コナンの観てきた!クチコミ一覧

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Crime - 1st  -

Crime - 1st -

Sun-mallstudio produce

サンモールスタジオ(東京都)

2019/12/21 (土) ~ 2019/12/27 (金)公演終了

満足度★★★★★

女性犯罪3編。
3種3様の演出にして心の闇を炙りだすトーンが一貫しているのでとても観やすかったです。
再現映像とは全く異なり、同じ空間での息遣いも生々しく、犯罪の匂いが立ちのぼっているやり取りをダイレクトに体感、気迫ある舞台。


「松山ホステス殺害事件」
福田和子in北陸。
彼女の突出したインパクトは長年に渡る逃亡生活にあり。
常にギリギリ駆け引きの人間関係、生活生命力がめちゃ強い
何だか動物的な匂いがする女性だけれど、深い関係にある男の前で突然の人間臭さを目の当たりにすると
開き直りも見事で不謹慎な言い方だけれど、やっぱりこの人 業が深く興味深い。

「佐世保小6女児同級生殺害事件」
加害者・被害者ともに少女だった故に起きたと思える事件。
SNSで育まれた友情の破綻。
亡くなった少女が常に寄り添い、意思表示も見せるのだけれど真実は如何に。
親としてのやり切れなさで充満していました。

「新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件」
三橋歌織という女性の性格が一番理解しがたい。
被害者同僚の目線が印象として残っていて、それが何というか一番座りが良いのだけれど…
夫婦であれば確かに一方だけ悪いという事は無い、それは見ていてもよくわかる。
DVを受けていたなら一刻も早く別れてしまえばよかったのに。
夫婦してどんどん抜けられない迷宮に入り込んでいく様相が哀れ過ぎます。

玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科 2019年度秋学期演劇公演『画家と尼さん もしくは見せかけのゲーム』

玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科 2019年度秋学期演劇公演『画家と尼さん もしくは見せかけのゲーム』

玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科

玉川大学 大学3号館 演劇スタジオ(東京都)

2019/12/20 (金) ~ 2019/12/24 (火)公演終了

しっかりとした解説の入った当日パンフを開演前に読んでいて確信しました「きっとストーリーとか全く分かんないヤツ!」
本作で取り入れられているのはフィジカルシアターという新しい演劇スタイルだそうで特に本作で意識されているのは「戯曲を元にした翻案」「視覚的なステージ作り」「様々な芸術素材の融合」
もう観てみるしかないのだけれど、自分の中で『内容に関しては理解不能上等!』と腹を括ってしまえば気が楽というもの。

結果、それが効してか(!?)非常に楽しめる公演でした。
特に視覚的に訴えてくる力は大きく、言葉のチョイスも絶妙。
次に何が起きるのか予想もできないハラハラ感、予想できないままに訪れ来る場面の流れも案外乗っていきやすいじゃないですか 笑いも随所に(幾つも包含されたテーマの示唆は、恐らく取りこぼしまくっているのでしょうが)

奇抜な世界観を若い演者さん達が、よくぞここまで体現されているなぁと感心しきりの舞台。
観劇後に残ったのは総合芸術を創り上げるうえで必要な人材が豊富に揃った贅沢感。
観る前と打って変わって、この贅沢感をたっぷり味わうのに非常に適した演目だったなぁと思えたのでした。
人が結集した表現の力って本当に素晴らしい。

libido:青い鳥

libido:青い鳥

libido:

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/12/19 (木) ~ 2019/12/22 (日)公演終了

満足度★★★★

メーテルリンクの「青い鳥」は、てっきり知っている話だと思っていたのに実は知っていたのはラストだけだったと今頃になって気付きました。
探しもの(青い鳥)を通じて、こんなにも幻想的な冒険の数々が描かれたた物語だったなんて全然知らなかったです。
しかも皆が心浮き立つ、このクリスマスの時期にピッタリな作品であることも。

手作りの刺激でいっぱいの舞台。
人が亡くなった後の「思い出の国」や生まれる前の「未来の王国」
そして「夜の御殿」等々、チルチルとミチルが次々と導かれていく世界は「未知」と「再会」のワクワク感と、途方もない生命の道のり、闇と光、奇妙な味のダーク感。

貧しさの中、クリスマスの綺麗な御菓子に焦がれる2人の兄妹にも、これから沢山の「初めて」が
物語からそんな幸せを実感でもって感じられるのは、やっぱり大人になってからだろうなと。

lost memory(東京)

lost memory(東京)

劇団1mg

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2019/12/18 (水) ~ 2019/12/22 (日)公演終了

満足度★★★★

1周年記念公演、その第一弾(なんと第三弾まで予定されているそう)
1年のうちにこれまで3公演もこなし、今回4公演目になるのだから、かなりエネルギッシュな劇団さん。
その怒涛の勢いはそりゃもう公演にもしっかり表れ、めっちゃパワフル。
めくるめく場面転換に、ふんだんに繰り広げられるアクションの数々。
「これってどう見ても旗揚から1年のクオリティーではない!」と訝しくすら思えたので作演出の伊達シノヒコ氏を調べてみるとやっぱり只者ではなかった。
演劇のみならず映像構成作家でもあるっていう経歴は、やっぱりそうでしたか!と思わず頷いてしまいました。

主流の登場人物だけでなく、どの役者さんも前面に出て、もはや一つのストーリーの枠に納まりきっていないと思えた程、何というかあり余っています(笑)
いっその事、より群像劇的に彼等のサイドストーリーも…と思えましたが、実際約2時間もある公演だったのですね。
何だかあっという間でした。

一瞬より青春

一瞬より青春

猿博打

ひつじ座(東京都)

2019/12/12 (木) ~ 2019/12/15 (日)公演終了

満足度★★★★

パンツを見ればそのパンツをはいている人の「好きな人」が分かってしまう能力、そんな能力いらねぇ~(笑)
いやいやっ、高校時代なら・・・

笑いだけに留まらない振り切った演技を目一杯。
なので観る事ができて良かったと思う一方、魅せ方に関しては我流オンリーでなく熟練の演劇人もしくはプロのノウハウも取り入れてみてはどうかと。
きっとその方が、より効果的に伝わると思うのだけれど。
まだ本公演2回目の若い劇団さん。
個性炸裂はどうかそのままに頑張ってほしい。

Butterflies in my stomach

Butterflies in my stomach

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2019/12/08 (日) ~ 2019/12/17 (火)公演終了

満足度★★★★

7人の女優さんのフォーメーションがめちゃ繊細で綺麗。
生を受けてから亡くなる77歳まで、7人が10年を節目に交代しながら演じていく一人の女性は、柔らかに広がっていく擬音に紛れ空中分解を繰り返しながら、その度毎に歴史を重ねていっているようで面白い。
親だったり、恋人だったり、夫だったり、主人公以外の人物も各女優さんが自在に演じられている事もあってか写実的な描写というより、主人公の記憶・意志でもって慎重に繊細に形成していったような世界観の印象。
例えば、現実はあまりにも鋭利に尖っていたモノであっても脳内でほろ苦く輝くモノに変換しているような。

こうして女性の一生を拝見していると、瑞々しく華やかな騒めきを伴った年代というのは本当にあっという間なのだなぁと儚いものを感じますが、年を重ねていく事自体の美しさと力強さ、そして決して消える事のない記憶の断片たちに「生」の素晴らしさをしっかりと見せてもらった気持ちになりました。

新作短編『藤川修二ひとり芝居 -越冬蝶々-』の特別上演回。
こちらは、本編での女性特有の柔らかな賑やかさに包まれた世界観とは一変、武骨で男っぽい作品。
本編が名前こそあるものの「在る女性」的な印象だったのに対して、こちらは藤川修二氏そのままの自分語り(正真正銘の身の上話)を聞いている感覚に。
だけど本編と同じく作・演出 吉田小夏さん になっているのですよね。
ホントに創作なのかなぁ、めちゃリアルに響いたのだけれど。

セミの空の空

セミの空の空

コトリ会議

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/12/11 (水) ~ 2019/12/16 (月)公演終了

満足度★★★★

初・コトリ会議
制作さん(出演者でもある)の事前の作風説明にて、観劇前の心づもりが。
確かにそれだけの独自性ある演出作品。

例えば照明。
他劇団の公演で多く真似されるとキツイものがあるけれど、舞台全体を照らさず、いくつものスポットライトを組み合わせた独特の見せ方は、どこか浮世離れした感覚をもたらすと同時に、ヒトが息づく生々しさを敏感に こちらの集中力がめちゃ上がっていくのが分かります。
それを見越してか「動き」や「発声」、感覚に訴えてくる手法に対してのこだわりがヒシヒシと。

奇々怪々 不思議ちゃん なストーリー。
不条理な現象をそのまま受け入れていくと、展開のひとつひとつが理にかなっていて、何とも独特な味わいが広がっていくのが面白い。
例えば不条理劇を観た時にありがちな「よく分からなかったけど・・・」のエクスキューズを感じなかったのは何よりでした。

感想として…芸術性の高い、季節外れのお化け屋敷を楽しんだ感覚に近いような。
それも「ギャ~ッ」と絶叫してしまう類ではなく、興味深くジンワリ怖くなってくるタイプ。う~ん、そんなお化け屋敷は 無いか(笑)
作者さんと近い感性なりを持ち合わせていれば、もっと感じ入るモノは多かったのではないかとも思えるのですが、うん自分なりに楽しめました。

期待のオパンポン野村さんもしっかり怪演…のみならず、もうどの役者さんも見事に怪演、強弱のバランスが引き立って大きく奇怪なのも良かったです。
余韻を充分楽しんだ後は、不思議にまとわり残る「死者」の香りをポンポンッと振り払って眠りたいと思います。
お願いだから夢には出てこないでおくれ。この世界に迷い込むのはやっぱ怖い!(笑)

死に際を見極めろ!Final

死に際を見極めろ!Final

ライオン・パーマ

駅前劇場(東京都)

2019/12/11 (水) ~ 2019/12/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

もう笑わせる気満々!気概に満ち満ちた公演。
ただし若く勢いに任せた熱血系とは違って、寄せては返す波の如く
大人客もしっかり楽しめる微熱系?のバカバカしさでもって狙い的中、ええそりゃもう笑わせて頂きました。

最高にキマッった殉職シーンを求め彷徨う通称『スリム』刑事の、大スペクタクルロマン。
ハードボイルド風味にことごとく対極の味が混ざり合って、めちゃ可笑しい。
いつの間にか正に「楯」と「矛」 矛盾が織り交ざった展開にもなって、何故だか「死に際」からどんどん遠ざかっているし(笑)スケールがとんでもなく大きくなっていくし(笑)迷い彷徨って公演時間も堂々の約140分。
気概ある公演は自ずと時間もスケールもビッグになっていくものなのでしょうか。
観客としては脱力して身を委ねたまま、たっぷりとその世界観を楽しませてもらえるのですから何とも贅沢な話です。

365度人生

365度人生

張ち切れパンダ

小劇場B1(東京都)

2019/12/07 (土) ~ 2019/12/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

人物描写とその人物達が構築していく人間関係がめったくそ面白い!

観劇前は杓子定規に嘘ツキな女性が描かれているのだろうなと
であれば自分も距離を置いた処で(認識はしているが知人ではない)時々嘘をつく いい年齢の女性の存在を知っているので、そんな雑魚なキャラをどんな風に料理するのかと思っていたのだけれど

自分から見れば主人公 原田七子は全然嘘つき女なんかじゃない!
「嘘つき」というのは大概自分を大きく見せるため嘘をつくのだから。
確かに最初の登場シーンでは「ゲッ!」だったけれども、友人関係・家族関係・会社関係全ての社交関係を通して見えてくる彼女はつい応援したくなってくるほど人間臭くて、豪快で、しょっぱくて、何ならもうTHE人間味の宝庫 原田一家丸ごと大好き!

ただ笑っちゃうくらいに七子さん、性格がガサツ・・・売り言葉に買い言葉 ソレありそ~?含有の家族間の一連、一方 外では人間関係がこじれていくビミョーな経緯が逐一興味深く、時にはニンマリ、時にはヒリヒリ、実に様々な人間模様を見せてくれます。
結局、一般女性七子のめくるめく365度人生「私は嘘ツキで、卑怯で、偽善者で、いい人間だ。」の心の声にも似たキャッチコピーに大きく納得してしまうのでした。

七子を巡る先々を楽しみつつ・・・人との関わり合い、立ち位置って丁寧に考えていかなければ・・・などと思わぬ一石を投じられたような後味。
そして人を一側面だけで判断してはいけないと、ひと教訓。
それは第一印象の七子の事でもあるのだけれど、それだけじゃなく。
主人公だけじゃなく各人物が思い思いに生きて(活きて)いるのがイイ!
人間ってホント怖くて弱くて逞しい、そして面白い!

ネタバレBOX

やけくそ感たっぷりな友人とのカラオケボックスシーン。
思い返せばあの冒頭シーンに至る前1年分くらいの過程も描かれていたかの様な描写力。
あまりに面白かったので、もうあと1年分おかわり欲しいくらいだったけれど、結局また恒例のカラオケボックスとなってしまうのか・・・う~ん、七子達の人生、あと5年分くらいは観てみたい(笑)
こまかいのの貸し借り

こまかいのの貸し借り

フロム・ニューヨーク

OFF OFFシアター(東京都)

2019/12/04 (水) ~ 2019/12/08 (日)公演終了

満足度★★★★

どうしよう、困った事に・・・面白い(べつに困らないか)

観てきたのだけれど、こちら「フロム・ニューヨーク」という小洒落たネーミングユニットの正体を明かしちゃっても良いのだろうか

ネタバレBOX

ヘタレを武器にして瞬時に引き込んでしまうのは、裏を返せば相当高度な手腕の持ち主。

(内面的に)素っ裸で恥部を晒すようなお下劣さ(下劣ではなくて、お下劣)は、ある意味神々しくもあり・・・

とりあえず、お三方の使用済みティッシュをじゃんけん大会の勝者にそれぞれプレゼント!なんていうコーナーが無くて良かった。
う~ん イイかッ あったとしても(笑)
カケチガイ

カケチガイ

Offbeat Studio

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2019/12/04 (水) ~ 2019/12/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

客席は3エリア。
すぐそば横、斜め手前、舞台中央、舞台奥…オブジェのようなベンチ仕様のセットがそこかしこに点在。
どのエリアも見えやすさに遜色は無さそうだし、異なったアングルにてどこに座っても楽しめそう。
実際に始まってみれば案の定というか、場面転換ごとに目線を移す行為でさえも面白さに加担、役者さんの動線も面白い。

社長(傲慢タイプ)とその下請け取引先の平社員(気弱タイプ)。
入れ替わったお二人の演技は口調や所作のみならず、その目つきまでもが変わってくるのですね…「目は口ほどに物を言う」とはよく言ったものだ。

対極の性格が入れ替わる物語はコメディーとして笑えながらも、責任ある社会人(家庭人)なものですから、ほんのりオトナビター。
渦中の2組の夫婦はもちろん、周りをかためる役者さん達もしっかり盛り上げてくれるので、何だかもう成立しちゃってる!?入れ替わり生活も“状況の妙”にて楽しめてしまうのでした。

「これは仕方がない」ズルズルと諦めてしまいがちな夫婦の関係性、一旦他人目線でもって見つめ直してみるのも一案。と思わせる後味。
何気なく暮らしていても、そこにある日常のありがたみはついつい当たり前になってしまいがち…なので時には他人目線っていうのは確かに良いかも。

酔いどれシューベルト

酔いどれシューベルト

劇団東京イボンヌ

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2019/11/27 (水) ~ 2019/12/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

前回公演も拝見させて頂いた同演目でしたが、目から鱗が落ちるくらいに良くなっていました!
ブラッシュアップにてレベルアップしたというよりも、REBORN(生まれ変わった)ではないかというのが正直な感想。

前回公演が悪かったという意味ではないにしろ、台詞・展開がめちゃ良い感じにフルチェンジ。
分かりやすく且つ面白くなったと言えば簡単なのだけれど、それは同時に全ての役者さん達に活き活きとした演技をもたらし、観る者にそれぞれの考え方の違いや想いが伝わったうえでシューベルトの狂おしいほどのもどかしさを俯瞰で(時には定点で)理解できてしまうのだから味わい深さは格別。

例えばシューベルトの恋敵。
彼の振る舞いは一見嫌な奴に見えても、一人の人間としてちゃんと観ることができるので、決して悪役という括りには収まらない。
笑いも豊富、有益に取り入れられ、登場人物の持ち合わせた人柄から思わず生まれ出る笑いであるのがイイ。
登場人物達の恋愛、自己愛、略奪愛、友愛…沢山の愛が入り乱れて、本来それら全てが刃を向けているわけでは無いのに、シューベルトをどんどん追い込んだり素通りしていく様が何とも切なく心揺さぶられます。

小演劇でもダブルコール。
その確信を持って私も強く拍手していました。
ドラマとしてこんなにも高く飛躍したのであれば、完成度は申し分ない!で全然良いのですが、前回の様に生演奏を取り入れた「音楽」も融合させる必殺技を持っている劇団さんなので際限なく高みを望める演目だとも思えました。

ネタバレBOX

悪魔と天使。
悪魔の囁きは怪しさに満ち、邪悪を隠し持った契約だと分かっていても切羽詰まった者なら絶対に飛びついてしまうであろう吸引力があり、
一方で天使は厳しくも慈愛に満ちた言葉を投げかける。
両者の間で揺れ動き、結局本来の想いが遂げられなかったシューベルトは最期まで渇望に囚われたまま逝ってしまったのだろうか。
否、最後に創り上げた名曲はそれでは生まれる事はなかったであろうと。
荘厳な彼の作曲をバックにしたラストシーンでは、その美しさに思わず鳥肌が立ちました。
最後の伝令 菊谷栄物語

最後の伝令 菊谷栄物語

劇団扉座

紀伊國屋ホール(東京都)

2019/11/27 (水) ~ 2019/12/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

命の尊さが凝縮され、生命が光り輝く切ない時間を存分に堪能できました。
場面は浅草から津軽、そして再度浅草へ…
力強くも心地よい流れに乗って愛すべきキャラクターの面々と出逢える幸せ
&惜しみなく披露されるレトロビューティーなレビューの数々。
暗転ですら大いに楽しめる!まさに隅から隅まで全てがエンターテインメント。

最初は笑いながら涙ぐみ、目頭を押さえながら笑っていましたが、遂には号泣。
「菊谷栄」というエンターテイナーの生き様。
そして彼を取り巻く愛すべき人達。
その存在を心に刻みつける事ができて本当に良かったです。

哀しい・・・でもレビューは美しい。
納得のダブルコールの回でした。

ネタバレBOX

菊谷栄と一緒に渡った人達。
彼等のその先はどうなったのだろうか。
戦争は本当に尊いものを沢山奪っていく。
小さなエイヨルフ=罪過

小さなエイヨルフ=罪過

クリム=カルム

新宿眼科画廊(東京都)

2019/11/22 (金) ~ 2019/11/27 (水)公演終了

満足度★★★★

マジックリアリズム、こんなにも独特の世界観を創り出すのですね。
演劇であると共にちょっとした美術作品を観てきたような感覚。
原作「小さなエイヨルフ」はこれまで未見。
開演前の解説が大変有難く、出来る事なら同時に原作のミニ解説や本作の構想着目点等々もっと聞いてみたかった。
例え何割かそこでネタバレしたとしても、これだけ意表をついた演出であれば充分楽しめると思うし。
というのも惜しむらくは、本来の原作の主軸がどこにあるのか探りながら拝見していたから。
ちなみに終演後どうしても気になって確認させて頂いた部分は見事に全てオリジナル、ガ~ン!
原作を知っていれば、大胆なリメイクとの対比もあって楽しめるにしろ、知らないのなら知らないで、もうそのまんま単純に真っ新な気持ちで挑んだ方が良かったのだなぁと、ちょっと後悔。

そうは言っても脳裏に焼き付くビジュアルの数々。
視覚的な刺激効果(役者さん、舞台美術、調度品、光…盛り沢山!)も楽しく、独創性に溢れた作品として楽しめる公演でした。

ネタバレBOX

なんて無責任で、だらしのない妻だ!バスタブから出ようともしないで、口にするのは自分の事ばかり、興奮して動くほどにお湯がチャプチャプ・・・おっっ!やっと出てきた・・・あっ!!倒れた。
最初は何とも女性達が病んでいるなぁと思いつつ、根源はこの一見爽やかな「彼」か。

若い身体のまま生き続けるヴァンパイア。
「愛してるよ」の殺し文句。
途方もなく永く生き続けるということ、それはこんなカタチで女性を巻き込んでいくしかないのか。
「生きる術」が何とも悩ましい。
声

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2019/11/20 (水) ~ 2019/11/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

舞台には通路らしきスペースをセンターに、2つのマンションルームが。
開演前、ここにどんな人が住んでいるのか想像してみるのが楽しい。
事前に内容を知らされていないのもあり、様子の違ったこの2部屋で一体何が起こるというのか、自ずと期待が高まります。

そうしての開演。
目の前(舞台)で繰り広げられたのはストーリーというより生活の営み。
2つの生活者、両者の交流は無いものの同じ時間を歩んでいるのは明白であり、観進めるほど自然に読み取れてくるそれぞれの人柄や事情。

不安定なモノは風が吹きつければ揺れるがごとく、観ている者の心をざわつかせます。
このままだと、いずれ倒れてしまうか折れてしまうか、何か悪い事が起きる予感しかしないし、もどかしくも風を受ける弱者の声は誰にも届かない。
あぁせめて子供には・・・もう思わずこっちが声をかけたくなってくるほど

“声”というキーワードが出てくるとき。
一方ではカラカラに乾ききった喉に優しい水が沁みわたっていくように、
また一方では弱った身体に冷たい刃物がとどめを刺すように。
鼻がツーンとしてくる。
しっかりと気持ちが伝わってくる舞台。
なのでストレートに哀しく、辛かったりもするのですが、幸せな気持ちが滲み出てきます。
具体的に何がこの幸福感を生み出しているのか説明できないのだけれども・・・どうして、この幸福感、ホント不思議だ。

ねこそぎ

ねこそぎ

演劇研究会(慶應義塾大学公認学生団体)

山王FOREST 大森theater スタジオ&小劇場(東京都)

2019/11/22 (金) ~ 2019/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

タイプの異なる2作品、どちらも中身がギュッと!力作。

『人魚の肉』
娘に不老不死の力を、一心不乱にお金を捻出し人魚の肉を食べさせようとする母親。
娘にはそんな意志などある筈もなく、逆に大切にしていたモノを母親に奪われてしまうという皮肉。
他にも大人の強い思惑によって人生を大きく左右されていく若者2名。
若者達が突き進んでいくほどに、歪み拡がっていく独特の世界。
個々に蔓延る愚かしい価値観の渦を漂流する若者たちの演技が力強く、醜と聖も鮮やかに見応えある作品でした。
欲を言えば、これだけの世界観ならば「大人の艶っぽさ」なのですが、これは致し方ないか。

『乱高下スッポンポ』
前作の強くまとわりつく余韻もそのままに休憩を挟まずスタート。
一転、コメディータッチな作品を演るにはかなり不利な空気になっているのを百も承知といった感じの3人組。
ホームの公演という部分を差し引いてもかなり勇敢な姿でした。
怪しげな旅館に団体客、しかも修学旅行。
言ってみれば「何とか女風呂を覗きたい男子」という単純な話であり、パンパンの会場もかなり受けていましたが、よくぞ色んな登場人物を瞬時に使い分け、ナンセンス要素も取り入れの大スペクタクル作品に仕立て上げたものだと感心。
前作との奇妙なブレンド感というのもあったかも。

シェアハウスカムカム

シェアハウスカムカム

劇団娯楽天国

ザ・ポケット(東京都)

2019/11/20 (水) ~ 2019/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

初見だった前回公演が30周年記念だったので、特別にサービス精神大盛りだったのかと思いきや、今回も負けず劣らずの超大盛。
これが「娯楽天国」のスタンダードか!と思うと頭が下がります。

立派な当日パンフ、それなのに何故か役者さん達の名前と並んで役名が載っていないのを訝しく思いながらの開演・・・観終わってようやくナルホドそういう事だったのかと納得。
(納得と言いつつ後で良く見てみると別ページに書いてあった…実は見落としていただけでした…いやそれでもナルホドと思えるのですよ)
ともかく「娯楽」という乗り物に乗って、笑ったり悲しんだり、上がったり、急降下したり、様々に通り過ぎていく景色を自然に受けとめ楽しんだまま物語の終着駅に到着するのが正解の様です。

「ディスコ」を口にするおばちゃんの事を「今どき!」と嘲笑うギャルが、懐かしのガングロメイクなのにはツッコみたくなる(笑)
色んな人が棲みついて ここは一体!治外法権か(笑)
その一方で辛い時代を知っている年代の方にも刺さる描きがあったりで盛り沢山。

シェアハウスの名は「ラッキーカムカム」
和洋折衷。というより趣味のゴチャ混ぜ感満載、構造がこれまた不思議、それでいてレトロな佇まいが何とも良い感じで、今回のセットも素晴らしい!

スリル14/スリル7

スリル14/スリル7

ショーGEKI

ワーサルシアター(東京都)

2019/11/19 (火) ~ 2019/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

スリル14を観劇。
密室に閉じ込められた14人。
なので14人全員が舞台上に出ずっぱり。
これだけの大人数なのでパンフに掲載された役柄だけでも把握しておいた方が良いかな。と思いましたが、始まってみれば全くの白紙状態であっても問題なさそう。
分かりやすい場所に設置された時限爆弾には、これまた見やすい大きな時計盤。
なるほどこうなるときっかり「1時間30分」には何処にも逃げ場無し。
つまりは同時に舞台成立のタイムリミットであり、そういう意味でもドキドキ、怒涛のテンポ“命”チャレンジャーな作品でした。

さすがのラスト「どうなる、どうなるっ」の畳み掛けに最高潮のハラハラ頂きましたが、要所要所にもハラハラポイントがあって楽しく振り回されました。
時限爆弾が偽物であっても大ごとに発展!?
登場人物の薄っすらとした疚しさが相まって、何やら怪しいのが隠し味(それほど隠してないか)

ネタバレBOX

タイムリミット数秒前! 思わず「ああっ!」と声が出そうに、フ~ッ危なかった。

上のデンジャーBOXが傾く仕掛けがあると、より一層ドキドキ感UPしただろうなと。
そう、別の意味でも(笑)

風を打つ

風を打つ

トム・プロジェクト

俳優座劇場(東京都)

2019/11/07 (木) ~ 2019/11/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

漁師を営む一家、頬を撫で潮風が吹き抜けていくのを感じる舞台。
ここで水揚げされるシラスはさぞかし美味しかろうと。
そして何と音無美紀子さんと太川陽介さんが夫婦役!
音無さんは日本の肝っ玉母さんそのもので、気性や所作が自分の母にもちょっと似ているものだから格別にリアル。
網元の家へと入るカタチとなった太川さんも自然体な父親の風格、全くもって長年連れ添った夫婦であり、それぞれの茶目っ気がとても可愛い。
(太川さんが蓄えた白色の多い髭はどこからどう見ても本物にみえるのですが)

ただし、ここはかつて水俣病の犠牲者第1号になってしまった家。
発症当時は原因がどこにあって当然ながら何の病気だという事も全く分からず。
確かにその影をしっかりと感じさせながらも、長男夫婦がこっちに越してくるのを次男と一緒になって浮足立ち迎え入れる魅力的な家族模様として引き込まれてしまいます。
過去の事件さえなければ間違いなくワチャワチャと温かな幸せを心ゆくまで謳歌できたであろう家族。
切なく噴き出してくる各々の心の内。
終盤に向けての演技・演出・メッセージには、もう言葉が出て来ません。
現実に基づいた骨太で素晴らしい公演でした。

ネタバレBOX

今も杉坂家をバッシングするなんて怒りエネルギーの方向が全くもって間違っている。
リテラシーの大切さを痛感しました。

ラストでの「自分が非難する側にならなくて良かった」という言葉に愕然。
客席から観ていると、あまりの周りの仕打ちに「なっ!なんて酷い事を」という思いだったのに、この家族ですらそう思ってしまうのなら自分だって間違いなくそちら側に行ってしまったのであろうと。

ハケンアニメ!

ハケンアニメ!

吉本興業

紀伊國屋ホール(東京都)

2019/10/31 (木) ~ 2019/11/14 (木)公演終了

満足度★★★★

アニメスタジオで奮闘する人々、目指すはトップOFアニメ、志高き姿が描かれた業界モノ。
脚本・演出G2さん作品らしい脂がのった役者陣(この時点で面白さは保証)に加えて若い役者さんが2名。
このお二方が全くの未知数だったのですが、重要な役どころをシッカリこなしておられたので安心して楽しむ事が。

業界モノといえば個人的に真っ先に浮かぶのが松澤くれはさん。
この松澤くれはさんの痺れるほどシビアで赤裸々な(偏見じゃないですよね?)観察眼・世界観とは異なり、例えばテレビドラマでも放映されそうな大衆性ある作品だったなぁと。
大人の事情が絡んだり、こだわりのぶつかり合いがあったりで大変そうだけれど、アニメ業界を志す方々の味方にもなってくれる作品、くれはさんならどう描いていたのだろうかと思ったり。
どんだけ好きなんだ!ごめんなさいテンポ良くラストまで2時間強一気に楽しめました。

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