コナンの観てきた!クチコミ一覧

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太陽が落ちてきた~すずなりの逸声~

太陽が落ちてきた~すずなりの逸声~

劇団生命座

萬劇場(東京都)

2019/09/20 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

桂木辰郎氏(当時11歳)の被爆した一連を観客も一緒になってバーチャル体験・・・もう言葉が出て来ません。
観ていて とても辛くて堪らないのですが、決してそこから目を逸らしてはいけない想いに駆られ、舞台を必死に観ていました。
この事をずっと忘れてはいけないし、将来どんな理屈が乗っかかろうとも絶対あってはならない戦争。
ただひたすらそれを胸に刻みつけてきました。

スーパーロボットミュージカル(旧)

スーパーロボットミュージカル(旧)

宇宙論☆講座

練馬区某所(予約者にお伝えします)(東京都)

2019/09/21 (土) ~ 2019/09/23 (月)公演終了

このロボットミュージカル、確か今年5月の前回公演でしっかり予告(予定)していたはず。
なのに、まるで突然降って湧いたかの様な正式発表が。
公演は明日からの全3回公演!(もうほとんどゲリラ公演)
今までも常識を散々覆してきましたが、こんな事って・・・
諸事情はホームページに書かれていたものの、う~ん、それってホントにホント?
(本当だったらごめんなさい)

運良く予定が確保できたのは本当に良かったけど、あまりに直近過ぎて、その日の降水確率が80%だという事までしっかり分かっちゃってるし(笑)

会場はきれいな和室。
座席は全て座布団席でしたが、スペースが広いので楽な感じで観劇できました。

ネタバレBOX

会場に入室すると「あれっ、ロボットがある・・・あ~スーパーロボットミュージカルだから・・・か」う~ん、まさか、まさかねぇ・・・いやっここなら有り得る(笑)

公演中「ネタバレしても全く構いません」と繰り返すも、それを本気で言っているのか、台詞として言っているのか・・・この公演、人として絶対ネタバレしちゃいけないやつでしょ(笑)
なので、ギリ感想だけ。
宇宙論☆講座さんの演劇に対しての持論がしっかり網羅・総括されていました。
過去の公演を何作も拝見してきているので、その理論の一連を理解してはいたものの、いつもの演者同士の混沌さが存在しない分、もうガッツリ。
最終的には宇宙論☆講座版ラブストーリーだったのだと認識。
宇宙論☆講座さんにしては、かなり本腰を入れたラブストーリーだと思うのでレアケースです、普通じゃないけど(笑)

ここまで書いておきながら、自分の中で「ネタバレさせたくない」に対してちょっと疑問が。
作品を観て思った感情・感想もいってみれば全部ネタバレではないのか。
本当に「ネタバレさせたくない」のであれば、全く違う感想を書いておいて(これは本当の感想ではありません)と注釈を入れると良いのでは・・・
あ~っ頭が宇宙論☆脳になってくる(笑)

総括としては宇宙論☆講座さん諸々の集大成と思える公演であり、無料公演に対しては★をあえて付けない事にしたのですが、かなりポイントの高い公演だと思いました(本当の感想)

八月のモンスター

八月のモンスター

甲斐ファクトリー

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2019/09/19 (木) ~ 2019/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

物凄く激辛のスープを覚悟して飲み込んでみたら出汁の効いたオーソドックスな味だったので逆にビックリしたというのが第一印象。

それぞれ特有の悩みを持って集まった男女4人。
確かに生きていくうえで深刻な問題ではあるものの、ほんのりユーモラス風味な3人の中、安藤紫緒さんにだけはどこか不穏なオーラが。
フライヤーから既に漂っていたホラービューティーな感じが生舞台でより一層引き立っていました。

セミナーでの一部始終の描き方はとても丁寧で流れを追いやすく、それはそれでとても良かったと思う一方、甲斐ファクトリーさんの場合、こういった題材を得たなら、キッチュな笑いを隠し味に持ち合わせた表現力で、とことん震え上がらせる事もできただろうに、という思いも。

こういった先入観というか色眼鏡抜きに見つめ返せば良質なドラマであったし、
セミナー参加者とセミナースタッフの生き方のコントラストにも皮肉のエッジが効いて、これにはさすが甲斐ファクトリーさん!と思えました。

ネタバレBOX

セミナー主催者をして「善意ある顔で上手いこと誘導しておいて、邪悪な尻尾を一体どのタイミングで出してくるつもりだ、さぁさぁ」という目で追っていた私。
あ~ぁ、自分の中にもしっかりモンスターが棲みついているなぁ(笑)
誰そ彼

誰そ彼

浮世企画

駅前劇場(東京都)

2019/09/19 (木) ~ 2019/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

兄弟間の仲の悪さを軸にした人間ドラマとしての面白味と、朽ちていく実家に棲みついたもののけ達の漫画っぽい面白味。
とても巧く両立しているので、最初これは足し算的に面白い!と思って観ていましたが、人間達は観進めていくほどにその人柄の理解度が増していくし、もののけ達は観進めていくほどにそのユーモラスでブラックな存在感が妙に馴染んでくる。
自然と双方が融合していくものだから増々面白くなっていく展開、もう絶妙。

浮世企画さんを観るのは今回が初めてでしたが、まさかこんなに楽しくも哀しく、繊細でパンチの効いた作品に出会える事になるとは思っていませんでした。
非現実が同居することで、より存在の現実味が増していく人の描き方が巧いし、エンターテイメントとしても素晴らしい!

家族間でのわだかまり。笑っていたのに徐々に伝わってくるその辛さ。
甘えもある中、自分だけが都合よく解釈し、なかったも同然にしてきた事。
観終わってジ~ンとした後、何か身に覚えがないか、仲は良いとはいえ思わず我が身を振り返ってしまうほど、生きていくリアルと不思議さを合わせ持った作品でした。

あつい胸さわぎ

あつい胸さわぎ

iaku

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/09/13 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

シーンの繋がりが見事にスムース。
サクサクッと秒速で入ってくる登場人物の人柄や関係性。
いや…実際には観劇中、そんな事すら意識せず、彼等の地に足のついた日常生活をただただ楽しく笑って見入っていただけなのではありますが。
高い脚本・演出力と演技力が見事に合致した舞台は、もう理屈抜きに引き込まれてしまいます。

母と娘、歯に衣着せぬやり取りが何とも大阪的で、やたらと吹き出してしまうし、取り巻く人物達との距離感、みんなみんな人間的にとても面白い。
そんな二人にやったね!恋の予感。
何だか観ている方も自然とニヤニヤワクワク。
そう、こんなにですよ、こんなにもガッツリ観る者の心を掴んでおいて、まさかあんなところ(運命)に連れて行かれるとは夢にも思っていませんでした。
まさに「ちょっマジかっ!」です
確かにほんのり気になる影はあったし、段階も踏んではいたのだけれど(伏線というより、こちらの後付け解釈としても受取れてしまう部分の演出が憎らしいほど巧い)
ガッツリ心掴まれたまま彼女等の心情と向き合う事になったものだから、非常に辛かったです。
もちろん苦情ではなく、まんまと演出意図にドはまりしたという事・・・
観終わった後、心の引き出しの中に「覚悟」という生きるうえで絶対必要なモノをそっと忍ばせてもらった、そんな気持ちになりました。

ネタバレBOX

賢明なる母娘共通の友人女性の存在が作品になんともいえぬ深みを。
男達はどうにも救いにならない立ち位置になってしまいましたが、うん、仕方ないし悪いわけでもない、むしろ良い奴、きっとこれからも・・・ただやたらと哀しい
暴力先輩

暴力先輩

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2019/09/11 (水) ~ 2019/09/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

えっ暴力先輩って、この人・・・何とも良い感じに裏切ってくれました。
並み居るキャラを掻き分けスペシャルにインパクト大だったのが配役名もそのままで登場の、みしゃむーそさん。
彼女はもはや人間飛び道具でしょ(笑)

舞台セットは子供番組を彷彿させる手作り感満載のポップさ。
演技面もそれと通ずる部分がある反面、言ってる内容はなかなかエグイ。
論理的な台詞も意外と多かったりするのですが、小難しい事抜きにすんなり入ってくる仕様なので感覚的にも理屈的にも楽しめました。
特に面白かったのが人間関係の妙。
様々な人間模様のサンプル 個々の人生観、その多様性と厄介さが楽しく、悩んで迷って他人に振り回されながら、あ~結局人って自分の嗅覚でもって己の道を進んでいくしかないのだなぁと。

半ライスのタテマエ

半ライスのタテマエ

Sky Theater PROJECT

「劇」小劇場(東京都)

2019/09/11 (水) ~ 2019/09/17 (火)公演終了

満足度★★★★★

定食屋での半ライスおかわりは失敗したとしてもお腹いっぱいで苦しいッだけで済みますが、人生の半ライスおかわりは大きな代償を払う事にもなりそうで、その成り行きにハラハラしてしまいます。

スカイシアタープロジェクトさんの作品は今回で2度目。
初見時のイメージはめちゃコメディーだったのですが、本作はめちゃドラマな作品で、方向性としてはこちらの方が好きだと思いました。
当日パンフには過去作品(なんと約18年前!)を更に大きく膨らませたとの解説が。
なるほど登場人物ひとりひとりが丁寧に描かれているので実に見ごたえがあり、再演だからこそのブラッシュアップ効果と言えば良いのでしょうか、まとまり感・熟成感があって、じっくり落ち着いて堪能できる仕上がりになっていたと思います。

ネタバレBOX

最後まで残った謎、亡くなる前のお父さんの心情が泣けました。

後悔が残らないよう半ライスをおかわりする欲求はもっともですが、その姿を黙って見守る相方ありきの幸せだなぁと、ホントよかったよかったです。

人生のおまけ~Collateral Beauty~

人生のおまけ~Collateral Beauty~

演劇企画イロトリドリノハナ

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2019/09/05 (木) ~ 2019/09/09 (月)公演終了

満足度★★★★★

コメディーとはまた違った面白味が随所に散りばめられ、殺人こそ起きないもののホームサスペンスの様な感覚でめちゃ楽しめました。
だってもし我が父が何を血迷ったか、どうにも怪しげな団体に情熱を注ぎ出したら、これはもう立派な大大大事件でしょ(笑)

定年退職後の生き方、親子・夫婦の関係性、ボランティア団体内での確執、微妙な男女の三角関係、強烈な親戚の登場!・・・何とも楽しみどころいっぱい、まさにひとつひとつのシーンを噛みしめながらの観劇となりました。
そしてまさかの回転セットで舞台の一角に喫茶店が出現!
暗転の中、薄っすらセットが回り出すのが見えると「おっ!喫茶店シーン、キターーー」

熟年世代、とても主人公の様な一本気さは真似できないにしろ、あんな可愛げある年の取り方が出来たらいいなぁ~としみじみ。
ただし別れた嫁さんがあんなイイ女になられちゃ、そこんとこはまぁ寂しいところだけれど(笑)
帰りには「ろくでなし」を思わず口ずさんでしまいます。

初日から千秋楽までいろいろと変化を遂げてきたらしい公演。
オヤジ♪さんは全公演をご覧になられた様だけれど、自分が観た千秋楽は順位を付けるとしたなら一体何番目なのだろう。
均一のクオリティーが保たれている公演も勿論良いけれど、生き物のように成長していく公演もまた面白い。

アリはフリスクを食べない

アリはフリスクを食べない

やしゃご

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/08/31 (土) ~ 2019/09/10 (火)公演終了

満足度★★★★★

アゴラ劇場に生活感の滲み出たリアルなアパート部屋が出現。
そこに暮らすのは知的障害者の兄と、その弟。
時には和やかで時には気まずく、時には賑やかで時には「えぇっ!!」
そこには幾つもの日常が息づいていて、まさにリアルofリアルの空間世界。
とは言っても例えば人様の部屋をじ~っと日々観察したところで、こんなにも感情を揺さぶられる事はないわけで・・・
これが演劇の生み出す魅せるテクニックというやつか。
哀しく切ないのだけれど溜息が漏れる程に「う~ん凄い!」つまりはパーフェクトだと思えました。

赤と黒のオセロ

赤と黒のオセロ

ウィークエンドシアター

ARISE 舞の館(東京都)

2019/08/31 (土) ~ 2019/09/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

今日はちょっと寝不足、しまったなぁ~と思いつつ公演へと向かう事になったのですが会場「ARISE 舞の館」に入ると一気にシャキーン!となるものですね(笑)

悪態をつく女死刑囚と、彼女の冤罪を訴えるジャーナリスト。
絶対ネタバレさせたくないので内容には一切触れられませんが、腕に覚えのある役者さんなら間違いなく切望するであろう魅力的な二つの役どころ。

私が拝見できたのは星川桂さん&奥村啓介さんコンビの回でしたが、もう2度とこのコンビでこの作品を観ることはできないのかと思うと・・・それが儚い。
おそらく厳選の組み合わせ。
他のコンビ回を観ていたとしても、きっと同じ儚さを感じてしまうのでしょう。

公演時間は55分、もう1秒1秒の味わい深さがす~んごく濃厚。
1秒1秒の重みが全く違って感じられました。
程よい空調、座席のパーソナルスペースがゆったり居心地良く、時間的にトイレの心配は全く無いものだから安心の面持ちでアイスコーヒーを頂きつつ、まさに目の前で繰り広げられる迫力満点な芝居に引き込まれていく贅沢さ。
こんな至福の時があるでしょうか(笑)
眠気など もはや完全に吹っ飛び、今はただひたすら今日の公演で体感してきた素晴らしき戦慄の時間を繰り返し繰り返し思い返していたいです。

それにしてもウィークエンドシアターさんって一体いくつの再演価値ある優良作品を所有しているのだ?
ドラえもん?(笑)

ドリーマーズ

ドリーマーズ

劇団YAKAN

高田馬場ラビネスト(東京都)

2019/08/30 (金) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

冒頭から人を惹きつける魅力があり、夢をモチーフにしたストーリー枠の中で思う存分遊びまわっているかの様な大胆さが良かったです。
どんな人にお薦めかと考えるに、役者さんの知人・友人の方々になるのでしょうか。
役にしっかりなり切った演技は普段とはまた違った勇姿に映るでしょうし、観客を楽しませようとする気概も充分伝わってきます。
舞台上に知り合いがいない者としては、コメディー色の強い作風に勿論楽しめる部分はあったのですが、笑いの方に寄り過ぎた演出とも思え、トータルとしてはちょっと物足りなく感じた部分も。
途中流れが変わる等、ストーリーの工夫こそあれ、個人的には「笑い」+「α」の「α」の部分に、もっとボリュームを持たせてもらうとより楽しめた公演だったように思えました。

ENDLESS-挑戦!

ENDLESS-挑戦!

劇団銅鑼

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2019/08/27 (火) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

実在する会社に取材を重ねての物語として楽しむと、とても希望の持てる作品。

近隣住民からは反対運動を起こされ、従業員からは不満たらたら。
近隣住民の不安は良く分かるし、かと言ってそう高くもない賃金に加えて悪者扱いされたんじゃあ従業員もたまったもんじゃない。
まさに八方塞がりの女社長。
産業廃棄物事業・・・数々の問題と打開策、業界モノとして産廃に対しての興味も大いに沸きましたが、どうやら本作の目玉は「働く者達の姿」
故に業種こそ違っても特にブルーカラーとされる職種の方に是非観てもらいたいと思える公演でありました。

導入部は特殊な業種ゆえの状況説明が台詞に課せられて、どこか不自然。
新入社員役の方が新人だからこその目線で良いナビゲートをされていたので、その説明的な部分も併せて担ってもらえば、冒頭はもっと自然な台詞回しになったのではないか。
女社長の挑戦を実現させるシビアな部分をより深く理解するには、更に具体的な産廃の情報が欲しい。
などの欲が湧いてくるのですが、それはこれからの更なる挑戦、今目の前にある仕事の意義を積極的に考える大切さを知らしめてくれる、より素晴らしい作品へと成長していく期待を持てるからこその欲だとも思えました。

開演前に当日パンフ(立派な無料パンフ!)の用語解説を読んでおく事をお勧めします。

親の顔が見たい

親の顔が見たい

Art-Loving

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2019/08/22 (木) ~ 2019/08/24 (土)公演終了

満足度★★★★★

渾身の千秋楽、観てきました!えぇもう素晴らしい公演でした。
会場出口のドアさえ開かなければ、いつまでも拍手が鳴りやまない程の勢い。
スタンディングオベーションをされていた方々の気持ちもよく分かります。
いじめが疑われる生徒の親と学校側の揺れ動く1時間55分。
学校が舞台とはいえ、これは社会生活を営む者すべてに当てはまり突き刺さるであろう内容。
演劇ファンならずともリアルで人間臭い光景に自然と引き込まれ、やがて考えさせられる・・・現実としっかり繋がっている様な時間がそこには流れていました。

学校に呼び出されたのは自殺した女生徒の遺書で名指しされていたクラスメートの親達。
父・母・祖父・祖母、それぞれの人柄が如実に表れた言動がとても興味深く、どんなにみっともなかろうが我が娘を守りたい親心は皆一緒である事を思いっきり見せつけられます。
学校サイドの対応姿勢が現実レベル(これはこれで悩ましい)に真っ当な分、より親達の心の内がハッキリ浮彫りとなって、これは共感と言ってしまっていいのだろうか、思わず被害者側の哀しみに対しての配慮が霞んでいく様な感覚に。
その為か最初のうちこそ思わず噴き出してしまうくらいの余裕があったのですが、後半はもう居た堪れない程の緊迫感。
会場全体が固唾をのんで事の成り行きを見守っている状態に。

「学校が悪いのか?教師が悪いのか?親が悪いのか?」その難しい答えのヒントは、もう時すでに遅しの顛末から透けて見える過去の日常の中にいくつも転がっていたのだと気づかされます。

出演者の13人中、7人が現役学校教師との事。
本業の役者さんがこちらの7人に寄せていた様子もなく、むしろ迫真の演技でぶつかっていたのに対して全く引けを感じさせない彼等の自然で堂々たる演技。
意義だけではなく、もう完全な表現者、現役教師だなんて言われなければ全く分かりませんでした。

千年ユニコーン

千年ユニコーン

東京演劇アンサンブル

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★

両親が離婚、引きこもり気味の女子高校生アンが導いてくれる世界は現実逃避にも受け取れるものの、中々に甘美で魅力的。
いじめられていた少年、ノアの方舟に選ばれなかった者たち、ユニコーン・・・個人的には『かいじゅうたちのいるところ』をどこか彷彿させ、そのあまりの居心地良さに、このままずっとこの世界を漂っているのも悪くないなぁと思えてくる反面、影を落とした彼女の不安・心の傷が舞台をとんでもない暗黒の世界へと変貌させていくのではないかという焦燥感もしっかり隣り合わせに。

若い役者さんが中心の舞台。
それぞれのキャラクターが繊細に現実と溶け合っていくように演じられ、多感期・・・若者の不安定でファンタジーな心の内が、美術や音楽そして演劇特有の表現、もう総動員にて色鮮やかに表現されていたと思います。

瀬戸の花嫁 再再演

瀬戸の花嫁 再再演

ものづくり計画

ザ・ポケット(東京都)

2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

前回再演で受けた感動、その記憶もまだ色あせていないというのに観てきました本作、再再演。
良かった!
役者さんが大幅に入れ替わった新鮮さを楽しく味わいつつも、抜群の安定感はさすがの再再演。
そして島人達から溢れ出る生命力もしっかり健在で喜ばしい限りでした。

もはやこの作品、『集団お見合いエンターテイメント』の金字塔と称しても過言ではないのでは。
「我が島に花嫁候補がやって来る!」浮足立った集団心理の妙。生で伝わってくる高揚感に、アチャ~ッやっちゃいましたね(笑)感、シーン毎の掛け合いの間が絶妙すぎて可笑しいったらありゃしない!です。

テレビをつければ報復だの煽りだの気が滅入るニュースばかりですが、一般市民たるもの本作のように生きた方が絶対幸せになれるのになぁと思える帰り道でした。

KAIDAN

KAIDAN

劇団カンタービレ

ウッディシアター中目黒(東京都)

2019/08/14 (水) ~ 2019/08/18 (日)公演終了

満足度★★★★

観劇後には何故か笑顔になっている怪談ストーリー。
今年の夏は帰省日程をずらす事にしたものの、本公演にてほんのり田舎に帰ってきた様な気分に浸れました。

どこか懐かしくて日本情緒漂うメインストーリー・・・どっこいそれだけで済まないのがカンタービレワールド。
まさかのジャパニーズゴーストバスターズ!?怪談コメディーにてリミックス。
光と音も妖しく誘導。
各々のテイスト(世界観)が混ざり合っていく美味。
今回はガッツリ笑って泣けて、というよりもふんわり笑って泣ける奥ゆかしい作風に仕上がっていたかなぁというのが総合的な感想です。

もはやカンタービレさんには勝手を知り尽くした劇場「ウッディシアター中目黒」といったところなのでしょう、名物「場面転換」の手際にも磨きがかかってホントにお見事、こうなると次のシーンはどんなセットに入れ替わっているのかも見どころです。

公演ごとに内容こそ変わっても、独自の様式美が確立されているので観ていて安心。
安心。と言いつつも「今回はどんな舞台?」と開幕した景色にいきなり意表を突かれたり、思わぬところでヒャッ!となったり、油断大敵、楽しくも涼しい夏のひと時を過ごせました。

TIME

TIME

まんざらでもねぇ

Geki地下Liberty(東京都)

2019/08/10 (土) ~ 2019/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

「コント芸術人」・・・確かに言い得て妙!確かに上手いネーミングだと思いました。
笑いだけではなくグリム童話風なパートもあったりで描かれる世界観も多彩。
マジックを取り入れた漫才の掛け合いは、既に「手品&漫才」スタイルでご活躍の芸人さんも存在しているので珍しくはないものの、「手品&コント&演劇」が融合したパートはおそらく「まんざらでもねぇ」さんだけ、新鮮でした。
手を替え品を替え、たった二人っきりで2時間の舞台をフルに楽しませる力量はよく考えたら(よく考えなくても)凄い事ではないかと。

兄弟コンビ。兄が肉体派で弟が知性派といった感じか。
内容的に男女供楽しめる公演でしたが両者ともルックスが良いので露出が増えれば増える程、女性人気が上がりそう。
見た目が爽やかキャラなのでもっと内容の毒味を強くしても全然OK、良く分からないジャンルではあるけれど腐女子向けのパートがあっても受け入れられそう・・・ここでの兄弟間というのは結構な付加価値ではないだろうか(笑)是非研究を。

満足度は★5ですが、これから表現の幅や奥行(手品テクニックも含めて)はもっと伸びていきそうなので★はひとつだけ次回に取っておきたいです。

PEACH  MAN!?

PEACH MAN!?

コルバタ

新宿スターフィールド(東京都)

2019/08/08 (木) ~ 2019/08/12 (月)公演終了

満足度★★★★

入場前、地階から漏れ聞こえてくる円陣の掛け声は爆発級(笑)
自ずと高まる期待を裏切らない初日パワー炸裂の舞台でした。
内容的には『桃太郎』をそのまま丸ごとアレンジしたのではなく、『桃太郎』のシチュエーションが重なっていく風のファンタジーエンターテイメント。
パンフでは「物凄く日本国に似ているところで起きた物語」となっていても、しっかり「日本」と言っちゃってるほか、設定の自由奔放さが笑えます。
拝見したのは女性主役の「ゆうぞら」バージョン、なるほどこれなら桃太郎が女性でも違和感なしだなぁと。

面白おかしいオンリーではなく、心の闇とのコントラストが印象的。
個人的には二つの古くゆかしきアメリカのSFホラー映画を彷彿させ、それぞれの映画で象徴的だった登場人物が劇中にも登場しているように解釈したのですが、これを演じている役者さんもまた同様に象徴的な位置づけで、とても良い味を出していました。
(具体的な映画名はネタバレに該当するのでネタバレBOXにて)

『桃太郎』といえばお供してくれる犬、猿、キジ。
猿は最初から既に分かりやすいものの(⇐身体能力の高さにビックリ)犬とキジは意外なところから選出。
なんやかんやで段々と『桃太郎』スタイルになっていくのが面白く、
いわゆる「鬼」サイドの世界観が「桃太郎」サイドと同等に描かれていたのも良かったと思いました。

ネタバレBOX

ひとつは『ドクター・モローの島』
悪の象徴としての単純な「鬼」ではなく、マッドサイエンティストとその助手、更には鬼へと改造されていく者達それぞれの悲喜こもごも。
博士と赤鬼が特にパンチの効いた味
もうひとつが『ラビリンス/魔王の迷宮』
ゴブリンの魔王に該当するかのような闇の存在感、これも良い味。

この2作。作者さんから「それ違うよ」と言われても、もう個人的には正解(笑)

『怪人二十面相』

『怪人二十面相』

サファリ・P

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/08/01 (木) ~ 2019/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★

思い出すのは自作自演の探偵団ごっこも懐かしい、ポプラ社『少年探偵団』シリーズに魅了された小学生の頃。
そしてシリーズ全巻を読みつくし、その勢いで文庫本にまで手を伸ばして、いきなり危ない香りのするエロティシズムをどこまで理解していたのは定かではないが(笑)乱歩ワールドへの更なる深みに.。
その時に頭に広がっていたビジュアルイメージは自分だけのモノであって決して具体的なカタチで見る事はできないのは重々承知ながらも、どうにも惹かれてしまうのが乱歩の世界。

でもっての本作。
「子供の頃、誰もがワクワクしながらページをめくったあの興奮はそのままに」の謳い文句に対して・・・確かに、なんか分かる!どこか共鳴できる!
ビジュアルイメージは劇団さんに一任するとして、素晴らしいと思ったのが何とも形容し難い妖しく美しい駆け引き渦巻くワクワクミステリアスワールド。

怪人二十面相の人物像は「謎」と「闇」が一層増して大人バージョンといった趣であり、ちょっとだけ登場する少年探偵団の微妙な存在感も絶妙。
本来書籍では相交わらない作品同志(子供向け作品と大人向け作品)のエッセンスが不思議な構成力で・・・正攻法のストーリー表現では決して体感できない世界観がまさに唯一無二で魅力的でした。
ずっと大人になってから『怪人二十面相』をこんな風に美味しく咀嚼できるなんて、やっぱり生きていると得するものだなぁと(笑)

ナツ。キタル。ホタル。

ナツ。キタル。ホタル。

tYphoon一家 (たいふーんいっか)

ザムザ阿佐谷(東京都)

2019/08/01 (木) ~ 2019/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★

ご縁あって前日のAチームに引き続きBチームも観劇。
チーム別公演でリピートの場合は、あえて同じチームを選択するのが今までの常だったので、同じ役でもこんなに見え方が変わるものなのか!という面白味がとても新鮮でした。
しかもAとB、違ったタイプの役者さんが演じられているので、記憶のまだ新しいAチームと照らし合わせて、どっちが好みかパート別に勝手にジャッジしたりして、勝手を知っているだけに余裕を持った楽しみ方が・・・ともあれラストシーンはどちらもイイ。

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