力が増すように、計算されている。

次世代劇団員の抜擢!
今回の新作と再演の配役やダンス振付もそうだが、9月には、4人の新劇作家によるオブニバス公演が予定されている。

全国的な在阪劇団を目指して!
大阪公演だけでなく、5月は静岡、7月末は東京、8月は岩手に初進出、12月は神戸!いずれは海外も目指したいとのこと!
全国から大阪に観に来てもらうために、という目標がブレないので、その意気や良しと、応援したくなる。
竹村晋太郎に続いて、朝ドラなどで顔を売るメンバーが出るといいな。

ネタバレBOX

再演オープニングで、岡村圭輔が渡せなかった白い花を手に、口をへの字にまげてうつむく姿に、まっすぐで不器用で情けない姿に、胸を突かれた。

闘いにくじけて白い花を取り出してながめた時は、面ごしでも熱い想いが噴き出して復活するのが分かった。

再演ラスト、岡村圭輔が白い花を差し出すシーンで、報われるといいねと思った。初演より、可能性はある気がする。「賊義賊」で手を差し出すシーンでも、そう思ったな…

さて、新作について

「脚本」
複雑な物語なのに、よく伝わってきて、驚いた。

「演出」
最初の家族3人の笑顔で、長年の幸せが伝わって涙が出た。ワードレスって、表情や動作だけで、ものすごい情報量を発信しできるのでは?

「障子」を使った場面転換が、とても効果的だった。アクションモブズに拍手!柏木明日香の1人「戦御史」もよかった。

「出演者」
母親集大成の藤島望が、素晴らしかった。慈愛も悲嘆も狂気も、ワードレスで演じきっていた。悲鳴もいい。

竹村晋太郎は安定の父、猩獸の手を取って覚醒してからの殺陣は、目が覚めるよう!
客演のSKE48北川愛乃さんも、愛らしくも芯の強いヒロインがぴったりだった。

王と側近や二人の王妃との関係性、愛の出現による変化も興味深い。怜悧な側近の秘めた執着と、噴出した狂気には、ゾクゾクした。衣装が役にピッタリだった。

新作も再演も、全員の感想は書けないけど、メインもアクションモブも、ワードレス伝達能力が向上していたと思う。演出や劇団力の向上との、相互作用もあるだろうが、本当に面白かった。

初演初回の、なかなか鳴りやまなかった拍手は、スタオベの代わりだったと思う。この芝居を作・演出・主演した竹村晋太郎と、すべての出演者への、ありがとうの気持ちだ。
さようなら

さようなら

オパンポン創造社

シアターKASSAI(東京都)

2019/04/18 (木) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

こりっち舞台芸術まつり2018グランプリ受賞作品の再演!

去年より、テンポが良くて、でもコメディに走り過ぎてなくて、絶妙なバランスだと感じました。

出演者6人のアフタートークで、今朝の細かい修正がウケたという話が出ました。3年で30回近く上演しても、最後まで手直しを続けているから、ブラッシュアップできているのですね~

残るは5/20(土)18時、5/21(日)13時 17時の3回!
このメンバーでは最後の再演なので、ちょっとでも気になっている方はぜひ!
いや、池袋に行ける方はぜひ!心の底からオススメします!

カケコミウッタエ

カケコミウッタエ

日本のラジオ

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2019/05/25 (土) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

太宰が好きなら、三鷹まで足を伸ばして観る価値があると思います。今までにないイメージが広がって、「駆け込み訴え」にはすごく想像の余地があるなあと感じました。

昨日無理して観ておけば、今日は答え合わせをしながら、もう一度観れたのにと少し後悔…
私は行けないけど、気になっている方がいたら、明日6/2(日)14時の千秋楽にすべりこんで下さい!

ネタバレBOX

近未来?の日本に、「駆け込み訴え」と聖書に嘘とリアルを散りばめて再構築したような脚本が面白かった。

それを役者全員が咀嚼して、たたずまい、セリフ回し、表情、すべてにおいてキャラクターをしっかり立ち上げていて、素晴らしかった。さらに対話や動きでの話の転がし方、化学変化…奥の闇へのハケや出の演出も絶妙だった。
しかし、対話の反対側で名瀬が笑って立っていると、どっちを見ればよいのか分からなくなり、首降り人形になってしまった…

特に粕井と名瀬の、場面によって変化するやり取りがよかった。出だしのボソボソとした声の「申し上げます」と名瀬の笑顔で、もう持っていかれた気がする…

あと、上演台本に掲載された太宰作品の「駆け込み訴え」のレタリングのデザイン、文字なのに訴える力が尋常ではない。写真も凝っていてよかった。

原作、脚本、演出、役者…よい座組みの芝居を堪能した!ただ、舞台装置の意味だけは謎…いつか解る日が来るかもと、楽しみにしている。

そして観た人にしか通じないネタバレだけど、つい唐揚げを買って帰りました。
愛鯛

愛鯛

鯛プロジェクト

OFF OFFシアター(東京都)

2019/06/13 (木) ~ 2019/06/18 (火)公演終了

満足度★★★★★

16日からの第2話のオパンポン創造社は、テーマの「会いたい」は弱いけど、テンボのよい関西弁の会話に笑っていると…キタ~となる!
いつも驚かされる切口の脚本で、演出で、演技だ。

下北沢OFF・OFFシアターで今夜6/17 19:30回と明日6/18 14:30回あります。力一杯オススメします!

前説の歌謡ショー、第1話の王道「会いたい」あるある、第2話のまさかの「会いたい」展開も、思いっきり笑いました!

ネタバレBOX

同じ話題のくり返しに普通に笑っていたら、一瞬でひっくり返されて、パズルがはまるみたいに全部つながって、さらにラストは予想の斜め上…

オパンポン創造社は、脚本と演出と演技のトリプルで、常に期待を裏切ってくる…いつもヤラレタ…と思う。

気になっている人は、ぜひ一度観てみて下さい!
Pickaroon!【クチコミ待ってます!次回東京公演は10月!】

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壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2019/07/26 (金) ~ 2019/07/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

壱劇屋の初の台詞アリ殺陣芝居「Picaroon」の東京公演を観てきました。初日のなかなか鳴り止まない拍手が、観客の評価だと感じました。

超エンタメの王道ストーリーだから、先は読めるのだけど、でも思わず涙してしまう。脚本、演出、役者の表現力、殺陣、モブの人力CG、衣装、舞台美術、音楽、照明、劇場が作り出す空間が、本当によかったから…

一人でも、多くの人に観てもらいたいお芝居です。7/29月まで、池袋で生で体感できます。気になっている方は、ぜひ!

今回は予定が合わないという方は、10/11~14池袋で、台詞ナシ殺陣芝居「猩獣」の再再演があるそうなので、覚えておいて下さいね。

あつい胸さわぎ

あつい胸さわぎ

iaku

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/09/13 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

4、5回観ただけだが、iakuには体調を整えて行かなくてはと、思っていた。だが2018秋に三鷹「逢いにいくの、雨だけど」は、テーマの切り口が今までと違って、重い内容なのに明るい日が差してくる気持ちになった。脚本、演出、演技のバランスもよくて、ええ芝居を観たなぁと感じた。

だからこその、次回作への期待を、「あつい胸さわぎ」は軽々と乗りこえてくれた。
間がよくて、つい笑ってしまう丁々発止のやり取りで、各々のキャラや関係性が浮き彫りにされ、自然に物語に引き込まれてしまう。
そしてちょいちょい、予想の斜め上をつく展開や台詞に、胸をつかまれ、泣かされ、考えさせられました。

今回の脚本、演出、演技もバランスがよく、やり過ぎ感が無くて、そこがリアルでした。想像の余地があるところも好みでした。

白木の台がランダムに組まれた抽象的な舞台も、余計な情報がない分、台詞や演技で情景が想像できてよかった。
柱の上に渡された赤い糸が、素敵なアクセントになっていた。

ネタバレBOX

ことに、幼なじみの誘いを断り、大人の女性をくどく田中亨と、一回り年下の男性のアプローチに応える橋爪未萌里のやり取りが、絶妙だった!

ベタに演じると安っぽくなるし、主人公をないがしろにする悪役とも受け取られる。なのに、別れまでの一連のやり取りに、人生にはこういう事もあるよねと、納得させてくれた。

橋爪未萌里にはずっと少女のイメージがあったのだが、魅力ある大人の女性の姿に、いい女優さんになったなぁ~と、親戚気分でうれしくなった。

想像の余地を残したラストも、よかった。母娘の気持ちが通ったから、どちらの道を選んでも大丈夫だと感じた。後は観客の一人一人が、自分にとっての結末を選べばよいのでは?

さて、この芝居の後に、パンが食べたくなったのは、私だけではないはず!
駒場東大前駅近くのル・ルソールには、ペカンナッツやピスタチオなどパンがあり、ナッツ好きには特にオススメです!
ハツゲキ

ハツゲキ

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2019/09/20 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

4人のハツ脚本、4者4様でみな初々しくてよかったです。終演後のあいさつの、4人の覚悟の決まった顔が、とても素敵でした。

9/23 12時半、17時のお席、まだまだあるようです。お時間のある方はぜひ!

ネタバレBOX

ハツゲキは、詰めこみ過ぎや台詞長すぎも含めて、初めての輝きを感じる舞台でした。各自が観客の反応を受取り、次回につなげることを期待します。

「少女の序奏」が、やはり1番好みでした。虚実を取り混ぜた脚本でも、板に投げ出された心情は、まぎれもない真実かと!もちろん、説得力のある演技に引き出された部分も、大きかったと思います。

一方的な期待に応えてくれた脚本の湯浅春枝が、壱劇屋本公演を目指すと明言したので、さらに期待をかけたい!プレッシャーではなく。

今回は時間の制約もあったけど、もっと台詞のやり取りでストーリーを展開させて、観客を想定外の心境にまで、連れていってほしい。奇想天外な展開でなくても…さりげない台詞の端々が、ラストに伏線としてつながってスパークするような…お芝居の内容をこえて、観客に色んな気持ちがわき起こるような…想像の余地を残した、でも圧倒的な物語が観たい!

駆け出し作家に無茶な注文をと、しょげる顔が浮かびますが、そういうものを期待したくなるような何かを、「少女の序奏」に感じたのです。

しゃべるのが苦手で、うまく気持ちが伝えられなくて後悔ばかりなのに、作家になった人間にしか紡げない言葉と物語を、これからも楽しみにしてます。
猩獣-shoju- <東京公演>

猩獣-shoju- <東京公演>

壱劇屋

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/10/11 (金) ~ 2019/10/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

再再演、さらに進化していた!一致団結して、圧倒的な濃縮還元の65分だった。演出や配役の変化はもちろんだが、音響や照明もいつもと違って新鮮で、これも良いと思った。

初参加、モブ続行、モブから役付へ、役付続行、主役から別役へ、主役から不参加から主役…役の変遷も面白く、それぞれの良さを感じた。でもつい比較してしまうので、まっさらな初見の方がうらやましい気もする。

台風19号のため、10/12の3公演が中止…でも10/13 3公演と10/14 2公演に加え、10/14 11:30回の追加が決まった。ちょっとでも興味のある方は、ぜひ観に行ってあげて欲しい!

この公演が、一人でも多くの人に観てもらえることを、心から祈っている。

ネタバレBOX

特に「ハシゴ」と「布」の進化がスゴイ!敵役の瓢風と布女のあざやかな動きには目を見張った!それを支えるアクションモブ、ありがとう!

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