I元の観てきた!クチコミ一覧

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後厄

後厄

喧喧囂囂

ナビロフト(愛知県)

2015/02/21 (土) ~ 2015/02/23 (月)公演終了

満足度★★★★

短編オムニバス形式の競作は楽しみ多し
短編オムニバス形式は良いな。作演競作なので尚更バラエティーに富んで、多様な楽しみを与えてくれました。ただ、縛りとなっている「お題」の活用がいずれも表面的なのが気掛かり。かといって、それに拘るとバラエティ感を損ないそうだし、難しいところ? 楽しむという点で作品としては草野作品がツボ。役者としては真臼さんの好演が光りました。
■長谷川作品■ なんかしみじみ。派手な事件も展開もない分、役者の演技力を前面に生かす脚本なだと感じました。そうそう、初回公演 初っ端の特別効果音「石焼き芋~~~~」にはかなり混乱しましたが、あれ逆手にとったアドリブできたらすごいなと妄想してました。
■草野作品■ ボケ・ツッコミの嵐でノリは一番良く、すんなり楽しめた。キャスティングがすごいよな~。真臼さんの怪演が凄い!
■吉田作品■ 何なんだろうね、あれは(笑) クスリと笑ってしまうけど、あまり近寄りたくない世界σ(^_^;) そして背後に暗躍するアレが怖い・・・
■宮谷作品■ ちょっと特殊な役どころのキャラがあって、面白い。すごく話を拡げられそうなアイディアだと思う。ちょっと作り込みきれていない感はあったけど。
■真臼作品■ なんか違和感を引き摺りつつ観ていたが、最後に「あ~~~」と膝を打ち納得。オチを踏まえて最初から見返したい作品ですね。

パブリックイメージリミテッド

パブリックイメージリミテッド

公益財団法人愛知県文化振興事業団

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2015/02/13 (金) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★

悩ましい・・・
変わったもの観た感はすごくある。解釈むずかしい作品だわ~。
とりあえず、最後に印象に残るのは「コーンポタージュ」(笑) 各所で田内さんの絡みが良いアクセントになっていた印象です。
演出には色々見所がありました。

ネタバレBOX

 本当は2人の、しかも全くリンクしない「語り」なのに、多人数で入れ替わり立ち代り語るので、不特定多数のツイートのタイムラインを観ているよう。ネットを見て今時の世相を感じるような既視感に浸れる・・・。それから受ける印象は面白いし、演出や演技は工夫に溢れていて良かった。
 ただ、脚本として作家が意図しているものが伝わるのかは非常に微妙。観劇後、いろいろ探るに、込められた想いがたくさんあるようなのだが、感じにくいというか、敢えて避けているようにも見えるし、そのくせネタばらししちゃうような語りが入ったりして、興ざめに誘う・・・意図が読みにくい・・・ある意味、それも作家の手の上で踊らされているかもしれないとは思う。
 
しおとさとう

しおとさとう

劇団「放電家族」

G/Pit(愛知県)

2015/02/13 (金) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★

ミスディレクションの嵐に拍手
シリアス志向とは聞いていましたが、思った以上にミステリー仕立ての感が強かったですね。時間軸の並べ方も配役もシーンの重ね合わせも、色々と巧妙にミスディレクションを誘っていて、「負けないぞー」って楽しく頭を働かせる90分でした。実際、観ている最中、私はかなり思考が迷走して、最後まで見終わった今思うと赤面モノです(笑)
 そして今や、すっかりアベの心境になってしまっており、「図に書くとこう!(笑)」って感じに相関図に整理したり、リアルの時歴に戻したりと頭の中を整理しています。どうも一人/単一の動機では納得がいかず、また時間の経過による心境の変化も加味せねば辻褄が合わないような気がして・・・はっきり言って、天野さんの掌の上で踊らされている感あり。パンフで曰く『雑な部分に、楽しむヒントを残した』 を私は実践して楽しんでいるということになるのだろうか・・・。結局、真相は闇の中?、「真実はいつも一つ!・・・とは限らない」ってやつ?(笑)

黒塚

黒塚

木ノ下歌舞伎

大垣市スイトピアセンター(岐阜県)

2015/02/07 (土) ~ 2015/02/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鬼気迫る演技と舞踊と照明と音楽と・・・ありとあらゆる効果が圧巻
 とにかく、まずは圧巻の一語に尽きます。鬼気迫る演技と、舞踊と、照明と、音楽と、ありとあらゆる効果に圧倒されました。客席と舞台がほぼ一体ですから、尚更です。
 そして何より、ともすれば只の鬼退治になりかねない元の筋書きに、原作歌舞伎では明示されない「鬼の鬼たる所以」にスポットライトを当てることで物語に深みを持たせ、むしろ鬼の悲哀が前面に際立ちました。
 現代劇化することによる、分かりやすさとドラマチックな演出だけでも、相当な高評価なのですが、「行為の残虐さと、双反して根底に流れる悲哀の対比」が、猟奇な犯罪が相次ぐ現代にこそ、むしろ通じるのではないかとさえ、感じました。
 鬼が自身に救いをもとめる気持ちは、容易に赦されざることではあるでしょうが、在って然るべきことでもあるとは思います。私も、自分がまさか鬼に感情移入することになるとは思いませんでした。
 色々な演出が素晴らしい本作でしたが、一つ書き残しておきたいのは、やっぱり「大垣特別演出」。まさしく息を呑みました。あの一時、役者さんそっちのけで虚空に大きく拡がるソレを目で追いました・・・大垣で観て良かった。舞台によって独自の演出突き詰めるなんて素晴らしい演出家魂!
 あ、そだ、もう一つ。アフタートーク、すごく良かったです。なんと理解の深まることか。しょせん一見の素人観劇者には、舞台だけ観て全てを感じとることなんて出来ませんからね。これを踏まえて、もう一回観たいのが本音・・・

怪体新書

怪体新書

演劇ニッケル

瑞浪総合文化センター・文化ホール(岐阜県)

2015/01/31 (土) ~ 2015/02/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ニッケルの光と闇
 演劇ニッケルの売り(・・・と私が勝手に思っている・・・)の踊るように軽快でテンポの良い会話と役者の絡みの小気味よさは、今回も存分に発揮されていて大満足。特に大津さんの切れ味鋭いボケぶりは最高でした(笑)
 そして、今回の極めてチャレンジングな脚本。まさしくブラックニッケルでしたね。今回、かの事件のせいでタイミング的に大変リスキーな内容になりましたが、人の闇に踏み込んだ勇気に拍手を送ります。正直、伝えるという観点では課題が大きいと思いますが(私自身、どう解釈をすれば良いのか悶々と考えている箇所多し)、昨今考えるべき内容を、方向はどうあれ考えさせることの意義は大きいと思います。今後の活躍に期待します。

ネタバレBOX

ほんとネタバレなんで、読むのは自己責任でよろしくお願いします。良い意味で、感じることが色々多かったので、つらつらと・・・


■全般に展開される「楽しい会話」と「シリアスな事件」のギャップ。これ自体は演出としてアリだと思いますが、「闇」の伏線は「楽しい会話」の中に、ちゃんと潜んでいるのでしょうか。少なくとも私は察することができず、ギャップに唖然とするしかなかったのですが、それを紐付けする何かしらの違和感が会話の中にもう少し明示的にあってもよいのかなと思いました。(もちろん私が鈍くて見逃しているだけなのかもしれないんですが・・・) 

■「普通の人は虫で終わるけど・・・」云々が一般論的に語られましたが、どうしてその一線を越えたの「何故」の部分にもスポットライトが当たっても良いかな・・・。
 一方、それを越えた後、元に戻れなくなる辺りの葛藤は、同一人物の内面を二人の役者を使って、面白く演出しているなと感じました。ここが演出で一番良かったなと思っているところです。ただ、ウサギが後半にしか使われないのはもったいないかな。序盤から暗示・予兆的に使って良いのかも。

■「殺す側の闇」と「死にたい側の闇」が対比的に扱われるのも斬新に感じました。ただ、後者はちょっと取って付けた感がやや残ります。もしかしたら、それ自体が最後の布石なのかもしれないですが。

■そして実は、事件に際して最後に杉田が発するどんでん返しのセリフに未だに悩んでいます・・・。あれの解釈次第で、青山がやっていたことの位置付けがだいぶん変りそうな・・・ 観る側では、こういうのは決して確固とした解を得ることができないから、悶々とするな・・・
ミソゲキ2014

ミソゲキ2014

ミソゲキ実行委員会

ナンジャーレ(愛知県)

2014/12/29 (月) ~ 2014/12/31 (水)公演終了

満足度★★★★★

素敵な年越しでした。
 年の締め括りにふさわしいステキな企画でした。マイペースな劇団あり、年末ではっちゃけちゃっている劇団あり、12劇団の個性をまとめて楽しみました。個人的な趣味で言うと、短編のベスト3は、劇団オメガ、廃墟文藝部、相羽企画かな。
 カウントダウンまで参加しましたが、トーク、無茶振り即興劇等、楽しい時間があっという間に過ぎ、素敵な年越しでした。スタッフ含め、関係者の皆さんお疲れ様でした。今後も続けて開催されていくことを期待します。

鴉よ、おれたちは弾丸をこめる

鴉よ、おれたちは弾丸をこめる

彩の国さいたま芸術劇場

穂の国とよはし芸術劇場PLAT・主ホール(愛知県)

2014/12/20 (土) ~ 2014/12/21 (日)公演終了

満足度★★★★

狂気、ひたすら狂気。
 ひたすら狂気を見せつけられたという印象でした。
 主義主張でいえば、言っていることもやっていることも、正直、何一つ共感も納得もできる部分が無いのですが、狂気を観客に突きつけるという点において、この演出のインパクトは比類ないと感じました。特に最後の演出にはド肝を抜かれました。
 想像以上にテーマを受け入れられなかったのに、ここまで印象に残るというのは、ある意味凄いことだとは思います。

身辺生理

身辺生理

劇団あおきりみかん

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2014/12/18 (木) ~ 2014/12/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

場面転換の大胆な演出が印象的
 全般的に一番目を惹くのは、場面転換の演出の巧みさ。頻繁に回想が差し挟まれる中、雑多な小道具が溢れかえるという本来不利な舞台を逆手にとって、これほど印象的かつ効果的に時間と空間を操るとは見事の一語に尽きます。
 脚本の方は、突き詰めると「どれが原因でどれが結果なのか」、「どこまで分かっていて何を知らなかったのか、どこまでが当人の意図なのか」・・・といった事象と思考の各々の相関が少々悩ましくなる不条理感がスパイス。(実は理解しきれていない疑問も多い。DVD出たら観返したいな。)
 役者さんも、どこまでが脚本でどこまでがアドリブなのか、思わずニヤリとしてしまう絶妙な演技で魅せてくれました。

8分間

8分間

燐光群

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2014/12/12 (金) ~ 2014/12/13 (土)公演終了

満足度★★★★

多彩な展開、良い意味で裏切られる。
 タイムリープ物としては序盤は単純でしたが、徐々にバリエーションが増えたり、大きく一転したり・・・予想以上に多彩な展開になって飽きさせなかったです。幾度となく「ここで終わり」と思わせる流れから、あっさり振り出しに戻り、良い意味で裏切られ続けました。

ネタバレBOX

 パラレルワールド的にパターンによっては役者の役どころが変わり、思わせ振りなドラマが展開されることがあり、それはそれで面白いのですが、単発なので少し消化不良になります。訳知りな登場人物数名が謎のまま終わるのも少しフラストレーションでしたが、いずれも話の筋としてあまりフォローする気もないようで、不満は残りつつも、理解しきれないところを残すことが演出としても大事なのかな・・・とも思いました。
ふなぞこ

ふなぞこ

てんぷくプロ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/12/04 (木) ~ 2014/12/07 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しみ満載の舞台
 一本の話というよりは、バラエティに富んだ芸と小話のオンパレードを楽しむのが本作の本筋なのでしょう。個々の役者さん達のインパクトが一々強烈なので、ノリコさんを巡るメインストーリーが薄まる感がありましたが、なんかこちらの方がオマケな気がします(笑)

ネタバレBOX

 過去(1954年)のノリコ、舞台(1988年)のノリコ、過去のノリコを演じる舞台女優(1988年)、そして実は今、舞台のノリコを演じる女優は「過去のノリコを演じた舞台女優」の今の姿なの? と思わせるラストは、なんかニンマリしますね。ちょっと数字ずれてますが(笑)
ウミガメのスープを飲んだ。

ウミガメのスープを飲んだ。

大名

翔UPファクトリー(愛知県)

2014/12/06 (土) ~ 2014/12/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

随所に工夫の感じられる良質な舞台
 言葉遊びは思った以上に面白く、人を替え、シーンを替え、繰り返される言葉群は効果的に感じました。割と身構えていたものの、言い換えていることが分かるように発音、イントネーション、間に工夫がされていて、演出・役者ともに気遣いがありましたね。
 単に不思議な問答だけに留まらず、コミカルな趣向も織り交ぜられていて、バラエティに富んだ内容でした。 

 ただし、最初の論点や謎掛け的な問い掛けが、最終的に女性の感情論のみにフォーカスされた感じがあったのが残念。情緒的な展開は確かに舞台を盛り上げていましたが、どうしても私は男目線で見てしまうので、最後の盛り上げに少し取り残された後味が残りました。男性側の掘り下げがもっとあっても良いのではと思いましたが、作品のターゲットと私が単にズレているだけなのかもしれません。

ネタバレBOX

 本文は後からの推敲で言葉を変えましたが、公演のアンケートでは「最初の論点や謎掛けが、最終的に女の感情論にすりかえられてしまった気がしなくもない」と書きました。
 それが思いがけずも、当の脚本家さんのtwitterで言及されており、『最初の問いかけから女の感情論にすり替わってしまったといった感想をいただいたのですが、それは互いの目的が違った話なんです。そもそも女にとって最初の問いかけが感情論なわけでして、終始一貫して女はかんじょうの落とし所を求めます。死んだ理由よりも、愛する人に愛されてたかが重要なんです。』とのことでした。
 なるほど、そう言われれば一貫はしている。では、なぜあのような印象が残ったのかと自問しました。結果、当初、男女対等のバランスで語られていたと私が思い込んでいた話の筋が、実は、女性視点での話であり、男性の言葉はあくまで女性が聞き取り、頭の中で反芻・解釈されたものだった・・・男性の死後、女性側の頭の中の反芻が舞台であったとの解釈に至りましたが、果たして・・・。(twitterやっていないので、当の脚本家さんのつぶやきにリアクションせぬまま。こちらに引用して良いのかも迷いましたが、そもそも引用はお互い様ですしね。)
 どんどん記憶は薄れていくので、脚本読みたいな。ウミガメ役の位置づけなども、実のところ理解できておりません。でも、色々思索にふけられる舞台は好きです。
遠い町の話

遠い町の話

よこしまブロッコリー

シアターココ(愛知県)

2014/11/29 (土) ~ 2014/12/01 (月)公演終了

満足度★★★★

感想:私の中のガラパゴス(よこしまブロッコリー)
 まず、立ち上げられた「ツナグProject」の企画は大変素晴らしいですね。名古屋で観る側としても、遠地の劇団さんの公演を労せず楽しめるのでありがたいです。今後の継続と拡大を期待します。

 さて作品の方ですが、話の筋や役者さんの演技など、全体として高水準だったと思います。ただ、インパクトが強かったボンヤリマドグチさんの直後の上演でしたので、私としてはやや辛目の印象が残りました。周りに結構アクの強いキャラクターが配されているせいか、肝心の主役(娘さん)の心理描写や気持ちの変遷が見えにくいというか、薄まっている様に見えて、主役の気持ちに入り込みにくかったです。全体としてよく練って作られている感があっただけに、惜しいと思いました。

遠い町の話

遠い町の話

よこしまブロッコリー

シアターココ(愛知県)

2014/11/29 (土) ~ 2014/12/01 (月)公演終了

満足度★★★★★

感想:暗い部屋の傾向と対策(ボンヤリマドグチ)
 主人公の分身&想念たる”コロス”の演出と演技が素晴らしかったです。ある意味、演出上で便利なキャラクターですが、それ以上にキャストの内面を表現するのに、演劇でもこういう方法を取れるんだなと感心しました。一方、キャストの演技自体にもかなり鬼気迫る表現力を感じましたから、相乗効果はかなりのものでした。
 ただ、客席が二面だったので、コロスが絡むシーンで肝心の演技が片面には良く見えなくなるケースがあったのが僅かに残念でした。

ネタバレBOX

 ”コロス”は大変素晴らしく感心する一方、見た感じジョジョの”スタンド”を想起するので、ちょっと笑いもこみ上げますね・・・
静かの海でサーフィン!

静かの海でサーフィン!

双身機関

揚輝荘聴松閣(愛知県)

2014/11/27 (木) ~ 2014/11/29 (土)公演終了

満足度★★★★

不思議な空間
 会場である「揚輝荘聴松閣」は半端ない舞台効果を生みますね。部屋のレトロかつエキゾチックな装飾がダンスの不思議感を効果的に後押ししていました。
 ダンス自体は全てを観客の感受性に委ねている感じで、説明的な部分は一切無く、恥ずかしながらダンスのみから具象を読み取る力が乏しい私は、「何をしているんだろう、この人たちは?」と、なかなか答えの出ない問いに想いを巡らすひとときでした。ただ、複数のダンサーによる多様な舞いの調和と衝突には目を見張るものがあったのは間違いなく、会場の雰囲気と相まって、ダンスの醸し出す不思議な空間を楽しみました。

ネタバレBOX

 表現の意図にはなかなか辿りつけていないと思いますが、一つ異質に感じたのは、お一方、周りのダンスとは調和せず、ぶつかったり、しがみついたりしている動きの方が居た点。明らかに普通のダンスとは別物の所作だったので、「この人たち、何か揉めているの?」と感じました。改めてチラシを見ると、「諍いと慰めを繰り返す」とあるので納得はしましたが、ちょっと泥臭いアクションにびっくりでした。
ハトビト

ハトビト

星の女子さん

G/Pit(愛知県)

2014/11/28 (金) ~ 2014/11/30 (日)公演終了

満足度★★★★

怪集団、ハトビト!
結局、ハトビトが何者なのかは謎のままだったけど、ハトコの語りを基に妄想すると楽しい・・・。原作の掲載誌をオマケに付けてくれたので読ませてもらいましたが、舞台化でだいぶん奥行きを拡げたようですね。でも私的には、もっともっとこの謎集団を掘り下げて欲しかった(笑)

なお、三女優、今回は棚橋さんの演技が冴えていたと思いました。天晴れです。

朝顔

朝顔

劇団B級遊撃隊

姫池052スタジオ(愛知県)

2014/11/22 (土) ~ 2014/11/30 (日)公演終了

満足度★★★★

怖い怖い
 予想外のオンパレードで飽きさせない展開でした。大変面白かったです。
 何事も視点によって見方は180度転回してしまうものだと強く感じました。いくら客観視しようと努めていても、固定観念や印象操作による思い込みからは逃れられないんだなぁ。そして、自分がやっていることも、自分が思っている通りに周りに理解されているとは限らない・・・怖い怖い。        


 そして、前説で演出の神谷さんがしつこいまでに「携帯電話の電源切る」ネタを振りまいているにも関わらず、響く振動音。言葉もまた周りには思った通りには伝わらない・・・ 怖い怖い(笑)

ネタバレBOX

 美術的にも影の投影(簡易なプロジェクション・マッピング?)は面白い使い方でしたね。ただ、声役の影が台本?を持っているのは少々興ざめでした。
非常怪談2014

非常怪談2014

劇団ジャブジャブサーキット

大垣市スイトピアセンター(岐阜県)

2014/11/15 (土) ~ 2014/11/16 (日)公演終了

満足度★★★★

味わい深い日常/非日常混在ドラマ
 演劇的には派手なシーンはなく、日常の中の非日常、非日常の中の日常が穏やかに展開していく。しかも、本来舞台裏であるはずの台所の1シチュエーションだから尚更です。とは言え、別に物静かってわけでもなく、笑いを誘うシーン等は随所にあり、退屈はしません。
 お互いには馴染みでない人が行き交ってもおかしくないお通夜の場で、当初なんとなく紛れてしまっていた不審者達の素性が徐々に明らかになっていくミステリー展開も面白かったです。
 あまり謎解きを明示しない脚本なので、直後はポカ~ンなネタもありましたが、私は終わってから反芻しててやっと気付いたものもあり、未だに悩んでいるネタもあり・・・味わい深いです。可能ならもう一度みたいですね。

牛乳地獄act.13「穴があったら入りたい」

牛乳地獄act.13「穴があったら入りたい」

牛乳地獄

G/Pit(愛知県)

2014/11/06 (木) ~ 2014/11/12 (水)公演終了

満足度★★★★

演劇を飛び出す演劇
 ゲネプロ風前説から始まり、敢えて劇の中から一瞬現実に引き戻すかのような演出には思わずニンマリしますね。こういう手法はおそらく賛否両論あるかと思いますが、私はうまく使っていると思います。笑いを誘う「肉体の限界に挑戦・・・」的なシーンとか、演出に対するツッコミ(笑)とか、演劇に入り込むのではなく、演劇している人たちを観て楽しむというのも一興です。
 初のファンタジーということですが、RPGゲーム世代の共通概念をうまく使って、無理な設定を説明無用で活用しているのは良いのですが、逆に展開に驚きが感じられなくなっちゃうのはやや難点ですかね。

ネタバレBOX

 なお、敷かれたレールに乗ることへのアンチテーゼや仲間の重要性を謳うストーリーに好感はあるのですが、単に感情論に頼った展開で、結論ありきのご都合的な印象が残りました。
二兎社公演39「鷗外の怪談」

二兎社公演39「鷗外の怪談」

一般財団法人ちりゅう芸術創造協会

パティオ池鯉鮒(知立市文化会館) かきつばたホール(愛知県)

2014/11/03 (月) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★★★

二律背反の男
 「高級将校(しかも軍医の最高位)」 と 「いささか反体制的な視点まで持ち合わす文学者」・・・という極端な二面性が内在する森鷗外。その両極端の共存を許し、しかもその存在を両社会に許されるという・・・ その絶妙なバランスは、決して強い人間故成しえたのではなく、むしろ臆病で弱く、人間臭い、小心者だったからこその業だったと感じました。
 母と妻、反体制の編集者と体制派の旧友、常に対立する人間関係に挟まれながら立ち回り、その双方から愛される・・・ 全てのシチュエーションが彼の二面性を象徴していました。
 これといって斬新な展開があるわけではありませんが、心理描写を緻密に魅せる脚本・演出、それを支える上質な演技をたっぷり味あわせてもらいました。

霊感少女ヒドミ

霊感少女ヒドミ

ハイバイ

ナビロフト(愛知県)

2014/11/02 (日) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★★★

悩ましいバランスのハイブリッド
 率直に「こういう演劇もありなのか・・・」というのが第一の感想です。心霊モノとプロジェクトマッピングのどちらがありきで始まったのかは興味深いですが、いずれにしてもプロジェクトマッピングが馴染む題材なので、それは全く違和感無く楽しむことができました。
 ただ、核心の芝居で別撮りのムービーを多用するのに少し首を捻ります。回想の雰囲気を出したり、背景やテキスト併用等のメリットがあるのは理解しますが、やっぱり演劇の醍醐味は、お話を「生の役者さんの臨場感たっぷりの演技」で味わうことだと思うので、その一番美味しいところをスポイルしている感は否めません。やや中途半端なものになってしまったのではないでしょうか・・・。
 良く言えば、映画と演劇のハイブリッドとみるべきなのかもしれませんが、比重は再考すべきと思いました。

ネタバレBOX

 ムービーで印象が薄まるところにオチが出てきたため、私は理解しきれずに、実は核心の筋を誤解してしてしまいました。単に私か粗忽者と言ってしまえばそれまでですが、印象付けという意味では失策ではないでしょうか・・・

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