角田の観てきた!クチコミ一覧

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自転車英雄

自転車英雄

オイスターズ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2009/10/23 (金) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

多過ぎやろ
仙台賞応募作の時点から大分改作されている模様。四畳半に役者9人、自転車二台、ざる蕎麦の桶が50個以上載っかって散乱する、ギネスに挑戦的なビジュアルは見ているだけで面白い。唐突な展開に個人的には爆笑。

受付、客入れ混乱気味だったが内容が良ければストレスは消える。無内容なのに芸術ぶって芝居の後にも能書き垂れる奴らは親の敵よりも憎らしい。

破無礼(はむれ)

破無礼(はむれ)

シェイクスピア・カンパニー

遊学館ホール(山形県)

2008/01/26 (土) ~ 2008/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★

ヤマガタで見てきた
盛岡版と脇役陣に若干変更あり。最後の剣闘の場面渋くなった。演出としてはやや古く、戯画的、甘いところもあるが、シェイクスピアの翻案劇としては良く練られ、名台詞・名場面が落とさずキッチリ拾われている。役者がいい。オフィーリア狂乱、叔父の祈り、墓掘り人夫の場面などやはり良い。逆に付け加えられた、将軍戦死の場面は、演じられているのを見ている間ではイマイチ良くわからない。山形の客はマナーあまり良くない(公演中のおしゃべり、ケータイ二回も鳴らす、空き座席に荷物てんこもり)。

文月奈緒子作品集『GO!』『ダウン』『スリップ』

文月奈緒子作品集『GO!』『ダウン』『スリップ』

いのちの洗濯劇場

GalleryOneLIFE(宮城県)

2007/09/14 (金) ~ 2007/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

劇都仙台の裏バージョンです
全部がそうではないですが、ダーク、グロテスクです。

ネタバレBOX


(19:35-20:28/20:30-21:04/21:12-22:04)


『スリップ』『GO!』。休憩を挟み『ダウン』の順番に上演。

『スリップ』。舞台上には三人の俳優しかいないのに、戯曲上の登場人物は五人。さあどうなるか。

田島(舞台になる部屋の持ち主)
村上(最初の訪問者)
木村(交通事故を起こした人物)
マサミ(村上の婚約者)
田中(村上の知人)

映画『転校生』の大林宣彦的な仕掛けを、ある種ゲーム的に無制限に適応させた、性と死と暴力の狂騒曲といったところか。
当事者なのか第三者なのか曖昧な「あぶれ者」が瞬間的に生れ、ステージの隅で遊び始める所が面白い。
伝統的な怪談の「憑依」「キツネ憑き」の現代化ともいえる。
「永澤真美」さん改めて認識しました。
しかし時代が変わるのは早い。「性同一障害」は、病気ではないにしても先天的な障害で、保険はまだ利かないにしても「治療」という概念はありえる。
仙台有数のクラシック楽団のメンバーでも、勇気をもって「カミングアウト」した方がおられるそうな。
ただ、人に触れるとある変化が起きる、という仕掛けは、東京の「イキウメ」という劇団の『散歩する侵略者』という戯曲、劇で絶頂を迎えたでしょう。
機会があれば、お読みになってください。

『GO!』は方向音痴のドライバーが主役のコミックリリーフ(書下し)。
小学生に道を聞くエピソードはさすが。

『ダウン』。「春日町あんだあぐらうんど劇場」の再演。
こういう人たちの世界は、宮城野区の古い団地に現にあったりして。
「中産階級」的な仙台の社会(?)に痛烈な一撃、とでも言いましょうか。
人倫に反する、というか、文化的な侵犯がこれでもかと出てくる。
白い“キャニスター”を覗く場面があるのですが、お話しの内容の割りに入れ物が小さいので、いったい中がどんなことになっているのか考え始めると止まらない。
あの姉の嫁ぎ先がどんなことになっているのか、これも考え始めると止まらない。
どうしても江戸時代の南北とか残虐な錦絵を連想してしまう。まさしく日本の芝居だなあと。
この路線は、『東仙台物語』(未見です)の裏バージョンのような感じで推し進めて欲しいものだし、どなたかにも是非引き継いでいただきたい。

『SURF GREEN ~ ハネムーン in ハワイ』

『SURF GREEN ~ ハネムーン in ハワイ』

劇団アルファー

ウィニングスタジオ(宮城県)

2007/08/31 (金) ~ 2007/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

設計思想がみえる
生活者に受け入れられる劇、仙台で上演する意味、演劇をめぐる状況などに意識をめぐらせた、ユニークなモダン・ウエルメイド。

△

劇団三角(仮)

群馬県立女子大学(群馬県)

2009/03/06 (金) ~ 2009/03/07 (土)公演終了

満足度★★★★

時計シリーズ!!
群女のOGと現役のユニット。
女性4人の出演。皆バレエの素養がある。
フランス風にいうコントをいくつか。ダンスパフォーマンスで間を繋げる構成。
関西の劇作家・久野那美さんの作品に始めて触れる。

ネタバレBOX

稲垣足穂、寺山修司、ある種の童話といったマイナーポエットの系譜にある作風だがテーマ性が際立つ。日常の事物を扱いつつ宇宙や生命といった生活からかけ離れた次元ものが人の上に落す影が描かれる。あらゆる一つ一つのモノのかけがえの無さが胸に迫ってくる。極上の詩的な演劇体験。「時計屋」のシリーズは特にモチーフがピシッと嵌まっていて素晴らしい。芸術作品として超Aクラスじゃないでしょうか。

--「おしまい」...横たわって夜景を見ている女(死にかけているのか)。
--「時計2001」...老朽化し壊れかけた時計にどんな意味があるのか。
--「月夜」...夜道で月と擦れ違った。
--(「~花葬~」オリジナル)...花と立方体とダンス。
--「ゆうびんの話」...白山羊さんと黒山羊さんの手紙のやり取り。
--「時計1999」...大晦日に時計屋を訪れた少女は動かない時計に。
--「ある三角」...三角が悩みながら歩いていると燃えている花を見つけた。
--「満月の猫」...光と戯れる猫。
--(カンバスと額を使ったインターバル)
--「おしまい」...シャボン玉の世界。
--(光るワインを飲み干す)。
温泉旅館の「新・お気に召すまま」

温泉旅館の「新・お気に召すまま」

シェイクスピア・カンパニー

エル・パーク仙台 スタジオホール(宮城県)

2008/07/11 (金) ~ 2008/07/13 (日)公演終了

満足度★★★★

これぞ演劇。
北の「SC」。南の「女騎士」。リージョナル演劇の南北の金字塔(ただし新劇や小劇場ではありません)。機会があれば死ぬ前に是非。9月に東京公演もあります。

ネタバレBOX

小劇場やアングラとは明らかにカルチャーが違う。転換が緩い(暗転と言えるのは一回だけ)。細部がいちいち下らない。馬鹿馬鹿しくて...良い。上手い訳じゃないんだけど野放図でない演技。役者がほぼ皆いい。

最後に近い箇所で一度なにかが途切れるのだが。

これは何だろう。“新劇”を根っ子にもっていないということか。新劇ではない演劇は、ただ「世界」の有為変転を描くだけということか。

簡単に言ってしまえば「村芝居」みたいな雰囲気だったということかな。
宮城の温泉の雰囲気とかわかっていないと楽しくないかも知れない。

ちなみに星奈美座長公演です。
遊星カノン

遊星カノン

劇団 pH-7

pH-7地下劇場(愛知県)

2009/11/20 (金) ~ 2009/11/23 (月)公演終了

満足度★★★★

役者のはかないスゴミ
地下の劇場の真ん中に世界樹がにょき。維新派的な敗戦後の少年少女だけの世界が、妖しい紙芝居の世界に引きずり込まれる。さらにその世界をコントロールしている者がいるという。

ネタバレBOX

サイバーものとバイオホラーものが誤解で結び付けられたかのような、夢オチでなければ終われない世界。余りにもアングラな劇構造。美人の女優さん、大のオトナのオバカで贅沢な遊び。これが役者のはかないスゴミというものか。
例えば「杏珠有美」さん。全盛期の高橋ひとみ系というか、和服のオカッパ美人が、頭の変な奥さん、「くのいち」みたいな怪盗、怪しい白衣の目がね博士という感じの如何にもというな変遷ぶり。
しかし裏庭企画といい、この一派は粒が揃っている。
Frances Barb " Fine Bone China " /東雲舞踏『ハルノ唄』

Frances Barb " Fine Bone China " /東雲舞踏『ハルノ唄』

東雲舞踏

CLUB DROOM(宮城県)

2007/08/30 (木) ~ 2007/08/30 (木)公演終了

満足度★★★★

世界の「Butoh」の今が
海外に進出した「舞踏」がどんな風に定着しつつあるのか。また、舞踏の母国日本でイキのいい世代がどんな状況に立っているか。非常にはっきりと見通せた公演でした。

#07 平原演劇祭 2008・第一部

#07 平原演劇祭 2008・第一部

みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース

宮代町郷土資料館(埼玉県)

2008/08/03 (日) ~ 2008/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★

『武井会議』について
『村の宝』は、また上演される模様なので、トゥエルヴの怪作について。
V系バンドの追っかけをやっている医療事務の独身メンバーTさん。彼女の結婚願望を聞き出すため、劇団員が彼女の家に勝手に集まって会議を開催する。ドキュメンタリックなワタクシ演劇。

ネタバレBOX

ちなみにメンバーは4人いて、一人は主婦。他は派遣社員など。趣味嗜好ヲタク的興味の対象は各人違う。
メインは男の趣味も「ヴィジュアル系」(今はこういってはいけないらしい)の武井イジリなんだけど。お互いの趣味が明らかにされ、一言評されるたびに、皆いきり立って喧嘩になる。
TDLネタは「むっちりみえっぱり」より遥かに具体的。情報量が多い。
“腐女子ネタ”を悪乗り大騒ぎのドタバタで展開する演劇は非常にユニークだと思う。私は見たことがなかった。
ロリータ

ロリータ

劇団きのこ牛乳

新宿眼科画廊(東京都)

2016/12/09 (金) ~ 2016/12/14 (水)公演終了

満足度★★★★

別役実、あるいは小説を書いていた頃のベケットのドラマのような。
音楽無し。木製の台座だけのセット。どこかの地下室、あるいは路上。抽象的な関係を描くと思いきや、具体性も示される。先生とその弟。男女二組の学生。女性が相手によって違う顔を見せる。あるいは男が女性に見せる顔。過去の起きたドラマの片鱗。配役、衣装が巧み。

生まれ晒し

生まれ晒し

もしもしガシャ~ン

GalleryOneLIFE(宮城県)

2007/09/22 (土) ~ 2007/09/23 (日)公演終了

満足度★★★★

日本の不条理劇の新しいミューズ
「たかはしみちこ」さんを見ませう。

ネタバレBOX

とうとう生れかけているのかも知れない。日本の現実をたっぷり引きずった「次世代不条理演劇」が。
日本の不条理劇の新しいミューズ(と呼んでいいでしょう)「たかはしみちこ」絶好調。
独特な調子で寸断、飛躍、逆ギレする言い回し。大阪の「未知座小劇場」の時は、何か全体の調子を壊しているような感じがしていたのだが、今回は確実に一つの世界(圏)を作っていた。
ベケットに近い感触が奥の奥にずっと流れている。別役の『マッチ売り』をもじり的に悪乗りさせてゆくような箇所もあり。

独創的といってもいいだろう荒々しいナンセンスなやり取り(「どくんご」的ともいえるが)。食べ物がでてくる結節点。
あっと思うような部分や、パワフルな見せ場も、前回に増して用意されている。

前作『生まれ晒し』(2006/12 新宿タイニィアリス版)と比較すると、人物の関係が全面的に書き換えられている。
引きこもりの風俗嬢とそのなじみの客という設定だったと思うが、今回は、オンボロアパートから立ち退きを拒んでいる不法滞在者と不動産業者。何度も通って来ているので顔なじみになっている。

ただ、残念な箇所も無いわけではなく、手垢のついたイメージが出て来るとガッカリ(キリスト教的なイメージ。権力とか威光の風刺。昔の小劇場風に子供時代の思い出がどうだとかこうだとか出てくる箇所)。
ネタに細かい矛盾がある。日本人じゃないはずのに、日本人ならおにぎりとか。

設定を曖昧に取りこぼしてゆくんじゃなく、踏まえるなら踏まえて、カフカ的に(?)途中で逆転させるなら、きっちり掴んで投げを打って欲しい。

素晴らしいところが最期まで貫徹しないが、これから盛岡、新潟へ遠征公演。前半部の仕上がりだけでも見ておいて損は無い。後半の数箇所もすごいです。

初日。しかし観客に演劇関係の人が多い。3分の1位はそんな感じか。ミュージシャンズ、ミュージシャンみたいな支持のされ方をしているのかも。

【怪】〜北斎夢幻・外伝〜

【怪】〜北斎夢幻・外伝〜

劇団吉祥じゅん&ワルキューレ

ぽんプラザホール(福岡県)

2007/10/06 (土) ~ 2007/10/08 (月)公演終了

満足度★★★★

いろいろな
舞台劇の考え方、発想があるんやな、と思うてんねん。

ネタバレBOX

別府を拠点とする劇団。関東で今まで見たどのプロダクトとも少し発想が違う。「西山水木+劇団ひまわり」は見ていないが。
まず芸能プロやアクション系の役者を使っている。先入観として放送劇団や何とかプロダクションの作る演劇は別の意味で内輪的で金とって人に見せる内容を持っていないと思っていたが、これは別。オリジナルで充分面白い。『陰陽師』的な魔界との闘争もの。正しいかどうかは分からないが、細部まで明確に磨き上げられている。
そうなると、エンタテインメントの劇であれば客席から舞台が遠いものだが、こちらは正面の観客から30cm位の接近戦。装置はほぼ無い。人間の肉体と装束が舞台の主要なエレメントだよと言っているかのようだ。
演技の質がバラバラかも知れないが、現代と江戸、現世と別世界ということで振り分けているとも言える。
主宰が三本とも扮装を変えて出て来る。やや様式が入った、全身を使うスタイル。体を床に叩き付ける。マイムの技術で、奇怪な、暗黒舞踏的な動きをする。これは、もう一人、子役か少女役の若い女性で出来る役者がいる(矢野真由美)。
幕間の繋ぎやイントロ等はCGで。これは贅沢な様な。DVD化を見越してか。
クライマックスの場面は「H・アール・カオス」を連想。破天荒な部分は少ないが。
パイドラの愛

パイドラの愛

HAMMER-FISH

サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)

2008/02/08 (金) ~ 2008/02/14 (木)公演終了

満足度★★★★

姐さん!!
支配的価値観を暴力的に踏みにじる。しかし古典に触れている。繊細で部分的には超正統派でフレッシュ。尚且つふざけている。サラ・ケインやはりいいっす。姐さん俺ついて行くっす。...正直いって一応芝居になっていれば演出は選ばないんじゃないかとも思うのだ。

第1回「1&2演劇祭」

第1回「1&2演劇祭」

社名が変更となりました。

MAKOTOシアター銀座(東京都)

2007/11/23 (金) ~ 2007/11/25 (日)公演終了

満足度★★★★

大谷蛮天門「東京戦争」再び
11/23-11/25 #1「1&2演劇祭」Eプロ @京橋「誠シアター銀座」。
島田美菜月『予告編「ねじ式」式』20分。/大谷蛮天門『怪談「東京戦争」パート2』45分。/坂本大地『まっすぐな道でさみしい』60分強。

ネタバレBOX

『予告編「ねじ式」式』(島田美菜月)。
妙に痩せた女優さんが、だるそうに、宙をかくように演技。まだ亀とお話しする途中の箇所まで披露。

『まっすぐな道でさみしい』(坂本大地)。
種田山頭火もの。新劇系の俳優氏による凝った舞台。弟の死に焦点を当てた感じか。やや長い。しかしねえ、わざわざ死んだ山頭火を語らずとも、生きている蛮天門を今見たでしょ。みなさん。

『怪談「東京戦争」パート2』(大谷蛮天門) 
どうやら本物の焼酎ワンカップ一気飲み5本連続。演劇というよりも、酔ったオッさんの演説に近いのだが、テント劇のベテラン、女性統治のユートピア、オルタナ文明論を語るという感じだろうか。反体制の進化ぶりもろもろにちょっと感動した。
金魚姫と蛇ダンディー 2009 final

金魚姫と蛇ダンディー 2009 final

野外劇団楽市楽座

扇町公園・特設野外劇場(大阪府)

2009/10/03 (土) ~ 2009/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★

カナシサが溢れる
佐野キリコさんのビブラートする声が全体を繋ぎとめる、全三幕。日本に稀なグランドオペラの題材になりそう。
脱力感いっぱいの劇だけど、オロチ神のノーテンキぶりなんか、本当に哀しい。運命に逆らわない庶民の生き方のカナシサが溢れる。
4年連続中秋の名月を狙った時期の公演で、今年ピリオド。ラストは脇役勢の灰汁を抑えてシンプルに(若手男性陣だった)。
名作でした。

hg

hg

風琴工房

ザ・スズナリ(東京都)

2008/05/09 (金) ~ 2008/05/18 (日)公演終了

満足度★★★★

個人的には
衝撃のラスト(ガクゼンとはしませんが)。松岡洋子さん新境地。

ネタバレBOX

佐藤誓、篠塚祥司両役者の前半後半の配役がキモ(そもそも舞台の設定の変化自体がそうなっているのか)。
災厄を引き起こした側と、被害を受けた側を、同一の「場所」が兼ねる。同じ役者が演じることのもつ意味、伝える意味。
普通のエンタメ系小劇場の雰囲気をもった楽しめる演劇として滑らかに仕上がっている。抒情にくるんでいるし、これみよがしではないのだが(でも前フリはある)、ドキュメント演劇の実験的なシーンが最後の最後に登場(誰某さんが現実にしていることのここでの反復再現)。おそらく小劇場史上初か。日本の演劇史上初かもしれない。
詩森さんの感動、表現のポイント、伝えたかったことがありありと分かる。
今現在、風琴工房の作劇は無茶苦茶尖んがっている。メタドラマ、演技や描写という事についての将来にわたる歴史の中での一つの貴重な例になっていると思うが、大人の作品にもなってます。
「聖なる土地」は生み出すものも違う。水俣にも近いうち必ず行ってみなくては。
#07 平原演劇祭 2008・第二部

#07 平原演劇祭 2008・第二部

みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース

新しい村(埼玉県)

2008/08/16 (土) ~ 2008/08/16 (土)公演終了

満足度★★★★

土砂降りの雨の中
最後まで見届けてきました(観客として見ることのできる範囲で)。
世間には、お金で人に迷惑かけたりスキャンダリズムにのっかって活動したりする手合いもいるんですが、高野さんはそういう面ではケッペキなほうだと思う。しかし、常識人ではないよなあ。
埼玉の片田舎で、孤立する文士(例えば近隣の羽生が生んだ『田舎教師』)、という図柄は、高野さんたちの前で崩れた。
「東京のハコモノに高い金だして見に行くブンカ」という固定観念も、まったく壊された。
いやいや、いまここでいったい何が進行しているんだか。凄い。恐ろしい。

踊りに行くぜ vol.8 in SENDAI

踊りに行くぜ vol.8 in SENDAI

JCDN

せんだいメディアテーク(宮城県)

2007/12/18 (火) ~ 2007/12/18 (火)公演終了

満足度★★★★

空間的には昨年より後退
前半:伊藤文恵/エヴァ・ムイル。後半:黒田育世/ヤミィダンス。

招待客の椅子席が真ん中にズラリドカン。早くから来た大半の人は前の方のお粗末な席に付くことになり、気持ちが萎えたかも。
会場の使い方は昨年に比べて後退したと思う。
昨年は客席を奥に、入り口と通行人を眺める様な感じで、ハプニング的な面白さと開放感があった。
今年は、まあ普通というか、碁盤みたいにきっちり座布団が並んでいたので、おかげさまで半分くらいは実は見えていません。

ネタバレBOX

伊藤文恵『うつせみ』。
猫背で幽霊のように入場。白いシャツにピンクのスカート。無音。髪を引っ張って腕を落とす動きを繰り返す。仰向けになって腰を重心に上体と足を浮かせる、舞踏的な動き。ラップ音始まる。体を前に開いて後ずさる動き。体が硬直する。体が固まっても踊る。音が入って来る。口をまるく開けて、表情をつけて。陸上の短距離走のスタート。声をあげて倒れる。声を出さず口の形だけつくって話しながら踊る。

「空間実験こがねむし」の時より、はるかに場面を細かくし、展開させた表現。伊藤さんの風貌からくる、昔の素朴な木や土の人形みたいな雰囲気がよく生きていた。


エヴァ・ムイル《ミミズ》。
テレコが取り付けてある衝立が出て来て、出演者の具合がおかしい(無力感その他にとらわれて動けない)ので、演目をタマンダの《タマンダ》に変えるというアナウンス。
ただし、タマンダも、多幸症で妄想的な状態だという。
女性が服を脱いで、黒いブラと白いパンティだけになって、嬌声をあげながら走り回りだす。さんざん騒いで、さらに音楽を要求。ダンス音楽で踊りまくり。椅子を出してくる。椅子にかけてホラを吹きまくる。椅子にかけたままで飛び上がり騒ぐ。倒れる。喘ぎ声。延々と続く。泣き声みたい。
衝立が出てきて、予定の演者が到着したので、アマンダさよなら、という。
下着姿で又眼鏡をしている無気力な次の出演者(同じダンサーが演じる)。ダラダラとポーズしながら横の立ち位置をずらしてゆく。
単調な音を発する玩具を床において、音にあわせ歩行。音が止む。じっとしている。足でバンと床を踏みつける。音がまた鳴り出す。...玩具を抱え、座り込む。玩具が猫の声で鳴いて終わり。

こういうやり方に慣れていないと、なんのことやら分からないかも知れないが、演技を「記号的」に扱って、コンセプチュアル、ドキュメント的なものを組み合わせた作品。よく出来ている。


黒田育世 + 松本じろ『モニカモニカ』。
変な席のせいで大半は見えず。たぶん浅草の「吾妻橋ダンスクロッシング」で、初演から何回目かのを見ているので、一応感想はあります。まあ、みてかないとお話にならない類の演目ではないかな、と。
ギターを打楽器的にも使う伴奏と歌にのせて。フラメンコのダンサーとギタリストのような組み合わせの舞台。
アレンジで、最初はヒッポホップ風だが、中味は、旧トルコ軍楽隊の曲。ずいぶんオリエンタルな中近東の音楽で踊る。
ダンスは、イランの旋回舞踊のようにスカートを膨らませてピルエットするもの。スカートの裾を持ち上げて、外側から内側に足を左右にけりこむ動作。頭を何度も振って髪を振り回すもの。コンテンポラリー的な体を曲げた鋭い動きのダンス、の組み合わせだと思う。
それを、バテてくるまで延々とやる。しかもダンサーは幸せそうな大きな笑顔で。髪をなびかせて。そろそろ限界まで来ると、ダンサーが叫んで終息に向かう。
仰向けに倒れたダンサー。ギターは別の曲をやり始める。ダンサーが徐々に復活してきて、女性というか少女っぽさを強調したコミックで愛らしい小さいダンスで終わる。

コンテンポラリーのダンサーから、ベールをかぶった中近東の踊り子さん(胡姫)に変貌するんだ。それにはこういう手続きが必要になってくるということだと思う。


松山組は京都のモノクロームサーカスといっしょに見る機会が何度かありましたが、いつも、なにか説明的な振り付けの再現に終始している、というか。そもそもかわいくない。音楽も皆知っているものばかり。
アザリアのピノッキオ

アザリアのピノッキオ

パレスチナ・キャラバン

井の頭公園(東京都)

2007/09/27 (木) ~ 2007/10/07 (日)公演終了

満足度★★★★

良質なアングラ
この公演に関わっているのは歴戦のツワモノどもが多いです。

ネタバレBOX

テントを打つ激しい雨音の中、見てきました。
井上ひさしもびっくりの遅筆で台本がないまま稽古突入とか、ビザが間に合わないッとか大変な様子を漏れ聞いていたのですが、蓋を開けてみると...。ラフな仕上がり、一部細部グダグタながら、歌姫を巡る道化の鞘当てに、人形とクグツ女の鞘当てが配置されるなど、美学的にも憎い、精緻な構成の台本。大久保鷹と黒谷郁の場面を筆頭に、絵作りといい、オオッ、来た来た来たッ!という場面がかなり多いです。濡れたロマンチシズムというか。
チャンスがあれば再度見たい。無理ですが。
約2時間半。
街よさらば~満月とバタフライ

街よさらば~満月とバタフライ

劇団AND

ATTIC(北海道)

2008/06/17 (火) ~ 2008/06/21 (土)公演終了

満足度★★★★

(もうちょっと時間をください)
90分の作品にもかかわらず主役級の人物が二人。その人たちの書いた文章の中の出来事が平行して出て来るし、現実のレベルでも展開がある。時間が大きく飛ぶ。恐らく初見では全体像が分らない。しかし、人の心を抉るようなシーンが沢山出て来る(度が過ぎたおふざけも沢山)。

ネタバレBOX

世界の果てにある部屋。実はマンションの踊り場、に勝手に住み着いている青年(とその父?)。階下の部屋の女子高生。
青年が書くその女の子への手紙の中のストーリー(あるいは青年の血の中に巣くっているある女の悪魔の妄想)。
女子高生の父親や学校の実習教師の狂態。彼女の書く妄想日記。それを読んで刺激され、彼女を軟禁する実習教師。彼が身勝手に捨てた女の子が復讐にやってくる。
手紙の創作の中の登場人物たちの悲劇。

唐十郎の孫、ベルナール・マリ = コルテスの札幌の義兄弟。サラ・ケインのプリチーな弟分。フランス語で書いていれば評価は全然違うはずだ。その意味でANDの劇はリージョナル(地方色のある)演劇ではない。たまたま札幌だったということだろう。神の配置の不公平というか神秘的な僥倖というか。

そして、世間でどんな事件があろうとも、芝居の中ではナイフで人が何人も屠られなければならないし、目がえぐられ、首が切り落とされなければならない。社会全体のためにそうしなければならない。

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