KAIDAN
劇団カンタービレ
ウッディシアター中目黒(東京都)
2019/08/14 (水) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
観劇後には何故か笑顔になっている怪談ストーリー。
今年の夏は帰省日程をずらす事にしたものの、本公演にてほんのり田舎に帰ってきた様な気分に浸れました。
どこか懐かしくて日本情緒漂うメインストーリー・・・どっこいそれだけで済まないのがカンタービレワールド。
まさかのジャパニーズゴーストバスターズ!?怪談コメディーにてリミックス。
光と音も妖しく誘導。
各々のテイスト(世界観)が混ざり合っていく美味。
今回はガッツリ笑って泣けて、というよりもふんわり笑って泣ける奥ゆかしい作風に仕上がっていたかなぁというのが総合的な感想です。
もはやカンタービレさんには勝手を知り尽くした劇場「ウッディシアター中目黒」といったところなのでしょう、名物「場面転換」の手際にも磨きがかかってホントにお見事、こうなると次のシーンはどんなセットに入れ替わっているのかも見どころです。
公演ごとに内容こそ変わっても、独自の様式美が確立されているので観ていて安心。
安心。と言いつつも「今回はどんな舞台?」と開幕した景色にいきなり意表を突かれたり、思わぬところでヒャッ!となったり、油断大敵、楽しくも涼しい夏のひと時を過ごせました。
TIME
まんざらでもねぇ
Geki地下Liberty(東京都)
2019/08/10 (土) ~ 2019/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
「コント芸術人」・・・確かに言い得て妙!確かに上手いネーミングだと思いました。
笑いだけではなくグリム童話風なパートもあったりで描かれる世界観も多彩。
マジックを取り入れた漫才の掛け合いは、既に「手品&漫才」スタイルでご活躍の芸人さんも存在しているので珍しくはないものの、「手品&コント&演劇」が融合したパートはおそらく「まんざらでもねぇ」さんだけ、新鮮でした。
手を替え品を替え、たった二人っきりで2時間の舞台をフルに楽しませる力量はよく考えたら(よく考えなくても)凄い事ではないかと。
兄弟コンビ。兄が肉体派で弟が知性派といった感じか。
内容的に男女供楽しめる公演でしたが両者ともルックスが良いので露出が増えれば増える程、女性人気が上がりそう。
見た目が爽やかキャラなのでもっと内容の毒味を強くしても全然OK、良く分からないジャンルではあるけれど腐女子向けのパートがあっても受け入れられそう・・・ここでの兄弟間というのは結構な付加価値ではないだろうか(笑)是非研究を。
満足度は★5ですが、これから表現の幅や奥行(手品テクニックも含めて)はもっと伸びていきそうなので★はひとつだけ次回に取っておきたいです。
PEACH MAN!?
コルバタ
新宿スターフィールド(東京都)
2019/08/08 (木) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★★
入場前、地階から漏れ聞こえてくる円陣の掛け声は爆発級(笑)
自ずと高まる期待を裏切らない初日パワー炸裂の舞台でした。
内容的には『桃太郎』をそのまま丸ごとアレンジしたのではなく、『桃太郎』のシチュエーションが重なっていく風のファンタジーエンターテイメント。
パンフでは「物凄く日本国に似ているところで起きた物語」となっていても、しっかり「日本」と言っちゃってるほか、設定の自由奔放さが笑えます。
拝見したのは女性主役の「ゆうぞら」バージョン、なるほどこれなら桃太郎が女性でも違和感なしだなぁと。
面白おかしいオンリーではなく、心の闇とのコントラストが印象的。
個人的には二つの古くゆかしきアメリカのSFホラー映画を彷彿させ、それぞれの映画で象徴的だった登場人物が劇中にも登場しているように解釈したのですが、これを演じている役者さんもまた同様に象徴的な位置づけで、とても良い味を出していました。
(具体的な映画名はネタバレに該当するのでネタバレBOXにて)
『桃太郎』といえばお供してくれる犬、猿、キジ。
猿は最初から既に分かりやすいものの(⇐身体能力の高さにビックリ)犬とキジは意外なところから選出。
なんやかんやで段々と『桃太郎』スタイルになっていくのが面白く、
いわゆる「鬼」サイドの世界観が「桃太郎」サイドと同等に描かれていたのも良かったと思いました。
『怪人二十面相』
サファリ・P
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/08/01 (木) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
思い出すのは自作自演の探偵団ごっこも懐かしい、ポプラ社『少年探偵団』シリーズに魅了された小学生の頃。
そしてシリーズ全巻を読みつくし、その勢いで文庫本にまで手を伸ばして、いきなり危ない香りのするエロティシズムをどこまで理解していたのは定かではないが(笑)乱歩ワールドへの更なる深みに.。
その時に頭に広がっていたビジュアルイメージは自分だけのモノであって決して具体的なカタチで見る事はできないのは重々承知ながらも、どうにも惹かれてしまうのが乱歩の世界。
でもっての本作。
「子供の頃、誰もがワクワクしながらページをめくったあの興奮はそのままに」の謳い文句に対して・・・確かに、なんか分かる!どこか共鳴できる!
ビジュアルイメージは劇団さんに一任するとして、素晴らしいと思ったのが何とも形容し難い妖しく美しい駆け引き渦巻くワクワクミステリアスワールド。
怪人二十面相の人物像は「謎」と「闇」が一層増して大人バージョンといった趣であり、ちょっとだけ登場する少年探偵団の微妙な存在感も絶妙。
本来書籍では相交わらない作品同志(子供向け作品と大人向け作品)のエッセンスが不思議な構成力で・・・正攻法のストーリー表現では決して体感できない世界観がまさに唯一無二で魅力的でした。
ずっと大人になってから『怪人二十面相』をこんな風に美味しく咀嚼できるなんて、やっぱり生きていると得するものだなぁと(笑)
ナツ。キタル。ホタル。
tYphoon一家 (たいふーんいっか)
ザムザ阿佐谷(東京都)
2019/08/01 (木) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
ご縁あって前日のAチームに引き続きBチームも観劇。
チーム別公演でリピートの場合は、あえて同じチームを選択するのが今までの常だったので、同じ役でもこんなに見え方が変わるものなのか!という面白味がとても新鮮でした。
しかもAとB、違ったタイプの役者さんが演じられているので、記憶のまだ新しいAチームと照らし合わせて、どっちが好みかパート別に勝手にジャッジしたりして、勝手を知っているだけに余裕を持った楽しみ方が・・・ともあれラストシーンはどちらもイイ。
ナツ。キタル。ホタル。
tYphoon一家 (たいふーんいっか)
ザムザ阿佐谷(東京都)
2019/08/01 (木) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
やっと梅雨明けしたばかりの今、観るべくタイミングがまさにピッタリ。
照りつける太陽。海。イベント。夕立。夏の夜。縁日。ホタル。・・・・創り手の夏大好き感が心地良く伝わってきます。
4日間4つのエピソード、それは観る人それぞれが自身の胸に手を当てれば、それぞれにこみ上げてくるエピソードでもあり・・・
ほろ苦くも何か起きそうな夏の情緒に包まれて、始まったばかりの夏にウェルカムのスイッチが入った夜となりました。
Vol.1「Beautiful Losers」
劇団マリーシア兄弟
Geki地下Liberty(東京都)
2019/07/25 (木) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★
アイドル合同コンサート、舞台はその担当マネージャー達専用控室。
出入りするのはマネージャーの他にもプロデューサーに芸能事務所社長などなど沢山いたのだけれど、本作の台風の目玉的存在は演劇演出家。
彼が劇中で語る作品創りに対しての見解は、これからのマリーシア兄弟さん自身が目指す処の意思表示として受け取れるのでした。
今回は客演も迎えての特別企画第一弾、更には将来に向けて女性キャスト14名の募集も開始。
何か大きく変わろうとしている気配が。
再演 マインドファクトリー~丸める者たち~
かわいいコンビニ店員 飯田さん
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2019/07/24 (水) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
ダイレクトに「体罰」に切り込んだ作品。なので、精神的に辛くなるのを覚悟していましたが、とても客観的な目線で鑑賞できました。
「辛くならなかった」=「刺さらなかった」というわけでは無く、それは自分自身が既に社会に出ていて、体罰教師の内面が透けて見えたからであり、大人に対しての畏怖の念よりも「コノヤロー」的なツッコミ感情の方が勝っていたからだと思えます。
ただ過去に強烈な「体罰」の経験がある方には、やられる側の内面表現も鮮やかに痛々しく、やはりキツイ作品ではありそうです。
野球部監督は確かにキリッとしていて外部から見ればいかにも評判良さげな人物。
しかし裏の顔は現在ならSNSで拡散されて一発アウトのタイプ。
加えて部員に対しての言い方・論調が本当にあざとくて腹立たしいったらありゃしない。
この人物像の絶妙なリアルさは、きっと実在したモデルの復元描写力だろうと推測します。
田舎町、世間からの英雄視というバリアに守られた野球部内での恐怖政治。
だからと言って作品が陰湿なイメージに支配されていなかったのは高校生たちの精神的・肉体的ダメージに対しての回復力と青い狡猾さ・・・若さ特有の生命力もしっかり描かれていたからでしょう。
そういう意味では観ていると多少威圧する事の必要性も感じてしまうのですから、正しい教育とは本当に難しいものだと実感します。
ねずみの亡骸を抱いた猫
フェルフェン
ひつじ座(東京都)
2019/07/23 (火) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★
少年と少女の逃避行。
本編とファンタジーの世界(猫とネズミのオリジナル童話)がリンクして世界観がグッと拡がっていきます。
「母親殺し」「失踪した父親」「過去から逃げる少年」「詐欺や盗みを生業とする少女」「やさぐれたジャーナリスト」
親から、そして世間から見捨てられた孤独感溢れるストーリーである一方、冒険者の様なワクワク感も・・・そのワクワク感が哀しみをより引き立ててもいるのだけれど。
観る側に寄り添った芝居・演出と言えば良いのか、少々荒削りな部分も感じましたが淀みなく引き込まれました。
当日パンフを読むと作者さん自身を投影した作品でもあるような記述があり、それを踏まえると更に感慨深い思いが。
創作者というのは不幸を知っている者の方が、より琴線に触れる物語を紡ぐ事ができるのかも と思えたりします。
律儀な強盗犯
ウィークエンドシアター
ARISE 舞の館(東京都)
2019/07/06 (土) ~ 2019/07/21 (日)公演終了
満足度★★★★
新宿駅から会場へ。
目的地は歌舞伎町、そう向かうは午後のまだ日が高い歌舞伎町。
開いた扉の奥からアウトレイジさながらの室内が見えてしまったり、ホストと女性客が道中で妙なやり取りをしていたりと、会場に辿り着くまでに深夜ドラマさながらの非日常世界が展開。
この会場の座席につくまでに純粋な土地柄パワーだけで既に浮世離れしたモードになれるのは、図らずも地の利と言えるのではないかと(笑)
そうして始まった犯罪の匂いがする導入部も、何だかしっくりくるのでした。
ウィークエンドシアターさんの公演はこれで3度目、今回もとても面白く拝見させて頂きました。
ただ物足りなかったと思う部分も。
最初に拝見した作品では観客は結婚式参列者としてのお祝いモード。
2度目は拉致された男女を壁の外から眺めている様な背徳感。
拝見した過去2作は会場の様式を存分に活かした演出で、何というか演者と観客との間にハッキリと共有感、共犯感が発生し「観客の存在にも意味がある」とも言える他には無い魅力が詰まっていたのですが・・・今回はその部分が弱かったのではないかと。
客いじりとは全く違う舞台との共有感、共犯感。
これが無いと「普通の面白い舞台」であって、本来のウィークエンドシアターさんじゃない!・・・と思ってしまうのでした。
「普通の面白い舞台」じゃダメなんですか?・・・はい、願わくばウィークエンドシアターさんにはその上をいって欲しい。
砂の家族
SYOMIN'S
シアター711(東京都)
2019/07/17 (水) ~ 2019/07/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
入場時、舞台セットに目を向けてちょっと侘しさを感じるもフ~ンてなもんで全く心配などしない。
何故ならこの公演、役者陣が滅茶苦茶豪華版だから。
舞台の醍醐味のひとつは何と言っても色々な人の生き様を生々しくも心ゆくまで味わえる事。
戦争で何もかも失ったマイナスから人生スタートの絆強い3人。
移り行く時代の中を生き抜く事ができてこそ拡がっていく哀しみと喜び。
人の強さ、弱さ、美しさ、醜さ・・・舞台に心預けて思いっきり堪能できました。
「相棒」の山中崇史さんがこんなにも骨太な舞台役者だったとは知らなかった。
百戦練磨の役者さんに混ざって若い役者さんもしっかり巧い!
フライヤーは舞台を鑑賞後、改めて見るとしみじみしてくるヤツ。
かぐや姫と菊五郎
骸骨ストリッパー
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2019/07/11 (木) ~ 2019/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★★
『かぐや姫』の物語にオリジナル登場人物が加わり、日本昔ばなしがアクションシーンたっぷりのTheエンターテイメント作品に大変身。
衣装のクオリティーが高く、着物&ミニスカ&網タイツ、どうやったらひとつにできるの?的奇抜な衣装が超カッコイイ。
その他にも随所で盛り上げてくる音響、眩くもドッ派手な攻めの照明、小演劇の域を超えたゴージャス感が様々な演出によって醸し出されていました。
役者さん達もそれらに応えるべく若さ炸裂で頑張っておられましたが、これだけバックグラウンドが強力であれば本来の演技に加えてオーラというか「強烈な個性」の欲求度もグッと上がってくると感じてしまったのも確か。
個人的には盗賊団の紅一点クジャナ役の方は目力も強く、惹きつけられる存在感でした。
あと、豪快な衣装チェンジの盗賊団お頭・・・なんで盗賊団ばっか(笑)
良い土壌の中、役者さん達には今後も各々の輝きに磨きをかけての活躍に期待します。
ここまでエンターテイメントへのこだわりがビシバシ感じられる公演なのに歌が生歌でなかったのにはどこか違和感が。
星は、それでもクオリティーの高かった総合的な完成度に
あいAIなんだ
わらかどプロデュース
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2019/07/12 (金) ~ 2019/07/14 (日)公演終了
満足度★★★★
現在よりちょっとだけ先の未来 という程合いが良いのか、あながちSFではなくなりそうな気がしてくる部分もあったりするストーリー。
公演時間約1時間、役者さん4人だけの作品なのに、それぞれが役どころを独自に膨らましていった創作経緯もあってか普通に見応えがあったし、本格的なダンサーさん(4人中の一人、役者としても活躍)のパフォーマンスのお得感も加わって、丁度良い満腹感。
紅一点の笑門福さんは、あめくみちこさんの匂いにも似たコメディエンヌ女優な佇まい。
旦那との息の合った(?)自己主張のぶつけ合い、つまりは夫婦喧嘩、お互いの言い草がなかなか笑えます
雇い主の感情を取り込めて理解できるまでに至ったAIロボットは、もはやほぼ人間ではないのか・・・一番感情移入してしまったのは何とAIロボットだったのでした。
煙を抱く
ピンク・リバティ
シアター711(東京都)
2019/07/09 (火) ~ 2019/07/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
妻が失踪・・・それに気づいた時から主人公の非日常は始まったのだけれど、妻を捜す そこからの時間は、おそらくこれまでの日常に比べて随分濃度の濃い時間になったのではないかと。
キーワードにあるのは「煙ーけむりー」
妻が「煙」のように消えた、工場から立ちのぼる「煙」、「煙」みたいに拡散して実体が無くなっていく諸々・・・
ひょっとして「ストーリー自体も曖昧模糊としていき煙に巻かれてしまう作品なのかも」という事前推測もあったりしたですが、そこのところは案外意図する面白さを充分汲み取れる作品であり、不思議なワクワク感を持って楽しめ、とても良かったです。
こんなに可笑し味ある作品だったのか!という意外性もありましたし。
妻を捜す旅。
「この好きな感じは一体!?」と思いながら観進めていたのですが、趣旨や世界観こそ違うものの、このスタイルはそう、まさしく『銀河鉄道999』!あぁ~そりゃもう大好き!
ご覧になった方には「なるほど、そうだったかも」と言ってもらえると思うのですが。
作者は30歳の方か・・・コミュニケーションの妙。色んな意味で感慨深いです。
アシュラ
平熱43度
ワーサルシアター(東京都)
2019/07/03 (水) ~ 2019/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★
権力を持つ者VS超能力を持つ者。
8人VS8人。
対峙する関係性での一人二役なので、なるほどこれは分かりやすい。
「このハイスピード演劇にアナタはついてこれるか!?」の謳い文句通り、瞬時にシーン(役柄も)が次々と転換していき、一々説明的な事には時間を割かれないので、これはもう「役者の瞬発力」VS「観客の頭の切り替え力」
実に挑戦的かつ刺激的な演出でありました。
と言いつつも、しりとり式な繋ぎ方やキャラクター設定、音響・照明等で観客側に向けては何かと手を差し伸べてくれるので、これからご覧になる方はそうそうご心配なさらずに。
程よく慣れてきた後半から何気に転換にも大胆さが加わってくるので、うっかり油断できないものの、最もこれだけハードでデリケートな芝居を要求されている役者さん達を目の前にすれば「これは最後まで食らいつかなきゃ!」という思いが一番大きかったかも。
ストーリー的には独創的な演出も相まってアニメにも似た感覚でもって楽しめたのですが、戦争に持ち込もうとしているのはいつの世もトップ同志「何故に争わなくてはならないのか」という理不尽さが常に付きまといます。
ノンストップで描かれる抗争SFサスペンス&ラブストーリー&笑いも少々。
これら全てを一気にのみ込んでいくラストシーンは圧巻の一言でした。
僕たちのヒーローショー
国学院大学演劇研究会
國學院大學渋谷キャンパス・百周年記念館地下二階演劇練習室(東京都)
2019/07/05 (金) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
観劇日からちょっと日が過ぎましたが、それでもかなり印象に強く残った公演。
ヒーローショーがモチーフ、故に冒頭こそドタバタ一本鎗で攻めて来るのかと思いきや「ナイゲン」よろしく渾身の会議コメディ作品。
論争メンバーはスーツ姿の運営会社VSコスプレ姿なままのヒーロー達、更にショッカーも応戦。
問題となる議題が生活感溢れる「出演料」というのも異色ポイント。
学生演劇
大人の「洗練された演技」に「洗練された脚本」が揃ったなら、そりゃもう鉄板の満足感を得られますが、それでは「学生相応の演技」でどの様な脚本が、どの様な演出が、どの様な演技が最も有効なのか、本公演ではそのヒントが沢山詰まっていたような気がします。
唸るような実力派〇〇でなくとも、個性を丁寧に描き分け適所に振り分けられ、その結果2時間の大作となるわけですが、それに応えるべく日々頑張ってきたと思わせる演者さん達の奮闘ぶり、そして何よりチームワークの力(スタッフワークも含めて)がガツンと心に響く、そんな公演でした。
連携プレーのやり取りで話をうねらせ盛り上がる会議室。
努力の成果が実って客席に笑いが起こっていたのを「良かったなぁ、よく頑張ったなぁ」と・・・自分だって観客のくせに(笑)
大作戦
BLUE TWO YEARS OLD
中野スタジオあくとれ(東京都)
2019/07/06 (土) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
満足度★★★★
昔大ヒットした映画「セーラー服と機関銃」は女子高生とヤクザ組長との掛け合わせの妙でしたが、本作は女子高生と工作員。
さしずめ「セーラー服と情報横流し」といった感じでしょうか(笑)
工作員を送り込んだのは全くの架空国家の設定、なのに出てくる固有名詞がやたらと具体的すぎて笑ってしまいます。
防衛問題とか難しい事はうっちゃいといて、一貫して純度の高い学園コメディー。
花の高校野球。
ピッチャーの全力少年カケルと彼の球児仲間、そして女子マネージャー。
ヒロインは美少女にして中々の奇怪工作員キャラ。
おかげ様で学園名物?恋のドキドキ四画関係ではあるのだけれど、彼女にはときめきポイントをことごとくぶち壊して頂きました(笑)
さあ彼等の恋は成就するのでしょうか・・・というかそれより国の情報は如何に(笑)
キャラ立った登場人物が次から次へとテンポよく楽しませてくれる一方、特定の人物だけでもキャラクターをより掘り下げて、違ったトーンの場面もここぞというところに加わるとより良かったように思います。
若いエンターテインメントの卵・・・バイタリティー溢れる楽しい公演でありました。
みゆき食堂
ラビット番長
演劇制作体V-NETアトリエ【柴崎道場】(東京都)
2019/07/05 (金) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
3姉妹と長男、両親亡きあとの兄妹で切り盛りする「みゆき食堂」での日常。
明るく賑やかな中にも、うら寂しい昭和歌謡が良く似合う作品。
伏線と呼ぶには分かりやすい展開に「うん、やっぱりか!」にも素直に目頭が熱くなってしまうのは、生舞台の醍醐味が活かされていたから。
新人さんの健闘も頼もしく、期待を裏切らないアトリエ公演でした。
リングアウト
たま企画プロデュース(旧)
d-倉庫(東京都)
2019/06/27 (木) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
プロレスショーではなくリアルの試合を目標に立ち上げられた若きプロレス団体『RWF』
フィクションを織り交ぜながら「危険」と「安全」の狭間に揺れる興行ビジネスの難しさを改めて考えさせてくれる作品でした。
本作ではプロレス業界内に渦巻く政治的側面に強くスポットが当たっていましたが、同時にそこで戦う当の選手達がその時見ていた世界にも比重を置いて描かれていれば更に面白かったのではないかと。
というのも
現役プロレス選手の方々も共演しており、プロレス選手の演技といえば・・・何の広告なのか全然分からないのにやたらインパクトのある「ザ・リーヴ」のCM←これはイメージしないで下さい(笑)予想以上にしっかりとした演技をされていたからです。
ルックスは完全に役者で通用していました。
本業のプロレスと同時並行の舞台出演はシーンの量にも限界があったでしょうが、そんな中でもコラボを実現させたチャレンジ精神、
そして演劇というジャンルに新しい楽しみを広げていく可能性に対しては今後も大きく期待したいです。
星には期待も込めて。
山兄妹の夢
桃尻犬
シアター711(東京都)
2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
何気ないボソッとした呟きも全部全部ひっくるめて台詞ひとつひとつがことごとく面白い!
作品のイメージとしては、「この人達、一体何の仕事をして、普段どんな生活を送っているのだろう」と、誰の身の回りにもいるであろう常々不思議に思っていた人達の生態が「ナルホドこんな人でこんな事やっていた訳ね!」と好奇心がみるみるうちに満たされていく!快感っみたいな。
叩けば変な埃もいっぱい出てきますね!みたいな(笑)
山兄妹を含めて二人に関わる個性的な登場人物が、揃いも揃ってそんな感じなので、もうどのシーンも香ばしくて美味しい。
もうひとつ頭に浮かんだ例えとして、下北沢の大きな雑貨店で発見した今まで見たことのない不思議なオブジェ風物体。
明らかに一点物。
よく見てみると細かい所まで非常に良くできている。
触ってみると色んな面白い細工が施されて逐一感心するし、思わぬ所から音楽まで流れ出てくる。
値段はそう高くない。
何コレ、絶対買おう!と思って財布の中を確認しているうちに、そこにはもう物体は無くなっていて・・・
紛れもなく此処にあったはずなのに決して家には持って帰れない。みたいな作品・・・あぁっ余計分かりにくいか(笑)思い浮かんだイメージです
特殊なセットがあるわけでもないし、衣装が奇抜なわけでもないのに、凄く斬新な舞台を観た感動がありました。
事前に配役表を見ておく事をお勧めします。