『GUNMAN JILL 』&『GUNMAN JILL 2』
チームまん○(まんまる)
萬劇場(東京都)
2019/10/03 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了
満足度★★★★
西部劇といえば、やっぱり大衆酒場。
広々と酒場ド~ン!なセットは如何にも面白い事が起きそうな予感でプンプン。
セットのみならず衣装や小道具に至るまで美術の全てがスタイリッシュで本格的。
こんなカッコいいのに、こんな可愛いのに、こんなにアクションなのに、こんなにシリアスなのに・・・どれもこれもシモ絡みか(笑)このギャップとスピード感が笑いを生み出していくのですね。
これってもはやガンマン対決なのか変態対決なのか。
とは言ってもイケてる感は損なわれず下品さもさほど、これなら地上波で放映してもTOKYO MXあたりならOKっぽい(参考基準は岩井志麻子と中瀬ゆかり)うん全然OK。
何より楽しいのがイイ。
ぽつねんと・イン・ザ・1K
劇団テアトルジュンヌ
立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)
2019/10/04 (金) ~ 2019/10/06 (日)公演終了
ワンルームの汚部屋に引きこもっているのは26歳ニート女性。
「全部、全部やかましいわ」
キャッチフレーズと共に威勢は良いのだけれど、内面はデリケート。
こんなに自己肯定力、低くて大丈夫なのか。
大きなお世話だけれど何とも勿体ない。
日常のワンルーム風景、出入りする男友達や奇妙な闖入者達が彼女の意固地に一石を投じていく。
こんな感じの引きこもりが本当に増えていくのなら、もはや在宅であっても社会貢献が可能な仕組みがどんどん必要になってくるのでは。
他人が出来る事には限度があるのだし・・・そんな心配を残しての観劇でした。
こどものおばさん
ふくふくや
駅前劇場(東京都)
2019/09/26 (木) ~ 2019/10/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
熊谷真実さんがふくふくやに登場。
絶対相性がいいな、と思って観に行きましたが、おぉっやっぱり!でした。
というか前作の流れを汲んだ「真実なんてクソくらえ!」シリーズ(?)、この主演を務めるにはそれ相応の曝け出す覚悟が必要。
それに応えるべく熊谷さんの弾けっぷりがあまりに見事で、あんぐりする事しばしば、こんなにも近くに感じる公演は貴重なのではないかと。
(ちなみに前作を観ていなくても何ら支障の無い人間関係の流れ、更に当日パンフには相関図も掲載されていて、そこのところは至れり尽くせり)
相性の良い客演を得て、いつものふくふくやメンバーや演出も冴えまくりで、まさに相乗効果だったと思います。
海千山千、風俗の世界。
可笑し哀しき食えない男と女の化かし合い。
そんな中、山野海さんと熊谷さんの女の生き様の対比が実に鮮やかでした。
平和三部作 一挙上演!!
トム・プロジェクト
本多劇場(東京都)
2019/09/26 (木) ~ 2019/10/03 (木)公演終了
満足度★★★★★
時代に翻弄されながらも我が道を行き必死に生き抜いてきた熱い男達。
その熱さゆえに滲み出てくる可笑し味と哀愁・・・それらはまさに時代を駆け抜け、代々続いていく男の生き様の集大成。
大きな舞台空間を欲しいがまま、風間杜夫さんの数多い引き出しの中を心ゆくまでたっぷり堪能できる公演でした。
一流の役者さんが織りなす渾身の一人舞台ではあるけれど、気取らず、飾らず、大いに親しみが持てる演出と、演じ分けも見事な自然体でダイナミックな演技は、もう3時間とは言わずどれだけでも観ていたかったくらいです。
僕はキヨシ。名前だけはある。
演劇ユニットちょもらんま
北池袋 新生館シアター(東京都)
2019/09/26 (木) ~ 2019/09/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
おちゃらけ顔のフライヤーイメージから、てっきりコメディー作品かと思いきや、なかなかに骨太の人間ドラマ…笑うどころじゃなかったけれど、これは嬉しい裏切り。
「戸籍が無い!」どうやら漫画的設定というわけでなく、ナルホドこういったケースは確かに報道で聞いた事があります。
主人公が自分の戸籍をどうしても欲しくなっている冒頭に至るまでのあらましは当日パンフで説明されているも、現に目の前にいる彼の物腰から、これまでどういう思いで生きてきたのかじんわりと滲み出し、その長い道のりが窺い知れるものだから、どうにも歯がゆかったり、哀しかったり・・・彼のとる言動に思い感じるところはとても多かった。
確かに「私には戸籍が無いので、どうか作ってください」の申し出に役所がホイホイ応じてしまったならトラブル続出は必至なので、法的なハードルは設けるべき。
疑い深い法律の目線は冷たい様でいて、実に的確だったと思えました。
ただ主人公の場合、諸々の理由にてハードルが必要以上に高くなっているので、とても厄介。
そこにきて、あの戸籍担当職員か(笑)
主人公を取り巻く人間関係が生み出す感情のうねりに、こちらも奔放されっぱなし。
そもそもどうしてこんな面倒な人生を強いられてしまうのか、何だか妙にこみ上げてくる怒りの矛先に思いを巡らせ「これは結末次第で作品の明暗が分かれるぞっ」と息巻いて見入っていましたが、結果は★の数にて…お察しください、とても良かったです。
gift魂
MousePiece-ree
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2019/09/26 (木) ~ 2019/09/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
さすが大阪からやって来た本場の関西コメディー!
自前の世界観がしっかりで吉本新喜劇にも全然負けてない勢い。
ここまでコテコテネイティブ大阪ワールドを味わえるのは本来ご当地まで行かなければ…を考えれば「本当に来てくれてありがとう!」と申し上げたい。
何が凄いかって、大阪のおっちゃん・おばちゃんのネガティブをも笑いに転換していく口汚い(笑)パワフルさと、それに負けてない若者達も混ざってのキャラのぶつかり合い。
何でもかんでもぶつかって笑いを生み出すその魂が心地良く
「ストーリー的に うん、この流れ、やらかしてくれるシーンきっと来るぞっ」といったところもズバリ期待通りでホント気持ちいい。
もちろん根底に流れる人情味もしっかりと。
今回の主人公夫婦の奥さんが関西人ではない特別?仕様なのも結果的に面白いことに。
太陽が落ちてきた~すずなりの逸声~
劇団生命座
萬劇場(東京都)
2019/09/20 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
桂木辰郎氏(当時11歳)の被爆した一連を観客も一緒になってバーチャル体験・・・もう言葉が出て来ません。
観ていて とても辛くて堪らないのですが、決してそこから目を逸らしてはいけない想いに駆られ、舞台を必死に観ていました。
この事をずっと忘れてはいけないし、将来どんな理屈が乗っかかろうとも絶対あってはならない戦争。
ただひたすらそれを胸に刻みつけてきました。
スーパーロボットミュージカル(旧)
宇宙論☆講座
練馬区某所(予約者にお伝えします)(東京都)
2019/09/21 (土) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
このロボットミュージカル、確か今年5月の前回公演でしっかり予告(予定)していたはず。
なのに、まるで突然降って湧いたかの様な正式発表が。
公演は明日からの全3回公演!(もうほとんどゲリラ公演)
今までも常識を散々覆してきましたが、こんな事って・・・
諸事情はホームページに書かれていたものの、う~ん、それってホントにホント?
(本当だったらごめんなさい)
運良く予定が確保できたのは本当に良かったけど、あまりに直近過ぎて、その日の降水確率が80%だという事までしっかり分かっちゃってるし(笑)
会場はきれいな和室。
座席は全て座布団席でしたが、スペースが広いので楽な感じで観劇できました。
八月のモンスター
甲斐ファクトリー
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2019/09/19 (木) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
物凄く激辛のスープを覚悟して飲み込んでみたら出汁の効いたオーソドックスな味だったので逆にビックリしたというのが第一印象。
それぞれ特有の悩みを持って集まった男女4人。
確かに生きていくうえで深刻な問題ではあるものの、ほんのりユーモラス風味な3人の中、安藤紫緒さんにだけはどこか不穏なオーラが。
フライヤーから既に漂っていたホラービューティーな感じが生舞台でより一層引き立っていました。
セミナーでの一部始終の描き方はとても丁寧で流れを追いやすく、それはそれでとても良かったと思う一方、甲斐ファクトリーさんの場合、こういった題材を得たなら、キッチュな笑いを隠し味に持ち合わせた表現力で、とことん震え上がらせる事もできただろうに、という思いも。
こういった先入観というか色眼鏡抜きに見つめ返せば良質なドラマであったし、
セミナー参加者とセミナースタッフの生き方のコントラストにも皮肉のエッジが効いて、これにはさすが甲斐ファクトリーさん!と思えました。
誰そ彼
浮世企画
駅前劇場(東京都)
2019/09/19 (木) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
兄弟間の仲の悪さを軸にした人間ドラマとしての面白味と、朽ちていく実家に棲みついたもののけ達の漫画っぽい面白味。
とても巧く両立しているので、最初これは足し算的に面白い!と思って観ていましたが、人間達は観進めていくほどにその人柄の理解度が増していくし、もののけ達は観進めていくほどにそのユーモラスでブラックな存在感が妙に馴染んでくる。
自然と双方が融合していくものだから増々面白くなっていく展開、もう絶妙。
浮世企画さんを観るのは今回が初めてでしたが、まさかこんなに楽しくも哀しく、繊細でパンチの効いた作品に出会える事になるとは思っていませんでした。
非現実が同居することで、より存在の現実味が増していく人の描き方が巧いし、エンターテイメントとしても素晴らしい!
家族間でのわだかまり。笑っていたのに徐々に伝わってくるその辛さ。
甘えもある中、自分だけが都合よく解釈し、なかったも同然にしてきた事。
観終わってジ~ンとした後、何か身に覚えがないか、仲は良いとはいえ思わず我が身を振り返ってしまうほど、生きていくリアルと不思議さを合わせ持った作品でした。
あつい胸さわぎ
iaku
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/09/13 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
シーンの繋がりが見事にスムース。
サクサクッと秒速で入ってくる登場人物の人柄や関係性。
いや…実際には観劇中、そんな事すら意識せず、彼等の地に足のついた日常生活をただただ楽しく笑って見入っていただけなのではありますが。
高い脚本・演出力と演技力が見事に合致した舞台は、もう理屈抜きに引き込まれてしまいます。
母と娘、歯に衣着せぬやり取りが何とも大阪的で、やたらと吹き出してしまうし、取り巻く人物達との距離感、みんなみんな人間的にとても面白い。
そんな二人にやったね!恋の予感。
何だか観ている方も自然とニヤニヤワクワク。
そう、こんなにですよ、こんなにもガッツリ観る者の心を掴んでおいて、まさかあんなところ(運命)に連れて行かれるとは夢にも思っていませんでした。
まさに「ちょっマジかっ!」です
確かにほんのり気になる影はあったし、段階も踏んではいたのだけれど(伏線というより、こちらの後付け解釈としても受取れてしまう部分の演出が憎らしいほど巧い)
ガッツリ心掴まれたまま彼女等の心情と向き合う事になったものだから、非常に辛かったです。
もちろん苦情ではなく、まんまと演出意図にドはまりしたという事・・・
観終わった後、心の引き出しの中に「覚悟」という生きるうえで絶対必要なモノをそっと忍ばせてもらった、そんな気持ちになりました。
暴力先輩
NICE STALKER
ザ・スズナリ(東京都)
2019/09/11 (水) ~ 2019/09/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
えっ暴力先輩って、この人・・・何とも良い感じに裏切ってくれました。
並み居るキャラを掻き分けスペシャルにインパクト大だったのが配役名もそのままで登場の、みしゃむーそさん。
彼女はもはや人間飛び道具でしょ(笑)
舞台セットは子供番組を彷彿させる手作り感満載のポップさ。
演技面もそれと通ずる部分がある反面、言ってる内容はなかなかエグイ。
論理的な台詞も意外と多かったりするのですが、小難しい事抜きにすんなり入ってくる仕様なので感覚的にも理屈的にも楽しめました。
特に面白かったのが人間関係の妙。
様々な人間模様のサンプル 個々の人生観、その多様性と厄介さが楽しく、悩んで迷って他人に振り回されながら、あ~結局人って自分の嗅覚でもって己の道を進んでいくしかないのだなぁと。
半ライスのタテマエ
Sky Theater PROJECT
「劇」小劇場(東京都)
2019/09/11 (水) ~ 2019/09/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
定食屋での半ライスおかわりは失敗したとしてもお腹いっぱいで苦しいッだけで済みますが、人生の半ライスおかわりは大きな代償を払う事にもなりそうで、その成り行きにハラハラしてしまいます。
スカイシアタープロジェクトさんの作品は今回で2度目。
初見時のイメージはめちゃコメディーだったのですが、本作はめちゃドラマな作品で、方向性としてはこちらの方が好きだと思いました。
当日パンフには過去作品(なんと約18年前!)を更に大きく膨らませたとの解説が。
なるほど登場人物ひとりひとりが丁寧に描かれているので実に見ごたえがあり、再演だからこそのブラッシュアップ効果と言えば良いのでしょうか、まとまり感・熟成感があって、じっくり落ち着いて堪能できる仕上がりになっていたと思います。
人生のおまけ~Collateral Beauty~
演劇企画イロトリドリノハナ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2019/09/05 (木) ~ 2019/09/09 (月)公演終了
満足度★★★★★
コメディーとはまた違った面白味が随所に散りばめられ、殺人こそ起きないもののホームサスペンスの様な感覚でめちゃ楽しめました。
だってもし我が父が何を血迷ったか、どうにも怪しげな団体に情熱を注ぎ出したら、これはもう立派な大大大事件でしょ(笑)
定年退職後の生き方、親子・夫婦の関係性、ボランティア団体内での確執、微妙な男女の三角関係、強烈な親戚の登場!・・・何とも楽しみどころいっぱい、まさにひとつひとつのシーンを噛みしめながらの観劇となりました。
そしてまさかの回転セットで舞台の一角に喫茶店が出現!
暗転の中、薄っすらセットが回り出すのが見えると「おっ!喫茶店シーン、キターーー」
熟年世代、とても主人公の様な一本気さは真似できないにしろ、あんな可愛げある年の取り方が出来たらいいなぁ~としみじみ。
ただし別れた嫁さんがあんなイイ女になられちゃ、そこんとこはまぁ寂しいところだけれど(笑)
帰りには「ろくでなし」を思わず口ずさんでしまいます。
初日から千秋楽までいろいろと変化を遂げてきたらしい公演。
オヤジ♪さんは全公演をご覧になられた様だけれど、自分が観た千秋楽は順位を付けるとしたなら一体何番目なのだろう。
均一のクオリティーが保たれている公演も勿論良いけれど、生き物のように成長していく公演もまた面白い。
アリはフリスクを食べない
やしゃご
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/08/31 (土) ~ 2019/09/10 (火)公演終了
満足度★★★★★
アゴラ劇場に生活感の滲み出たリアルなアパート部屋が出現。
そこに暮らすのは知的障害者の兄と、その弟。
時には和やかで時には気まずく、時には賑やかで時には「えぇっ!!」
そこには幾つもの日常が息づいていて、まさにリアルofリアルの空間世界。
とは言っても例えば人様の部屋をじ~っと日々観察したところで、こんなにも感情を揺さぶられる事はないわけで・・・
これが演劇の生み出す魅せるテクニックというやつか。
哀しく切ないのだけれど溜息が漏れる程に「う~ん凄い!」つまりはパーフェクトだと思えました。
赤と黒のオセロ
ウィークエンドシアター
ARISE 舞の館(東京都)
2019/08/31 (土) ~ 2019/09/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
今日はちょっと寝不足、しまったなぁ~と思いつつ公演へと向かう事になったのですが会場「ARISE 舞の館」に入ると一気にシャキーン!となるものですね(笑)
悪態をつく女死刑囚と、彼女の冤罪を訴えるジャーナリスト。
絶対ネタバレさせたくないので内容には一切触れられませんが、腕に覚えのある役者さんなら間違いなく切望するであろう魅力的な二つの役どころ。
私が拝見できたのは星川桂さん&奥村啓介さんコンビの回でしたが、もう2度とこのコンビでこの作品を観ることはできないのかと思うと・・・それが儚い。
おそらく厳選の組み合わせ。
他のコンビ回を観ていたとしても、きっと同じ儚さを感じてしまうのでしょう。
公演時間は55分、もう1秒1秒の味わい深さがす~んごく濃厚。
1秒1秒の重みが全く違って感じられました。
程よい空調、座席のパーソナルスペースがゆったり居心地良く、時間的にトイレの心配は全く無いものだから安心の面持ちでアイスコーヒーを頂きつつ、まさに目の前で繰り広げられる迫力満点な芝居に引き込まれていく贅沢さ。
こんな至福の時があるでしょうか(笑)
眠気など もはや完全に吹っ飛び、今はただひたすら今日の公演で体感してきた素晴らしき戦慄の時間を繰り返し繰り返し思い返していたいです。
それにしてもウィークエンドシアターさんって一体いくつの再演価値ある優良作品を所有しているのだ?
ドラえもん?(笑)
ドリーマーズ
劇団YAKAN
高田馬場ラビネスト(東京都)
2019/08/30 (金) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★
冒頭から人を惹きつける魅力があり、夢をモチーフにしたストーリー枠の中で思う存分遊びまわっているかの様な大胆さが良かったです。
どんな人にお薦めかと考えるに、役者さんの知人・友人の方々になるのでしょうか。
役にしっかりなり切った演技は普段とはまた違った勇姿に映るでしょうし、観客を楽しませようとする気概も充分伝わってきます。
舞台上に知り合いがいない者としては、コメディー色の強い作風に勿論楽しめる部分はあったのですが、笑いの方に寄り過ぎた演出とも思え、トータルとしてはちょっと物足りなく感じた部分も。
途中流れが変わる等、ストーリーの工夫こそあれ、個人的には「笑い」+「α」の「α」の部分に、もっとボリュームを持たせてもらうとより楽しめた公演だったように思えました。
ENDLESS-挑戦!
劇団銅鑼
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/08/27 (火) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★
実在する会社に取材を重ねての物語として楽しむと、とても希望の持てる作品。
近隣住民からは反対運動を起こされ、従業員からは不満たらたら。
近隣住民の不安は良く分かるし、かと言ってそう高くもない賃金に加えて悪者扱いされたんじゃあ従業員もたまったもんじゃない。
まさに八方塞がりの女社長。
産業廃棄物事業・・・数々の問題と打開策、業界モノとして産廃に対しての興味も大いに沸きましたが、どうやら本作の目玉は「働く者達の姿」
故に業種こそ違っても特にブルーカラーとされる職種の方に是非観てもらいたいと思える公演でありました。
導入部は特殊な業種ゆえの状況説明が台詞に課せられて、どこか不自然。
新入社員役の方が新人だからこその目線で良いナビゲートをされていたので、その説明的な部分も併せて担ってもらえば、冒頭はもっと自然な台詞回しになったのではないか。
女社長の挑戦を実現させるシビアな部分をより深く理解するには、更に具体的な産廃の情報が欲しい。
などの欲が湧いてくるのですが、それはこれからの更なる挑戦、今目の前にある仕事の意義を積極的に考える大切さを知らしめてくれる、より素晴らしい作品へと成長していく期待を持てるからこその欲だとも思えました。
開演前に当日パンフ(立派な無料パンフ!)の用語解説を読んでおく事をお勧めします。
親の顔が見たい
Art-Loving
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2019/08/22 (木) ~ 2019/08/24 (土)公演終了
満足度★★★★★
渾身の千秋楽、観てきました!えぇもう素晴らしい公演でした。
会場出口のドアさえ開かなければ、いつまでも拍手が鳴りやまない程の勢い。
スタンディングオベーションをされていた方々の気持ちもよく分かります。
いじめが疑われる生徒の親と学校側の揺れ動く1時間55分。
学校が舞台とはいえ、これは社会生活を営む者すべてに当てはまり突き刺さるであろう内容。
演劇ファンならずともリアルで人間臭い光景に自然と引き込まれ、やがて考えさせられる・・・現実としっかり繋がっている様な時間がそこには流れていました。
学校に呼び出されたのは自殺した女生徒の遺書で名指しされていたクラスメートの親達。
父・母・祖父・祖母、それぞれの人柄が如実に表れた言動がとても興味深く、どんなにみっともなかろうが我が娘を守りたい親心は皆一緒である事を思いっきり見せつけられます。
学校サイドの対応姿勢が現実レベル(これはこれで悩ましい)に真っ当な分、より親達の心の内がハッキリ浮彫りとなって、これは共感と言ってしまっていいのだろうか、思わず被害者側の哀しみに対しての配慮が霞んでいく様な感覚に。
その為か最初のうちこそ思わず噴き出してしまうくらいの余裕があったのですが、後半はもう居た堪れない程の緊迫感。
会場全体が固唾をのんで事の成り行きを見守っている状態に。
「学校が悪いのか?教師が悪いのか?親が悪いのか?」その難しい答えのヒントは、もう時すでに遅しの顛末から透けて見える過去の日常の中にいくつも転がっていたのだと気づかされます。
出演者の13人中、7人が現役学校教師との事。
本業の役者さんがこちらの7人に寄せていた様子もなく、むしろ迫真の演技でぶつかっていたのに対して全く引けを感じさせない彼等の自然で堂々たる演技。
意義だけではなく、もう完全な表現者、現役教師だなんて言われなければ全く分かりませんでした。
千年ユニコーン
東京演劇アンサンブル
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
両親が離婚、引きこもり気味の女子高校生アンが導いてくれる世界は現実逃避にも受け取れるものの、中々に甘美で魅力的。
いじめられていた少年、ノアの方舟に選ばれなかった者たち、ユニコーン・・・個人的には『かいじゅうたちのいるところ』をどこか彷彿させ、そのあまりの居心地良さに、このままずっとこの世界を漂っているのも悪くないなぁと思えてくる反面、影を落とした彼女の不安・心の傷が舞台をとんでもない暗黒の世界へと変貌させていくのではないかという焦燥感もしっかり隣り合わせに。
若い役者さんが中心の舞台。
それぞれのキャラクターが繊細に現実と溶け合っていくように演じられ、多感期・・・若者の不安定でファンタジーな心の内が、美術や音楽そして演劇特有の表現、もう総動員にて色鮮やかに表現されていたと思います。